第19話 良かれと思ってやったことが……
やあ、みんな! 俺っちだぞ。
そんなこんなで郵便局に勤めることになった俺っちなんだけど、郵便局で働く前に、研修所で3週間にも及ぶ研修を受けらされたんだよな。
この研修は、郵便についての基礎知識を徹底的に植え付けるために毎年やってるんだけど、はっきり言って俺っちは、そこで学んだものはもうすっかり忘れちまったんだよな。ぎゃははっ!
どんなことをしたかというと、中国5県から集まった者たちをクラス分けして、各クラスごとに担任をつけて、授業を受けるんだ。
その授業の中で一番ウザかったのは、自己アピールの授業。
まあ、簡単に言うと、自己紹介だな。
それ自体は別にいいんだけど、自己紹介が終わった後に、いちいち感想を書かないといけないのが、ほんと面倒だったんだよな。
なんせ、クラスに40人もいたから、その人数分感想を書かないといけなかったんだぜ。
しかも、書いたものは本人に渡すシステムだったから、もちろん俺っちも39人分の感想文をもらったんだ。
その中身は、ほとんどが俺っちを褒めてるものだったんだけど、中には誹謗中傷する奴もいてさ。
匿名だったから、そういうことをする奴もいたわけよ。
もう30年前の話だけど、この頃からそういう卑怯なことをする奴がいたんだよな。
正義感の強かった俺っちは、それが許せなくて、休み時間に「これを書いた奴は誰だ?」と、みんなの前でその感想文をさらしてやったんだ。
そしたら、誰も名乗り出なかったもんだから、「まあ今回は許してやるが、今度こういうことを書いたら、徹底的に犯人探しして、みんなの前で土下座させてやるからな」と言ったら、みんな静まり返って、変な空気になっちゃったんだよな。
ぎゃははっ!
俺っちとしては、自分がムカついたのもあるけど、そうすることが抑止力になると思ってやったんだけど、みんなには伝わらなかったみたいんなんだ。
結局それが原因で、俺っちはその後、みんなから怖がられて誰も近寄ってこなかったんだよな。ぎゃははっ!
ということで、今日はこれくらいにするぜ。
次回はいよいよ最終回だ。
じゃあ、みんな。あばよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます