よくよく考えたら怖い話
風見☆渚
一人暮らしで本当にあったら怖い話
――ガチャッ
「はぁー疲れた。あのクソ係長、なんであんなに偉そうなんだよ。
面倒な仕事だけじゃなく、自分のクレームも処理させるとかマジでありえない。」
東京で働くようになってもう何年だろう。
そういえば、ずっと実家に帰ってないなぁ。
しかも、帰って寝るだけの一人暮らしも当たり前になってきたなぁ。
寂しいような、気楽なような。
なんともなんとも。
都会の一人暮らし。
聞こえは良いけど、思っている以上に地味で色気なんかなんにもない。
そもそも一人暮らしなんだから、誰かに気を使うわけでもない気ままな生活。
でも、元彼女が自殺とかマジないわーーー。
しかも最後はストーカーに変貌とか、マジで勘弁だった。
はぁ~・・・何でだろう。
疲れてるのかな。
なんか、イヤなこと思い出した。
風呂でも入ってさっさと寝るか。
明日も早いし。
―― ジャー・・・
プシュッ!
ごくっごくっごくっごくっ!
ぷっはーーー!
この1杯はやめられないね。
仕事からの開放感。
そして、風呂でさっぱりからのぉ~この1杯。
Toutubeでも見て気分転換♪
「ぽちぽちっと。ふふ♪
ごくっごくっごくっ」
「はい、手紙だよ。」
「ありがと。誰からだろ?」
“愛するあなたへ
あたなの存在は尊く、あなたは私のヒーロー。
あなたは、私だけのヒーロー。
あなたの存在は愛おしく、ずっと一緒にいたい。
それだけが、私の小さな願いです。”
「ナニ・・・コレ?」
“いつも忙しいあなただけど、こんな私の為に時々作ってくれたナポリタンは本当に美味しかった。料理は得意じゃないと言って苦笑いするあなたの表情が忘れられない。
どんなに私が困らせても優しくしてくれるあなたは、私のヒーロー。
私だけの、ヒーロー”
「え?・・・コレって・・・」
“今はあなたと一緒に居られないのが本当に残念。
でも、安心して。もうすぐ。
もうすぐでずっと一緒に居られるからね。
愛してる。だから待っていてね。
あなたを世界で一番愛する 可憐より ”
「・・・・・・可憐って・・・
あいつは2年前に死んだんじゃ・・・」
ガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッ!!!
鍵のかかった玄関のドアが、勢いよく開けられようとしている。
「っ!
無理無理無理無理無理無理!!」
ガチャッガチャッガチャッ・・・・・・ガチャッ
あまりに驚きすぎて、手に持っていた缶ビールを床にこぼしてしまったこともわからないまま恐怖に震えていると、玄関から迫るように聞こえてくるドアノブを破壊しそうな程に軋む音がピタリと止んだ。
恐る恐る、ドアノブの穴から外を覗く。
が、誰も居ない。
「っはーーーーーぁ・・・・・・」
力が抜けてしまい、ドアに背を擦りつけながら玄関に座り込んだ瞬間
ガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッ
「っーーーーーーーー!!」
―――
さっきまでの恐怖を誘う音がピタリと止んだ。
強く閉じたまぶたを開くと、カーテンをし忘れていた窓の隙間から朝陽が差し込んでいる。
眩しさと寝ぼけたまぶたで上手く目が開けられない。
「はぁーーーーー
夢かぁ~・・・。」
「はい、コーヒー入れてあるよ。」
「ありがと。
怖い夢のせいか、パンツまで汗でべったりだ。
なんか気持ち悪い。
まだ時間あるし、シャワー浴びてから仕事に行くか。」
お気づきになられただろうか。
このお話の、どこがホラーなのか・・・・・・
よくよく考えたら怖い話 風見☆渚 @kazami_nagisa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます