第342話 ドームのないタイムトラベル

(場所:ダイラのアトリエ。そこには奇妙な装置が所狭しと並んでいる。クワヤマダくんが、ダイラの作業をじっと見ている。)


クワヤマダくん:「先輩、それ…何してるんですか?なんか、いつも以上に訳が分からない装置が転がってますけど。」


ダイラ:「ああ、これか?これは、俺の曾祖父平さんが作った『ドームのないプラネタリウム』を俺流に改造したのさ。こいつに、俺が手を加えたタイムトラベル装置を搭載するんだ。しかも天才物理AIに設計させた最高傑作だぞ。」


クワヤマダくん:「タイムトラベル装置!?しかも、その錆びた鉄板が張り合わされた手作りプラネタリウムに組み込むんですか?それ、なんか危険すぎません?」


ダイラ:「いやいや、これが昭和でいう味ってやつさ。これからバブル期にタイムトラベルして、その時代の狂気と栄華をこの目で確かめるんだ。お前も行くだろ?」


クワヤマダくん:「えぇ!?バブル期に行くんですか?先輩、なんでまたそんな時代に?」


ダイラ:「バブル期は面白い時代だったんだ。あの時代の人たちは、まるで夢を見ているかのように、無限の富と贅沢を追い求めていた。何の根拠もないのに『未来はもっと豊かになる』って信じてたんだ。俺はその現場を直接見て、何か新しいインスピレーションを得たいんだよ。」


クワヤマダくん:「でも、そんな無茶なこと…本当にできるんですか?」


ダイラ:「ふふ、まぁ、まだ試作段階だけどな。でもこの装置を使えば、過去に行ってもただの見学者じゃなくて、実際にその時代の人と交流できるんだ。平さんがこの作品を発表したころだしな。しかも、俺たちの記憶を持ったまま。そうすれば、アートだって新しい次元に到達するさ。」


クワヤマダくん:「え、記憶を持ったまま過去の時代に?でも、そんなことしたらタイムパラドックスとか起こるんじゃないですか?」


ダイラ:「心配するな。AIがすべて計算してくれてる。『観測するだけでは未来は変わらない』って理論に基づいてるんだ。それに、お前、今の若者たちに受ける作品を作るなら、バブル期の狂ったエネルギーを知らなきゃダメだろ?」


クワヤマダくん:「そ、それは確かに…でも、タイムトラベルまでする必要あるんですかね?」


ダイラ:「お前は何もわかってないな、クワヤマダくん。この時代はアバターや仮想現実で時間や空間の壁がどんどん薄くなってる。ソシャリティ5.0のムーンショット目標でも、時間旅行に近い概念が取り上げられているんだぞ。俺たちはその最前線にいるんだ。実際に過去に行って、アートや社会に革命を起こすんだよ!」


クワヤマダくん:「うーん、先輩の言ってることはよく分からないけど、何だか面白そうですね。でも、もしバブル期に行ったら、どうするんですか?タイムスリップしていきなりシャンパンタワーの前に放り出されるとか?」


ダイラ:「それも一興だろ。シャンパンタワーをバックにしたアートを作って、未来に持ち帰るんだ。そしてSNSにアップして、『俺はバブル期に行ってきた』ってアピールする。それで一気にフォロワーを増やすんだ!」


クワヤマダくん:「確かに、過去から未来に持ち帰ったアートとか、ちょっとロマンがありますね。しかもバブル期のド派手な雰囲気と、今のデジタル世代が融合したら、すごいインパクトがありそう!」


ダイラ:「だろ?しかも、バブル期の人たちは未来を知らないから、俺たちが現代の技術や知識を使って、彼らを驚かせることもできる。俺たちがあの時代の革命児になるんだ!」


クワヤマダくん:「おぉ…なんだか、先輩の計画がどんどん壮大になっていきますね。でも、もし何か予期せぬトラブルがあったらどうするんですか?」


ダイラ:「その時は、その時だ。冒険にリスクはつきものだろ?それに、このプラネタリウムも俺たちの旅の一部だ。星を眺めながら、未来も過去も、俺たちのものにするんだ。」


クワヤマダくん:「じゃあ、俺も…先輩に付き合いますよ!バブル期のシャンパンタワー、どんな感じだったか直接見てみたいし!」


ダイラ:「よし、決まりだな。さぁ、このプラネタリウムを起動して、俺たちのタイムトラベルを始めよう!」


次回予告: バブル期へのタイムトラベルを決意したダイラとクワヤマダくん。果たして二人は無事に過去の日本にたどり着き、あの狂った時代を生き抜けるのか!?

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