花火

丸、ハート、星……色々な形の花火が次から次に打ち上がる。


打ち上がる度に周りからは歓声が聞こえる。


(綺麗だなぁ。この花火大会終われば夏も終わるな。)





「綺麗だね。花火。」


「うん。色んな形あって面白いね。」


「だね。あ、この形なんの形だろう?」


「これは、スイカじゃない?青山君何に見えた?」


「俺もそう見えた。すごいな。」


チラッと麻美達を見るとキスをしていた。


(やばっ、見ちゃった。)


思わず両手で顔を隠す。


「笠井さん、どうしたの?大丈夫?」


「うん、何でもない。」


(麻美たち付き合って長いからキスなんて当たり前なのに…なんか照れる。)


真海は恥ずかしくなりオレンジジュースを飲んで誤魔化す。

喉を通っていく音が花火にかき消される。




約30分の花火大会が終わった。

人が少しずつ動き出す。屋台はまだやっていて、あちこちで行列が出来ている。


「花火きれいだったねー。特に最後のやつ大きかったね!」


「そうだね。形も色々だったよね。」


「真海、青山君と何話してたの?」


「え?これといって何も…花火綺麗だねーしか話してない。」


「そうなのー?二人きりにしてあげたのにぃ。」


「残念でしたー。」




花火は綺麗だった。

この日だけは、嫌いな夏が嫌いじゃなくなる。花火大会が終われば夏が終わるから。

それを一番待ち望んでいるのかもしれない。

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