5.伊達君と下着を売るぞ!
結局、私は伊達君に押し切られちゃった。「店長はこの店の売り上げを伸ばしたくないんですか?」って言われると、逆らえなくなっちゃって・・そしてね、私も伊達君と同じメイド服を着て・・竹の籠を背負って・・籠の中には明日のバーゲン品の下着を入れて・・駅前のショッピングモールに出かけたのよ。
しっかし、メイド服って恥ずかしいわね。モールの中に入ると、みんなの視線が私たちに集中するのが分かった。たちまち、私たちの周りに人だかりができたのよ。私、恥ずかしくて真っ赤になっちゃった。
すると、伊達君が大きな声を出したの。
「さあ、皆さん、女性下着は如何ですか? 僕にじゃんけんで勝ったら、この籠の中のお好きな下着を一つ差し上げます。だけど、僕にじゃんけんで負けたら、この籠の中の下着を一つ買ってください」
ちょっと、伊達君。なんてことを言うのよ・・
するとね、私たちを取り巻いている群衆の中から一人の男性が歩み出たの。中年のおじさんだ。おじさんが伊達君に言った。
「兄ちゃん。勝ったらホントに下着をくれるの?」
「ええ、差し上げます」
おじさんの眼が輝いた。
「よし、じゃあ勝負だ」
おじさんが伊達君の前に立ったの。そしたら、伊達君が言ったのよ。
「最初はグー。じゃんけんポン」
おじさんがパーで、伊達君がチョキ。やったあ、伊達君の勝ちよ。
「くそ~、負けたア」
おじさんはそう言ったけど、少しも悔しそうではなかったの。そして、私のところにやって来るとこう言ったの。
「姉ちゃん。下着買うから背中の籠を見せて」
私は籠を降ろして、おじさんに見せたの。すると、おじさんが5,000円のショーツを買ってくれた!
私が驚いて伊達君を見ると、もう次の人とじゃんけんを始めていた。お相手はまた中年のおじさんだ。
「最初はグー・・じゃんけんポン・・あいこでポン」
おじさんがパーで、伊達君がチョキ。
「くそ~、負けたア」
そう言って、おじさんは私のところにやってきたの。何故か、うれしそう・・
こうして、伊達君はじゃんけんを繰り返したの。お相手は、中には女性もいたけど・・ほとんどが男性。そして、じゃんけんは、ほとんど伊達君が勝ったの。
そしてね、伊達君はお店の一週間分をそのモールで売り上げてしまったの。
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