~漫才風会話劇~『猫の手を借りた結果』
維 黎
第1話
「「はい、どうもぉぉぉぉ。よろしくお願いしまぁぁすぅぅぅ」」
「え~、今回またお呼びがかかってKACで3回目の漫才させてもらうことになったライトリードと申しますぅ。僕がライトっていいまして――」
「わいが相方のリードっていいますよって、よろしゅうしたってください」
「ちなみに僕たちのコンビ名の由来はとある小説投稿サイトをリスペクトして付けた名前ですねん」
「――まぁ、ひゃくぱー気づくやろうけどな」
「そうやんね。超有名サイトですから。小説か――」
「カクヨムやでッ! カクヨム! 自分、どこで何を言おうとしてんねんなッ!!」
「え? 何って『小説書くならカクヨムで』って言いたかったんやけど?」
「――そうか。そら、すまんかったわ」
「ところでリードさん。KACの今年のお題の傾向見てちょっと思うことがあるねん」
「ほう。また改まってなんやの」
「ちょっとマジメな雰囲気になるけどええかな?」
「あかんって言ったらどうすん?」
「どうもぉ、ありがとうござ――」
「うそうそうそ! 全然かまへん、かまへん! マジメな話ぜんぜんおっけーや! むしろマジメ以外の何を書けっちゅーねんな!」
「そう?」
「そうそう、全力でいったってくれや――で? お題がどうしたって?」
「今までのお題って短いというかシンプルなやつが多かったやん?」
「ん。ちょっとややこしいというか、難しいお題もあったけど、まぁ、イメージしやすいお題が多かったわな」
「でも今年のお題で『焼き鳥が登場する物語』とか今回の『猫の手を借りた結果』とか状況をお題にするのが出てきたやん?」
「せやなぁ。めっちゃうっと――難しいお題やな」
「僕思うねんけど、今年はKACのお題の過渡期やと思うんやわ」
「――ホンマ、マジメな話になってきたな。まぁええけど。で? 過渡期って?」
「ある時期において物事がへんか――」
「いや、過渡期の意味はええから。お題の過渡期ってどういうことって意味で進めて」
「今年からカクヨムの運営が手ぇ抜いて、お題のいくつかをユーザーから募集したやん?」
「いや、その言い方。いまのご時世、運営さんも忙しいねんって――って、なんでわいがフォローせなあかんねん。わいを巻き込まんといてくれや」
「なんや"お題噺"のKACがどんどん"大喜利"になっていくような気がしてなぁ」
「んー。でも大喜利もお題噺のうちの一つやしな。別にかまへんちゃうの?」
「せやけどなぁ。
「捻じ込んできおったな。まぁ、ええわ。――別にお笑い方向に行ってもええんちゃうの?」
「『犬も歩けば棒に当たらなかった話』とか『偶然街中で知り合いと出会って立ち話を始めたけど、実は相手の名前覚えてないことに気づいた時、田舎で中学まで一緒だった幼馴染が声をかけてきた』みたいなお題出されたらどうする?」
「――KAC引退やな」
「一番やっかいなのは写真で一噺や。『マイクロビキニ着たおっさんが交差点の真ん中で旗もって交通整理してる写真で一噺』とか出されたら、もうどうしてええかわからへん」
「いや、さすがに写真はないやろ。つかそのおっさん、轢かれてまえや」
「――KACも今回で4回目やしカクヨム自体も6周年やし。そろそろいろいろ変化もしていこうって運営さんの意図も感じるけどねぇ」
「まぁ、今年はいろいろ趣向を凝らした企画出てきたしなぁ。正直『田原総一朗で二次創作』は意味わからんかったけどな」
「アレ違いますの? ほら、テレビとかでもありますやん。故人をしのぶ――」
「生きとるっちゅーねん! 自分、怒られるで!」
「意味っていう意味では――はっ! これシャレちゃうで! 偶然やからさぶいって思わんとってな!」
「だいじょうぶや。誰も思わへんって。逆に思う方がさぶいわ」
「意味でいうと☆の数で順位決めるのもそろそろ合わへんというか、意味がないというか。そんな風に思うんやけどねぇ」
「なんでぇな。一番わかりやすくて手っ取り早いやんか」
「そうなんやけど、考えてみてぇな。今の☆の数って面白い指標やなくて読んでもらえる知り合いが多い指標になってると思わへん?」
「そういう一面もあるとは思うけど、ちゃんと面白いから☆がいっぱい付いてるのもあるやろ?」
「もちろんや。もちろんやけど、人気順に並んでる☆いっぱい付いてる作家さんてさ。フォロー数がめっちゃ多いんよ。100とか200とか。下手したら1000とかもある人おんねん」
「まぁそうやな。けどそれは読んでもらう為の一つの手段やしなぁ。カクヨムに限らず、どの投稿サイトでもやってることやろし、不正でもなんでもないまっとうな方法やで」
「うん。僕もそこはぜんぜん否定せぇへんよ。僕もそんなん当たり前のことやと思うし。youtubeと同じで見てもらわんと始まらへんからね。けどコンテストの作品評価は別やと思うんや」
「そうか?」
「はっきり言うて早くから活動してる人がめちゃくちゃ有利やん? MMORPGみたいに古参のライターの方が新規登録した人よりずっと☆もらいやすいんやから」
「それは当たり前やん? 継続してきた努力があるねんから」
「うん。そうやねんけど、それを踏まえた上でKACをこの先何年も続けていくんやったら評価方法を新しく考え直して欲しいと僕は思うねん。運営さんに」
「例えば?」
「☆の数で評価するんやったら、一人の☆の持ち点を10点とかにしてそれ以上は☆評価出来んようにするとか」
「――それやったら、知名度の高い人気の人ばっかりに☆集まって、新しい人には☆一個もつけへんちゃうか?」
「例えばの話やんか。今年から運営さんが選ぶっての無くなったやんか? それもあってよけいに思うねん、僕。☆に関係なく選ばれるっていうのがないと、知名度がないけど面白い作品って選ばれにく過ぎるし。☆がなくても選ばれる可能性を残して欲しいんやよね」
「でもなぁ。作品の数が多いから運営側も一個一個読んでる時間ないんちゃうか? それこそ猫の手も借りんとぜんぶ読まれへんで」
「お。リードさん、うまいとこで使うやんか」
「別に最初から考えてた訳ちゃうけどな。これで落ちるとはおもわんけど、ちょっと長くなり過ぎたからな」
「そやね。今回はこの辺にしといたろか」
「えらそうに言いなや」
「「どうもぉぉ! ありがとうございましたぁぁぁ」」
~漫才風会話劇~『猫の手を借りた結果』 維 黎 @yuirei
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