猫の手も借りたい状況下で猫の手を借りた結果の検証

大黒天半太

猫の手も借りたい状況下で猫の手を借りた結果の検証

ハルゼー商会 東部統括事業本部付き 準一級業務改善診断魔法士・伊庭真延(二級分析魔法士、二級情報魔法士、準一級召喚士)第3四半期業務改善検討報告書


【1】猫の手も借りたい状況とは何か?


事例A:とにかく人手が足りず、満足のいく成果が出せない。

事例B:とにかく人手が足りず、今は成果を出せているが、その状態を維持困難で破綻の恐れあり。

事例C:とにかく人手が足りず、成果は出ているが、さらに大きな成果を出せる機会を失う可能性が大きい。

事例D:単なる忙しさ自慢、業績自慢。


 A及びBの事例は、早急な判断を要する。

 恒久的な人員不足は人事上の判断の誤りで、特に成果を出せていないA事例はリーダーの入れ換えを含め、配置のてこ入れが必要である。

 B事例も良好な成績を維持させるためには、人員の追加が必要だが、事業全体の内、派遣や臨時雇い等の作業要員だけで良いのか、正規職も要するのか、内容によっては、事業継続も含めた業務計画の見直しも必要と推察する。

 C事例も、B事例に準じ、必要とされる人員と、期待される成果について、コスト面での検討を要する。現状維持か規模拡大かのメリットデメリットの整理が必要と思われる。

 D事例は放置可。ただし、ワンマンなリーダーのモチベーションが下がると、てきめんに業績が下がることがあるので、適当な相槌とヨイショは不可欠。



【2】そのような状況下で、猫の手とは何か?


対策A:猫の手でもと言いながら、一定のスキルと経験を備えた正規職による配置が必要。

対策B:主要メンバーで基幹部分は回し、単純な作業部分を指示に従って量的にこなせる人員が必要。派遣、臨時雇い、ゾンビー、ゴーレム、オートマタ、でも可。

対策C:猫は流石にダメだが、ケット・シーなら可。

対策D:猫の手で可。


 いずれの対策の適用も、事例の問題点に適合するか、業務改善診断魔法士(二級以上が望ましい)による分析と必要性の判定を前提とする。



【3】猫の手を借りた結果はどうか?


検証:【1】A、B、Cの各事例に、業務改善診断魔法士(二級以上)を配置して必要性を判定の上、状況に応じた規模の【2】A、Bの対策を実施。いずれも大幅な改善と安定が見られた。

 対策Bにおいて、派遣と臨時雇いはスキルや経験の有無で個人差が大きい。ゾンビーは不評。スケルトンゴーレム、フレッシュゴーレムも同様で、ウッドゴーレムとストーンゴーレムに苦情は少ない。オートマタは安定して好評。

 しかしながら、いわゆる「猫の手を借りた」状態であるので、取締役会レベルでの抜本的かつ長期的な判断での事業計画の見直しが望ましい。


 ちなみに、事例【1】Dへの、対策【2】Cケット・シーの導入であるが、プロジェクト・リーダーからは「誰がホントに『猫の手』貸してくれって言ったよ!いや、言ったのは俺だけど、言い回しだろ、言い回し!」と逆ギレされたが、プロジェクト・メンバーからは「ケット・シー、癒される」と好評で、リラックス効果で作業効率が最終的に12%向上したことを報告する。

 なお、業務改善診断魔法士が同席していたことで、プロジェクト・メンバーからパワハラ及びセクハラの告発があり、後日、プロジェクト・リーダーは更迭され、プロジェクトの作業効率は更にプラス5%の向上があったことを申し添える。


【4】補足


 言わずもがなだが、対策【2】Dは冗談である。猫は撫でて癒されるもの。

 そもそも、前肢はあっても、猫に手は無い。


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