幼女に転生したらロリコンの義母ができました

瀬戸 出雲

久遠 依真

「ただいま……」


 今日は祖母の葬式だった。おばあちゃんっ子だった私は、受け入れたくない現実にたくさん涙を流し泣き疲れた体に虚無感を抱え自宅のドアを開ける。

 いつも返ってきた「おかえり」という返事がないことが更に虚無感を大きくしつつ、今日も生きていくために夕飯の支度をする。

 と言っても、ここ最近は料理をする気力や、食欲すら湧かないため、カップ麺や冷凍食品を胃の中に詰め込む日々だ。


 私は、久遠 依真(くどう えま)。女、19歳で、写真館で働いている。

 父は私が母のお腹にいる頃離婚、一度も会ったことが無い。

 母は父と離婚した後、祖父が他界し、祖母一人となっていた実家に私を連れて帰省。幸い共働きであったため職には困らず働きながら私を育ててくれた。

 しかし、私が中学に上がって少し経った頃、病によって倒れ、そのまま息を引き取った。

 そして私は祖母に育てられることになった。


 母の実家に住むことになった頃から私はよく祖母に面倒を見られていて,祖母が大好きだった私は、母を失った後も祖母がいることにより笑顔を失わずにいられた。

 母は沢山稼いでいて、貯金も沢山残っていたため私は高校に進学することができた。

 大学に進学することも可能だったが、これ以上祖母に迷惑をかけたくなかったし、恩返しがしたかったので、就職することにした。高校の担任からの紹介で写真館に就職した私は、恩返しのために頑張ろうと決意した。


 写真館に就職してから半年後、祖母が交通事故で他界した。祖母の日課である散歩中の出来事だったらしい。

大好きだった母と祖母を失った私には、もう何が残っているのか分からず、虚無感のみを感じている。


母のこともあり、人が死んだときに何をすればよいか知っていた私は淡々とやるべきことを済ませて、葬式までを済ませた。


そして今に至る。

お気に入りの冷凍チャーハンもいまでは味が良くわからない、とりあえず胃に詰め込んで皿を台所の流しに置く。


「はぁ…、おばあちゃんの物も整理しないと」


 食事を終えた私は動きやすいものに着替え、祖母が残したものを片付けるために祖母の部屋に向かう。

コレクター気質のあった祖母の部屋には多くのものが置いてある。その中にはクマのぬいぐるみやアクセサリーなど、女の子らしいものもあれば、土偶など、なぜ持っているのかわからないようなものまで置いてあった。

 大量の遺品を整理しなければならないことを少し面倒くさいと思いつつ、残すものと捨てるものに仕分けていく。その中で赤い宝石がはめ込まれた指輪をみつけた。


「きれい…、でもおばあちゃんこんなの持ってたっけ?」


 祖母の集めたものは小さいころからよく見せてもらっていたため全て知っているはずである。だがこの指輪だけは見たことが無かった。


「えっ? うっ……」


 なんとなく指輪を自分の指にはめた瞬間宝石が強い光を放った。




 光が収まり私はゆっくりと目を開ける。


「なに? ここどこ?」


 なんと目に入ってきたのは私が今いた祖母の部屋とは違い、絵本に出てくる魔女の部屋のような少し不気味な部屋だった。天井がとても遠い、広い部屋だ。

 

「こ、この子は……」

「ん? だれ?」


 急に頭上から声がした、驚いて上を見るとそこには私の倍以上の身長を持つ人がいた。黒いドレスを着ていて、赤くて長い髪を横から垂らしているので多分女性だと思う。目も赤い。すごく綺麗なお姉さんって感じの人だ。

 この部屋の広さは、彼女の身長に合わせたものだろう。私はほぼ真上を見る形で彼女の目をのぞき込む。すると彼女は次第に目を輝かせて、


「うおおおおおっ! 幼女っ! 幼女だっっ!!」


「はい?」


 わけのわからないことを叫んだ。

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