第3話【はっきり言われた事と、はっきり分かった事。】

「お前は危なっかしくて、車や自転車は運転させられない」

「お前には、一人暮らしなんてムリだ」

「早く働ける所を探してくれよ」

この言葉が、実家に帰ってきてから言われた言葉だ。



自分だって、出来れば働きたい。

しかし、あんなに転職し家族に通勤の送り迎えをしてもらう奴なんて、そんなに簡単には雇(やと)ってはもらえないだろう。


しかも、シフトに入れる時間も限られている。その上、家はど田舎だ。近くにそんなに職場があるワケも無かった。



要するに、『自分達は働けない』という事だった。

しかし、「探し方が悪い」と美由の家族に言われていた。

「もっときちんと探さないからだ」と──。


「なら、同条件でお前達が探して来い!」と言いたくなる。

すると、「こんなに転職するのが悪い」と、また文句を言われてしまう。

『悪循環の繰り返し』だ。



転職した理由は多々あった。

『契約期間満了』だったり、『上司と喧嘩になってやめた』り、『てんかんが原因でやめさせられた』り──。



それでも、転職した事に後悔等は無かった。

独身の時は、やめるまでに次の転職先を見付けてからやめたり、やめてもすぐに転職先を探していたからだった。


“1回やめてから転職するまでに1年以上間が開いていた律に比(くら)べれば、やめてから数ヶ月以内ですぐに転職していた自分達の方が有利だ”と思っていたからだ。



しかし今回の就職活動では、完全に裏目に出ていた。『1つの就職先での職歴が短い事』や、『転職回数が多い』という理由で落とされたりしている。


オレ達は転職回数が多いため、職歴が1年以上の就職先が少ない。そのため、“就職しても長続きはしないだろう”と判断されているのかもしれない。


無理も無かった。



だから、とりあえず就職活動はやめた。


この事を家族に言ったら絶対に怒られるだろう。しかし、無いものは無いのだ。こんなに転職回数が多く、職歴も短く、家族に送り迎えをしてもらうようなオレ達を雇ってくれる場所なんて──。



だからこれからは、『探すフリ』をしながら過ごしていこうと思う。

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