第453話 僕と宇宙と三角チーズ
未来のカフェテリア。ダイラはタイムスリップの影響で、どこかの時代のクワヤマダくんとその友人たちの会話を聞いている。テーブルの上にはラーメンどんぶりと、三角形のチーズが置かれている。
クワヤマダくんが三角チーズを指で弄びながら言った。
「そういえば、この前ダイラが『宇宙を表現する!』とか言って、三角形の鉄板を繋ぎまくったオブジェ作ってたんだよな。」
学生Aが興味津々に聞き返す。
「三角形の鉄板?それで宇宙?なんで三角?」
ダイラ(聞き耳を立てながら苦笑)
「おいおい、そこ聞かれるのかよ。でもまあ、いい質問だ。」
クワヤマダくんはチーズをかじりながら、話を続けた。
「最初は三角チーズ見て思いついたらしいよ。『三角形は宇宙の基本形だ!』とか言い出してさ。」
学生Bが笑いながら答える。
「宇宙の基本形がチーズって……それ、ただお腹空いてたんじゃないの?」
ダイラ(内心憤慨)
「いやいや、チーズは関係ない!三角形はもっと深い意味があるんだよ!」
クワヤマダくんは箸を置き、真面目な顔をした。
「でもな、ダイラはその三角鉄板に無数の穴を開けたんだ。それを光で照らすと、天井や壁に星みたいな模様が映る。アレを見たときは正直、『おおっ』ってなった。」
学生Cが感心したように言った。
「へえ、それは確かに面白いね。なんで穴を開けたんだろう?」
クワヤマダくんは肩をすくめた。
「『宇宙は無数の空間とつながりでできてる』とか何とか。鉄板の穴を通して、その空間を表現したかったんだと。」
ダイラ(少し嬉しそうに心の中でうなずく)
「そう、それが俺の言いたかったこと!」
学生Aがさらに聞いた。
「でも、なんで鉄板でやろうと思ったの?普通、キャンバスとかに絵を描けばいいじゃん。」
クワヤマダくんはチーズを手に取り、くるくる回しながら言った。
「さあな。ただダイラ曰く、『鉄は地球の中から生まれた素材で、三角形は宇宙の基本形。それを繋げることで人間が宇宙と地球を繋ぐ存在だって表現したかった』とか言ってたけど、俺はそのときチーズが食べたくなっただけだな。」
ダイラ(ついに我慢の限界)
「おい!三角チーズは関係ない!もっと深い話をしてるんだよ!」
突然の声に驚き、学生たちがキョロキョロする中、クワヤマダくんは冷静にラーメンを啜りながら言った。
「あ、やっぱりダイラがタイムスリップしてきたな。」
姿を見せたダイラは、鉄板の穴から差し込む光がいかに宇宙そのものを感じさせるかを熱弁する。
「宇宙は形のないようで形がある。無数の星も、つながりも、全部人間の目が捉えたイメージなんだ。そのイメージを三角形と鉄板で表現したかったんだよ!」
学生たちは真剣に聞き入っていたが、クワヤマダくんがひと言。
「でもさ、やっぱり三角チーズが宇宙の始まりだってことでしょ?」
ダイラは大きくため息をつきながらも、どこか楽しげに笑った。
「まあ、それでもいいか……なんだか、未来でもちゃんと俺の作品は伝わってるみたいだしな。」
三角鉄板の穴から漏れる光のように、ダイラの言葉は確かに学生たちの心に届いたようだった。
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