1章

第0話 事故にあいました

「危ない!!!」


叫びながら横断歩道に取り残された少女を抱え反対方向へと転がる。

信号無視して突っ込んできた車からギリギリのところで少女を助けることができた。


少女を下ろしスマホを取り出して通り過ぎた車の写真を撮る。少しぶれているが警察に出すには十分だろう。


「大丈夫?痛いとこはない?」


「う、うぅぅ。うわぁああああん」


呆然としている少女に問いかけると、何が起きたのかわかったのか泣き出してしまった。


「泣かんとって~、よしよし。怖かったなぁ~」

とりあえず少女が泣き止むまで頭を撫でつつ集まってきた人たちにこの子の親が付近にいないか探してもらった。


「本当にありがとうございました!貴方がいなかったらこの子はきっと…何かお礼をしたいのですが…」


「いえいえ、偶然通りかかっただけですので、これからは目を離さないで上げてください。」

ニコッと笑いながらその場を離れる。


無事少女を助けることができた安心感から、一体今までの人生で何度こんなことがあったかなと悠は思い返していた。

この24年間生きてきて思い返しただけでも20回以上は交通事故に遭遇し、誰かしら救っていたなぁと歩きながら苦笑する。



ブゥゥウウウーーーー



今までは奇跡的に怪我もなく助けることができていたため、このときは少し楽観視していたのだろう。

他人を事故から助けることはできても、後ろからきている車に轢かれ事故に巻き込まれることになるとは全く思っていなかった。



ぐちゅ



そこで俺は死んだ。














はずだった。


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