side.夕立 美織 2

今日から2年生になった私は、2週間ぶりに制服に袖を通し、六花と共にいつものように学校へと登校する。


今日は始業式ということもあり、昨日入学式を終えた新1年生達も登校してくることに六花は少しウキウキしているようだった。


私も後輩ができることは少なからず嬉しかった。ふと周りを見ると、まだまだ着慣れていない制服を身に纏った生徒が歩いているのを見つけ、少し微笑ましい気持ちになる。


学校に着き、入り口前の掲示板で自分のクラスを確認することにした。

昨年は1-Aだったが今年はどうだろうと、少しドキドキしながら2-Aの名簿を見ると自分の名前があったのでホッとする。すると、隣にいた六花も2-Aだったようで一緒のクラスになれたことを喜び、教室へと向かうことにした。

ほとんど入れ替わることのなかったクラスメイトと談笑し、HRを終えて始業式の会場へと移動を開始した。


会場の座席はクラスで固まっていればどこに座ってもいいので六花と隣に座ることにした。ちなみに男子生徒はまとめて少し距離を置いて一番前に座ることになっている。


始業式が始まり、去年と同じように校長先生の話があり、理事長先生のお話が終わったあと、司会の先生が次に行こうとしたときになぜか理事長先生がそれを止め、続けて話しだした。


「実は今日からこの天川高校の2年に編入してくる男子生徒がいる。」


私はそれを聞いた時男子生徒が増えてくれるのは素直に嬉しかった。周りも同じようにうれしかったようで、私たち2年生の座っている付近が徐々に騒がしくなっていく。

それもそのはずだ。共学校とは言え、男子がいないクラスもあるため自分のクラスに来るかもしれないという期待も大きいのだろう。

すると、理事長先生が編入してくる男子生徒を呼び、舞台袖からその男子生徒がでてくる。


それはなんとあのときショッピングモールで出会った御門さんだった。私は彼がなぜ目の前にいるのか六花が手を握ってくるまで理解できずにいた。


するとマイクの前に立った御門さんがホールを見渡し私たちと目が合ったように思うと、ふっと微笑んでくれたのだ。これは絶対に気のせいじゃない、そう思い六花の手を強く握り話し続ける御門さんに見惚れ続けていた。


始業式が終わり六花となぜ御門さんがいるのか話しながら教室に戻ると、今朝のHRにはなかった机が私の席の隣に置いてあったのだ。


私は瞬時に、御門さんがこのクラスに編入してくるのだということを察した。先生が来るまでの間、他の子たちも空席に御門さんがくるのだろうということに気づき、羨ましい!変わってほしい!とお願いしてきましたが、全力でお断りさせてもらった。


私は、先生たちが来るまでの間自分を落ち着けるのに必死でしたが、すぐに御門さんを連れて担任の大場先生がやってきてしまう。


「う〜し。お前らー!もう察してると思うが、さっきの挨拶してたイケメン連れてきたぞ〜!」


お〜と拍手で御門さんを迎えると、少し恥ずかしそうな表情をしながらぺこぺことお辞儀をしている。そんな姿もなんとも愛らしかった。


「なんと今年は2-Aに男子が3人所属することになった。そして、1年からほとんどメンバーが変わることなく進級してくれたこと大変嬉しく思う!女子たちは引き続き彼らと同じクラスになれるよう頑張ってくれ!それじゃ、改めて自己紹介をしてくれ!」


先生から激励の言葉をもらい、御門さんが来たことでより一層成績を落とさないように気を引き締めることにした。


「はい。始業式の時に挨拶はしましたが、改めて、御門悠です。今まで学校に通っていなかったので世間知らずかもしれませんが、いろいろと教えてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします。」


みんなで拍手をして、いると先生が私の席の隣を指さして、座るよう誘導する。


「それじゃぁ、御門は後ろの空いてる席に座ってくれ。隣は夕立っていう去年もクラス委員長をしてくれていた奴だからいろいろと聞くといい。」


「わかりました。」


私は歩いてくる御門さんを見つめていると、隣に座りこちらを向いて、よろしくと微笑んでくる。


「やっほ。隣が夕立さんなんてラッキーだね。これからよろしくね。」

「は、はい!こちらこそ末永くよろしくお願いします!!」


私はつい、興奮してしまいまるでプロポーズを受けたかのような返事をしてしまう。そんなことを口走ってしまったため、その後の先生の話はほとんど聞いていなかった。あとで六花に聞かなくては…。


そして、先生の話が終わり下校することになったが、私たちのもとに六花がやってきたので二人でなぜこの学校に編入してきているのか聞くことにした。


「ちょっとちょっと、御門くん~。いきなり編入してくるなんて聞いてへんよ~。うちめっちゃびっくりしたわ~!」

「そうですよ!編入してくるなら一言仰って下されば心構えができたのですが…。いきなり御門さんが壇上にあがったときには驚きましたよ!」

「あはは。ごめんごめん。俺もREENで報告したかったんだけど、理事長先生に止められててね。でも六花さんと夕立さんと同じクラスになれたのはびっくりしたよ。」


理事長先生に止められているとは思いませんでしたが、御門さんが嘘をつくはずがないと、納得することにした。


すると、急に六花が自分のことを名前で呼び捨てにしてほしいといいだしたのだ。

私はつい、それに乗じて私も名前で呼んでほしいとお願いをする。


「ほんと?じゃあ六花と美織って呼ぶね。俺のことも悠でいいよ。」


すると、何やらうれしそうな様子で受け入れてくれた。私は名前を呼ばれた瞬間なんとも言えないドキドキが襲い自分が止められなくなってしまう。

六花は名前で呼ぶことを恥ずかしがっていたが、私はこの胸の高鳴りを止められず、ありがたく悠さんと呼ばせていただくことにした。

すると、六花も対抗して悠さんのことを名前で呼ぶことにしたようだ。


そのあと、悠さんの迎えの方が来たようなので六花とともにまた明日と別れることにした。

悠さんがいなくなったあと、私たち二人のところにクラスの女の子たちがやってきて、なぜ編入生とあんなに仲がよさそうなのかと二人して揉みくちゃにされてしまう。

なんとか六花が私の手を引っ張り教室を連れ出してくれたので脱出することができたが、教室からでたとき、ふと一人の男子生徒からじっと見られているような気がした。

あの男子は一体誰だっただろうか…。

思い出そうとしていると、『これからもよろしく!』と悠さんからREENが届いたのでさっきの男子のことはすぐに頭からなくなってしまう。


そして、送られてきたメッセージに『こちらこそよろしくお願いします。悠さん♡』と送ったあと。

家に帰ってからそのメッセージを送ったことに後悔するのだった。



☆あとがき☆

投稿遅れてしまいすみません。

文章の読み直しをしていたらいつもの時間を過ぎてしまいました…。


本日は美織視点のみとなります。

六花視点については次話をお待ちください。

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