この無職、異世界で有能過ぎる!
黒須
1章 異世界転移
第1話 プロローグ 〜将来への不安〜
一人暮らしのアパートで俺は朝からモニターに釘付けになっていた。
なになに『女とエッチしてレベルアップ♡Mr.無責任種付おじさん』
ちっ、ふざけたタイトルだ。どれどれ……。
生意気女騎士が『んっほおおおお!♡』
高飛車大聖女が『んっほおおおお!♡』
メスガキ王女が『んっほおおおお!♡』
ざんけんなッ!!たく、けしからん小説だな。取りあえず続きを読もう……。
チッチッチッチッチッチッ
時間を忘れ没頭しているとスマホのアラームが鳴った。
バイトの時間だ。はぁーだるいなぁー、行きたくない。
◇
バイト帰り、俺は何となく河原の土手に寄ってベンチに座った。
それから、ぼんやりと景色を眺め、気が付けば夕日を浴びていた。
バイト……、最近クレーマーが多い。もう辞めたいよ。
家に帰ってもエロ漫画を読むか、ゲームするか、ウェブ小説を読むだけだ。
――――俺はこれからどうしよう。
そんなことをずっと考えていた。
大学受験に失敗して浪人するも、一年間バイトばかりした。
結果、今年の受験も失敗した。
来年は受ける気にならない。
そもそも勉強が嫌いで、楽な方に流される性格では救いようがない。
加えて、将来の目標が無いから努力する気が起きない。
いや、言い訳はやめよう。
俺はやりたくないことから逃げる、ただのダメ人間なのだ。
そう言って諦められれば楽なのだが、今すぐに何かをしなければ、待っているのは悲惨な人生なのだろう。
中学生くらいまでは、将来は何にでもなれると思っていた。けれど、成人した俺はアルバイトで生計を立てるフリーターだ。
今年の受験に失敗した時、母親から『将来はホームレスにでもなるの?』と言われたことが、今も胸に響いている。
実家は田舎で小さなスーパーを経営している。子供の頃から親父が苦労している姿をずっと見てきた。
だから『こんな仕事はやりたくない。絶対に店は継がない』と生意気なことを言って、実家を出て一年半が過ぎた。
そして結果がこれ。
「はぁー……、 アイ アム ダメ ニンゲン」
視線を落とし、キラキラ光る水面を眺めながら、変な発音で独り言を呟いた。
すると、視界がゆっくりと白けていく。
「えっ? えっ? はぁ??」
そして、俺の周囲は川原の土手ではなく、全てが真っ白で自分の影すら無い謎の空間になった。
体が宙に浮いているような感覚だ。重力を感じない。
どっちが上で、下なのかわからない。
けれど感覚だけは、はっきりとしていて、これが夢でないことはわかる。
「なんだよ、これ?」
訳がわからない。
もしかして俺、UFOに拐われちゃった?www、なんて楽観的に考えているとソイツは現れた。
何処から来たのか、いつ現れたのか全く分からなかった。
ただいきなり、ソイツはそこにいたのだ。
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