序章 小さな約束
妖と呼ばれる人ならざる
だが、視たこともない妖よりも、思い通りにならないからと沙夜に暴力を
けれど、その術も
「──俺が、視えるのか」
その生き物は以前、
妖に
「
ぶっきらぼうに告げられた言葉に対し、沙夜はふるふると首を横に振った。
「あなたは小さいから怖くないよ。それに私を心配してくれるから、
沙夜の言葉に、妖は目を大きく見開いた。その瞳が
妖はどうやら
沙夜は着ていた
「
自分よりも小さくて
その日から、沙夜は屋敷に迷い込んで来た妖を「
父に痛いことをされた時や怖い言葉を言われた後は必ず、玄が右脚で優しく
玄がいなければ、きっと自分は消えてしまっていた。そう思える
けれど、怪我が治った玄は、ずっとここに居ることは出来ないと心苦しそうに言った。彼は妖だから、妖の世界で生きなければならない、と。
それでも、玄と
「玄だけは、どこにも行かないで。私を一人にしないで……。私、玄とずっと
自分の望みを持ってはならないと父に命じられていたのに、玄へと願ってしまった。幼い沙夜にとって、玄だけが心の支えだった。
すると玄は何かを決心したのか、
「数年だけ、待って欲しい。必ず、沙夜を──」
心にじんわりとしみ込んでいく、
希望を持てない日々の中で、その約束は沙夜にとって
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