習作

羞渋疑阻

習作1  舞台

 どんなに有名な歌手や踊り手だろうと、初めからそうだったわけではない。たとえ今は人々の注目の中にいたとしても、過去には必ず、誰にも見向きされない日々があったはずだ。そんな中であっても”舞台”に立ち続けた者が、何か意義のあるものを掴めるのではないだろうか?

 舞台は、必ずしも誰かが見ているものである必要はない。例えそれが鏡の前でも、路上でも、自身がそこで何かを得るためにもがくなら――そこが自分の力を示す場所だと思うなら、そこはその人にとっての”舞台”となるのだ。


 ――今日も一人、自分の舞台に立つ者がいた。彼あるいは彼女の舞台は、電子の海の一角。泳ぐ人も居ぬ水底に、無名のその人は紡いだ言葉を漂わせる。いつかその言葉が、誰かに届くことを信じて……。

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