第410話 ジモッテエだかジモッティだか

クワヤマダくん:「ダイラ先輩、『103万円の壁』が撤廃されるって、ついに動き出したんですね!でも、地方自治体から『収入減で困る』って声も出てるみたいですよ。」


ダイラ:「うむ。それに、所得税や個人住民税の基礎控除を上げると、確かに地方財政は大打撃を受けるだろうな。5兆円超の減収ともなれば、影響は計り知れない。」


クワヤマダくん:「でも、昨年度はインバウンドで税収がアップしてるじゃないですか?財源、どこかから出せるはずって素人考えしちゃいますよね!」


ダイラ:「それが問題だ。東京には人も金も集中している一方、地方には何も還元されない。この形、まさに歪(いびつ)な構造だ。地方創生が進まない限り、格差は広がるばかりだよ。」


クワヤマダくん:「そこで登場するのが、『地方創生世代』の若者たちですね!『ジモッテエ』とか『ジモッティー』とか呼ばれてる地元愛の塊の人たちが、地方を盛り上げてるって聞きました。」


ダイラ:「おもしろい動きだな。長野県白馬村のような場所に、外国人が『ジモッテエ』に憧れて集まる現象も起きていると聞く。彼らは地元で地域産業を支えたり、文化を発信したりしている。」


クワヤマダくん:「先輩、その背景ってやっぱり経済の偏りが原因なんですか?」


ダイラ:「一部そうだな。でも、もっと大きいのは、地方に眠る可能性と、それを引き出す力だ。ジモッテエたちは、地域の課題を独自の視点で解決し、コミュニティを再構築しているんだ。彼らは地元を再発見し、地元をブランド化している。」


クワヤマダくん:「なるほど!それって、まるで新しい生態系が生まれるみたいな感じですね。」


ダイラ:「その通りだ。税制改革や経済政策も、ただの数字遊びではなく、地方創生の視点から考える必要がある。例えば、基礎控除の影響を軽減するために、地方への直接補填や、インバウンド収益の地方配分を強化する仕組みが考えられる。」


クワヤマダくん:「地方と東京の関係って、宇宙のブラックホールみたいですね。東京がブラックホールなら、地方が星屑にならないように、エネルギーを放出する方法が必要ですね!」


ダイラ:「いい比喩だな。地方が輝き続けるためには、自治体ごとに強い『重力』を持つ必要がある。そこに人と金を引き寄せる政策と文化が必要なんだ。」


クワヤマダくん:「結局、地元を愛する心が強さになるんですね。でも先輩、ジモッテエの外国人たちって、どうしてそこまで地方に夢中なんでしょう?」


ダイラ:「地元に生きることの価値や美しさを、彼らは肌で感じ取ったんだろう。白馬村にそびえ立つ北アルプスは何物にも変えがたい。その価値は計り知れない。都市生活では得られない心の豊かさが、そこにある。日本は未来を考えるとき、地方の復活がカギだ。地球環境の保護と同じくらい重要なテーマさ。」


クワヤマダくん:「明日から僕もジモッティーを目指そうかな!地元と地球の未来を守るために!」


ダイラ:「それでこそクワヤマダくんだ。明日から長野県に移住したらどうかな。未来の日本を支える若者が増えることが、最高の『地方創生』なんだよ。」


この夜、二人の会話は星空の下、いつまでも続いた。そして彼らの視線の先には、地元愛に輝く地方の未来が広がっていた。

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