禿猿どもの惑星
義仁雄二
第1話
果てしない星の海を航海する数ある宇宙船の中でチュラッブとカラップが乗る宇宙船は危機的状況だった。いわば宇宙の海賊である彼らは運搬途中の物資を盗もうと、中型宇宙船へと攻撃を仕掛けていると巡回中だった警備の船団が現れ砲撃を受けてしまったのだ。からくも逃れることが出来たものの、暫く航行は可能だが宇宙船は破損し食料も尽きかけていた。
どうにかして船の修理と食料の確保しなければと考えている折に、二人は偶然青い星を見つけた。
星の環境を調べてみると、豊かな星だということが分かった。そのくせ宇宙にも進出できてない文明レベルの星だ。
もったいないと思うと同時にカモだっと二人は思った。
この星の生物に自分たちの技術を見せてやればへこへこと頭を下げて何でも言うことを聞くに違いない。そしたら船だって直せるし、食料だってもらえる。上手くいけばこの星の資源をたんまりもらえる。
そんな未来を想像し二人は、この星の頂点に立つ生命体『人』が集まっている場所であることと何だか偉そうな人がいる場所を条件に絞り込み、丁度良く見つかった場所へと降り立った。
二人の思惑通り、その場の誰もが未確認な飛行物体に驚嘆し、『人』の言葉を話して見せるともう声すら上がらなくなっていた。自分たちの技術力では簡単なことでこれほど驚くとは、二人はつい笑ってしまいそうになった。
大統領と呼べれる人物も腰が低くなっていたほどで、必要な物資を提供してくれる約束を取り付けることにも成功していた。
チュラッブとカラップの兄弟が地球で接待され始めて四日目の昼、二人は自ずと目が覚めた。
「あっ、兄ちゃんおはよう」
「……ああ、おはようそれにしても、よく寝たな」
「うん」
この星の環境がいいからか、もしくは宇宙船内ではなくこの星で一番のいい部屋だからかは定かではないが、チュラッブとカラップの兄弟は眠る時間が多くなっていた。
「それにしてもこの星最高だね!食べ物は上手いし、水は使い放題だし、何でも言うこと聞いてくれる。僕たちに騙されているとは知らずにね」
「ああ、俺らが親善大使みたいなことを言いやあ直ぐに簡単に信じてやがるしな。やっぱり文明レベルが低いとこは楽勝だな」
「あ、僕シャワー浴びてくるよ」
「おい、そんなところに傷あったか?」
チュラッブはカラップの腹にある傷に覚えがなく聞いた。
「傷?あ、ほんとだあるね。気付かなかったよ」
カラップはいつ付けたのかと首を傾げた。
「お前は大雑把だからな、気を付けとけよ」
「うん」
カラップが楽しげにシャワールームに入って行くのを見ていたチュラッブの音を判別する器官にコンコンと扉をノックした音が入る。
「はい、なんですか?」
この部屋に来るのはだいたい決まっている。
扉を開けるとチュラッブの予想通りの人物が立っていた。
「昼食の御時間ですか、どうされますか?」
「ああ、どうするか……」
チュラッブは悩んだ。二人で食べたいところだが、カラップがシャワーを浴びだすと長いのだ。
「外で食べたいのですが、ここに来るまでに見た店が気になっていまして。カラップは暫くそっとしておいてください」
「分かりました。それではご案内いたします。こちらへどうぞ」
チュラッブは先導されるままにホテルを出て、用意された車に乗った。
少し走っているとまた眠気が襲ってきた。
「到着まで時間がありますので、どうぞお休みになってください」
「着いたら起こしてください」
そうしてチュラッブは睡魔に抗わずに瞳を閉じた。
禿猿どもの惑星 義仁雄二 @04jaw8
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