第4話 家での様子①
とりあえず新妻、もとい俺の嫁の悠里にカバンを渡すことなく台所に入っていく。
なんで荷物を渡さなかったって?
そんなの私の重い荷物を悠里みたいな可愛い子に持たせられるわけないじゃない。
「美佳?みーかー?」
「うん?」
「あーん」
「あーん」
「美味しい?」
「美味しいよ」
わかったかー。
席について少しボーッとしていると私にゆっくりとあーんをしてくれる悠里にカバンなんてものを持たせられないっていうことを。
そしていつも変わらない美味しさのガトーショコラ……
私が男ならと思ったことは一度や二度じゃないのに。
そう、私は昔から三人のことが大好きだった。
そして私はそんな大好きな三人ともっと時間を作りたくて勉強も運動もそれなりにできるようにした。
そう思っていたら今度は優秀になりすぎちゃって……
そんなときに色々悩みをもった。
できすぎたことで一人になってしまったのだ。
そのとき出会ったのがアニメなどといったオタクと呼ばれる文化だった。
そして私はいつもとことんやる性格だったのかどっぷりとハマってしまい。
今では残念な頭の中と優秀な外面が分けてあるというものになっていた。
という私のちょっとした回想を頭の隅に追いやって、コーヒーを飲みながらゆっくりとガトーショコラを食べる。
その一つ一つの動作が綺麗な動作に見えていることを美佳本人は実は気づいていなかった。
私が何も考えずに優雅に食べてそれを三人が見よう見まねで真似をするという、私が気づいていな出来事が行われながらも時間は過ぎていって。
「ただいまー。」
玄関から伯母さんが仕事から帰ってきた声がする。
もう、そんな時間なんだ。
よし、ここは私が人肌脱ぎますか。
「じゃ、今晩は私が晩ご飯作るね。」
「え、美佳が?」
「いいの?」
「美佳おねえちゃんの料理食べたーい。」
「うん、任せなさい。」
腕まくりをする仕草をして、台所に向かった。
ここで言っておくのだけど、基本的に成績がよくなんでもできる人は料理が何故か苦手ということがよく小説ででてくるのだけど、そんなことは普通はなくて料理は回数を重ねるごとに上達するものだ。
それに家では一人っ子ということもあって、ご飯を自分で作って食べていたなんてこともあったからだ。
冷蔵庫の中身から今日はハンバーグを作ることに決めて、準備していく。
ちなみに付け合せはバターコーン炒めとインゲン、そして人参。
お汁ものはお味噌汁を用意してっと。
手際よく料理をしていると、こちらに近寄ってくる人を感じる。
「ごめんなさい美佳ちゃん。料理してもらっちゃって」
慌てて近寄ってきたのは伯母さんで、どうやら先ほどまで自室にあるマッサージチェアに座っていたのか服が多少はだけているのは仕方ないとして、私のお母さんもそうだけど、なんでこんなに若いのだろうとついつい姿を見て思ってしまった。
特に胸元からチラリと見えるブラとかね。
ついついチラリズムという言葉を開発した人は天才なのだと感心してしまうくらいだ。
また、中身がおっさになっているなと思われるが、実際にそうなのだから仕方ない。
言い訳のしようがないというやつだ。
そんな変なことを考えながらも料理を確実に作り、伯母さんには笑いかけながら。
「大丈夫ですよ。私料理好きですから。」
そう完璧な表の表情でそう言ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます