第23話
「ふむ。なんか彼女の視線が厳しいのだけど、私は何かしただろうか?」
「……だって、先に彼女は
「フリだなんて。彼女が勘違いしているようだから、訂正しなかっただけだよ」
「ソレが性格悪いんだってば」
悪びれた様子を見せぬ
そんなわけで俺達がいる場所はジェンガをモチーフにした建物(と、俺が勝手に思っている)の中にある広間だった。
壁のない吹き抜けた場所は、特訓をするのに丁度いいらしい。
タイル張りの部屋は妙に近代的……というか、未来的だ。俺が予想していた未来はこんな感じだったのにな……。
なんで、中世に戻っているのだろう。
「それで、特訓て何をするんですか?」
「それはねぇ……。イムさん。お願いするの!」
素子さんは天上に向けて声を出す。すると、ドサドサと上から無数の本が落下してきた。そのうちの一冊を手に持ち、素子さんは言う。
「能力の使い方を広げるべく、過去の創作物を見て貰うの」
「は、はぁ……?」
思いもよらぬ特訓の内容。
俺からすればそれはご褒美と云ってもいい内容だった。
「あ、因みに映像もあるから、そっちがいい人は僕に声を掛けてよね」
天上から顔を覗かせたイムさん。
どうやら、これらの漫画はイムさんのコレクションらしい。散らばる漫画を選別するようにしゃがんでいた
「本を読むだけでいいなら、私は自分の持っている
「まあ、そうだよな」
「それは……馬鹿の考え方なの」
そんな考えを持つ俺達に、ぴしゃりと素子さん。
「自分で選んだモノだけを見ただけじゃ……視界は広がらないの。むしろ、自分の能力を縛ることになるの」
素子さんも俺達と同じような特訓をするつもりなのだろう。
彼女が手に取ったのはアフロが主人公のギャグバトル漫画だった。あ、それ俺でも知ってるぞ。伝説のギャグ漫画として有名だったヤツだ。
ニヤニヤと笑いながら読み始めた素子さん。
「ま、特訓って、思ってたよりも楽そうだから……いいか」
俺も落ちている漫画から面白そうな表紙を手に取り読み始める。残念ながら、その漫画の中には『時間を操るキャラクター』は出てこなかった。
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