②
K君が命を絶ったのを僕は人づてに聞いた。
本当のところは本人にしかわからないのだろうが、彼は再婚した両親からひどい仕打ちをされていたようだ。
再婚相手との間に生まれた年の離れた弟を両親はかわいがっていたのだという。
働いた給料はそのほとんどを奪われ、両親の借金返済も一人でしていたらしい。
K君は自殺の中でも一番苦しいといわれる方法で命を絶った。
彼なりの訴えだったのだろうか。
あの心優しいK君が誰にも相談することなく命を絶った。
すごく仲良かったわけでもない。彼の走馬灯には僕は出てこなかったと思う。
ただ、彼が死を選択したことで、僕はなんだかむなしい気持ちになった。悲しくなった。
皮肉にも彼が死んでから、彼のことをよく考えるようになった。
間違いなく彼の死は周りの誰かの意識を変えた。
何がどう変わったのかはわからない。
ただ僕は彼の分も一生懸命に生きようと思う。
偽善なのか、一時の感情なのかわからないが、今はそう思っている。
K君、いつか僕がそっちにいったときには、あの頃みたいに笑いあおうね。
救えなかった人 @ren9119
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。救えなかった人の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
飼い猫が扁平上皮癌になりまして最新/中頭
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 8話
走らなくてもバイク乗り!最新/笹岡悠起
★12 エッセイ・ノンフィクション 連載中 30話
越痴園随筆最新/黒石廉
★21 エッセイ・ノンフィクション 連載中 89話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます