自重を知らない勇者御一行〜仲間になった女三人、癖強すぎだろ〜

でずな

一章

第1話 変人しかいねぇ


 ――人生とは、衝撃の連続である。



「新たな勇者よ!! この混沌の世界を救うのだ!!」


 これが、災難の連続なのだなと斎藤渚さいとうなぎさはため息を禁じ得なかった。


 なんなんだよさっきから……、と呟きながら渚は勇者だとか宣っている人物のことを見る。

 真っ白な髪の毛。長寿だということを思わせる無数のシワ。その老人は、大きいイスに背中を預けている。


 俺がこんな王みたいな老人から勇者になれだとか言われてるのは、ここに送った神のせいだ。


 まぁ、ほんの少し? ほんの少し、俺の不注意でトラックに惹かれて死んだことも悪いと思う。だけど、何も言わずに姿も見ずに何もない空間に飛ばされたと思ったら、いつの間にか王の前。そして、俺が勇者だとか言ってる。


 はぁ〜。なんか王の周りにいる奴らが、俺の言葉を待ってるし……。

 クソっ!! 


 なんで俺が勇者なんてしないといけないんだよ!!     絶対、次に会ったとき唯一見えたでかい乳でも揉んでやる。


「ど、どういうことですか!?」


「こやつらが勇者殿と一緒に戦う心強い者たちだ!」


 王みたいなやつは、俺の言葉を無視して話を進めた。

 なんなんだよこいつ……。

 

「よろしく。私はエルフのシュラットよ。役割は主に援護をする魔法使い。普通は後ろで構えるんだけどまぁ、盾にしてもいいわよ。魔物に襲われてみたいのよね。ぐふふ……」


 シュラットと名乗ったピンク髪の女は魔法使いっぽいローブを着ている。そしてなぜか股に杖のようなものを挟ませ、くねくねしながら自己紹介してきた。


 ……こいつ魔物に襲われてみたいとか言ってなかったか? 


 さすがに聞き間違いだよな。

 だって勇者のパーティーメンバーなんだから。


「われはスターマインド・インフィニテット・ダーク・リージュ。愛称はリージュなのだ。天才発明家とも、賢者とも呼ばれている。まぁ、そんなこと言わなくともこの気迫で伝わってくるとおもうがな。はっはっはっ!!」


 スターマインド・インフィニテット・ダーク・リージュ……とか言うボサボサの金髪女はバサリ! と、白衣をなびかせいい音を鳴らしながら高笑いした。


 うん。天才発明家とか自称して、白衣を着てるといかにもマッドサイエンティストっぼい。


 ちなみに、このマッドサイエンティストはさっきの娘より胸が大きい。一応俺は、元の世界で勝手におっぱいソムリエと自称していたので大体の大きさはわかる。


 あの揺れ具合……多分F以上だな!!

 ちなみに最初の娘は、丁度いいサイズ感のCくらい。


 魔物に襲われたい願望がある変態エルフだったり、いきなり高笑いする巨乳マッドサイエンティストだったりと、なんで勇者の仲間がこんな一癖二癖強いやつなんだよ。


 まぁ、俺もおっぱいソムリエとか言って胸の大きさを予想してるから人のこと言えないんだけど……。


 いや、まだ一人女の子がいる。

 それもちっこい女の子。二人の変人とは、全く違う空気のまともそうな女の子!


「私はコ、ココでしゅ!! 剣士でしゅ!! ふちゅちゅか者でちゅが、よろちくおねがいちまつ!!」


 ココというキレイな茶髪の女の子は、他の女とは違い礼儀正しく頭を下げてきた。


 かっ……。か、か、か、か、可愛い!!

 この娘の髪型ってあれか? ショートヘアとかいうやつやんじゃないか!?  

 緊張してさっきの挨拶の言葉が噛み噛みになってるけど、可愛い。めちゃくちゃ愛でたい。


 何言ってるかわからなかったけど、俺はあの変人コンビなんておいてココちゃんとラブラブ冒険をしてやる!!


「こちらこそ、よろしく」


「「(あぁ、)よろしく(ね)(な)」」


 いやお前たちに言ったんじゃねぇよ。

 

 

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