その救いは突然に
陰陽由実
その救いは突然に
いつからか暗い世界にいた
どこまでも続いている
端など存在しないと錯覚してしまいそうなほど
暗い暗い世界
暗いだけならばよかった
闇に紛れて
たくさんの障害や
罠が仕掛けられていた
私を嫌う子もいた
私をいじめる子もいた
私には抗うだけの力も
勇気も
思考も
何もなかった
何も持ってはいなかった
ただただ孤独に耐え
丸くなって固くなって
じいっと耐えるばかりでいた
そんなところへ
ひとつのちいさな火種がぽとりと
ちいさな音を立てて
ちいさな言葉を携えて
私のもとに落ちてきた
ちいさな火種はあっという間に
私の周りを優しく覆い
照らし包んだ
驚いた私はつい、あたりを見渡した
なんて広い世界だろうか
なんてさまざまなもので溢れているだろうか
なんて、なんて
なんでこんなところで立ち止まっていたのだろうか
私は試しに立ち上がって
少しだけ、一歩だけを踏み出してみた
私の周りを包んでいた光は私に沿って
ふわっ、と
まだ見えていなかった世界を照らした
なんて楽しいの
走っているはずなのに
早く次の一歩を踏み出したくてたまらない
障害や罠なんて知らない
いじめっ子に怯える必要もないんだ
やりたいように、生きていいんだ
私の世界を変えてくれた言葉
私を救ってくれたストーリー
ヒーローとの出会いのような
物語に感謝を
その救いは突然に 陰陽由実 @tukisizukusakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます