『ごき大将あきれる』

やましん(テンパー)

『ごき大将あきれる』


 『人間とは、いかにも、不可思議なものよごき。なあ、少佐。』


 カウンターのごき大将がぶつぶつ言っている。


 鞄持ちのごき少佐は、ひたすら、定期的にうなずいている。


 しかし、考えてもみなさい。


 大将がひとこと発すれば、何億何百億、というごき軍団が、人類を襲うのだ。


 やましんは、その、最前線にいるのである。


 ひとこと誤れば、お仕舞いかもしれない。


 しかしだ、してみると、ごきミサイルなんて、必要ないのではないか。


 そんなもんなくても、ごきが、地球最強であることは、疑いようがない。


 『なあ、やましんさんごき。我々は、ちょっとしたいきさつで、やましんさんには、世話になってきている。だから、我々が、地球征服したあかつきにごきもあっても、やましんさんの、安全はごき、保証するごき。』


 『そりゃ、ども。』


 『ときに、ごき。』


 『はい?』


 『いまは、非常に重要な時期なので、当分、家のなかで、部下ごきを、潰したり、磔にしたりしないでほしいごき。』


 やましんは、答えた。


 『自宅の中にあっては、目についたら、それは致し方無いという約束で、地下のことは、見逃しています。』


 『ごきな。まあ、そう、ごきなあ。』


 ねこママが、割ってはいった。


 『大将さん。やましんは、もう、としにゃん。大将さんと、よい、勝負にゃんこ。』


 『ふむ。ごき。少佐、それは、どう、解釈したらよいごき?』


 少佐は答えた。


 『多少、お互いに、気に入らなくても、戦争に至るのは、いかにも、ばからしいことだ。と、思います、ごき。』


 『そんなに、長くなるか?』


 『ごき。』


 『ふうん。たしかに、平和には時間がかかる、ごきな。人類に教えてやりたいごき。』


 『征服したら、教えられますかな?』


 やましんが、ミルクをすすりながら言った。


 『いや、むりごき。やりはじめたら、よほどの報酬が必要ごきな。』


 『ですね。なら、無理に争いなんか、やらないほうが良い。へたに、なにもしないほうが平和ですよ。いつも、勝とうとするから戦争になる。負けたくないから、争いになる。差別やいじめが生まれる余地になる。常に、勝とうとしないこと。常に、人より偉くなりたいなんて、考えないこと。常に、自分を勝負の基準にしないこと。』


 『やましんさん。』


 『は?』


 『あんた、あらゆる組織には、向かないごき。』


 『ですね。』


 




 ・・・・・・・・・・・・・


           🎣


 


 

 

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『ごき大将あきれる』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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