海の中のふたり

雨上がりの空

朔日

『ほら葵ここ座って!』

『うん!』

『見て、きれいだね。葵は何色に見える?』

『んーとねー、ビー玉!きれーなビー玉!』







「……海!真海!早く起きて!置いてくよー!」

「…んー。」


今何時だろ?…やばっ!もう昼じゃん!


「ちょっと待ってて!急いで着替えるから!」





「ごめーん。昨日夜更ししちゃってさぁ。」

「毎日でしょー。夏休みだからってそんな生活してたら来週から起きれなくなるよ?」

「大丈夫だって。あーあ、あと15日かぁ。もっと休みたいなぁー。」

「そんなに休んだらナマケモノになるよ!早くご飯食べて。」

「はーい。いただきます!」






ミンミンと鳴り止まないセミの声。

夏真っ盛りの8月1日。




この日の夕方、私の妹が死んだ。

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