お猫様と一緒
るるあ
本編
「下僕よ!さぁ、刮目せよ!」
「ごーしゅーじんさまー!!!」
我は、僕、にゃー、ワタシたち、やり遂げましたー!!と、大合唱。
にゃおーん!!!
「あ、あはは…ご苦労様でした…」
猫による、猫のための国、爆☆誕!
yeah〜!!!にゃっふぅ〜♪♪
…どうしてこうなった?
☆★☆☆☆☆☆☆★☆★☆
アプリゲーム『おぬこ様と
…フザケた名前ではあるが、知る人ぞ知るやりこみ育成ゲームである。
様々な猫を愛しすぎた?開発陣により、グラフィックタイプはリアルなもの、2次元ファンシーキャラクターのもの、擬人化のものの三種類から選べる。
また、膨大なデータを基にしている為、猫からの様々なリアクションを楽しめ、自分好みのお猫様を育成できる。
そして追加コンテンツを購入すれば、成猫になった自分のキャラクターと、一緒に生活ができるという。
そのストーリーモードも、色々なフラグにより選択可能になる予定とのこと。
“あらゆる猫好きに、おぬこ様との人生を”
がテーマになっている。
欝と診断され、会社を休職していた私は、何もせずに暗い部屋で、ただ、生きているだけだった。
そんな私を心配して、友人はのめり込んでいるこのゲームに招待してくれた。
彼女は言っていた、ゲームは貴方を裏切らない。おぬこ様は神だ、と。
「うーん、分かる…」
そう、私は、彼女の言っていたことが良ぉーく、わかるようになるレベルで、このゲームにハマった。
なぜなら、ここには、結婚出産を強いる寄生親も、無理難題を言うお客様も、頼りにならない営業も、微妙にセクハラしてくる上司も居ないのだ!!
ただただ、可愛らしいだけが溢れているのだ…。仔猫…いや、おぬこ様は、どん底の私をお救い下さった、神だ。
私は金茶色の、お耳の垂れた可愛いおぬこ様をお育てし、やんちゃさがチャームポイントな、可愛らしいお嬢様に育て上げた。
しかし、さらなる高みに登って頂く為には…そう、課金だ!!
正直、今の暮らしから費用を捻出となると厳しいが、社畜の貯金でなんとかなる!
課金という貢物で様々な環境を整え、ご経験を積まれたうちのお姫様は、成長度MAXボーナスにより、なんとリアル猫でありながら人化のスキルをご習得なされたのだ!流石お嬢様!!
姫を一人前にお育てした事は、何者にも変え難い経験であった。素晴らしいエンディングで、ツンな姫様が私めに、最高の笑顔をお与え下さった!感無量である。
…そして私は、心も資金も燃え尽きてしまった。
しかし、姫様と、このままお別れでいいのか?…否!私はまだまだ、おぬこ様と共に生きたい!!
私は、追加コンテンツ購入をタップ、すぐさま社会復帰する事にした。
休職を切り上げ、会社へ行く事に恐怖がなかったとは言えない。しかし、私は姫を養わねばならないのだ!!
使えない営業はむしろこき使い、セクハラ上司はサクッと本社へ告発メールを送り、お客様には天然を装ってやり返す技術を身に着けた。
クズ親?知らない子ですね。
うん?昇進?定時に帰れない仕事はお断りさせていただきます。
そう、全てはお嬢様へと続く道…
今ならなんだって出来る気がする!!
☆★☆★☆☆☆☆☆☆★☆★
そういえば、いつ寝たり食事したかは全く記憶にない。
辛い時に拝聴した、お嬢様の
「なーぅん?にゃーぅん?」
「下僕よ、どうした?」
だったら何時でも脳内再生可能だかな!!
※追加オプション、音声自由変更購入済。
確かにね、姫様と理想の国を興すお話をした記憶はありますね。
姫に傅く従者を増やし(ちゅー○をばら撒く課金で集めると忠誠度酷い)、お住まいの拡大計画を立て、信仰を集める像のデザインを考え…(像は姫様と私の二体!?辞めろください)、他にも遊びの場を設けて…。
姫様の国…夢が広がる…!
残念ながらその後、会社の繁忙期が重なって、しばらくアクセスできず血の涙な日々でしたね。
そう、十連勤を乗り越えて、家で布団に倒れ込んだ所までは憶えております。
目覚めたら、身体に違和感。
良く見える。良く聞こえる。体が軽い…っていうか小さい?
頭の上に、ケモミミ?私こんなに毛深くなかったような…?
「げーぼーくー!!目が覚めたかっ!」
「がはっ!」
姫様が、ベッドの私の上にジャンピング・ライドオン!!からのー、ザリザリの舌で顔をべろり。
…べろり?
「にゃーんにゃやににゃーんにゃうぐるくるぐるぅ〜♪」
※そなたが居ない間、ワタクシのワルキューレ達が、やってくれたのだ!
「…はい?」
ワルキューレって、姫の熱狂的な従者集団だったかな?
「にゃーん、にゃうーんぐるるるにゃ〜、にぁ〜ん、にゃ〜ん…!にゃっ!」
※勿論、ワタクシも大好きなそなたの信仰度は完璧に〜、なってるんじゃないかな〜と、思うのだ…!うん!
「ぅい?」
都合の悪いときは、間延びした話し方になる姫様の尊さありがとうございます。…じゃなくて、えーっと、信仰度?私の?姫様ではなく?
ちょっと理解に苦しんでたら、この部屋の扉がバダーンと大音量で開いて、大小お猫様ケモミミさん達がなだれ込んできた。
「ものども、かかれ!《にゃーぃ、にゃうぅ!》」
姫様の号令を聞くや、任せろとばかりにお猫様達が私を担いでえっちらおっちらにゃーにゃーにゃー。
あれだ、ステージからダイブした時のやつ。全く経験ないけど。(現実逃避)
混乱しながら着いたのは、見晴らしのいいバルコニー?
ここ、どんな建物なんだ…城?
「さぁ見よ下僕!ここが私達の勝ち取った桃源郷だ!!」
眼下には、無数のキャットタワーが要塞のように立ち並んでいた。
…ケモミミをつけた私の巨大木像と共に。
「…?」
何も言えねぇ、っていつ使うの?
今でしょ!
その後、どうやらこのゲームの中?に生きてるらしい私は、ここで姫様と従者集団という、尊いおぬこ様達と楽しく暮らして行くのであった。
でも姫様、祭り上げられるのが私だけってキツイです…
お猫様と一緒 るるあ @ayan7944
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