第398話 過去の自分はもう他人

ダイラ:「最近さ、『若い頃の自分に戻れたら何をアドバイスするか?』って若者のインタビューアーが年配の人に聞く動画が流行ってるけど、みんな決まって『もっとチャレンジしろ』とか言うんだよな。」


クワヤマダくん:「でも、それって本当に伝わるのかな?タイムワープで戻ったとして、過去の自分に本当にそう言えるのか…。」


ダイラ:「実はさ、タイムワープで実際に過去の自分に会いに戻った人がいて、人生の分岐点の瞬間に『もっと挑戦しろ!』って言おうとしたんだけど、いざその場に立ったら…言葉が出なかったらしい。」


クワヤマダくん:「なんで?」


ダイラ:「過去の自分ってさ、未来なんてまるでわからないし、不安と期待がごちゃ混ぜになって精一杯生きてるんだよ。今の自分が過去に何を言いたいかはあっても、いざその場に立ってみると、今とはあまりにも違う過去の自分に挑戦しろなんて、軽くは言えないんだ。」


クワヤマダくん:「それって、過去の自分がもう自分じゃないってことか。」


ダイラ:「そういうことさ。動的平衡で言うと、今の自分と過去の自分は、似てるようで別物なんだ。他人とも言える。結局、その瞬間の自分を否定せずに見守るしかできない。あの時の自分も今の自分も、どっちも精一杯だからね。」


クワヤマダくん:「そう考えると、今の自分が未来の自分に言えることも、今のうちから決められないってことだな。」


ダイラ:「うん。人は今を生きてるわけで、過去も未来もあくまで一部なんだ。後悔があっても、それも含めて今の自分があるってことを受け入れる方が自然だと思うよ。」


彼らは静かに考え込んだ。過去や未来に囚われることなく、変わり続ける自分を受け入れて生きることの大切さに気づいたのだった。

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