出会えてよかったありがとう
@7ban
第1話 出会い
高校二年の夏俺達は屋上で出会った
「早まるなッッ!!」
「まだ、死ぬなッッッ!!!」
放課後の校舎の屋上にそう声が轟く。
だが彼の叫びは放課後の学生達の浮かれた声ですぐにかき消されてしまった。
ので、この彼の叫びは俺達にしか聞こえていないことだろう。
そして俺はこの自殺をとめようと叫ぶこいつが気にくわなかった。
別に知り合いというわけでもない。
だが俺はこいつにだけは言われたくないと思うのもこの現場にいたとすれば誰でも納得するのではないかと俺は思う。
"はやまるな"そういうこいつがいたのは屋上の転落防止用の柵の外側にいた。
こいつだって死のうとしていたのだ。
それなのに自殺を止めようとするなんて変だとおもわないか?
「まだ、どうにかなるからどうか、考え直してくれないかな?」
こいつがそういう。
お前が言うなッ!!
そう言おうとしたとき、
「お前が言うなッッ」
どうやら俺と同じ思いの人もいるらしい。
この人も今日、自殺しようとここに俺よりも前に来ていたのだ。
偶然にもほどがあるよな
「じゃあ、君らが死ぬなら俺も死のう」
こいつ……、人の自殺止めようとしたくせに…。
実は口実が欲しかっただけなのかも知れないと俺は思った。
そしてまた口を開く。
「もしここで俺たち三人が死んだとしたら必ずニュースで取り上げられる」
「なんで?」
思わず聞いてしまった。
こいつは笑顔で言う。
「同じ日付けに同じ場所で同じ様な時間に三人も自殺したら問題になるでしょ?」
俺は否定することが出来なかった。
もう一人のやつもそのようだったが少し苛ついているように見えた。
それを見て悪戯っぽい笑顔でまた言うのだ。
「嫌でしょ?」
嫌だ。
するともう一人のやつがあいつを睨み付けて柵を軽々飛び越え屋上の扉へと向かっていく。
どうやら自殺を諦めたらしい。
それを見てこいつが俺に笑顔を向ける
「君も、ね。」
「…。」
俺も正直もうどうでもよくなっていたので柵を乗り越え帰ることにした。
するとあいつが俺の腕を掴んだ。
そしてもう一人のやつの腕も掴んでいた
「ちょっと待って」
こいつはそう言い俺たちの目を見る
そして言った。笑顔で
「俺達友達にならない?」
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