親子
先日の選挙の日のこと。
入院している義母様に洗濯物を持って行かねばならず、ついでに選挙に行こうと思っていた私は、ふと企みます。
「選挙、一緒に行こう」
面倒臭がる夫を引っ張って選挙へ。
「帰りに病院に寄って。洗濯物持ってくから」
そして夫を引っ張って義母様のところへ。
実は、夫は、全然、義母様に会っていないのです。最初の手術をしてから2年以上。
何度か主治医からの説明を聞きに病院には行っていたけれど、病院も忙しいんだから、と、頑なに面会を拒否しておりました。
まあ、なんとなく理由はわかるんですね。
その日の昼まで何ともなく元気だった人が急に倒れて、脳の手術して、別人みたいになって……。それが実の母親だったら、会うのが怖い。現実と向き合うのに時間はかかると思うのです。
その上、うちの場合、酪農家で、とてもとてもキツい仕事をやらせていたり、いろんなことを任せたり、私の身体が悪い分とにかく義母様に甘えていたと思うのです。
きっと彼は、自分が「母親をこきつかった」からこうなったと、自分自身を責めている所が少なくないのでしょう。
そんないろんな思いが自分の中にあって、仕事が忙しいからと、頑なに面会を拒んでいたんだと思います。
一方で、週に2回、洗濯物の交換に行く私は、ガラス越しではあるけれど、時々面会ができていて、義母様が段々と元気になっていく様子を見て知っていました。顔色もよくなってきて、沢山おしゃべりをしたり(話の辻褄があわないというか、会話には殆どなりませんが)している様子を見ていました。最近では、胃ろうで栄養を摂るだけでなく、ペースト状のおやつを上手に経口摂取できるようにもなっていました。もうすぐリハビリも始めるとのことです。
そんな元気になっている母親の様子を、私の口からだけでなく、自分の目で見てほしかったのです。
面会をお願いして、親子2年4ヶ月ぶりの対面です。
ガラス越しだったので、マスクを外してもいいですよ、と言われ、夫がマスクを外すと、恥ずかしそうにニコ〜ッと笑うお義母さん。私の方からは夫の顔は見えませんでしたが、彼もきっとホッとして笑っていたと思います。
看護師さんたちも4人も集まってきて、
「わかってるよ。わかってる顔だ。息子さんの顔は、やっぱりわかるんだねえ」
「そんな、恥ずかしがってないで、手振ってあげなよ〜」
なんて大盛りあがり(笑)。
みんな笑顔になれた時間でした。
夫も、気持ちが少しラクになったんじゃないかと思って、自分の「企み」が無事成功を遂げたことが嬉しかったです。
親子だもん。向き合おうよ、ちゃんと。言葉にしなくても、気持ちは繋がっているよ。
義母様の嬉しそうな笑顔を思い出しながら、夫に会わせてあげられて、義母様にとっても、夫にとっても、いい時間になったし、これからのモチベーションにもなったんじゃないかな。
そう思った嫁なのでした。
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