第2話

 ピンポンと、家のチャイムがなった。



「ん?」


 こんな遅くに誰だろうと、インターホンの画像を見ると、そこにはキャップを被り、平たい段ボールを持っている人がいる。これは、ピザ屋のデリバリーだ。


「はい?」


「あ、ピザ、キングの植原うえはらですが」


「え?」



 あたふたしながら、玄関先にいるピザ屋さん、よく見ればイケメン俳優の植原牧うえはらまきではないか、部屋に貼ってあるポスターと、見比べるが、やはり本物だ!



「また間違えたか……あのコレ貰ってくれませんか?」


  牧君がアップになる、ピザは好きだが、デリバリーが間違えたからといって、そんなことあり得るのか? 何かの撮影なのか、私は玄関のドアを開けた。



「あ、遅くにすみません、コレ貰ってくれます?」


「あ、あの、植原牧君、ですか?」


「あはは、ばれました?」


「えっ? 撮影とかですか?」


「いえ、そんなんじゃないんですけど、ま、どうぞ」



 私は渡されるがまま、ピザを受け取ると、彼は直ぐに走って行ってしまった。



「あー、サイン貰っとくんだったな」





 だが彼は翌日も、その翌日もやって来た。



「あの――――」


「もう、いいですよね、ピザ」


「はい」


「ごめんなさい、公園で見かけてから、ずっとあなたを好きでした」


「公園でって、あの別れ話?」


「はい、とても悲しそうで、僕が守ってあげなきゃと思ったんです、だから話がしたくて、わざとピザ、持って来てました、ストーカーみたいなことして、すみませんでした」


「フフ、いいよ、別に」





 私は俳優の植原牧と付き合うことにした――――

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