ほんわかねこりん

猫の手を借りた結果

　私は猫を飼ったことがないけど、猫が大好き！

　どのくらい好きかっていうとね、道端に猫がいると思わず足を止めて触（さわ）れるかな〜って試してみるくらい。お家では飼えないから。

　近くに草とか猫じゃらしとかがあったら、目の前で振ってちょっとずつ近づいてみるの。でも、なかなか成功はしないんだ。猫は警戒心が強いらしいからね。

　たまに人懐っこい猫に出会えるとラッキー。私が満足するまで撫でてしまうの。

　そんな私がね、鮮明に覚えている猫のお話をするね。

　去年のある暑い夏の日、その日は少し落ち込んでいたかもしれないの。

　お友達と喧嘩しちゃったから一人で通学路を歩いていたら、いつも通る道路沿いの家の縁側にいる猫がたまたま私に近づいてきたの！

　そっと手を伸ばしても逃げる様子もなく、むしろ私がしゃがみ込んで撫でていると足に体をすり寄せてきたの。もう、ものすごくかわいかったよ。

　毛が長い真っ白な猫だったので、足に感じたふわふわの毛の感触、手で撫でていたふわふわの毛と温かい感触は今でもはっきり覚えているよ。

　それから先も、今もその道は通るんだけどね、縁側から降りて近づいてきてくれたのはあの時一度っきりなの。

　その後、お友達とはお互いに「ごめんなさい」をして仲直りできたよ。なんだか、猫が力を貸してくれて勇気が出た気がしたよ。これが「猫の手を借りる」ってことかな。

　あの道を通って、縁側で日向ぼっこをしている猫を見るとあの日を思い出して笑顔になるんだ。きっと私が落ち込んでいるのに気がついて慰めてくれたんだよね。