第3話


 あれからも何度か4人で遊んでいた。



 その日はこうきの家に行こうという話になり、みんなでお邪魔する事に。


 こうきの家は私たちの地元から車で30分ほどの所にあるが、しんじの運転だと割と早く着いた。


 深夜だったにもかかわらず、リビングでくつろぐこうきのお父さんはいらっしゃいと言ってくれた。


「お父さん優しいね」

 私が言うと、


「確かに怒られた事ないわ」

 こうきはそう言い部屋に案内してくれた。


 こうきの部屋はとても広く、ダブルベットを置いていて、少し離れた所にソファとテレビがある。


 私たちはその時流行っていたお笑いのDVDを見る事にした。


 自然にかおりとしんじ、私とこうきで分かれていた。


 こうきはベットに入り、私を呼ぶ。


 私もこうきのベットに入り、壁際にもたれかかって座った。


 ソファではかおりとしんじが座ってくつろいでいた。


 そのうちかおりたちは自分たちの世界に入っていて、こちらの事など気にする事なくテレビの方に集中していた。


 私は今しかないと、思い切って気持ちを伝える事にした。


「ねえ、言いたい事あるんだけど」


「なに?」


「気付いてるとは思うんだけど好きなんだよね」


「あぁ、うん」

 こうきは気まずそうに言った。


「うんって、何か他に言う事ないの?」


「ちょっと考えさせて?」

 苦笑いを見せながら申し訳なさそうに言ってくる。


「嫌なの?」


「嫌じゃないけど、少し考える時間がほしい」


「わかった」


 せっかちな私は正直、は?と思ったが好きだった為待つ事にした。


 その日は結局隣で眠ったが何もなし。


 あまり積極的にするのも引かれたら最悪だから私から迫る事もしなかった。


 朝になり、かおりの家まで送ってもらって解散する。


「ねえ、こうきに告ったんだけどさ、考えさせてって言われた」


「は?何それ、あんなにラブラブなのに今更?」


「よく分からないよね?」


「てか2人で遊んだ事なくない?」


「ない」


「なんで?」


「なんでだろ、車持ってないとか?」


「いや、それはないよ?シルバーのセダン乗ってるってしんじ言ってた」


「じゃあ誘ってみようかな」


「そうしたら?てか考えさせてって何様だよ」


「意外と純粋なのかも、キス一つしてこないんだよ?」


「マジ?てっきりもうやってるのかと思ってた」


「普通そうだよね?もしかして童貞なのかな?」


「うん、有り得なくはないよね」



 数日後、私は2人で遊ぼうと誘ったが、色々と誤魔化されるように拒否された。



 その為その後も4人で頻繁に遊んでいたが、返事をもらう事もなく、痺れを切らした私はもう一度聞く事にした。


「あの話どうなったの?」


「どうって?」


 とぼけている、完全に聞かれたくないような態度だ。


「もういい」


「ごめんごめん、嘘だって!」


「いいから本当」

 

 私はだんだんと好きな気持ちが薄まっていた。


「あと一ヶ月待ってくれる?」


「一ヶ月も?!」


「うん!そしたら返事するから!」


 私は仕方なくあと一ヶ月だけ待つ事にした。


 内心希望はないと思っていた。どうせ友達じゃダメかなって言ってくるパターンだ。


 そう思っていた。

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