クラスメイト

キザなRye

第1話

 「パパ、助けて。」



 私は毎日楽しく学校に通う女子高校生、のはずだった。あるときから教室に私の居場所はなくなっていた。何でだろうか。理由は私には分からなかった。

 それまではクラスの全員と仲良く出来ていたとまでは言わないものの、ある程度クラスメイトとは話すくらいだった。片手で収まるくらいの人とは四六時中一緒にいるくらい仲良くしていた。

 しかし、ある日を境にそんな日常は失われて急に真っ暗な生活を強いられるようになった。変化の前後で何があったのか私ですら想像が付かなかった。私が何をやらかしてしまったのだろうかと考えに考えたが自分を納得させられるような結論を導き出すことはできなかった。

 それ以後、自分という殻に身を縮こまらせて家に帰ってからは自室に閉じ籠って泣くというような日々を送るようになっていた。誰にも私が悩んでいることを知られたくなかった。こうなってしまった原因はひとえに私にあるのだと思っていたから周りに余計な迷惑はかけたくないと私の内なる私に言われた。

 そんな私の様子に家族は気付いていた。さすが家族と言ったところだろうか。私の悩みを聞こうと父が私の元に派遣された。

「最近、見てて元気がないように見えるんだけどどうしたんだ。これじゃあ、夜しか眠れないよ。」

「夜しか眠れないなら問題ないでしょ。」

「これが寝られなくなる前に吐き出しちゃおう。」

「えー。」

「話しにくいならママにでも良いぞ。」

段々とペースを持っていかれてしまう。多分最初のボケで一気に空気をアウェーにされている。ここまで来ると一部始終ではなくて最初から最後まできちんと話をせざるを得なくなってくる。

「実は最近、クラスで私の居場所がなくなってきてるの。今までは全然そんなことなかったんだけど、急に……。」

「クラスメイトと話すのが難しいような状況ってこと?」

「うん。」

凄く親身に話を聞いてくれる。これなら完全に頼っても良いかなと思えた。

「パパ、助けて。」

「任せろ。」

 そこから事が進むのは早かった。私を違う学校に転校させてくれた。

「別の学校に行っても同じようなことが起こっちゃうかもしれないけど少しでも過ごしやすい生活が出来ることを望んでいるから。」

 その後の学校ではクラスメイトとは仲良く過ごすことができた。本当に父の行動力に救われた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クラスメイト キザなRye @yosukew1616

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説