第4話 関羽が使っていた武器は、「青龍偃月刀」ではない

三国志演義では、関羽が使っていた武器は、「青龍偃月刀」と呼ばれるものだったことになっています。


「青龍偃月刀」は、中国の武器の分類では、「大刀」に当たります。日本の武器で言えば、「なぎなた」に相当するものです。


長い柄の先に、中華包丁のような幅の広い片刃の刀身をつけたものです。


もちろん、刀身の形は、中華包丁のような長方形ではなく、三日月のような形をしています。


この刀身は分厚い上に幅が広いことから、かなりの重量があります。


柄と刀身を併せた長さは、2メートルから3メートルもありますし、重さも少なくとも、20キロ前後あります。もっとも重いものだと、50キロ前後もあるようです。


敵が鎧などで重装備をしていても、重みを生かしてたたき斬ることができますし、斬れなくても、強い打撃を与えることによって、敵に致命傷を与えることができる。というものでした。


関羽が使っていたとされている「青龍偃月刀」は、「大刀」の中でも最も大きく重量があるものです。


装飾性を重視したものですから、一般的には、実戦向きではなく、インテリアの他、演武や訓練などで利用されています。


「大刀」の中でより実戦的な武器としては、「眉尖刀」と呼ばれるものがあげられます。


装飾は抑え、刀身も眉のように細く、日本のなぎなたにより近い形のものです。重量も比較的軽いことから、振り回しやすいものでした。


では、関羽が実際に使っていたのは、「眉尖刀」だったのかと言うと、そうではありません。


「青龍偃月刀」、「眉尖刀」などの「大刀」が現れるのは、宋の時代ころ(960年から1279年)です。三国志の時代にはまだ登場していません。


なお、水滸伝では、関羽の子孫を称する関勝と言う武将が出てきて、「大刀」の使い手と言う設定になっていますが、これは事実のようです。(水滸伝は宋の時代の話です)


一方、関羽はどうだったのかと言うと、正史三国志には、関羽が特別な武器を使ったとの記録はありませんので、当時一般的だった「矛」などを使っていたと考えられています。


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