目的地

真海は庭の雪だるまに話しかけ、いつもの様に大地を待つ。




「おはよう。あれ、雪だるま増えてる!」


「かわいいでしょ?」


「うん。表情がいい。あ、これ真海に似てない?」


「どれ?え、めっちゃ笑顔のやつ?」


「そう。真海ってこんなイメージ。ニコーって笑ってる感じ。」


「へー。そんな風に見えてるんだぁ。」




最近はまってるいちごオレを少し飲み、弁当箱の蓋を開ける。大好物のハンバーグが入ってた。


(やったー。嬉しいー。)


つい顔がニヤける。


「何?真海ニヤけてるー。」


麻美がそれに気付きちょっかいをだす。


「えー?ほら、これ。」


「あーハンバーグねー良かったじゃん!」


「少しあげようか?」


「いいよー真海食べなよ。うちのおかずは唐揚げだ。やったね。」


「テンションあがるよねー!ねぇ、麻美は好きなもの最初に食べるよね?」


「うん。後で食べるなんて出来なぁい。待ってられないよー。」


そう言いながら唐揚げを頬張る。


「うちと逆だなぁ。昔から好きなのは最後に取っておくんだよね。」


「あー。真海そうだよね。変わらないね。」


「うん。最初に食べると勿体ないって思っちゃうんだよね。」


「んー分かるけど、やっぱり我慢できないなぁ。唐揚げもう食べちゃった。」


「ご飯減ってないじゃん。」


「大丈夫。うちにはこれがある!じゃーん。」


「ふりかけか。じゃあご飯いけるね。麻美は抜かりないねー。」


「でしょ?唐揚げの日はふりかけも入れてねってお母さんに言ってるんだ。」




午後一番の授業まであと10分。麻美はいつものように彼にメールをしてる。


(仲良いなぁ。さ、トイレ行ってこよう。)


ポーチを持ってトイレに向かう。


「おーい、真海。」


後ろから声がする。この声は大地だ。


「何?」


「あのさ、今日の帰り寄りたいとこあるんだけど付き合ってくれる?」


「いいよー。どこ行くの?」


「後で教えるから。じゃーね!」


(一体どこだろ?何か買うのかな?)


少し気になりながらもトイレに向かい、イチゴの香りがするリップを塗る。




午後の授業は眠気と戦いながら何とか受け終わった。

玄関で靴に履き替え、大地と一緒に目的地に向かった。

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