第29話 相思相愛 そうしそうあい

相思相愛 そうしそうあい

 男女がお互いのことを慕い、愛し合っていること。または、互いに必要とし合っている関係のこと



 カグラは呼吸や瞑想の目的と方法をユキから教えられていたようですんなり入る。4人で手を結び瞑想に入る。カグラの深層へも水を灌ぐ感覚で入り込む。ユキやイブキとはまったく違う共鳴を示した。水は注げば注ぐだけ入っていった。それだけではない。カグラ越しにイブキにも繋がる。4人が繋がる。根源力がイブキやユキにも海に川が流れ込むように入れることができた。4人で循環できた。もう俺が手助けしなくても大丈夫だろう。


 第三階層に入る。俺とユキ、イブキとカグラで意識を繋ぎ、ボスエリアに向かう。ユキとイブキは瞬移を習得済みだが、カグラはまだだ。カグラはイブキが背負っていく。


『ぎゃー!密着すんな、密着!昨日言ったやろがい!ノーブラは罪じゃ!罪!』


『ごめんイブキ』


『ギャー!なにあたいの背中で背を起こしとんねん、股間が、股間が当たっとるやないか!』


『ごめんイブキ』


『ギャー!!しっぽ、しっぽが・・・・・』


 ボスエリアに高速移動する。

 イブキとカグラは二人で城の正面から攻め入る。イブキが戦闘、カグラは邪魔にならない程度に付いていき、イブキの動きを観察している。

 戦闘になれば集中するイブキの動きは普通の者の目では追えない。しかしカグラには見えているようだ。また、周囲に感覚を張り巡らせているイブキに過干渉せず、次の動きを読めているように見える。

 ボス部屋の扉を開ける。カーゴイル2体。石から赤、青の2体が出てきたが、ブレスがこない、カーゴイルが一瞬戸惑った。その隙を見逃さず、薙刀で赤の首を落とし、青の胸には槍が刺さっている。


「あれはカグラの技か」


『そうです。彼は八識だけではなく、このダンジョンの魔物程度の魔法であれば打ち消すことができる能力、空間支配があります。このレベルの魔物ではカグラの術を越えられません』


 今のイブキが近接戦闘では遅れをとることはなく、遠距離からの未知の魔法が最も危ない。カグラとのコンビはいいかもしれない。意識での意思疎通は頻繁に行っているようだ。


 帰還する。明日からはイブキとカグラの二人でダンジョンアタックしてもらう。大丈夫だろう。三日でイブキとカグラは二人の闘い方を調整し、三日後ここで落ち合う。俺はその間、別の部屋で過ごし、イブキはカグラと一緒に過ごす、と話した。


『兄さん!兄さん!兄さん!そりゃなしですよ、うら若くか弱い妹が若い男?女?と二人っきりって、しかも札付きの変態っすよ、手を変え、足変え、尻尾変え、合計6本で手籠めですよ、手籠め!合計6本って何言わしとんねん、カグラ!』


『6本で合っているよ。僕は手が二本、足が二本、尻尾と』


『が――――!何説明しとんねん。わかっとるわ!』


『しかも、兄さん、瞑想鍛錬までカグラと二人でって、姉さんからいただいた静寂な浄化された私の精神、兄さんのすべてを包んでくれる癒しの光が降り注ぐ私の精神に、妄想と欲望にまみれ、涎を垂らし、隙あらばうひょうひょって、魔物世界と繋がるんですよ、蹂躙ですよ、風塵の灯っすよ、』


『僕は涎をたらさないよ』


『例えやろがい!』


『兄さん!生まれてこの方手をとって、山あり谷あり乗り越えて、父と母の背を追い求め、心も体も一心同体、毎日背中を流し合う、愛しいイブキよ、離すまじって言ってください!私をみなはさないで!兄さん!』


『じゃあ、僕がイブキの背中ながすよ』


『が―――!何回がーって言わしてんねん!言うにしてもそこかー!!!』


 二人の息はぴったりのようだ。まだギャーギャー言いながら二人は俺の部屋に戻った。俺はユキの部屋で一緒に過ごす。

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