Do You Love Yourself?

〈Ⅰ. Do you know yourself?〉

僕らはそれぞれ見ている景色が違う

あるいは結果が一つでも解釈が異なる

だから答えが無数にあることになる

そして僕らは話せばわかると誤解を続ける


最初から方向性が定まっている

だから何を言われても“そのように”読み取る

僕らは同じところをぐるぐる回っている

それがわかっていても脱出方法を知らない


停滞や後退の方がまだマシだ

少なくとも危機感を抱けるから

僕らはみんな前進しているつもり

本当は環から全く出られない状況


だけど彼だってより良い世界を目指してる

別に世界崩壊を夢見てるわけではない


〈Ⅱ. Are you talking to yourself?〉

論理基盤の異なる相手と話すには

一体何をどうすればいいのだろう

前提の共有もできないし文脈の解釈もそれぞれ

言ってるそばから話にならない


彼にとって異なる理論は

自分の存在基盤を揺るがされることに他ならない

だから意識的にしろ無意識的にしろ

“防御”する 全身全霊で耳を貸さない


しかし自身の一切の変化を認めないなら

議論の、対話など必要ないはずだ

しかしそもそも議論をするに不可欠な、

論理学を我々は習得していない


少なくとも俺にはない

対偶とか逆とか裏とかさっぱりだ

だからきちんと勉強しなければ

でなければテーブルに着く資格はない


しかし、仮に俺が達人になれたところで

相手も同じでなければどうにもならない


だから我々には別のやり方が要る

論理を超越した全く異なるアプローチが


〈Ⅲ. Can you kill yourself?〉

しかし、“存在基盤を揺るがされ“ることの

我々は一体何を怖れているのだろう?

確かにそれは自身の“これまで”を否定すること

しかし全肯定ができるはずもない

あるいは全肯定されなければ自己を保てないぐらい自己肯定感が低いのか


俺は、無意味な日々も過ごしてきたと思う

それをきちんと受け入れなければならないと思う

しかしだからこそ、それを含めたその上で

今ここにいる


だから、意味があるとかないとかは

“何にとって”ということで

全てが“今”に繋がっている、と、そう想えるのであれば

それ自体はどうでもいいことなのではないか


自分のこれまでを否定することを怖れる

それは、危険だ

“今”何がどうなっているのかをきちんと見つめていない

“これこそが最善”と、“思い込みかねない”


〈Ⅳ. Are you living yourself?〉

しかし、例えば、今、俺には、大切なものがある

それと一緒にいられるためならなんでもする

“だからこそ”今が最善なのだと思うことを

俺は危険だと思っている


全てに意味があるから、今、大切なものと出会えた

ではもしも意味がなければ出会えなかったのか

そんなことはとても考えたくない 耐えられない

だから自分は正しいのだ、と、思い込む


そう結局、その大切なものに全責任を押し付けているだけなんじゃないか

“押し付けている”から安心して喜べているんじゃないか

だから、人間が存在基盤を揺るがされることを怖れるのは当然だ

自分の“泥”を、目の当たりにすることなのだから


でも、自己否定しても自己嫌悪にならなければ

それはやっぱりどうでもいいことだと思う

“何にとって”“それ”を“今”に繋げれば

自分を愛せるのか、が、わかれば


〈Ⅴ. Do you love yourself?〉

そうだ我々には別のやり方が要る

論理ではないアプローチが

でも、それはそれでそれとして

君は自分のことが好きかい


今、自分のことが好きな気持ちも

大切なものを大切だと思っているのも

あるいは全部辻褄合わせをしているだけなのかもしれない

自分の世界を守るために


でも、世の中何が起こるかわからない、

物事にはなるようにしかならない、

その時のことはその時にならないとわからない、

そんな“今”をきちんと見つめられるほど、受け入れられるぐらいには

君は自分のことが好きかい?

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