第330話 ダイラの最強メンタル

ダイラ(照明機材を片付けながら)「クワヤマダくん、今日もなかなか大変だな。片付けって、作品作り以上に体力を使うよ。」


クワヤマダくん(笑いながら)「そうですね。でも、これはこれで楽しいです。ダイラ先輩、ところでふと思ったんですが、先輩ってどうやってメンタルを強く保ってるんですか?いつも楽しそうで動じない感じがするんですけど。」


ダイラ(軽く笑いながら)「そう見えるだけだよ、クワヤマダくん。実は俺だって、いろいろ悩むこともある。でも、ひとつだけ気づいたことがあるんだ。自分の“癖”を無理に直さない方が、案外メンタルが保たれるってことにな。」


クワヤマダくん(興味津々)「癖を直さない…ですか?それってどういうことですか?」


ダイラ「例えばさ、俺にはひとつどうしても直せない癖があるんだ。作品について話している途中で、ついつい映画や映画のチラシの話に夢中になってしまうんだよ。作品に関する話をしなきゃいけないって分かってるのに、いつの間にか映画の話にそれちゃう。みんなからは‘それ、直したほうがいいよ’って言われるけど、直そうとすると、どうにもストレスでね。だったら、いっそのことこの癖を受け入れちゃった方が楽だと思ったんだ。」


クワヤマダくん(笑いながら)「確かに、ギャラリートークでも映画の話にそれてましたね。でも、ダイラ先輩の話は面白いし、そこが先輩らしいところでもあると思いますよ。」


ダイラ(うなずきながら)「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいよ。結局ね、自分の癖ってのは、無理に直そうとするより、それとうまく付き合った方がいい場合もあるんだ。たとえば、俺が無理にチラシの話をしないようにすると、そのせいで逆に作品を語る気力がなくなっちゃうかもしれない。癖を直すことでメンタルが崩壊するなら、いっそ癖を守って自分らしさを保つ方が、長い目で見ればうまくいくんじゃないかと思うんだ。」


クワヤマダくん(考え込んで)「なるほど…でも、社会ではその癖が受け入れられないこともありますよね?それでも、守る価値があるんでしょうか?」


ダイラ「確かに、社会ってのは、ある程度の枠にはまることを求めてくる。みんなが同じ方向を向いて、同じペースで動くことを期待する。でもね、その枠に合わせて自分を全部変えたら、俺たちは自分を見失ってしまうんじゃないかと思うんだ。俺にとって、映画のチラシの話をすることが、作品作りのモチベーションの一部になってる。それを捨てたら、自分が何者なのか分からなくなっちゃうかもしれない。」


クワヤマダくん「たしかに…自分らしさを守ることって、メンタルを保つためにはすごく大事なことかもしれませんね。」


ダイラ「その通りだ。完璧に見える人間なんていないし、俺たちはみんな、どこかに“癖”を抱えている。その癖があるからこそ、自分という存在が成り立っているんだ。だから、社会がその癖を受け入れてくれなくても、自分の中で‘これが俺だ’って割り切って生きていくことが大切なんだよ。」


クワヤマダくん(深くうなずいて)「そうですね…僕も、自分の癖をもっと受け入れてみようかな。無理に変えようとするよりも、それとうまく付き合っていけるようにしたほうが、確かに楽かもしれません。」


ダイラ(微笑みながら)「その通りだよ、クワヤマダくん。俺たちは誰だって不完全なんだ。それを無理に完璧にしようとすると、自分が壊れてしまうことがある。だからこそ、自分の癖とうまく共存しながら生きていくことが、強いメンタルを持つ秘訣なんだと思うんだ。」


クワヤマダくん「ダイラ先輩、ありがとうございます。なんか、ちょっと肩の力が抜けた気がします。」


ダイラ(笑いながら)「それは良かった。さて、片付けも終わったし、今日はどんな映画の話をしようかね?またチラシの話でも聞いてくれるかい?」


クワヤマダくん(笑いながら)「もちろんです!今日はどんな映画のチラシが飛び出すのか、楽しみにしてますよ。」

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