第67話 未知・壮大

 誰かさんの読書感想文とは違うので、事実だけを淡々と述べるというのはやめよう。あとから読み直してみると、事実だけを書いているところが多いのはお許しを。今から書くことは、今日学校で書いた文集と似通うかもしれないが、どうせ誰も見ないだろうので、置いておこう。なにしろ、4泊5日で北海道へ行ったのだから、事実を並べるだけでも相当な行数を要す。行事はしおりにしっかり載っているので、僕はそこにはない、個人の思い出などを書いていきたい。伝わらないが、感謝の気持は表しておく。6月に愛光は一旦、修学旅行を延期せざるを得なかった。今年度は無理だろうと思っていたと、教頭先生も言っていた。それでも実行できたのは学年部長の先生、その他関係者さんのおかげだと思う。心から感謝したい。


 僕が、この文章に近いと思うのはあれだ。志賀直哉さんの『城の崎にて』だ。旅先(志賀さんの場合は療養)で思ったことを書き留めているということでは共通している。まあ、それだけのことだ。


 僕の部屋は一階だった。つまり、どういうことが言いたいかというと、外に出られるということだ。実際、このおかげで消灯後にコンビニに行ったり、散歩にでかけたりすることができた。ないと思いますが、これを読んでいる教職員の先生のみなさま、どうかお許しください。女子とまったくと言っていいほど話さなかった僕にとっては、唯一の青春なんです。最初に言ったとおり、ここに自然が美しかったとか書くのはやめよう。そうではないと言っているのではない。じゃあ、書いておこう。ベア・マウンテン、大雪山、空知川のラフティング、サホロ湖のカヌー、青い池のネイチャーウォーク、すべてがよかったです。ジンギスカンもよかった。僕的にはてっきり、焼肉のようなものだと思っていたけれど、どうやら北海道では違うらしい。


 ホテルの時間はたくさんあった。なにをしたかというと、まずはトランプだろう。携帯は持っていかなかった。同部屋の人とも仲良かったし、必要がないだろうと判断した。といっても、実際は没収されて怒られるのが嫌だっただけだろう。なにかあったとき用に文庫本を一冊持っていったが、出番はなかった。同部屋の人と、結構話しているとは思っていたが、この修学旅行をきっかけにさらに仲良くなった気がする。まあ、当然の成り行きだろう。自分が好きな人と組めるのは絶対楽しいだろう。こんなことを言うのはあれだが、実際、そっちのほうが楽しかったかもしれない。でも、今回はいいや。十分楽しかった。そうだ、話を戻して。トランプでしたこと…。大富豪、ババ抜き、神経衰弱、ブラックジャック。これくらいだろうか。こういうのは同級生とは修学旅行くらいでしかやらないだろう。つまり、最初で最後の機会だったわけだ。通報されるかもしれないが、大富豪とブラックジャックで僕は3000円勝ってしまった。なんか、申し訳ないです。今度僕が覚えていたら返そうと思います。やっぱ、僕の同級生ってけっこう頭いいんだな。神経衰弱を軽い気持ちで始めたら一回目はぼこぼこにされて、二回目で真剣にやろうと思っても勝てなかった。さすが。最後の夜に、罰ゲームをかけた大富豪では僕は負けて、最終日がばりばりの七三分けだったのは忘れよう。まあ、インスタのストーリーで200人くらいに変顔がばらまかれた人よりはましだろうか。ごめんね...変な写真撮っちゃって...


 深夜にコンビニと散歩に行ったのは置いておいて、深夜に一人で僕は星空を眺めた。Twitterのプロフィール欄は、僕はしばらく変えていない、「小説家。哲学者。愛媛県の高校生。」だ。え? 事実は最後だけだって? またまた〜

確かに、小説家と名乗るのもなにかおこがましい気はするし、哲学者っていうのもなんとなく名乗っているに過ぎない。愛媛県の高校生っていうのは本当だよ!

まあ、哲学者らしいことをしようという変な考えも、僕の中にあったのかもしれない。まあ、それはそれで今となってはどうでもいいことだ。でも、思い返してみるとなにを思っていたかは鮮明に思い出せない。頭は澄み切っていて、次から次に考えが浮かんできたのは覚えている。やっぱり、行き着くところというのはだいたい決まっていて、つまるところ将来のことだ。「唯ぼんやりした不安」というのが理解できる。これが、人を自殺まで追い詰めるのか。生きるということは、すべてが初めてだ。小中高、大学と進むのはもちろんのことだが。老後を過ごすのもその人にとって初めてのことであるはず。だから、大きくなると不安がなくなる、そんな訳はない。死ぬ最後の最後まで不安なんだろう。死んだあとの不安なんてどうしようもないことを心配して変な宗教に入る人を見ても滑稽に思える。どこかで、その不安を悟ってある程度無視していく必要がある。適度な不安は成長のために、新しいことをするためには必要だ。そのなかで、「これくらいじゃ大丈夫、しなない」とかいうように、無視していくことが大切だと思う。まだ僕はその段階には達成していないだろう。


 北海道は総じて広かった。当たり前で、わかっていたことだ。ただ、実感できたというだけ。バスガイドさんには四国の4倍くらいの面積だと言われた。「いやー、四国小さいなー。」とはならない。北海道が大きすぎるだけだ。バス移動も一時間以上が普通だった。もう慣れた。ここは愛媛県だから、それで例えるけど、松山に宿泊してそこから西条とか八幡浜とかに毎日観光に行くと考えると、とてもばからしく思えてくる。北海道は広すぎた。感想は以上。温度は寒いことを期待していましたが、ちょうどよかったです。僕は若干寒いのが好きなので。

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