第7話 「戈」とはどのような武器か?


「干戈を交える」と言う言葉があります。

これは、武器を使って戦うという意味ですが、この言葉の中に「戈」と言う武器が含まれています。

では、「戈」とはどのような武器だったのでしょうか。

一言で説明することは難しいのですが、「鳶口、ピッケル」のようなもの。あるいは、「鎌」のようなもの。と言えば、形状をイメージできるでしょうか。

鳥のくちばしのような刃の部分は、非常に鋭利で、敵にたたきつけることにより、ナイフで刺したような傷を負わせることもできますし、敵の鎧などに打ち込んで、馬上や戦車から引きずり落とす。と言った使い方ができました。

この武器を主に使ったのは、戦車隊でした。

戦車といっても、現代の砲を備えた戦車のことではなく、一言で言えば馬車のことです。

春秋戦国時代、戦場で主に活躍した兵器は、戦車でした。

車に乗った兵士が弓を放ったり、長兵器を使って、敵を攻撃したりしたわけです。

この戦車で、敵に直接攻撃する場合、車の前には、馬がいますから、前方の敵に直接攻撃することは、馬が邪魔になって難しいということになります。

そのため、馬車の横にすれ違った時に薙ぎ払うような形で攻撃するのが有効ということになります。

すると、矛などで、すれ違う敵を突くことは、あまり有効ではなく、「戈」を鎌のように横なぎにする方が敵にダメージを与えるのに有効だったわけです。

戦車での戦いが頻繁に行われた春秋戦国時代は、「戈」が戦場でよく使われていました。

しかし、北方から馬に人が直接乗って戦う騎馬部隊の戦い方が伝わるようになると、戦車は廃れ、それに伴い、戦車に特化した武器とも言える「戈」も廃れました。

三国志の時代には、「戈」をメインに使っていたという武将はいなかったと見られています。

ただ、「戈」が完全に廃れたわけではなく、「矛」と「戈」を組み合わせた「戟」と呼ばれる形の武器は残っており、呂布などがこれを使っていたという描写があります。


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