人生初の家出と、いろいろあって義父の家出④

 5月のことでした。また、義父が倒れたと連絡があり。急いで病院へ。


 今度はなんだか様子が違います。

 脳のMRIを撮ったところ、所々小さい脳梗塞はあるが、それが原因ではなさそうで、どうも脳腫瘍っぽいのがある。とのこと。


 私は、これまでずっと一緒に病院に付き添い、話をきいてきていたので、これまで皮膚がんを経験していること、それは完治したのだが、その後、目の中のリンパの癌になって、治療中であることを説明しました。


 すると先生は納得したように、

「まだ、検査してみないとわかりませんが、脳腫瘍の可能性が高いです……」

と仰いました。



 以下、その当時の私のスケジュールです。(自分の予定も入っています。メンタルクリニックに提出用に書いたのが残っていたので貼付。)


●5月7日 義父緊急入院

●5月15日 病状説明(神経内科)、今後の検査についての説明

●5月18日 義父のアパート片付け等

●5月22日 検査結果説明(血液内科) 放射線治療について

●5月24日 メンタルクリニック通院(自分)・義父引越し作業(掃除、荷物出し)

●5月25日 血液内科受診(義父と相談、放射線治療に決定 )・ 義父引越し作業(片付け、荷物出し)

●5月26日 義母、義妹引越し最終日手伝い

●5月27日 義父、放射線科受診、放射線治療開始。・義父引越作業(片付け、荷物出し)

●5月28日 義母補聴器故障のため、 補聴器センターに連れていく


●6月3日  呼吸器通院(自分)・義父引越し(掃除、荷物出し)

●6月8日  義父放射線治療終了、主治医との話(転院について)・ 義父引越し作業(義母確認、荷物出し)

●6月10日 ペインクリニック通院(自分)

●6月13日 草刈開始

●6月17日 メンタルクリニック通院(自分)・義父見舞い。・ 美容院。

●6月23日 寺、盆参り

●6月25日 義父引越し最終。・ 転出、転入手続き(市役所、村役場)


●7月8日  義父転院

●7月13日 呼吸器科通院(自分)

●7月14日 保険福祉課(介護施設等相談)



 入っていたアパート(グループホームのような施設の)が、基本自力で生活できる人という条件だったので、出なければならず。引越し業者も頼まず、私一人で荷造り、掃除、荷出し。ただ、私の車は軽。中が広いとはいえ、少しずつしか運べません。もー、とにかく部屋は散らかりまくりで汚いし、部屋を借りたことがない人なので、あちこちにガムテープは貼ってある、フックは山ほど貼ってある、しまいには釘まで打ってある……。そんなのも片付けたり、施設に謝ったりしながら、なんだかんだで2ヶ月の間に約1,500kmくらい運転しました。もう、とにかくヘトヘト。


 それと、何故、義母様に手伝って貰えなかったかと言うと、義母様と義妹が住む住宅も立ち退きが決まっていて、引越しの最中だったのです。最終的には、余りのできの悪さに、最終日に手伝いに行って、無理矢理引っ越させましたが。



 義父は、やはり脳腫瘍で、腫瘍ができている場所が手術できない場所なのと、年齢のこともあって、結局、放射線治療を受けました。

 その後は、段々に死に近づいていくより仕方がない、どれくらい生きられるか、先生にもわからないが、もって一年と言われました。


 地元の病院へ転院の手続きをし、ケアマネージャさんや保健師さんともいろいろ相談。できるだけ早く、介護施設を探しましょう、ということに。



 自宅で看るのは無理でした。そもそも、私の体が持ちません。眼が殆ど見えなくなっていたので、目を放しているうちに転んだりしたら大変なことになるし。

 でも、何の治療もしていなかったので、病院に入れておく必要はない。お喋りの好きな人なので、なるべく沢山の人とお喋りして楽しく過ごせるようにと、介護施設を探しました。


 何ヶ所まわったでしょうか。どこも早くて半年待ち、1年待ち。そんなの待ってられないし……。保健師さんとも何度も相談し、高くてもすぐ入れる施設を当たりましょう。ということで、資料を集めました。

 


 そして、その日、そのことで保健師さんと相談する予定だったのですが、病院に呼び出されます。


 急変でした。危篤状態。


 え? 待って、え? もう? まだ施設探してるんだよ、じいちゃん? あれ?


 って気分です。


 どんだけ私があなたのために一生懸命動いてるか、わかってんの?! あなたの我儘に散々つきあわされて、腹立ちながらも頑張ってるのに、何? 危篤状態ってなんなのよ? どういうことよ!? 


 そんな、嫁の腹立ち虚しく、その後、数日で、義父は、呆気なく亡くなってしまいました。



 あれだけ酷いこと言われて、家の中滅茶苦茶にされて、義母様の恨みもあり、夫の憎しみもあり、絶対に許さないと思っていたのに。入院やら引越しやら、仕方ないから私がやってるけど、ホント迷惑極まりないと思ってたのに。病人だからって我儘ばっかり言って、めちゃめちゃ腹立てたりしてたのに……


 義父の葬儀で、号泣してしまいました。何で泣いてるのか、自分でもわからないの。なのに辛いの。身体のどっかから気持ちが溢れてきて、席をはずして、一人でわあわあ泣きました。


 なんだったんだろうなぁ、あれ。



 とにかく、私の家出の原因となった人は、自らも家出して、家族みんなに散々散々迷惑をかけて、骨になって帰宅したのでした。


 皆様、どうぞ、家出は計画的に。

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