はるえせんせい:きれいなひと
はるえせんせいはあしがながくて、みんなでしゃしんをとったときもいすにすわってあしをななめにしてた。しゃしんのなかのぼくは、みんなのなかでひとりだけうえをみてうつってる。いつもしろいっぽいスモックきてるけど、ぼくはひらひらしたのをくびにまいてこんいろのふくとスカートをはいてタイツはいてるほうがせんせいにはにあうとおもった。
おゆうぎかいのひ、せんせいぼくひっこしするよっていったらびっくりしてたけど、すぐちかくだよっていったらほっとしたみたいだった。おたよりちょうに、これからはかえるほうこうをまちがわないでねってかいてあった。はるえせんせいのじはまるくてかわいくてすきだ。
はるえせんせいはやさしい。ぼくのおかあさんがかぜでぐあいわるかったときに、ぼくはおかあさんがしんじゃうんじゃないかとおもって、ようちえんにいってもおともだちとあそばないで、おへやでずっとないてた。ずっとないて、おかえりのじかんになっても、みんながかえってもぼくはつくえのとこでないてた。はるえせんせいは、もうおしごとおわったはずなのに、ずっとぼくのとなりにすわっててくれて、せなかをなでてくれた。みんなかえって、ぼくだけかえってないからめいわくだとおもったけど、はるえせんせいはなにもいわないでずっといっしょにいてくれた。
おたよりちょうに、ぼくはこころがやさしいってかいてくれた。でもぼくはおかあさんがしんじゃうことがこわかったんだとおもう。
おばあちゃんがはるえせんせいのしゃしんをみて、きれいなひとだねっていったから、ぼくははるえせんせいはきれいなひとなんだってわかった。でも、おへやのオルガンのまえにすわってるはるえせんせいだけのしゃしんがどうしてぼくのいえにあったんだろう。
そつえんするときに、みんなでいばらひめのはりえをつくってようちえんにプレゼントした。おんなのこたちはみんなでたのしそうにはってたけど、ぼくはめんどくさくてやらなかった。でもはるえせんせいがいちまいでもいいからはってよっていったからぼくははなびらみたいないちまいをはった。ほんとにいちまいだけ。はったところはおぼえてないけど。
みんながしょうらいなにになるのかアンケートがあった。ひとりずつせんせいのところによばれてアンケートした。アンケートってはじめてきくことばだった。あそくんはパイロット、いとうくんはたべものやさんだって、みんながなりたいものがかみにかいてあった。パイロットはよにんくらいいた。ぼくはみんなとおなじがやで、レストランのボーイってこたえた。どうしてってはるえせんせいがきくから、ぼくがしってるおしごとのなかでいちばんかっこよさそうななまえだからっていったら、せんせいはわらってた。
はるえせんせいはけっこんして、ぼくたちといっしょにそつえんした。しょうがっこうにあがるまえにぼくははるえせんせいのおうちにおかあさんとごあいさつにいった。おっきなおかしのはこをもっていった。はるえせんせいのおとうさんとおかあさんもいた。はるえせんせいはぼくのことがいちばんおもいでにのこってるっていってくれたけど、いちばんはいいすぎだとおもった。ぼくのおかあさんがいたからそういってくれたんだとおもった。おうちにいるはるえせんせいはせんせいじゃなくてきれいなおんなのひとにみえた。
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