★キャラクターシート ②
注:三章エピローグまでのネタバレを多分に含みます!
三章完結時点での登場人物の解説です。あくまでまとめなので、特にお読みいただかなくとも本編の理解に支障はありません。
また、キャラクターシート①に書いてある情報は基本的に省いてあります。
・イドラ
主人公。不死殺し。
聖堂にて、空間を膨張させる『空間斬裂』の能力を自らのギフトに見出した。
ヴェートラルの一件が終わってからは、ソニアのことでなにかとごたつき、デーグラムの町に留まっていた。しかしレツェリが送り出した一通の手紙から、またしても旅が幕を開けることとなる。
不死の力の源泉を失い、ゆっくりと尋常な人間へと戻ろうとするソニアの身を強く案じている。ソニアが健やかに過ごすことこそが、いつしかイドラにとっての願いになっていた。
●ギフト:マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
未だ青き負数の短剣。
異常なマイナスのATKの値により、どんな傷をも治し、イモータルを傷つけることができる。
レアリティ1のギフトは空間に作用する能力を持つ。マイナスナイフの場合は、『空間に刃を触れさせる』ことこそが能力である。しかし先述通りATKの数値が異常なせいで、空間を斬った結果、決まった形を持たない空間というあやふやな入れ物が膨張してしまう。
これにより、広がった空間に押されることで疑似的な瞬間移動が可能。
空間斬裂の際は、対象とする空間を『壁』として認識している。
・ソニア
レツェリによる『不死宿し』の人体実験の被害者。そのひとり。
三章エピローグ時点では
しかしその髪は、今のところ白いまま。
毎夜の発作はなくなり、
また、甘さ以外感じられなかった味覚も徐々に戻ってきた様子。食事を楽しむ姿を、イドラは穏やかな目で見つめている。
マイナスナイフを楔とした肉体的な依存も、自身に宿る不死の罪を肯定する精神的な依存も、今となっては消え失せた。それでも、イドラのそばに居続けることが彼女の願いだ。
●ギフト:ワダツミ
エピローグにてとてつもない酷使をされた日本刀のギフト。
仕様書に一億リットル出すことを想定した文はない。
元々はウラシマが帯刀していた。
・レツェリ
葬送協会の司教。……だったが、エピローグからは哀れ囚人に。ただし自業自得。
見た目は二十代といったところで、声も若々しいが、自身のギフトで肉体の老化を大きく抑えている。実年齢は三章時点で128歳。
そのことを隠すため、司教の時はずっと面紗をしていた。が、囚人になってからはそんなものは望むべくもなく、司教の証であった真っ白いローブも剥がされ、代わりにベルチャーナの渡した黒い外套と手枷、そして赤い左眼を封じる金属製の厚い眼帯がトレードマークに。
その願いは不死を手にすること。齢百を超え、長い年月の中で、その願望は一切損なわれることはなかった。
不死のアプローチとしては、空より人間が賜るギフトや、魔物の有する魔法器官に目を付けていたこともあったが、ここ数年のトレンドはもっぱらイモータルである。不死殺したるイドラのマイナスナイフによって生じた『白砂』、イモータルの死骸とも言えるそれを得てレツェリの研究は大きく躍進する。
白砂を加工し、体内に埋め込むことでイモータルを人間に宿らせる『不死宿し』計画。それに選ばれたのは偶然集落の外側に出ていたソニアと、タイミングよく不祥事を起こしたオルファだった。
無限の時間があれば、人間はあらゆる悲劇に耐えることができる——そんな思想を持つ。
悲劇にも様々な事象があるが、すべての人間が生誕の祝福を受けた瞬間から決定づけられる、不可避たる死の終焉こそがもっとも明確なそれである。
そして、明確な悲劇に対しなんの対処もしないすべての他者が、彼の赤い左眼と黒い右眼には、「死を受け入れている」ようにしか見えなかった。
レツェリはまっとうな人間の感性から外れていた。しかし、そんな彼から見れば、狂っているのは自分以外の他者すべてだっただろう。
だが、人間が不死身を手にすることによるあらゆる問題。それさえも、無限の時間があればいずれは解決する。そう信じているからこそ、彼は不死を手にする方途が明らかとなった時、それを独占するつもりはまるでない。
年齢を揶揄されるとわりかし簡単にピキる。
●ギフト:
ATK:0/DEF:0/INT:100/RES:20/RARITY:1
赤色の義眼。鈍く光っており、普通の眼でないのは一目瞭然。
このギフトを手にした際レツェリは自身の左眼球を摘出し、それ以来118年間ずっと、この赫赤の眼球は左の眼窩を埋めている。
100年に一度のレアリティ1。空間に作用する能力を持つ。
指定した空間の時間をごくわずかな一瞬だけ遅らせる。
『箱』のイメージで空間を区切り、その立方体の範囲を指定して発動する。そうすると、遷延された空間の内と外では流れる時間にギャップが生じ、箱の境界面にある動体はすべて切断される。
空間を視る。その一点において、イドラとレツェリは同じ目を有している。
しかし、イドラが空間を『壁』——つまり面で捉えるのに対し、レツェリは立体的な『箱』で捉える。発動プロセスが三次元的であるがゆえに、その複雑さからこのレツェリの空間断裂の能力は、イドラの空間斬裂に比べて若干のタイムラグを有する。
言って見れば、マイナスナイフは天敵である。
ほかの弱点として、遠い場所や、目の届かないところに能力は発動できない。レツェリのイメージする仮想の箱を視界内に配置できないためだ。これは液体や煙で遮られても同様である。
またある種当然ではあるが、眼球の埋まる自身の肉体は、『箱』をイメージするまでもなくこれ以上ないくらい精密にその形を把握することができる。そのため自身においてのみ、その肉体の老化時間を抑えることができる。だがあくまで抑制に過ぎず、彼の望む不死、永遠の時間的猶予を得るには程遠い。
●ギフト:アイスロータス
ATK:3/DEF:2/INT:64/RES/17/RARITY:17
かつてヴェートラルに聖封印を施した英雄、ハブリが持っていたとされるギフト。
葬送協会にて保管され、レツェリは秘密裏にそれを度々持ち出しては使っていた。
レツェリが立場を失ったため、現在はミロウの手で改めて聖堂に保管され直した。彼女であれば、悪用するようなことは決してないだろう。
・ベルチャーナ
司教代理の仕事があるためデーグラムの聖堂を離れられないミロウに代わり、エンツェンド監獄から『箱船』への案内をさせるレツェリの監視役として協会から派遣された、イドラたちにとって馴染みのエクソシスト。
戦闘向きとは言えないギフトに選ばれながらも、その身体能力と聖水の扱いによって協会随一の優秀さを手にした。
かつては北方のテートレスという町に住んでいたが、9歳の時に襲ってきたイモータルによって家族を惨殺された。それ以来、葬送協会の修道院に入り、イモータルへの復讐を誓う。
しかし望み通りエクソシストになっても、不死の怪物にできることは、葬送と言って地中海中に埋めるだけ。本当にこれが弔いになるのかと疑問を感じていたところで、完全にイモータルを殺しきる不死殺しの話を聞き、密かに嫉妬を覚えていた。
同時に憧れがあり、妬みと羨望がごちゃまぜになった気持ちを上辺だけの溌剌さで隠し、偲ぶように抱えてきたベルチャーナだったが、箱船を目指す旅の中でふとイドラにその一端を漏らす。
その日を契機に気持ちは隠しきれないほどに膨らみ、しかしイドラの目が一番に見据えるのは、いつも——
●ギフト:ヒーリングリング
ATK:0/DEF:0/INT:0/RES:100/RARITY:5
ベルチャーナの胸元を飾る、銀色のリング。
傷を癒す力を持つ。
・ミロウ
家族への危害を脅され、レツェリの傀儡となっていたエクソシストの筆頭。しかし、幼いソニアや元同胞のシスターにさえその魔の手を伸ばしていたと知り、父より継いだ正義を胸に反旗を翻す。
聖堂の廊下でレツェリに挑むも、左腕をその赤い眼球の力に切断された。
聖堂の一件以降は、ひとまず司教代行として混乱する協会をまとめている。なにかと忙しく、忙殺される日々のようだ。そのため箱船を求めるイドラの旅には同行できず、代わりにベルチャーナを送り出した。
片腕といっしょに出番まで失ってしまった。
●ギフト:
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:10/RARITY:5
微かに光る、ごく細い糸のギフト。計10本。
複数本をより合わせることでまとめ、力と意識を集約させる「
・ウラシマ
髪の長い、落ち着きに満ちた美麗な女性。
三年前、シスター・オルファによって殺害された。イドラに『雲の上に行け』と遺言を残す。その死体は忽然と消失した。
イドラたちが転移した現実世界において、方舟と呼ばれる組織の病床に彼女と同じ顔をした人物が安らかに眠り続けている。
・オルファ
かつてイドラの住むメドイン村にイモータルを誘導し、さらにウラシマを殺した、穏やかな村に不幸を招いたシスター。
ちょうどよいタイミングで協会を追放になった彼女は、不死を研究する実験体を欲しがっていたレツェリに目を付けられ、秘密裏に人体実験を受けていた。
胎内にイモータルの砂で形成した核を埋め込む『不死宿し』を受けてからは、正気を容易く喪失した。
聖堂の一件が終わり、ソニアと同じように不死の核を取り除かれはしたが、あまりに蝕まれすぎた心は元に戻ることなく、廃人同然の日々を協会の保護で過ごしている。
イドラにとって、大切な恩人を殺した相手ではあるが、同時に同じメドイン村で過ごしてきた人物でもある。そのため、どうあれいつの日か、再び正常な意識を取り戻せるようにと願っている。
●ギフト:ホーリー鎖鎌ちゃん(正式名称:シルバースネーク)
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:0/RARITY:25
本人の意向によりふざけた名前を付けられている。
別段、特筆すべき事項はない。
・ケッテ
エンツェンド監獄の主任看守部長を務める男性。38歳。独身。ギフト不明。
囚人を信用しておらず、その峻険なエメラルドグリーンのまなざしを罪人たちに突き立てる。
一罰百戒。罰は過剰なほどに強く行うことで、他の囚人への見せしめとすることが肝要である。そうすることが、結果として全体の規律につながるはずだ——そんな信念を胸に抱き、彼は日夜過酷な寒さに晒された監獄で、自らを歯車として働き続ける。すべてはよりよい社会、そして健全な監獄のため。
特に再登場の予定はない。
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