第259話 帰ってくれタローマン

ダイラ:クワヤマダくん、最近芸能人が若くして命を絶つ報道が多く、ショック過ぎて、オレは気持ちが落ち込むよ。


クワヤマダ:そうですよね。傍から見ると今を時めく眩しい存在で、悩みなんか無さそうに見えていたけど、きっと、僕たちが計り知れないストレスやプレッシャーの中で生きているのでしょうね。


ダイラ:だよね。なぜ自由に生きることを否定する人間がこんなにも、たくさんいるのだろう。特にネットの世界で・・。


クワヤマダ:昔、便所や電話ボックスにくだらない落書きがたくさんあったけど、ネットの誹謗中傷も同じレベルだと思うんだ。


ダイラ:確かに、便所の落書きは不特定多数へのメッセージだったからまだしも、ネットは標的が個人で明確だからたちが悪い。


クワヤマダ:2ちゃんねるが出てきてから、便所の落書きが2ちゃんねるに移行した。


ダイラ:大体の人間は、面と向かって誹謗中傷なんかできない。だって、そんなことしたら、恥ずかしいからね。自分をさておいて、人のこと言うなんてできない。


クワヤマダ:ですよね。飯食っているときに、いきなり店に知らない奴が入ってきて、「クワヤマダの大食い!」なんて叫ばれても、恥ずかしいのは叫んだ奴だからね。気にする方が時間の無駄だ。


ダイラ:日本人は世界でも類を見ない程、ネットマナーが悪いらしい。


クワヤマダ:やっぱり、恥じの文化が根強く、その反動が、今のネットでの誹謗中傷の世界なのかもしれない。


ダイラ:ネットで誹謗中傷している連中をかき集めて、目の前に並べたら、皆妙に冷静になるかもね。


クワヤマダ:普段は静かで誰とも話さないようなタイプがゾロゾロ無言で座り込んで、スマホをいじっている。


ダイラ:特に社会的には大きな問題を起こさない、人畜無害な人たちなんじゃないかなぁ。


クワヤマダ:妙に、青白い顔をしていて、まさかこんな人が?こんな卑劣なことを書いていいたの?と皆思うようなタイプ?


ダイラ:まぁ、かき集めてみないと分からないけどね。日本人はもっと自己を解放する習慣を身に付けないと、皆精神が暗い方に向かっちゃう。


クワヤマダ:恥ずかしがり屋の体質を改善するためにはどうしたらいいのでしょうか。


ダイラ:芸術の力が大きいと思うよ。昨年世界的なムーブメントとなった、タローマンが帰ってくるみたいだね。


クワヤマダ:知っています。「帰ってくるなタローマン」ですよね。


ダイラ:おしい!「かえってくれ、タローマン」だよ。


クワヤマダ:恥部を全開するような、タローマンのメンタリティを日本人は肝に銘じないといけない。タローマンを見習いたい。


ダイラ:そうだね、未来の日本人がタローマンのような人種に生まれ変わることができたら、多様性を認め合える共生社会が実現するだろうな。


クワヤマダ:僕たちが命をかけてやっているアートにも、そんなメッセージを込めたいですよね。


ダイラ:クワヤマダくんは、いい年こいて大食い大会に出ちゃう時点で、恥ずかしさをぶち抜いていると思うよ。そういうメンタリティが大事なんだよ。


クワヤマダ:褒められているようなディスられているような。ダイラさんも、頭上に光源を載せて街中を歩いていますもんね。突き抜けていますよ。


ダイラ:アートの力で、この鬱屈した日本を今一度、洗濯いたし申し候。


クワヤマダ:今一度、光を当て申しそうろうですね。






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