置き配から始まる俺のReLIFE
星色輝吏っ💤
1そこ置いといてください。
カタカタカタカタ………………。
最近はやりのPCゲー。
いじめがきっかけで不登校になり、そのままずるずるいって結局ニート生活中の俺は、別にそんなに面白いとは思わなかったが、やってる人が多いらしいのでとりあえず進めてみる。
でもそうするとだんだん飽きてくる。
小さいころはどんなゲームでも飽きずに最後までプレイ出来たのに。
……いややっぱり年齢関係なしに、昔のゲームの方が面白い気がしてならない。
せっかくやったし、レビューでも書いといてやるか。
俺はゲームを購入したサイトを開いて、評価『☆1』を選択する。
……まあ暇だし、改善点とか適当に書いとこう。何も考えずに『☆1』つけるただのクレーマーなんて思われたくないしな。
時間だけは有り余っているのだから。
カタカタカタカタ。
最近買ったゲーミングPC。ゲームはしやすかったが、慣れてないと文字が打ちづらい。
――ピーンポーン。
そんなこんなで俺がタイプミスにイライラしていると、呼び鈴が鳴った。
何か頼んだっけ。……ああそういえば、今のゲーム用のヘッドセットがぼろくなったから新しいのネット通販で買ったな。今の時代はネットでポチっとすればなんでも買えるから、物を買ったって感じしねえんだよな。
ピッ。モニターを確認する。俺の家のインターホンはモニター付きだから、モニター越しに相手の姿を見ることができる。
「はい」
『宅配便で〰〰す』
俺が応答すると、子供のような無邪気な声が聞こえてきた。
やけに元気がいい配達員だな。
数年前までなら普通に取りに行っていたが、最近は謎のウイルスが流行している。
その謎のウイルスにかかりたくない俺は、いつもドアの前に置いてもらっている。あまり人と面と向かって接触したくないというのもあるが。
「そこ置いといてください」
『えっと、犬養さんで間違いなかったですか?』
「はい」
『は〰〰い』
俺の言い方は少しぶっきらぼうだったかもしれない。さっきのタイプミスのせいだ。
しかし、モニター越しに聞こえる声は、とても元気だった。
どんな人だろう? 俺は気になってモニターをよく見てみる。
女の人……俺と同じくらいの年だろうか。珍しいな。
きっと大学生とかだろう。
まあそんなの関係ないけど。
たぶんもう会うことなんてないんだし。
『あれ?』
モニター越しに疑問の声が聞こえてくる。
どうしたんだろう。
『これ違うかなぁ? 分かんないなぁ』
「あの、すみません」
『ひっ! ひゃぁっ! ギャッ!』
俺が話しかけると、女の人が変な声を出した。
――どすん。
俺が声をかけたのにとても驚いたようで、彼女は持っていた段ボールを落としてしまう。
『あっ! すみませんびっくりして! まだ見てたなんて……』
「え、いや大丈夫です。割れ物でもないんで…………いやちょっと待ってください。それ本当に俺が頼んだものですか?」
俺は急に不安になって、彼女に問うた。
『え? あ、あの……それがわからなくて……この中にはゲーミングヘッドセット? ってのが入ってるみたいなんですけど』
「それ俺のです!」
『ほんと? よかったぁ。これで怒られな――はっ! ごめんなさいこんな話しちゃって』
「いえいえ、大丈夫ですよ」
『すいません神様ぁ。お時間取らせちゃって。ドアの前置いときますね』
いや神様って、俺のことなんだと思ってんだ。顔も見せてないのに、よくそんなこと言えるよな。
……それにしても、天然で、すごく親切で優しい子だなあ。
彼女の印象は、そんな感じだ。
と……俺がちょっとした幸福感に浸っていると、気づけば彼女は去っていた。
ピッ。俺はインターホンを切って、荷物を取りに向かう。
「また宅配頼んだら会えるかな」
そんなことを口に出しながら荷物を取ってき、俺は中に入っているヘッドセットをデスクの脇に置いた。
会う必要なんてないんだけどな、と心の中で付け足して、俺はレビューの続きを始める。
――まあ会う必要はないけど、暇だから、試してみてもいいかもな。
そう心の中で呟いてから、俺はレビューを『☆3』に変えて、ゲームの良かった点、それから改善点を書き込んだ。そして俺は、満足げに言うのだった。
「このゲーム、結構面白かったよなぁ……」
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感謝感謝です。谢谢谢谢です。
皆様尊敬尊敬してます!ありがとうございます!
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