第4話 マジカルミキサー
夏休みになると、祖父の本家がある、富山県黒部市
ダイラは、父親が自宅の庭につくってくれた、ヒャッホイという名で呼んでいたジップラインで遊び疲れると、入道雲を見ながらスイカを食べるのがお気に入りのルーティンだった。
ヒャッホイをしにやってきた友だちからは、こんな奇妙にでかいスイカは見たことがないと言われ、ダイラにとってはどこか誇らしげに感じていた。
スイカを食べながら、乾いたアスファルトの上に種を飛ばし合った。
入道雲、ジャンボスイカ、まき散らされた種は、ダイラの思い出に焼き付いた。
★
祖父は船乗りをしていた。外国生活が長く、赤紙をもらわず、終戦を迎えた。
戦時下における日本の鉄不足、自身、海上を鉄の乗り物で命を繋いだ奇特な
「鉄は偉いぞ!文明をつくったんだから。どんな形にだってなるんじゃ。鉄は
祖父は昔話をするとき、標準語と方言が少しばかりミックスしていた。
祖父の言葉を理解するには、幼いダイラには難しかったが、鉄は一回殺してから命を与え直すというフレーズはその後も胸に残り続けていた。
ダイラは、祖父と話をした後は、頭の中が混乱することが多かった。
「自分が生きている世界ってどんな風にできているんだろう。未来の僕たちはどうなっているんだろ。僕が作ったものに命が宿るってどんなときだろう。」
祖父のマジカルな言葉とダイラの疑問がミックスされ、その日は眠れなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます