恋と愛の形

はす

第1話折り畳み傘

 恋愛感情、初めて芽生えるのは早い者だと幼少期と言うこともある。そして人生のうちにそれを知らずに終える人はきっといないだろう。

そう俺、日向 玲も例に漏れず何度も恋をして、その恋を終わらせてきた。だが俺の彼女いない歴=年齢がこんな形で終わるとは思っていなかった。それは何の変哲もない放課後の出来事だった。


 その日は雨だった、傘がなく校門の前で雨が止むのを待ってた。


「傘、ないんですか?」


振り返ると、知らない女子がいた。


「そうだけど、何か用?」


うちの高校はネクタイで学年の区別が付くため、相手が一つ下の後輩だと言うことで、敬語は使わなかった。


「私、折り畳みを持ってるのでこれ、よかったら使ってください」


そう言って綺麗に折り畳まれた、傘を差し出される。


「え?ほんと!めっちゃ助かるよ」


傘を受け取る。そして返すためにクラスと名前を知らないとまずいことに気づいた。


「ねぇ、明日返すからさ、クラスと名前教えてくんね?」

「返さなくていいです。」

「え?」


想定していた答えと違ったせいで理解が遅れた。


「いやそうはいかないって」

「それより先輩は帰り道向こうですか?」


俺の言葉を遮って、指を刺して聞かれる。


「いやそうだけど」

「せっかくなので途中まで一緒に帰りませんか?いつも一緒に帰ってる友達は今日委員会で1人なんです。」

「まぁそれくらいなら構わないけど」

「では、帰りましょうか」


そう言って彼女は歩き出す。俺も借りた傘を丁寧に開く


「ん?」

「どうかしましたか?」

「いやなんでもない」


なんかこの傘に見覚えがあった気がしたが気のせいだろう。傘なんてどれも似たようなものだしな。


俺は彼女を、追いつくように早歩きで帰路に着いた。


「なぁ、お互い初対面な訳だし自己紹介くらいしないか?」


返さなくていいと言われたもののそうはいかないので自己紹介を提案した。


「そうですね、私は春菜 美玲です。わかってると思いますが一年です」

「俺は日向 玲。よろしく」

「なにをよろしくするんですか?」


予想外な事を言われ動揺する


「は?結構面倒な性格してる?」

「女の子に面倒とかいってると、嫌われますよ?」

「余計なお世話だ」

「その感じは先輩彼女とかいないんですか?」

「煽ってんの?」

「煽ってませんよー、先輩かっこいいしモテそうなのに」


なんなんだこいつは、ウザいな、傘を借りてる恩がなければ絶対関わらないタイプだ。しかも俺がかっこよくてモテそうだって?少し反撃してやろう、俺の伝家の宝刀


「だったら、君が俺と付き合ってよ」

「いいですよ」


フフフ、大抵モテそうなのに、とか言ってくるやつはこういえば微妙な顔をして、「それはちょっと」とか言って困るもの、だ…こいつ今なんて言った?









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