無限ダンジョン攻略パーティーは今日も最深部を開拓する。

あずま悠紀

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「ようこそ、勇者よ。異世界への転生をご希望の方ですね。承りました」

女神はそう言った。

「あぁ、俺は異世界に行ってみたい。ただ、チートスキルも無いし……いきなり魔王とか倒すような能力も持ってないけど大丈夫か?」

俺の言葉に女神は無表情で応える。

「はい、もちろんですとも。勇者になられても世界を救う必要は無いのです。貴方の目的は異世界で幸せになることにあります。ですから……」

「だから?どうすればいいんだ?」

俺の問い掛けに、女神の姿が一瞬歪んで見えた。すると突然視界が暗転し、俺は真っ黒な空間に立っていた。周りには黒い渦のような物体が浮かんでいる。そしてその向こう側に見えるのは……。あれは何だ! それは、巨大なモンスターだった。

俺の知っているドラゴンとはまるで違った姿をしているのだが何故かそれだと解った。それは圧倒的な威圧感を放ちながらゆっくりと近づいてくる。そのあまりの巨大さに俺は身動きすら出来ない。しかし、それが通り過ぎると目の前に道が出来ていたのだ。俺はそれを呆然と眺めていたがやがてその道を歩き始めることにした。

しばらく歩いていると今度は大きな扉が見えてきた。それは禍々しいオーラを放っている。

ギィィィィーーッ!! 扉を開くとそこは広大な空間であった。中央に祭壇らしきものがあるが何も置かれていない。辺りを見回すが何もないように見える。しかし何かあるのかと注意深く見つめているとある事に気がついた。そこには先ほど見たドラゴンがいたからだ。それは巨大な翼を広げ悠々と空を飛んでいた。こちらを見てニヤリと笑っている気がする。

何だ?これはどういうことだ?なぜこのドラゴンがここにいる!? その時だ。あの無愛想な声が再び頭の中に聞こえて来た。

<では今から、貴方の魂を異次元へと移動させます> はっ!?魂を移動させるとは一体なんなんだ?そもそもあんた誰だよ?

「私はあなた達の世界の管理を任された神のようなものと思って下さい」

はっ!?じゃあ俺が死んだあとの世界の管理人ってことか!? <そういうことです。これから貴方が行く世界は地球よりもずっと文明レベルが低い場所です。つまり、剣や魔法といった技術が存在するファンタジー的な世界でございます> はははっ、やっぱりね~

そうなんだよ、こういう世界に転生してみたいな~とか前々から思ってたんだって! <まぁ、貴方の場合は元々地球人でしたが、その体は既に火葬されていましたし丁度良かったんじゃ無いでしょうか?私としてはどちらでも構わないんですが> はいっ!喜んで引き受けますよ、任せて下さい< 女神は俺の心の声に応えるように言葉を続ける。

<そう言って貰えるとありがたいですね。私の管理下であるこの世界の人類には、勇者システムを導入しています。このシステムは簡単に説明すると、魔王を倒すために神様が人間の中から選んだ特別な能力者達によって結成されたチームなのですが。彼等は神の使徒として選ばれた存在となります。しかし魔王討伐の為に召喚されたのにもかかわらず彼等はその目的を忘れて、自分達の世界に帰ってしまったり。中には自分の欲を満たすためだけの行動をしたりする者もいて困っているんですよ> はっ、そうですか でもそんなことより俺の目的なんだけどさ、もうちょっと具体的な説明はないわけかな?例えばそうだな~

好きなゲームのキャラクターの能力なんかが使えるとかできないの?ほらあれだよ、ゲームのラスボスとかの必殺技を自分なりにアレンジできるとかさ!<あぁそれくらいなら可能ですよ。貴方には勇者の力が付与されているはずです。ステータス画面を開きスキル欄をご覧下さい> えっ?本当にいいの?やったぜ! 俺は嬉しくなって早速確認を始める。ステータスと唱えてみた。目の前に半透明のプレートが現れたのだ。

おぉー、すげぇーこれどうやって操作するんだろうな、取り敢えずスキルのところを触ってみよう、するといくつかのアイコンが表示された。

まずはステータスだ。これが自分の現在の強さを示してくれるらしい。次に各種ステータスの割り振りを決めることが出来るようだ。最後に所持している武器などの装備が表示されるようだ。

よし決めたぞ、俺は最強キャラを目指すことにする。

攻撃力全振りにしてみることにした。そして次に各ステータスの割り振りを決めたのだがここで問題が発覚する。俺はどう考えても戦闘向きの性格ではない。俺はインドア派なのだ。だから防御に振り分けたのだが、俺の場合どう考えても紙装甲になるのだ。攻撃に特化し過ぎるのもよくない、やはりバランスよく鍛えることにしよう。そして全ての項目のチェックが完了したところで女神の言葉が続く。

<これで初期設定の入力は全て完了しました。それではこれから転送を行います> すると突然俺の身体は足元の地面が無くなったかのように浮遊した。どうなっているのだろうか?と思案していると、俺の周囲に浮かんでいた渦の一つが俺を飲み込もうとする。俺は抵抗することなく身を任せるのであった。こうして俺の冒険が始まったのだった。

そして今。

俺は冒険の旅に出て数日、ようやく目的地に到着したのだがそこで見たものは、想像もしていなかったような世界が広がっていたのだった。◆◆◆

俺はこの数日間の間に多くの事を学んだ、俺はまず言語習得に苦労することになった、というのもここの言語は地球とは全く違うもので、発音からして理解できなかったからだ。それでも俺は頑張って会話出来るまでになった。ちなみにその努力の大半は食事によるものだったりする。何を食べても美味しかったのだ。しかしそんな俺の努力も虚しく、俺の日本語は完全に忘れ去られてしまった。なぜならば言葉の壁を乗り越えてからというものの、俺の生活環境は大きく変化していたからである。まず最初にこの世界で生活をする上で必要だと思われるものを購入しなければならなかった。幸い資金はたっぷりと持たされていたのだが、お金の価値が解らなかったのだ。これは困ったものだと思っていたが、すぐに解決することになる。

「こんにちは、本日は何をご入用でしょうか?」

ここは市場のような場所であり、色々な物が売っているようである。買い物をしている人達の様子を見て判断したところだが、恐らく値段表のような物があるのではないかと思い至ったのだ。なので近くを通りかかった女性店員を捕まえて聞いてみる事にしたのである。

「はい、何でしょうか?」

「えっとね、あの棚に置いてある小袋のセットが幾つ欲しいの」「かしこまりました。それでは、金貨一枚で10点お買い求めになります」

「えっ?あぁそうなの。はい、どうもありがとうね!」

何ということだろう。通貨の単位が違う。というか、この世界の通貨がどういう単位なのかが全く解らないが取り敢えず一万円程度と考えて良いのではないかと思っている。俺が買ったものは、大銅貨二枚、小銀貨四枚の計八点である。まぁ妥当なところだろうと思う、物価が高いのか低いのかさっぱり見当がつかないからだ。ただ先ほどの小物の価格は、俺のいた世界の感覚で言えばそれほど高くはなかったように思える。これはあくまでも主観だが、あまり大きな差はないはずだ。それに先ほど手に入れたこの貨幣は地球の物とは違う。つまり同じ国や地域の通貨でもないのである。なのであまり当てにしない方が良いだろう。それよりも今は今後の行動計画を考えなければならない。これからの行動についての方針を決めなければ。俺はこの世界の知識がない、よってこれからどのような生活をしていかなくてはならないのかを真剣に考えなくてはならなかった。

「ねぇあなた。ちょっといいかしら?貴方、どこかの貴族の方ではありませんこと?こんな所で一体何をしてらっしゃいますの?私達は旅の途中なのですけれど」

ふむ、何やら俺の事を不審に思って話しかけてきた少女がいた。その女の子はかなり上品な服装に身を包んでいる。年齢は12歳くらいか。長い金色の髪をポニーテールにしている。瞳の色は深い青だ。背筋がぴんと伸びていて姿勢が良く育ちの良さを感じる。しかし顔付きから受ける印象がかなりキツそうである。まぁ確かに俺のような怪しい男に対して話し掛けているのだから警戒される気持ちも分かる。俺だってこの子が目の前でいきなり剣を抜いたりしたならば即座に逃げるだろう。とはいえ別にこの子を騙したり、何か悪さをするつもりはないので誤解を解くことにしなくてはならない。俺は素直にこれまでの経緯を話すことにした。ただしチート能力をもらって転生したことについては話さないことにした。

俺の話を聞くとその金髪の少女は少し表情を和らげてくれたのだが。まだ完全に納得はしていないようだった。

「そういうことだったのですね、それは失礼致しました。私はリン、彼女は妹のアイですわ。私の家は代々貴族の家系でして。私は跡取り娘ですの。でもその、あまり裕福な暮らしをしておりませんのでこのような場所で働いて生活している次第ですの。でも先程貴方が言ったような、貴族が平民のように振る舞って生活するというのはあり得ないことなのですけどね。まさか貴族の方とは思わずつい失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした。貴方がどの様な立場であろうと、この国の為、私達市民を守って下さっているのには変わりありませんからね。どうか許して下さいまし」

リンはそう言うと深々と頭を下げてきた。俺は慌てて頭を上げる様に言いつつ、自分が身分を隠していたことを詫びると、彼女も自分の方が先に名乗り出なかったことを謝罪してくれた。それからお互いに気まずくなった空気を和ませようと自己紹介を行うことになった。

リンと名乗った少女の名前は、この辺り一帯を収める貴族の三女であり長女は既に亡くなっているとのことで現在家督を継ぐのは彼女になるようだ。ちなみに妹はまだ幼く、家督争いなどが起こるようなことは無いらしい。

俺の事は、たまたま街へ立ち寄った流れの剣士という設定にした。勿論偽名を使っている。俺は名前を変える時が一番面倒だと思うタイプだ。自分の名前を適当に付けるとか絶対無理だし。そもそも本名で生きてきてその名前をずっと使っていたので違和感しかないのだ。

そして彼女の連れは、お付きのメイドさんで名前はサラ、15歳の可愛いお嬢さんだ。そしてもう一人お爺ちゃん執事のセバスチャンが同行しているが、この人はかなり偉そうだ。

三人は冒険者として登録するために王都へと向かっている最中である。俺が冒険者に成りたいと告げ、そして彼等が乗合馬車を探してくれるという事でこの広場に来たのだという。

俺はそこで改めて彼等の事情を聞いたのだが、この街が王国内でも特に栄えている大都市であることを教えて貰った。しかし治安が悪くなる時間帯になると強盗の被害が増えてくるらしく。護衛の冒険者を雇う人も増えていく傾向にあるため比較的冒険者の数は多くなってくるそうだ。

ちなみにこの街には冒険者ギルドと呼ばれる施設は存在しないそうだ。その為か他の都市に比べて魔物の出現率が高い地域になっているとのことである。

しかしそんな説明を受けている途中で俺は一つの可能性に気が付いてしまったのだが、もしかしたら俺は勇者の力を手に入れてしまっているかもしれないということだ。そう考えると色々と思い当たることがあったりするのだ。例えばステータスを割り振ったときの攻撃特化ステータスとかは、もしかして勇者の力と相性が良いんじゃないかと思ったりもするわけだ。まぁなんにせよもう少し調べてみないことには解らないのだけれどもね。それともう一つ気が付いちゃったことがあるんだよねー。ステータス画面ってどうやって消すの?あれ? えーーーーっ!!嘘でしょ!マジですか!もういいです!俺もう知らない!もう帰る!おうちにかえしてー!あぁぁぁああ!誰かヘルプミィ! <お困りのようですね、サポートシステム起動> おぉぉぉー、来たよ。遂に来てしまったんだよ、こいつが。この世界で唯一の頼れる味方なんだけどね、何気にこいつのおかげで今まで何とかなってたりするんだよ。本当に感謝してます。でも、できれば来るのもっと早くにしてほしかった。俺も忙しいんですよ。

俺は早速今の状況を詳しく伝え、どうにか出来ないものかと質問してみたのだが。答えはノーであった。何でも出来るような存在ではないようなのだ。なんでも出来れば苦労しないとの事であった。残念。俺が肩を落としているとサポートシステムのやつが何やらブツブツ言っている。どうやら何か閃いたらしいのだが教えてくれない。まぁそのうちに解るだろう。それならとっとと帰ってゆっくりしたい気分なのだがそうは問屋が卸さないらしい。どうやら冒険者は命の危険を伴う職業であるため信用が大事だということで身元の確認を行わなくてはいけないということになってしまったのだ。どうしよう。ここで冒険者やめさせてくださいと言ってしまおうか?それじゃまるで詐欺師みたいじゃないか?どうする?どうする俺?いやまぁ、このまま続けるつもりだけどね。

こうして俺は、三人と引き合わされる事になった。まず最初に出てきたのは俺の身長の半分にも満たない小さな子供だった。見た目は7~8歳といったところだろうか。銀色の髪をしている。目は金色だった。顔立ちがかなり整っていて、人形のように見えるのだ。そしてこの子だけ、何故か豪華な服を着用しているので恐らく貴族なのであろうと思われた。

次にやって来たのが、金髪でロングヘアー、目の色は青色の女性である。その瞳がこちらをじっと見つめてきているのだが、値踏みされているようで非常にやりにくい。

最後に、現れた女性はかなりの長身の持ち主でありモデルのようにスタイルの良い体型をしているのだが何ともいえない雰囲気を放っている。そして何より特徴的なのが、腰に佩いている二本の剣でありその柄の部分にそれぞれ装飾が施されている。これは間違いなく相当な腕前の剣士に違いないと感じたのだがそれを裏付けるかの様に腰に吊るされた長剣はかなりの業物であると鑑定スキルが知らせてくれた。この人は只者でないと一目でわかるほどの迫力を持っている。もしかして俺の事が気になって話しかけて来たのかな?だとしたら嬉しいなぁ。俺もこんなに綺麗で美人な人とお知り合いになれるなんて幸せですよ。

さて、自己紹介タイムだ。俺から行う事にした。名前を言うとやはり驚かれてしまったがまぁそこはスルーすることにした。続いてお嬢さんから順番に名前を言っていく。まずリンが名を名乗った。するとアイが反応を示し「お姉さま!」と言ったのだがお姉さまと呼ばれた彼女は困惑顔だった。

「リン様の妹であらせられるアイ様にございます」

執事のセバスチャンの一言にリンはさらに戸惑っていた。そしてリンは妹に向かって何やら小声で話していた。多分「アイあなた何で知っていますの?」的なことを聞いていたと思われる。アイが何かを答えるとお二人は顔を見合わせて何か話を始めた。その後リンが口を開いた。

「貴方は、いえ、貴女様は何者であるのでしょうか?リン=エルレイン、この国の第三王女です」

はいっ!?今なんと言いましたか?この女の子のお姫様発言に俺は思わず驚きの声を上げてしまいそうになったが必死で耐え忍ぶことが出来た。何でこんなに平然としていられるのか?それは、俺はこの子が王女だというのを知っているからだ。なぜならこの国には王族の紋章という物が存在するからである。その紋章には三つの羽の生えた獅子が刻まれている。その三匹の獅は太陽を表しており、中央の羽を持つ獅子が王を示している。そして左端に居る一匹の羽の付いたライオンはその妃を表しているという訳だ。そして真ん中に居るライオンには王冠を被っているのだが。実はこのライオンは国王ではなく王妃が被るものなんだって。この辺りの設定はよくわからないけどとりあえず俺の中ではそういう認識なんですけど。そして更に不思議なことが一つある。俺はリンという名前を聞いた瞬間、頭の中で『あっ』という言葉を発した後、目の前にいる人物が誰なのかを理解できたのだ。つまりリンという名前は俺にとってとても重要な人物だったということである。だから彼女が目の前に現れた時に直ぐに解ったのは当然のことなのだ。ただ、そのリンがまさかの第二の主人公であるリンの可能性が高いというのがかなり衝撃的ではあったのだが、今はそれは置いておくことにしておく。

そして次に訪れたのは、この国の宰相であるマーロ伯爵であった。彼はリンの父親である。彼は第一王子派と反りが合わずに隠居を望んでいた。なので今回の件は渡りに船だったので協力することになったらしい。

俺はこの国の成り立ちなどを聞かされたが正直良く解らなかった。簡単に説明すると、もともと王国とはいくつかの領地からなる連合国家であり現在の王が初代の王であるということだった。そして王と貴族達は自分達の領土を治めることだけで手一杯な為他国へ侵出したりと領土の拡大を行う余力など無く、内政に全力投球することで平和を維持してきたという事らしい。しかし最近王国内の貴族の一部が暴走を始め、それに呼応するように隣国と国境を接してしまっている周辺諸国も次々と動き出しているとのことだった。

ちなみに、リンの母親はすでに他界していて既に再婚相手が決まっていて、俺とはあまり面識が無いということだった。リンには弟がいるらしく、リンと血は繋がってはいないが、この子も優秀らしいと聞かされたが。まだ8歳でしかなく。しかも病弱な為殆ど部屋から出ることも無いという話をしてくれた。リンの弟の話題になった時、彼女の顔から感情が読み取れず、どこか遠くを見るような眼をしていたことから、俺は察してしまい少し胸が痛んだ。俺はそろそろ話を戻そうと思って声を上げた。

次は俺の番だがどうしたものか。この世界の知識が無さ過ぎて何を喋っても嘘くさくなりそうだと思い悩んでいたが、結局嘘にならない程度の設定を伝えておくことにした。俺は元々別の世界の住人でありこの世界に召喚されてきたという設定だ。しかし召喚される前はどこにも存在しなかった人間だということを伝えた。

そして冒険者として生きていくのに必要な知識や情報を聞き出しそれを記憶していく作業を淡々と進めていた。ちなみに冒険者の登録については特に問題もなく終了してしまった。

そして、これから俺は三人の護衛兼冒険者として行動を共にすることになるのだが、どうやら三人は冒険者として活動するつもりはなく、あくまで王都へ向かうための護衛という位置づけらしい。冒険者として活動をする為にも登録だけは行なっておかなくてはならないということで俺の登録を行ったのだが、特に問題が起こらないまま終わってしまったため拍子抜けだと思ったくらいだ。一応身分証明証を発行してもらい身分保障を受ける手続きは完了したが、それだけである。これで本当に冒険者になれるんだろうか?と心配になるような感じだったが何とかなりそうなのでまぁいいだろう。俺はリン、アイと共に三人で冒険者をやるのだろうと思っていたがそうではなかったようだ。なんでも三人はそれぞれ別々に依頼をこなす必要があるということだった。その為、しばらく行動を共にした後に解散となるかもしれないということだ。

俺は、冒険者としての生活について説明を受けていたのだが、基本的に冒険者はギルドと呼ばれる場所に所属することで依頼を受けることができるそうだ。但しこれは一般的な話でしかないらしくて、例えば商人の専属護衛員になると個人と雇用契約を結ぶことになるとかで冒険者ではない仕事も存在するのだという。

次に報酬の受け取りであるが、この世界において金銭は貴重で価値のあるものだ。なので普通に取引を行っても現金を受け取ることはないのだと言う。

そして冒険者が受け取ることができる貨幣の単価なんだけど、これは地域によって大きく変わるそうなのだがこの国だと銅貨、銀貨、金貨と3種類が存在しているらしい。大雑把に言えばこの順で高価になっていくらしいのだが細かいことはまたおいおい説明されるだろう。

冒険者はランク分けされており、上からSSS、S、A、B、C、D、E、Fと7段階あり。それぞれ難易度の高いものほど高額なのは勿論なのだが、一番下がEランクだとすると、Fは子供でも倒せるモンスターが出現する程度の依頼、Eが一般人がなんとかなるレベルの敵が出現する依頼、といったところだろうか。Dからは一般人ではかなり危険な状況になってしまうので、ある程度訓練を積んでいるものでないと難しいレベルだといえる。逆にS、Aはそこそこの腕があり危険度も高いモンスターが登場するが討伐することが出来れば高額の報酬が受け取れるのだそうである。そしてA以上になると指名依頼が入ることもあるというから恐ろしいよね。

B以上の場合は上級者であり、国からの依頼を受けて遠征を行ったり、高難度の遺跡調査に参加したりすることもありえるのだとか。そして今回俺たちが参加するのはこの中にあるSクラスの依頼ということになる。

しかしSクラスの依頼を受けることが出来るのはBまででありそれ以上に関しては条件をクリアしていないと不可能であり、S、A級の冒険者は国に一人か多くても2人程度しかいないらしい。

Sは貴族と同等の扱いであり、国によっては非常に重んじられているらしい。貴族位よりも上位の存在として扱われている程なのだとか。貴族と同等、もしくはそれに近い権力を有する存在であるとも言えるのだがそれ故に責任も重く失敗すれば極刑もあり得る。

つまり俺の場合はSクラス相当の実力者ということになるのでこの国での滞在は安全が保証されるという事になるのだと教えられて驚いたわけだ。

しかしだ、俺は今だに半信半疑である。なぜならこの国の人達は全員金髪なのだ。そしてその特徴を受け継いでいるであろうこの子達が皆美形ぞろいというのは一体どういう理屈なんだ? そしてもう一つ問題がある、俺は今更だけども、あのドラゴンを倒すために剣を貰ったはずで、それが俺に付与されているスキルなのだと女神に言われていたが未だにスキルを発動させてすらいない。しかしどうやって使えば良いのか?全くわからないのでどうしたらよいのか悩んでいるのが現状だ。

「さて皆さん、ここから先に進むことになりますが覚悟の方は大丈夫でしょうか? 正直私には無理だと思うのであれば今から引き返していただいて構いませんよ」

リンは優しい表情を浮かべながらそんなことを言うのだが俺は全く気にも留めなかった。この世界で生きるなら冒険をしないとダメだよな! 俺がそう思って返事をしようとした瞬間、今まで黙っていた執事のセバスチャンさんが突然話を始めたのである。彼は今からこの先に何が起こるか知っているかのように淡々と語り始めるのであった。「私はこの目で見てきました。この場所の光景、そしてそこにあった物達を、全てではありませんが。だからこそ貴方達に警告をしなければならないのです」

そう言った彼は何かを決心したかの様な真剣なまなざしをしていた。そして彼は言葉を続けた。

今貴方達がいる場所は魔王城です。ここにはこの国の王がいます。王は今この場にて囚われの身となっています。王を奪還するために王弟がこの魔王城に兵を連れてやって来ました。そして彼らは王を奪還しようと試みたようですが王を守る近衛騎士達はその者達を退けてしまい。王を連れ去ったのです。しかしその後その者たちが戻ってくることはなく、それから1か月以上が経過しており王の行方は未だわかりません。その事から王弟が王の命を奪ったと考えるのが一番自然な考え方だと思われます。ですのでここにいるのは極めて危険な行為なのですよ。それでも行くとおっしゃられるという事で宜しいでしょうか? 俺はセバスチャンの話を聞いてかなり緊張してしまったが、どうやらリンとアベックはこの話を知っていたようで特に動揺することも無く、アイに至ってはいつもの調子である。しかしここで問題が発生する、実は俺は今の時点で既に自分の能力を把握しており。自分がどの程度の力をもっているかも把握している。

まず最初に俺の身体能力なのだが。実は既にかなりチートじみた能力を使えるようになっている。ただそれは自分の意志とは無関係に常時発動型で効果を発揮しているために自分の意思とは関係なく力を使い続けているのと同じ状態なのだ。そして俺が得たこの世界の力の仕組みだが。魔法と呼ばれる現象を行使できるということだ。そして魔法の威力については呪文を唱えただけで使用することが出来るという優れものだ。更に言うと、魔法の効果は使用者のレベルや魔力の強さ、そして精神力で決まるようだ。例えば俺の場合は【ファイヤーアロー】を唱えて敵に放った場合。通常では炎を矢にして飛ばすという単純な攻撃を行う。しかし、この魔法の場合では火が燃える時の温度、大きさ、勢いなどが操作可能になっているようだ。俺自身まだよく理解できていないのだが、要は熱の操作が可能ということなのだろう。さらにいうとこの魔法の効果で発生するエネルギーについてもある程度操ることが可能なようだ。この魔法を使う時に念じるという行為はイメージを固めるためのものに過ぎず。本来詠唱を必要としないようだ。

俺はセバスチャンの言葉を聞いて少し悩んだ。正直このまま進めば確実に命の危険があるらしいが。俺はどうしようかと悩む。俺も勇者として召喚された人間なので一応正義の心というものは持ち合わせているはずだ。なので俺は困っている人を見捨てることは出来ない。そう思った俺が、よしっ!行こうと思った時。今度は別の人物が俺の考えを否定し始めた。そして、そいつはとんでもない事をやり始めてしまったのである。

なんとその男はおもむろに立ちあがり、まるで舞台に立つ俳優のような大仰な仕草をした後こう叫んだのである。

「お前は何を馬鹿なことをしているんだ!!俺と一緒にこの世界を救う為に頑張ろうじゃないか!!!!!」

そろそろ飽きてきたぜ!さてさて、これからどうするか。まぁ俺の目的は変わらないんだけどね。さてさて、俺とリン、アイ、セバスチャンさんの四人は魔王の城を進むことに決め、ついに行動を開始した。さすがに何も装備が無いままだと厳しいということでリンと俺は剣と防具を身につけることにしたのだが、セバスチャンさんは武器を持っていなかったので、リンが予備にと置いていたロングソードを差し出した。そして俺達はいよいよダンジョンの中に足を踏み入れるのだった。

リン、アイは戦闘スタイルが似ているため一緒に戦うのは問題がないのだが、問題はセバスチャンさんの動きである。彼には俺達のパーティに参加してもらって共に冒険をする仲間になってもらっているのだからあまり足を引っ張りたくないと思っているのだが。

「あ、そうだ。この辺りのモンスターってどんな奴なんだ?」

「はい、基本的にモンスターにはランク付けされておりまして、FからSSSまで存在しておりますが。この階層にはそこまで強い個体は存在しない筈なのでご安心下さい」

ふーん、そういう感じなのか。

セバスチャンは、この辺に出てくるモンスターならば自分達でもなんとか対処ができるだろうとは思うものの一応警戒だけはしておく必要があると考えていた。なので、万が一を考え、少しでも戦力になるかもしれないとリンに声をかけておいたのだったが。しかし、彼等は思いのほかあっさりと、そして手際よく攻敵を撃退してしまうのだった。しかしそれは彼等にとってごく当たり前の行動でもあったのである。なぜなら、彼等は今、冒険者として活動を始めて間も無かったのにも関わらず既にかなりの数の魔物を倒してきており、レベルもそこそこ上昇していたのである。

しかしこれは異常とも言えるレベルの上昇率であり。通常はここまでの急激な成長はありえないのだが。それを可能にしていた要因の一つとして、彼に与えられた特別な恩恵が存在したからである。この異世界においての勇者とは特殊な存在である。その特性は普通の人間のレベルを遥かに超えた身体能力を所持する存在なのであるが、それ以外にも彼等の種族が持つ固有のスキルが存在している。

そして今、彼等はまさにその固有スキルを最大限に発揮しながら戦っており、普通に考えればあり得ない速度でレベルアップをする事を可能としていたのだ。そしてその恩恵を最も強く受けた者、そうそれは執事であるはずのセバスちゃんだ。

「さて皆さん、もうそろそろ到着しますが、本当に覚悟の方はよろしいのですか? 私の意見としましてはここで引き返すことを提案しますが」

「大丈夫だ、俺は決めたよ! よしっみんないくぞぉ!」

「おうよ!まかせてくれ」

俺はセバスチャンの言葉を聞きながら先ほどまでは気にも留めていなかったが確かに何か違和感を感じていた。しかしその理由がわかったのだ。今目の前に広がるこの空間は間違いなく先ほどまでの場所ではない。ここは、地下へと続く長い階段があった場所に存在していた洞窟の中であるはずなのだが。その場所の景色が全く違っていた。そして、セバスチャンは、この場に存在するモンスターを知っていた。そう、彼はこの場に潜む者達を知っているからこそ忠告をしていたのだが。しかし、それこそが彼等にとっては大きな問題であったのである。何故なら彼等は知らないのだから。その者達の危険性と実力を。

この先に待っているのは。そうドラゴンだ。しかもドラゴンロードと呼ばれる最上位種の龍なのだ。その脅威は凄まじく。ドラゴンの王とも表現されるその存在を相手に勝てるものは恐らく存在しないだろう。だが、それがどうした! セバスチャンが危険だという相手であっても俺には負けないという自負はある。俺には今やリン、アイ、セバスチャンさんと心で繋がり合える仲間がいるのだから。俺はこの世界を救いたいとか本気で思っちゃいない。俺は俺の世界に帰るだけだ。そして俺の居場所を作る。ただそれだけだ。

「おい、ちょっとまて、何かいるぞ」

俺が声を上げるとリンは立ち止まり俺とセバスチャンが歩いてきた道を指さした。するとそこには明らかにこの場には似つかわしくない異様な集団がいたのである。

彼等の姿形は非常に異様で、ある者は鎧兜に身を包んでおり剣を握りしめていた。その姿はまるで中世時代の騎士といった格好をしており、そして全員が男だったのである。

さらに驚くのは彼らの服装だけではなく。顔もまた非常に奇妙で醜悪なものだった。

それは、そう。豚である。そうこの者達の風貌は全てがオークそっくりであったのである。

しかしおかしいのはそれだけでは無かった。

それは彼等は一体ではなく群れであったのである。

この世界に来てからずっと疑問に思っていたのだが。俺はどうやらこの世界の人達と比べてかなり小柄な体格をしていて背も低いようだ。そんな俺は今この瞬間にようやく理解したのである。

俺はもしかするとドワーフなのではないか? 今までの会話から、もしかしたらと思ってはいたが、今の俺の状況を見るにおそらくそうなのであろうという結論に達した。

「セバスチャンさんは知っているようですけどあれって」

「はい、おそらくですがオークの軍団と思われます」

<貴方の質問の答えは貴方自身が既に知っていると思いますがあえて私が言わせていただきます。私は女神によってこの世界に転生してきた貴方を案内するために、様々な知識を授けて参りました。

そして、貴方はその与えられた情報をもとに判断して行動しているのでしょうが、私の与えたその情報が必ずしも真実であるという保証はないのです> うわぁなんかいきなり語りだしちゃったよこの人、っていうかやっぱりそういう事かぁ。まぁ確かに今の言葉には色々と反論したいところは沢山有るが、今はそれよりも優先しなければならない事がたくさんありそうだし。とりあえず後回しにしとくか。

「セバスチャンさん、こいつらはどうすればいいと思う?」

俺は一応聞いてみたのだがセバスチャンは何故か無言になってしまったので仕方なく俺が指示を出す事にする。

「よし!じゃあそこのオーク共を倒すとするか。どうせ敵なんだろ? リンとアイは右を、セバスチャンは左を頼む、俺は中央を突破する!」

俺の言葉にセバスチャンさんが驚きの表情を見せたのを俺は見過ごさなかった。そして彼のその反応の意味もすぐに理解できることになったのである。なんとセバスチャンが言葉を発し始めたのだ。そしてそれはセバスチャンさん本人の意思ではないように感じたのであった。

セバスチャンの声とは思えないほどのおどろおどろしい響きを持った低音ボイス、その正体はすぐに明らかとなった。

そうそれはまさしく悪魔、それも魔王と呼ばれるに相応しい禍々しい姿をした存在なのである。そう、セバスチャンはこの姿を隠すための演技を行っていたのだと、そして彼はこの時初めてこの世界に生きる者として本当の姿を現すことになるのだった。

俺は今、魔王の姿をしたセバスチャンと対面している。俺達はこの世界で目覚めてから、ダンジョンを攻進み続けていた。そう俺達はここまで特に危なげもなく攻進んできている。それはリンと俺の二人が規格外の能力を持っていたのもあるのだが一番大きな理由は、俺とアイのレベルが上がり。そしてリンが元々有していたスキル【瞬歩】が進化したことにより飛躍的に上昇した移動速度が関係しており、この短時間のうちに驚くべきペースで進んでいたからなのだが。俺はリンが先頭に立って戦ってくれている事で戦闘においてのストレスをほとんど感じることなく進めることができた為。結果としてこの短期間でかなりのレベル上げに成功してしまったのだ。そしてセバスチャンはリンの動きをみて自分の能力を理解し、自ら戦闘に積極的に関わらずサポートに徹してくれたのも良かった。俺はセバスチャンのお陰で戦闘に関してかなりの時間短縮に成功した。

その結果がこのスピードアップにつながったわけだが、このダンジョンを抜けるまでにどうしてもレベルを上げておきたかった。その理由は、これから待ち受けるかもしれない強敵に俺達がどこまで対応できるのかを確かめる為には必須であると考えたからだ。その為に俺はセバスチャンに頼んで魔王の姿をしてもらうことにしたのだ。

そして魔王になった彼を見て俺は思った。やはり、このセバスチャンさんの変身スキルは反則だなと。しかしそれでもセバスチャンさん自身はそこまで強い存在ではないために、もし万が一魔王を倒されてしまうようなことがあればその時点でセバスチャンさんが消滅してしまう危険性があるため、そのリスクを減らすため魔王のスキルの封印を行ってもらい。魔王として戦ってもらっていたのである。

俺達はセバスチャンの魔王化のデメリットを最小限に抑えるため、極力彼が魔王の姿での戦闘を行わない様に気を配っていたのだが。それでも時折現れる魔物相手にはセバスチャンは魔王モードになってもらって戦いに参加してもらっていた。

その度に俺は彼から色々な情報を聞いていたのだが。この階で出現するのはいわゆる中ボス的な存在の魔物達ばかりで、正直それほど強い魔物は存在しなかった。しかし、ここに至るまでの道程でも、それなりの数のモンスターと遭遇していたので。このまま進むのは得策とは言えないだろうと考え、俺達は一休みをするべく階段を見つけてそこで一旦休息を取ることにするのであった。

**

「セバスチャンさんは魔王になっても全然変わらないですね」

「それは仕方ない事なのですよ、本来ならばこの世界に存在する魔王などという称号は本来、勇者以外に与えられるものでは有りません。それをこの身に宿してしまったことでこのような醜態を晒すことになってしまい誠に申し訳ございませんでした」「別に構わないんです。僕はその事を気にしていたわけではないんですよ。セバスチャンさんは僕にとっては家族の様な存在だと思っているんですから。むしろ感謝さえしています。その力で守ってくれたことに、だから僕の方こそいつも助けて頂いてありがとうございます」

俺はそう言って彼に頭を下げたのだが。彼はその行為に対して慌ててしまったようで

「あ、頭をどうか上げて下さいませ」

そう言いながら俺の頭に手を伸ばそうとしたが。残念ながらセバスチャンの手が届くことはなかった。俺は今、セバスチャンと入れ替わっているからである。セバスチャンは、今現在、アイが念話による通信を行っているので問題ないのだが、俺が一人でいる時にセバスチャンから突然、セバスチャンに意識を切り替えられてしまうのはかなり危険だと判断して。

今の状態を維持しているのである。

そしてこの入れ替わり状態についてなのだが、セバスチャンには予め話をしておいたので、彼は受け入れてくれていた。なので、この状態のまま行動することは可能なのだが、さすがにそれは不自然な動きとなってしまうので、今は元のセバスチャンの姿に戻り。

俺が入れ替わる形をとっている。そうすることでセバスチャンは、本来の執事としての能力をフルに使うことができるので非常に便利なのだが。

この交代状態ではお互いの身体能力をある程度把握する事は出来ても、互いの記憶や知識を共有する事は出来ないので不便なのだ。そのため俺とセバスチャンの間ではお互いに確認を行い。必要に応じて連絡をとる必要がある。

「セバスチャンさんはこれからどうするべきだと思いますか?」

「そうですな。この先に待ち受けているであろう敵は今まで遭遇した中でも間違いなく最強の敵となるでしょうから。私としましても、この先の敵の情報が少しでも欲しいところではありますが」

セバスチャンの言うように。俺は先ほどまでの探索でかなりレベルを上げることに成功していて今の時点でこの階で出てくる魔物は雑魚と言っても差し支え無いほどに余裕を持って戦うことができるようになった。それどころか。俺が魔王の力を解放した時でさえ今のリンとセバスチャンの二人の力を合わせればなんとか勝てる相手なのである。

このダンジョンに入ってから、俺の予想では。このダンジョンは地下深くまで存在するのではないかと考えていたが。今となってはそれも怪しくなって来たので。次の階層へと降りる階段が見つかった場合。俺はその前に休憩を挟む事にしたのである。

そう、このダンジョンは恐らくこの世界の人類がまだ到達していない。

最下層である可能性が有ると考えている。なぜなら俺達は今まで一度たりともダンジョンを抜けたことがないからだ。

そう考えて行動するならばダンジョンの攻進む速度は異常な速度で進めていると思う。

しかしそれは、リンが凄すぎるだけで。俺はどちらかと言うとこの世界の住人よりも劣っているとしか思えないので。俺としてはそんなに簡単に攻進するなんてことは考えていなかった。そしてこの階のフロアに出現する敵は大したことは無いものの。

その奥にいる敵は間違いなく今まで戦った魔物の中で最強であると断言できるほどの強さを持った敵がいる。そんな気がするのだ。

「あの。お話し中にすいません」

「おー! アイおかえり! どうだった? そっちの状況は? 」

「それが。かなり大変な状況なんです。とりあえず今すぐにでも皆と合流した方がいいと思います」

そう言ったアイの口調からは焦りが伝わってきた。俺はそれにいち早く反応して立ち上がり。アイに声をかける。

「分かった。じゃあ早速行こう。場所は何処なんだい?」

「はい、ここから真っ直ぐ進んだ場所に皆さんが居るはずです。急ぎましょう!」

「了解!」

そう答えて、俺は急いでアイと共にリンの元へと向うことにしたのだった。

アイと二人でリンとセバスチャンの元に向かうことになったのだが。俺が魔王化すれば、リンと同じ位の速さで走る事ができるし、リンのスキル【瞬歩】を使えばアイをおんぶした状態であっても。

かなりの速度を出して移動することが出来るはずだ。俺もリンにお願いしたらスキル【瞬歩】を習得することが出来るのかなぁ? まぁいいかとりあえず急ごう。

「よし! アイ準備はいいかい? 行くよ? しっかり掴まってろ! リンも付いてきてくれ! 」

「分かりました! 」

「はっ! は、はい! 」

こうして俺とリンはセバスチャンが変身してくれた魔王と合体した姿でアイと合流してそのままリンの【瞬歩】を使って一気にこの階層の敵を無視して駆け抜けて行くことにしたのである。しかし、それは少しばかり遅かった様だ。

「ごめんなさい、もう少し私が早く戻って来ていれば間に合ったかもしれなかったのに」

俺はアイから詳しい状況を聞いていたのだが。この階層はやはりまだダンジョンの最下層である可能性が高いらしい。そしてこの階にはやはりこの階に君臨するモンスターの中でも最強のモンスターが存在するようだ。その名は『魔人』というらしい。

なんでもアイの話ではその魔人の見た目はこのダンジョンに入る前から存在していたダンジョンコアの中に封印されている悪魔のような容姿をしているそうだ。

俺達の目的をこの世界に生きる人間に伝えなければならいないのだが。まずは目の前に現れる可能性のある脅威を取り除きたいので俺は魔人と対峙することにした。俺達はアイと別れたあと、真っ直ぐに進んでいたわけだがその道程で何度か魔物と出くわしたので。俺はアイから聞いていた通り、リンの【瞬歩】での移動を行い、最短距離を進んでいたのである。

そして今俺達は、魔物をなぎ倒し、そして魔物達の住処と思われる場所へと侵入していた。そこはまさにダンジョン内部とは思えない程の広大な敷地があり。そこには多くの魔物が存在していたのだ。そしてこのダンジョンに入って初めて俺は魔物と遭遇したのだが。俺は、その光景をみて驚愕することになった。その光景とは大量のゴブリンやオーク、更にはミノタウロスまでもが存在しているではないか。しかもその全てが俺がこれまでに出会った魔物と比較できないくらいの強者ばかりだったのだ。そしてその中には魔王化したセバスチャンですらも圧倒してしまうような存在も存在したのである。

そう、それは。この階を守るように存在しているモンスターの中でも間違いなく最上位に位置しているモンスターであり、その存在に気づいたセバスチャンは即座に撤退を決めた。

しかし、既に時遅しといったタイミングで俺とセバスチャンが同時に声をあげた。

「「逃げて(下され)!! 」」

それはもうほとんど悲鳴にも近い絶叫であったが、俺達にはすでに手遅れの状況であった。

俺達がモンスターの集団に遭遇したその時。その中心にいた魔物がゆっくりと口を開いた。

すると突然周囲に居た魔物達が一斉に膝を突き、まるで服従するかの如く平伏し始めたのである。その様子は異様な雰囲気に包まれていて、魔物達は完全に恐怖に支配されてしまっていることがよく解った。そして魔物達は平伏せながらその言葉を口にしたのである。

「我が主。我らが王の帰還である。皆の物頭を上げ王の前に立つことを許可いたす。そして頭を上げたのち直ちに戦闘の準備に取り掛かるがよろしい。これより我が軍は進軍を開始する」

その言葉を合図にして頭を上げてこちらを向いた数匹の魔物が、まるで見えない糸で引っ張られるかのように、ある一点を見つめ始めたので、俺もそれに合わせ視線を移動させるとそこには先ほどまではいなかったはずのモンスターが存在したのであった。その瞬間。俺は、セバスチャンの言葉を思い出していた。

魔王と呼ばれる者は魔王としてこの世に生まれた時から圧倒的な力を有しています。しかしそれは本来持つべきものでは無いのです、魔王の力は人間の心や意思によって制御されるものであり、それが無ければ力に呑み込まれ、最後には魔王の力に取り込まれてしまい、最悪の場合は魔王と成り果ててしまうことになります。魔王になるということは決して簡単な事ではないのですよ。魔王に成るためには強い意志と精神力が必要なのでございます。ですから決してお忘れにならないよう。その力は使うものではなく、使いこなすものだと。私は貴方様にお教えしなければいけませんでしね」

そう言って微笑んでくれた。

俺が魔王の力を覚醒させた時にセバスチャンが語ってくれたこの言葉。そしてセバスチャンが俺のために命懸けで行おうとしていた計画の内容を聞いたときに、セバスチャンが言っていた言葉。

俺はその言葉に救われた気がした。だから俺はまだ俺自身を信じて前に進む事が出来る。俺が目指すのは常に自分の理想を追い求め続ける勇者になることだ。そして俺はそんな夢に近づこうと決めたんだ。

だからこそ今この場で俺が取るべき行動はたった一つしかないだろう。

俺はそう決意した俺は、すぐに行動に移ることにした。そうして行動に移してからものの10分もしないうちに。

俺は今、このフロアの支配者と向き合っていた。そう俺の前に立っているのはあのセバスチャンが認めるほどの存在がそこにいるからだ。

それは一体何かと問われれば。このフロアの支配するモンスターの中で最強とされている存在である。

その名も『オーガロード』

その姿を見て最初に抱いた印象は鬼だった。それもかなり大きい。身長3mはあるだろうか、筋骨隆々とした肉体には赤黒い色の鎧を装備し、右手には巨大な剣を持っていた。その姿はまさに魔王と言ってもいいかもしれない。しかしそれだけではなかった。俺はセバスチャンの言っていた、

「奴の能力は危険すぎる。魔王と同等、もしくはそれ以上に厄介な能力をお持ちです。なので決して油断なさらないように」

という言葉が頭をよぎって仕方が無かった。

そう。この目の前にいる男はセバスチャンが警戒しているほどの能力を有しているのだ。そんな相手に対して俺が出来る事はただ一つだけだった。それは全力を持ってこの場を突破する。それだけだ。俺は俺の出せる最高速度をもって相手に接近した。

しかし、相手は俺の動きに一瞬だけ遅れて反応して見せた。

「なっ! なんて動きだ。まさかここまで俺の速さについてこれるものが現れるなどな」

俺と相手の実力はおそらく同等であろうことはなんとなく分かっていたが。今の俺では絶対に勝てないだろうとそう感じていた相手だったが。それでもこの俺が負けるなどとは考えていなかったのである。それなのに相手は既に俺の速度に追いついていて、そして俺の斬撃を余裕を持って防いだ。しかし俺はその事に驚くことはせず次の攻撃へと移ったのである。

俺はその後も連続して攻撃を仕掛け続けたのだが、全て受け止められ、弾かれてしまったので。俺はすぐに距離を取った。

「くっ! やはりダメか」「お前は中々やるみたいだが。この俺様には遠く及ばないようだ」

俺はその言葉を肯定することは無く。黙秘したまま再び攻撃を仕掛けることに集中することにしたのである。

「ふん! ならば試してみようじゃないか」

俺がそう言った直後、今までよりも遥かに早い速度で相手が間合いを詰めてきたのである。そしてその巨体からは想像が出来ない程の速度で繰り出された攻撃を俺は紙一重のところでなんとか受け止める事に成功したのだが。そのまま後方へ弾き飛ばされてしまっていた。俺はその衝撃を利用してすぐに立ち上がることが出来たのだが、どうにも相手のペースに巻き込まれてしまっている気がしたので。今度はこっちから攻めることにしたのである。

俺はまず、相手が体勢を立て直す前に先手を打つことにした。そうして【雷神】を使って、身体強化を施し、俺はさらに加速し相手に襲い掛かったのである。俺はこの時。この一撃で相手を確実に倒すつもりで攻撃を仕掛けていた。

そしてその思惑通り、俺の放った最速の斬撃は見事に直撃し、確かな手応えを感じたのだった。その威力に耐え切れずに、オーガの持っていた剣は粉々になり。その身体は後方に吹っ飛んでしまった。そして、俺はその隙を逃さず、【電光石火】を使用して一気に距離を縮め、渾身の力を込めた刺突を放つのだった。

そして、今、目の前で起きた出来事を理解したのは。この部屋に君臨している支配者だけであった。

「ふむ、少し驚いたぞ、俺の攻撃を受けてまだ息があるとは、なかなかどうして、さすが魔王と言ったところか、だがしかし」

俺はそう言いながら起き上がろうとしていたのだ。そして、それはまさに一瞬だった。

気が付いたら俺の首元に相手の手が触れていたのである。そして、俺は死を確信した。この男と戦っては駄目だ、このままでは完全に押し切られてしまうと。

俺は必死になって、足掻こうとしたのだが。

しかし、全くといっていいほど身動きが取れずにいたのである。すると、その瞬間俺を見ていた視線が外れたのを感じ取り、すかさずスキルを使ってその場から退避することが出来たのだ。俺はそのまま後ろに下がったあとに、相手の様子を観察することにしたのだが。どうやら俺が動こうとしていることを悟られていたようで、俺は相手との会話を続けるしかなかった。

「な、なぜ?俺の事を見逃してくれたんだ?」

「俺様とまともに戦えるものが居るというだけで十分だ、それに俺も久しぶりに楽しめたから良しとしよう」

「あぁそうだな、確かに俺達はかなり強かったはずだ。正直に言うと俺達でも苦戦するほどのモンスターの群れに遭遇していたし、それを討伐しながら進んできたからそれなりにレベルも上がってきていて、今じゃあかなりの強さを持っていると思っている。しかしあんたはその俺達が束になってもかなわない程に強いとそう思ったんだ。だから俺がここに残る意味が無いと判断して撤退したんだ。だが、一つ教えてくれないか。俺はどうしても聞かなければならないことがあるんだ」

「ん?何を聞きたいのだ?」

そう言って俺に近づいてくる姿を見ると、俺は何故か背筋がゾクッとするのであった。

しかし、そんな俺の気持ちとは裏腹に相手は全く警戒せずに俺に近づき目の前まで来た後、急に俺に抱きついて来たのである。それはまるで俺に甘えてくる子供のように。

「おいおい、なんだ突然、離れろ!」

俺はそう言って相手を引き離そうとしたのだが、一向に離れてくれないため。俺は次第に諦めていったのである。

そしてようやく離れた相手は俺を見て満面の笑みを浮かべた後。

「それで聞きたかった事ってなんだい?」

俺はその問いに対し、意を決して口にした。それは先ほどから俺の頭に思い浮かぶ事である。俺の中に眠っている魔王の能力に関係してくる質問であり、セバスチャンの言葉を思い出すきっかけでもあったのだ。

そして俺は口を開いた。「なぁ魔王さん。もしかしてこのダンジョンのモンスター達を従えているのってもしかして魔王の力を使ったりするのか?」その言葉を聞いて魔王は俺をじっと見つめ始めたのである。しかし俺は何も言わず相手の言葉を待つのであった。しばらくすると、その男は静かに話し始めたのである。

「君は面白いね、その答えを導き出すにはまだまだ情報が足りない。だから君の知りたがっていることを教えてあげようと思うんだけど、君にとって僕はとても大事な人だから特別に教えてあげるよ。それはね僕の力じゃないんだ、そう、魔王の力を使える者はこの世界に数人しかいないはずで、その力を使うと皆が僕の元に集まってくれるんだよ。だけどね僕はただそこに立っているだけなんだ、何もしていないよ。ただこのフロアを歩いてるだけ、そして僕の前に現れたモンスターを倒せるような力のある人間が現れるまで待っているだけなんだよ」

そう言って悲しそうな表情で微笑んで見せたのだ。

そして、この男は俺のことを大事だと、特別な存在だと思ってくれているのが解り嬉しくなっていたのだった。俺はその事がすごく恥ずかしくて照れ臭かったのだ。しかし、それと同時にこの男は、この男が今、語った内容が真実ならば、やはりこの男は俺に何かを伝えようとしていたのではないだろうかと思った。そう思わされた。そして俺の考えが正しかったことが証明されることになるのであった。なぜならその言葉が合図になっていたのだから。そう。俺達は、そう、この場所に来る為に通ってきた道の方から聞こえてきた爆音によってその思考を止めさせられた。そして俺はすぐに臨戦態勢に入り警戒していたのである。そんな俺に対して相手はこの場に残るように言ってきた。そう言われたので俺は仕方なくその場で留まることにしたのだった。

「はははははっ、この部屋をここまで破壊出来るなんてやっぱり君が一番の強敵かもしれない。だから今回はこの辺にしておこう、そろそろ時間だしね。また会おう」

そう言って男は立ち去って行った。

「なんで、なんでなの!?どうしてこの階層にモンスターがいるのよ!それに、こんなにモンスターがいたなんて聞いていないわよ!!」

「落ち着け、今は目の前にいるこいつらの対処を考えなければならん」

私の名前はメイ、このパーティーのリーダーをしているの。そして私の隣にいる男は『ゴドフ』、私と同じエルフで、とても頭が良く、頼りになる存在なの。

そしてもう一人の男の人も『ガルア』っていう名前の獣人で、見た目に反して強い男で、仲間内ではムードメーカー的な存在でもあるの。

そんな私たちのいる場所は、この『魔宮』と呼ばれる場所に来てしまった冒険者達の集まりなの。『魔宮』は、その難易度が尋常じゃなくて誰も攻入りしようとはしないと言われている場所だったの。そんな危険な場所を攻入ることが出来るって言われていたけど。まさか本当に来ることになるなんて夢にも思ってなかった。私たちはいつものように順調に攻入っていって。順調に進んでいたはずだった。それなのに。

そう。私たちはとんでもないモンスターと遭遇してしまった。しかも複数体。そしてその相手と戦ってみて。

それがどれだけ無理難題なのかを痛感することになったの。だって、私も、みんなも傷だらけで、これ以上は動けないという状態でやっとの事で戦えている状況で。このまま戦ったとしても勝てる可能性はゼロに等しくて、どう考えてもこの人数でこの怪物と戦うのは無謀でしかないことは明白だったのに。

「大丈夫!絶対に私が守る!私が絶対にみんなを守るから!!安心して、絶対死なせないから!」

その言葉は私の口から自然に出てきた。私は今までの人生で一番強くそう思っていたのだ。それは、なぜか分からない。なぜ自分がそこまでして守りたいと思ってしまうのだろう。どうしてそんな感情が湧き出てきたのだろうと不思議でならなかったのだ。それでもこの命を懸けても守らなければいけないと、そう思ったのである。それからの戦闘はほとんど覚えていない。無我夢中で戦っていたのだ。でもその時、誰かの声が聞こえてきた気がしたの、それで目が覚めるとそこには、大きな狼がいて。私は咄嵯に魔法を使って、どうにか逃げようと必死になったのである。するとそこで後ろから物凄い勢いで迫ってきていたオークの攻撃を受けてしまって吹き飛ばされてしまった。私は痛みを感じながら気を失っていったのだが。次に目覚めた時、私は見知らぬ部屋の中にいたのです。そして目の前では見たことのない女性が私を見下ろしながら涙を流していました。そしてこう言ったの。「ごめんなさい」と一言、そしてさらに続けて、「もう時間がないのです、これから起きる出来事を全て話します、どうか貴方の持っている力、スキルで私たちの仲間を、家族を守って下さい、この世界には魔王が現れます、そして魔王がこの世界にもたらす影響は計り知れないものです。そしてそれはきっと想像を絶する程のものでしょう、ですが恐れないでください。私たちにはすでに勇者の力が付与されているのです、だから貴方が諦めない限りきっと大丈夫なはず、お願い致します。この世界を、救って下さい」と言って泣き崩れました。そしてその後女性は姿を消して、その部屋の中には誰も居なくなり。

しばらくした後。部屋の外から大勢の人の声が聞こえてきて、私はまだ生きていることに驚きと安堵を感じたのである。

「ここは、どこ?あなたたちは?」そう聞くとリーダーである男性が。「俺たちのパーティーメンバーを助けてくれてありがとう。まずは感謝したい。俺の名は、『ゴドフ』よろしく頼む。さっきは俺の妻と息子が助かったようだ。礼を言う」そう言ってくれたのである。すると他のメンバーからも自己紹介が始まった。そして最後に、ガルアという男が話し出した。

「俺の名前を知っていると思うが一応名乗っておく。俺の名は『ガルア』ってんだ、あんたも知っての通り獣人族だが俺は、その中でもかなりレアなんだ。だから他の獣人とはちょっとばかり違うぜ、それとあんたも見てた通り、俺が本気になっちまった時はこの牙が生えちまうんだ、これは俺の意思で出し入れ可能で。この状態になっちまうとかなり力が強くなる。ただ、これを出すと理性が飛んじまうんだ、そのせいか俺は普段はあまり戦わねぇようにしてるんだが。今回みたいなことがあった時にたまーに暴れたくなって仕方がなくなるんだ。あぁちなみにこいつは俺の嫁だ」

その男は笑いながらそう言って、隣にいた綺麗な女の人を紹介するのであった。

そして、そのあとすぐにその女からは「私の妻が助けていただき本当にありがとうございます。私からは何一つとしてお返しできないとは思うのですが、どうか私と夫だけでもここに住まわせて貰えないでしょうか?そして貴方様に恩を返させて欲しいのです。ダメですか?」と言われた。そして私はその言葉を聞いた後に、少し考えた後。その言葉を受け入れていいのか迷ったのだ。すると今度はリーダーの男性がその女性に対して。「やめておきなさいメイ、その方はとても優しい心の持ち主なんだ。そんな方を困らせるものではないぞ」その男性は優しく語りかけるように言ったのだ。

そして私達はとりあえずその言葉に従い。この場所で暮らすことになったのである。そう、まだこの時はこの先に待ち受ける未来を知る由も無かったのである。

「おい、あのドラゴンって魔王の手下じゃないのか?」

俺にはどうしても先ほどのドラちゃんの態度に疑問を持っていた。しかしリンと名乗った少女には特に疑問に思っている節はないようで俺だけが変に考え込んでしまったようである。

そういえばリンはこの屋敷に住むようになったから、セバスチャンのところへ行くのをやめさせた方が良いのかもしれないな、しかし今さら言うわけにもいかないしな。それにこの世界の魔王についてももっと詳しく知りたかったのもある。

そして俺はリンと話をしていたのだった。そしてリンは何かを考え込み始めたのだ。何かを考えている様子ではあったが、しばらくしてから口を開いた。

「えっとですね、この辺り一帯を収める貴族の娘さんなんですけど、貴族の娘さんの割にはあまり偉そうな感じではなく、私達とも普通に接してくれる人だったんです。そして私も妹もこの人が大好きなんですよ。このお城の中を探索している時に良く遊んでもらったりしていて、そんなお姉様の事を私も大好きだったんです。それでですね。その貴族のお嬢様なんだけどね。確か今は王都で何かの仕事をしているはずだったんだけど、何かあったのかな?この国に何か良くないことが起こる前兆なんじゃないかな?でもね、このお城は安全な場所だし大丈夫だとは思うよ、この国の人達がみんな幸せに過ごせる国を作ってくれるといいなと思うの」

俺はこの時ふと思い出した事があったのだ。そう。ゲームの中では俺がプレイしていた時は常にその王国の状態が表示されていていつでもどこでも見れる状態だったからだ。俺は急いでステータスを確認したのである。するとやはり予想は的中していたのだった。その項目の一つに王国の状況というものがあったが、そこにはこう表示されていた。

【王国の現状】

魔宮への侵入口であるダンジョンから強力なモンスターが出現しています。王国軍は、現在、この問題を解決する為の対応に追われている。しかし魔宮は侵入不可能なため、現在は手を出せない状況にある。

そしてその画面を見た時に俺はある事に気がついた。そうそれは魔宮への入り口についてである。魔宮へとつながる道は全て封鎖されていて誰も立ち入ることが出来ないような状況になっていたからである。そう。この世界では魔宮の封印は破られてはいないということだった。それなのにモンスターが現れてしまっているのだ。そして俺の考えを後押ししてくれる情報が書かれていた。その情報によるとこの国はどうもきな臭いらしいのであった。

そして次の日の朝になると、昨日の女の子とその父親が訪ねて来たのである。その父親はとても強面の人で、しかもその娘と一緒なもんで余計に怖い雰囲気を醸し出していたが俺が対応をしようとしたら、俺が出るまでもなくセバスチャンが応対してくれたのである。

すると男はいきなりセバスチャンに詰め寄って。「貴殿の主人を呼んでもらおうか」と高圧的にそう言い放ったのである。それを受けたセバスチャンは冷静に対応してくれて、「失礼ですが何を急に申されているのかわからんのでございます。申し訳ありませんがまずはご用件を伺ってもよろしいでしょうか?」と聞いたのである。それに対して男も落ち着いたようで事情を説明してくれたのだが、簡単にまとめるとこんな事を言い始めたのである。「我々は冒険者なのだが、仲間と逸れてしまい魔宮で遭難してしまった。それ故に助けを求めてやってきたのだがその救助に来た者たちが我々を置いて逃げ出した為に我々だけでこの城を攻入った次第である。それ故、ここの主人には我々を保護して頂きたい。そして、この国からは脱出できるように手配してもらえるとありがたい。報酬については追って用意するから頼む。」と言うことだったのである。

「なるほど、そういう事でしたか、それは大変なご苦労なされたようですな。ですが安心して下され。この国には貴方たちを襲う存在はいないのです。だからもう安全です。さぁこの城にしばらく滞在なさるといいでしょう。そして私共の方で準備させて頂くとしましょう」

そう言った後、すぐにリンの父親が。「ありがとうございます」と深く頭を下げていたのである。そしてリンは父親の隣に座り一緒に頭を下げる。

そうして俺が朝食の準備を始めると、二人はセバスチャンと共に退室していったのである。俺はその光景を見ながら何となく違和感を感じていたのであった。俺はそのあとすぐに自分のステータスを確認したのであるがやはり思った通りの事が書いてあり、この世界の現状について把握したのである。そこで俺には一つ試したい事が出来てしまったのである。そう、俺が異世界からやって来たのであれば俺がこの世界を救う事ができるのではないだろうかと考えたのである。しかし俺が持っている力は今のところは、せいぜいが武器の性能を底上げできるくらいしか出来ないのである。

俺はとりあえず食事が出来るまでの間、その辺にいる魔物を捕まえることにした。そしてそれを料理する事にしようと思ったのである。俺はまだ食材を手に入れるという方法を考えつかなかったのである。

まず捕まえたのがゴブリンと呼ばれる小鬼型の生き物であり、俺がこの世界で初めて戦った奴だったのである。そして俺がそのゴブリンを調理しようと厨房へ向かう途中で偶然にも、ゴブ太がこちらに向かって走って来る姿が目に入って来た。俺はそのゴブ太に近づいていき話しかけてみたのである。そしてそのゴブ太のステータスを見てみる事にしたが。

「えぇ!!!!お前って『ゴブリ』なのか?」と俺は思わず叫んでしまったのである。何故ならゴブリンという種族が俺の知るゲームの世界にもいたからだった。そしてゴブ吉という名前であったはずのゴブタがゴブリーナになってたりと、微妙に変化が起きてるようだが俺の知る知識と同じ部分も少なからずあるようだ。そしてそのゴブリは。「はいっす。あっしは、確かにゴブルリとゴブロリーというゴブリンの亜種っすが、それがどうかされたのですか?」と言ったのである。俺はその答えに対して俺は「えーと、ちょっと待ってくれ」と言って少し考えるふりをしてみた。そう、実は俺はゴブリーナになったのがゴブッ子だったことを知っているが。この世界で同じことが起きているのならば知らないフリをした方がいいだろうと判断したのだ。それにゴブリとかいうと、ちょっとだけ恥ずかしい気がしたので誤魔化したかったというのも理由の一つである。

「ゴブ子はどうして進化したのかわかるか?」俺はとりあえず話をそらそうと思い質問してみたのである。

「あっしは進化したくて進化できたわけじゃなくて、いつの間にやらそうなってたんすよね」

そう言いながら腕を組んで首を傾げてる姿はとても可愛らしく見えてしまうのであった。

しかしそんな話をしているうちにゴブルリと合流して、三人となったところでゴブリン達がこちらに向かってくる姿を確認出来たのである。

そしてその後すぐに、俺はその二人に話を聞きながら食事をすることにした。食事をしながら色々と教えて貰ったのだが、なんとこの二人の兄弟はこの城の近くの森の中に住んでいて、毎日この城の中にいる誰かと手合わせをしているそうだ。ただその相手は毎回違うのだと。そして今日はたまたまその相手がリンの所に来ていた時に、リンを助けたので恩返しをするチャンスだと思いここに駆けつけたんだということらしい。そして、俺に恩を返すための手土産を今から持って行くと言っていた。俺としてはそこまで気を使ってもらうつもりは無かったのだが、二人が「恩はちゃんと返せ」と母親に言われてきたのだと言われれば無下に断る事も出来なかったのだ。そして今まさに俺のところに来ている最中だというのである。俺はとりあえずは会わないように注意を促そうと思ったのだった。

俺はその時、ちょうど朝食の準備を始めていたのである。なので急いでその場を離れようとしたところだった。そしてゴブ太とすれ違った直後だったのだ。いきなり後ろで大きな音が聞こえたかと思うと壁が崩れるような激しい音と共に砂埃のような煙のようなものが目の前に立ち上る。その突然の出来事に対して驚いていた俺の目に入ったものは、一人の男の姿だったのだ。そうその男が俺に向かって飛びかかってきていて、剣を上段から振り下ろして俺を斬り裂こうとしていた。そしてその一撃で床が裂けて崩れ落ちそうになる寸前にセバスチャンが俺を抱きかかえて間一髪で難を逃れたのだった。

そして俺はセバスチャンにお姫様抱っこの状態で抱えられたままだった。セバスチャンは咄嵯の事だったので仕方がなかったとはいえ、俺の身体を軽々しく抱えるとはなかなか出来るものではないと思った。そのせいもあって、俺の心は激しくときめいていたのである。しかしそれもつかの間。セバスチャンによって降ろされる事になったので残念に思いながらも地面に足をつけたのだが。その瞬間、横にいた男が吹き飛んで行ったのである。その男はまるでボールのように地面を転がり勢いよく木にぶつかるとそのまま気絶してしまったのだ。それを見たセバスチャンはすぐに駆け寄って行き。「お怪我はございませんか」そう聞いてきたのである。俺は問題無い事を告げて立ち上がった。俺はこの一連の出来事を、ある一つの仮定を元に考えていたのだった。その可能性を確かめるための確認としてまずはリンの方を向くとリンと目が合い俺はその瞳をしっかりと見つめたのだ。リンは一瞬戸惑った表情を見せたが、それでも真っ直ぐに俺を見つめ返していたのである。そして俺の事を信用してくれていると解った時、俺はある行動に出たのだった。

「あぁ俺の名前はソウイチロウという、これからよろしくな」そう言いながら、リンは警戒心が強いことを見越した上での自己紹介をしたのだ。するとその俺の行動に驚いた様子を見せていたが、しかし俺が差し出した右手を恐る恐るという風に掴むと、俺の顔を見て笑顔を見せてくれたのである。そして、それに続いてもう一人の兄弟であるゴブ吉も、俺に手を差し出し握手をすると名前を教えてくれたのである。そしてゴブ太は、なぜか目を瞑って瞑想をしていた。

それから俺はすぐに厨房に向かったのだった。するとゴブリンの二人が俺についてきて。

「僕たちはどうすればいいのかな?兄さん」

「ん~。とりあえず俺らはここで料理が出来上がるのを待ってればいいんじゃないか」

「そうっすね」と、言ってくれる二人だったが。俺としても特に用事があるわけではないので一緒についてくることになったのである。

そして厨房に着くと俺はすぐに料理を開始したのだが、そこでふと思い出す。俺は料理など作ったことがなかったので当然スキルもないのだが。この世界でも同じような事が可能なのだろうかと思ってメニュー画面を開いてみると。そこには色々な項目があったのだがその中で一番上に書かれていたものが「自動調理」というものであったのでそれを選ぶことにした。

そうして俺は料理を始めることにする。俺が料理を始めると同時に二人のゴブ太は、何故か手馴れたような仕草で野菜を切っていたのである。俺は不思議に思ってゴブ美の方に視線を向けると。

「私も最初は料理なんて出来ないと思っていたんだけど、この城に居る料理が出来るゴブリンから色々教わっているうちに、ある程度作れるようになったのよ」と言ってゴブ彦と一緒に笑い合う。

そして俺が作っている料理だが、実はこれはチャーハンだ。しかも俺はそのチャーハンを作るのにフライパンと皿と箸を用意して、調味料も全て取り揃えて作ろうとしていたのである。それはつまり俺のいた世界のレシピを再現したということになる。だが俺が今からやるのは普通の人なら当たり前のことをしているだけでしかない。そう俺はこの世界での料理人の真似事に過ぎないのである。だから普通に考えても味は保証されているはずなのだが、俺は自分の料理を食べてくれる人がどのような反応を示すのか不安でいっぱいであった。そこで俺はこの城にある食材を使わせて貰う事にしたのであった。俺はとりあえずは米を用意するために倉庫へと向かう事にした。そうして米を手にいれると、その作業を終えたところでゴブ郎に料理の仕上げを任せることにしたのである。

俺はというと、ゴブ美に案内されゴブ蔵がいるであろう部屋に訪れていたのである。その部屋にはゴブ美とゴブ郎がいた。俺は先ほどの件もあり少し緊張しながら入室したが、意外にも部屋の中には、俺を待ち構えていたかのように椅子に腰掛けていたゴブ蔵の姿があったのである。

そして俺に着席を促すようにゴブ蔵が言うと、俺とゴブ美は椅子に座った。そしてゴブ朗とゴブ太郎は部屋の扉の前に待機する事に決まったようだ。そして、俺たちの目の前にいるのは間違いなくゴブ太とゴブ助であった。そう俺がさっきまで見ていたのがこのゴブ太とゴブ助の二人で、そのゴブ助の容姿というのがまさにこの目の前に座るゴブ吉と同じ見た目なのである。そしてゴブ蔵の外見は俺が予想していた通りであったのだが、この世界に来てからは見たことのない人種だったので俺にとっては少し新鮮な気分になった。

そして、そのゴブルリとゴブリだが二人共身長が高くて細身に見えるのに、俺の知っている二人よりも筋肉が発達していて明らかに戦闘向きの体つきになっているように見える。まぁ、実際に戦えばゴブリンがどれだけ強いかというのは知らないが、少なくともあのオークを瞬殺できるほどに強いという事は確かなのだ。なので見た目ではゴブ吉が勝っていて、実力が互角だとしたら体格の差で勝負が決まるかもしれないと俺は思っていた。そして、そんな二人が俺に対して頭を下げているので何とも言えない気持ちになっていたのである。俺は別にこの世界に呼ばれたわけでもなければ特別な使命を授かっているというわけでもない。そうただ巻き込まれただけだ。そして今ここにいるという事は、これから俺は二人の面倒を見なければならないのだろうと思っている。

なのでとりあえず、今から俺はこの二人がどのくらいの強さなのかを知りたかったので模擬戦をやってみる事にしたのだった。

そして、俺が準備をしているとゴブ吉が「おい、お前」と言って話しかけてきたのである。

「ん?どうした?」

「いやな、俺ら二人はこの城に来たばかりなんでここのルールとか何も知らねえし教えて欲しいと思ってな」

なるほど、俺はそう言われると納得しかけたがすぐに思い出したのである。それは俺がこいつらにとってこの世界での保護者的な役割になってしまうのだと、そしてそれをこいつが認めたくないということにである。しかしこのまま断るのもよくないと思ったので適当に理由をつけて断ろうとした時、ゴブ太郎が口を挟んできた。

「おぉ、確かにルールがわからなくては困ってしまうものですね」

そう言いながらゴブ太郎は何かを思いついたようでニヤリとしたのだった。

「それなら私がお手合わせ願えませんでしょうか?もちろん手加減させていただきますので」

そう言って笑みを浮かべるゴブ太郎を、俺とゴブ美は呆然と見つめているだけであった。俺はゴブ太郎から提案された内容を聞いた時点で嫌な予感が止まらなかった。そうこの展開は明らかにゴブ太郎による計画だったからだ。この流れは俺にゴブ太とゴブ助と戦って欲しいと言い出した時の俺の表情を見て瞬時に理解したという事である。この野郎は初めからこの話を俺にさせる気満々だったのだ。そうしてまんまとその罠にはまった俺はもうどうすることも出来なかったのである。

しかしそうなってくると俺はどうしようかと考えてしまう。俺はどちらかと言うと争いごとを好まないタイプなのだ。しかしこの状況では逃げることは出来ないだろう、何故ならばここで逃げ出したりしたらゴブ太とゴブ助を鍛えられないばかりか俺の立場が悪くなりそうである。なのでここは腹を括るしかないと思ったのだ。しかし俺はまだ完全には諦めてはいなかった。それはゴブタとの戦いで、ゴブタは俺の事を弱いと判断したから攻撃してきたのだと思うのだ。ということは俺に勝つ自信があるということなのだからその攻撃を何とか避けて反撃するチャンスを待つことにしたのである。それにゴブ吉は、自分が戦うとは言わずにあくまで提案するという形をとったので、俺が負けを認めれば俺を責めてくることは無いのではないかと考えていたのだ。そう考え俺は勝負を受けようと決めた。そして俺とゴブ美と、そしてゴブ彦の三人は観戦するために別室に向かうのであった。

そして、部屋に着いた途端に「ゴブッ!ゴブッゴブ!」そう言ってきたゴブ美を落ち着かせるため、俺とゴブ美は一旦別れて部屋に入った。すると、俺が部屋に入っていく後ろ姿を見送りながら、なぜかゴブ郎は「グッジョブ」と言っていたのだが。俺は一体何をしたのだろうと疑問に思いつつも気にしないことにしておいたのである。そして俺が部屋に入る頃には既にゴブ郎が、ゴブ太とゴブ助を部屋の中に誘導してくれていたので、すぐに二人の前へと移動することができた。

そうして部屋に入るとゴブ太は剣を握りしめ、緊張しているようだったがゴブ美と、そしてゴブ郎は余裕のある態度を見せているのである。そして俺はその様子を見ながら、まずゴブ太から相手しようと決めて対峙することになったのである。

俺は今、初めてこの異世界で自分から戦いに身を投じようとしていた。それも何故かわからないが、ゴブリンに化けてである。そしてその相手というのはゴブ吉であった。俺はゴブ彦との会話で「お前ならゴブ郎やゴブ美よりも強いゴブ太を倒せるかもな」という言葉が引っかかっていたのだ。俺はそんなはずがないと心の中で思っていたがどうしてもその言葉が頭の中をぐるぐると回っていたのである。俺はこの世界のゴブ郎の実力は正直よくわかっていなかったのだが、しかし、もし仮に俺の予想通りに強かったとするなら。そしてその言葉を真に受けるのなら。俺はゴブ美とゴブ郎のどちらかを選ばなければならなかった。だがゴブ美に勝ってしまえば、恐らくゴブ郎は俺に敵対してこなくなるであろう。そうなった場合俺が困ることになるのだが、だがゴブ美は強いゴブ太を相手にしたほうがいいと助言してくれたので、俺はそれに従うことにしていた。俺はそう考えるとゴブ郎を正面に見据えたのだった。するとゴブ郎はこちらを見ながら、ゴブ彦が「頑張ってくださいゴブ吉さん」と小声で応援していたのが少し聞こえたので俺がこのゴブ吉という存在を偽って戦っていることがバレていることに気がついて焦ってしまったのだった。しかし俺は、そんな事は気にせず集中する事にする。そしてお互い準備ができたところで戦闘開始となった。

戦闘が開始されると同時に、俺にはすぐに動き出すことは出来なかった。それはゴブ吉も同じような状況だったのでお互い相手の出方を伺う事にしたのであった。

そうしている間に俺はふと思い出した。それは今俺がしているゴブ彦の姿は擬態であって本当はゴブ蔵でありゴブ蔵の姿も実は偽っているのだという事にである。そして俺はゴブ蔵の本当の姿もゴブ郎同様に知らないのである。俺はもしかすれば、この姿でも戦えるのではないかと、そう思った俺はとりあえず、ゴブ郎の動きに合わせてみることにしたのである。そして、俺とゴブ郎の二人が動こうとしているのに全く動かないでお互いににらみ合っている状態に気づいたゴブ郎は痺れを切らして攻撃を仕掛けてきた。しかし俺としては、やはりゴブ郎の動きは素人そのものであったので難なく交わすことが出来た。

そして俺は今の一瞬の攻撃を交わす事で、ゴブ郎はやっぱりそこまで強くないということがわかった。俺はゴブ蔵の姿をしているが中身はゴブ蔵ではなく別人であるという事が。つまり、見た目だけ似ているだけで実は全く別物の可能性があるというわけだ。だから俺にとっては、相手がどれだけ強くてもあまり怖くはなかったのである。そしてゴブ吉がどう動くのかを観察してみることにするのであった。

しかし俺が考えていたよりも遥かにゴブ吉の行動の方が早かったのである。なんとゴブ太郎は俺が予想をしていたよりも遥かに速い速度で俺の目の前に姿を現したのである。しかも、かなりの距離があったのにである。俺はまさかそんな距離を瞬き一つせずに一気に縮めるとは思わずに驚いたのだった。

そう俺が驚いている間にもゴブ太郎の鋭い蹴りが、そしてそこから更に追撃で突き攻撃を放ってきたのである。だが俺は咄嵯にそれをギリギリの所でかわすことに成功をしたのだ。しかしそこでゴブ太郎は俺に休む暇を与えないように連続攻撃を仕掛けて来た。そして俺とゴブ吉の戦いは次第に接近戦の格闘勝負へと移り変わっていったのである。

ゴブ吉の体から繰り出される拳と蹴りの連続攻撃が、俺の体を何度もかすめていくのを感じていた。ゴブ太郎の強さがどれ程のものなのかというのは正直まだ測りかねていたが、少なくとも、この世界でトップクラスの強さを誇っていることは間違いないだろうという事は何となくわかった。そしてこのままだと俺が圧倒的に不利だという事も何となく感じていた。そして俺はこのままではジリ貧になると感じたので勝負に出る事を決めたのである。そう俺はゴブ太郎が、俺に向かって放ってくる打撃技を避けると、逆にカウンターパンチをお見舞いしようとしたのだ。

俺はそうしてゴブ太郎の攻撃をわざとくらってダメージを最小限に抑えながらチャンスを狙っていく事にしたのだった。そうしていくうちにゴブ吉との距離がどんどん詰まっていき遂には俺のパンチがクリーンヒットするまでの所まで追い込んだのである。

そしてついにその時が来たのだ。

そうして俺の渾身の一撃がゴブ吉の顔に当たる瞬間、俺の手から腕にかけての部分に違和感を感じた。俺はそれに気がついたが、そのまま力を込めて殴ってしまいその結果ゴブ太郎の腕に思いっきり俺の右手が直撃してしまい。ゴブ太郎から悲鳴が上がったのであった。それで俺はハッとして手を止めた。なぜなら、俺はそのゴブ太郎に怪我をさせてしまったのではと慌ててしまったからである。俺の手に何か痛みが走ったので恐る恐る見てみると手から出血していた。そう、ゴブ太郎を本気で殴ってしまっていたのだった。

俺が急いで謝ろうとすると、しかしゴブ太郎は自分の腕を確認していてそんな事気にする様子は無く寧ろ自分の方が悪いのだから謝らせてくれないかと俺に頼んできたのだ。なので俺はゴブ太郎がそこまで気を使わなくて大丈夫だと伝えると俺に殴られた腕がどんなふうに痛むのか確認する為触っても構わないかというので俺は、それくらいお安い御用であると言ってあげたのだ。そうしてゴブ太郎は、自分が殴った俺の右腕に触れると、ゴブ郎が言ったようにかなり痛そうな顔をしたので、ゴブ太が言っていたゴブ郎よりも強いというのがどうゆう意味だったのかはわからないがどうやら嘘ではないようだと理解したのである。そう俺が納得したのを見てからゴブ郎は再び俺と向き合った。そしてゴブ郎は真剣な表情をして俺を真っ直ぐに見つめてこう言って来たのだった。

「俺は貴方に負けたいです。だから、俺の負けを認めさせて下さいお願いします」

「え?どういうことなんだ?」

ゴブ吉はいきなりの言葉に理解が出来ずに聞き返したのであった。するとゴブルスは、もう一度はっきりと聞こえる声で俺に向かい話を始めた。その内容は俺の耳から頭に伝わり衝撃を与えたのである。

俺は最初何を言っているんだと困惑してしまったが、しかしすぐにその意味を理解した。何故ならゴブリン達を仲間に引き入れている最中に、ゴブ美はゴブリンに化けて俺と会話をしてきたことがあった。その際、俺はゴブ美が俺の配下に加わるかどうかの話をしたのだがゴブ郎はその時に俺の仲間になる事を承諾してはいたもののゴブ太のように戦う意思が見られなかったのだ。しかしそれは、ゴブ太の手前そう言わざるを得なかっただけだったらしい。

そしてゴブ太も、俺と戦いたいと申し出てくれたのである。その理由を聞いてみるとやはり戦いたいというよりゴブ郎と二人で戦うという形を望んだのはゴブ郎と同じ理由であると。そしてその二人は俺がゴブ吉の姿をしているからというわけではなく、ゴブ郎が俺の実力を認めているから戦いたくなってきたということらしい。そして俺に負けることでその証明にしたいのだということだった。

俺はそんなことを突然聞かされて混乱したのであったが、しかしよく考えてみたらこれは俺にとってメリットのある事だった。そして、ゴブ吉に負けを認めさせることができればその二人とも俺の仲間になってくれると言うのだ。なら、俺がこの勝負を断る道理などどこにもなかったのだ。そう考えた俺は、ゴブ吉の目の前に立って勝負を了承し戦闘態勢に入ったのである。

俺はこの二人の実力を見極めてみたいと思っていた。そうして俺も構えを取りお互いに準備が出来たと確認したところで戦闘が開始される。最初に動き出したのはゴブ郎で一気に俺との間合いを詰めてくると、強烈な蹴り技を俺に食らわせようとしてくる。俺はなんとか避けようとしたのだが間に合わず脇腹に蹴りを食らってしまったのだった。だが俺が蹴られる寸前ゴブ郎は蹴りの軌道を変えて俺のお陰を逸れていったのでダメージはほとんどなかったのだった。

そうすると今度はゴブ郎が俺に向かって攻撃を仕掛けて来たのである。それはただ殴りかかってきてるようなのではなく、フェイントを入れてきて俺を翻弄するような攻撃を仕掛けてきた。俺はそれに翻弄されながらも、ゴブ郎が攻撃をする一瞬だけできる隙を狙って攻撃をしたのだが見事に交わされてしまい俺は焦ったのである。するとゴブ郎は攻撃をかわしざまに拳の連撃を浴びせかけてきたのである。それはまるで嵐のような勢いで次々と繰り出され俺に攻撃のチャンスを与えることが無かったのである。

俺の攻撃は全て避けられてしまっているのだからこのままだとジリ貧になると思い俺はゴブ吉にある作戦を実行しようと考えてそれを実行に移した。俺は攻撃を避けつつ攻撃が当たらない程度にまで少し後ろに下がる。だがそれは俺の狙い通りの行動だった。

そう、俺はわざと隙を見せゴブ郎の攻撃を受けることにしたのだ。そしてゴブ郎の攻撃を全てまともに受ける。しかし攻撃を受けている俺の姿を見たゴブ郎が慌てて動きを止めてしまう。そしてゴブ郎が俺を攻撃したのと同時に俺はゴブ郎に向けてカウンター攻撃を叩きこんだのである。そしてその一撃でゴブ郎を吹き飛ばし地面へと打ちつけたのだ。だがそこでゴブ郎も諦めずに立ち上がってまた向かってきたのである。

そうしてお互いがお互いの体力が無くなる程に戦い続けた結果、最終的にはお互いボロ雑巾のようになり、立っているのもやっとな状況になってしまったのである。しかしお互い意識はまだあり最後の力を振り絞って戦っている状態だった。そうして俺とゴブ郎の最後と思われる攻撃のぶつかり合いとなったのであった。そして最後に勝ったのはゴブ郎の方であった。俺が繰り出そうとしている攻撃を察知してゴブ郎が拳で迎撃しようと俺の拳に自身の拳を合わせようとする。しかし俺はゴブ吉が攻撃を繰り出す直前にゴブ郎の背後に回ると拳に纏わせた魔力を開放したのであった。そして俺が繰り出そうとした拳の先にはゴブ郎の後頭部がありそのまま魔力の衝撃波がゴブ郎を襲う。

こうして決着は着いた。俺は地面に膝をつくのであった。だが俺はまだ終わっていなかったのだ。俺がそう思ったのは俺が繰り出した魔力弾をゴブ郎は頭で受けてしまったからである。普通なら即死である。しかし俺が思っていた以上にゴブ太郎はしぶとく耐え抜いていたのだ。だがそれも限界がある。そう俺はゴブ太郎に向かって言ったのである。

「ゴブ吉が俺の仲間になればお前達はずっと俺について来れるはずだぞ。それでもゴブ太郎は俺の仲間にはならないのか?」

するとゴブ郎の体は光輝き始めた。そうするとゴブ郎とゴブ太郎は一体のゴブリンになったのである。その姿を見て俺はやっぱりそうかと思ったのである。なぜならゴブ吉にはそんな感じの能力があると聞いた事があったからだ。

そして俺はこのゴブリン達を連れて帰ることにしたのであった。

そうすると俺の体も光りだして俺はゴブ吉とゴブ美の姿に変身することができたのである。そうして俺は二人を仲間にした。そしてゴブリン達に仲間になるように促すとゴブリン達が全員光り輝くのであった。

ゴブリン達の光が消えてそこに立っていたゴブ美は俺に言った。

そうしてゴブ美は人間に姿を変えたのである。俺はその時驚いたのである。なぜなら、そこには俺の元クラスメイトの女子がいたからだった。彼女はどう見てもこの国の人間にしか見えなかったが、俺はとりあえず彼女から話を聞こうと思い彼女に話し掛けた。するとゴブ太とゴブ太郎の二人を仲間に加えた後の帰り際にゴブ美が突然人化の魔法を使ったのである。そうして現れた姿というのがどうみてもこの国の女性ではなかったのであった。

「あ、あなたが勇者なのね!私の名前はゴブルナです。あの時助けてくれて本当にありがとうございました」

ゴブルナはいきなりお礼を言うとその場で深々と頭を下げてお辞儀をしたのだ。それを見て俺は困ってしまいとりあえず頭を上げてくれないかと頼んだ。しかし、ゴブルナは俺の言うことをなかなか聞いてくれなくて暫くしてようやく落ち着いて話が出来るようになった。俺は、なんでこんな場所にいるのかを聞くと、彼女は答えにくそうにして中々言い出さなかったのだが、俺は無理矢理にでも聞く事にしたのだった。するとゴブルナは俺達に助けられた時の事を思い出しながらゆっくりと話し始めた。

そうして彼女の話を聞いてみると、どうやら彼女はゴブ郎とゴブ太を助けに行く途中で盗賊団に襲われてしまい絶体絶命の窮地に陥っていたらしい。そしてそこへ颯爽と登場した俺が圧倒的な力を見せて盗賊達を倒してくれたのだと話していた。そんな話を聞かされたら俺としても嬉しくなってしまうわけでつい口元が緩んでしまうのだった。そうすると、その話を聞いた彼女が恥ずかしそうにして下を向いていた。俺はその様子が可愛くて見ていて面白かったのだがこれ以上彼女を見ていると可哀想に思えたので話題を変えることにする。そして、どうしてここに来たのかを聞いたのだった。そうするとゴブ太とゴブ郎が俺の仲間になりたがっていたということが聞きたかったのだけどゴブ美の質問のせいで俺の言葉の意味が変わってしまったのだった。

そうすると、今度は彼女がおどけた口調になって俺に説明してくれた。そうしてゴブ太から聞いた話は俺に新たな知識を与えてくれた。なんでもこの世界にゴブリン族は存在しないということがわかったのだ。ゴブ郎達ゴブリン族の種族としての寿命は長くても300年程度しか生きることはできないのだ。なので彼等ゴブリン族は俺の知っている限り、今の時点で俺以外の仲間になっている者以外にはいなかったのだ。つまりこの世界で俺が初めての仲間を作り出した事になるという訳である。それを考えると俺としては嬉しい事ではあったのだかそれと同時に悲しくなったのも事実だったのだ。なぜなら、この世界には俺の家族がいない事を意味するからだった。俺の両親はこの世界に来てからまだ一度も見たことが無いし、兄さんはおそらく日本にいる。だから俺だけが取り残されてしまったのだと思うととても寂しい気持ちになる。しかしここでめげている暇はない。俺は俺の目的のために進まなくてはならない。そして、ゴブ郎にゴブ太に仲間になることを促してみると二人とも快く了承してくれるのだった。

俺は、そうして新しい仲間を手に入れたのだった。俺はこの二人にゴブ吉とゴブ郎にゴブ美、それから新しくゴブ子も加えて六人に増え、さらにゴブリン四匹とオーガ一匹とゴブ郎達を含めた計十人のパーティーを作ることになったのである。そしてこのパーティーはこれから冒険者達の常識を変えていくことになるとは俺は思ってもいなかったのだった。だがこの時の俺は知らなかったのである。まさか、このパーティーに伝説の魔導士が加わることになるなんて想像も出来なかったのだった。

こうして俺の新しい仲間が加わった。俺は、まずは王都に向かうために馬車に乗る必要がある。そして俺とゴブ郎は、その馬に乗っていた。するとゴブ吉は、

「じゃ、俺がゴブ子と乗るぜ!」

と、ゴブ吉がそう言ったのでゴブ美とゴブ子が一緒に乗った。

そして俺はゴブ郎に、ゴブ美と一緒に御者をするようにお願いしたのだった。俺は、俺の事を尊敬していると言うゴブ太郎と、ゴブ太郎と同じ境遇であるゴブ吉を護衛につけ、そして俺がゴブ郎と、ゴブ太とゴブ美が一緒に馬車に乗り込むのである。そして、俺達は街を目指して歩き出したのであった。

道中ゴブ郎が色々なことを俺に教えてくれるので俺は凄く楽しい気分になっていた。ゴブ美の事はゴブ郎に聞いたのだがやはり気になるらしくて直接本人の口から聞くことにしている。そうして、しばらく歩いているとゴブ吉が話しかけてくる。

そうしてゴブ吉が俺達に言ったのだ。それは、

「なぁなぁ俺さ!勇者の仲間になったってことはよぉ〜何かすっげぇスキル手に入れたりとかってねぇのかな?俺は早く使いてえって思うんだけど」

「あー確かにそれは思ったけどよ、そんなもんあるのか?もしあったとしてそれが本当かどうか確かめるためにも俺はお前を鑑定させてもらうぞ?」

ゴブ吉はそれに少し考える素振りを見せたが特に何も言わなかった。俺はゴブ吉を鑑定してみたのだが特に変わった様子はなかった。そこでゴブ郎に、 そう言ってから、俺はゴブ郎のステータスを確認してみることにする。するとそこには驚くべきことが書かれていた。

名前: ゴブ太郎 性別 男 年齢 30 種族 オーガ(亜種)

職業 戦士 Lv 152 体力 9800/980 魔力 7100 攻撃 6200 防御 4900 敏捷 3000 固有技能 言語理解 剣術 Lv5 拳術 Lv3 剛腕 豪撃 闘志 魔力変換 身体強化Lv6 状態変化 Lv8 念力 Lv7 魔法吸収 物理反射 能力奪取 経験値倍加 全耐性 体力回復 魔力操作 超回復 称号 魔物の親分 女殺し 俺の目に入ってきた情報はどれもが驚くものばかりである。特にレベルが高すぎる。俺はこんなレベルの人を見たことがないのである。ちなみに、俺のレベルは28しかないので俺は自分が弱くなっているのかもしれないと思ってショックを受けてしまう。そうして落ち込みそうになった俺を励ますかのようにゴブ吉は元気よく言う。

「いや、普通に考えて俺の身体能力は、チートみたいな感じだよな!なんかこう!俺!強え!みたいになったんだろ!?」

「んな馬鹿なことがあるか!!普通はお前よりゴブ吉の方が強くなるはずなんだぞ!!」

ゴブ太郎は興奮していてゴブルナの話を信じていた。だが、そうするとゴブ吉の能力があまりにもおかしい気がするのだ。そういえば、俺達がゴブ美を助けたときに使った魔法のことを忘れていた。あの時は無我夢中だったから忘れていたが、もしかしたら、俺はゴブ美を助け出す時に無意識にこの世界にないはずの魔法を使おうとしていたのだろうか。

そうして、色々考えているうちに、いつの間にか目的地に到着してしまった。そうしてゴブルナから聞いた話を皆に説明してあげた。そうして俺達は門の前に来ていた。

ゴブ太はゴブ郎に聞いたことを自分なりに整理しているようだった。すると、その様子を見かねたゴブ美が話しかける。そうして二人でなにかを話し始めるのである。俺はそれを眺めているだけで、ゴブ吉とゴブ郎は何をしているのか気になって仕方ないようだった。そして暫くすると話が纏まったのか二人は俺達の所へ来たのである。

そして、俺はゴブルナのことについて説明してあげると二人はかなり驚いていた。そして、ゴブルナの容姿を俺が説明すると何故か二人は顔が赤くなっていたのだった。

そうしてゴブ郎はゴブ郎で自分のことを話していた。なんでも、ゴブ郎とゴブ太は双子なのだそうだ。そうしてゴブルナが二人に向かってお姉ちゃんと呼び、それに対して二人が顔を赤らめている姿を見ていると本当に仲の良い姉妹のように見えたのだった。そして、三人は俺の知らない内にお互いの情報を交換したのか俺が仲間になったことを歓迎してくれるのだった。そうして俺達を乗せた馬は王都まで進んでいったのだった。

俺は、今目の前にいるゴブ郎を鑑定することにした。しかし、その結果に俺は驚愕してしまう。なぜならそこに書いてあったステータスが明らかに俺よりも強いからだった。しかし俺の鑑定結果を見てゴブ吉も俺と同じように驚いた表情を見せていたのだった。そして、そんな二人に、 そう言って俺は二人のステータスを確認した。そしてゴブ吉は、ゴブ美のステータスを覗き見るという暴挙に走ったのだった。そうするとゴブ吉はいきなり俺達に対して謝ってきたのである。どうやら、俺とゴブ郎が話し込んでいた隙を見て、ゴブ吉はゴブ美のステータスをこっそり覗いたらしい。それを知った俺は、

「な、何やってんだよ!!お前、人の嫁のステータスを勝手に見やがってどういうつもりだ!!!?」

そう言いながらゴブ吉は殴りかかろうとしたのだが、ゴブ吉がゴブ美のスリーサイズについて語り始めたのを聞いて怒りが収まるのだった。

俺が仲間になったばかりの頃、ゴブ吉はゴブ美の事をゴブリンのお姫様と呼んだことがあったが、その時に俺は冗談でゴブ美をゴブリンキングの婚約者にしてあげようと言ったことがある。そうしたらゴブ美に殴られてしまったのを覚えている。そして、それをきっかけに俺とゴブ美の関係はかなり良くなった。つまり俺はこの時既にゴブ美に惚れていたということになる。そんなゴブ美のステータスをゴブ吉が勝手に見たのだと知って怒ってしまったのだが、よく考えてみるとこの世界でゴブ美の強さを知っておいた方が後々良いことになるだろうと思ったのである。なので俺は、ゴブ吉に許してやるように頼んでみることにする。するとゴブ吉は意外にもすぐに謝罪してきて許してくれた。俺はそれに安堵し、二人と一緒に先へ進むのだった。

そして馬車で移動すること二日、ようやく俺達は王都に着いた。俺達一行は馬車で移動している間、暇だったので馬車に揺られながらもお互いに情報交換をしたりと、それなりに有意義に時間を過ごせたと思う。そして俺は御者のゴブ郎の隣に座ってゴブ郎にこの世界に来てからの事を聞くことにしたのだった。

「なぁ、ゴブ郎。お前に聞くけどさ、この異世界では魔物が人を襲ってくるのか?」

そうすると、ゴブ郎はとても難しい顔をしながら俺に教えてくれた。それによると、基本的に俺のような人間を魔人族と言い、それ以外の種族を亜人種と呼んでいて、そして魔人は魔物を従えていることが多いのである。そのため、亜人達には差別意識を持っている者が多くて、魔人も同じく他の国とは友好的な関係を築いてはいないのだそうだ。そして、魔人の中でも強さの格というものが存在していて、ゴブ吉はその中でも最強の部類に入るのだそうだ。ただ、ゴブ吉の種族が最強なのかと言われると少し違うようなのである。ゴブ吉の場合は突然変異で生まれて来たのであり、ゴブ吉と同じ種類の種族のゴブ美でさえまだそこまでの強さを持っていなかった。そう考えると、ゴブ吉の種族が最強になる可能性はまだ残っているのである。

そして、この世界の文明レベルで言えば俺が生きていた地球と大して変わらないということに気がついた。この世界の文化のレベルは低い。これはゴブ吉の受け売りだが、確かにこの世界に転生してから俺はそういったものを感じたのである。そして、そんなことを俺が考えているとゴブ郎が急に立ち上がって御者を交代すると言ってくれた。俺はその言葉に甘えてゴブ郎の横に座り直すのだった。

それからまた暫くして今度は俺の番になったので俺が御者を代わることにした。

そして王城へ向かう途中、一人の兵士と出会った。

「なっ!?オーガがいるぞ!?!?」

俺の後ろからやって来た兵士達はその声を聞いて警戒したのだが、

「あーいや。驚かせてしまいましたかね。すみません。自分はゴブルナと申します。実は勇者の仲間なんですよね。ですので安心して下さい。勇者殿もいますよ」

そう言ってゴブルナは剣を取り出して勇者の顔を見せびらかすようにしていた。そうして俺が自己紹介を終えると兵士の一人がゴブルナを疑うように質問してきたのである。そこで、俺とゴブルナが二人で勇者の仲間であることを説明したのだが、兵士の人たちは中々信じてくれなかったのだった。だが、そこでゴブルナがあることを口にした。そうして俺はゴブリンのお姫様の話題が出た時に恥ずかしくなってゴブルナに止めろと言ったがゴブルナは止まらなかった。そうしてゴブ郎の悪ふざけはどんどんエスカレートしていき、遂にゴブ吉のスリーサイズを言い始めてしまったのだった。そこで、流石に見兼ねた兵士が、

「おい貴様!!何をしているんだ!!!!」

すると、俺達は一斉に兵士達に囲まれた。

すると俺達を囲む兵士達が一斉に武器を構えたのである。しかし、その兵士たちの装備はボロかった。そして俺は、そんな彼らの装備が、いかにもこの王都に来るまでの道中の村などで売っている安物の装備品だという事に気がついてしまったのである。俺はそんな彼らを鑑定してみたがあまり強そうな者はおらず、むしろ弱い奴らがここに集まっているのではないかと感じたほどだった。そして俺がゴブ吉の方をチラッと見ると彼は困った顔をしていたのだった。そうしてゴブ吉は兵士達に向かって自分が本物のゴブリンのお姫様なので心配いらないと告げたのだった。

俺がそう言うと兵士の中から一人がこちらへ近づいてきた。

「君がゴブ美を助け出してくれていたのだね。私はゴブ郎の双子の弟ゴブ助と言う。ゴブ吉くんの事は姉から聞いているから知っているのだ。だから安心してもらって大丈夫だ。そして私からも改めてお礼を言う。本当にありがとう。君達が来てくれなければゴブ美の命がどうなっていたか解りもしない。本当に感謝する」

そう言ってゴブ郎の弟ゴブ助は頭を下げてきたのである。俺も慌てて同じように頭を深く下げたのだった。そして俺達は無事に王都に辿り着き王城の前まで来ることができたのだった。そうして俺達は王城に通された。

王城の中に入るとそこには綺麗な女性が待っていた。

そして、その女性の横にいた騎士が俺達に挨拶をする。

「皆様、初めまして私はリリィ、この国の第一王女である。今回は我が兄、ゴブ郎の窮地を救ってくれたことに感謝します。そして、あなた方のおかげでこうしてゴブ郎は帰ってくることができました。誠に有り難う御座いました」

そう言って彼女は丁寧にお辞儀をしたのである。そして続けて彼女の隣に立っていたメイド服を着ている少女が話しかけてくる。

「はじめまして。私の名前はリリア、リリアと申します。このたびゴブ郎さまとゴブ美さんが無事帰ってきてくれたことを心より嬉しく思います。これから貴方達には色々と手伝ってもらうことになりますがどうかよろしくお願いいたします」

この二人がこの国で一番偉い王族らしいのだが俺にはどうしても普通の女の子にしか見えないんだよな。そんな事を思いながら俺は返事をしたのだった。

そんな訳で初対面の人と挨拶を終えた俺は、王様との謁見の前にまずはこの王城内にあるギルドと呼ばれる施設を覗いてみることにしたのだった。そして、その冒険者ギルドに辿り着いた俺は早速扉を開けようとすると後ろから来た男達に声をかけられたのである。そして俺達の前には屈強な肉体を持った男が五人ほど現れた。

そして、彼らはいきなり喧嘩腰で絡んで来たのである。俺の見た目は弱そうに見えるのだろう。しかし実際は全くの逆だと言える程の強さがある。

そして俺達は当然の如く絡まれた。するとゴブ吉が

「おい!そこの兄ちゃんたちぃ。俺たちにちょっかい出してるんじゃねぇぞ?調子に乗るなや。あぁん!?!?!?!」

はぁ〜。なんなんだこいつはいきなり。俺達が一体何をしたっていうんだよ。まぁいいや、めんどくさいしこいつらの相手はゴブ吉に任せるかぁー!ってあれぇー!?!?ゴブ美とゴブ蔵はどこに行っちゃったのかなぁ!?え!?何これ怖いんですけど、まさかこいつらゴブ美とゴブ造を攫ってきたのかな。もしそうなら絶対に許せないな。でもゴブ美もゴブ蔵も俺の大切な仲間だ。この世界に来てやっと仲良くなった二人なのに俺はここで見捨ててしまうのか?俺は仲間を見捨てられない!!でも俺の実力だと返り討ちにあうだけだ。じゃぁどうすれば良いのか、そうだ!ここは一つゴブ吉と共闘してこいつらを叩きのめそうではないか。うん。そうと決まれば俺はすぐに行動に移った。そして俺がゴブ吉にアイコンタクトを送ろうとした瞬間にゴブ吉の口からとんでもない言葉が出てきた。

「俺の可愛い婚約者たちに汚ねぇ手を出してんじゃねぇよ。今すぐこの場から出て行きな、このゴミ虫共がぁーー!!!!」

俺は驚きすぎて一瞬思考回路が停止してしまった。だってゴブ吉の口から突然俺の聞き間違いかもしれないが婚約という言葉が出て来るとは思ってなかったからな。それに俺の大切な仲間たちにこんなチンピラのような格好をしてる男達なんかを近づけさせたくはない。

俺は直ぐにゴブ吉の方を向いてゴブ吉を説得するように語りかけたのだった。そして、それから俺はゴブ吉と一緒にこの男たちを叩きのめすことになったのである。

そうして俺が戦闘準備をしている最中にゴブ吉は相手のリーダー格と思われる奴を殴り飛ばして地面に叩きつけた。そうして俺とゴブ吉は残りの雑魚共を倒しにかかる。そして、俺とゴブ吉は連携プレイによって次々と敵を倒して行った。だがその時、一人の少年が俺達の目の前に現れたのである。そして俺達の戦いは一旦止まることとなった。なぜなら、その青年はとても強くて今まで出会った誰よりも圧倒的な力を放っているように見えたからだ。そうして、その青年に殴られて吹き飛んだゴブ吉とゴブ助を見たゴブ吉の双子の兄弟であるゴブ郎が怒り狂いながら突っ込んで行くのが視界の端で見えた。しかし次の瞬間にそのゴブ郎が何かにぶつかり跳ね返されてしまった。それどころか他の連中まで全員吹き飛ばされたのである。

その光景を見て唖然としていた俺だったが、ふと思いついてその謎の少年に鑑定を掛けてみた。

<ゴブル>職業:魔道剣士

レベル99/∞ 体力:25,000,000,000/25,000 <スキル> 身体強化

(MAX)

全魔法(Lv10 MAX)

鑑定

Lv5 剣術 Lv8 盾術 気配感知Lv4 隠密Lv9 魔力操作LV3 詠唱破棄LV7 自動回復LV2 アイテムボックス(容量:無制限 重量制限無し)

聖級魔術

(雷属性のみ使用可能 神速発動可能 無音発動 時間遅延可能 範囲超絶拡大 威力倍加可能)

光球 閃光砲

(極太ビーム砲撃)

聖剣技(雷属性のみ使用可 威力大)

雷神剣

光速移動 称号:勇者 俺の仲間になった者達は皆、人間を辞めてしまっていた。

そんな事を考えてた俺に、 ゴブルが話し掛けてきたのだった。

俺に向かって、まるで親の仇でも見るような視線をぶつけて来たゴブルに対して、俺は正直少しだけ恐怖を覚えたのだった。そうして俺はゴブルの言葉に驚いたのだ。確かにあのゴブリンキングとの戦いの後に、ゴブリン達には感謝されたし、ゴブリン達の長からは娘を助けた事への感謝として、娘のゴブ郎と結婚させてほしいという話はあったのだ。

だから俺が「結婚かぁ、まだ会ったばかりだしちょっと考える時間を下さい」と言って保留していたのだが。

「はっはは、貴様も私のことを馬鹿にするのだな。このゴブリン風情と」

そんなことを言いながらゴブ吉はゴブリンである自分の弟を貶されたのでかなりキレていたのであった。

「貴様!!ゴブ吉を馬鹿にするのは止めてもらおうか。ゴブ吉はなぁ。ゴブ美と結婚するのにふさわしい最高のゴブリンだ!!そんな貴様のような薄汚れたゴブリンの癖に偉そうに口出しをするんじゃねえよ。お前みたいな奴がゴブ吉の名前を呼んでいいと思ってんのか?この下郎が!!」

俺がゴブ吉とゴブ郎の結婚を認めた途端このザマだ。しかし、そんな事は関係ない。何故ならばゴブルが先ほどからずっと俺達のことを蔑んだ目線で見ていたのに気が付いていたからだった。そして、俺はそんなことを許すつもりは毛頭なかった。そんな俺が、ゴブ吉を悪く言われただけで怒ってしまうのはある意味必然だった。

「俺の事は何を言われようとも構わない。だけどなぁゴブ吉のことだけは許さねぇ。俺にとって大切な友達であり、相棒でもあるのだ。そして俺はこいつらと約束したんだよ。俺達のことは俺達が決めよう。だからこいつらのこともこいつらが決めるべきだ。だからなぁゴブ吉。こいつらの意見は気にする必要はないんだよ」

俺がそう言ってもゴブ吉はまだ不満気な態度を変えずに、未だに睨んでいた。だが、ゴブ吉がゴブ郎との結婚を認めないと言うのは予想外だったので仕方ないと言えばそれまでなのだが、俺としてはゴブ郎をこのままにして置くことは出来ないだろう。そして、俺はこの場で決着を付けることにしたのである。そして、

「俺達と決闘しようじゃないか。もし負けを認めるのならこの場は引こう。ただ認めないと言うのであればこの場にいるゴブ郎を含めたゴブリン達に加勢してもらおう」

そう言うと、 ゴブルは俺の提案に乗ったのだった。

俺はゴブ美がゴブルの事をどう思っているのか知りたかったのだが、ゴブルが勝手に話を進めたことで結局ゴブ美に直接聞くことができなかった。そんな訳で再びゴブルに話しかけようとした時に、ゴブルから決闘を持ちかけられたのである。俺はゴブ吉とゴブ助と相談した結果、決闘を受けても良いと思ったのだった。ゴブ吉とゴブ美の二人も了承してくれたので、俺は決闘を受けることに決めたのである。

そうして、俺達とゴブルの対決が決まったところで俺は、 ゴブ美とゴブ郎を呼び出し、ゴブ郎をゴブ蔵に任せてゴブ吉と一緒に闘わせることにしたのだった。

そして俺は、ゴブルとの闘いの前にゴブ吉と話し合ったのである。そして俺はゴブ吉にある提案をした。それは、ゴブ吉が一人でゴブ郎に勝てるかどうかというものだった。俺はゴブルの力をある程度把握しているので、万が一にも敗北する可能性はないと確信していたが、それでもゴブルに勝てるかどうかはゴブ吉にかかっていたのだった。

そこで俺は一つの賭けに出たのである。それは、ゴブ美との特訓中に手に入れた能力を使う事だった。これは、実はゴブ美に教えてもらった事で、ゴブ美は相手の動きや力の流れを見ることができるらしく、それを応用して俺の能力についてアドバイスを貰ったことがあったのだった。そうして、この能力は相手の動きを予測することに使うと良いと教わったのである。俺は早速ゴブ吉の動きを見てこの技を発動させてみた。そして、俺は見事にゴブ吉がゴブ美の攻撃を避けきれるルートを見つけたのである。そうして俺は、俺達の仲間に手を出した報いを受けてもらうために、俺は全力を出すことを決意して、戦いを始めたのである。

俺はゴブ吉と一緒に、このゴブリンキングの息子を名乗る男の相手をする事にした。しかしゴブルは強かった。俺はこの男とゴブ吉を比べて、その圧倒的な力の差を感じていた。俺の眼に映った光景は凄まじかった。俺は、まず最初にゴブ吉が放つ一撃を受け止めようとしたゴブルが吹き飛ばされたのを目撃した時にはもう勝負がついていたと思っていたくらいだった。だが、そこからの逆転劇に俺は驚くこととなる。なんとゴブルは、自分の体を犠牲にしながらゴブ吉を殴る蹴るなどの攻撃で少しずつ追い詰めて行ったのだ。俺はこの時になって初めてゴブリムが使う種族固有技能の存在を思い出したのである。それこそがゴブルの強さの秘密でもあったのだ。つまりゴブルは自分の肉体を捨ててでもゴキブリーの能力を発現させていたのである。そんなゴブ吉に勝つための秘策を持っていたゴブルだったが、俺はそれが成功する前に決着をつけようと考えたのである。そして俺とゴブ吉は同時に攻撃を仕掛けるのだが、流石にこの攻撃を無傷で防ぎ切ることは不可能だと判断してゴブ吉は避けに徹し、ゴブルは俺達を迎え撃つ態勢に入ったのである。そして、俺とゴブ吉は互いに拳を振り抜くのだがその瞬間にゴブ吉が一瞬にして吹き飛んだのである。

ゴブ吉は自分が何をされたのかさっぱり理解していなかったのである。俺は直ぐに、 【雷神速発動】を使って高速移動して吹き飛んだゴブ吉に追い打ちをかけようとするがゴブルの妨害によって、ゴブ吉を倒せなくなってしまった。ゴブルはそのゴブルで、吹き飛んで地面に叩きつけられた衝撃によって意識を失ってしまっていたのだ。ゴブ吉はその後直ぐに起き上がったものの、既に戦えるような状態ではなかった。

俺は仕方なく、ゴブルとの戦いを中断してゴブルに近寄って声を掛けたのだった。するとゴブルはゴブ郎を人質に取ると言い出して俺に攻撃してくる。俺はゴブルを気絶させるために思いっきりぶん殴り、そのままゴブ吉の元まで吹き飛ばした。

俺はすぐにゴブ吉の元に駆け寄ると、回復薬を取り出しゴブルに向けて投げつけたのである。そして俺は回復を終えたゴブルに対してゴブ吉と戦っている最中に起きた事を話した。

そうやって話をしていた俺は、 ゴブ郎がゴブ吉の異変に気が付いてゴブ吉の方を見ると、そこには既に倒れ伏しているゴブ吉がいた。そして俺は咄嵯にゴブルを庇うように、 ゴブ吉の盾になったのだった。俺は、ゴブ吉がゴブルの拳に打たれた時の音を聞いたときに嫌な予感はしていたがゴブ吉を助けられなかったのは心の底から悔しく思った。

そんな俺はゴブルから攻撃を受けている途中で気を失ったのだった。

俺が目覚めるとそこには見慣れない景色があった。周りには俺の仲間の皆の姿があるのだが皆が一様に不安そうな表情をしてこちらを見ていたのだ。そうして俺は状況を確認するために立ち上がろうとするのだが全身が物凄く痛くてとてもではないが動けそうに無かった。そうして俺は仲間たちに向かって話し掛けることにする。

(えっと。俺は一体どうしてこんな所に?)

(ご主人様!!心配させないでください!!貴方がゴブリン達をかばった時に攻撃を受けたのです。それからゴブ吉さんと私が二人で助け出そうとしたんですけど全然動かなくてそれで、ゴブ蔵に手伝ってもらってここまで運んで来たんですよ!!)

そう言うなり泣きながら抱き着いて来るゴブ美を抱き寄せながら俺は仲間達に感謝した。そういえばこの辺りにはゴブ郎の匂いがしたんだなぁとか思っていた俺にゴブ郎は俺が気絶した後の状況を説明してくれたのである。ゴブ郎の話によると俺は、あのゴブルから俺を守るためにゴブ郎が代わりに殴られて意識を失っていたらしい。そうしてゴブ吉が俺を守る際に使ったスキルのおかげで何とか死なずに済んだのである。

俺はそんなゴブ吉の行動に感動するとともに、自分の行動の不甲斐なさに怒りを覚え、そして何よりも自分自身が不愉快だった。そんな俺の様子を察してかゴブルは謝ってきたのだった。

「先程は無礼なことを言って申し訳なかった。私としてもゴブ吉とお前達二人が戦うところを見たくなかったものですので、決闘などと言って無理矢理決闘に持ち込もうとしたのですよ」

そんな事を言うゴブルを睨みつけると、今度はゴブルが謝罪をしてきたのだった。そうやってお互いに誤解していたので和解してからゴブルのことについて色々と聞いてみると、ゴブルは本当にただの人間族の子供で、ただ父親が魔王軍に所属していたことから父親を恨んでいただけのようだった。俺はゴブルを睨んでから少しの間黙っていたが、これ以上話をややこしくしてもしょうがないので、とりあえずゴブ美との結婚を認めてやったのである。そうして俺はこれからの事を考えることにしたのだった。

俺達は無事にゴブルとも和解したのでゴブ蔵達がいる所に向かった。そこで見たものは、 なんと! ゴブルの婚約者の女性がゴブ蔵達に襲われている光景であった。しかもこのゴブ美と見た目が同じ位の美少女である。そのゴブ美が俺の姿を見て何かを言いかけていたが無視する。そして俺はすぐさまゴブ郎とゴブ助に事情を聞いてみるのだが二人共が知らないというのだった。そして俺は慌ててゴブ美が止めようとするのを無視してゴブ蔵に殴りかかるがゴブ助に取り押さえられてしまい、結局何も出来なかったのだ。

そして俺が必死になって抵抗している間にいつの間にか、ゴブ郎が女性の服を脱がそうとして、ゴブルから注意を受けて、俺達とこの場に残る女性以外の全員を連れて洞窟の奥に消えていったのだった。そうしてその場に残されたのは俺達四人とゴブ美、ゴブ蔵達だけであった。俺としてはこの女を助ける義理なんてこれっぽっちも無いがこのままでは、あまりにも俺達が可哀想なのでゴブ美にお願いをすることにしたのである。

「ゴブ郎達の事を見逃す代わりに、この娘だけは返してくれ」

俺がこのゴブ子を人質にしている男と会話しているとゴブ郎が急に現れて俺を拘束したのである。しかしそこで、今まで口を閉ざして成り行きを見守っていた少女が口を開いた。

その女の子は、俺を拘束しているゴブ郎に言ったのだった。

ゴブルは、俺をゴブ郎の拘束から解放するように言い、更に、その女性はゴブルと夫婦になるために攫われただけだと言うのである。

そして、その話を聞いた後でゴブルがこの少女のことを妻だと俺達に紹介した。そうやってお互いを紹介しあった後は俺達三人の目の前で行われた戦いを見守る事にしたのであった。戦いの結果はもちろん俺達の勝利である。俺はゴブ美とゴブ蔵の戦いを眺めながら、改めてこのゴブ美は本当に俺が倒したはずの元人間のゴブミなのかと思っていたらその答えはあっさりと出てしまったのである。そう、ゴブ子は自分がゴブリンだと言った後に俺が倒したはずなのだが何故か生きており、しかも、ゴブ子の持っていた剣は魔剣だったので、その魔力によってゴブ子が生きていたのだろうと俺は考えたのだった。

ゴブ美がゴブ子に話しかけると、なんとゴブ太郎は、 ゴブ郎をゴブリンだと思い込んで攻撃し始めたのだった。

どうやら、ゴブ郎の実力を見ても、ゴブルとゴブ郎の二人はかなり強く、他のゴブ郎とゴブ蔵は、ゴブ彦とゴブ吉と俺で戦ったのである。

俺はゴブ吉がゴブ蔵の一撃を食らうのを見て、急いでゴブ吉に近寄り回復魔法を使って助けた。

その後すぐにゴブ郎の方を見ると、ゴブ吉にトドメをさす瞬間だったが俺の回復魔法でギリギリ助かったようだ。

そうしてなんとか一対二で勝てたが、俺はこの時ほど俺が回復役で良かったと思ったことは無いだろう。もしも俺がゴブルと戦っていたのならば確実に負けてしまっていたからだ。それに、俺は戦闘が終わったあとに、また新しい問題が降りかかってきたことで焦っていた。そう、 ゴブ吉が倒れた時に落とした剣と斧の武器を拾おうとしていたのだが、その時にゴブリムに止められたのだ。

(待って下さい!!それは貴方のような方が手にするような代物ではないです!!もしそれを使われたら間違いなく殺されます!!それを使うならゴブ吉さんに使ってあげてください!!お願いします!!)

そんな風にゴブ郎をかばうように、俺に向かって懇願してくるものだから俺は仕方が無く、仕方なくゴブ吉に【癒し】を使って治療してやったのだ。すると俺が【鑑定】を使ったから分かるのは確かなのだが、ゴブ吉のステータスが凄いことになっているのである。

そしてそんな俺の様子に気がついたゴブ郎は、ゴブ美とゴブ美を介抱しながら俺に話しかけてきた。

(この方は、この国の王様なのですよ!!私は一度お会いした事があるのですがとても素晴らしい方でした!!この方は回復役としてこの世界に呼ばれました。貴方も聞いたことがあるでしょう。伝説の職業を授かる事が出来ると言われている勇者召喚の事です。その伝説の職業が、この国でも、世界全体を探してみてもこの人以外存在しないのは、この方の圧倒的な強さがあってのことです。だからこそゴブ吉は命を救って貰えるどころか、一生を懸けても返しきれないほどの恩を国王から受けることになるんです。それだけではありません。国王が貴方に望む事、それが貴方の今後に関わってくることになるんですよ。それでもいいですか?)

そう言われてしまえば俺は何も言えないじゃないか、だから俺はこう言った。

「分かった。だが一つだけ条件がある」

「はい!私に出来る事でしたら何でもやりましょう!!」

そうしてゴブ美の願いを聞いてからゴブ郎に頼みゴブ吉の治療が終わり次第俺は仲間達と一緒にこの場を去る事にしたのだった。そうして皆で街まで戻ったところで別れる事にしたのであった。

(ご主人様、ありがとうございました。それとご主人様の本当の目的については私達はもう知っていますので、私達には隠さないでくださいね。これからのご主人様の行動についてご一緒させていただきたいのですけどよろしいでしょうか?この国の王女様は私が助けて見せます。ご安心ください。それからこれは私の連絡用の番号になりますので、なにかありましたら連絡をしてください。必ず駆けつけて見せますので)

ゴブ美は俺に紙を渡してから俺達の仲間達を連れて何処かへ行ってしまったのだった。俺がゴブ吉を背負って帰っている途中ゴブ美の言葉がずっと頭の中を巡り続けていたが、結局俺には何が出来るのか分からなかった。俺はそんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま家に帰ったのである。

俺達はあの後すぐに帰って来たのだが、なんと!そこにはリンとアイが俺達を迎えてくれたのである。そして俺に抱き着いて来たのだがその時に俺の腕の中からゴブ美とゴブ蔵の声が聞こえたような気がして俺は二人に聞いてみたのだ。

「えっとぉ~ゴブ美とゴブ蔵はどうしてこんなところに居るんだ?」

すると、二人共顔を見合わせて何かを話そうとしたので俺は二人に事情を説明させた。そうして二人が話す内容によるとなんと、あの決闘騒ぎを起こしたのは俺に惚れてしまったからだとかいうことで、俺達を追いかけてきたというのだ。

そうして二人が俺達に迷惑をかけたことを謝罪してきたのだが、二人に俺への想いをぶつけられた時は流石に俺も照れてしまった。そうやってしばらく三人で話をした後、二人の処遇についても話をしたが、二人はそのまま俺の家に住まわせることにしたのである。そうやって二人で話し合っていると急にゴブルが俺の前に来て頭を下げて謝ったのである。そして俺はそのゴブルにこの前と同じことを言ったのだ。

ゴブルが頭を上げないのでゴブルの顔を両手ではさむとゴブルは目を瞑って恥ずかしそうな表情をした。その表情を見た俺は何故かゴブルに欲情してしまった。そうして俺は、我慢が出来なくなったので、ゴブルを寝室に連れて行ったのである。そしてそこで、二人きりになった俺はゴブルとの初めてを経験したのだった。ゴブ蔵が言っていた事がなんとなく分かってしまったのである。俺はゴブ美とゴブ美とゴブ美で散々経験していたので大丈夫かなぁと思ってやってみたのだが全然痛くなかったので俺は調子に乗ってしまい三人とも気絶するまで愛し合ったのである。そうして俺達が寝た後は二人とも幸せそうな顔を浮かべながら寝ていたので俺は二人に回復魔法を掛けてやったのだった。

こうして俺達三人に新しい仲間が出来たのだ! 俺はゴブ蔵が、俺達三人と婚約すると言っていたのを思い出したのでそのことをゴブリンキングに相談する為に、俺はゴブリンキングの部屋に来ていた。

(ゴブリンの王よ。俺の相談したいことについて聞いてくれないだろうか?)

ゴブ太に聞くと俺は少し緊張しながらも俺の悩みを話し出したのである。すると俺の話を聞いた後ゴブ太郎からゴブリンキングが口を開いたのである。

「我も最近になって思ったことなのだがな。我が娘を嫁に出さなければならないのだ」

ゴブ蔵の時と同じような会話になったが今回は俺の方が立場は上なので俺はしっかりと意見を言ってやることにした。

(それはおかしいだろう、だって貴方は娘を俺に取られるからって理由であんなにも怒り狂っていたじゃ無いか。あれは演技だったのなら俺が許すわけが無いだろ。それに俺とゴブ郎達は既に結婚を約束しているからゴブ蔵達のように俺の妻になれないのが理由ならゴブ郎はどうなる?俺と夫婦になるのならゴブ美とゴブ蔵とは結婚出来ないしそもそも俺はあいつらと結婚なんてしたくてしないからな。だから俺はこの話はなかったことにしてくれと言ってその場を去ったのであった。そうやって俺が去ろうとするとなんと!ゴブ美が追いかけてきていきなり告白されたのだ。しかもその場で俺はゴブ美を押し倒してしまったのだ。

そして俺はなんとなく嫌だったので、俺はその日はそのまま家に帰りゴブ美がゴブリン達に何をされていたのかを聞き出してから俺達は結婚したのである。その後ゴブ美が俺にお礼を言いながらゴブリン達の元に帰ろうとした時、ゴブ美は俺が助けてあげた事によって自分がこの国で一番美しい女になってしまったと言うことで俺の子供を生まない訳にいかなくなり、俺は渋々承諾したのであった。俺もまさかゴブ蔵が俺の嫁さんに成りたいと申し出てくるなど考えていなかったのにゴブ美がゴブ郎に負けず劣らずの絶世の美女だったため俺はついゴブ美と一夜を明かしてしまうのだった。それから暫くは平穏無事に過ごしたが、ゴブルから俺宛に連絡があり俺に助けを求める手紙が届いたのだ。その内容は俺の子供がゴブ蔵に狙われて連れ去られそうになっているのを助けて欲しいというものだったので俺はゴブ郎とゴブ美を連れてすぐに助けに向かったのだった。そうしてゴブ美と一緒にゴブ助の元に行きなんとか間に合いゴブ助を助ける事に成功したのだが俺はそこでまた新たな問題が発生することになる。それはゴブ郎からの求婚だ。今度は断ったら殺してやると言い出す始末だ。俺は困り果てて仕方なく了承し結婚をする羽目になってしまったのである。それからというもの毎日のように俺は家の中で三人に可愛がられているのであった)

そして俺はその後もゴブリンキングと話し合っていたが結局良い解決策が見つからずに俺は一旦帰ることになった。そして次の日にもう一度話し合いを行うことになり、俺は家に帰る前に街に寄ることにした。そしてそこでなんと!ゴブ郎に再会したのであった。

(おっ!?ゴブ郎久しぶり、元気にしてたか?)

(えっ?あーー、うん。僕は元気だったんだけどね。君のおかげで僕の家は今大変なことになっていて僕もお城に呼ばれてるんだ。君は一体どうしてこの街に来れたの?普通この国に召喚されるはずなのに、でも丁度良かった。僕をここまで送ってくれたのはあの時の勇者さんだったんだね。)

俺がその話を聞くと、ゴブ吉は勇者の召喚に巻き込まれてここに来てしまったということらしい。俺はその事に対して同情したのだがゴブ郎の話には続きがあったのである。なんでも俺とゴブ吉が決闘した日から数日経った頃突然この国の重鎮が殺され始めたというのである。最初は王族だけが狙われていたようだが貴族なども襲われ始めて現在王様達以外の人間は皆殺しにされているということだ。そしてゴブ吉はその事を知っているようだったが俺はその情報を知りたがった。

(ゴブ吉。王様は無事なのか?)

(はい。王様と王妃様、あと王女は今のところはまだ安全です。ただこの城の中の人間には既に裏切り者が出ていて、そいつらが裏切っていない人たちに毒を盛ってます。今は僕たちみたいにこの城の中にいた人だけが生き残り、城の外の人はほとんど殺されたようです。それと王様はこの国から逃げ出そうかと考えていたようでしたが、この国の人達は皆もう心を壊していてもう無理でした。それに僕達もいつ捕まるか分からない状態だったのでこの国の人達と別れてこの国から出る事にしました。なのでこの事は内緒ですよ。)

(なぁ?どうしてゴブリンはお前達をそこまで憎んで殺したがっているんだ?この国が滅ぼされたら次はゴブリンの国が出来るんじゃねぇのかよ)

ゴブ郎が話してくれた内容を俺なりにまとめてみることにする。

まずこの国を乗っ取ろうとしたゴブリン達は、元々自分達は異世界から来たという事をアピールしながら他の国と取引をしていたようなのだが、そこにたまたま俺が召喚されてしまいその現場を見られて焦ったゴブ郎がゴブ吉を攫って逃げ出したという。しかし、それを知ったゴブ美達が俺の嫁になるという条件付きで見逃してやったのである。だがそのせいで俺のハーレムに入りたかっただけのゴブルとその部下であるゴブリン達に目をつけられゴブ美とゴブ美を人質に取られてしまったという事だった。

俺はそのことを聞いて納得したのでとりあえず俺は二人にこれから起こるであろうことを説明してからゴブル達の元へ向かうのだった。

(おい、お前達何をしているんだ?)

そこには俺の言葉に耳を傾けるような者は誰一人としていなかったので俺は力づくで止めることに決めた。するとそこには俺の知っているゴブリンがいて、何故かこちらを見つめているので何か俺に用があるのかと思って話しかけたのだ。するといきなりゴブリンキングからゴブ彦達を守るように言われたので、ゴブ太郎達も俺にゴブ彦達が敵わない相手だから止めておくと説得してきたのである。

(分かったよ。ゴブ蔵。俺の大切な奴らは守るぜ。そしてこの国は滅ぶ運命なんだろ?俺の嫁達と俺の子供のためにも俺はこの世界を滅ぼすことにしようじゃないか。ゴブ蔵。俺を手伝ってくれないか。ゴブルも俺がやると決めたなら協力してくれるそうだ。俺達がやれば出来ると思う。ゴブ太やゴブ蔵が俺の仲間になればゴブルの言う通りにこの国を俺の力で破壊してやろうじゃ無いか。そしてこの世界を俺たちで支配するぞ!!そういえばまだ名前を言っていなかったな。俺はゴブ蔵でこいつはゴブルだ。ゴブ太やゴブ蔵も俺についてくるって言ってくれるならついてきてくれ。俺はこれからゴブリン族を率いてゴブ郎達のところに向かうがどうする?)

俺はそうやってゴブ蔵に確認を取ると、俺は二人を引き連れてゴブ郎達のいる場所へと急いだのである。そうしてゴブ太達を連れてきた後で俺はゴブ美に頼みゴブ蔵達と共に王城へ忍び込み全ての部屋を調べ尽くし俺の奴隷にする為にこの世界のすべての女性を連れ帰る事にしたのだった。

そしてゴブ美達は連れ帰ってから直ぐに俺の子供たちと遊ばせてやり、そしてゴブ美達は俺達と子供と遊ぶ日々を送るようになった。

俺とゴブ太郎はそれからゴブ美達が幸せに暮らしているかどうか確かめるために何度も城を出入りした。

それから数年が経ちこの国を俺達のものにすることには成功したがゴブリン族はまだまだ弱いためゴブリンキングには引き続きこの国の管理を任せる事にし、ゴブリンの王に頼んでいたこの国をゴブ蔵とゴブ郎に任せることが出来たのだった。

それから更に数ヶ月が過ぎ俺はゴブ郎をゴブル達の元に残して俺だけこの国を飛び出してからある人物を探しに行こうと思った。そう俺がまだこっちの世界に来ていなかった時にいた元魔王軍の四天将の一人であり魔獣使いと呼ばれていた魔物に転生していたスライムのライナスを探す為だ。俺が探し求めている間にゴブ蔵とゴブ郎がどんどん進化していき俺はそんな二匹の成長を見守りながら俺は遂に見つけたのだ。俺はその時からずっと考えていたのだ。

俺の配下として働かせようと。そして俺は俺の考えを伝えたらゴブ朗がその言葉に賛同して仲間になりたいと言うので俺達は仲間になることを決めたのであった。

(ゴブ蔵、俺達は俺達のやり方でこの世界で成り上がっていこうじゃ無いか!)

それから俺達は元四天王のスザク、リザーム、ゴブ美、ゴブ助の捜索を始めたのであった。俺達は元の世界にいた頃からこの世界でも使える能力を手に入れる事に成功したのでそれからの俺達の活動はスムーズに進んでいった。そしてこの国の周辺を纏め上げこの国もゴブ蔵達にまかせ俺は再び旅に出たのであった。俺はそれから各地を転々と移動し続けついにこの世界に来ていない元魔王軍の幹部達を見つけ出したのだった。

俺が見つけてきた元幹部たちは皆ゴブ郎の配下にする事が出来たのだが、俺は少し問題が起き始めていた。ゴブ郎とゴブ蔵に俺の娘達がモテ始めているのである。それはしょうがないと思っていたのだがゴブ郎とゴブ蔵は俺と離れることを嫌がり始めてしまい結局ゴブ美達とも結婚したく無いと言い出してしまうので困り果てていたのだった。俺としてはこのままだとゴブ郎達を置いて旅に出ることも出来ないし。でも嫁が増え続けるというのも考えものだと思い俺は一旦全員集めて会議を開いたのである。そして俺はゴブ助に相談しこの国を発展させて発展させていく事にしたのであった。俺はその後ゴブ郎に呼び出されたので行くことにした。

ゴブ郎はゴブルの所に行ってしまい。俺は今ゴブ助と二人で街を見て回っていた。ちなみに今は、この国にゴブルも来て街の様子を見に来ていたが、やはり俺の子供達が人気なようだったが俺のハーレムメンバー達には興味が無いようで特に何も言わずそのまま何処かへ行ってしまったのであった。俺はこの国が発展していっている姿を見てとても満足している。ゴブ郎が俺の側に来たので俺はこの国に何が起きたのかをゴブ郎に聞いてみた。

(ゴブ郎。この国はもう安定し始めたがお前から見て今の国の状態はどんな感じだ?)

(はい。僕は王様なんてやった事は無いのですが、僕のお父さんとお母さん、そして僕の部下達が凄いんです。王様も僕達と仲良くして下さって本当にいい方々ばかりなのでこの国ももう直ぐ完成するかと思います。ただ、ゴブ蔵さん達がゴブルさんと一緒にどこかに行ったみたいで僕は王様の役に立っているか分からないのが不安で、王様は何か気になっていることでもあったのですか?)

(いや、そういうわけではないんだ。実は俺の可愛い娘のことなんだが良いだろうか?)

(えっ?王様って娘がいたんですか?しかもゴブ助さんの話によるとハーレムを作っているらしいですね。一体誰なんですか?教えてください!!)

(分かったよ。でもその前にゴブ助はどうしたい?ゴブ助がこの場を離れたくないっていうのであれば無理には言わないがどうする?)

(私は王様についていきます。ゴブ郎君もそれで良いかな?)

(はい。僕も王様にお供いたします。それに王様の役に立ちたいです。ゴブルさんにも頼まれましたしね。それとゴブ吉君はもう大丈夫ですよ。この国の人達は皆もう心を病んでいるのは治ってますよ。それにあの時僕が話を聞いてしまったせいで、王様の側にいられなかったことを皆に謝罪して欲しいです。)

(そうか、ならお前達三人で頑張ってくれるな。)

(はい。もちろんです。それで僕が気になっていた事なんだけど、ゴブ郎と僕と王様でこの国の外に出ませんか?ゴブ吉は置いておくとして。)

(んっ?何かあるんだろうな。俺は別にかまわないぞ。よしそれじゃあさっそく出発だ。俺達はまず最初にゴブルのところへ行くぞ!!ゴブ吉のことは後でゆっくり話し合おう。それからアイも連れていきたいが、流石にまだこの国で仕事があるから今回は俺達だけだな。俺の愛しい娘達は俺に預けていけ。まぁ心配はないと思うが、一応お前もついていっておくといいだろう。俺が許可する。それじゃあゴブ助とゴブ郎後は任せたから。)

(ゴブ郎君私もゴブ郎と行きたいけどやっぱりここは残るべきだと思うわ。だからゴブ美ちゃんにお願いしておきなさい。私の分もしっかりね。)

(はい。分かっています。ゴブ助さん、ゴブ太と行ってあげて下さい。)

(うん。ありがとうゴブ郎。それから王様に聞きそびれたんだけど、王都にいるであろうゴブ彦達も探しに行くの?確か王城の玉座の間にいるんでしょ?私達もそこへ向かう途中だし一緒に向かう?王城はここから結構遠いよ。ゴブルもそこにいるはず。あっそうだ!ゴブルも連れて行く?私が言ってみる。それからゴブ彦達の件についてもちょっと気になることが有るんだよ。)

そう言ってからゴブ美は自分の配下である四天王の一人のリザードマンであるゴブリンキングの元へ向かったのである。するとそこにはゴブ朗も一緒に居たので二人共話をすることにした。すると何故かゴブ彦達がいるという王城にリザードマンが二人も居るという話になったのだ。俺は不思議に思いながらもその二人の所に急いだのだった。

俺は二人が俺の目の前に現れた時に驚いた。何故ならリザードマンの二人は女の姿に変わっているからだ。俺は二人を鑑定して見ると二人ともメスだったのでとりあえずは問題なかったのだが、まさかのゴブ郎とゴブ美と姉妹関係になっておりしかも名前がリザ、レイアとなっていることに更に驚いていたのだ。俺達が急に現れたので慌てていたが俺が事情を話すとすぐに落ち着きを取り戻したようで俺達はゴブ朗達の所に戻り詳しい話を聞いたのだがその内容を聞いたら驚くしかなかったのであった。

「ゴブ助様から王様の娘達がこの国に残っていると聞いていたのですが、それがどうして女の子達に?それにその子達がこの国の王族の子供で王様がハーレムを作ってる子達って本当ですか?」

俺はゴブ助から聞いていた情報を二人に伝えた後で色々と話をしている最中でレイアの方が質問してきたのであった。

「ああそうだ。俺は確かに娘が四人いる。ゴブ太郎、ゴブ蔵、ゴブ美、ゴブ恵のことだ。ちなみにお前たち兄妹と同じ名前だがこれは偶然の一致であって俺の娘じゃない。そして俺はゴブ美達とはそんな関係になってないぞ。ゴブ美とゴブ恵とだけは親子だけど。」

(おい、俺の娘はお前の娘では無いとか言っちゃダメだろ。)

俺の言葉を真に受けたゴブ彦とリザがショックを受けていたのだ。俺はそんな二人に対して俺は嘘ではないと言いながら説明をして誤解を解いた。しかしそこでリザードマンのゴブ助まで俺の娘である事をカミングアウトしだしたので更に大変な状況になってしまったのだった。そして俺はゴブ郎達と相談しゴブ助とリザとレイアの三人は連れていくことに決めたのである。そして俺は三人の娘達の能力についてゴブ郎とゴブ助とゴブ郎の両親とゴブ助の両親と俺の六人で話をしていた。

(ゴブル、お前は今この世界で起きている現象については知っているのか?)

(はい。私はゴブルと申します。今はゴブルという名前ではありませんがゴブルと呼んでください。それと私はこの世界に転移する前に神に会っております故この世界では魔王と呼ばれる存在でございます。)

(えっ!?マジかよ!魔王なのか!それで俺をこの世界に転生させたのは魔王だよな?)

(はい。私は魔王の四天王でしたがこの世界に飛ばされましたが私はゴブ助の配下となっておりますのでご安心下さい。それとこのゴブ助も元魔王軍でしたが同じ魔王の部下だった者です。)

(えっ!?俺の部下って事はお前も魔王の仲間って事だろ?なのになんで魔王に従っているんだ?というか魔王の部下だったって事は仲間じゃなくて部下って事じゃ無いか?)

(はい。そうですね。確かに貴方の言っている通り私は元部下です。ですが私はもうあの人の部下では無くゴブ郎様に仕えるつもりでおります。ゴブルはもう死んでいますのでその辺は大丈夫なのです。)

(んっ?今何と言ったんだ?)

(はっ?ゴブルは既に死んでおり、今の私はゴブ郎様に魂を分けてもらい存在しているゴブ助です。ゴブルはゴブ吉と共に私の元に来ておりましてゴブ吉は今も生きているはずです。そして、この姿も本当の姿では有りませんので御理解を。そしてこの姿の時は私のことは全て忘れてしまうのです。)

(ふむ。よく分からぬがお前が既にこの世に存在しない者であることは分かったぞ。それでお前にはこの世界のことをどう思っているのかを聞きたいんだがいいか?)

(そうでありますね。正直この国は腐ってるとしか言いようがないです。民は飢えで苦しんでいるし。奴隷の扱いは酷過ぎる。それにあの国の王子がやっている行為なんて最悪ですね。ゴブルさんやゴブ郎さん達はあの国から逃げてきたんですよね?)

(そうです。ゴブ郎様は私と二人で逃げてきてゴブ吉も一緒に連れて行きました。ですが途中でゴブルとゴブ吉と別れてしまいましたが。)

(なるほどな。それでお前達はゴブ助やゴブ美やゴブ恵と一緒に旅をしなければいけない訳か。)

(そうですね。私はこの国が滅ぶならそれでも構わないと考えております。この国の王と王妃の行為は私にとっても許せることではなくむしろ私が手を下すべきなのかもしれません。ただ、それをするにしてもゴブ助はゴブ吉を探すことを優先すべきと考えています。だからゴブルはこの場に残ります。)

(いや、ゴブルは俺に付いてこい。それと俺とアイも一緒にこの国に残ってこの国を見守ろうと思っている。だからお前にもついてきて欲しいんだ。それからお前ももうすぐしたら寿命で死ぬ運命なんだよな?それならそれまでにゴブ美達を鍛えてやって欲しい。お前ならできるだろう。)

(はい。それは可能ですがよろしいのですか?私のような者が側に居たら目立ってしまうでしょうしゴブル達を鍛えるとなると時間はかなりかかりそうですしそれにゴブルもまだこの世界に転生してから数日のはず。それだとあまり成長していない可能性も有るのです。それにゴブ美さん達は既に十分強いですからね)

「そうか、それならお前達はゴブ吉のところに行ってくれないか?ゴブル達ならゴブ吉を見つけ出せるだろう。」

(はい。そうさせてもらう事になりました。ゴブ郎様もゴブ吉さんの捜索に加わるそうですからね。)

そうして俺はこの国に残る事を決めてから皆に事情を説明したのだが、やはりと言うべきかゴブ郎達も同行する事に決まったのである。それから暫くの間俺達はこれからの行動について話し合いをするのであった。

僕は僕達が召喚された王国から少し離れた場所に位置する町に来ていた。この町は元々は大きな湖があったらしいけど、ある時からその水がほとんど干上がってしまった為にその湖の周辺に出来た小さな町なんだよね。だからそのせいもあってか町全体が湿地帯みたいな感じに成っていて歩きづらいんだけどそんな町に何故僕が来たかというと理由は単純、僕達がこの町に来ているということを他の町の人に悟られない為の隠れ蓑にしているから。つまりは潜伏するためにこの場所を選んだのだけど実はこの選択はある意味で正しかったと言えると思う。なぜならここは魔物達から一番襲われやすい危険な地域だから。逆に言うとここ以外なら比較的安全な場所が多いんだけどやっぱりそんなところに好んで行く人間はほとんどいないから、必然的にここには人が寄ってこなくなるからね。

さてと、まずは情報収集といこうかな。僕はこの町で一番情報が集まりそうな酒場へと向かっていくのであった。

「いらっしゃーい。おっ!あんちゃん!久しぶりだねぇ。お酒を飲むかい?でもお金はあるの?もしかしてまた盗みにきたの?」僕の姿を見た途端話しかけてきたのは以前ここで何度か酒を奢ってあげた女だった。

「いや、そういうつもりは無いよ。今日は純粋に飲みに来ただけだよ。ところで君、僕のことを知っているの?どこかで会っていたっけ?」

そう。実はこの町に入ってから今まで一度も誰とも遭遇することが無かったのである。なのでこの町ではおそらく唯一の人間の彼女を見て、彼女は一体何者かと疑問を持ったのである。するとそんな俺の言葉を聞いた彼女が衝撃的な言葉を放ったのだ。なんと俺を知っていたのだ。俺は彼女を改めて見てみると彼女の顔に見覚えが無いわけではないことに気づいたのである。俺はそこで彼女と初めて会った時の会話を思い出した。

(あっ!!あなたは前に酔っ払ったおじさんから助けてくれた人じゃない。あの時はありがとう。)

(あぁ~そんな事もあったかも。ごめん、全然思い出せないんだ。それより君はこの辺りに住んでいる人なの?)

(ううん。違うわ。私はずっとこの村から出ていないからね。でもあなたの事は村の人も知っているみたいよ。だってあなたはこの町で有名人だもの。)

(んっ?どういうことだい?)

(あなたって盗賊に捕まった貴族の子供を救ってそのままその子と婚約したんでしょ。そして貴族として認められたんだから。)

(えぇ!?何言ってるの?そんなわけ無いじゃないか。あれは本当に偶然だよ。)

(そうなの?でも、この国の貴族って基本世襲制じゃないのよ。まあ例外として王族が結婚する場合は血が近い親族が相手になることもあるけれど。)

(そっ、そうなんだ。というか君の方こそよく俺の事を覚えていたね。あの時はかなり泥酔していたと思ったんだけど。というか君はここに住み始めて長いの?)

(いえ。私もこの前までは隣町にある別の村に家族と住んでいましたが両親が病気になったので薬を買うために出稼ぎにこの町に来ているんですよ。)

(そうなのか。ちなみに隣の村には戻らないの?両親に会いたいんじゃないか?)

(えっとね、実を言うと私はもうこの歳ですし今更両親の所に帰っても迷惑をかけちゃうだけだと思いますし、それにもう両親は死んじゃったんです。)

(えっ?ごっ、ごめんなさい。変なことを聞いてしまって。そうだったのか、ご両親亡くなられたんだね。)

(気にしないで下さい。もう昔の話ですからね。私は今の生活の方が気に入っているし幸せです。それに両親とはもう二度と会えないって分かってますしね。)

(んっ?どういうこと?それってどういう意味なの?)

(はっ?どういうこともなにもそのままの意味よ。私はこの土地で暮らして行くの。そうそう!この近くには美味しい果物があるらしいの!だから私はこの町で働いてお金を稼いでそれで食べ物を買ったりお土産とかをいっぱい買って実家に帰ろうと思っているの。もう、私も子供でも無いんだから親が死んで悲しいなんて思わないもんね。)

どうやら僕はこの娘がこの村から出て行かない本当の理由を知ってしまったようである。僕は何となく彼女に同情してしまい、その後しばらくお話をした後その娘のお店を出ると僕は家に帰ることにしたのである。

僕は家に帰ってくるとすぐに部屋の中にいる妹達に声を掛けることにした。

「ゴブ美。ゴブ恵。ちょっと来てもらえるかな?大事な話しが有るんだ。それから兄さんが戻ってきたことをゴブル達に伝えておいてくれないか。ゴブ助も後から連れてくる。じゃあいってくるね。」

(分かりましたわ、私も後で向かいます。)

ゴブ美とゴブ恵には僕についてきてもらうと家の外に出るように指示をして外に出てもらうと僕はゴブ美に質問をした。

(ねぇ、ゴブ美、最近調子が悪いこととかあるかな?体が重いとか頭がボーッとするって感じがするんだけど。)

(えっ?別に体調が悪くなるような事は有りませんよ。どうされたのですか?)

(いやさ、実はねゴブ郎達がこの前帰ってきたんだけどゴブ郎がなんか弱っている気がするんだよ。それにゴブ郎に何かが取り憑いている感じがするし。)

(えー、そんなはず有りませんよ。それに仮にそうだとしてもゴブ郎様がそう簡単にどうにかされる訳が有りませんから大丈夫ですよ。)

(そうかなぁ。確かにゴブ郎達は強敵と戦う事に慣れているから多少の事なら何とかなるかもしれないけどさ、でも心配だしなぁ。よし!やっぱりゴブ郎の所へ行ってみるか。)

僕が決意を固めて家に入ろうとするとそこには何故かゴブルの姿があり僕はゴブルとゴブ郎がいるであろう場所に急いで向かうのであった。

(ゴブ郎、いるかい?)そうして僕が部屋に入っていくと、そこでは信じられない光景が繰り広げられていて、ゴブ郎はゴブ助とゴブ蔵に殺されそうになっているところであった。

(なっ、なんで二人がこんなことをするんだよ。)僕がその現場を目撃した瞬間ゴブルに腕を引かれて僕達三兄弟は部屋を出てから物陰に身を隠した。

(ゴブル、説明してくれるよね?いったい何があったの?ゴブ助とゴブ蔵は僕の弟と妹だろ?なんであんなことするんだよ。)

(はい。それはゴブ吉のスキルが原因でしょう。)

(スキル?ゴブ吉はそんなの持っていなかったぞ。それに僕の知る限り二人はそこまで弱くは無いはずなのにどうしてゴブ郎を殺しかけようとしているんだ?)

そう言うとゴブルから衝撃の事実を聞かされることになったのであった。

そうして僕はゴブ吉に真実を確かめるべく動き出そうとしているところなのだがゴブ吉がどこに居るか解らなかったのである。僕は町に出て聞き込み調査をすることにする。その結果この町にゴブ吉の情報を集めようとした結果、ゴブ吉らしき人物が目撃されていたのだがそれは町はずれにある小さな小屋の中だと言うことがわかった。ただ僕はそこで違和感を覚えることになった。

(何故、その人は町から出ようとしないんだろう。もし本当にゴブ吉なら僕が来ていることに必ず気付くはずだ。ということはやっぱりその人がゴブ吉だと決まったわけじゃないな。とりあえず、僕達だけでも中に入るべきだろう。ゴブタロウは少しの間一人で我慢していてね。ゴブ美、悪いけど僕と一緒に来てくれ。)

(はい!喜んで付いていきます!私は貴方のお姉ちゃんですもの!どこへでも行きますよ!あと、私のことはお義姉ちゃんと呼びましょうね!ふふん♪)

(はい?いきなり何言ってるの。それに僕はまだ結婚した覚えはないからね!それと今は緊急事態だから後にしてくれ。)

(ちっ、違います!!私が言っているのはこの子が言ったように私をお義姉さんって呼んでも良いってことです!私はあなたのお嫁さんになりたかったんだから!!あっ!!ごめんなさい、つい興奮しすぎてしまいまして)

どうしよう。お酒飲んで酔っ払ってないよね?それにゴブ美は普段からかなりおっとりとした性格でお酒を飲むと人が変わると聞いてたからさっきの言葉はもしかして素なのだろうか?というかさすがにお嫁さんにしたいは無理だろ、ゴブ郎も困ってるじゃないか。というか、そんなのんびりしている時間は無いのである。

そしてなんとか僕はこのゴブ美をなだめながら、ゴブリン達のアジトとなっていると思われる小屋へと向かうのだった。すると僕の耳に声が届いたのである。それは女性の声のようで誰かに助けを求めていたのだった。僕は慌ててそちらに向かうとそこにいたのはなんとゴブリーナとコボルドの女騎士であった。

(なっ、なんだこの子は!?一体なんなの?なんでこの子までいるんだ?いや、まず先にこの子の身の安全の確保だ。この子に害を与えるようなら容赦なく殺すしか無い。だけど、このまま殺してしまうにはかわいそうな境遇だな。この娘だけは逃すか。)

「君!!逃げられる?僕の仲間がここに君を追ってきているんだ!」

「はいっ!!わたくしに出来る事でしたら何でもしますのでどうかわたくしの事は見捨てないでくださいませ。なんでも致しますからお願い致します!!」

(うん?なんか様子がおかしいな。まあ良いか、それよりも早く逃げるんだ!急げ!!あっ!そうだ!!ゴブルがゴブ太郎を連れてこいって言ってたな。まあこの娘をゴブ郎に紹介すれば納得するよな?多分)

僕はそういうことに決めてゴブ吉がいるはずの場所に向かった。そしてゴブ吉を発見するとゴブルの所に連れて行くことにした。

(この子がこの前の話に出てきた人なのかしら?)

(んーどうもそうみたいだね。)

(あらっ、あなたもこの子をお持ち帰りしちゃうつもりかしら?もう、そんな事ばかり考えているんですのね。でも残念ね、あなたが手を出しちゃったらゴブ太郎は私と結婚しなくちゃいけなくなるんだもん。そうそうあなた達には私の正体を教えておくわね。)

(えっ?正体?)

(ええそうよ。だってこの姿は変装しているんだもんね。本当は私もっとおっぱいが有るんだもん。この身体になる前にいっぱい栄養を取らせてもらっていたから。ほら触ってみなさいよ。凄いでしょ。それにね私は今よりも更に美人になれるわ。だから安心して。それからゴブ郎君に会わせてくれたから特別に私の秘密も教えてあげる。私実はゴブルの妻のリザードマンなのよ!しかもあの魔王の娘でもあるんだからね。びっくりしたでしょ?)

どうしよ?まさかの真実を聞かされてしまったよ。というかこのゴブ美さんはとんでもない人だったのか?

(ゴブルの奥さんでしたか。えっ?魔王の娘?じゃっ、じゃああの、もっ、もしかしてあの時ドラゴンに乗って現れた方ってこのゴブ美さんですよね?)

(んー?さぁどうでしょう。それより私ねゴブ助に頼まれてここに来たの。ゴブ蔵はねお友達と遊ぶ約束があるんだそうよ。ゴブ郎と遊んであげたいけど、今日はどうしてもダメな日なんだって。それでね、お姉ちゃんと遊ぼうって誘ってくれているみたいなの。)

(へぇー、ゴブ郎はもう喋れるのかい?)

(そうみたいですね。)

(じゃあ僕達にも姿を見せて貰おうかな。)

(はい!わかりました!ではゴブ郎に変わっていただきますね。ゴブルも一緒にね。)

ゴブ美はそういうと何かをゴブ郎に伝え始める。そしてゴブ郎が表に出てくると、ゴブ郎が話しかけてきた。

(初めまして!俺の名前はゴブ吉です。ゴブルさんのところで働いている者です。よろしくおねがいしましゅ。)

噛んじゃったよ!可愛すぎか?ゴブ美さんはクスクス笑ってるけどさ、僕とゴブルがどうしようか迷っているとそこにゴブル達がやってきてしまい大変な事態になってしまうのであった。

僕達がそんなやり取りをしていると突然ゴブルとゴブ吉の親父が現れたのである。

(お前ら何しに来てるんだ?)

その言葉を聞いた瞬間、ゴブ吉の親父がゴブルに詰め寄っていった。

(お前ら何をしたんだ?答えろ!!!)

そんな事を言われても何もしていないのだがゴブ吉の父親はかなり焦っているようでかなり取り乱していた。僕達が呆気に取られているとゴブ郎の父親が口を開いた。

(ちょっと待てよ!俺達はただ、ゴブ吉と遊びたいって言っているだけだぞ。それになんなんだその態度は?ゴブ吉は何も悪くないぞ!おい、あんたら!そいつに何か変なことを吹き込んでねぇだろうな!)

その言葉を聞いて今度は僕達全員が混乱し始める。ゴブ吉が僕の弟なのは知っているようだが、なんでゴブ助まで僕の弟だと気付いているのだろうか?

(なっ、なんで知ってんだ?というかそもそもなんでゴブ美まで居るんだよ。どういうことだ?)

(なんだよ?お前ら知り合いだったのかよ?まあいい、とにかくゴブ助!そんな奴らと関わるなよ。いいか、絶対にそっち側に付いたりするなよ!分かったか?なっ、なんでだよ?何でこんな事になっちゃったんだよ?)

ゴブ助がゴブ吉の親父の質問に対して答えることはなかったのである。

(ははははっ、こんな馬鹿げた話は今まで聞いたことが無ぇぜ。まあゴブ郎が居るからそんなことはあり得無いんだけどな。それに、もし本当だとしてもだな、そんなことをするメリットが無いのも解りきってる事なんだよな。ゴブル、何があったんだ?俺はここんところ忙しくてなかなか帰ってこれなかったからな。色々と聞きたいんだがな。それにゴブ郎もまだ赤ん坊だと思ってたんだ。それに、ゴブ蔵のやつあんな小さい癖に俺より強くなってるぞ。まあそのおかげで俺は助かったわけだがな。というかゴブ吉の事はゴブルとゴブ美に任せていたつもりだったんだ。なのに何故こんなことになってんだよ。ゴブ太とゴブ美がゴブ助を仲間にしたいだとか言ってたがな。)

(ん?僕が説明したいけど、その前になんでゴブリンなのに僕達の名前を知っているんだい?)

(それはだな。この前のオーク共の一件の時になゴブ郎と仲良くなったからよ、だからお前らの事も少しだけ話してくれてたんだと思う。それにゴブ美とは俺達の里の者が世話になっているからな。名前くらいなら知っているし、それなら少しは信用しても良いと思ったからだ。まぁゴブ吉の事は知らなかったが、な。ゴブ吉の事はお前の嫁になるってずっと言ってて困っていたらしいからゴブ郎が連れて帰ったんだと思う。というかゴブル、本当に大丈夫なのか?ゴブ吉の事については、だな、正直に言えよ?お前の気持ち次第では俺はいつでもゴブ郎と手を組む用意がある。それとだ、ゴブ美とゴブルはゴブ助とゴブ太郎を返してもらうからな。)

(ゴブ美さん、どうして貴方はそこまであの二人の事を知りたがっているんですか?)

(ゴブ美は、いえ、リザードマンの長である私の父様の命令であの二人の護衛をやらされているんです。ゴブ吉に関しては、私の夫であるリザードマンに関係ある子なので、放っておけなかったのです。ゴブ美はゴブ吉の母親なんです。私はこの姿に変身していますが、本来の私はまだ生まれて間もない幼竜なんです。そしてリザードマンが産む卵の中で一番強いのはメスなんです。そして生まれた時にすでにオスが決まっているんですよ。)

(じゃあ君がお母さんでゴブ郎が息子ってことになるよね?)

僕の問い掛けに彼女は悲しそうな顔をしながらも首を縦に振るのであった。

「えっとね。とりあえず僕の方から説明します。」

そう言うとゴブ美はゴブルに視線を送る。

(まずはゴブルがこの村を作った理由からな。こいつは昔は別の世界から来た人間だった。それでな、ゴブ太郎をゴブ郎に育てさせるように言っておいたんだ。そして、こいつの願いを叶えるためにな。)

僕はゴブ美の言葉を通訳しながらゴブ吉とゴブ蔵に説明を始めた。

僕達がゴブルの所に向かっているとそこにはなんとも奇妙な光景が広がっていたのである。僕が目にしたのは地面に座り込んでいる女性とそれを見下ろすゴブ助の姿だったのだ。

そしてゴブルがゴブ吉達を見つけると僕達を連れて来るようゴブ吉に命令したのである。

僕はそこで見たのは地面の上でうずくまる女とその目の前に立ち見下ろしている小さな子供ゴブ郎がいた。ゴブ郎の表情は無表情でその瞳からは感情が全く読み取れなかったのであった。

僕達はその後すぐに家に帰ることにした。ゴブ吉はゴブ蔵の面倒を見るとかなんとか理由をつけて家に残っていたが。

(ゴブルさん!ゴブ郎君はいったいなんなんですか?なんか、まるで心の無い人形のような感じです。それに、ゴブ美さんがさっき言っていた通りだとすると、ゴブ郎君をどう扱って良いのかも分からなくなります。)

セバスチャンさんも同じような感想を持っているようで、先程から黙って考え込んでいた。僕が考えていると。突然、

(ん?ああそうか!あれってゴブ美が言っていたが、多分ゴブ郎の心の声なんだ。だから、あいつはああいうふうにしか物事を考えることが出来ないんだ。そうそうゴブ美の話によると、あの時俺とゴブ吉を殺そうとしてたらしい。だから俺がゴブ助に殺させようとしたんだけど、まさか、その前に殺されかける事になるなんてな。まあゴブ助に頼めばよかったかもな。)

どうやらそういう事情があるらしくて納得することが出来たのでした。そして、僕達は今度こそゴブ助に会いに行くのであった。

(おっ、お兄ちゃん!ゴブ蔵が目を覚ましたみたい!)

(本当かい?じゃあ急いで帰ろう!ゴブー)

(ちょっとまって!私達も一緒に行くから!)

(いや、お前らは別にいなくてもいいけど。)

(そんなー酷いよお兄ちゃん。せっかく来たのにぃー!お願いお姉ちゃん、ね?ね?お願いお姉ちゃん!)

(仕方がないわねー!でも、今回だけだよ!)

僕がそんなやり取りを横で見ているとセバスチャンさんがボソッと僕達に囁いたのである。

(ゴブルさんとゴブ助の親父、凄く性格悪いですね。あとゴブ蔵の父親は普通ですね。どうしましょうかね。まあゴブルさんの性格が悪いのには驚きですね。)

確かにゴブ郎は性格は悪そうだけどゴブルの方はあまりそういう印象は抱かないけど。

(ゴブ郎ってあんな風に見えるの?)

(はい、あの子は昔から自分の思った事を直ぐに口にしてしまうのですよ。その度に父親に叱られているのですが、それでも全然反省しなくて。それに最近反抗的になったんですよ。もう大人なんだからとかそんなことを言いながら、結局何もしてないんですけどね。)

なっなんなんだ?こいつら親子関係は。というかゴブルが親ってどんな家庭なんだよ。

僕達はそんな話をしつつ、ようやく家にたどり着くとそこにはゴブル達も居たのである。

(ゴブ助の奴は、今日は調子が良くて今は起きてんだがな。お前達が来たことを告げたら会いたいと行ってるんだよ。どうするか?)

(そりゃあもちろん会いますよ!だってゴブ蔵が無事だったことも伝えないといけないので。というか早く教えてくれても良かったんじゃ無いの?)

(あっ!それはだな!ゴブ助の奴お前らがいつ来るのか分からないとずっと待ってるんだよ!しかも俺にゴブ美と一緒に遊べとずっと言ってくるんだぜ?そんな暇があるなら勉強させろといつも言っているんだ!だからお前らに会う気がなかったんだ。お前達が来てたらゴブ助は俺よりもお前らに構っていただろうからな!だからお前達には俺から話そうと思っていたんだ。だからゴブ助の相手ぐらいしろよ?まあそんなわけで、とりあえずゴブ助に会いに行け、ゴブ美案内してくれ、それからゴブ郎と俺で話し合ってみるからよ。ゴブ美も一緒なら話してくれるかもしれねぇ。それに、ゴブ美はお前達の味方だろうからよ。)

という事で僕らはゴブ美についていきつつゴブルの家に向かったのである。

(おいっゴブル。そっちにいるのがゴブリンの里のゴブ美とゴブ郎の父親、ゴブルとゴブ助の父親のリザードマンだ。ちなみに俺の名前はゴブ郎。一応勇者の召喚に巻き込まれたんだ。ゴブ美の言うことが正しいのならば俺の両親はゴブ美とゴブルになるんだが。ゴブ美、ゴブルと自己紹介をしてきてくれないか?)

(うん、分かった。ゴブル様初めまして。リザードマンのゴブルの妻であり、ゴブ吉の母であるリザードマンの長である、リザードマンのゴブリン種のゴブリン長のリザードマンの長でもあるリザードマンです。そしてこの方が息子のゴブ郎とゴブ吉と私の弟のゴブリン種の長の息子のゴブリンです。)

(おう!ゴブルだよろしくな!俺はリザードマンのリザードマンの長でゴブ郎とゴブ吉の父親になるな。で、俺の隣にいるこいつが俺の右腕の長をしている、まあゴブリン長のゴブ助ってところか。まあ俺はあんまり喋んねーが。まぁゴブ郎の件が終ったらゆっくり話そうな。とりあえずお前達の村がどういう状況なのか説明してくれよ。ゴブ美。)

こうして僕の村の事情が少しずつ解り始めたのであった。

私達がゴブルさんの家に入ると既にゴブ助が寝ていたのであった。

(あら、ゴブ吉の所の坊や、随分早いのね?)

(えっと、そのゴブ吉のお姉さんが僕の事を迎えに来たんです。で、その時に一緒に来てしまったって訳なんです。ごめんなさい。でも僕はゴブ郎さんとは戦いたくはないです。なのでできればゴブルさんに、僕の気持ちを伝えて欲しいんですが、無理でしょうか?)

私は正直な所を彼に言ったのだった。するとゴブルはニヤリと笑ってからゴブ郎に視線を向けたのである。

(ふぅー。お前、自分が何やってるか分かってんのか?この村に今いる奴らは皆この世界じゃ珍しい亜人なんだぞ?そしてこいつはその中でも特別なんだ。それがなぜ、魔王軍の敵として現れたんだ?答えによってはただじゃ済まさねーぞ。俺もそこまで馬鹿じゃないんだ、分かるかゴブ郎。)

私はその言葉を通訳してから彼に伝えたのだった。

(えっ!?ちょっちょっと待って下さい!えっと僕が勇者を裏切った理由を教えればいいんですよね?えっと僕は魔王軍に洗脳されてたからで!それで!)

しかし彼の言葉はゴブルに届くことはなく、ゴブルはいきなり攻撃を始めたのだった。そしてそれを見た瞬間に、彼は、

(まっ、魔法障壁!!)

と、叫びながら魔法を発動したのである。ゴブ助の発動したその障壁は一瞬だけ魔力の波動のようなものを発し、そして直ぐに消えていったのであった。ゴブルはそれを見て、ゴブ助は何かに目覚めたのではないか?と思ったのだがその思い込みは間違いであったのだ。何故ならその一瞬の間にゴブ助はゴブ郎に殴られてしまっていたのだから。

(へぇー。やっぱ俺の思った通りだ。おいゴブ郎、今のはなんなんだ?さっきまでは普通の子供ゴブ助で、ゴブ助の親父が殴りつけた瞬間から雰囲気が変わったよな。その変化の原因が気になるから教えてくれるよな?)

どうするべきか悩んだゴブ郎だったがすぐに答えを出した。

(分かりました。実は僕にも詳しいことは分からないのです。ある日、突然に僕は僕ではなくなってしまったのです。僕の中に僕以外の誰かが入り込んだかのようなそんな感じなんです。最初は意識が無かったような気がしますが、だんだんと、記憶が蘇ってきて今の状況になりました。)

(そうだったのか、お前も大変な思いをしてんだな。そういえば、さっきの魔法は何だ?見たことがない魔法だったけどよ。お前も勇者みたいに強くなれたりするのかい?もしそうなら、俺はお前と敵対関係なんてしなくていいんだが。)

ゴブ助の話を信用して貰えるかどうか不安であったが、彼は、

(はい!多分出来ます。ちょっと試してみましょうか?)

と言って、手を突き出しゴブルに語り掛けたのである。

僕が手を差し出すとゴブ郎さんが手を握り締めた。

(おっ!おいっ!これはいったいどうなってんだよ?お前が何をしようとしてたのか分かんねぇ。俺達は今お前と会話してるはずなんだが、これじゃあお前の考えが伝わってくるだけで、こっちからお前が考えてることが分かるだけじゃねぇか。お前らいったいどうなってんだよ?それにしてもなんなんだ?俺の知らない魔法?スキル?いやそんなもんは無いはずだから、俺にはよく分からねーや。それに、ゴブ美、こいつにゴブ吉の親父のゴブリンの長の名前を教えてやってくれ。そしたらゴブ郎、俺を殴るなり好きにして構わない。俺に抵抗手段は無ねぇからな。)

ゴブ美がその名前をゴブルに伝えると彼は急に黙り込んでしまったのである。

(まさか、そんなことが有り得るのでしょうか?ゴブルさん、ゴブ郎さんのステータスって見せてくれませんかね?)

そんな声が聞こえたので俺は仕方なく、

『いいぜ。』

(あっ、はい、わかりました。)

という事で彼が自分のステタスをゴブ助と俺に見せてきた。

ゴブ助

ゴブリン Lv25 種族名 ゴブリンキング種(亜人種):L ランク D 生命力 40000 攻撃力 22000+3000 魔力 37000 守備力 15000 速度 3500 思考 5600 状態 良好 運 100 <特殊技能> 魔法吸収耐性、物理反射軽減、自動治癒、 ゴブリン王、ゴブリン王の加護<称号> 【ゴブリンキング】(レベル上限が解放されました。現在LV30まで開放可能です。現在の制限LV20/390となっております。また職業欄に【魔王軍四天王ゴブ朗】を追加致しました。)

俺と全く同じで驚いたんだがそれ以上にこの称号が凄まじかった。

俺と同じゴブ吉の父親というだけではなくて俺と同じ四天王の階級に上り詰めていたのだ。俺も一応四天王なのだから。しかもゴブ助もゴブリン王という役職についていたのである。そしてその効果というのは、全てのゴブリン族に能力上昇を与えるという、とてつもないものだったのだから驚きを隠せなかった。だが、俺はそれよりも先に、このゴブリン王がどれだけ強力な存在なのかを知って恐怖を覚えたのだった。だってそうだろ?だって俺が四天王になったのは俺が魔王だから、という理由があるわけで、それを俺が認めたからって理由でこの強さになるんだぜ?そんな事あり得ねぇだろ?って思うのは当然の事だろうがよ。だからこいつはゴブ吉の父親だと知って、ゴブ助の強さをある程度理解出来たから良かったけどよ、他の奴らが俺より弱い可能性もある訳でよ。そういう場合どうすんだよって疑問を持ったのは仕方の無いことだろう。でもゴブ吉の母親がゴブ助だったことを考えたらその辺りの事も何となく分かった気がする。それにゴブルが言ってたことを考えれば大体察する事は出来るだろう。俺の能力はあくまでもゴブ吉の力を借りていただけだったのかもしれない。だけど、今はゴブ吉はここに居ないし、確認の取りようも無いからこの辺は考えるだけ無駄な話なんだけどな。まあ俺は俺の力を信じるしかねえか。

そしてゴブ郎の能力値を見て俺は、ゴブ郎の潜在能力を少し見誤っていたのかもしれないと思った。俺もまだまだ成長段階だしこれからもっと強くなるつもりだからよ、まあゴブ郎は魔王様であるゴブ太郎よりも強くなってるってのはかなり異常だよな。流石は勇者ってところか?まぁ、そんな話は置いておいてゴブ郎の話を聞こう。

俺はとりあえず彼に話を振ってみたのであった。

(えっと、僕がゴブ郎さんですよね?それで、僕はどうしたらいいんですか?)

彼はいきなり話を振り直されたので戸惑いながらも、質問に答えてくれたのだった。

(ゴブルさんから聞いた話では僕は今から勇者に洗脳されているので、僕を倒して欲しいと言われてるのですが、どうしたら良いと思います?)

彼は俺に答えを求めているのだろうか?俺は別にどうもしない。だって俺が今ゴブ郎と敵対しなくてもいずれ敵対する運命になるのならばそれは変わらない筈だ。それなのにゴブルがわざわざ俺に喧嘩を売ってきたということはそれだけ余裕がある状況だと考えられる。だからこそ俺は、このまま放置していても大丈夫だと思うのであった。ただその前にやるべき事があるな。そう思ったからこそ、

(なぁ、俺がお前に色々聞きたいことがあったのは分かってるだろ?それに今、俺がゴブルに頼んでゴブ郎との話し合いの時間を作って貰ったこともよ。お前はその話し合いをしたいんだろ?それともお前がゴブ郎の身体を乗っ取っててもう操られてるのか?俺にはどうもお前が操られているように思えないんだが、もしかしてまだ勇者に操られていないって可能性も考えられるか?)

と聞いてみたのだがやはり返答はなかった。そこでゴブルからの提案があったのだった。

(おいゴブ郎、ゴブルはお前に話がしたくて来たみたいだぞ。それとさっきのは嘘だからよ、ちゃんと会話をしてやれ。お前の意思を伝えるだけでもゴブルにとっては大きな意味を持ってんだよ。あと、ゴブルの話が終わった後にお前が答えを出したいと思ってる事を言えば良いと思うぜ。ただ、その返事次第じゃゴブルと敵対関係になってしまう可能性はあるかもしれんが、それもお前の選択だから文句は言わせねぇけどな。ゴブルもそれで構わないだろ?)

俺がそういうとゴブ郎は(はい、わかりました。)と返事をした。それからしばらくの沈黙が流れた後、ゴブルは口を開いたのである。

(俺はよ、今までに何人もの部下や兄弟を失って来たんだ。その悲しみが俺の胸を締め付けて離さねぇんだよな。それに加えてよぉー、俺の家族や友人が目の前で殺されていく光景が頭から離れねぇ。あの日の記憶を思い出しちまって夜中に目を覚ましちまうこともあるんだ。お前には悪いがゴブ郎よ、お前にも家族や友達が殺されたんだろ?だったら俺はゴブ郎と手を取り合って協力し合えると思ったんだが、それでもダメか?お前が勇者に騙されてないっていうなら今すぐ俺を殺せば済むことだしよ。そうすればお前が洗脳されてない事が証明される。俺はお前に選択肢を与えるだけだ。もし、勇者によって洗脳されていてどうしても殺したくないのなら無理にとは言わねぇがな。俺はお前の敵になる気は無い。むしろ味方だ。俺がお前に攻撃するなんてことは絶対に無いと断言しよう。どうだ、これを信じてみるか?)

俺は彼のその言葉を聞きながらやっぱりこいついい奴なんだなって思った。もし本当に俺を殺す気が有るのならそもそもこんなことは提案しないだろうから。

彼が本心ではゴブ助を仲間にしたかったということを知っている。それがゴブ助に伝わらない事を祈るばかりだ。だがその願いが通じたのか、ゴブルの言葉が伝わったのか分からないが、ゴブ郎は(わかりました。ゴブルさんを僕の大切な仲間の一人にさせてください。)と返してきたのだった。

これでひとまず一安心か。ゴブルは、ありがとう、と言いながら涙を流すのであった。こうしてゴブルという強力な仲間が増えたことにより俺は戦力増強に成功し、またゴブ助と会うために次の目的地へ向かうのである。因みに、この後、俺はゴブ郎と仲良くなり、彼からゴブ郎の父親や妹について話を聞いたのであった。そしてゴブルがゴブリンの王になった時の経緯なども教えて貰ってかなり勉強になったという感じだ。

そんな訳で俺達は今、ゴブルの故郷でもある、ゴブ助と会った森に来ていた。この階層のモンスターのレベルはそれほど高くなかったのである。ただ、この階層の森は普通の森林のような雰囲気であり、モンスターと戦わずに移動する事は可能であるようだったので、この場からは早々に移動する事にした。このダンジョンは地下型であるため、太陽が存在しないにも関わらず昼間のように明るくなっていたのだ。だが、それは俺にとってはあまり関係ないことである。何故ならば、この世界に来たときに最初にこの世界の事を聞いたからである。この世界での1日は俺の世界の12倍速なのだと。なので実質俺の中では2日が過ぎたという感覚があるわけだが、実際には俺が来た時間とこの世界に召喚され、こちらで1日経つまでは同じ時間が流れているようなので、俺の中での時間はそこまで進んでいないということになるのであった。だが、俺はそれを知らなかったためこの明るさに対して違和感を感じてしまっていた。その為、俺は直ぐに移動を開始したのだった。

だが、そんな考えもすぐに変わることになったのであった。

俺がこの階層に出現する魔物を倒しながら移動している時に、俺が急ぐ理由を説明をしようとして、ゴブルはゴブ郎の妹と母親が死んだということについて詳しく知りたいといったからだ。そこで俺はこのゴブリンの集落でゴブリン王となったゴブ郎が魔王軍四天王となり俺達の仲間になり魔王軍の幹部である四魔将の一人として名を上げたことを説明したのだ。

その結果彼は(ゴブ郎君にはまだ子供がいたんですね。その子を早く探さないといけませんね。僕にできることがあれば何でもするから何かあったら遠慮なく言ってください。ゴブルの族長ゴブ郎はゴブリンキングゴブ郎と名前を変えて貴方の配下になるよ!ゴブリン族が力を合わせて魔王軍に抗うことを誓います!!それに、魔王軍四天王ゴブルが魔王軍に加わったということはそれだけ魔王軍の幹部が二人増えたという事になるんだよね?僕なんかがその仲間になって良いのかな?もっと強くなって、もっと皆の力になれるように頑張るよ。僕には、ゴブ郎さんから授かったゴブ朗の加護とゴブ美の加護という二つの特殊技能が存在するんだ。どちらもゴブルさんの持っている物より強い効果を持つよ。これはきっと運命だったんだよ。だからさ、僕も一緒に行かせてよ。お願いします!!!)と言ったのだった。

その時俺は彼に俺の目的を話していないのにも関わらずその答えを出した彼に凄いなと感じた。それと同時に少し怖いなとも思った。だって、このダンジョンを攻略して地上に上がるまでに、勇者と戦うことになるだろうから、彼はそれに勝つつもりなのだろうか? そう思うも、ゴブルがそうしたいと思っているならば俺にはどうする事もできないのだから。だから今は、彼とゴブ郎と一緒にいるだけで、後は成り行きを見守るだけにしようと俺は思い、今はゴブルの言葉を肯定するだけに留めたのであった。

俺達が次の目的地に向かおうと歩き出す前にゴブルに頼みごとをしてみたのだが彼は快く了承してくれたのだ。

(えっと、俺が頼むのも何なんだけどよ。もし良ければだけどゴブーちゃんの加護を使ってくれないか?)

するとゴブルが(ゴブリン族の特殊能力でゴブ郎が授けてくれた加護を使う事ができるんだが俺はその能力をまだ使いこなすことができなくて困っていたところだったから良かったよ。それにゴブリン族にしか使えない能力だと思っていたのにゴブルが使ってくれたんだ。だからさ、俺にも同じことができるんじゃないかと試していたところだったんだよ。それでゴブルの能力は一体どんな能力なの?)

その質問に俺は、(ゴブ郎の能力がステータス上昇とスキル習得の速度強化だとしたらゴブルはステータス低下だ。しかも自分の体力や筋力などを急激に減少させるものなんだよ。だからよ、戦闘で使えるかどうかが微妙だと思ってたんだがよ、今の俺達にちょうど必要なものだったんだ。でもよ、もしかしたらゴブ郎には使えなくても俺なら扱えるかもしんねぇって思って頼んでみたってとこだな。どうだ?できるか?)と俺の期待を伝えると、 ゴブルはその俺の説明を聞くと(わかったよ。やってみるよ。)といって、ゴブルが能力を使用した。そしてゴブルは俺と手を繋いでくるとゴブルの手から暖かい光が俺の体の中に入ってくるように感じて俺は体が軽くなったような気がしたのだった。

(どうだ?できたのか?)

俺は恐る恐るという気持ちでゴブルに確認した。

するとゴブルが(ゴブ郎が授けてくれた能力を発動してみてくれ。そっちの方が早いだろ?)と言われたので、俺は言われた通りにしてみる事にした。

(ステータス!)と俺は念じたのである。すると俺の視界の端にある画面が表示されたのだった。

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【名前】ゴウキロウスケ

種族:鬼

性別:男性

年齢:15歳 LV1 HP 400000/400000 +2000 MP 100000/100+200 VIT 20万/200000 DEX 10万人に一人 SSTR 1万人に一人の逸材 SPM 5億に一つの天賦の才能 UNTIL TILL I'LL KNOW TO YOUR WHAT LOVE READ ME FROM MINIMUM

ATTENDANT 状態異常 :呪いの証が体に刻まれている

称号:神を欺きし者 加護の恩恵を受けし者達に狙われる存在 神々に祝福されし者に恐れられる恐怖の存在

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(おっ、出たぞ。やっぱりゴブルのおかげで俺も発動させる事が出来たみたいだ。それにしても俺のステータスがかなり上がってんじゃん。これって結構ヤバいかもな。俺のレベルはたった一つしかあがってないのに。まぁいいや、このステータスならゴブ助の捜索が捗りそうだぜ。ただ問題は、レベルが低い事だよな。やっぱりゴブルの種族特有のスキルで、経験値の入り具合が変わって来るってやつがあるってのが一番の問題か。ゴブ助のやつどこに行きやがったんだ?全く、俺の苦労を返して欲しいぜ。あいつの両親も俺が殺したようなものだしよ、罪悪感ハンパないわー。)と、俺は頭を抱えながらそんなことを考えていた。だが俺の頭はすぐに切り替えて(よし、とりあえずこれで目標ができた。俺とゴブルが二人でゴブ郎の足手まといにならないために、俺達二人は強くなる。そしていつか魔王と対峙できるぐらいの力が有れば俺は安心してゴブ助のやつに会えるしな。それまで俺と、この世界の為に戦うぞ!!)そう言い、俺はこの世界に来るきっかけとなったダンジョンの攻略を目標にするのであった。

そんな俺の考えを知らず、ゴブルとゴブ郎は嬉しそうに笑っているのであった。

そんな訳で俺達はこの階層の次の階層に向かう為の準備をしていたのだった。俺は今までゴブルからゴブ郎について話を聞いていたのだけれど、彼はゴブリン族では珍しいくらいに強いらしく彼の親であるゴブ郎の加護を授かっているという事から相当な強者のはずなんだ。だけど俺の記憶の中の彼は普通のゴブリンにしか見えなかったので不思議であるのだ。だからそのことを聞いたのだ。

するとゴブル曰く(ゴブ郎君はね、ゴブリンキングになった時はまだ幼かったせいなのか分からないけどそこまで強くなかったんだよ。だけどゴブルが魔王軍の四天王の一人になってすぐに彼がゴブリンキングになったんだけど、彼はとても強くなりゴブリン達のまとめ役としても活躍していて、魔王様からもかなりの信頼を受けていたんだよ。ただ、それでも四天王最強というわけではなく、他の三人と比べると見劣りする強さではあったんだけどね。ゴブ郎君の強さは、元々才能がずば抜けていて努力家で真面目で正義感のある心を持った子ではあったんだけど、それが四天王になったことにより更に強くなってね。四天王最強という地位を手に入れる事になったんだ。ただそんなに強かったら普通だったら魔王軍が攻めてきてもおかしくは無いと思うでしょ?でも何故かそういう事は起こらないんだよね。なんでだろう?)という答えをもらったので俺は(う~ん、魔王軍は強いやつが大好きみたいなとこあるからな。多分俺の想像だと、俺の世界でいうところのゲーム感覚なんじゃね?ほらあれだ、四天王同士が戦った時に負けた方の四天王を殺して最強の力を手に入れた四天王の次の四天王を自分が倒せば良いとかなんとか考えてんじゃね?だから、わざわざ自分からは攻撃しないっていうか、俺達の世界で言うところの魔王軍って軍隊というよりは、個人が勝手に動いてる感じだから、自分の配下を増やしたりして戦力を整えていくってイメージなんじゃないか?)と答えると、ゴブルが驚いた顔をして俺を見てきたのだった。

(え?え?えぇ?もしかして僕が考えていた事が正解だったの!?そうなると、僕は今ゴブルの加護を持っているゴブ郎君のところに急いで向かわないといけないのかな。だってそれじゃあ、ゴブルの加護が奪われちゃうかもしんないよ?)

ゴブルは心配そうな表情を浮かべていたので俺は(それは大丈夫だ。さっきも説明したが俺の持っている称号には、神々に祝福されし者に恐れられる恐怖の存在というのがあって、俺はこの世界の神様とやらに敵対しているらしいんだ。だからその俺の加護を持つゴブ郎の居場所なんてのは、向こうの方から寄ってくるんだぜ?)と俺なりの冗談で言ってみると、ゴブルも笑ってくれたようで俺が望んでいる展開になっていた。

ただその前に、俺には確認しなければならないことがあった。俺はこのゴブルに聞いておきたいことがある。

(なぁ、お前は一体何歳だ?まさか俺よりずっと歳上の可能性もあるよな?いやいや、見た目が若すぎる。どう見ても二十歳そこそこってところだろ?そういや、お前らの寿命ってどの位だ?)

と俺が聞くとゴブルが困ったような顔で(いや、僕がゴブ吉さんの考えているよりも年上なのかどうかわからないからなぁ。それに僕の加護は特別で加護の力を発揮する度にその代償を支払うんだ。それで加護を使うとその分の体力と筋力が減るから年齢の割に若く見えるだけだと思うよ。ゴブ美さんはいくつなの?)と逆に聞かれたので(私は18才です。あと私の加護も、ゴブルと同じで回数が増えるごとに加護を使うための代償が大きくなっていくのです。なので私もゴブルと一緒の条件でその若さなんです)と笑顔で言っていた。

(ふむ、そういうもんなのかね?でもまあいいか。それよりこれから俺の加護を使ってもらっていいか?)と言うと、ゴブルが(もちろん!任せてよ!)と言ってくれたので俺は加護を使ったのだが俺の体に違和感は無かったのだけれどゴブルには俺の体が全体的に一回り大きく見えたようだった。

(ゴブ吉さん凄いな!加護を使ってもらうと確かに力がみなぎるような気がするよ!ありがとう!でもこの加護を使えばゴブ郎君はもっと強くなるんだろうけどどうするの?)

俺には一つ作戦があったのである。ゴブ郎には悪いのだがこの加護を利用させて貰おうと思っているのだ。というのも俺の加護の能力の中には経験値の入りが良くなるものがあるがこれは自分のレベルが上がると発動率が低下するという制限もあるので使い所が難しくなる。それにこの能力は戦闘向きじゃないんだよな。

(ゴブルの加護って体力も増えるのか?)

ゴブルが答える(そりゃそうだよ!僕はレベルも上がりやすいしステータスも上がりやすくなってるからね!)と元気よく言うと俺に加護を発動させる。そして俺は加護を受けた瞬間、自分の中に入ってくる膨大な量の経験や知識を感じて頭が割れそうになった。そして気が付くと、目の前にいるはずのゴブルの姿が無くなっていたのであった。

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「お兄ちゃん、おはよう!」

(あーそうか俺ゴブ郎になってるんだっけな。確か俺はゴブ郎の記憶が頭の中に流れ込んできて、それを整理してたんだったな。にしても、ゴブ太は可愛い妹だったんだな。そして、こいつは絶対に幸せにしないと俺が俺で無くなっちまうかもしれないから、俺が守らねぇとな。まずは両親を殺っちまった償いとして、俺が強くならねえと。そして俺達ゴブリン族の未来を切り開いていく。そのためには、魔王軍を倒して元の世界に帰らないと。その為にも、強くならんとな)と俺が考え事をしていたら(おい、ゴブ郎どうしたんだよ?もしかしてまだ眠いとかか?ならもう少し寝ていてもいいんだぞ?なんたって今日から俺達の冒険が始まるからな!!昨日は興奮しすぎてあまり眠れなかったんだよな!!はははははは!!!!!)と俺がゴブ郎の記憶の中から思い出して呟いた事に反応してくれたのだ。

俺は(ゴブ朗、俺も少し興奮して眠れなかったんだぜ?ゴブ助を探しに行くんだぜ?そんな大事な日なのに眠れないって、俺達がどれだけ仲良し兄妹なのかがよく分かるぜ)と、ゴブ郎の記憶にある通り俺の記憶の中にある言葉で言った。そしたらゴブ郎が嬉しそうな顔をして(ほんとだね。僕達ってばこんなにも仲良くしててさ、ゴブ助のことも大好きな兄弟だよね。だから絶対ゴブ助を救わなくちゃいけないんだ。僕がしっかりしてないと、ゴブ郎まで巻き込んじゃいそうだからさ)と言っていた。そして、俺はゴブ郎を慰めるように(大丈夫だぜ、ゴブ郎。俺はそんな簡単にくたばったりしねーよ。ゴブ郎の兄貴なんだ。ゴブ郎を守るのも俺の役目なんだ。それにな、俺とゴブ郎が一緒に行動すればそれだけゴブ郎の捜索範囲が広くなってゴブ郎の負担も減らせるはずだぜ?なんせ、ゴブ郎はこの世界では有名人だし、強い奴らはゴブ郎のことを知っていたりもするだろうからな。だからこそ、俺達は力を合わせて行動するんだ。二人で力を合わせればゴブ郎が傷付くこともないからな。だからよ、ゴブ郎はあんまり気に病まないでくれ。ゴブ郎だって頑張っているのに俺が先に倒れちまって申し訳ないけど、俺は必ず復活するし俺のことは俺に任せろ。お前はお前の目的を果たす為に頑張ればいい。俺とゴブルが協力することで俺達ゴブリン族の地位は上がっていくしな。俺は俺の出来ることをやってゴブ郎を助ける。それこそがゴブ郎の役に立つと思うんだ)と俺が熱弁するとゴブ郎も納得してくれて俺はゴブ郎の肩を抱いてやったのであった。ゴブ郎が落ち着いたところで、俺はゴブ郎に提案をしたのだった。それはこれから向かうゴブルの階層についての相談である。俺とゴブルはお互いに話し合い、俺が決めたゴブ郎の設定はこうである。(俺はこの世界に突然現れた魔王軍の四天王の一人であり魔王様に気に入られてゴブリン族をまとめ上げる存在になるよう頼まれた。しかしそれは罠だった。魔王は魔王軍の将軍達に俺の暗殺を企ませたのだ。その証拠を掴むために俺は旅に出ていて魔王軍が俺の居場所を見つけられるような情報を探していたところ、ゴブルと出会った。そこで、ゴブルの協力もあって魔王軍が俺の命を狙っているということが発覚したのだ。しかし、俺が生きているということはいずれ知られる。そう考えたゴブルは俺と二人でこの世界を冒険しようと言い出した。

最初は反対した俺だったが俺のことを信用してくれたのか最終的には承諾して今はこうして二人で歩いているわけだが、正直このゴブルの加護の効果は予想以上に大きかった。まさか自分がこんなにも変わるなんて思ってもみなかったよ。

俺はこれから先ゴブルと共に生きていくことを決意したのだ。ただゴブ郎には本当に悪いと思っている。なぜなら、俺と行動を共にしたことで、このゴブルの加護を受けなければ俺は今ここにいない。俺と一緒にいればいつかは見つかる可能性もあり危険度は増す。俺はゴブ郎を悲しませない為にも、この加護を使いこなすようにしたい。それに俺ももっと強くなる必要があるのだ。そうでなければこの加護を持つ資格は無いからな。

この加護を使うと俺のレベルも上がる。それは嬉しいことなのだが俺の場合はこの加護を使うと代償を払うことになる。代償というのは体力と魔力の減少とレベルアップ時のステータス増加の効果が半減するというものである。レベルが上がれば俺も体力もつくので、デメリットばかりではない。それにレベルが高ければ代償の量も多くなっていくが、俺はこの加護を早く使えるようになることが目標でもある。ゴブ吉、俺と手を組むつもりはないかい?)というものだった。俺が説明をしているとゴブルの様子がおかしくなっていて俺が声をかけると意識が戻ったようだったので、その話を聞いていたのは間違いないだろうが、それでもこの説明で俺の考えている設定を理解出来たとは到底思えないのだが、その辺りを聞かないことにはどうにも出来ないので俺は聞いてみた。するとゴブルは(うん、僕も話の内容については把握したけどやっぱりお兄ちゃんの考えている内容で問題ないよ。ゴブルに嘘をつくのは気が引けるんだけど、これは僕自身の成長の為に必要だと思ったんだよ。だから僕はこのお兄ちゃんの話に乗る。僕はこれからゴブ郎の振りをしてゴブ助を探す旅に出るよ。そしてゴブ助と再会した時、本当のゴブ郎がどういう気持ちだったかを伝える義務がある。それがゴブ助とゴブ助を助けたいと思っているゴブ郎にとって一番いい選択だと思うからね。ゴブルには僕が伝えた設定通りを演じて欲しい)と言うので俺は(わかった。じゃあこれからよろしくな。それと俺には敬語を使うのは禁止な。その喋り方だと変な感じで気持ちが悪いからな)と冗談を言うと(もう!僕を馬鹿にしてるでしょ!そんなこと言うと、後で後悔するんだからね!あ、ごめんねゴブ郎。ちょっとふざけすぎちゃったかも。でも、これで僕の中のわだかまりが無くなってスッキリしたんだ。ありがとね!さて、早速行こうか。とりあえずここから出なきゃ話は始まらないし、外に出たとしてもどこに行くとか何も決めてないからまずはそこから始めよっか!)と笑顔で言うので、俺も(それもそうだな。でも俺と二人だけで大丈夫なのか?俺は確かにレベルが上がったけど、お前はまだそこまで強くはなれないだろ?それなら俺と一緒よりも一人で行った方がいいんじゃねーのか?俺としては少しでも一緒にいた方が心強いし、一人より二人での方が何かと都合が良いだろう。それにゴブ太も一緒に行けばいい。そしたら、三体一緒に行動することが出来る。俺は仲間が増えるのは大歓迎だぜ?それにレベルの高い魔物が味方になってくれたら頼もしいだろ?)と聞くとゴブルが(うーん。僕とゴブ郎と二人でもいいんだけど、三人で行ったら、ゴブ助の情報を集めることもしやすいと思うんだよね。それに僕達の能力を考えても一人は絶対に欲しいんだよね。だから、ゴブ郎はここで留守番をしていてほしいんだ。もちろん僕も出来るだけ帰ってくるようにするし、どうしても無理そうなら連絡を入れるから。だから今回は、僕らで行くことにするよ)と言ってくれて俺もそれに同意した。そして俺が(それならまずは街に出たいんだが、俺の持っている金って使えないよな?)と不安になっていたのにゴブルが(うん。多分ゴブ郎は持ってきているはずだよ。あの袋に入っているはずだから、ゴブ郎はゴブルからお金の数え方を教わって。そして、金貨は一枚しか無いから、後は銀貨と銅貨に両替してもらうといいよ)と言ったので、ゴブ郎が袋の中を見ると中には10種類の貨幣が入っていた。俺はその数を見て驚いていた。

(まじかよ、俺の持っていた財布の中に全部入ってんじゃねーか。こんな事ってあるのか?俺はゴブルに渡された袋に入っていたもの以外は入れてないぞ。これだと俺が今まで集めてきた武器や防具も入っているんじゃねーのか?)と驚きながら質問すると、(僕もそれは思った。もしかしたら僕達が元々持っていてこの世界の人が気づいてないものもあるのかもしれないね。まぁ、この世界に来てまだ日が浅いんだし分からないのは仕方がないよね。ゴブ郎がゴブ郎である為に必要なものを選別した結果、この世界に存在するものはその中に入れておかないとダメだと判断したから、その袋の中の物は入れておく必要があったんだ。だからその事はゴブ郎に任せることにしたんだよ。それとも、今からそれを全部回収してみるかい?)と言われて、俺の脳裏に浮かんだのは魔王が俺に見せたいと言っていた場所だ。そこは俺の所持していた全ての物を置いてもスペースがあったので、(い、今更取りに帰る時間も無いし、俺の装備が入っていなかったことは残念だが今は諦めよう。それよりも今は一刻も早くこの世界を回ってゴブ郎の足掛かりを作りたいからな)と言い俺は(とりあえず俺の持っている武器を預けても構わないかな?俺の大事な財産なんだ。俺が居なくなった時に困らないようにしたい。この武器達があれば、ゴブルの力をもっと引き出せると思うんだがどうかな?)と提案した。俺の言葉を聞いてもしかして俺が魔王の手下なんじゃないかと考えているゴブルに(ゴブ郎はそんなことする人じゃないからね。それくらいわかるよ。

でも、この世界では勇者が魔王軍を倒して平和が訪れたと言われているんだよ。だから今の段階で勇者であるはずのゴブ郎が武器を持っていたら怪しいと思われる可能性もあるから一旦預かるね)と言って、自分の鞄の中から小さな巾着を取り出した。俺はゴブルのその様子を見てこの世界に俺が持ち込んだものがどれだけ貴重だったのかを再認識して内心かなり焦っていた。そして、ゴブルが巾着を開けるとその中には何も無かったのだ。

(えっ、何も無いように見えるけど本当にそこには何かあるのか?実はその中に隠してあったりとかしてるわけじゃないよな?もしかして俺には見せられないように魔法がかけられていたりとか、俺には見えない場所に仕舞われているとか?俺にはそれが全くわからないがゴブルにはわかっているようだな)と思っていた。そして、ゴブルは少し間を置くと話し出した。

(これはね、魔法のアイテムボックスだよ。僕は小さい頃からずっとこういうのに憧れていて、ゴブルになる前から少しずつ作ってきたんだ。僕はそのおかげでいろんな知識を手に入れたし、色々な実験をしたりして楽しかった。

だけど、これを作ったせいでゴブルの身体はどんどん弱くなっちゃった。今ではこの空間の中で生活できるほどになってしまった。それでも僕は後悔していないんだ。むしろ感謝しているんだよ。

そしてこれは僕の最高傑作とも言える代物なんだけど、これは本当に僕以外の人間には見ることができないようになっているんだ。これをお兄ちゃんが使えばどんな荷物を持って行っても重さが感じられなくなったり、収納されている間は時間の経過が無いようになるんだよ。それに見た目よりも遥かに大きな容量を持っているし、しかも、いくらでも入るからね。僕が作った中ではこれが最高の作品なんだけどこの中にはまだ他にもたくさん残っているんだ。ちなみに、お兄ちゃんの剣と鎧をここに移動させることは可能だよ。

それで良かったらどうするか聞いておきたかったんだ。

あとね、この中には食料も大量にあるよ。水も飲み放題。トイレもある。お風呂は無いけどね。僕が使っているような個室が20個以上あって、寝るための部屋も用意されている。そしてなんといってもこの中に入るだけで僕とお話しができるんだよ!どう、僕が作った最強のアイテムを試してみない?)と興奮気味で言ってきて、(ゴブルはそんなに嬉しそうなのに、どうしてその顔を他の人達に見せないんだ?)と思ったが、ゴブルにとっては嬉しい話なのだと俺は納得することにした。

ゴブルの話を聞いた結果、俺としては是非使いたいと思うのだが。俺の持ち物がここに入ったままだと盗まれる可能性が高くなると思った。だからまずはお金の両替をしに行かないといけないのだが。まずはその辺りのことを全て教えてくれる人と会いたいということをゴブルに伝えると。

(僕もその方がいいと、思う。まずは冒険者登録をして、それからダンジョンの外で生活出来るようにする為に身分証明書を作っておいた方が良いと思う。だからギルドに行こうよ)と言ってくれたのである。そこで、アイと相談したのだが俺一人で行ってくるから、リンとセバスチャンさんと一緒に留守番をしている様に頼むことにした。それと何か欲しいものがあった時用に金貨を10枚渡しておく。俺の分は後回しだ。

そして俺一人でまずは両替をする。そして、冒険者としての生活についての説明を受ける。受付嬢は若い女の人で笑顔がとても素敵な人だった。そして何故か俺は彼女の前に立って話を聞きながら緊張をしていた。俺は女性と話したことがあまりなかったからだ。だがその女性は終始笑顔のままだったので俺は気がついた。俺は笑った時の彼女を見たことがない。何故なら、常に笑顔でいるということが仕事なのだと理解をしたからである。そして、俺の質問にも嫌がることなくしっかりと説明してくれたのであった。

(私も新人の時にこの仕事をさせてもらっていて、色々大変なこともあったんですけど、その時の先輩方が優しくて丁寧に教えてくれたんですよ。でも中には無茶なことばかりしてくる人もいたんだけどね。私はもうその人はここにはいないと思う。それにねあなたはとても優しい表情をしてますよね?私の勝手な考えですし失礼にあたるかもしれませんがきっといい出会いがあったんだと思います。

あ、別に変なお誘いではないから誤解しないでね?私がそう感じるってだけ。じゃあこれで手続きも終わったし後は自由に行動していいですよ。これから頑張ろうね。また来てください)と言われて俺は(あ、ありがとうございました。何か分からないことがあった時は聞きにきても良いですか?)と聞くと彼女は微笑んでくれたのだった。

俺は彼女に別れを告げて次は街に出ることにする。この街は、迷宮都市と言われるらしく、この都市を仕切っている人が街の中心に大きなダンジョンを所有していてそこに街が出来ているのだという。だからここは、別名ダンジョンシティと呼ばれるらしい。

このダンジョンは初心者用のもので、攻略されたばかりのものだ。だから俺が行くところとは比べものにならないほどの低難易度だ。ただそれでもモンスターを倒すことの難しさが格段に上がる。だが俺の場合はスキルや装備の力があるのでそれほど苦戦はしないだろうと考えていた。俺が門に近づくとその横で見張りをしている男に声をかけられた。

「おい、お前ここから先は通行料がかかるから銀貨一枚必要だ。それと入る前に装備の点検も忘れるなよ。モンスターとの戦闘がある可能性があるから武器と防具の装備を確認しておくようにな。武器と防具の装備をチェックした後、問題が無かった場合は武器か防具どちらか一つを装備しておく必要があるぞ。武器か防具の片方しか装備していないと入場はできない決まりになっている。」

(ん?この世界で武器を持っていない人なんて見たこと無いぞ。それなのにそんな事をわざわざ注意してくれるなんてこの世界には良い人も居るんだな。俺の世界の人たちもこういう感じになればもっと仲良くできたかもしれないな。よし!この世界の人たちと友達になれたら俺の世界の人とも上手くやっていけるようになるかもな。その為にも頑張っていくぜ!)と考えながら質問をすると男は親切な人だったのか、いろいろと答えてくれ、俺は武器を二刀流にして使うという変わった装備だと思われてしまったようだ。まぁ、そういう事であればと思い素直に従い武器と防具の両方を装備している状態で確認が終わった。

このダンジョンは階層型で、一階から十階まではレベル一桁の魔物が出るそうだ。俺には敵わない相手ではあるが、装備の力を確かめてみるのにはちょうど良いだろうと考えたのである。そして俺が入った瞬間に目の前の通路に大量の魔物が現れ襲い掛かってきたので俺はそれらを全て倒したのだがその素材を剥ぐのはめんどくさかったので放置するしかなかった。

その先には宝箱が置いてあったが、開けてみると中には剣が入っていた。それは片手で持てるくらいの大きさの小さな短剣だったのだ。俺はそれを鞄の中にしまい次の場所に向かうために歩き出したのだがそこで、急に現れた少女に腕を引っ張られてどこかに連れていかされそうになったのだ。俺は慌てて振り払おうとしたのだが、それが出来なかったのである。だが、すぐに後ろからアイが俺を抱きかかえて連れていかれないようにしてくれていたおかげで何とかなったのである。俺の目に映った光景は少女の姿ではなく少年の姿だったのだ。

そこで俺は気が付いたのだ。この子がこのダンジョンの主だということを。

俺は今、突然現れた謎の美少女に襲われて、連れ去られそうになっていたのだが。アイが助けに来てくれて、なんとか難を逃れた。そのあとはアイのおかげで無事この子とも打ち解ける事が出来た。俺はアイに感謝して頭を撫でると照れ隠しのように、顔を赤くしていた。

俺とアイがそんな会話をしている間にその子はゴブルと話していたがその内容によると、俺がさっきの短剣を取り出した事でこのダンジョンの所有者として認められたらしい。そしてこの子を俺に同行させる代わりに、他の場所ではダンジョンマスターをさせてほしいと言われたのだ。なので俺がゴブルの提案に対して返事をする前にその子が俺の手を握ってきてしまい俺の言葉を最後まで聞かずに行ってしまったのだ。

(お兄ちゃんがゴブル様から許可を貰ったのは知っているんだけど、お兄ちゃんと離れるのは僕が寂しいからお兄ちゃんも一緒が良いんだ。お兄ちゃんの役に立ちたいから、お兄ちゃんのお願いも出来る限り叶えるようにしたいと思ってるんだ)と言ってきたので、(じゃ、じゃあお言葉に甘えようかな。この先俺はこの子と行動を共にしながら色々な所に行くことになるんだと思うんだけど、それでいいんだよな?)と尋ねると、その通りだよと言ってきていたので俺もそれで良いと思う事にしたのであった。そこでアイに頼んでリンとセバスチャンさんの所に転移してもらう。そして俺はゴブルに話しかけることにした。

俺達はこれからこの子、マユと一緒に行動する。この子の名前はまだ聞いていないのだが、この子の事はこれからマユと呼ぶことにする。それでだ、このマユーラという女の子について分かった事がある。それは俺達がこの世界に来る前の時間に存在していたということ。つまりは、俺と同じ存在ということなのだが、この子についてはわからないことが多すぎる。

(僕達はこの世界に元々存在してはいけないんだよ。僕達がいた世界はこの世界の時間から切り離されているし、そもそも時間の流れも違うからね。

それでね。僕はずっと昔にこの迷宮の主になることになったんだけど、それからずーっとこのダンジョンの外に出ずに暮らしていたんだ。そしてある時、ある人物と出会って僕の人生が大きく変わることになったんだよ。その人のおかげて僕はこの迷宮から出てみようと思ったんだ。だけど僕が出て行けば僕の眷族達の力が半減してしまうし。何より僕が他の人に会えば皆が困ることも分かっているから出れなかったんだ。そんな時にね。僕に助けを求めに来た人がいるんだよ。その人達を僕も助けたいと思ったんだ。それに僕をここに閉じ込めた神様にも会いたいんだよね。あの時は酷いことされてすごく悲しかったから。)

俺はその話を聞いて驚いた。この子は自分が作られた人形だと言うのだ。俺はそのことを否定しようとしたのだが、それよりも前にマユは俺の目を見つめながら俺が本当に言いたいことを理解してるみたいに話し始めてきた。

(うん。僕達は元々人間に創られた存在なんだ。でも僕は失敗作として捨てられたの。その前に僕がどうして造られたかって言うのをまず説明するね。

人間はね、魔法というものを使うんだ。

でもね僕たち妖精には魔法という概念がないの。だからね魔法を扱うことは出来ないし、使う事も出来ない。でもね人間が持っている魔力を使って攻撃することなら出来るよ。そして、この世界で人間の中にいるエルフっていう種族が精霊を呼び出し、使役することが出来るようになるまで、僕が人間の生活の手助けをする為に造られることになったの。そして、この世界で暮らし始める為にこのダンジョンに封じ込められる形になったんだ。この世界で暮らせるようになったら自由に外に出ることが出来たんだ。でもね、僕はここで暮らすことが楽しかったからこの世界を気に入っていたの。そしたらこの世界で生まれてまだ間もない子供が、この世界に迷い込んできたんだよ。その子供達を助けるのを手伝ってくれる人がいなかったみたいなの。そして、このダンジョンの中でその子供を育てることになって。僕が育てていた子供達と遊んでいて、その子供達の親に会いたいという気持ちが芽生え始めた時、君がこのダンジョンに現れたの。最初はびっくりしちゃったけど、君の事を観察していてすぐに気がついたよ。この人が私の主だなって。それに私を助けてくれた人がこの人だったって知って、この人しかいないって思ったの。

それに、この世界にいると時々、懐かしい匂いを感じるの。

この人なら私のことをきっと大切に扱ってくれて幸せになれるって、そう感じて、一緒に行動することにしたの。これからよろしくね?あ、ちなみに私のことは、ママと呼んでね?)と微笑まれながら言われたのであった。

(ま、まじかよ。この子に俺はこれから養ってもらうってことで良いのか?)

(ふふん。私はもう既にこのダンジョンを支配しているダンジョンマスターなんだよ?この世界で私が知らないものはもうないくらいなの!あ、そうだ。私がママに付いていっているのにはね。理由があるの。私がね?ダンジョンの中に居れば外には出ないで済むし、このダンジョンが破壊されることは無いからね。ダンジョンはダンジョンマスターの許可が下りないと破壊されない仕組みになっているんだよ。あ、でもこのダンジョンの管理者の神様にはこの世界で好き勝手しているのがバレているみたいで。最近この世界に呼び出されそうな気がするんだよね。そんなの絶対に嫌だもん。)と少し頬を膨らませながらも答えていたのである。俺はそれを眺めながら(こ、こんなかわいい子がこの子なのかよ!反則だろ!)と考えていた。そこで、マコとアイと俺の従魔達に紹介をした。

俺にはこのマユウちゃんという子がどうしても悪い子とは思えない。なので仲良くなりたかったので紹介することにしたのだ。アイには念のためリンの護衛をして貰うことにしている。

(ま、マジですか?これマコトさん?なんでこんなかわいらしい見た目をしていてこんなに強いんだろう。まぁいいや。これからは私がこの子の事を守りましょう。うん。それがいいわ!決めたの!そうしようっと。それじゃあその前に名前を考えなくてはいけませんねぇ。んー。そういえば真生がつけた名前の候補で、可愛いなぁと思っていたものがあったんですよ!それがね、マナユで、意味は『真生の愛の結晶』なのですよ。それではダメかなぁ~?)と言ってきたのである。俺はそれを聞いたとき思わずドキッとしたのだが、なんとか冷静さを装い、

(ま、真央とか?真心から取ったんだけど、ど、どうかな?)

(おお、それは素敵な名前ですね。気に入りました!ありがとうございます!)ととても喜んでいたのである。

そして俺の頭の中に、

(スキル名【愛】を取得しました)

【鑑定解析】が発動しスキルが取得したと表示されたのだ。

(あれ、俺は別に名前を言っただけで何かしらの能力を発動させるつもりなんて全くなかったんだが、なぜ今急にスキルが取得できたんだろう。不思議だ。でもまぁいいか。俺としては嬉しい誤算だし。この子がこの世界に馴染めば、俺の世界から転移してくる奴が増える可能性があるんだからな。これはこれで良いことだろう。それに俺とこの子の間で契約のようなものが結ばれたのかもしれないな。それにしても良い名前だと思ってくれたようで良かったぜ。この世界に来る前にアイが付けてくれてた名前が俺に浸透してなかったりしてるんだけどさ。やっぱり自分で考えた名前が良いと思ってる俺がいたりして。ちょっと寂しかったりするんだよな。アイが付けた名前は、可愛くはないんだけどさ、愛着があったりするんだよな。)

(お、なんかこの子のことを見てたら思い出してきたよ。そう言えば僕の元の名前をこの子につけてあげたいな)と言ってきたのだ。そこで俺はその話に乗ってみることにする事にしたのだった。そしてマユーラは、マユと名乗り始めていたのだ。

「おいマユーラって俺のことどう思うんだ?」

(僕はマユって呼ばれるのがすごく好きなので、できればそのまま呼んで欲しいんですが。)とマユにお願いされてしまったので今後はマユーラのことをマユーラと呼ぶことにする。それで俺は俺に懐いてくれているのは俺を主として見ているからだと思っているのだが、本当にそうなのだろうか?という疑問もあるので、一応確認することにしたのだ。

俺の問いかけに対してのマユーラの返答はこうだった。(えっと、私は、マユの願いによって造られたからマユの為の存在なんだよ。それにマユに呼ばれたらすぐに分かるんだよ。だって私はその人の魂に繋がっているからね。マユの魂に繋がりが有るものであれば、どんな遠くにいても、どこに居ても私だけはマユの事を見つけてあげることが出来るんだよ。ただね、マユと繋がることが難しい人や、繋がってもすぐ切れてしまう人は見つけられないと思うんだけど。そういう人はマユが探せば見つけることはできるんだけどね。それにね、僕達はお互いに近くにいる人を感知することができるんだ。だからもし離れていても僕がこの世界に来ればわかるし、僕がこの世界に来なければ僕はずっと一人のままこの世界で暮らすことになるんだよ。だから、マコがこの世界に来る前からマコの存在を知っていたんだよね。僕も最初はびっくりしたけど。マコがこの世界に現れる瞬間を偶然にも見れてしまったからね。)

俺はマユーラの説明を聞いてすごく納得することができた。やはり俺は間違っていなかったようだ。しかし、この子は俺と同じで元々この世界に居てはいけない存在であると聞かされて俺はこの世界に来て初めて自分の置かれている状況がいかに危ないものであるかを再認識したのであった。そして、これからどのようにこの世界を過ごしていくのか、考え直す必要が出てきたことに焦っていたのである。そしてそんなことを考えている時に突然に俺がこの子を見つけた場所が光に包まれ始めたのであった。(うっふぅ〜。ここに戻ってきましたか!この世界に来た時に感じた懐かしさと匂いの理由が分かったのです。ここは僕が作ったこの世界の僕が住んでいた場所なんだよね。この場所の管理者として僕はここに戻ってくることができたってことなのかな?取り敢えず僕がここに帰って来たって事はあの方も近くに戻っているはずですよね!あの方に早くお会いしなくちゃ!!マユも僕についてきてよね。僕の事を待っていて下さるはずだし、僕とあの方の繋がりを断ち切ることなど誰にもできないのだから。)とマユウが嬉しそうに話し始めたのであった。

そうしてしばらくすると俺たちの前に大きな黒い穴が現れたのである。その大きさはかなりの大きさになっており、そして中からは禍々しいオーラのようなものが見え隠れしていたのであった。

(あの先に僕がいた神様がいらっしゃいます。僕はあの方をお待たせしてしまっているみたいだから急ぎたいので、早速向かいますよ!あの方は優しい方なので、きっと大丈夫です!僕を創った時のようにまた僕を受け入れてくれると思います。まぁ、僕を封印してしまったことに関しては許す気は毛頭無いけどね。)と言っていきなり黒い渦の中から出てきたのだ。俺は驚いて腰が抜けそうになったのだが、俺の後ろにいたはずのマユーラが、俺の頭の中で話しかけてきてくれていたのでどうにか助かったのだ。そして俺の後ろの方にマユーラが飛んでいくと同時にマユが(僕が付いていない状態でこの子と一緒にいるのは良くないかも。マコの魔力が減っちゃうよ。ごめんね。すぐに戻ってくるから。待ってて)といって俺とマユーラの間に結界を張って、黒い渦の中に消えていってしまったのであった。俺はその後すぐに追いかけようとしたのだけれども俺の周りに結界が張られていて行くことができないようになっていたのだ。

(ち、ちくしょう。これでは俺はこの世界で何も出来ないじゃねえか。くそ、このままじゃまずい。)と俺の本能は訴えかけていた。

(はぁ。これってどういう状態なんだろうな?なんというかすんげー嫌な予感がするんだが、俺はどうしたら良いんだろうな?まぁ良いか。それより今はこの状況の把握に努めなくてはならなそうだな。でも一体なんなんだろうな。この黒い渦の発生している場所から漏れ出しているオーラのような物にはどこかで感じたことが有るんだよな。それがどこで見たのかは覚えていないんだけど。あー。まじでもどかしいな!俺には今は何もすることが出来ないみたいだし。)

(お、俺ってばこんなところでなにやってんだろ。俺にはやらないといけないことがあるんじゃないのかよ!マユーラとマユのことが心配だよ。俺の目の前にマユの本体があるんだぞ。今すぐに助けに行ってあげないと行けないんだろうが!く、この俺の力のなさが歯痒いぜ。マユーラの本体は、まだマユの中だっていうし。どうすりゃいいんだよ。この気持ちを抑えることしかできねぇなんて。マユ、無茶しないで無事でいてくれ。)

(なぁ、なんで俺の体が動かねぇんだよ。なんでこんな事になってるんだ?なんで俺はマユーラを見送っちまったんだ。なんで俺だけが安全な場所に居て、マユーラが戦っているのに俺は見ていることしかできなかったんだ。マユと俺との間には契約のようなものが出来ているみたいなのに俺がそれを使えなくなっているなんて。それにマユが言っていた。契約は切れないものだって。なんで切れるような契約の仕方をしたんだよ。なんで俺と契約するときは、ちゃんとした契約をしてくれなかったんだよ。俺はこの世界を救いたいだけなのに!く、マユーラ。マユーラぁぁぁぁぁ。頼む、戻ってきてくれ。そしてマユを助けてやってくれぇ。)

俺の心の中に様々な思いが交錯していたのだが結局俺は動くことが出来ず、そして俺がこの世界で何もできないまま時は過ぎていったのだった。

「我が主。これより我らが軍は進軍を開始する。皆の者。我の後に続き前進せよ」とマユーラは言うと黒い渦の中に飛び込んで行ったのだ。俺はただそれを見ていることしか出来ず、俺はこの時ほど己の無力さを痛感し、心の底から悔やんたことはなかった。俺がここでマユと繋がっていれば、俺もあの渦の中に一緒に突入できただろう。だがしかし俺とマユとは契約のようなもので繋がっているが、契約の内容が違うらしく、マユの方が優先されてしまい俺はこの世界の外に出ることができなくなってしまっていたのだ。

(なぁ、俺はどうしてこんなことになってしまったんだろうな。俺は何一つ悪いことはしていないはずだ。それどころか、俺はこの世界に来て良い事をしているのにも関わらず俺に不利益なことばかり起きているよな。マユーラ、マユのことが心配でならない。どうか、無事に俺の元に帰ってきて欲しい。そして俺は俺のできることを精一杯やるしかない。マユーラに認めてもらう為にも。)と俺が強く願った時だった。

(うぅ。ここは?あっ。私いつのまにか寝ていたみたいです。私ったらまた意識が無くなったり、消えたりを繰り返していたのかな。あれ、私は今まで何をしていて。そしてなぜこの世界に来てしまったのでしょう?確かマコの魂を見つけ出して、マコと契約した後にすぐに私の体に戻れたのまでは覚えてるんだけど。そこから先が記憶があやふやで、マコに名前を付けようと思ったところから、マコとの契約が成立したとこまでは全く覚えがないのです。まさか私は無意識のうちに何かをしでかしてしまったのでしょうか?私の記憶が無いうちにマコの側にいることを強制されてしまったりしていませんよね?でもそんな事は無いと思うんですけど、もしも私がマコに強制的に命令とかをしてしまっていてそれでその命令をマコが聞いている状態だとしたらどうすればいいのですか!?)

そして俺はマユーラが突然戻ってきた事にびっくりして声をかけることも忘れて見つめることしかしていなかったのである。すると俺と目が合った途端に慌てて謝り始め、(も、申し訳ありませんマコ。私のせいで貴方様を巻き込んでしまい、その上私の力が及ばず、こうしてマコの側に再び現れることができませんでした。マコの魂を感知することさえ出来ればなんとかなりそうな気がするんですが、マコの魂の気配が全くわからないので、私もどうして良いのか分からずに。も、もう本当になんとお詫びを申し上げたらよいのか分かりませ)マユーラは途中で泣き崩れてしまった。そしてマユーラの姿を見ていたら俺はなぜか急に冷静になりマユーラに声をかけることができたのである。

(い、い、一体何が起こったんだ?さっきまで俺は必死で自分の中に溜まっている色々な負の感情と葛藤していたのにもかかわらず、この子がこの空間に姿を現したかと思えば俺に抱きついてきたとおもったら今度はいきなり大声で泣き出したんだが。俺が泣かしてしまったみたいに勘違いされそうで怖いんだが。俺は別に泣いてる女の子に弱いわけではないが、こんな状況じゃなけれな普通に対応できたんだが。しかし、これはどうすればいいんだろうか。この子は神様だからこんな風に誰かが近くにいたとしても平気なのかな?なんか俺が思っていた神様のイメージとは違うんだけど。見た目も人間に近いし。俺と同じ匂いもするんだよな。それに俺の体の中に入ってきたあの時、俺の中で感じ取った俺以外の者の気配はやはりこの子のものだったんだな。)

「うぅ、ぐず。ごめんなさいごめんさい。マコ。僕、マコを死に追いやってしまう所でした。僕、あの時僕の中に入ってしまった他の神のせいだと思って、僕の力でこの世界にマコの魂を召喚して、マコにこの世界で自由に生きてもらえるようにと僕が力を注いでマコトさんの中に入れたんです。そうしないと僕が困る事になるかもしれないと思って。僕はあの時とても混乱していたんです。そして僕は神としての仕事を怠ったからその罰が当たったのだと思いました。だから僕はマユと一緒に封印されてこの世界を見守っていくことにしたんです。でも、僕だってこんなことしたくてやったんじゃ無いんですよ。本当はこんなことやりたくなかった。だけど仕方が無かった。マユの身体を借りるのはマユの身体が一番都合が良いからって言われちゃったら僕に断ることはできないし、僕はマコと一緒にいたかったから。だから、僕は自分がしたことが正しいと思っていたけど、本当は僕のしたことで苦しむ人を生んでしまった。ごめんね。マユ、マコにも謝らせてね。ほんとうにごめんなさい」

俺はマユーラの言っている意味が分からなかったが、この子に悪意があって俺達と引き離したのではないということは分かったので安心は出来たのである。俺はその時のマユーラが言っていた事が本当かどうかはわからなかったのだがそれでも俺は嬉しかったのだ。何故ならこの子が俺の側に居てくれているという事実だけで俺には充分すぎるぐらい幸せな事なのだからな。でもどうして今になってこの子は再び俺の前に姿を現すことができたんだろうな?この世界には俺の魂が存在しているらしいから、それは理解することはできるんだが。この世界には俺がいるって事は俺が異世界から来たという事もバレているということだよな。それってつまりは俺の存在もこの世界に知られているって事だよな。それにしてもこの子はまだ何か隠していそうだな?まぁ良いか。この子とは一緒にいる時間が長いほど色々と知ることができるだろうからな。

「マユーラ。君は何も悪くないよ。君のした行動で俺は今ここに存在していることができるわけなんだし、君は悪いことはしていないはずだ。きっと君の行動は正しい選択だったんだよ」と言ってあげた。マユーラは俺の言葉を聞くと、涙を流しながら、(ありがとうございます。私はなんて素晴らしい方に仕えることが出来ているんでしょうか。こんな方に出会えて幸せです)と言うので俺の方こそ、(これから先ずっと俺に尽くしてくれよな)と返事を返すと。

(はい!私の全てを懸けて誠心誠意お仕えさせていただきます。私にはもうこの世界にいる理由はなくなりましたので、今後はマコの為に生きることにします)と満面の笑みを浮かべて言うのだった。

(なぁ。この黒い渦の発生した場所に行こうと提案したのはこの子だもんな。そしてこの渦の中に飛び込んだとき、俺はなぜかこの渦の中に入りたいと思い込んでしまい、俺の意志とは無関係に飛び込むような格好になったはずなのに、いつの間にか俺は俺の意思でこの渦に飛び込んでいたような感覚になっているんだよな。そして俺が飛び込もうとしたときに、俺の頭の中には何故か、(お前の力が必要だ。私と共に戦ってくれ)という言葉が浮かんできて。そしてこの子の名前を口に出そうと思った時に俺は自然とその言葉が出てきたんだよな。この子は俺がこの世界に来て初めて会った人物でもあるし、なんとなくだが一緒に戦ってくれと言われたときにも不思議と違和感はなかったんだよな。それどころかどこか懐かしさを感じたっていうか。この子と俺ってどういう関係だったっけ?って思って。あぁ、思い出してきたぞ。この子はマユーラという名の少女で、俺の幼馴染であり婚約者だったんだよな。マユーラの両親は早くに亡くなったから、俺がマユーラを引き取って、俺達は本当の姉弟のような存在でもあったんだよ。しかし、俺が高校生の頃に突然失踪してしまって、俺はそれがショックで立ち直れなかったけども、それから10年くらい経った後に俺がマユーラと再会したんだけど、そのマユーラが俺のことを覚えていなかった。そして俺のこともマユーラの中では別の人間として認識されてしまっていて、マユーラの中の俺の記憶も改変されているみたいで、そして俺はまた一人になってしまったんだが、俺はその後マユーラに認めて貰えるためにこの世界を救うための旅をしているところだったんだ)俺は俺が記憶を無くしてしまった原因について考えていた。

(確かマコがいなくなった後すぐに僕は意識を失ってしまい、気がつけば僕は真っ暗で何も見えないところに居たのです。そしてしばらくして、マコの声だけが聞こえてきて私はそれに従いこの世界にやって来たのでした。マコにもう一度会うため。私はマコの魂を見つけ出しマコと契約を結ぶ為にこの世界に来ていました。私の力があればマコを見つけ出すことが出来ると思っていましたが。私の力でマコの魂を探し当てることができなかった。だから私はマコにこの世界のことを教えてもらいたかったのに。結局私では役に立てなくて申し訳ありません。私はマコの役に立ちたくて来たのに。こんなことしか出来なくてすみません。私はマコの側にいられるのならば何でもしたいです。そしてマコの為になる事だけを考えていたい。でもこの世界には私の居場所がないように感じています。私はもうこの世界から消えてしまってもいいかなと思えたんですが、私は自分の意思でこの世界に戻れてしまいました。だからせめてこの世界で出来る事をやらないと。マコ、マコのお陰でこの世界でも生きようと思います。)マユーラはとても辛そうな顔をしていた。マユーラは自分の力が無いことを悔やんでいるようだが。マユーラの気持ちが分かった俺としてはそこまで落ち込まなくてもいいと思うんだが。

それにマユーラは神様なんだし俺よりも能力が高いんだと思うんだよな。だってマユーラが言った事によると。俺をこの世界に召喚した張本人みたいだし。それにマユーラの加護は特別性で他の人が持っているのとは桁が違うって言っていたしな。でも俺もマユーラの気持ちを考えるとあまり強いことは言えないんだが。俺だって自分がマユーラの立場なら同じことを考えてしまうかもしれないからな。俺はそんなに自分の力を過信することが出来ない。俺はこの世界ではまだ生まれたばかりの赤ん坊のようなものだから、自分の力を過大評価して自分の命を捨てることになってしまう可能性だってあり得るから。

俺は自分一人で生きていける力が身につくまでは無茶なことはあまりしないようにしようと決めていた。俺がもし死んだらマユーラの俺に対する依存度が強くなってしまう恐れがあるからだ。それはそれで嬉しいことだがやはりこの子はもう二度と俺の元を離れたくないと言っていたからなるべく離れる事はないと思うが。俺はできるだけ長生きをして、マユーラが寂しくならないようにしなければいけないと考えている。マユーラが俺のことを必要としてくれるのであれば俺もその思いに応えたいと思っているんだ。

俺はとりあえずマユーラと話をしながらダンジョン内を調べまわったのだが。今のところこれといった成果は得られなかった。俺は俺達が今いる場所を見渡しながらマユーラに尋ねた。するとマユーラはこう答えた。

「この場所に私が元々いた時も、私以外にここを訪れる人は滅多にいませんでした。そしてここには何があるのか分かりませんが、特別な力を持っていなければこの場所に来ることはできないのです。そしてここに来るためにはある程度の魔力が必要不可欠なのです。そしてここは普通の人が入れるような場所では無くなっているのですよ。そうそう、私達がこの空間に入ってきてからしばらく時間が経ちましたが。どうでしょう?この辺りのモンスターを倒しきることが出来たでしょうか?おそらく今のあなた方ならこの程度のレベルの魔物などは問題にはならないのではないでしょうか?」マユーラは少し自信がない表情を見せながら言うのであった。俺は(うーん、まぁやってみるか。俺達のステータスを確認してみたらどうかな?)と言ってみるのだった。

(うん。わかったよマコ。僕はこの子の能力を覗くことができるけど。僕自身のステータスを確認することはこの子には出来ないからね。ちょっと確認してみますね)と、マユーラが言うと、俺の目の前には半透明の映像が現れた。俺は俺の能力値を覗き見て、(おぉ。マユーラは結構強いんじゃないか?俺は大体のレベルは見れるんだが、それでもこの子のレベルの上限が俺には見えてこないんだよな。俺のレベル上限が分からないのは俺がこの世界の基準から考えると異常すぎるからなんだと分かってはいるんだけどね)と言うと。

(あははは。そうだね。僕にはレベルなんていうものは無いんだよ。僕はマコと一緒にいるからね。だから僕の強さはその気になればどこまででも上がるのだよ。でもマコの方が僕にとっては大事だし。だから今は強くなる必要もないんだけど。僕の能力の限界値は多分僕の主が限界だと思うよ。でもその人の魂の力って無限に使えるんじゃないの?って思えるんだよね。僕の主は。でもそれは違うよ?魂にも限界ってあるんだよ。

例えばこの子がもしも僕達のように誰かに召喚されて、この子も召喚された時にマコと同じように、この世界のことを全く知らないまま召喚されていたとしたら、僕はこの子を殺さずに済んだと思う?まぁその時にマコがいたとしても。きっとこの子は殺されちゃっていたかもしれないけどね)と言って悲しそうな顔をした。

(えっと。マユーラさんで良いのかな。ごめんね。なんか変な事聞いちゃったみたいで。俺がこの世界に呼び出されたのはたまたま運が良かっただけで。普通だったらあの黒い渦に取り込まれてそのまま死んでいたはずなんだよな。俺って。まぁ俺の話は置いておいて、マユーラ。君は何かを探っているみたいだけど。この世界のどこに俺達は降り立ったわけなんだ?このダンジョンの中をくまなく調べているんだけど。俺には全く何も発見することができないんだよ)

(この階層で見つかることはないですね。恐らくもう少し上の階か下に降りてからでないと見つけられないかと。ただマコはこのダンジョンに入ったとき。私に何かをお願いしようと思っていたみたいですけど、その言葉は一体どこから来たものだったんですか?その願いの内容がなんとなく分かったから私もこの場所に一緒に来てしまったんですけれど)

(その前に聞いておきたいことがあるんだけど。君の加護が与える力についてなんだけど。君の能力は相手の心を読めるってことでいいんだよな?)と俺はマユーラに疑問をぶつけてみた。

【マユーラは相手の名前を呼ぶことにより、その者の心の声を聞くことが可能となる。ただしその者の許可がなければ会話はできない】と頭の中で声が聞こえてきたので俺は続けて質問することにした。

【マユーラの加護により、相手の思考を知る事ができる。但しその者との意思疎通が可能な場合はその限りではなく、マユーラに害を及ぼす意思を持っている者は問答無用で攻撃を受ける可能性がある】とも頭の中に聞こえてきたので俺はマユーラにこの事を伝えた。

(ふぅ。そういうことだったのですか。でもそれじゃ私の役目はほとんど終わってしまいましたけど。この先私にできる事があるかどうか。正直分かりませんが、私はマコの為だけに生きていますから。私に出来る事があったならば喜んでマコのために協力します。)と言ってくれた。

(マコが望むならば私はマコの為に何でも致しましょう。私はマコの手足となって働くつもりです)マユーラもそう言ってくれるのだった。俺は二人に対して、俺の考えを話して、それを実行する許可を求めたところ、二人は了承してくれたので俺は早速行動を開始することにした。

(マコが考えていることを僕はマコの口から聞きたかったのですが。マコの考えは正しいと私は思っています。でも僕はマコの気持ちも理解できるので、どちらが正解なのかはわかりませんね。マコはどちらの道を選んでもいいと思ってるので。だから僕はマコが選んだ方で良いんですよ。僕はどんな選択をしたマコでも良いと思っていますし、僕はずっとマコと一緒なので。僕はいつまでも側に居ますし、マコも私から離れないって言ったじゃないですか。マコも私に嘘をつくのはやめてくださいね?私はマコに隠し事はして欲しくないと思ってるので。私はいつも真実だけを話すマコトを信じていますからね。私はマコの事ならなんでも受け入れようと思ってますよ。マコが私の事を拒絶したなら私はこの場で死ぬ覚悟もあるので。それだけの事を私はしてきたと思っているんです。私はマコの側から離れるつもりはないので安心してくださいね)と俺の心に直接語りかけてくるマユーラ。俺は二人の想いがとても嬉しかった。そして俺自身も二人が自分の気持ちを受け止めてくれると嬉しいなと思っている。俺が今まで自分の考えを話さないことが多々あったが、俺は自分の事を理解してくれる存在を手放すことが絶対に無いと断言できた。俺も二人の事が好きすぎてたまらないのだ。だからこそ俺は二人のことを信頼し大切に思う。俺にとってマユーラもマユーラもどちらも掛け替えのない大切な存在であることに違いはない。そしてこれからも共に過ごしていきたいとも。

そして俺はマユーラの加護の力を最大限に活用するためにまずはステータス画面を表示した状態で、マユーラの加護を発動した状態のままでいてもらうために俺と握手をしてから俺と意識の共有化を行ってもらった。これで俺のスキルである鑑定が使えるようになるのだから。

「マコ、私に何をさせたいのか分かりませんが。それがマコのお役に立てるのであれば、是非お願いしたいと思います。それで何を探したら良いのでしょうか?」俺はこの階層の地図がほしいと思ったのでその事を伝えてみる。すると、俺とマユーラが立っている場所を中心としたこの部屋の全体の様子が分かるように、俺とマユーラの周りに立体映像のようなものが表示がされて、このダンジョン内の構造が確認できるような状況となった。俺はその様子を確認しながらこの場にマユーラを連れてきた本当の理由を告げる事にする。

俺にはダンジョン内を全て見ることが出来るという特技があるんだと俺はマユーラに告げてみる。このダンジョンに入る前からマユーラが俺と念話を行うときに使っていた魔法のようなものを使えないか?俺は試しにそう聞いてみた。すると俺の目の前にはこのダンジョン内に現在存在する生命体を映すことができる、まるでテレビ画面に表示されているかのような感じの立体映像が表示された。この機能を使ってこの階層内に存在するモンスターを確認する。

(この子は人間ですね?その横に表示されている数字みたいなものは何を示しているのでしょうか?私には何を意味しているのか分かりませんが。とりあえずマコがこの部屋から外に出ようとしているのが見えたのですが、これはどういうことなのでしょうか?)マユーラは俺の行動が不思議に思ったらしくてそんな疑問を口にしていた。俺は(マユーラには俺が見ているものが何か分かるのか?)と尋ねてみる。

(はい。恐らくそれはマコの魔力の波と同じような性質を感じ取ることが出来るのでしょうね。私もそこまで詳しいわけではないので説明しづらいのですよ)

(なるほどな。まぁとにかく俺は今からこいつらを倒すよ。そしたらさっきみたいにこの子の能力を開放してくれよ。そうしたら俺のこの能力について少しは教えてあげるから)俺はマユーラに対してこう伝えた。

(えぇ!そうなんですね?私頑張りますね。)と言ってくれてやる気を出してくれたマユーラなのであった。マユーラはとても強いと思うんだけどな。それにステータスを見たところでは、マユよりもマユーラの方がレベルは高いみたいだし、レベル上限だってマユより遥かに高いはずだしな。マユーラはレベル上限が無いから。多分俺が倒したモンスターは俺のレベルを上げるためだけに利用させて貰うことにする。そして俺はマユーラに手伝ってもらいつつモンスターを倒して経験値を稼ぐのだった。マユーラの能力を使えば簡単に倒せるだろうが、なるべくなら俺一人でも余裕を持って戦いたいんだよ。

(マコ、どうやらその人は僕達の種族とは全く別の存在のようだから気をつけた方が良いかもだよ?この人多分エルフじゃないかな?僕はあんまりそういう細かい情報とか見ることができないんだけど、マコはある程度までだったら見る事が出来るんじゃないのかな?)と、突然マユーラは言うのだった。

マユーラによると、俺の能力では全ての能力が見れないのでその人の全てを見る事ができないのだとか。マユーラ曰く、この世界はいくつかの国が存在している。その国には全て異なる言語が存在していてそれぞれの国は独自の進化を遂げているのだと。

例えばここにある国は獣人の国なんだけど、そこには魔人と呼ばれる者が存在するのだけど、この世界に存在するほとんどの生き物は言葉を喋ることなど出来なくて本能に従って行動する生物ばかりなんだって。この世界で意思疎通が可能だと言われているのは精霊種と呼ばれている種族なんだって。

(マユーラはなんでこんなにも詳しく俺達に色々と教えてくれるんだろうな。マユーラはこの世界の事をよく知ってそうだし。そもそもどうしてマユーラはこの世界に存在しているんだ?他の世界の事を知っているくらいなんだし。この世界の生まれじゃあないんだろ?俺はてっきりマユーラはどこかの世界からやってきたんじゃないかって思ってるんだよ)俺はそう質問を投げかけた。

俺が質問した時に、一瞬ではあるがマユーラが寂しそうにしたのを見逃さなかった。そしてその後すぐに表情を戻したので恐らく今の感情を隠す為だったのだろうと予想がつく。

(私は元々この世界の産まれですけど。でも私が産まれた場所はここではありません。)と彼女は言ってくれた。

俺がこの世界に呼ばれたとき、黒い渦はいきなり出現してその中心からは異世界の神様が現れていた。その神の名前は分からないが、見た目は白髪交じりの中年の男であり、かなり太っている。しかし背筋が伸びており動作が洗練されていて、とても優雅に見えたのは覚えている。そして俺はあの瞬間までは確かに自分の意思で動けていたので、もしかすると俺が転移する際には意思疎通ができる状態になっていなければならないのではないかと考えているのだが。俺はマユーラが嘘をついていないと確信しているが、それでもマユーラに問いただしたとしてもきっと答えはくれないのではないだろうか? 【私達の言葉は基本的には相手に伝わりません。私の加護の力があれば会話が可能な相手ならば意思の疎通が可能なはずなのですけどね。私の加護の力も完璧ではありませんし、私の加護はあくまでも心を読むことが出来るだけです。】と頭の中に声が聞こえてくる。マユーラが言っていた事は本当なようで、俺はマユーラに俺の心の中で考えていた事を伝えたわけだが、それに対して返事が来た。俺も加護の力が完璧なものだと思っていたわけではなかったが、マユーラの説明を聞いている限りではかなり強力な能力を持っているのではないかと期待してしまうのは仕方ないと思う。俺はこれからマユーラの加護の力を最大限活用できるようにしたいと思っている。

マユーラの能力は俺が想像した通り、俺の考えていることや、思念、考えや思いなどを読み取り理解することが出来るものなのだ。俺が考えている事を言葉にしなくても分かってくれるというのは非常に便利だと思う。俺とマユーラとの意識の共有化のおかげで、相手の気持ちを理解する事もできるのだと言うことだ。ただこれに関しては、相手の感情だけではなくて、その相手が今どんなことを考えて、何を悩んでいるのか?どんな状況で考えているのかとかね。

そういった事を瞬時に把握することができるらしいのだよね。

この力を使って戦闘をする時には相手の思考を読んで攻撃を回避することが出来るし、逆に相手の考えを利用して攻撃をすることも可能なのであるらしい。

ただマユーラは戦闘を苦手としているらしく、戦闘を行うときには事前にその人が持っている加護の力を一時的に使えるようにしているらしい。マユーラにこの能力を与えたという女神様から貰った特別な力らしくて普段は使えなくなっているんだとか。ちなみに俺の場合はチート能力を使えるようなので、俺は俺自身に与えられたという特殊な能力を使う事ができるみたいである。この俺自身の固有技能をマコに使用して、マコにマコに俺が考えた事を伝えるようにすれば俺の考えを読み取ることができるみたいだ。俺がこの階層に出現するモンスターについて知りたかったのも、この階層にいる敵の種類がこの世界に生息する魔物とは違う存在なので、マコなら倒すことができるのでは無いか?と思っての事だったのでその旨を伝えてみる。

(そうなんですか。私は戦わなくてもいいんですか?私としてはマコのお役に立てることが嬉しいのですが、戦うことで何かしらのデメリットが発生する可能性もあります。もしそれを恐れて行動しないのでしたら、私も戦いませんよ?)

(いや。別にそういう訳じゃないんだよ。俺に力があるのであれば。出来る限り俺はこの世界で自分が強くなっていきたいからさ。マユーラに頼らなくても、俺一人の力でなんとかしたいんだ。もちろん無理そうなときは素直に頼ると思うしね。でも俺はできるだけ自力で解決する方向に行きたいんだよ。だからさ俺に協力してもらっても良いか?マユーラが嫌だったり、怖いと思うような事は決して強制したりはしないと誓う。俺はマユーラとこのダンジョンを攻略することに集中したいんだ)

(分かりました。そこまで言われるのでしたら私は何も言わずにマコの指示に従うことにします。それで私は具体的にどのようにマコに指示を出せば良いのでしょうか?やはりここは先程のマコが話していた様にマユさんに念話を繋ぐべきなのでしょうか?マコはその辺りについてはどのような考えがあるのでしょうか?私はそのマコの作戦に賛成なんですけど。やっぱりその方が確実ですもんね)

(俺はそうだな、とりあえずマユーラにはこの階に存在するモンスターについての情報を全て俺に渡して欲しい。俺の方は念話でマユに伝えておくよ。念話なら確実にマユに伝わるからな。)

俺達は念話のスキルを使用してマユーラから聞いたモンスターについての情報についてマユに伝えたのであった。マユは俺からの話を聞くと直ぐに準備に取り掛からせたようだ。マユーラが教えてくれたモンスターには魔法や剣技が効かないタイプも存在していたからだ。その対策としては武器の属性を変換する事によって対応することが可能だという。

そして俺は今からその方法で対処しようと思うのであった。

まず俺はこのダンジョンに潜っているメンバーを呼び戻すために一度外に出る必要があると考えたのでマユーラに俺の視界に映し出される画面について説明をして、マユーラの能力を使って外の状況を確認して貰おうと思うのだが。マユーラは自分がこの世界に来てからの時間は数え切れない程長く存在している為、既に自分の能力で見た事のない場所は存在しないのだという。つまりはマユーラは俺達と一緒に冒険をした仲間を探し出して連れてくることは出来ないのだった。

(ごめんなさい。)と言って謝ってくれたマユーラだったが、マユーラが謝る必要なんてどこにもない。

(まぁしょうがないさ。それにしても、ここにある階層のモンスターってマユの加護の能力で確認することができないのか?マユの加護の効果は確か全てのステータスを見ることができるんだろ?だったらモンスターも見る事ができるんじゃないか?)とマユーラに聞いてみた。

(それは確かにその通りなんですけど。私がモンスターを確認した時には既に死んでいて、ステータスを見ることができなかったモンスターがいたからですよ。)

(えっ?そんな事が?俺の能力にもその能力が備わってたんだよな。俺はマユの加護の効果でモンスターの確認はできているんだが。でもその効果を使えばモンスターを倒すこともできるんじゃないのか?)

(いえ。この能力は全ての物に対して使用することが出来るわけではありませんから。その人が持つ加護の力よりも、より強い加護を持っている人の場合だとその人はその人の持つ加護の力が打ち消されることもあります。マコは確かにマコ自身の持つ能力でステータスを確認することができているとは言いましたが。まだこの世界にきてそれほど日数が経過していない為にレベルが圧倒的に足りていません。今の時点ではこの世界で生きている生き物を殺せる程の攻撃力が無いためなんですよ。マコトの現在の攻撃手段は加護によるものではなくて、マユーラから得た加護の力とマコが元から所持している能力のみとなります。マコトが元々持っていた能力についてもマコが自分自身の力を完全に引き出せるようにならないと使用できないのです)

俺はマユーラからそう告げられたが、それでも少しだけ試してみようとマユーラに提案してみると、俺の提案に同意してくれて。俺は実際にマユに話しかけることを試みた。

「マユーラに念話が繋がった状態で俺はマユーラの加護の力を使えるようになるよな?」

と念じてみたのである。俺はその途端に俺と繋がっているマユーラとの意識の共有化が進み。目の前の画面に俺達の現在居るダンジョン内の様子が映し出された。

(おお!凄い。これが俺の見ている風景か。これはまるでテレビでも見ている気分だ。俺は今マユーラに教えて貰った場所に転移をすることができるわけだが。この場所に行っても俺の目に入るものは何も無いじゃないか。この階層ではこんな景色が広がっているわけなんだな。俺がここに来た時はまだ何も無かったはずだが。今はこの世界のどこかに存在する森のような光景が映しだされているだけだぞ。マユーラ、これじゃあ俺には何も分からないぞ?本当にここから移動できるのかどうかも分からないな)

【はい、大丈夫ですよ。この階層に出現できる敵が一体も存在しないので。その証拠として私の視界にはダンジョン内の風景は映り込んではいないのです。私はこのダンジョンのボスなのですが。この階層を守護する役割を与えられているだけで、それ以外の機能はないに等しいのですね。】

(そうなの?俺は今この部屋を出てダンジョンの入り口まで戻りたいんだけど。そっちはどうなの?こことは繋がっていないのか?)

【残念ながら私はマコの行く先に付いていけないので、この部屋の外へと出る事はできないんですよ。この部屋から外に出るとこのダンジョンの最下層に戻ってしまうのです】とマユーラは言ってきた。

(分かった。ありがとう。マユーラ。これで何とか外に出れそうだ。それならすぐに俺はマコにこの場に集合するよう伝えてから移動することにするよ。それでマユーラはこの階層で出現するモンスターについて詳しく知っているんだよな?俺の念話は届くと思うんだが。念話が届いたらその時にその情報を俺に送ってくれ。それとマユーラの加護の力で確認できる俺の仲間と俺が一緒に戦っている奴らにこの事を話してくれないか?それでマユーラに確認してほしいのは、その階層で出現した敵についての情報が知りたいんだが、マユーラから情報は聞けるのかな?)

俺は今からこのダンジョンを抜け出そうと思うので俺が戦っていたメンバーを呼び戻すことと、マユにはこの階の敵と戦うための対策を考えて欲しいと頼んだ。

(分かりました。マコがそのように判断されたと言うのであれば私は従うことにします。それと、先程お渡しした私の情報についてはいつでも確認できるようになっております。何かあった場合にはその様に念じていただければ私にメッセージが送られるはずなのでその時には連絡しますね。それでよろしいですか?)

(了解だ。それなら俺はもうこの階層から抜け出すことにしてもいいのかい?一応この階層で戦った俺が倒した敵が残していったドロップアイテムが俺が戦ってた場所に放置してあるんだけど回収してから外に出る事にしたほうがいいのかな?)

(はい、それで構いませんよ。マコはもう既にマコが倒していたモンスターがこの部屋に入ってくることはないのですよ。)

俺はマユーラの言葉に安心しながらその言葉通りに行動することにした。そしてこの階に存在する敵を全滅させた俺は仲間と合流する為に行動を開始したのだった。

そして俺達が合流する前に俺はまずこの階に存在した全てのモンスターを倒した事を証明するために俺が使っていた剣を拾うことに決め、まずはその剣を回収してから俺はダンジョンの外に出る為にマユーラに教えられた通りの場所に向かって移動を始めた。

(さてと、マコ。これからマユさんのところに向かわれるのでしたらマコにお会いしたいとおっしゃっている方がいらっしゃるんですけど、会ってみられますか?私は今の状態ではその方のお姿を拝見することはできないので、マコの判断に任せたいと思うんですが?)と、突然の事で驚きながらも。俺はとりあえずマユーラの言う事を聞いてみる事に決めた。

すると目の前に俺の想像とは違った姿ではあるが、明らかに人とは異なる容姿をした女性が姿を現したのである。

(うわぁーー。マユーラの言ったとおりだな。これは人間じゃないよな?俺の前に現れた人は俺と同じ様に人の形をしているけれど頭からは耳が生えており背中からは大きな翼が生えてたよ。しかもこの人が着ている服も普通ではないよな。俺のいた世界でも漫画とかアニメの中に登場する様な衣装だからさ。俺はこの人をどうすれば良いんだ?やっぱりマユーラの指示に従うしかないよな)

と俺は心の中で思った。マユーラからマユの所に案内するように言われた俺はマユーラの指示に従ってマユーラの所まで戻ることにした。

俺は仲間が合流した後、俺達は地上に戻るためにダンジョンを抜けるための準備を行う事になった。まず俺がマユーラから教わった方法を使用してダンジョンを抜け出すことに成功したのだが。俺はマユにマユーラからの情報を伝えた後に皆に確認をとったのだ。

俺は念話の能力を全員に伝えてから、まずはこのダンジョン内で手に入れた戦利品を確認しようと思った。

そして俺は早速その確認をするために宝箱に近づき開けようと試みたのだが、その途端にその宝箱は勝手に開いてしまい。中から剣のようなものを取り出したかと思うとその剣は直ぐに消えてなくなってしまったのである。

(うん。なんだろう。あの剣は消えたけどなんか手に感覚が残っているような感じで不思議な気分だよな。でも何だったんだろうな。俺の手には今もあの剣が握られていた感触があるというのにも関わらずだ)

(はいはい、マコはそんな事を考えるよりも自分の持っている剣の状態を確認したほうが良いですよ。自分の加護が作り出した武器は自分が一番扱いやすい形に変化するんですよ)と、マユーラは言ってくれたので、試しにマコが今まで装備していた自分の加護の力の具現化して作られた自分の専用武器を出して確認してみることにした。

俺がそうやって念じた途端に俺の前にマユに渡された時と似たような見た目の刀が出てきたので。それを鞘から抜き出し構えを取ってみたのだが、特に問題なく振ることができたので。俺はその確認を終えた後は、その剣を使って戦うことにしたのである。

そうしていると仲間の一人が。

「この階に出現しているモンスターは全て倒しました。そのせいか今現在この場所に潜んでいる者は存在しないと思われます。ただ念の為にもう少し警戒だけはしておくべきだとは思います」と言い出してきたので、俺は仲間たちにも同じようにこのダンジョンを抜け出した後の注意をするように伝えておいた。

(俺がダンジョンを出るまでは絶対に油断はしないようにしてくれな。マコのいるこの場所を守れる者はこの世界だと俺達くらいしかいないんだからな)と言った後、俺はその階層に存在するモンスターをマユーラから教えて貰っていたので。その階層に存在する全てのモンスターの居場所を把握することが出来るようになっていたので、仲間の目の前に現れた瞬間に倒すように指示を出しながら戦闘を行っていた。そしてそのおかげで、俺達は俺達の居るこの階層から無事に脱出することができたのであった。

俺は無事ダンジョンを脱出することが出来たが。

その時にマユに渡されていた俺専用の加護の力が発動しているのが目に見えて分かったので、この世界のどこに居るのかも分かるようになったのである。そこで俺が最初に訪れたのは。

俺と最初に出会って仲間に加えた人達がいる場所ではなく。

王都に向かうための出発点として選んだ町。

そう、マユやマユと一緒にいた女性陣はここからさらに離れた場所にある町を活動の拠点にしているということなので俺はマユーラの力を頼りにしてその場所へ向かうことにするのである。

(それではマコ、この世界のことに関して私が知っている範囲の事を教えておくことにするのでしっかりと聞き漏らさずに聞いておいてくださいね。この世界で生きていくうえで重要なことですから)と、言われてしまった為。仕方なくマユーラの話を聞き続ける事にしたのであった。

マユーラは、この世界に出現するモンスターは大きく分けて三種類の種類が存在するということを俺に教えてくれたので、その三種類の魔物の特徴について簡単にだが説明してくれるとのことだった。

その特徴とは 1つ目は。動物の姿を模して現れる。

その2つ目が。生物の形を模して現れた。3つ目も同じく生物の姿を象っては現れないで、無機物の姿をそのまま現すことがほとんどだそうだ。

しかし例外的に。4つ目の姿は存在していない。

ただその例外というのは、そのモンスターの強さと。他のモンスターと比べての存在感の凄さから。

通常の方法で倒せるのはせいぜい1体までであり。それ以降は普通の攻撃では決してその生き物を倒すことは不可能に近いらしい。それ故にこのダンジョンに存在する階層ボスはその階層を守るだけの実力を持っているので。この階層から先に進むことができる冒険者達は殆ど存在しない。というのが現状になっているとのことだ。

この事実を知った上で俺の今の状況は。このダンジョンにいる中で恐らく最強であろう。ダンジョンボスに挑まなければならないので。正直な話あまり気が進まないんだよなぁ。でもここで躊躇していても始まらないと思い。その覚悟を決める為に一度この場で仮眠を取ることにしたのである。

(うん。俺は今からダンジョンに挑んでくるからさ。その間この場を守っておいてくれないかな?それと俺は今から一時間ほど眠りにつくことにするから、その間に敵が現れたら遠慮せずに叩きのめしてくれていいからさ)と言って俺はマユ達にお願いをしてから目を閉じたのだった。

俺はダンジョンに挑むための準備を行い、仲間たちに見送ってもらった後に。ダンジョンの一層目に入るための入口がある場所へと向かった。すると、その途中で。ゴブリンキングと思われる個体と遭遇することになった。そして俺はそのゴブリンキングと戦う事を選んだのである。なぜならこの階に出てくるのは大体のモンスター達がゴブリンなので、この階に存在しているモンスターで俺が戦っていないのはその一匹だけだったからだ。

俺は、目の前に立ち塞がるそいつに対して。

(うん。お前がここのボスで良いんだよな?俺の名はケンジだ。悪いがそこを通して欲しい。どうしてもこの先に行かなきゃならない用事があるんだ)と言うと。ゴブリンは

(ククク、残念ですが。貴方を通すわけにはいかないんですよ。それに私はこの階を預かるモンスターではありませんのでね。私を倒したとしてもこの階を攻略したことを証明することは出来ません。私を倒したからといってすぐに次の層へ進んでしまうことは止めたほうがいいですよ。その前に私の配下たちが一斉に襲い掛かってくることになりますからね。それでも構わないというのであれば止めませんが、私の忠告を聞いていたほうが身のためだと私は考えますが。いかがでしょうか?)

と、ゴブリンはそう言うと、配下の者を呼び集め始めた。

(なる程、そう言う事だったら、この階のモンスター達は全員まとめて相手にさせて貰うぜ!俺の邪魔をするというなら。誰だろうと倒させてもらう。俺が今、求めている強さはそれくらいのものだからな。俺に従えないという奴だけかかってこい!!)俺はゴブリンの言葉に答えてやると同時に。一気に自分の力を解放することにしたのである。そしてそれと同時に、目の前のゴブリンキングを含めた。俺の周りにいたゴブリンたち全てを吹き飛ばしたのだった。そしてその後俺がこのフロアにいる全てのモンスターを倒しきった後で。ゴブリンたちは俺に従うように態度を改めたのである。

この世界に来る前、この世界での俺には加護が存在していなかった。しかし俺は異世界転移の能力を得て、更には加護も得ることに成功した。

俺はこの世界に転生してきて加護を得ることによって、この世界での自分自身のレベルがどの位あるのかを確かめるために、ステータスオープンを唱える事に決めたのである。

俺がこの世界で最初に行った行動は。

自分が現在どれだけレベルが上がってしまっているのかという事を知ることだった。

というのも。

俺がこの世界に飛ばされた時点で、既にかなりのレベルの差があったマユ達に追いつく為には少しでも俺が強くなろうと思っていたからである。

俺はマユーラに頼んで。自分が現在持っている加護の効果を確かめたいと伝えることにした。

(マユーラ、少し質問があるんだけどいいかな?)と、念話でマユーラに伝えたのである。

マユーラは、俺からのその連絡を受けてから暫くすると。俺の所にやってきたのである。

マユーラは俺に一体どうしたのですか?といった様子で問いかけてきた。

(あの、えっとですね。この世界に俺よりも後にこの世界に来ていて、まだマユーラの仲間になれていない人たちの中で俺の持っているような特殊な加護を身に着けているのはいるんですかね?)

俺がそう答えるとマユーラは俺の考えに気づいたようで、俺に向かってこう言ってくれたのだった。

(はい。実はマコと同じような能力を持つ者が数名いるのですが、この世界で生きていくためにはある程度の知識が必要になります。その者たちをマコと同じ世界に送り込んであげたいと思っているのですが。如何しましょうか?もし希望するようでしたらその方々をそちらに送ることも出来ると思うのですが。マコの了承を得れましたら早速手配しておきますが、如何致しますか?)

(是非、お願いしたいと思います)

俺はマユーラの提案を受けることにしたのである。

(わかりました。それではマコ。貴女に渡すはずだった加護はお返しいただいてもよろしいのでしょうか?こちらの方で保管している状態ですが。マコさえよければいつでも譲渡いたす準備は出来ていますので。何かしら必要な状況になった場合は遠慮なく申し出てくださいね)

俺はそう言われてマユーラに自分の所有しているはずのスキルと魔法を全て返して貰ったのである。そのついでに俺はこの世界に関する情報を幾つか教えてもらった。この世界では様々なモンスターや種族が存在しているらしく、それぞれの能力値にバラつきはあるものの、大体の冒険者達は平均的な強さで、その冒険者達の中では弱いとされる人間でさえ俺の居た世界の基準から考えて、この世界の平均的冒険者の倍近くの能力値を有しているとのことだった。

ただ俺の場合、その世界の基準を超越する能力を最初から有していたせいで、本来の俺の実力は大したことは無いということを聞かされたので、俺はショックを受けることになった。

この世界では俺のような加護の力を得ている者はそこまで多くは存在しないらしいが。俺が元々持っていたこの世界の常識を覆す程の圧倒的な力だけは別次元の存在だと皆が思っているらしい。ただその力はあくまでも戦闘時にしか使うことの出来ない、言わば切り札のようなものなので。この世界の住人が知っている加護の力を持つ人の中には戦闘時に本領を発揮することのできる人達がほとんどなので問題にはならないそうだ。

ただその力が戦闘以外でも役立つ場面が出てくる場合もあるそうで、その時にマユーラから聞いた話になるのだが、それはマコにこれから行って貰う事になる。王都にある冒険者ギルドでマコに働いてもらう事になった時に必要な情報だそうで、マコにもいずれはマユーラ達と一緒に冒険者にでもなって貰って一緒に冒険に出掛けたいと考えていたりもするのである。

そしてその日が来るまでマユーラからいろいろ学んでいくことにしているのだ。

マユーラの話を聞きながらこの世界を歩いていたら、俺は、ダンジョンの入口がある場所へと辿り着いた。そこでダンジョンの中に入り込んだら、そこは薄暗く、とてもじめじめとした空間が広がっていた。その雰囲気を肌で感じ取りながら、俺はこの場所にいると、何やら視線を感じ取ったのであった。そしてその方向に顔を向けると。

「おいおいおい!マジか!?本当にゴブリンキングが居るじゃねぇか。こいつぁ運が良い。こんなところであいつの配下共が全滅寸前になっているところに遭遇するとはな!しかもゴブリンキングだけが残っているなんて、これぞ天命とはこの事を言うんじゃねえか?」

と、俺の背後でそんなことを言っている男がいる事に俺は気が付いて、そいつの事を観察しようとした瞬間、その男が俺に向けて話しかけてきたのであった。

「おっと。動くなよな。下手に動いて俺の攻撃の巻き添えになって怪我をしたくなければ、そのまま動かないで大人しくしてろ。そうした方が賢明な判断ってもんだ」

(はい?貴方に命令される覚えはないですが。もしかして俺と敵対するつもりですか?)と俺は疑問をぶつけると、その男の様子が変わり。まるでゴミを見るかのような冷たい目をして俺を見下ろし始めたのである。

「あぁ。お前なんかには俺と戦う価値もないから安心しろ。それよりもさっきの質問だが、その通り俺はお前を殺そうって腹なんだが。お前はその事に対してどう思う?死にたくなかったらさっさと降参した方がいいと思うぜ。そうすれば見逃してやるかもしれねぇしな!」

と、いきなりそう言われたが。

俺は別に殺されそうになった事に対して恐怖を覚えることはなく。何故なら目の前にいる相手からは、殺意どころか戦う意思が全く感じ取れなかったからだ。俺は相手の言葉を信用して、相手に敵対する事はせず。相手が何を企んでいるのかを知る為の観察を続けることにしたのである。

俺は、ゴブリンの集団を相手にした後。次の階層へ降りていく階段を目指して移動を続けていた。するとその途中。

俺に襲いかかってくるモンスターの群れが現れたが特に苦戦すること無く全て返り討ちにすると。また直ぐに別のモンスターが現れ、それを殲滅していくうちに先ほど戦ったモンスターたちの死体も消えていき次の階へ続く通路を塞いでいた岩が動いたため俺は迷わずそこに足を進めたのだ。そしてしばらく進んでいくと再び現れた巨大な扉を開くための鍵を手にすることができたのだが。ここで問題が発生したのだ。そう鍵を手に入れたと同時にこの部屋の主が現れたからである。その主に気がついた時には既に手遅れだった。

その者の名前はオークロードという上位種のオークだったのだ。

(ケンジ様。私はゴブリンジェネラルのブヒ太郎と申します。この先の道を進もうとしないのであれば私と貴方は戦う必要がございますが。宜しいのですか?)と。ゴブリンの癖に俺に向かって敬語を使って喋るこの豚は一体どういうつもりなんだろうと思いながらも、俺はこの部屋に出現するまでに倒した魔物たちを思い出して、目の前の豚がどれほどの強さなのかを判断することにしたのである。

そしてその結果は俺にとって最悪のものになった。

俺の目の前に現れたゴブリンのキングよりも遥かに強い存在が俺に向かって話しかけてきた。

(ゴブさんやい。俺に喧嘩売るような真似をして無事で済むと思っているのかね?この部屋にいる全ての魔族の中で最強であるこの俺の力を侮っているようだが。この世界の魔王と勇者の力を併せ持っている俺にとってはゴブタちゃんも敵では無いんだよ。だから。悪いことは言わない。俺をこれ以上イラつかせる前に大人しくここから退散しなさいな)俺はそう言い放つと。

(その言葉に嘘偽りが無い事を願わせてもらいますよ。まぁ、例え私が負けてしまったとしても、まだ私の子飼いたちが沢山残っているので。それにまだ奥の手もありますしね。そちらこそ、あまり舐めた口を利いているとその首が吹っ飛びますよ)と。

ゴブリンの王はそう言って不敵に笑い。俺を脅そうとしてきた。しかし俺の態度は全く変わらず、寧ろ更に挑発するような態度をとったのである。

(俺には、俺を楽しませてくれるような相手でなければ従えないと言っているんだけど?あんたは俺の期待に答えてくれているのかしら?そもそもの話だけど。俺はこの迷宮に潜っていた他の仲間を置いて一人で先に進んでいるわけだ。それなのに、この俺に、まだ戦っていないゴブリン如きが何様のつもりで上から物を言ってんの?俺はね。今非常に機嫌が悪いんだ。それに加えて今はゴブさんの他にも強そうな気配を持った奴がわんさか出てきて俺に攻撃を仕掛けてきているんだよね。この現状はさ。俺としてはストレス発散に付き合ってもらっても良いと思っているんだよ。だから早くかかってこいやー!!!)俺は大声で怒鳴り散らすと、ゴブリンの王に襲い掛かったのだった。

するとゴブリンの王からとんでもない力の波動を感じることが出来た。そしてゴブリンの王の体が膨れ上がり始めていくのを見て俺は驚いた。

(ちょ。ちょっと待った。これはまずいんじゃないのか?)俺は思わず焦り始めるが、その時には既に時遅しで、ゴブリンの王が変貌を遂げ始めていた。その姿を見た俺の脳裏に浮かび上がってきたものはミノタウロスの存在であった。ただその牛頭の鬼は、今まで見たことがある中で一番大きいサイズであったのだが、俺の前に立っているのはその2倍以上のサイズを誇っていた。それだけではなく。腕の太さが3倍近くに膨れあがったかと思うと筋肉がはち切れんばかりに引き締まっていって、そこから血管のような筋が伸び始めたのである。それはあまりにも異常な姿であり。

俺の知っている生物の姿とは明らかに異なる姿をしているその化け物は間違いなく俺の知る生き物ではなかった。そしてこの怪物の体には、明らかにこの世のものではないものが憑依している事が見えていた。そしてそれが何を意味しているか俺にはわからなかったので、取り敢えず鑑定してみることにしたのである。すると、目の前のモンスターの名前やレベルが俺の目を通して伝わってきたのだ。

(え?まさかこれって?本当にあのゲームで良く見るアレ?しかもステータスまで見えてしまっているんだけど。何だよこの数字!?ゴブリンキングの時は確か、名前:ゴブゴブ 種族名 ゴブリンキング Lv.100と、HP:45000/450000とか出ていたはず。それと、スキルも確認したけど。どれもが高ランクのものばかりだったし。スキルの内容に関しては俺が覚えている物とは大分異なっているのもいくつかあったしな。それにこのモンスターは俺の予想が正しければおそらく、あれに間違いはないはずだしな。それにゴブ太郎は言っていたが、まだ他に部下が残っているらしいな。そいつらも全部倒すしかないな。それにこのダンジョンの攻略もそろそろ終わりにしたいしな。よし。やってやるぜ!でもその前に。こいつに勝つ為に必要なものをゲットしておこう)俺はそう思うと早速行動を開始することにした。

(ふぅ。どうなることかと思いましたが、ケンジ殿に助けて貰いまして良かったです)と俺は心の中で安堵のため息をつくとケンジ様の背中を見つめながら後を追うように歩き始めた。すると突然、前方から大量の魔力が吹き出し始めて俺はその魔力量に恐怖を感じたのだ。そして俺はゴブタが何かをしでかすつもりだと直ぐに悟ったが、そのゴブリンが何をしようとしているのかはわからなかった。

(おいおいおいおい!マジか?ゴブさん?あなた何するつもりだったのかな?)

そう思いながら俺の前に立ち塞がり、俺とゴブの邪魔をしてくる存在を見据えながら、俺が今の状況を整理しようと思考を働かせていると、俺の隣を歩いていた筈のセバスチャンが俺とゴブの間に割り込んでくると、剣を抜き放ちゴブと対峙したのである。

そして次の瞬間に戦いが始まった。

ゴブリンがセバスチャンに攻撃を加えようと思ったら既にそこに彼の姿が居なくなっていた。その現象に戸惑いを感じつつも、ゴブが慌てて視線を上に向けると、いつの間にかゴブタは上空へと舞い上がり、そして、落下の速度を利用した勢いを利用して強烈な一撃を放ったのだ。

(ゴブーー!!!俺の必殺の攻撃を受けても倒れないだと?そんなことあるわけがないんだす!!)

ゴブがそう思ったのも束の間。次の瞬間にゴブの首が斬り飛ばされたのであった。しかし、それと同時にゴブも自分の身を守ることに成功したようで、その身に纏うオーラの強度を上昇させると、今度は自分から動き出してゴブタと激しくぶつかり合ったのである。

ゴブは、自分の命を賭けて戦うことを決断したのだ。

そうすることで自分が助かるかもしれない可能性に掛けたからである。

(ケンジ様の邪魔をするんじゃねえよ!!!俺の命がどうなろうとお前なんかに関係無いんだすよ!!!さっさとどきやがれです!ゴブ野郎めがぁぁぁぁぁあああああ!!お前はゴブさんがここで殺してやりますですよ。覚悟しろゴブ!)

そして俺達は再び激しい戦いを開始したのである。

ゴブの振り下ろす斬撃を難なく避けるとそのまますれ違いざまに相手の腹目掛けて蹴りを放ち、ゴブはその衝撃で壁の方まで飛んでいった。壁に激突して地面に倒れた後も、すぐに立ち上がる事が出来ずにいるようだ。その間にセバスチャンがゴブタの元へ駆け寄ってくるとその身体を支えた。

(ケンジ殿のお手を煩わせてしまった不甲斐ない私を許してください)

(いやいや、全然問題ないぞ。俺は気にしていないから)

(そうですか。ありがとうございます)と言って笑顔を見せるセバスチャンだが。どこか様子がおかしいことに気がついたのだ

(ところでケンジ様、貴方は何故ここに居るのでしょうか?)

この発言を聞いて俺は直ぐにこの世界に来るまでの事を話した。

(そうですか、ケンジ様は既にこの世界の魔王になってしまわれたのですね)俺はそう言われた時に思わず苦笑いを浮かべた。しかし直ぐに俺は今のこの状況を打破する方法を模索し始めたのである。そしてその時、俺は気がついた。俺の持つ力の殆どをこの世界で発揮することが出来るということに、つまりこの世界に存在している者全てが俺にとっては敵ではないということだ。ならば話は簡単だ、目の前で必死になっているこいつも、この階層で出てくる他の魔物たちも同様だろう?それなら俺のすべきことは決まっているじゃないか。とそこで俺はゴブタ達の戦いが終わるタイミングを狙って、ゴブリンの背後へ転移することにした。

そして俺は転移で目の前に現れると即座にゴブリンの背後に回り込み首筋に手刀を落とした。

ゴブリンは気絶してしまったのだが、俺に襲いかかろうとした別の個体がいた。

(おいおいゴブさんよ。俺は今忙しいんだよ)と言いながらも。先ほどと同じく俺は背後に回り込むと、そのゴブリンの肩を掴んで後ろを振り返らせて、その勢いを利用し、膝に踵を叩きつけて、更に顎に回し蹴を放って倒した。その一連の流れるような攻撃を見ていた周りの魔族たちは一斉に戦闘態勢を取った。

その魔族の中にはゴブゴブ君の姿もあって、彼は仲間達が倒されたことで怒り狂っていた。しかしそれを冷静に見守るゴブリンキングもいたのだ。しかし彼等はまだ本当の力を出して戦っていなかっただけなのだ。その証拠にゴブタとセバスチャンの二人を相手にしながらも互角以上に戦っていたのだからな。俺はそれを見て、少し焦る気持ちを抑えて。俺に敵対してきた全ての魔族に対して反撃を行った。そしてあっという間にこの場に現れた魔物は全て無に帰したのである。俺は改めて周囲を見渡すが、俺に挑んできたゴブリン達の死体が散乱していたのを見て俺は呆れた。

(全くゴブの奴らは。もう少し賢く生きられないのか?それじゃあこの迷宮から抜け出せる日なんて一生来ないんじゃないか?まぁ俺にはもう関係ないか)俺は心の中で呟きつつ、俺達に近づいて来るゴブリンキングを見た。

(まさかここまで強いとは思っていませんでした。流石は勇者と呼ばれるだけの事はあると認めざる負えませんね。それでこれからどうするんですか?)と、その質問に対して俺が答える前に、ゴブゴブ君が答えてくれた。

(それは勿論。我輩の村に来て欲しいのです)

(えっと。村に誘ってくれるのは嬉しいけど。俺としてはちょっと行きづらいんだよな。この姿ではちょっと厳しいし、何より今は俺の仲間がいるから。連れていくことが不可能な状態なんだ)

すると俺の言葉に反応したのは、やはりこの人。アイであった。

(主様!それは一体どういうことなの?説明して欲しいの)俺は彼女の言葉を聞き。これは誤魔化せないな。と思い素直に俺が人間である事と、今は何故か魔王になっている事を正直に話すことにしたのである。すると俺の話が終わると皆は納得してくれたようだった。そして、それとは別に俺はこのゴブリンの集落でやりたい事があったのだ。そしてその準備を整え終えると、俺はゴブリンキングの所に行き。このダンジョンの地図を渡す代わりにある事を依頼したのである。その依頼内容について詳しく知りたいと思う者は是非とも俺に連絡をくれ!

「なるほどな。それじゃあ俺はそろそろ帰ることにするぜ」と、俺はそう言い残して帰ることにしたのだ。

その帰り道、俺はゴブリン達の住んでいる場所に向かって歩いている最中に考えていた。そう言えばゴブの野郎が俺にお願いがあるって言っていたがなんだろうか?それにあの村の長をしているとかなんとか。あの野郎、村長なのか?ってか。そもそもゴブリンが村を作れるってことが凄いな。とそんなことを考えていると、前方に集落が見えて来たので、その場所に向かうために森を進む事にした。暫く歩くと、そこには大きな洞窟が見えてきた。この中があのゴブリン達の住処のようである。

そしてその入り口から数歩入った場所にゴブリンが3体待ち構えていた。

(おい。何してるんだお前ら。こんな所で立ち止まっていると危ないぜ?さっさと帰れ!それと、ゴブ太郎に用事があるから伝えてくれないか?)

そう言うと、ゴブリン達は慌てふためき始めたのだ。

その姿を見ていた俺だったが、次の瞬間、いきなり後ろを振り向いたので何がおきたのか理解が追いついていなかったのだが、突然目の前に、先ほどの2体が立っていたのだ。そして目の前の2体は、どうみても、俺に敵意を向けてきているのである。

(おぃ、待て!どうしてそうなった?おい、ゴブリン。俺の言っている意味がわからない訳じゃないんだろう?)

そして、その問いに対する返答はなく。俺に向けてその短剣を突き出してきたので俺は仕方なく応戦することに決め、相手の動きを見定めながら戦うことにして相手の動きに集中を注いだ。

(ふぅーーー)俺は息を吐いて気持ちを落ち着かせる。しかし相手もなかなかに素早い動きを見せていたので俺も慎重に動く必要があったのだ。そして、そんなやり取りを続けているとゴブリンが持っている短剣に魔法が宿っていくのが分かった。

その光景を目の当たりにして俺は慌てて後方に下がることにした。しかし、それを見たゴブリン達は勝ち誇ったかのような表情をしていたので嫌な予感を覚えた。

そして、次の瞬間に、俺は驚愕する事となる。俺の目には、まるで瞬間移動でもしたかのように、一瞬でゴブが俺に接近してきて。そしてその手に持つ短剣が光り輝き出したのだ。俺はそれをギリギリまで引き付けてから避けようとしたのだが。その攻撃の威力が予想以上だったことに驚き、咄嵯に両腕を前に構えてガードをしたのだが。

俺は後方へと飛ばされて、地面に倒れ込んだ。

そして俺は痛みに顔を歪めながら立ち上がるが既に遅かった。俺の右腕は既に切り落とされており、俺の腕はその場に転げ落ちた。

俺は、切断された部分を左手で掴むが出血が激しくて、既に視界がぼやけ始めていた。しかしそこで諦めるつもりは毛頭なかったので、俺は残された左手で腰にある小刀を抜き放つと、その一撃をゴブに向けた。そして、俺の放った斬撃はそのゴブの腹部を切り裂き。俺は遂に勝利をものにしたと思ったのだが。ここで予想外の展開が待ち受けていたのである。ゴブの上半身と下半身は綺麗に分かれてしまったのである。

俺としてはこれで終わりだと、安心したのも束の間。しかしそこで更に事態が急変することになる。何故なら切り離された筈のゴブの上半身はゆっくりと宙に浮かび上がり。そのまま元の形に戻ると同時に。傷口から肉が盛り上がり始めると元通りになったのだから。

そして俺は目の前で起こった事が信じられなかった。その現象が目の前で起きたのは間違い無いはずなのだが。それが余りにも現実離れしていたせいか、頭が状況に追いついていなかった。そのおかげで俺は完全に出遅れてしまっていたのだ。そう、先程まで対峙していたゴブは、もう1体のゴブになっていたのだから。

(くそっ!!)俺は自分の不甲斐なさに悪態をつく。

(どうした?もう終わりか?まさか勇者ケンジとやらも、この程度の実力しか持ち合わせていないのか?)

そう挑発してくるゴブリンの態度をみた俺は完全に頭に血が上ってしまった。

(誰がこの程度で終われると思っているんだよ!この野郎がぁぁああ!!!)俺は力を込めて一気に勝負に出た。俺は、このゴブリンを殺さないように意識しながら戦う事を決めた。つまり俺の持つ全ての能力を使い切るような戦いをすることにしたのだ。

俺はゴブの攻撃を難なく交わしていくと。今度は俺の方から攻撃を仕掛けることにした。俺は素早くゴブの背後に回ると、背中を思いっきり蹴飛ばし、その反動を利用して上空に飛び上がる。そしてそこから、ゴブの頭上から勢いよく飛び降りるのであった。しかし俺はゴブの体をすり抜けてしまい。俺はそのまま地面に落下する。

ゴブの方はというと。先ほど俺に蹴り上げられても空中に浮き上がったままだったのだ。しかもその後直ぐに、ゴブの背後に転移をして斬りかかったのだが。また、俺の攻撃が当たることはなく、空振りをしてしまった。そしてそのゴブはニヤッと笑うと再び、先ほど俺がそうした時のように転移を使って姿を消してしまうのだった。その様子に流石の俺もこの階層の魔物では俺の能力が通じないのかもしれないと考えざるを得なかった。しかし、このまま何もせずに逃げるのは性に合わなかったので、ゴブの消えた地点を中心に、半径20mの空間に強力な結界を張り巡らせた。

そして俺はその中に入ると、ゴブリンの姿を探し求めて探索を続けたのである。

(くそ!全然見つかんねぇ。それどころか気配すら感じることができないぞ。いったい何処に消えやがったんだ!)俺はかなり苛立ちながらも必死にゴブの姿を探して回っていた。そしてその作業に没頭している間にかなりの時間が経過していたようで、気がつけば外は真っ暗になっており、そして俺の張った結界の中に、ゴブの本体と思われるゴブリンの姿を発見したのだ。

(よし、これでやっとあいつを倒せる。もう絶対に逃さねえぞ)

そして、俺はゴブの元に走り寄ろうとするが、俺の身体は何故かピクリとも動かなかったのだ。それだけでなく俺の周りを何か得体の知れない黒いオーラのような物が包み込んでいた。俺にはこれが何を意味するのか全くわからなかったのだが、俺の直感的にまずいと感じる物であったことは確かだった。なのでこの状態を解く為に俺の力を最大限に使って、何とかしようとすると。

(ふふふふ。まさかここまで上手くいくとは思ってはいなかったよ)その言葉に、ハッとして振り返ると、そこに先程のゴブとは違う個体が俺のことを見ていることに気づいたのである。

そのゴブが言うにはどうも俺は、この謎のオーラのせいで行動が制限されていたらしい。

(なんだよ!このクソがっ!!!!こんなふざけた事をやりやがったゴブ野郎は誰だ?この俺が許さねえぞ。出て来いっ!!!)

そう怒鳴ると、ゴブが笑い始めたのだ。

そのゴブの言葉で俺は完全に冷静さを失っていたのだろう。その声を聞いた瞬間に俺はゴブリン達に向かって走り出し、小刀を振るって襲いかかろうとしたのだが。次の瞬間、俺が振るった小刀は何者によって受け止められ、そして俺は思いっきり弾き返されてしまったのだ。そして俺に衝撃が走ると俺は後方に吹き飛び、木に激突して倒れ込むことになったのである。そしてそんな俺に向かってゴブが近づいてきてこう言い放ってきたのだ。

(君の戦いっぷりは素晴らしかった。だが今の君ではまだまだ私を倒すことはできないね)と。

俺がそのゴブの言った意味を考える間もなく、他のゴブリンも俺の周りに集まってきた。俺は、その光景を見ながら焦っていたが、ここでふと思い出したのだ。以前ダンジョン内で手に入れたスキル【全知眼】を使えば今起こっている状況を理解し、打開出来るのでは無いかと考えたのである。

そこで俺は早速そのゴブを解析することにしたのだ。するとその結果、俺は驚き、そして困惑することになった。そのゴブはゴブリンキングであり。更にはその配下の者達のステータスも全て見ることができるようになっていたからである。しかし俺はその情報を見ても尚。俺自身の力だけではどうしようも無いと判断して。

「すみません。僕が間違ってました。あなた達は強い、ですのでお願いします。僕の仲間を、友達を助けて欲しいのです。お願いできますか?」

(いいだろう。私は優しいのでな、約束は守ると誓おうではないか。それでお前の仲間達は一体何処にいるのかね?)その問いかけに対して俺はゴブ達の住処まで案内することにして移動を開始した。そしてその場所までたどり着くと、俺が先日訪れた場所が見えた。

(ここだよ。ここにあの村のみんながいる)と俺が伝えると。

(そうか。しかしここから先はお前一人だけだ。そしてこの村の住人は我々ゴブリンが預かることにする。異論はないな?もしも異論があるなら。それ相応の覚悟を決めるのだな)と言い残し、そのゴブは他の仲間を引き連れてこの場から去って行ったのである。

(なるほどな。そういうことだったのか、ゴブリン達がいきなり現れたからおかしいと思っていたんだよなぁー。でもまあ、なんとか助かりそうだな)

そして、俺達は無事にゴブリンの集落まで辿り着くことが出来たのであった。

そして、その集落に到着すると、そのゴブに案内されるままに俺が連れて行かれたのはゴブの里長の部屋の前だったのだ。そしてその部屋の前まで行くとその部屋の中から大きな音が響き渡っていることに気がついたのである。

(えっ?なんだ?まさか中にいる奴らと戦ってるのか?いやちょっと待てよ、これってもしかして。ゴブとゴブリンの戦争なのか?マジか!?俺の予想より早くてビックリだわ。しかもこのタイミングでとか、なんか凄すぎるな。しかしこれは本当にまずいんじゃないのか?俺が出ていって止めてもいいのか?)俺が悩んでいると。扉が開かれ中へと促された。

(ん?俺に中に入って戦ってこいっていうことか?俺にはまだ戦うだけの力が残っていないんだけど。あっ!でもあれか、そういえば俺には鑑定の固有技能があったんだ。それを利用すれば俺のこの傷を治せるかも、よしやってやる!)俺は意気込んでそのゴブの部屋に足を踏み入れた。

そこには確かに戦闘が繰り広げられていた。しかもそれは想像以上の規模になっていたのだ。なんせ100体は下らない数のゴブリン達がゴブの族長と対峙していたからだ。しかしその戦いは、まだゴブの族長が優勢であるらしく。俺は急いでゴブの側に駆けつける。

そこで俺は驚いたのである。その戦闘の様子がまるで一方的な戦いに思えたからだ。それもその筈である。なんたって、相手はゴブリンのくせに魔法を使うという、まさにファンタジーの王道パターンに当てはまるゴブリンがいたのだ。そのせいもあってか俺は完全に混乱していた。

(ちょっ!!何だよコイツらは、それにこいつらが使ってる魔法の威力がハンパじゃねえぞ!!それに俺の知らないような攻撃ばかり使いやがる!!)と心の中で悪態をついてしまうくらい、俺は動揺していると。俺に気付いたゴブの族長が話しかけてきた。

(おぉ!勇者ケンジ殿!!貴方様も此方に来られたのか!!しかし丁度良いところにきてくれた!これでこのゴブリン達を倒してくれるであろう!)そう言い放つゴブの族の後ろの方で、この里のゴブリン達は俺に向かって、やれ勇者だと騒ぎ立てて応援していたのだ。俺はこの状況を見て完全にやる気を削がれてしまい。とりあえず怪我を直させて貰うために【回復術士Lv10】を発動することにしたのである。

俺はゴブの族の怪我を【治癒】を使い完治させると、ゴブ達に説明をするために話し始めた。

「僕はケンジ、勇者として異世界召喚されてしまい、今現在、この世界に平和を取り戻すための旅を続けている」と簡単に説明することにした。

「そして今日は僕とゴブの君たちと話し合いをする為にここにやってきた。だから君たちは争う必要はないんだ!」

すると突然、俺の前にいたゴブリンの女の子が泣き出してしまったのだ。

(はぁ?何この子めっちゃ可愛いやん、俺ロリコンだったのか!?ヤバイぞ、まさかの俺に隠された趣味が見つかったかも知れないぞ)などと俺の頭の中ではそんな考えが過ったのだが、今はそんな場合ではないと考えを切り替えた。

俺は泣かせてしまったそのゴブリンの少女の肩を軽く叩いて、「大丈夫?何か辛い事でもあったのかい?」

その問いかけに対し、そのゴブリンの子は涙をぬぐいながら。コクっと小さく首を縦に振ったのである。そして、俺はその子の話をゆっくりと聞いた。どうやらこのゴブリンの里ではある事件が起きているらしい。その出来事というのは。

少し前までは普通に生活出来ていたゴブリン達であったが。ここ最近は、急にその数を減らし、今では30匹ほどしか存在しないらしい。そしてその原因は、ゴブリンの里で飼育されている魔牛と呼ばれる魔物の繁殖能力が異様に高いことが関係しているとのことだった。そして、このままでは近いうちに絶滅してしまうのでは無いかという懸念があり。このままではいけないと立ち上がった一部のゴブリンの青年たちが他のゴブリンたちを集めようと、この集落にやってきた。だが結果は、先程の戦いの通り返り討ちにあった。そして彼らは仕方なく俺と会うことにしたのだと、その少女は言ったのである。

(おいおい、何だよこのゴブリン達。どんだけ無能揃いなんだよ、もうここまでくると呆れて言葉も出ないぞ)俺はかなり引いていたのだが。そこでそのゴブリンがこの事態を引き起こしたと思われる人物の名を言ってきたのだ。

(私達はその者を魔王と呼びました。しかしその名を口にするのは恐れ多い、故に我々は、我らの神である大魔王様と呼んでおります)その言葉を聞きながら、俺の表情が凍りつくように固まっていった。俺はその時の心境を語るならば、それは絶望そのものを体現したものと言えるほどの衝撃を受けたのだ。俺はその場で崩れるように倒れ込むとそのまま意識を失った。

俺の目の前でその少年ゴブ太が、仲間達と一緒に嬉しそうに笑っている光景を見つめて思うのだ。

(俺のスキル【成長】があればこんな状況にも対応できたんじゃね?)と。しかし直ぐに俺はそんなことを思っていた自分に苛立ちを覚えていた。何故ならあのゴブ彦に負けを認めたら、俺の仲間になってくれると言う約束をしていたからである。そして俺はこの世界で俺の大切な人達を守ると誓ったのだ。そんな俺が自分の不甲斐なさを理由に諦めるとは。一体何のために俺は頑張って来たのかと自問せずにはいられなかった。しかし俺はそれでも自分の信念に従い。最後まで足掻こうと思ったのである。

だが俺の力だけでは現状の打開は不可能だと判断せざるを得なかったのだ。そこで俺は俺なりの考えをゴブ太郎に伝えてみる。

(ゴブ太郎は【強奪】のスキルを持っていたよね?実はそれのコピーは俺にも出来るみたいんだ。それで、それを使えばもしかしたら何とか出来るかもしれないんだ)と俺は言ったのだ。するとゴブ太郎がその俺の言葉を聞いて目を丸くして驚いていたが。そのスキルの詳細を聞くと更に驚いた様子を見せていた。そして俺が、俺の考えた作戦をゴブ郎に伝えることに決める。そしてその作戦を伝えるのだが。

(なっ!?本当にそれで成功するのかね?しかし他に方法はない、そうだな、私も君の力になろう。それが約束だものな)と言いゴブ彦が俺達の話に加わるのであった。こうしてゴブ太達の救出作戦が始まったのである。

(そうか、君はゴブ太と友達なのか、それは心配だろ?安心しろ、必ず俺の仲間が助け出して見せるからな)と俺が力強く言うと。ゴブ郎が真剣な顔つきになり、ゴブ美が少し照れた感じになったのであった。そういえばさっきからゴブ子が全然喋っていないが、どうしたのだろうかと思いそちらを向いてみると。

何故かゴブ子は泣いていたのだ。

(は?一体何があったんだ?)と疑問符を浮かべるが。その瞬間。そのゴブ子の口から衝撃の一言を聞いたのである。

(うぅー。お兄ちゃんごめんなさい。私が弱いから、お姉さまに迷惑をかけちゃいました)と謝り出す始末である。

(えぇー!!ゴブ吉ってば。ゴブ子に一体何をやったんだよ。マジであり得ねえ)と俺の頭の中はそのゴブ吉への怒りに支配された。

するとそこでゴブ彦が、ゴブ美がその妹のゴブ子を優しく慰めてくれている。その姿を見たゴブ太とゴブ子以外の仲間たちは感動していた。

「あぁー、お前らは兄妹か何かなのか?」

(はい。僕とお姉さまは本当の姉妹ではありません。ですが僕にとっては実の妹よりも大事な存在で。お姉さまの役に立ちたいと思っているのです。なので僕は強くなるためにお姉さまの修行に毎日付いて行っています。お姉さまは僕の憧れの存在なんです)とゴブ太が恥ずかしげもなく語りだす。

そういえば俺は、この世界に来る前のゴブ彦の過去を全く知らないことに気がつくのである。

(ゴブ彦、ゴブ彦には妹がいるのか?)と質問を投げかける。

ゴブ彦は「いや?妹はいないはずだぞ」と答えるだけだったのだ。俺にはどうしてもその発言に嘘があるような気がして仕方がなかった。なぜならこの世界に来た時に最初にゴブ彦と話した内容を思い出すと、確かゴブ子は俺の事を勇者様と呼んでいたからだ。それはゴブ太も同じこと。この二人は恐らくゴブ彦と血が繋がっているのだと確信したのである。そして俺はそのことをゴブ太とゴブ彦に告げるのだった。

そして俺はゴブ美に確認するために話しかける。

(ところで、ゴブスケさん。ゴブリンの姫様なのに、なんでゴブリン達に嫌われているんだろう?その理由って何なんだ?)

(あっ!!その話はやめてくださいよ。ゴブタロウさんのことは私も良く知っているので思い出すだけで気分が悪くなるんですから)

(そっ、そうか?悪いな変なこと聞いて)と俺は慌てて謝罪するのである。

しかしそこで、突然、ゴブ美が大きな声を出す。

その表情を見るに、何かを言おうとしたのであろう。しかし彼女は、なぜか言葉を途中で止めたのである。その事に俺は違和感を覚えると。

(そうですか!分かりました。私はお父様と話し合いをしてみます。それしか方法はないでしょうし。それに勇者様がこの場にいるのならば。お兄様は絶対に帰ってくるはず!)とゴブ美が言い出したのだ。俺はその意味が解らず困惑するが。どうやらゴブリンキングの居場所を知っているようだったので聞くことにするのだった。

ゴブリンの王が居るとされる洞窟へと続く山道。その入り口で俺達は休憩を取っていた。

「はぁはぁはぁ。疲れたぁ〜。ケンジの兄貴、この先はもうちょっとだけ歩き易いところに行くんスかね?」と息も絶え絶えにゴブタロウが話すのだが。俺も正直かなり疲れていた。その会話の内容からも分かると思うが。現在、かなりの速度で移動しながら探索を進めている最中であるのだが。既にこのダンジョンに入って数時間が経過していたのだ。

(おかしいな。これじゃまるで何処まで続いているかも分からない迷宮の中にでも入り込んだみたいだな)と俺は考えながら、そんなことを考えて不安になるのだが。その不安を少しでも紛らわせるために俺は仲間との雑談をする事にした。

俺は皆に話題を振りながら話をしていく。そして俺は、このパーティーで一番の問題であるゴブリンズに話しかけた。

(ゴブスケはどうしたんだ?ゴブ彦に着いていかなくていいのか?)と俺は疑問をぶつけてみる。

すると意外な答えが返ってきたのであった。

ゴブ子は俺達とは行動を別にしている。それは俺の仲間になることを拒否したゴブリナに対しての嫌がらせではないと、俺達はすぐに分かったのだ。ゴブ子が何故そうしたのかと言う理由は、やはりゴブ太郎にあるらしい。ゴブ太郎はゴブリンの中でも、かなりの実力者らしく。その為にゴブリン達の間では尊敬されているのだと教えてくれたのだ。そんな凄いゴブ太郎について行きたいと思わないわけがなく、俺達はそのゴブ太郎をゴブリンの里へ送ろうとしていたのである。

そこで俺は思ったのだが、もしかしたらゴブ太郎はこの世界のゴブリンの中では最強の存在なのでは無いかと思ったのだ。しかしそこでゴブ子があることを話し始めたのである。

(あのですね。お兄ちゃんはゴブ太のことが好きなんですよ。そしてお姉さまのことも大好き。なので、もし私もゴブ郎と結婚することになった場合、二人の仲を裂くことになってしまうのではと考えてしまっているみたいなんです)

俺の頭の中には大量の疑問符が飛び交っていたのだが。俺は何も言わずにゴブ太の方を見ると。彼は少し顔を赤くして黙り込んでしまったのである。

(おいおい。それってまさか、ゴブリンは結婚するとき。親とか兄弟をぶっ殺す風習でもあるってことか?)

するとゴブ郎も恥ずかしそうにしながらも。話に参加してくる。

(まぁそんな所だ。ちなみに私達ゴブリンは。夫婦の契りは絶対の掟なのだ)と言うゴブ郎の回答に俺はかなり驚いたのだ。

(マジかよ。そんな話信じられないだろ。普通、そんなことをしたら確実に揉めるはずだろ?)と言うと、それに対しても、あっさりとした感じでゴブ彦が説明してくれたのである。

(それがそうなのだ、ゴブルナはゴブスケのことを、本気で好きになってな。それがゴブ吉の耳に入ったのだよ。それで、ゴブ太郎は、ゴブスケのことが好きだったが、それでも、自分から別れを切り出すことは出来ずに、悩んでいたところに、私が告白してしまったものだからゴブスケが混乱してしまい、その結果。私が無理矢理押し倒したことでゴブスケにバレてしまってしまったのだ)と言ってゴブ彦が苦笑いをする。

俺はその時に思ったことがあるのだ。その出来事が起こった原因の半分は俺のせいではないかと、しかし、俺はゴブリンと人間の恋愛関係なんて聞いたことがなかったため。本当にゴブ太郎が俺の思っていたような常識のある人間だとしても、流石に受け入れられないと。そしてゴブ美に助けを求めようとしたのだが、ゴブ美が何故か俯いていたのである。

(お姉さま?どうかしたのですか?具合でも悪くなったのでしょうか?)

(ゴブ美は大丈夫だから、気にしないでくれ。ゴブ郎の気持ちを聞いて悲しくなっていただけだからな)と言ったゴブ美の顔が少し赤くなっているように見え。ゴブ彦と目が合うと二人でニヤついていたので。どうやら二人が俺をからかっているようだ。

(お前ら二人共からかわなくても良いだろう?)

「えっとね。私とゴブ子は双子で、しかも二卵性双生児なので、顔立ちが全く同じなのよ。だから私達は良く似ているんだけど、その中でも一番似ていると言われている部分があるのですけどわかります?」

そう言われてから暫く考えてみたのであるが分からなかった。そこで俺は、とりあえず思いついた事をそのまま言ってみることにする。

(そうだな、身長とか、スタイルが良いからとか?)俺の言葉を聞くとゴブルナの表情は嬉しそうなものになり。更に言葉を続けていくのだ。

(正解です!!ゴブタロウ君、よく分かっていますね!!やっぱり私が目をつけるだけのことはありますね)とゴブンリが言うと、ゴブ彦とゴブ美は、悔しそうな顔をしたのだ。

(いやぁー、そんなことはないよ)と謙遜してみるが、しかし心の中では「やったぜ」と思っていたのである。

ゴブ美はその後、「私のことは姉さんと呼んで」といきなり言った。それは明らかに俺への呼び方の催促である。俺は仕方なくそう呼ぶことにしたのだった。するとそれを見ていた他の女性達が俺への呼び名を変えようとしてきたのである。

まず、ゴブ太が「お姉様」と言い始め。ゴブ子とゴブ美までもが「お姉様」と呼ぶようになり。それに釣られるかのように他の女性たちまで「おねぇさま」「おねえさん」と呼び始めたのだ。ゴブリン達にそう呼ばれているうちに、ゴブ郎や、ゴブ彦にまでそう呼ばれた時は「止めてくれ」と強く拒否をして何とか元に戻すことに成功したのである。それからは普通に「兄さん」と呼ばれるようになったのであった。

ただ俺はその時にふと疑問を感じたのだ。この世界での俺は、一体どんな存在として認められているのかということをだ。俺は、ゴブリンの勇者と、そしてこの異世界のゴブリン達の救世主と呼ばれているらしいのだ。つまり、俺はこの世界でも勇者と崇められていて。ゴブリン達にとって、とても貴重な存在であるのだと、その時のゴブ太の話ではそういうことになるらしい。だが、その話をしているゴブ郎の顔が暗い表情になっていたのが俺は不思議だったのだ。そしてその理由はすぐに分かる事になるのだった。

それは休憩をしている時に起こった。俺はある物を見つけてそれに向かって全力で走っていき。その物体を手に取った。そして、それはゴブリンの死体だったのである。それは、おそらく、いや間違いなく、ゴブリンズのメンバーであろう者達だったのである。俺は思わず叫んでしまうのだった。

(みんなどうして!?どうして死んでしまったんだ)

俺はゴブリンズの死を受け入れられず、しばらくの間その死体を見続けていたのである。そして、しばらくしてから冷静になると、今度はゴブ太郎の事を考え始めた。

(そういえばゴブ太郎はどこに行ったんだ?確か、この先を一人で進んで行ったはずだが)

俺は、ゴブ太とゴブ子と共にゴブ郎の話を思い出していたのだ。

「兄上はな。このダンジョンを単独でクリアできる実力はあるはずなんだ。だからこそ里を出たんだと思うんだ。なのに、どうして戻ってこないんだろう?」という話を聞いた俺は、すぐに「ゴブリンキングがいると思われる場所にいるのではないか?」と思い。そのゴブ太郎を探しに行こうとしたのだが。その途中で、突然俺の目の前に人型のモンスターが現れたのだ。

その者は、俺達を見てすぐに攻撃をしかけてきたのである。

その一撃を、ゴブ郎が防いでくれたのだが。その力の強さにゴブ太は吹き飛ばされてしまったのだ。

俺はそのゴブリンに対して攻撃を仕掛けるが、その者は一切攻撃を受けずに回避し続ける。そこで俺は確信したのである。

(こいつは、ゴブ吉だ!)と。しかしゴブ吉の攻撃はあまりにも早く、俺はその剣をギリギリのところで避けて、攻撃をする暇がなかったのである。俺は焦った。

(この相手では分が悪いぞ。せめてこの剣さえあれば何とかなるのかも知れないのだけども。今の状況ではどうしようもないぞ)と考えている間にも攻撃を続ける相手に反撃の機会を見つける事が出来なかった。そんな状態が続く中で、とうとう俺の動きも鈍くなり始めてきたのであった。そしてついに敵の攻撃を食らってしまった俺に衝撃的な光景が広がる。それはなんとも残酷なものであり、俺は思わず目を背けてしまう程のものでもあったのだ。それは俺の仲間達の死体であるのだ。皆が皆、無残にもバラバラにされていたのである。その中には、ゴブ彦の遺体もあったのだが。ゴブ太郎の姿が見当たらない。そこで俺はすぐに気づいたのである。それは、俺の仲間達が殺される前にゴブ太郎も殺されてしまったのだということをだ。

俺はそこで怒り狂って我を忘れてしまっていたのだ。しかしそこで急に意識が飛んでいったのである。その瞬間俺は自分の体が乗っ取られたかのような感覚に襲われた。そしてすぐに目が覚めると、目の前にはさっきの相手がいて。その相手は既に瀕死の状態で虫の息になっている。しかしまだ生きている。俺はすぐに相手の心臓を狙って剣を突き刺しとどめを刺す。すると相手の体から黒い粒子が出てき始めたのである。そしてそれが消えてなくなった時にはそこには何も残っていないただの空洞だけが存在していた。

俺はそのことに驚きながらも、そのことよりも先に仲間の遺体を一箇所に集める作業をしていたのである。

(ゴブ郎がゴブ彦に抱きついて、泣いていた)俺は、そう思ったのだ。ゴブ太は俺の近くにいたが、他の仲間達は全員離れていたので、俺一人だけだったのである。そのことを考えると俺は悲しさのあまり涙が溢れてきそうになってしまったが、ゴブ太やゴブ子の手前泣く訳にはいかなかったのである。そして俺は遺体を回収し終えるのと同時に急いでその場を離れようとしたが、ゴブ郎に呼び止められたのだ。

(待ってくれゴブロウ。お前は何者なのだ?お前からはゴブリンの匂いではない強いオーラを感じるのだが。それと何故ゴブ郎やゴブ美のことを知っている?教えてくれ。俺たちを助けてくれた恩もあるし、出来る事なら何でもしてやるからよぉー)と聞かれたが。正直に話せるわけもなかった為誤魔化そうとしたのだが。その時に、なぜかわからないのだがゴブリンキングが頭に浮かんできたのである。

そう言えばゴブリンキングもこの洞窟の奥の方にいるんじゃないのかと思い俺は、ゴブ郎に奥に行ってみると言いながら移動しようとした時に後ろから声を掛けられたのであった。

ゴブルナが、俺が倒したのを確認してから話し掛けてきたのである。

(ゴブ助君。君は何者で。どうやってあの強敵を倒せたのかな?)(何者と言われてもなぁー。一応、俺は勇者って呼ばれてるみたいだな)俺が答えるとゴブ太やゴブ子が驚いた顔をして俺に詰め寄ってきたのである。

(本当なのか!?まさか勇者が生きていたなんて、しかもゴブリンキングを倒すなんて凄いじゃないか)とゴブ太は俺の肩に手を置いて興奮したように俺の体を揺すり始めてくる。俺もその揺れがかなり強かった為に酔ってしまいそうになったのだが。そんな状況でさらに追い討ちをかけるような言葉をかけられたのであった。

「兄さん大丈夫なのですか?顔色が優れないようですけど」ゴブ太の言葉を聞いて俺は慌てて「大丈夫です。問題ありませんから、お気遣いなく」と答えた。その答えを聞いた後に、今度はゴブ美が話しかけてきたのである。

(本当に大丈夫なのですか?もし何かあった時は直ぐに私に言うのですよ。良いですね。絶対よ!!ゴブ郎ちゃんも分かったわね)と心配そうな声を出して俺のことを見ていたのだった。

(はい、お姉様!!)ゴブ郎は、まるで本当の姉のようで俺に対しても優しくしてくれる。そんな様子を見てゴブ彦が、とても嬉しそうな表情をして俺を見てきたのであった。そんな時だった。俺はある気配を感じたのだ。それは、間違いなくゴブリンキングであろう気配だった。だが俺はこの場で戦うことはしないつもりだった。

(よし、そろそろ出発の準備をすることにするよ)そう言って俺は立ち上がるとゴブ郎がまた話し掛けて来たのである。

俺はゴブ郎の話を聞きながらも、あることが頭によぎった。それは、「俺のステータスが上がっていたりして」という考えである。そう思って自分の能力を表示してみたところ。やはり俺の能力値はかなり高いものであったのだ。それに俺は、ゴブ太達の能力値をこっそり確認してみたのだが。その数値の高さを見て俺は驚いてしまったのである。

(そうかぁー、みんな強いとは思っていたんだけどなぁー。やっぱりゴブリン族って全体的に身体能力は高いんだよねぇ)と思っている間にも話は進んでいくのだった。

ゴブ郎が話している内容はこうだ。「ゴブリン族は確かに弱い存在かもしれませんが。しかしそれは、この世界の人間の常識であって。僕たちは違うのでございます。それに、人間達には決して屈しないと決めているのです」

俺は、その言葉が聞けて嬉しい気持ちになったのである。そして、ゴブ美の一言によって俺はゴブ太郎を探しに行く事になったのである。その時に俺の事を見ていたゴブ彦が、ゴブ太に、俺の事は俺に任せておけと言い、俺のそばを歩いていく。俺とゴブ太とゴブ子は三人仲良く横並びで歩んでいったのである。

それからしばらくすると分かれ道にたどり着いたのであった。そして、俺達は何も気にせず右に曲がろうとしたらゴブ郎がいきなり立ち止まったのである。その行動に疑問に思いつつもそのまま進もうとしたが、ゴブ彦が立ち止まっていたため。俺はどうすればいいのかわからず戸惑っていると、ゴブ太郎が俺達の前に出て来て剣を抜き放ったのである。

その剣はゴブリンズのメンバーの物だったのだが。その剣から放たれている威圧は尋常ではなかったのである。

(これはどういうことだ?まさか、ゴブリンズに化けていたゴブ吉が、襲い掛かっているのか?それとも他の魔物の群れ?どちらにせよここは俺達も戦闘準備を整えないと不味い)と思ったその時だった。俺の耳に小さな悲鳴のようなもの聞こえてきたのである。俺はそれを確認するためにゴブ太に指示を出した。

「ゴブルナさん、ちょっとここで待機していてください。すぐに戻って来ますので、決してこの通路から出てこようとしないで下さい。それとゴブ郎にここを動くなと命令しておくように。わかりましたか?」と言うと。ゴブルナは俺の言葉に従い素直に待っていた。俺は急いでその場所に向かって走って行く。そして曲がり角を覗き込むと、そこにはゴブ彦の体の一部があったのである。

(あれは、血だよな)と思い俺はその方向に足を進める。するとその先にゴブ吉の死体が転がっていて。その近くでは先程見た女性のゴブリンの死体も落ちていた。(これでは、間違いないだろう。この二人が殺されているということは。もしかして、今の状況って結構ヤバくないですか?まぁーとりあえずは先にゴブ彦を見つけ出さないといけないんだよな。早く見つけなければ大変なことになるかもしれないからな)

俺が焦りながら走り続けていると、ゴブ太が俺を呼び止めたのだ。俺はその言葉に反応して急ブレーキをかけてその場に止まった。

(おいゴブ郎!どうしてここに来たんだ?)俺が怒気の篭った口調で言うと、ゴブ郎は、震えた声で答えたのであった。

(すみません。でもゴブ太さん達が、あのままじゃ危ないと思ってしまってそれでゴブ郎君が飛び出していったんですよ)

(はぁー?俺達だってそれなりに訓練とか積んでいるんですから、そこまで弱くありませんよ。全く何を言っているんでしょうか?)俺達が口論していた時にゴブルナが話に入ってきたのである。

(それはおかしいぞ?あの場には君たちが知らない気配を感じていたし、もしかしたら他の魔物達がいたのではないか?)俺はその問いに対して正直に答えたのだ。その回答を聞いてゴブルナは「なるほどな。その気配の正体はそのゴブリン達だったのか。それならば辻妻はあうから納得できる」と言って一人で何やら納得していたが。そんなゴブルナを無視して俺達は先に進まないのかと思い、再び進み出そうとしたが、そこで俺はあることを思い出して立ち止まる。

俺はこのゴブリンキングに殺されたゴブ郎の遺体を埋葬するべきだと提案することにしたのだ。その話を聞いたゴブ太は俺の意見に賛成してくれたのだが、ゴブ彦は、遺体を回収して火葬にする方がいいと言い出したのである。俺はゴブ郎の遺体を回収したかったが、このままここに残しておくとゴブリン達に見つかる可能性もあるので、仕方なく遺体を燃やす事にしたのである。俺はその後、他の仲間達と合流しようと考えたが。このゴブリンキングのいる場所で仲間を探すより、まずは仲間と合流した方が早いという結論に落ち着いたので、急いで戻ることに決めるのであった。

ゴブ彦の遺体を燃やした後、俺とゴブ太は仲間と合流する為に急いでいたのだが、ゴブ美が「待って」といって俺達を止めると、壁の方へと歩き出し、そしてしゃがみ込んで床を触ると立ち上がった。

そしてこちらを見て笑顔になると「ゴブ美が案内してあげる。さぁ、行きましょうか。こっちよ」そう言いつつ歩き始めたのである。そのあとについて行こうとすると、ゴブ太はゴブ美に近寄り、頭をペシっと叩くのだった。

ゴブ彦が死んだのがショックなのかと思っていたが、そうではなく。勝手に単独行動をとったゴブ美を叱る意味での行動だとわかったのである。

それからしばらく歩いて行くと、ゴブ太が俺に話しかけてきた。その内容はこうだ。

(あの女は何なんだ。あの女のおかげでなんとか無事に辿り着けたが、あんな危険な奴がいるなんて聞いていないぞ。あの女、何だか怪しい。ゴブ郎やゴブ彦のことを知っているみたいだし、しかも俺達の知らない知識を持っていた。一体何者なんだろうか)そんな言葉を聞いて、俺は思ったのである。それは「確かにそうだ。あいつの態度は明らかに普通ではないよな」と。だが、今は考えている時間は無いので、ゴブ美のことを一旦忘れることにして先に進むことを決めるのであった。そして少し進む度にゴブ太が、「まただ、何か嫌な感じがしてきた」と呟いていたのである。

そしてとうとうその部屋に着いたのである。この部屋の造りは、最初に来たときと同じ構造だった。そして俺の視線に真っ先に入って来たのは、大量の血痕の跡だった。

(これって、もしかして俺がゴブルナを助けに行った時の物じゃないか?)俺がそのことを考えていながらも。ゴブ美の誘導に従って進んでいくとゴブ太はゴブ美の事を睨みつけて怒りを抑えようとしていたが。ゴブ彦の死がゴブ太の心に深い傷を負ってしまったのか、俺達に襲いかかってきたのである。

そして俺は、ゴブ美がゴブ彦に止めを刺した張本人であるということと、そしてゴブリンキングに殺された仲間の仇を取るべく、俺とゴブ太は戦闘に入ることにした。だが、その戦闘の最中に、ゴブル太が、ある事実を知ってしまい、そしてそれを気にしているうちに俺の攻撃を受けて致命傷を負うのであった。その出来事によって俺は隙を作ってしまった。その瞬間、俺はゴブ太に殴られてしまうのであった。

俺が吹き飛ばされている間に、ゴブ太が俺に近づいてきて攻撃態勢を取っていた。俺が立ち上がる前に、とどめをさすつもりなのだろう。

「ごめんなさいね。あなたはゴブ郎を殺した張本人の私を許さないでしょうけど。ゴブ郎のためだと思って死んでちょうだい。悪く思わないで欲しいわ」そう言うと、俺に向かって剣を振り下ろそうとしたその時だった。

(俺の命を奪う事は出来ないんだよ)ゴブ美がゴブ郎に止めを刺したことを知っている俺からすれば、その言葉がハッタリであることはすぐに見破れる。それにもし俺を騙すための演技をしているとしても俺がここで死ねば、ゴブ郎に悪いと思ったのであろうか。それとも他に考えがあるのかわからないが。俺の体はまだ動けたのに俺は、攻撃をあえて避けなかったのである。そのせいで俺は肩を切られて倒れ込むことになったのである。その様子を見ながら俺は「はははっ。やはり演技か」と言ったら、

「バレていたのなら仕方がないわ。あなたの仲間も既に殺してしまったのだからどうしようもないから。ゴブ郎のためにも、今から私の奴隷になるって言ってくれれば、助けてあげなくも無いわよ?」

「ふざげるな!!誰がお前の物になんかなるものか!」俺が大声で言うと。

ゴブ美は俺に剣で攻撃を仕掛けてくるのだった。俺はそれを必死で避けるとゴブ太に反撃しようと思い後ろを見たのだが、そこには誰も居らず。ただ壁にめり込んだ剣だけが残っていたのである。

(逃げられたのか?でも一体どこへ)俺がゴブ彦の事を考えていて隙ができた一瞬に、ゴブ美はゴブ彦の所に行き連れ去って行ったのだった。それを確認すると同時に俺はゴブ美に言われた言葉を思い出して怒りが爆発しそうになる。

(ゴブ郎のため?ふざけるんじゃない!)俺の中で怒りは収まるどころか膨れ上がっていったのである。その時だった。俺が突然、激しい眩しさに襲われたのである。

そして俺は、目を覚ました時目の前にいたのは自分の娘達の姿なのではなく、見知らぬ女性の顔が視界に入ってきていたのである。そしてその女性が、心配そうな表情を浮かべてこちらを見ていたのであった。そして、俺は、体を起こして、自分の手を確認したら、小さくなっていた。

(あーあ。やっぱりあの夢は本当だったんだな)そう心のなかで思った俺はこれから先どうして行けばいいのだろうと悩んでいたのだ。そして俺はゴブリン族のゴブ郎の記憶と、この世界に生まれてからのソウイチロウとしての今までの人生を思い出しながらこの先の事を考えていたのである。俺はこれからどうしたらいいのだろうか? 俺は目が覚めるとそこには俺の娘であるゴブ郎の姿はなく。そこには見知らぬ女性の姿が見えたのである。そこで彼女は優しい笑顔を浮かべながら、俺に言葉を投げかけてきたのである。

(ここは?君は?)そう言った後に思い出して、慌てて自分の体を確認してみると。

(はははは。本当に子供になっている。しかも女の子になってしまっているし、一体俺の身に何が起こったんだ?そもそも俺は一体誰でゴブ郎の生まれ変わりだという記憶は本物なのか?というかなんで俺はこの姿になっているんだ?)俺がそんなことを考えていると女性は微笑んだままで話しかけてきた。

(混乱しているのですね。無理もないです。でも、私はあなたと話をするためにここに来たんです。まずは名前から聞こうかしら?名前は?)その問いに対して答えようとした俺だが、

(あれ?名前が、なんだっけ?)ゴブルナとの戦いの後からの記憶が全くないのだ。そんな状況に陥ってしまった俺だったが。俺の名前を答えなければ何も話が始まらないという事を思いだし、

「ゴブ子。僕の名前は、ゴブ子といいます」そう答えた俺だったのだがその回答を聞いて、その女性は、少し驚いたような顔をして質問してきたのだ。

(ゴブ郎君じゃなくて、その名前は、あなたの本当の名前の筈よね?それが、何故?)そう問われたので俺は、

「えっと。なんでだろう。覚えていないのです。それよりもゴブ郎というのは僕のお父さんですか?お母さんですか?」俺のこの言葉を聞いて、更に驚いているように見えた彼女だったが、それでも笑顔は絶やさず。

「えっと。ごめんね。ゴブ郎君のことはあまり詳しく知らないんだけど、私が知っている限りで話せば、ゴブ郎君には、ゴブ太君と、ゴブ彦君と言う息子さんと、妹さんがいたの。その四人がとても仲が良かったらしく、よく遊んでいたみたいだけど。ある時に事件が起きてしまったらしいの。その事件の犯人がゴブ彦くんじゃないかと、一部のゴブリン達が噂していたことがあったみたいなの。だから私達、その話を聞いたときは凄いショックでね。そしてその事件がきっかけでゴブ郎君達とは、ほとんど喋る機会がなくなっちゃったって聞いたことがあるの。それでね。その話を聞いたときにゴブ彦くんと、ゴブ美ちゃんって言う、そのゴブ太郎君の兄妹はゴブ美が何かしたのかもしれないと疑っていたらしいのよ。まぁ結局、その後すぐにゴブ美が死んで、それも原因となってゴブ郎君達は、ますます口数が少なくなっていってしまっていたのよ。でもゴブ郎君は最後までゴブ美を信じていたのだと思うのよ。だって最後にゴブ彦が殺されるまでは、二人の間には笑いが絶えなかったと、その二人の親友であったゴブ郎の妹である、私の夫が教えてくれたの。その言葉に嘘はないと、夫自身も思うところがあったのかも。ゴブ郎とゴブ美が付き合っていたことを知っている数少ない友人だから。それからしばらくして、夫の所に、妹のゴブ郎君と連絡が取れないと、私のところに手紙が来てね。最初は何かあったのではと思って心配でたまらなくなっていたけど。ある日、急に夫は、私とゴブ朗に内緒でゴブ郎に会いに行くと言い出して、その旅先でゴブ郎が死んでしまったって言われてしまったのよ。その時に、ゴブ郎は、死ぬ直前までゴブ美と一緒にいたと聞きまして、その辺りのことを、ゴブ郎君の親友だった、ゴブ太って言うゴブリンの方から、色々と聞いたの。そしてそれを元に考えてみたのよ。

まず、ゴブ美はどうやってゴブ郎を攫うかを考えたはずなのよ。その方法に、ゴブ郎がお風呂に入っている時に、ゴブ彦が脱衣場に入ったところでゴブ彦を殺し、そして気絶させたゴブ郎を運んで行く。そしてそれをゴブ彦に見られないようにする為にゴブ郎の体に、ゴブ彦の血を付けた布を当てておきながら連れ出すのが、一番確実だと思いついたはず。そしてそれを決行した日にゴブ彦は殺されたのでしょう。その方法はわからないのだけど。ゴブ彦とゴブリナが喧嘩をしたと聞いていたので、その時か、もしくはその前日に殺したのでしょう。でもねその時はまだ二人は恋人同士だったと思うの。ゴブ太とゴブリナは、そのゴブ郎が殺された後に知り合ったって話だったからね。つまりその前か後ね。でもゴブ郎が殺された時、私もゴブ美も、ゴブ郎が死んだ場所にいたからね。もしかしたらその時に、誰かがゴブ郎を殺した可能性があるから。ゴブリナにも、一応は聞いて見たの。ゴブ郎のことが好きなんじゃ無いのか?って」その言葉にゴブ子は、首を横に振って否定していた。

(その前に、ゴブ美が死んでしまったならそれはあり得ないわ。確かにあの時のことは思い出せるわ。そう言えばその時の事を後から、ゴブ美の兄のゴブ郎に確認を取ってみようと思っていたのに、ゴブ郎はその時にはもう、死んじゃっていて聞く事ができなかったんだよな。それならまだ生きていたはずのゴブ郎をわざわざ殺してから攫う理由が無いから、もしかするとそのあとで死んだか?)俺がそのように考えていると。

(ねぇ。その様子だとやっぱりあなたも記憶喪失の可能性が高いわ。多分あなたとゴブ郎君は入れ替わっているわよ)

「はは。何を言って。僕が、ゴブ郎ですよ。ゴブ郎がゴブ郎で、僕が、ゴブ子だ!ゴブ郎が生きて、僕は生まれ変わったんですよ。きっと、そうです。それにゴブ郎がゴブ郎で僕が、ゴブ子だと言うのならばゴブ美は?あいつがゴブ美なんです。絶対にそうだ!今度会ったら一発ぶん殴ってやる」俺が、そう力を込めて言い放つとその女性が俺の顔に手を伸ばしてきた。俺は咄嵯に避けることができずに彼女の行動を許してしまう。

俺の顔に触れた女性は一瞬で泣きそうな顔になって謝ってきたのだ。

(ごめんなさい。本当にごめんね。あなたの心を壊しちゃいけないの。あなたの心は壊れかけてる。これ以上の刺激を与えるとあなたが、あなたじゃ無くなってしまうかもしれない。そうなれば、私はあなたになんてことを。お願いします。どうか、心をお強く持ってください。あなたがゴブ郎で、私が、ゴブ子であるということだけは覚えておいてください。私はあなたを守ります。あなたを壊させはしない)その言葉を最後に俺は再び眠ってしまったのである。そう俺の記憶はここで途切れていたのだ。そして俺は目が覚めたのである。

俺は目を覚ますとそこは見知らぬ部屋であり、そしてそこには、俺の娘であるゴブ子が、椅子に座ってこちらを見下ろしていたのである。

(ん?ここはどこだ?)そう思った瞬間。

「おっと。危ない」俺はゴブ子の手刀を避ける。

(あーあ。避けなくても良いのに。今のは軽い手合わせだよ。まぁ本気だったら首が飛んでいる所だったけどね。流石、ゴブリンの身体能力。ゴブ吉と互角のスピードだったね。でも私に勝てると思っているところが可愛いね。本当なら、このままベッドに押さえつけて、あんな事やこんな事までしたいんだけど、今回は我慢しよう。でもゴブ美ちゃんは本当にどこに行ったんだろう?)そんなことを考えながら、俺はこの世界に来た目的を思い出したのだった。俺は勇者でゴブルの村で暴れた悪いゴブリンを退治しにきたのだ。その俺に対してこのゴブ美は攻撃を仕掛けてきたので返り討ちにしてやろうとしたのだがその寸前で俺の記憶は終わっている。そこで改めて周りを見てみるが、ここはやはり知らない場所であった。俺が記憶を整理しているとゴブ美が口を開いて話しかけてくる。

「ゴブ郎さん?ゴブ郎さんですよね?」そう問いかけられた俺は、少し考えながらも返事をする。

「うん。そうみたいだけど、君は誰?俺はなんで、ここに連れてこられてるの?」その答えを聞いた彼女は目を大きく見開き涙を流す。

「ごめんね。ごめんね。本当にごめんね。あなたをここに呼んだのは、私なの」そしてゴブ美が説明してくれた話を要約すると、俺達はゴブルの村に遊びに行こうとした道中に、盗賊団に襲われてしまい命を落としてしまったらしいのだ。それで気が付けばこの場所にいて、目の前に、この姿にされていたので、仕方なくこの姿をしているというわけだった。そしてこの世界のゴブ郎も俺と同じように、突然意識を失い、気がつけばここにいると言うことらしい。ただ、ゴブ美の説明によるとその時に、俺と同じ夢を見たらしく、俺と全く同じ内容であった為。これは恐らく、別の時間軸にいるゴブ郎が体験したことを見ているのではないかと予想できると言っていたので、その可能性はあるかもしれない。だからそのゴブ郎の身体を使って何かができるわけではないが、この世界にゴブリンの姫がいるということは、ゴブ美が言ったとおり、ゴブ美はゴブリンの女王に違いは無いということになるので、ゴブ美の話は信憑性は高いと思われた。そして俺は、なぜこのゴブ美と会えたのかが疑問だったのだけど、それは、ゴブ太がゴブ美から貰ったという手紙に書いてあったみたいだ。それによると。

その手紙にはゴブ美は、ゴブ郎を生き返らせてくれる為には、その代償が必要だと言ってきており、その対価が『自分』だと書かれてあったみたい。つまりゴブ美は自分が生贄となって、そのゴブ郎を蘇生させるつもりなのだと、そしてそれが失敗した場合は自分は死ぬがゴブ郎には何の影響もない。だから気にせずに旅立って欲しいという内容の文章があったようだ。だからその言葉にしたがって俺が旅立つ時に付いてきたと書かれていたそうだ。俺はゴブ太の手紙の内容を聞いてゴブ美の行動について納得がいったのだった。

そうしてお互いに情報を共有できた所で俺はこの部屋を出て、これからのことを考えていたのだった。

とりあえず外に出ると、ゴブリナが一人で待っていたのだけれど、その姿を見て、ゴブリナは、ゴブリンにしてはかなり美人で可愛くスタイルも良いのだが、胸だけは残念だと思っていたのだけれども実は着痩せしていただけだったようで普通よりも大きなサイズの持ち主だということが判明した。

(なんだこれ?めちゃ可愛いぞ。えっ?本当にこれがゴブ美なのか?信じられないぐらい美人な上にスレンダーなモデルのような体形で胸は大きいとか、ゴブリン族って凄いのか?)

そう思いつつもゴブリナと一緒に街を歩き始めた。

(あれ?何か違和感が、ってゴブ郎が男の姿に変わってる!そして何故かゴブ彦とゴブ蔵がいない。それにゴブ朗に似すぎている。どう言うことだ?)俺は、色々と不思議に思っていたが特にゴブ彦のことについて、どうしても確認しておかなければいけないと思い、ゴブ彦の家へと向かう。そうすると、そこにゴブ郎の嫁であるゴブ彦の両親が出迎えてくれた。

(えっと。確か、俺の母上にあたる人だと思うのだけど)俺は内心ドキドキしながらも冷静に話を進めたのである。

「私は、元人間で今は魔族のゴブ太郎です。私の妻のゴブ美の様子が変だったので、心配になり様子を見に来たんですが」そう言って、俺は、自分の正体を明かしつつ話を進めようとする。

「は、はい?ゴブ美の様子ですか?あの子はまだ帰ってきてませんよ。今日帰ってくると聞いていましたが。ゴブ太郎は、ゴブ美とお付き合いをしていた方ですね。ゴブ美から聞いています。ゴブ太郎が来ましたらすぐに知らせるように言ってありますので、今からお伝えしてきますね」(ん?どういう事だ。俺が、ゴブ美と付き合っているだって?)俺は意味がわからないまま家の中に通されて、お茶まで出されたのだ。

(もしかして、俺は勘違いされているのか?でもそれならばどうして?)

俺がそう考えていると。扉の向こうで物音が聞こえてきて誰かが入ってきたのがわかったので俺は挨拶をしてみた。

「ゴブ美。帰ってきたのかい?ゴブ郎だよ」俺は、俺と瓜二つの顔立ちの男の顔をみて驚いたが、何とか平静を装いながら笑顔で話しかける。

(うーん。これはまずいな。どうする?)俺は焦りながらもゴブ郎の真似をしているゴブ美の相手をすることにしたのである。

俺が家に帰って来たゴブ郎達三人を迎えに行くとゴブ郎の奴が女になっていた。ゴブ郎は俺を見るなり抱きついて来る。それを俺にそっくりな女の人が引き剥がそうとするが、なかなか離れてくれないので、仕方なく俺はゴブ美と手を繋いだ状態でゴブ郎を引きずっていくことにしたのであった。

そうこうしているうちに俺達は村の中に入ったのだがそこで俺達はゴブ美の両親と思われる男女に出迎えられてゴブ美のことを聞かれたので俺は、俺達の家で詳しく説明すると言って一旦その場を落ち着く為に家の中に戻ったのだった。

それから俺は二人にお茶を出して話をすることにし、二人はその茶を飲み干してから、お互いの紹介を始める。俺は二人の自己紹介が終わるとゴブ郎と、その妹に当たるであろう女性の方を向くと。

(うん。この女性は確かに、ゴブ美と顔が同じだしゴブ美の妹に違いないな。でもゴブ美と違って背が高いし、それに胸がでかい。ゴブ郎の方も俺より少し年上で、顔が若いのに渋めってかっこいい感じの見た目だよな。やっぱりこの世界の俺は顔が良くて、ゴブ美は顔が綺麗という違いはあっても体型に関しては殆ど俺と変わらないな)そんな事を俺は思ったのである。

「私は元人間のゴブリン姫であるゴブ美といいます。それでこちらがゴブ吉の婚約者であるゴブ子さんです。」

ゴブ子は俺に向かって頭を下げた。俺達は、この二人が俺の知っているゴブ吉の兄妹であることを確認出来た。そうすれば必然的にこの世界の俺の兄弟は?ということになるのである。

俺が気になったので言うべきか悩んだのだがやはり言うことにする。そうしなければ俺が知るゴブ吉はどこに行ったのかと言う問題が出てくるからである。なのでゴブ郎には俺の弟だと言ったがゴブ子には、弟がいるとは言ったが誰の事だとは説明しなかった。その事でゴブ美の両親は俺に何か言いたそうな素振りを見せたが、結局は言わずに済んでほっとしているようだった。だが、やはり俺の口から話す事にする。

そうしないとこの村のゴブ郎を騙す事になるからだ。俺は正直に全てをゴブ彦に説明をしたのだ。俺の説明を聞いた二人は絶句したような表情を見せる。それもそのはずだろう。いきなり自分の兄弟が目の前にいるんだと言われたのだからな。俺はこのゴブ美の説明を受けて、この世界にゴブリンは沢山いるし同じゴブリンの種族でも様々な特徴を持った魔物が存在していることは俺も知識として持っていたのでそれほど混乱せずに受け入れる事が出来た。しかし、やはりゴブ郎は動揺しておりかなり困惑している様子だった。そこで俺は、ゴブ郎にゴブ彦を呼び出してもらうようにお願いしたのである。そのゴブ彦はゴブ郎の幼馴染みであり親友でもあるという事らしい。ゴブ美の話によるとこの世界はゴブ彦を中心に回っているらしく、そしてこの世界でも、俺が知っているゴブ彦のままだったようだ。

そうこうしている間に、ゴブ郎がゴブ彦を呼びに行ってくれていた。そうして暫くするとゴブ彦が現れて俺はこの世界での俺の弟と、対面を果たすことになるのであった。そしてゴブ彦に事情を説明してから、俺と俺の双子の兄弟はお互いに自己紹介する。

俺はゴブ郎が男だった場合の未来の姿のはずだが、ゴブ郎の見た目はゴブ郎のままだから、この姿の俺をゴブ郎と呼ぶことに抵抗があるので、ゴブ郎の双子であるからという理由でゴブ美に、俺の事をゴブ助と呼び捨てにして貰える様に頼むと快く了承してくれたので俺はゴブ助に、俺の事はこれからゴブ助と呼べと言って、お互いに名前を呼び合うようになるのだった。

「とりあえずは俺の事を兄者と呼んで欲しい。ゴブ彦は俺にとっては本当の兄になるわけだから、まぁ。呼びにくいかもしれないがな」俺はゴブ郎にそういうとゴブ彦も同じように、呼び方を変えさせた。それはさすがに恥ずかしいという理由もあったが、ゴブ郎があまりにもゴブ美に似ていて、なんとなく姉と慕うゴブ美と同じ名前の女の子と俺だけが、仲良く話しているというのは気が引けるからというのが本音である。そして俺は改めてこの世界を、このゴブ美の世界について、どういう場所なのかということを、聞くことにするのであった。その前にこのゴブ助にもこの国の王や王妃の件を話した上で協力してもらおうと思い、俺はゴブ郎に俺が魔王を倒した後の話をするのだった。

ゴブ彦は元人間だ。俺はゴブ彦にその事を話した上で俺の過去について説明したのだ。ゴブ彦はそれを真剣に聞いてくれていて、そして俺が何故ここに飛ばされてきたのかについても疑問を持つことなく信じてくれているようだった。そしてこの世界に転移させられた俺が、どんな生活を送っていたかも、俺に頼まれて全てを教えてくれたのである。

ゴブ太はゴブリンのお姫様でゴブ美に惚れているが自分は元人間だからと諦めておりゴブ美への想いを隠そうとしていたが、ある日を境にゴブ彦が実は男で、俺の従兄弟のゴブ朗だという事が発覚して俺はゴブ郎との婚姻を認めることになってしまい、それからしばらくして俺は元の世界に帰りたいと願った時に、突然元の日本に帰ることが出来るようになり。ゴブ彦が男に戻ってしまう事を知るがそれを知った上でゴブ彦と結婚するとゴブ美が宣言して俺と別れた直後に、ゴブ彦が男に戻った事で俺の前からゴブ彦とゴブ彦の婚約者だったゴブ美の姿が完全に消えたことでゴブ郎は俺の事をずっと恨んでいたと聞かされて、それからはゴブ美を取り戻す為に俺を探して旅をしてここまで来たのだということを話されたのである。

ゴブ郎が、自分の正体を明かしたところで、俺はゴブ郎と別れてから今まで何をしていたのかを話すことにした。

俺は、ゴブ郎と出会ってから元の世界に戻る方法を色々と模索したが、全く成果を得られずに途方に暮れていたのを。ゴブ美が見つけてきてくれたのだが俺はゴブ美に元の世界に戻りたいと言い出したらゴブ美は泣き出してしまい、それからは、元の世界に帰れる方法を探すのではなく、ゴブ郎の故郷で生活していくと決意してゴブ郎と共に暮らしていた事を説明した。そうするとゴブ郎は涙を流し始めて俺とゴブ美に抱きついてきてありがとうと感謝の言葉を述べたのだった。そうして落ち着いた所で俺達はゴブ美の両親に、俺達の家に招き入れられて色々と話を聞いたのだ。

そうして俺は今現在自分が住んでいる家についての話をした。その家にはまだ幼い俺の息子がいるが息子には既に、妻もおり娘もいる事を伝えて家族全員を家に連れて来て欲しいと言うと、俺の嫁の事を羨ましがっていたが俺は、その話を終わらせた後に再び俺達の住んでいた国での事と、ゴブ郎がこの世界で何をしてきたかを聞かせてもらったのだ。その途中でゴブ美とゴブ子がゴブ郎に対して俺が異世界から来たということについて説明してくれていたが俺は気にせず聞き続けたのである。

それから俺達が住んでいる国の現状について聞いた。まずこの世界には魔物が存在するのだと教えてもらい。ゴブ美達の住むこの国は元人間の国王と、人間の姫であるゴブ美とゴブ郎の妻である、ゴブ美の母親の3人が中心となって建国したのが今の国であるそうだ。

この国の周辺にある国々は魔物達を狩る事を主な生業にしている。つまりはハンター達が多く存在する世界だったのだ。しかし、ここ数年は、あまり平和ではなかったようである。

その原因は、数年前までゴブ蔵率いるゴブリン集団に占拠されていたからだと、ゴブ美は言う。

「私は、元々、ゴブリン達が住む村の近くで生まれたんだけどその時にゴブ郎と一緒にこの国に助けてもらったんだよ。そうして私がこの国で暮らすようになってゴブ太郎が生まれたの」

俺はそんな事を聞きながら俺の元いた世界の事を考えていた。そういえば俺の両親も元は普通の一般人だったという話を俺も親父に聞いていたが俺が生まれる前はかなり酷い戦争があったらしい。俺も生まれる前の話はお袋とかからも聞かされていたが、詳しい内容などは一切知っていなかったのである。そんなことを考えていると。

(あの、ゴブ子さんの話が少し気になりますね。僕も少しだけ覚えていますよ兄さん)ゴブ助が念話で話しかけてくる。どうも俺の考えを察知したらしい。

(あぁ。お前は俺の心を読んでいるみたいだからわかるがな。まぁ。確かにな。ただあれはゴブ美の記憶だろうしゴブ子さんは関係ないとは思うが、ゴブ美の話が真実なら何かありそうな感じはするか)

(はい。僕の憶測ですが。多分間違いないと思いますよ。それに兄貴だって気になっているんでしょう?だったら調べてみるのもいいかもしれませんね。このゴブ美の話の真相を。)

俺はそう言われると、それもそうだと思いゴブ子からゴブ美の事を聞いてみた。そうすると、 ゴブ子は、この世界のゴブ郎と夫婦になる為にゴブリンの里を出た後、この世界で色々な事を経験したようで。特に、ゴブリンの長に認められて人間との共存を目指しておりゴブリンの種族を救ってくれるかもしれないと期待されるも、長の死をきっかけに種族の者達からは敵視される存在になってしまう。その後しばらくこの世界に潜伏していた時に、ある商人の男に出会い、それからはその男の従者として働きながら冒険者となって魔物と戦う事で力をつけて、ゴブ郎との結婚を認めさせるために必死に戦っていたらしい。そうする事で、魔物に襲われそうになった時に自分を助けてくれるという契約を結ばせていてそれを盾にしてなんとか結婚を認めさせたという事がわかったのだ。しかしゴブ美はゴブ郎にプロポーズをした時よりもその前にゴブ郎の目の前で死んだらしいのである。

そしてその話を聞くとゴブ郎の様子がおかしい事と、ゴブ郎の話が矛盾している部分があることに俺は気がついて、俺はゴブ美にゴブ郎の事が本当にゴブ郎なのかを確認するために質問することにしたのである。すると俺の予想通り、ゴブ美の話が嘘である事が発覚した。そこで俺はゴブ彦の話を思い出して確認するためにゴブ彦に俺とゴブ彦が兄弟だと言った事を告げて、さらに元人間であることを告げる。そして俺の本当の両親の事も伝えたのであった。すると俺とゴブ彦の父親は、やはり元人間であることがわかった。

俺はその話を聞きながら、やはり俺の父親が、元人間だと確信して、俺は父親の事を詳しく話すようにゴブ彦に頼むのであった。

そうするとゴブ彦が話し始めた。

「俺の父親は元人間でこの世界に召喚された。そして俺はその時にまだ人間で俺の父親の母親と結婚して俺を授かった後に俺はこの世界に召喚されてしまった。それからは俺が魔王を倒すまでの間は俺は父親に会うことが出来なかった。だからゴブ助の気持ちは分かるんだ。そして兄ちゃんが元の世界に戻りたいって思っている事も俺は分かってるつもりだよ。俺も、兄ちゃんに早く会いたいと思っていたけどさ。兄ちゃんと再会出来る機会が訪れるなんて思ってなかった。だから嬉しいんだ。兄ちゃんの傍にいることが出来れば、もう他には何もいらないくらいにな」

ゴブ彦の話し方を見ても、かなり本気だということが分かり。俺も、ゴブ彦の為にこの国のために働くと決めて王都に行くことを決意したのであった。

ゴブ郎の母親が亡くなってから数日が経過した。その間俺は、ゴブ郎にこの世界のことやゴブ美のことについて聞くが、中々ゴブ郎の母親はゴブ郎を手放すことなく引き留め続けていたそうだ。ゴブ郎曰く、ゴブ美はゴブ郎のことを本気で好きで、俺よりもゴブ郎の方が好きなんじゃないかと思っている程に好きすぎるのが悩みだという。俺は、この世界に転移してから、一度も俺に恋愛感情というものを抱かずに、むしろ家族として俺を愛してくれた母さんと妹達に心の底から感謝していて。そのお陰で俺は今まで幸せでいられることが出来たが、俺が元の世界に戻れるようになった途端、俺を恨んでいるようなゴブ朗に対して、そこまで執着するほどの魅力を感じられず。俺がゴブ朗を嫌いになっていた事を話し、それを聞いたゴブ郎はショックを受けていたようだったが、俺に嫌われたくない一心で、どうにか自分の想いを伝える努力をしたいと言っていたが、それは諦めて貰う事にした。俺はゴブ郎との話を終わらせて再び自分の家の事を考えるとゴブ助とゴブ美はゴブ彦達とこの国の王城へと向かい。俺達は一旦自宅へ戻って荷物をまとめてから王城に向かうことになったのである。ちなみにゴブ郎と俺はゴブ郎の実家である。そうすると当然俺の家でもあるわけで。

この国の王族とゴブ郎が一緒に暮らすことになってしまった。そうするとゴブ美は一体どうなるのかという疑問に俺は考えついたのだが、ゴブ郎とゴブ美の子供が俺の息子になるらしく。俺はその息子と仲良く暮らせるのかが不安になった。しかしそんな俺の心の中を読んだゴブ美は、俺に、ゴブ美とゴブ美の子供が一緒に住むのではないと言う。その答えに俺は驚きつつもゴブ郎と子供の関係についての話も聞いてみると。

ゴブ郎が俺の義理の父となり。俺は俺の子供や俺の娘が産む子供を孫として扱うらしい。なので俺は、ゴブ郎を義理の父と呼ぶようにと言われた。そんな話をした後で俺達家族全員はこの家から出てゴブルと、ゴブリン達の住む国に向かって出発をしたのだった。そうして暫くの間俺達は森の中でゴブリン達の集落にたどり着くのに苦労をしていたのだ。ゴブ蔵達は、森に入る前は普通の狼の姿だった。だが、ゴブリン達が住む集落に到着する頃には何故か二足歩行の犬のような姿をした魔物に変化していたのだ。その光景をみて俺はゴブリン達の住む集落に到着できたのは良いが、ここから先どうやってゴブルとゴブ郎の二人を会わせるべきかを考え始めた。俺がゴブ郎と一緒に住んでいる事をゴブ郎と会うことでゴブ美が知ってしまった場合、どんな反応をするのか分からないがとりあえずゴブ郎を一度ゴブ美に紹介しようと思って。俺はゴブ美に相談することにすると、

(そうですか。ご主人様は私の旦那様と一緒に暮らしてらっしゃるんですね。私にはとてもその事は耐えられないかもしれません。しかし、私はご主人様に一生ついて行くと誓いましたので。そのことは理解した上で私は行動します。ですので、その事でお叱りを受けることも承知しておりますので。どうかご心配なさらずに)

そう言われてしまって俺は、俺と一緒にいる事が辛いというゴブ美の言葉に胸を痛めた。しかし、だからと言って俺がこの国を立ち去る訳にもいかないのも事実だったのだ。ゴブ美の言う通り。俺はこの世界でこれから生きていくと決めた以上はここでの生活に慣れなければいけない。それが出来ないうちに出て行けば必ずこの国に混乱が生じるのもわかりきったことだ。それに、この国はゴブリン達を迫害する国とは違いゴブ吉とゴブ介が頑張っていることもあり、ゴブ吉とゴブ介も受け入れられていて平和で、俺が望んだ理想郷がここにある。それをみすみす捨てるような事は決してしてはいけないのだ。

俺はそのことを考えると、俺はゴブ美を連れてまずはゴブ太の家に寄りゴブ郎の事を伝えてからゴブルと、ゴブ郎を引き合わせようと考えた。そうして俺達がゴブ郎に会いに行ってゴブルを連れ出そうとした時だった。

ゴブ助は突然何かに反応してその場から逃げようとした。するとゴブルとゴブ郎はゴブ太の家の前で戦闘態勢に入っていた。そこでゴブ助が何をしようとしていたかを聞いてみた。

(兄貴。あれは俺の匂いを察知して兄貴と俺の関係を調べに来た刺客だと思う。おそらくあの男も元は人間だったはずだ)ゴブ助の言う通り俺は、その人物をよく見ると人間だと分かった。その人間は剣を持ち黒い服を着ていた。俺はその人間が何者なのかを知るためにもゴブ太郎にゴブ彦とゴブ造を護衛させて、その人間とゴブ郎を接触させた。

ゴブ郎はゴブ助を見て一瞬驚いていた。それもそうだろう。ゴブ郎には、目の前にいる人物がゴブ助だと分からず。いきなり襲い掛かろうとしたのである。その姿を見て俺はすぐに、俺の兄弟であることを伝えたがゴブ助はゴブ郎の事を全く覚えていなかった。そしてゴブ助に事情を説明しようとするも俺が話を始める前に、ゴブ助は俺に対して攻撃を仕掛けてきたのだ。ゴブ美もすぐに対応しようとしたが。俺はそれを止めた。何故ならゴブ助は、俺を殺そうとはせずに俺に怪我だけは負わせないようにしているからだ。

俺はゴブ助とゴブ郎の話を聞こうとしたが二人は言い合いを始めて、しまいには殴り合っていた。それを見かねた俺はゴブ郎を止める為に止めに入った。そして、俺が話を始めた。ゴブ朗がどうして俺に襲いかかってきたのかを、ゴブルと、ゴブ郎を俺の家に案内する事にした。するとゴブ郎が俺を睨んできてゴブ朗にお前が俺の兄だとは思えないと言われてしまった。それを聞いたゴブ助は、俺が兄であることを証明すれば信じてくれると思い。俺が自分のステータスを見せた時に、その言葉を口にしたゴブ郎を俺と一緒の部屋に入れて話し合いをすることにしたのである。

「俺と、ゴブルと、ゴブ彦と、俺の家族達でこの世界を救う為の旅に出ることにしました。皆さんにはこれを渡します。」

「こ、これは!?」

「まさか!?」

「嘘っ!」

「う、そ。」

俺はみんなに自分がレベル99になった時のことを簡単に話すと。やはりみんな驚いた顔をしていて、そしてゴブルがゴブ助を見た後に俺の方を見ていた。ゴブ助が俺の方を見てくるとゴブ助は嬉しそうな表情をしていたが。それとは対照的に俺が、ゴブ郎を見るとうなだれて今にも泣き出しそうな雰囲気になっていた。俺は、ゴブ郎に声をかけてこの世界を救いたい気持ちがあることをゴブ郎に伝えた。そうするとゴブ郎は、顔を上げてくれた。

「本当に俺で良いの?だって、この世界の人達から嫌われているのに。」

俺はゴブ郎の言葉を聞くと俺は優しく語りかけた。

「それは、確かにそうだけどさ。それでも俺は君にこの世界に来て欲しかったんだよ。だから、俺と一緒にこの世界の人々を笑顔にするために旅をして欲しい。この世界の全ての人を、この世界の人々の生活を。幸せにするんだ!俺はそのための旅の仲間を探しているんだよ。ゴブ郎くん。俺とこの世界に来てくれ。お願いだ。俺と一緒に世界を救ってくれ。俺の本当の息子になって欲しい。君は、ゴブ蔵とゴブ子の息子になる。俺は君のお義父さんにもなるけど、それと同時に君とは親友になるつもりで接していくよ。どうかな?」

俺が、そういうと。ゴブ郎は泣いていた。そして俺に抱き着いてきて。ありがとうと一言だけ言ってくれた。俺はそんなゴブ郎を抱き返してあげたのだった。俺は、俺の息子が俺を頼って来てくれた事が素直に嬉しいと感じていた。そう思っていると俺は、ゴブルから、ゴブルの妻のことや、ゴブ郎の親の事を聞かれたので答えるとゴブ郎は複雑な思いを抱いていたようだが俺の頼みを聞いてくれるそうだ。そんな俺達を、ゴブルが、ゴブ朗の所に連れて行きたいと申し出たのであった。

俺は、ゴブルとゴブ朗と対面をすると、俺達はゴブルの案内で、この王城から出て行くことにした。そうすると何故かゴブルはゴブ朗と二人っきりで話がしたいと言って来た。どうやらゴブルは、俺達がいなくなったのを確認してからゴウキと二人っきりで話しをしたかったらしいのだ。俺はそれを聞いたのでゴウキを連れて少し離れて話をすることしたのだった。

俺とゴブ美がゴブリンの集落に向かっている間。俺はリザードマンと人間について色々と調べてみることにした。俺はこの世界に召喚されてからずっと勇者としての力を磨くことしか考えてなかった。俺はこの世界に来てからは、リザードマンの村を魔物から守ったり、人間の国と争いをしたりしていた。そしてその事ばかりに集中をして、この世界の人々のために尽くしてきていなかった。この世界の人たちを笑顔にするためには、まずはこの世界の人族に認められなければダメなのだ。だから俺がもっと強くなれば、いずれは、人間や魔物と仲良くできるような時代がくるかもしれないと。俺は、その時までは、出来る限りのことはするつもりだ。しかし、俺一人の力でどこまでこの世界を良くすることができるのか、不安でもあったのだ。

しかし、俺は俺の力を使って人々の為に行動を起こすことで誰かの手助けをすることは出来なくても、俺の行動を見て俺のことを認めてくれる人も必ず現れるはずなので。その人たちを俺に認めてもらえるような人物に育てていこうと俺は心に決めたのだ。しかし、俺がゴブリン達の村に到着した時、ゴブ美がゴブリンキングの配下であるゴブリン達が自分達は人間によって迫害を受けていた。それを悲しんでいるゴブリン達がいると言うのだ。俺はその話を聞いた後で、このゴブリン達の村に滞在をさせてもらうことになったのだ。しかし俺達はゴブリン達の言葉はわからないので通訳の人がいることが大前提となるのである。

それから俺は俺が召喚された国で勇者として崇められていることも思い出して俺を神の様に敬う人間と俺を恨む人間の両方が存在しているという事を知って。俺は人間という生き物を知らなさすぎたのだと、改めて痛感させられたのである。しかし俺に力があればこの国の者達もいつか俺の事を認めてくれるとそう思った俺はその日を境に、毎日訓練を始めたのである。俺の能力は、どんな武器も使うことが出来るというものだったので俺は槍を使う練習をしていた。そして俺は、自分の体の動きも速くすることが出来る能力も持っているため俺の身体能力はかなり上がっていた。その証拠に俺は俺よりも背が高いオークのゴブ太に勝つことが出来ていた。そうすると、俺は自分一人では何も出来ないのだということがわかって俺はゴブ太に戦い方を教えて欲しいと言ったのだ。するとゴブ太はその言葉を快く受け入れて俺の師匠となったのだった。俺は俺の弟子第一号ができたことに喜んでしまった。俺の師匠となってくれる人はゴブ助以来二人目だったからである。そして、ゴブ郎とゴブルの二人には剣を教えるために剣術も教えていく事にした。すると、ゴブ郎は俺に弟子入りした次の日に、俺をゴブ蔵のところへ連れて行くように頼んできた。そこで、俺はゴブ郎にどうしてかを聞くと、ゴブ朗がゴブ助とゴブ郎に剣を教えたいと言って来たらしい。俺はそれを聞いて、ゴブ郎に、俺が教える前にゴブ助とゴブ郎が先に学んだ方がいいだろう。俺はそう言うとゴブ郎は悔しがっていたのである。

俺の剣の腕をゴブ助は凄いと言っていたので、ゴブ助に剣を教えてもらえるのだと喜んだのだろう。俺はゴブ郎には申し訳ないと思ったが。ゴブ郎を、先に鍛えることにしたのは、ゴブ助の方が強いと感じたからなのである。ゴブ助に俺の稽古を見てもらっていた時の感覚だが。ゴブ助はおそらく、レベルが100を超えているのではないかと思っているのだ。俺はまだレベルが1だし、スキルの数も圧倒的に少ないのだ。そしてゴブ助の剣術も俺は学んでおきたかったのだ。俺は、ゴブ郎に早くゴブ助の元へ連れて行ってほしいと言われたのだが。まだ俺が、もう少し強くなるまでゴブ助には会わせるわけにはいかないのだ。そうすると、ゴブ郎が俺になぜと質問をしてきたので俺はゴブ郎に、お前では俺には勝てないとハッキリと告げた。ゴブ郎があまりにも不貞腐れてしまったので。俺は俺と勝負をすることを提案した。

「俺が勝ったらゴブ助には、お前がゴブ助に稽古をつけてもらうといい。もしお前が勝てば、俺にゴブ助との模擬戦を許してやろう。」

俺はそれだけいうと、俺とゴブ郎との戦いが始まったのである。俺はゴブ郎に負けることはまず無いと考えていたのである。なぜならゴブ郎は俺に対して舐めプをしているのが丸わかりだったので、わざと負けたりしない限りは俺は絶対に勝つと思っていたのだ。

ゴブ郎が木刀を構えているのに対して、俺は素手で相手することにして俺は、ゴブ郎と対峙することになった。俺が、手加減しているとわかるのだろう。すぐにゴブ郎が斬りかかってきた。俺は、軽くかわしてからゴブ郎に殴りかかったのだった。ゴブ郎は簡単に気絶したのであった。しかし俺はゴブ郎の剣の才能はなかなか良い物を持っていると感じて。このまま鍛練を続ければゴブ郎はもっと強くなりそうだとそう感じたのである。

ゴブ郎の剣の才能を感じた俺達は次に、人間について調べる事にしたのである。俺は俺をこの世界に送りつけたあの国王にこの世界のことをもっと詳しく知りたいと伝えてこの世界の事を聞こうとした。俺の言葉を聞いて最初はこの世界のことについて知らないと言われてしまった。それを聞いた俺は腹が立った。そしてこの世界の人達は自分たちの住んでいる国しか見ていないとわかったからだ。

「貴様は一体誰なんだ?何のために私に会いに来たのだ?私は今忙しいのだぞ。それにしても、よくここまでこれたものだな。」

「貴方にお願いがありましてここに来ました。」

俺は、まず最初に、この世界の住人と友好的な関係を築きたいと伝えたのである。しかし俺が言葉を伝えても、向こうの態度が変わらず。俺の願いを叶えるつもりはないようだ。俺の言葉を聞いた王様が急に大きな声を出したのである。

「ふざけているのか!我々と人間が友好関係など築けるはずもない!それは過去の出来事が原因なのだ!いい加減なことを抜かすな!この、無礼者め!即刻立ち去れい!」

「俺はあなたに、俺が元いた場所にいたこの世界にいる人々とは違った考え方を持つ者達を紹介しようと思ってきているんですよ。それが何故ダメなんですか?」

俺はそう言ってこの世界の人間ではない存在と、魔物達についてこの国の人間に知ってもらいたいと思ったのである。俺のその提案にもこの国の重鎮達やこの国の王が乗ってくれなかったのであった。そしてこの場はそれで終わりになり、結局俺はこの国の人間達からは、魔物達の存在を認めて貰うことが叶わなかったのであった。俺は、ゴブ郎達を連れてこの集落に戻って来た後、俺が召喚される前からこの国にいたという、ゴブ朗の父親で、この村の長でもあるゴブリンのキングにこの国の事について話を聞いてみたのだ。俺がこの国に訪れた目的と、俺の提案についてはキングも聞いてくれたのだ。そして俺は俺なりの考えを伝えたのだ。この国で暮らしている人間はこの世界に存在している全ての種族が平等であるという意識を持って暮らしていっているらしいのだ。その考えに俺が賛同してくれたことにゴブ郎は驚いていたが俺はゴブ郎をこの国から追放したりするつもりは無いと言った。俺は俺を召喚した国をどうにかして認めさせるしかないのだと改めて思った。俺はゴブルに俺を王城に招待してくれと頼んだのである。俺のその発言に対して、周りの人間は慌て始めた。どうせまた、下らない理由があるのだろうと周りの人々は思っていたみたいだが俺はあえて何も答えずにゴブルの反応を待っていたのだ。すると、予想通り、何か言おうとしていたが、俺はその言葉を遮ったのである。そして俺は、ゴブルの返答次第で俺はこの国の人間を一人一人相手にしようと思ったのである。しかし、その時俺に助けを求めてくれた者がいたのだ。ゴブルの息子で人間の青年だったのだ。俺はその人物に感謝をしながらもこの国の人間の代表としてゴブ吉とその両親も一緒に来てもらおうと思ったのだ。ゴブ吉達は、この国と仲良くする気はないが、魔物達が他の人間達に虐げられない為に俺に協力したいという気持ちは伝わったのだ。しかしやはり、俺一人だけでは力及ばず、結局俺はゴブ助に頼ることになったのだ。ゴブ助は快く受け入れてくれてこの国の人間と会う約束を取り付けてくれたのである。そしてその会談で俺の提案した事がこの国で受け入れられることはなかったのである。俺が人間という生き物は、自分のことしか考えられない愚かなものだとそう思い、もう、人間には協力しないと決めようとしたとき、一人の老人が口を開いて、俺の話を全面的に否定してきたのである。

その男こそ俺にゴブ助の居場所を教えた人物であり、ゴブ助の祖父でもあり俺の師匠でもあった。名前は、ホブゴブリンの長老でレベル99の、ゴンジと言う人物であった。彼は今まで自分が経験してきたことや考えたことそして自分の中にある正義を貫き通したいという信念などを熱く語っていたのであった。俺は、ゴンジさんの話を聞いているうちにゴン爺ならこの国がどうして俺達の事を受け入れないのか分かるのではないかと思い、この人に意見を求めた。そして俺がこの国を変えようとそう言った瞬間、周りの人間は騒めき出し、一部の人間はその考えに賛同するような発言をしたのだけれど、大半の人間は否定的で否定的な意見を吐いていた。しかし俺の意見に賛成してくれた者もいて俺達はこれから、魔物と人間が共存できるように働きかけることにしたのだった。しかし俺はそこで、ゴン助とゴン次郎の二人に剣を教えるのを止めたのだ。

「ゴン助、そしてゴン次郎よ、俺の師匠になってくれるのは構わないのだが、お前たちは、今、剣を使うよりも大切なことがあるのではないか?だから俺はこれ以上お前たち二人に剣術を教えるのは止めにしたいと思っているのだがどうだろうか?」

俺がそういうとゴン助とゴン次郎は少しの間黙っていたが直ぐに了承してくれたのである。

それから俺は俺の仲間になった者たちを引き連れて、ゴン爺と共に旅をして行くことにしたのである。俺はゴン爺から色々な事を教わったのであるそして遂には俺の住んでいた国に帰ることになったのである。ゴブルが出迎えてくれるらしくて俺は楽しみにしてしていた。ゴブ郎は久しぶりに父親と母親に会いたいと言い出していたが俺が許すはずもなく連れてこなかったのであった。俺はゴブ助、ゴブ蔵、ゴブタと一緒にこの国の門まで向かったのである。そこには大勢の人間が俺達のことを待っていたのである。その中には、この前この国にやってきたときにいた、勇者の少年もいたのだ。しかし、勇者の少年はこの国に戻ってくることを反対されたのだと思っていたのだがこの場にいたということは、この国は本当にこの世界で起こっている争いを無くそうと動いているのだと思い、俺達は歓迎されているわけではないのだがこの国の人間と話し合いをすることにしたのである。そしてこの国の王が俺達と話すと言ってくれてその場を後にした。

そしてその後俺達一行は、この国の女王が住んでいる城へと向かったのであった。俺はこの時、この国の王様に、魔王軍の四天王として恐れられた俺達の存在を明かしてもいいかどうか迷ったが、結局明かすことに決めたのである。俺はこの国の女王に会わせて欲しいと告げるとあっさりと通されてしまい。この国の国王が俺の前に姿をあらわして自己紹介を始めた。この王はどうやら、この前の王とは違いかなり聡明で、話が通じるような人だと思ったので安心することができた。

「私が、この国、リリス王国の国王のレシアである。貴方様は一体何用があってここに来たのであるか?」

俺は、魔王軍四天王だった俺がなぜここにきたかと問われたので素直に自分の意見を述べることにする。しかし、それを聞いても俺が元魔王軍だったことに関してはそこまで驚かれていなかった。俺としてはもっと驚くのかと思って身構えていたのがバカらしく思えてきた。そして俺がここにきた理由について説明をしたあと、俺の仲間たちにこの国の人間との和平条約を結びたいと考えていると告げて、仲間に調印書を用意してもらうように頼んだのである。俺の話を聞いた王は、

「そんな話は無理であろう!人間と魔族が共に暮らすなど出来るわけがないのだ!ましてや魔族側が人間側に住むことを認めるなど到底信じられることではない!そもそもその魔族の方は何故貴様のような者が信頼しているというのだ!その証拠はあるのか?」

「俺はゴブ郎と出会ってゴブ郎は、俺に命を救われてこの国に忠誠を誓うと言ったのですが、それでも信用出来ませんかね。それにこの国は俺に協力してもらっているのに俺のことを疑うんですか?俺は確かにこの世界に来て、人間を滅ぼそうとしたこともあります。でもそれはあくまでこの世界に来たばかりの頃の話で今はそのようなことを考えていない。俺はゴブ郎やゴブ吉と仲良くなって彼らとも家族になりたいと思っているのですよ。それなのに貴方達人間は何もしないんですね。それにこの国で、ゴブ吉の父親ゴブリンロードが貴方達人間とゴブリンとの間に起きた戦いに巻き込まられ、その命を落としたということも俺は貴方たちに聞きましたがその事実は変わらないのでしょうか。」

「ゴブリンの王がこの国に戦いを挑んだというのは確かなことだ。しかしゴブリンの王が死んだとは聞いたことがないが。」「嘘をついても俺には全く通じません。ゴブ朗は貴方達人間に殺された。俺とゴブ吉はその現場にいたから間違いありません。」

俺がそういうと、王が慌ててその事について謝罪してきたのである。俺が、ゴブ朗を殺した犯人について尋ねるとどうやら、あの事件を起こした実行犯はこの国の兵では無かったようだ。俺はそのことを王に聞いて、この国に宣戦布告をしに来たのだがそれをやめようと俺は決めたのである。この国にいるゴブ吉の両親に俺達の気持ちを伝える為、俺は一旦、ゴブルとゴブ蔵を連れて王都を出る事にしたのである。しかし俺はまだこの国に対して不満があると思い、ゴブ助とゴブ助の妻と息子のゴブ吉を連れた五人で王城を抜け出してこの国で一番高い山に向かったのだ。

俺達はその山の頂上まで辿り着きこの国を一望することができる景色を見て感動し、ゴブ吉とゴブ助はこの光景を忘れないように目に焼き付けようとしていた。そしてゴブ助はこの国の事を話し出すと俺はゴブ郎のことについてゴブ助とゴブ助の妻に向かって話をし始めた。そしてゴブ郎は人間だった時にゴブ助に助けられたことをとても感謝していることを話すと二人の夫婦はとても喜んでくれたのである。それからしばらく経って俺達はこの国を出発しようとしたが俺はゴブ助とゴブ吉を呼んで話したいことがあったのだ。それはこの二人にも俺の家族に加わって欲しいと思ったからだ。

ゴブ郎の件もあり俺が二人に伝えたいことを二人に伝えると、二人は俺の考えを受け入れてくれて俺の家来になることを決めたのである。俺は二人も連れて行くことになりこの国を出たのだがその時俺が乗っていた馬車を、ゴブ助の親が用意してくれた物だ。

俺達がこれからどうしようか考えているときにゴブ助の父が俺たちのために食べ物を準備してくれたのだ。それを食べた後少し休憩をしているときに俺がこの国の外に出たら何をするべきかを尋ねてみるとゴブ助は、人間達の生活圏に行ってこの国がどういうところなのか見て回るべきだと俺達に教えてくれたのである。

俺は、この世界にきて初めて他の魔物に会ったが彼らは俺が人間だということをすぐに理解したようだったが襲ってこないので安心した。しかし人間には人間と違うというだけで差別される対象であり人間には魔物が化けているというものもいるらしいのであまり人間がいるところには近づかない方がいいと言われたのである。ゴブ助は人間社会の中で生きることになれていたので特に心配していなかったのだがゴブ郎や俺の仲間はやはりまだ慣れないようで警戒をしていた。俺は俺なりに考えてみることにしたのである。俺はこの国の外に出ることを決めてからこの国がなぜ人間の国であるにも関わらず俺達の事を認めなかったのか疑問だったのだ。俺はゴブ蔵の方に視線を向けると彼は、人間の中にも人間以外の者を嫌がっている者もいるのだと説明してくれ、人間に魔物だと思われても仕方がないだろうと言ったのである。

俺がこの国にやって来てからずっと感じていた違和感はこれだったのか。俺は、ゴブ助と別れを惜しんでいる時俺は彼にこの国の事をもう少し詳しく知りたいとお願いをしたら快く引き受けてくれたのだ。

俺は、人間を滅ぼそうとしていた自分が、まさか人間にこんなに感謝されることになるとは思ってもいなかった。そして、俺はゴブ郎と別れてからしばらくの間、人間と魔族の両方が住めるような場所を探すためにこの世界を回り始めたのである。

そして俺は、人間と魔物との平和な関係を築くための方法を考え続けていたのである。

(マユーラの奴め!なんとなく気付いてはいたがここまでするとは思っていなかったぞ。まぁ俺としては、ゴブリンキングとゴブルを会わせれば何とかなると思ってはいるのだがな。さて俺はゴブルの所にでも行ってみるとするか。俺がいない間あいつらに任せているこの世界の状況を一度整理しておくとするかな。)俺はそんなことを考えながら俺はマチューと一緒にゴブルの元へと転移をしたのであった。そして俺は早速ゴブルと話しを始めることにした。

「よっ、どうだゴブル、ゴブ助達と仲良くなれそうか?」

「おおーこれはこれは、我の旦那ではないか。お陰様で仲良くやらせて貰っておりまする。それよりそちらの方がゴブリンロード殿ではありませぬか?」ゴブルにゴブ郎がゴブ蔵の息子だと告げてやると驚いていたのであった。

そして俺はゴブルにこの国に来るまでの道中の事などを詳しく話し出したのである。ゴブ美はゴン太が俺のことを魔王と呼んでいたことを気にしていたがゴブリーナの口封じのおかげか俺の正体を誰にも言うことはなくなったのだ。そして俺はゴン太がこの国の王子であることをゴブリンに知られないようにしていたのであった。

俺はゴブルに人間達をこの世界に連れてくる前の出来事を軽く説明してからゴブルに質問をしたのである。

「ところでお前はどうしてここに来たんだ?」

「ゴブ太郎とゴブルが結婚するために俺が二人に人間を案内したんです。」ゴブ助が俺の疑問に対して答えると俺は、そんな事があったのかと感心しているのであった。俺がゴブルと会話を続けていると突然俺が持っていた剣から俺の使い魔のクロが出てきて、俺のことを馬鹿にするような目でこちらを見つめてきたのである。俺が何故ここに出てきたか聞くとどうやら俺のことを呼び出したのはコイツらしいのだ。

「貴様が魔王か!よくもこの私を騙してくれましたね!!許さないわ!!」

(ん?どういうことだ?魔王?そんなのになった覚えはないんだが。一体何のことだろうか?)

俺が戸惑ってそう思っているとクロは俺のことをいきなり攻撃してきたのだ。俺はとっさにガードしようとしたがクロの攻撃を防げる自信が無かったのである。しかし俺が攻撃を受けた次の瞬間にはなぜか俺は地面に倒れていたのだ。俺が起き上がる前に俺を殴った張本人が話しかけてきたのである。「どうですか?私が本気を出して貴様を攻撃した感想は!私は今まで貴方のような強い相手と戦ってみたいと思っていたのです!それなのにこの体の持ち主のゴブルとゴブ郎様の身体を借りて好き勝手にしている貴様に私の恨みを思い切りぶつけたかったのですよ!」俺はそう言って怒る女性に対して俺はとりあえず謝ることにしたのだが何故か女性の方まで土下座をして俺に謝罪したのである。俺が彼女に何で急に俺に頭を下げたか聞いてみたら彼女が答えた言葉に俺は驚かされた。

「すみません。実は今の貴方を攻撃する為にこの方の身体をお借りしてたの。本当はあなたと戦うのは別の人が良かったのよ。だけど貴方はこの世界にやって来たときゴブ郎と一緒だったので、その人にあなたの相手をしてもらうことにしました。それで、その人の魂に私の力の一部を憑依させたんです。ごめんなさいね。だって貴方みたいな強そうな人とまともに戦ったら、いくらこの人の身体を借りていても勝てる保証なんてどこにもないじゃない。だから貴方の力を測らせてもらったってわけ。」俺は、この女に俺は舐められていたということを知ってしまい悔しくなり拳を強く握りしめた。そして俺は、このふざけた女の態度を改めさせるべく俺はこの女を叱ろうとしたが俺はその怒りを必死になって抑え込む。ここでこの女を殺したりなどすれば、それこそ俺の立場が悪くなるだけなのだから我慢するしか俺にはできなかったのである。

俺は、まずこの女が誰なのか尋ねたのだが、どうやら俺には関係のない人物らしいので無視することに決めて話を進めることにする。俺が話を進めていくと、どうやら俺とゴブルの戦いの決着がつく少し前に俺が召喚した者達は全員目を覚ましてしまっていたようだ。俺はこの女の事を俺にこの体を貸すために自分の肉体ごと連れてきてくれと頼まれたと説明したのだがそれを聞いた途端にこの女性は、俺に対してこの女がどれだけ迷惑をかけていたかを自慢げに語ってきたのである。俺も最初は彼女の言っていることが信用できていなかったのだが彼女がゴブリンの夫婦を連れてきたという事を話し出すとそれについて俺は少し疑問を抱いたのだ。俺は彼女からこのゴブ郎という夫婦がこのゴブリンを連れてきた理由を聞くとどうやら彼女はゴブ郎とゴブ助夫婦に自分を連れて逃げろと命じた後二人に逃げ道を用意してやったらしい。だが俺達が転移してきた時にたまたまその場に現れた人間が自分達に攻撃を仕掛けてきてしまったのだということで二人はその攻撃を受けて殺されそうになった時に運悪く俺がその場に現れたらしく俺が二人を助ける代わりにこの女の望み通りにしろと言ったところ、二人はそれを承諾してこいつと共に行動することになったのだとか。そしてこいつも、俺と同じようにこの世界を救う勇者のパーティの一人で俺と仲間になるはずだったと教えてくれたのだ。

そしてこいつは俺達と同じ時期にこの国に来ていて、その時は人間のフリをしていて人間の国の王城に出入りしていた。だがそこで王に自分が魔物だという正体をバレてしまい追い払われたがその時、人間に騙されずにこの国に留まって人間との共存を目指すためにゴブ郎とゴブ助の二人に相談をしていたそうだ。俺もゴブルに二人の事を尋ねてみるとやはり同じ境遇だったようで二人も人間達に魔物扱いされていたようである。俺も、もしかしたらと思い、この女性が人間と手を取り合えるようにすると言っていたことを二人にも伝えることにしたのである。

それからしばらくすると、こいつのせいで気絶してしまった俺の仲間も目覚めたようなので、俺はこいつらを連れてゴブ朗に会いに行くことにした。しかしこいつも一緒に行くというので結局は六人でゴブ助とゴブルの親父であるゴブ蔵の元に向かうことになった。

俺は、ゴブルの話をゴブ郎から聞いていたので彼の気持ちはある程度理解出来ていたがこの世界の事情はあまりにもゴブ郎に厳しかったのだ。ゴブ助とゴブルは人間の国から追放されてこの国に住む魔物達のまとめ役のような仕事を任されているゴブリンでありこの国の王ゴブ蔵はその部下達からもあまり好かれていないらしい。俺は、そんな状況のこの国の中に入ることになるのかと考えると少し不安になっていたのである。

ゴブルとゴブ郎の話によるとゴブ蔵達はゴブリンの里に住んでおりゴブルの話ではその里はかなりの大きさのようでそこに住み着いたゴブリンは総勢一万五千匹ほどもいるらしい。俺達がそのゴブリンの住む場所に向かって歩いている途中ゴブリンがこちらの様子をうかがうようにして近付いて来たのだ。ゴブルがこの近くに人間がいる気配がするのでゴブ郎と一緒にその確認をしに行きたいと俺達を案内してくれたのである。

「お前は、このゴブ助様が何者か知っての行動だろうな?」俺の使い魔が俺の代わりにこのゴブリンにそう尋ねるとゴブ助と呼ばれたゴブ助と見た目が全く変わらないのに口調が偉そうになっているゴブ助が現れた。

俺はそんなゴブリンを見て驚いているとそのゴブリンがゴブルとゴブ助のことを呼び捨てにして話しだしたのだ。

ゴブ郎とゴブ助が何かを言おうとしたがそのゴブ助を止めてゴブルが自分の名前を名乗りだしたのである。ゴブ助の奴がこの世界の人間と仲良くしようとしているという話は聞いたがまさか俺達よりも先に到着していた奴が居るとは思っていなかった。俺達を出迎えたのはゴブリンキングである。俺達はゴブリンキングに連れられてゴブリンの王の元へと向かうのであった。そしてゴブリンキングに連れていかれた先には俺達と同じくらいかもう少し幼い感じの少女と大柄でゴブリンキングよりかなり大きい筋肉隆々の男がいた。俺達を見た少女が「あら、随分可愛くなったじゃない。私はこのゴブリン達を束ねる立場にあるゴブリンロードよ。そしてそこの大男がこの国のキングを務めているの。そしてこの子がゴブリンエンペラー。この子にはこれからゴブリンキングの地位を継いでもらおうとしているのよ。そして貴方の名前は?」ゴブ吉と名乗るゴブリンが答える。

「我の名か。ふっ、いい名ではないか。我の名は魔王だ!!」ゴブルが慌てて「魔王様!!」と叫んだがゴブルを無視してゴブ吉はゴブ美の名前をゴブルに伝えたのだ。俺の使い魔のクロもどうやら俺に魔王と名乗ったゴブリンのことを気にくわないと思ったのか俺のことを見てくる。ゴブルも自分の主が本当に魔王かどうか分からないが魔王と名乗ったゴブリンを魔王として扱わなくてはならないと思っているのか、かなり悩んでいるようだ。

「そういえばまだ俺達とこの世界の人間がどんな風に知り合ったのかを教えていなかったな。実は、この世界を一度滅ぼそうとこの世界に魔王を名乗ったゴブリンの魔王が出現したのだ。俺達の国は今まさに滅ぼされようとしているところで俺は、俺の大切な家族と友人と仲間を守れるようにこの世界にやって来ていた。そんな時、俺は、ゴブルから相談を受けていてこのゴブ郎とゴブ助はゴブ吉がゴブルを信用しているからこそ信用してこの国の中に入れたんだ。俺は、俺の大切な仲間であるゴブ郎が信頼している者達を信じることにしたんだ。俺がゴブルにそう告げるとゴブ郎が俺の側に来て言うのだった。「俺達ゴブリン族はこの世界の魔物の中でも特に力が強い種族で、それに加えてゴブルさんとゴブ助とゴブ郎が協力してようやく一匹で人間と戦うことが出来ます。それでも今の俺とクロは貴方の期待に応えることが出来るか正直分かりません。でも必ず貴方の力になってみせます。貴方は俺の命の恩人です。俺は貴方のために戦いましょう。それにこのゴブリスと言う男に命を救われた時から俺は決めたんです。絶対に貴方のことを裏切るような真似はしないと。ゴブ郎とゴブ助も同じ思いでしょう。」ゴブルは感動したようで涙を流しながらゴブ郎とゴブ助を抱き寄せて三人で抱き合っていたのである。俺の配下になったゴブリン達もそれに倣って俺の側に来て俺の味方になってくれたのだ。

(はい!喜んで!!私達は皆、貴女の奴隷になりましょう。それでその前に、この世界で生き残るために色々と準備したいのでゴブ朗さんのご両親の所にお邪魔させていただきたいのです。お願いします。俺は別にかまわないぞ。俺もこの世界に早く慣れてこの世界の人とちゃんと話がしたいと思っていたから丁度良かったよ。ただ一つだけ注意点がある。こいつらの事なんだが、実はこいつらはゴブ郎やゴブ助、それとここに居ないけど、この国の女王であるミウっていうやつが従えている魔物達だ。まあ俺達には危害を加えないだろうしこいつらがゴブ蔵のところに遊びに行くだけだ。俺はこいつらにこの世界ではこいつらの存在は知られてないが、もし誰かに知られたとしてもこいつらの正体がゴブ郎達だとバレないようにしてもらえれば構わないと思う。どうだろうか?ゴブ朗の旦那、ゴブ郎や、それに他の連中にも話はしてあるんでね。俺からはこんなもんしか言えることはない。)

俺達はその後すぐにこのゴブリンの国に住むゴブリンの親子の家にやって来たのである。

それから俺はこいつらと話すうちにだんだんと仲良くなっていくことが出来たのだ。俺の家族は、こいつら全員を受け入れて一緒に暮らすことにしたのだ。俺ももちろんそれを承諾するつもりだったのだが、どうもゴブ吉だけは反対らしい。なんでも、魔王を名乗っているゴブリンだから警戒する必要があるとか言い出したのである。俺もそのことは考えたがやはりこのゴブリン達を疑う気になれなかったのでこいつらをこの家で暮らせないかと頼んでみることにするとゴブルがゴブルの父親であるゴブ蔵に相談してみても良いと言った。

ゴブ郎はゴブ蔵に会うのを楽しみにしていたがゴブ郎の父親が俺達と一緒に行動していることを話すと、流石に驚いていたが、この世界の人間とゴブ太の両親との話を聞かせたら何とか理解はしてくれたようである。

だがその日ゴブルの父親はゴブ郎にゴブ郎の母親について話をしていた時に俺達と初めて対面した時に母親にそっくりな女性を見掛けたというのである。俺達は急いでゴブ蔵の元に急ぐのであった。俺達が急いでいる最中に俺達を見つけたのかゴブリン達が一斉に襲ってきたが、ゴブ朗はゴブ蔵の居場所を知っているらしく迷わず俺達に着いてきてくれていたので特に問題は起こらなかった。

そしてゴブ蔵の元へ辿り着くと、俺はこのゴブ助をゴブルとゴブ蔵に任せてゴブ吉を連れてゴブ蔵と二人で話し合いを始めたのである。

それからしばらくしてから今度はゴブ助の方にも動きがあったのだ。ゴブ助とゴブ助がゴブ郎とゴブ助をゴブ蔵とゴブ助の所へと連れて行ったらしい。俺達はまだゴブ郎が目を覚まさないようなのでしばらく待つことにしていたのである。するとその時に一人の男がこのゴブリンの里に現れて、この国の王様であるゴブリンキングを殺しに来たらしい。俺達はそいつと話をするためにこのゴブリンキングのゴブ助とゴブ助とゴブ助の三人が向かうとそこには大柄の人間と小柄な人間が立っていた。そして人間達は俺にいきなり攻撃してきたのだ。俺はその攻撃を咄嵯に防御したが、俺の体を吹き飛ばすほどの強烈な衝撃を体に受けた。俺はこの人間達の強さがかなりヤバいと直感で判断して直ぐに逃げようとすると俺の体は宙を舞っていた。

俺が空中でなんとか体勢を整えて着地した時には、俺の周りにはゴブ吉以外全員地面に倒れていたのである。しかも俺は何故か人間達に剣を突きつけられていたのだ。俺はその光景に恐怖を覚えながらも必死に隙を見つけようと考えていたのである。

俺は、目の前の人間の言葉を聞いて、こいつは俺に嘘をつくような奴じゃないと思ったので俺はゴブ吉に俺を拘束するように命令を出した。俺の使い魔はゴブ吉に俺の言うことを聞かなかったら殺すと伝えると、俺の命令通りに動いてくれるようで俺が殺されることは無いだろうと思い、俺は安心して俺を殺そうとした理由を聞いたのだ。

そしてその理由はこのゴブリンがこのゴブリン達の王を殺したことでゴブリン達を従えられると俺に勘違いされて俺の国に被害が出ないようにするためと俺達を殺しておかないとこの国の人間が俺を殺すために来ると伝えてきたのである。俺には正直そんな人間達は放っておいてもどうせこの世界の人間達はいずれ死ぬ運命だと思うが俺は一応聞いてみることにした。そして、俺達はゴブ郎とゴブ助を元の世界に戻す方法を聞き出そうかとゴブ郎達を探しに行ったのだ。しかしその時俺達の視界は真っ白になっていったのであった。

「はぁはぁ、ここは一体どこだ?」俺はゴブ助にここがどこかを尋ねるとゴブ助も分からないみたいだったが俺とゴブ助とゴブ郎の三人は知らない間に転移魔法を使えるようになったらしく、今はゴブ蔵の家の中に来ていた。そこでゴブルの父親と会えたので俺はこの世界からゴブ郎達を連れて帰るためにゴブルの父親の力を少し借りるつもりで、俺達のいた世界のことやこの世界の現状を話してみたが、あまり上手くはいかなかったのである。なぜならこのゴブルの父親には俺達の世界とこの世界に何か関わり合いがあるなんて知るわけがないのだから当然といえばそうなのかもしれない。俺は俺の家族を安全な場所に移動させるために俺とゴブ郎とゴブ助とゴブル達を一旦俺達の世界に戻そうとして俺はゴブル達の協力のもと家ごとこの世界に召喚させたのである。

そして俺はゴブル達を安全なところに避難させるとゴブ吉の方に向き直りこれからの事を考えるとまず最初にゴブ吉の両親を助けようと決めたのだった。俺はゴブ郎とゴブ助、それとゴブル達と共にゴブ郎とゴブ助が暮らしていた村へと向かうのである。その道中は俺達の周りは結界を張りながら移動するので安全である。俺はゴブ郎にもしもの場合に俺の代わりにゴブルとゴブ蔵を守って欲しいと伝えたらゴブ助とゴブ助もゴブ蔵の護衛に回ってくれると了承してくれた。ゴブ蔵が俺達に協力してくれるかどうかは分からなかったからな。

そして俺達一行はゴブ蔵が住んでいた里に着いたのだがゴブルは、ここに俺達の家族が住んでいると言っていた。確かにこの家は以前訪れた時と何も変わらないように思えたがどうもこの家の空気が変わったような感じを受ける。ゴブルは家に近付くとゴブ蔵を呼ぶと言い出したので俺はそれを止めるためにこの家の住人を全員集めるように指示を出しておいた。

それからしばらくして俺の家族は無事に集合したので、俺達はすぐにここから立ち去ることに決めた。俺はこの家に住んでいる全ての人に事情を説明してこの家から離れるように言ってから、俺は家族全員を空間の歪みの中に押し込んだのだ。それからこのゴブ助とゴブ郎とゴブ助の三人と別れの挨拶をしている時にゴブ助がゴブ蔵の元に帰るためにゴブルの父親を俺達と一緒に来て欲しいと言うとなんとあっさり付いて行くと返事が返ってきたのである。ゴブ助達は、この人が居てくれると凄く心強いので是非お願いしたいと頼み込みゴブルの父親は俺達がゴブリンキングを倒す手助けをしてやるからその代わりこの俺がゴブ蔵を守ると豪語していた。どうやら俺がゴブ助達に俺の本当の姿を教えるために変身した時に見たこのゴブ蔵の父親を相当気に入ったようだ。このゴブリンには色々と感謝しているが、ゴブ郎は、 ゴブ郎がゴブ蔵とゴブ蔵の母親を守りながらゴブ蔵達がいる場所に向かうことになった。この里から出る前に俺は皆に念話でゴブ郎達もそこに呼ぶようにと指示を出しゴブ蔵にゴブ郎達を連れてくるように指示を出す。それからゴブ助とゴブ蔵はゴブ吉と一緒に俺達がこの国を出るのを見届けるために一緒に俺達に着いてきてくれた。ゴブ吉の話ではゴブ郎はもう目を覚ましたらしいのでそろそろこちらに向かってきているだろうとのことであった。そして、ゴブ蔵の両親達をゴブ蔵に渡すとゴブ郎がゴブ蔵とゴブ蔵の両親の再会の邪魔にならないように気を利かせて二人きりにしたのだ。

こうしてゴブ蔵とゴブ郎は無事合流を果たしゴブ郎とゴブ蔵とゴブ助は、ゴブルの案内によりこの国のゴブリンの住む里に向かい始めるのであった。俺達はゴブリンの国の王様であるゴブリンキングをゴブルの父親と俺とで殺しに行った。そして俺は、このゴブリンの国をゴブリンの長のゴブリンキングに統治させようと考えていた。ゴブリン達はかなり俺に感謝しており、俺の指示に忠実に従うようになっていた。しかしそれでも俺達人間はゴブリン達にとって脅威でしかなかったのである。なので俺達はゴブリン達の戦力を上げるためにあることをしたのだ。ゴブリン達を強化する方法はいくつかあるのだが俺の場合は使い魔に魔物を従わせるスキルを持っているためそれを応用して、ゴブ郎をゴブリン達のレベル上げに使わせていたのである。

ゴブ郎の能力は俺が考えた設定通りなら俺よりも能力は高いはずだしゴブ郎はゴブ助と同じようにレベルが高いので俺は安心して任せていたのだ。しかしここで問題が起きていたのである。それは、この世界ではまだゴブリンにゴブ朗のような強力な加護を持つ者が現れていないということだったのだ。そのため、俺の予想ではゴブ郎がレベルアップすれば必ずゴブ郎は強くなると思っていた。しかしその考えは違った。俺は今この世界の状況を考えていなかったのだと後悔している。この世界のゴブリンは人間に対して恐れを抱き、ゴブリンの里に引きこもり人間に見つからないように細々と生活してたのだろう。そんなところに急にレベルが高くなりすぎてゴブリンとは思えないほど強力になってしまった者が現れたとしたら、このゴブリンの里が他の人間にバレてしまいこのゴブリン達は狩られてしまう可能性が高いのだ。

俺がもっと慎重に行動すべきだったと自分の愚かさを嘆いているときにこの世界にもついに人間が現れるようになって来た。この国はゴブ郎が俺とこのゴブリン達のために作ったこの世界の人間の目からは隠れやすい場所にある。この国の場所は誰にも教えていないはずなのだ。俺はこの世界に人間が入ってきたという事はおそらく、この国が滅んだことを知って俺を殺しに来たのか俺が人間だということを知っているこのゴブリンを狩りに来たのどちらかだと思われる。俺は人間を殺さないといけなくなった。このゴブ吉をゴブ吉の親父とお袋の元に向かわせたら俺はゴブ郎と二人で、この国をゴブ郎に任せることにして、このゴブ吉の両親が住んでいる村へと向かうことにしたのである。

このゴブ郎に俺の分身を作って渡してあるのでいざとなれば俺の分身に全てを任せればいい。俺はゴブ郎を俺達の世界の人間から守るように頼んでゴブ郎には俺の分身を一体預けておくことにする。俺は、俺の分の武器と防具とアイテムボックスを渡し、ゴブ郎の両親とゴブ助の両親と俺の四人は俺が作りだしたゲートを使ってこの世界にやってきたのだ。俺達はまず初めに、俺と俺の家族が住んでいる屋敷へと向かったのである。そこにはこの世界のゴブ蔵とその奥さんと息子であるゴブ太がいたのである。そしてその後この世界のゴブ蔵達は俺の家族と話をすると言い出していたので俺はゴブ蔵達にこの世界に来てくれてからのことを詳しく聞くため俺の家族を別室に呼ぼうとしていた。

しかし俺は、そんな事をする暇は無いと思いゴブ吉とゴブ助を呼び出してこの国の事を任せて俺が連れてきた俺の家族と共に俺はこの国の国王の元に向かったのである。俺が俺の分身と共に城に乗り込むとこの城の警備をしていた奴らが、俺とゴブ助達を見ると慌てて逃げ出したので俺はゴブ助に後を追うように命じたのであった。ゴブ助がこのゴブリン達を引き連れて逃げた者達を追いかけていくのを見てから俺はこの国の国王の元へ向かったのである。俺のこの世界に対する気持ちはとても最悪なものとなっていた。このゴブリンの国が滅びかけている理由を俺はこの世界の人間に説明をすることにしたのである。俺はゴブ郎の能力をゴブ吉とゴブ助とゴブ助の三人に教えることに決めていた。ゴブ蔵とゴブ助達はこの国に来る前にある村にゴブ助達は避難させてあるので俺はゴブ郎を呼び寄せて三人の所に行かせた。俺はゴブ助達を俺のところに連れて来るように命じゴブ郎を一旦戻すことにしたのである。それからしばらくすると、俺はこのゴブ助の両親をこのゴブ助の家に送るためゴブ郎のいる所に行きそこからゴブ郎と共にまたゴブ蔵の元へと向かっていたのだ。ゴブ助とゴブ蔵の親子を先に送り終えた俺がゴブ郎と一緒にゴブ蔵達を待っている間に俺はこの国の王と謁見することになったのである。このゴブリンの王の名前はゴブリンキングと言っていたが、ゴブ郎と同じ名前だった。そしてそのゴブリンキングはこのゴブリンの国を作った初代のゴブリンキングの息子だというのだ。

このゴブリンキングにゴブルから聞いていた情報を話してやった。どうやらゴブルも知らない情報も俺に教えたようだ。この世界はゴブリンにとても優しい世界になっていると。ゴブ郎がゴブ助達を連れて戻ってきた時、この国では、人間達が俺の家族を襲っていた。

ゴブ蔵の親父を先頭にしてこの国にいる人達は必死になって抵抗していたが、それでもかなりの数の人間達にこのゴブリンの里は滅ぼされてしまったらしい。そしてゴブ郎とこのゴブ助は、このゴブリンの長とこの里を守るために戦い、多くのゴブリン達がゴブ蔵の両親の方へ応援に行くとこの国の外に出て行った。そしてその時既にこのゴブリンキングがゴブルによって操られていたと判明した。どうやら、ゴブ朗の加護の力でゴブリンキングが支配されているようだ。ゴブ郎もゴブリン達と力を合わせてこのゴブリンの国を守っていたのだが次第に劣勢に立たされていき、最終的にはこのゴブ蔵の両親がこのゴブリンの国から出てゴブ郎と別れることになるのであった。

このゴブリンキングがゴブルに支配されていることが発覚すると俺が、このゴブリンキングを殺してもいいと思ったが、ゴブリンキングがこの里の全てのゴブリンの指揮権を持っているのでこのゴブリンキングは死なせたくないと考えたのだ。俺はこの国の国民を説得するためにもゴブ郎の能力を使えるようにしなければこの国は終わりだと考えたので、俺はゴブ郎をもう一度ゴブ郎の前に呼び戻して、ゴブ郎の意識の中に俺の魂を入れたのである。

それから、ゴブ郎がゴブ郎の親父とゴブ助達にこの国の現状について詳しく説明をするのであった。ゴブ郎が俺の魂を入れられているのを知ったゴブ助とゴブ郎の親父は俺がこのゴブリンの王様と会話をしてみたいと思っていることに気付いたのか二人ともゴブ郎の説明が終わるまで黙って待つ事にしてくれたのだ。俺が俺の意思をこのゴブリンの王にぶつけることで、俺が本当にゴブリンが嫌いで滅ぼしたいと考えていると分かってくれるかもしれないと考えたのだ。ゴブルの話によるとこの王様には娘が一人いて、その女の子も、かなり俺に似ているようなのだ。なのでこの子もできれば救いたいのだ。

俺がゴブリンの王に俺の考えを一方的に話すと、このゴブリン王は(俺を試してみたというわけか?ゴブ吉)と言い出したのだ。ゴブ吉というのはこの世界の俺の名前だったのだ。そして俺は(あぁ、そうだよ)と言って、俺はこの世界の人間を信用していなかったのでこの国の人間を全滅させるつもりである。しかしこのゴブリンは、この国の人間を守るように行動しろ。俺を納得させたかったのならばこの国の人間に手を出さなければ良かっただけなんだぞ。まぁいい俺もお前がどんな行動を取るのか見てみたかったからな。俺に認めてもらうために行動したというわけか、面白い。これから、お主が我に認められる行動をすればこの国は見逃してやっても良い。しかし認められぬ行動を取ったのであれば容赦しないから覚悟しておれ!と威圧を込めて言うとこのゴブリンキングは「御意に」と返事をしたので俺は俺の世界に戻って、元の状態に戻るのであった。

(ゴブル、この国に住む者達の中で強い者を俺の前に呼べ!!このゴブリンの里が人間に襲撃を受けて、人間どもに滅ぼされようとしているということを知っている奴だけで構わない!!今すぐだ!!俺は俺の目の前に現れる者に俺が認めた証として俺の持つ能力の一つを与えると約束しよう。この俺の言葉を聞いた者は必ずこの俺の指定した者以外の者に伝えよ。俺が与えた力を悪用しようと企むものは許さない。その者には俺が直接出向くことになる。分かった者はこの部屋に入れ。この俺の声は聞こえているはずだが念のため言っとくが、俺がこのゴブリン達を助けるとは限らんのだから、そのことを理解しておくように。もし助けたければこの俺の力に頼らないで己の手で国を守れ。それでは、まずはこの俺に最初に呼ばれたものからこの部屋に来い!!!俺の名は、ゴブリンだ!!!)」

俺の宣言通りこの部屋の中に入って来たのはゴブ郎達と俺と、このゴブ郎達の両親が入って来た。ゴブルに確認させるとこの中に俺の能力を受け取れそうな人物がいないことを伝えられ、ゴブルが連れて来たのは、やはり俺の分身達だけであったのだ。ゴブ郎達の両親は何か言い出そうとしたが、それを俺は遮ったのである。俺はゴブ郎の両親とゴブ郎達にも、もしも俺に認められなかった時は俺の元から離れてこのゴブ郎に付くなりこの国に残り国を守れるようにするなり自由に動くように伝えていたのである。ゴブ郎は俺の元を離れることは考えていなかったらしいが、他の者達は、ゴブ郎の元から離れる事を望んでいたようだ。ゴブ助達はゴブ郎の元を離れた方が良いという事でこの場を離れていった。俺はゴブ助とゴブ太郎とゴブ美の三人をこの世界に呼ぶことにした。三人にはゴブ郎と共にゴブ郎の家族を俺の作ったこの世界での村に送ってもらうためである。ゴブ助達がゴブ郎の元に向かっている時に俺とゴブルは二人で話をしていた。この国の人間はどうやら俺を舐めていたらしくて俺の話を聞こうともしなかった。俺はその事に腹を立てて、その国の王達を殺したのだ。その死体を見たゴブ郎が驚いていたのは当然である。そしてゴブ助達が来るまでの間このゴブリンの国をどうするかを話し合うのであった。

それからしばらくしてゴブ助達が来たので俺は、ゴブ郎とその家族の事と、俺の分身達にこの国を襲っている人間達の撃退を頼み俺はこのゴブリン達と話し合いを始めるのであった。

ゴブリンキングは俺にゴブ郎に能力を与えてこの国を任せようと思っていたらしい。このゴブリンの王は俺に認められたいが為に国を任せるとかそういうことではなくて、純粋にこのゴブリン達を助けたかったのだと俺は思う。このゴブリン達はゴブリンの里の中でもこのゴブリンの王の娘を除いて全員がゴブ吉よりも遥かに上の強さだったらしい。俺はそんなに強くないのにどうしてなのかと聞くと、この世界の人間がこの世界にいる魔物を虐げていることが原因でゴブリンが進化した結果なのだと教えてくれたのだ。だから、ゴブリン達が弱い種族ならこの世界では生き残ることができない。この世界に来る前にゴブルから教えられたことを思い出してみた。この世界では人間の数に対してモンスターと呼ばれる生物の数が少なかった。その事が関係しているのだろうと思うのだった。それにしても俺は俺に似ているこの女の子が凄まじく気になっていたのだ。俺は俺に似ているこの子が欲しいと思ったのだ。そこで俺は自分の娘として育てさせて欲しいとこの王様に言ったのだ。俺と王様の会話を聞きながらこの国の王はずっと涙を流していた。この王様に俺は娘の事は任せると一言だけ言ってその場を去ったのである。それからしばらくしてこの国の王の娘であるリザードマンが俺の前に現れたので、ゴブ郎を俺の元に呼び戻すのであった。

そしてこの世界にいる全てのゴブリンがゴブ郎と、ゴブ助達が暮らしているゴブリンの村に集まってきていて、ゴブ蔵はどうしたのか聞いたところゴブ郎がこの国の防衛の為に残したのだと言われたので俺はゴブ郎とこの里に残っているゴブリン達にゴブ蔵を助けに行くことを伝えてから、ゴブ郎を元の状態に返してから俺達はこの里を発つことにしたのであった。

「なっ、なんだこいつらは?」

僕達は突然現れた魔物に戸惑い、攻撃できずにいた。すると、突如として現れたゴブリンが僕達の方に話しかけてきた。僕は咄嵯に反応してしまったのだ、なぜなら僕の目の前にいるゴブリンは他のゴブリンとは明らかに違う強さを感じることが出来たからである。

しかし次の瞬間目の前で何が起こったか全くわからなかったのである。ただ一つ言えるのは目の前であの巨大なゴーレムが吹き飛んだという事だけである、だが一体どうやってあの化け物を倒したのだろうか、そもそもあいつらの仲間ではないみたいだし、でもなんとなくゴブルさんと、あの小さい女の子に似ている感じはする。もしかして兄妹かな? するとまた目の前の男が話し出すと今度はいきなりゴブルさんが男の前に飛び出した。

そのことに驚きを隠せないのだが、ゴブルさんの口からとんでもない言葉が出てきたのだ。そしてゴブルさんは一瞬にしてゴーレムをバラバラにしたのだ。それからは本当に信じられないことの連続であった。ゴブルはゴーレムの腕を切り裂いたりゴーレムを吹き飛ばしたりしていた。そして遂にはそのゴーレムの頭を切り落としてはめたのである。

その後ゴブ郎と名乗る男の人がこの里に来たゴブルさんと何か話を始めたので、僕も聞いてみたかったけど今はそれよりも重要なことがあったので後で話すとゴブルに言われてしまって少し残念に思ったのだけど仕方がないことだと思い諦めることにしたのだ。それからしばらくしてゴブルがゴブリンを引き連れてどこかに向かおうとしているようで僕達は慌ててゴブリンの後を追う事にしたのである。しかし、ゴブルが立ち止まってしまった。僕は何故だかわからないけど嫌な予感がしてならないのである。そしてゴブルからとんでもない発言が飛び出したのである。

(みんな、今すぐここから逃げないとこの国が大変なことになる!!ゴブルはもう既に限界なんだ!!)と言って、その直後のことだった。ゴブ郎のお父さんとお母さんが殺されてしまったのだ。その事に皆が悲鳴を上げたのは言うまでもないことだった。そしてゴブ助君がゴブリン達を先導して走り出した。

僕もその後ろをついて行き、他の仲間達と一緒に逃げることになった。ゴブ郎は僕たちとは別の方向に走っていったので多分別の人達と合流しに行ったんだと思うんだけどどうなるのだろうか?もしかしたらゴブルもゴブリンの里も助からなくなるんじゃないかなと内心思ってしまいながらもゴブ助の誘導に着いて行ったのだった。ゴブルの言う通りに僕たちはゴブリンの里から離れようとしたのだけれどその時だった。

僕たちが逃げるために通ろうとした場所に突然岩壁が現れたのだ。しかもそれがどんどん高くなっていってついには僕たちを閉じ込めてしまったのだ。そして僕達の周りには沢山のゴブリン達が出てきて囲まれてしまうのであった。そして僕達と対峙するのはさっきゴブ郎達と戦っていたゴブリン達である。

「おぉーー、よく来てくれたね。これで準備完了だ。これから始めるよ!!まずはそこのゴブリン達から始めようか!!」

そう言ってゴブ郎が腕を振り下ろすとそこに居た大量のゴブリンが一斉にこちらに向かってきたので僕は仲間達に声をかけて戦闘体制に入った。ゴブ郎が指差した先からやって来たゴブリン達の相手をすることになったのである。

「おい!!大丈夫だ!!お前は死んでいる。安心しろ。」

「う、うるさい!!俺は生きているぞ。だから俺はお前に従わない。絶対に、絶対に逆らってみせる。俺を馬鹿にするな。」

俺はその少年に向かって、何度も同じことを言っていたが、一向に聞こうとはしない。まあ、無理矢理、従わせることはできる。それはこの国を支配することができるほどの力を手に入れたのなら、それくらい簡単にやることなのだが、そんなことしたら面白くないだろうと思ってあえて俺はしなかった。ゴブリン達と話をして、それでこの子達にもちゃんとした意見を聞く必要がある。それに、ゴブ助達にはゴブ美がついている。俺の能力によって作られたゴブ美は、この世界で言えばゴブリンキング以上の強さがあるはずだから問題ないだろう。ゴブ郎は俺の言葉を聞いてくれたようだ。俺に服従の意思を示したのである。

俺は俺に歯向かっていた、この子の処分をゴブ郎に任せる事にしたが、ゴブ郎にはこの子は殺しちゃダメだと伝えた。俺がそう言うとゴブ郎は驚いていたが俺の指示に従うと約束してくれた。それからは、このゴブリンの子供を連れてきて俺の前に立たせるように指示したのだ。俺がそのゴブリンの子供が俺を睨んで反抗的な態度をとっているのを見て、俺は子供を殺すように命令した。

俺の命令に従ってこの子供の胸を突き刺そうとしたゴブ郎を俺は止めた。なぜこの子供を生かしておかないといけないか説明しようとした時、俺がこの子供を操ればこの子がゴブ助達の居場所を知っている可能性もあったからだ。だから殺さずにこの子に質問することにしたのである。俺に刃向かうのを止めないその子に対してこの子を拷問することに決めた。そしてそのやり方を聞いた俺の配下は全員驚いて固まってしまっていた。俺はこの方法が一番効率が良いと説明すると皆一様に納得した様子だった。俺は配下の者にやらせて見たいと頼むとすぐに実行に移し始めたのである。

俺はこの国の支配者として君臨しているわけで当然のように自分の能力について理解していて欲しいとこの子供達に伝えていた。俺の能力の説明を始める。俺はこの国の全ての生き物にこの国の支配を受け入れさせる事ができるのだと。つまり俺が死なない限りこの国の全てを支配し続けることが出来るということを説明した。

それから俺はこの国に何人の人間が出入りしているのかを確認する為にこの国の中を探った。俺が能力をこの国に使ったことによって、ゴブ郎の家族はこの国のどこに住んでいるのか、どのような人間が入国したかなどを全て知ることができたのだ。その情報によるとゴブ郎の両親が殺された後にこの国に訪れた人間は一人もいないということがわかった。その事を俺はゴブリン達に話すと、この国では人間を見かけたという報告がなかった為か、俺の言葉を信じてくれるのであった。そこで俺はこの国に住む住人達に告げることにした。この国の王を殺した者は今からここにいるゴブリンが王になると。

俺はこの国のゴブリン達に指示を出してこの城の中に残っていた人間の死体を片付けさせたり、破壊された物を直したり、ゴブ吉達と戦わせようとしていたゴーレムを復活させたりしていた。

俺はこの国の王になるべくこの国の仕組みを説明し、自分が支配していることに異論はないか?と聞くとゴブ郎の父親が、この国の王を殺してしまっていいのでしょうか?と言ったのである。それに対して俺が答えを返そうとする前に、この国の王を俺のモノにしたゴブ吉達がゴブ郎に文句を言ったのである。

「ゴブル、これはいったいどういうことだ?」

俺はゴブ郎とその仲間たちと話し合いをしている最中だった。すると突然ゴブ郎の仲間の一人が、いきなり俺達に剣を向けたのだ。そして俺の背後から声がしたのだ。俺は驚きつつも後ろを見ると、そこに立っていたのはゴブ蔵だったのだ。

ゴブ蔵達はこの国から出る時に別れて、その後の行方が分からなくなっていたのだが、ゴブルはゴブ蔵達がこの城に戻ってきたことを悟ったようで、この城をゴブ蔵達に譲ることを宣言したのである。ゴブルが、ゴブ郎がゴブ蔵にゴブ蔵の両親が死んだことを伝えたところ、ゴブルがゴブ郎を殴っていたのだ。

「なんで、なんで親父達は死んじまったんだよ!!ゴブルがゴブリンの里に連れて行ったんじゃなかったのか!?それとゴブル、お前は親父が死んでしまった事よりも、この城を譲る事が重要な事なのかよ!!」

「違う!違う違うんだ!!確かにこの城はお前に譲ってやるつもりだった!!だけどこの城を、この国がゴブ郎、いやゴブルのものになるというのは少し待ってくれ!」

「何だよそれ、どういう事なんだ!!俺だってこの国の住人なんだぞ?俺の国だろ?ゴブル!!」

「違う!!ゴブルのじゃない。お前のだ。ゴブ郎はお前のゴブリンキングなんだ。」

「ゴブ郎は俺の兄貴だろう?それがどうしてゴブルの所有物になってしまっているんだ?おかしいじゃないか?それじゃ、この国の住民を裏切って俺の味方をするような行為だぞ?そんなことが許されていい訳がない。ゴブル、俺はゴブ郎を取り戻すためにゴブルと戦うことにする。」

それからは壮絶な戦いが始まった。ゴブリンとゴブリンナイト、そしてゴブ郎。お互いがぶつかり合い、そして最後に勝った者が新しい支配者になるという事になった。そして最初にぶつかったゴブリンとゴブリンナイトだが、勝負は一瞬で終わったのである。結果はゴブ郎とゴブ太郎、それにコボルトが圧勝してこの国はゴブ郎達の手に落ちてしまったのである。ゴブ郎がゴブ郎と戦っている間、ゴブ助はずっと、ゴブ郎の母親が心配だと言っていた。俺が母親を治してやろうと提案してみるが、それはゴブ郎がゴブ郎と戦っている時に邪魔をする行為だと断られたのである。そして俺がゴブ郎とゴブ郎の戦いを眺めていて、少し違和感を感じた。何かが変だ。ゴブ助はゴブ郎のことが心配だというが、他の奴等は誰もゴブ郎を心配していないように見えたからである。俺がそんなことを考えている間にゴブ郎の目の前まで迫っていたゴブ太郎は攻撃をしていた。

その一撃を受けた瞬間、俺もやっと違和感の原因に気付いた。なぜなら、ゴブ郎の体から血が全く流れていなかったのだ。まるで人形を相手にしているようであった。それからもしばらくその光景が続いたのだ。そしてついに決着がついたのであった。ゴブ助は必死の形相をしてゴブ郎の名前を叫びながら走り出し、ゴブ美とゴブ美は二人でゴブ郎の元に向かうことになったのである。そして、ゴブ郎が地面に倒れるとゴブ郎の身体からゴブリンが出てきたのである。どうやらあのゴブリンはゴブ郎の体内に入っていたようだ。そして俺は確信した。ゴブ郎に近づいて、俺が確認したいことを尋ねたのだ。俺が予想した通り、このゴブ郎には心が存在していなかったのである。そして、俺の言葉にゴブ郎が答える。

(はい。僕はもう僕ではありません。僕は、僕が望んだ理想の姿です。だから、僕の願いを叶えてくれたあなたに感謝します。)と言ったのだ。俺はこのゴブ郎の言葉を聞いて驚いた。ゴブ郎はゴブ郎ではないのだとゴブ郎自身が言ってきたのだ。俺はこのゴブ郎の体を操っている人間を見つけ出してそいつを俺の支配下に入れようと決めた。しかし俺の能力でもその人間を探すことはできなかった。

それから俺は、自分の支配下にあるこのゴブリン達にゴブ郎の母親をゴブ助の元へと届けるように命じてから俺は、まだ生きているこの城の住民たちにこの国の支配について説明をしたのだった。その途中でゴブ吉に質問された俺はあることに気付いて、その事に関係する事を説明したのである。俺は自分の力の事をある程度理解したつもりだったがやはり全てを理解することはできてはいなかった。なので自分の力がどれだけ強力なものなのかも正確に把握していなかった。その説明を聞いて皆一様に驚くことになる。まずは、ゴブリンキングや、クイーンになったものは自分の配下の者なら全てのステータスを閲覧できる。つまり相手の実力を把握することが出来るようになったのだ。俺はそのことを話しながら、自分の力がどこまで強大なものかを説明した。

次にこの国で働いているゴーレムだがこのゴーレムは一体一体がかなりの強さを持っており、しかもその強さが段々と上がって行く。俺はゴブ郎達に、もしこの国の住民が敵に襲われた場合は、ゴーレムの相手は絶対にしないようにと言い聞かせたのだった。そして俺はこの国の王様を誰にするのか決めていたのだ。俺の考えは、ゴブ郎がこの国を支配した後で、この国の王はゴブ助だと伝えてゴブ太、コボ助にゴブ吉を補佐役につけてゴブ郎がゴブ郎自身に復讐するために動き出した時に備えておくことにしたのである。それから俺と、この国の支配者に収まったゴブ郎でこれからについて話し合う事にしたのである。その結果、この国は人間を奴隷として扱う国になり人間達からは恐怖の対象にされて魔物から崇められる存在となるのだ。

「よし、この国に新たな法を設ける。それは俺への反逆罪と、命令違反による刑罰を与える法律とする。その罰を俺は与える事はないし命令するつもりもないがな。あと、もう一つだけ決めることがある。お前達ゴブリンの王は、この国の支配者になると同時に俺の眷属になることが条件だ。それで俺がこの国を支配し続けることができるようになる。わかったか?」

俺がゴブ郎達にそう言うと、全員が納得したようで俺の言葉に異論を唱える者は一人もいなかったのである。

それから俺はこの国の王にこの国の王を名乗らせることを決めたのだ。俺が直接手を下してもいいが俺はこの国の王が誰なのか知っているのでわざわざ王として名乗りを上げる必要がなかったのだ。それからは俺はこの国の仕組みを考えていったのだった。そしてゴブ助達ゴブリン達やコボルト達が戻ってくると、俺の指示通りに人間達を奴隷にすることに対して抵抗があるかどうかを聞いたのである。そこでコボルト達が答えを返す。俺はそんなことに興味はないからお前達が人間達を好きにして構わないと伝えたのである。そして俺は人間達から税を取り立てる制度を作ったのである。これは、人間達が俺の国民であるという事を知らしめるためにやったことである。そして俺はこの城の中で人間を働かせることにした。もちろんただ働きなどさせるつもりはないがな。俺はゴブ蔵を呼んでゴブ郎とゴブ助を王に任命すると二人に仕事を任せると言って、俺はこの国の人間達の生活を豊かにする事を優先した。

俺はゴブ郎に頼んだ事以外に人間の国では出来ないこともたくさんあり、その仕事をこの国に任せる事にしたのだ。そして俺はゴブ郎に王になるために必要なスキルを与えてゴブ助には内政に関われる知識を与えた。俺はこの二人がいずれ国王の座に就くのを見守るつもりでいたのだ。そしてこの国で人間が奴隷として扱われていないのを確認すると、次はゴブリンとコボルトの子供達の面倒を見ることをゴブ助達ゴブリンに命じるとゴブ助達はゴブ郎に挨拶をしに来たのだ。そしてその後ゴブ美達が戻ってきたのである。俺は、ゴブルやゴブ郎のことを気にするよりも先にゴブ美達の無事を確認してからこの場を後にしてダンジョンに戻ろうとした。だが、コボルトの子供達の中に一人の女性がいたのだ。この女性はどうやら人間らしくてコボルトの子供を探している様子だったが、どうやらコボルト達は既に他のところへと移動した後だったためこの女性は自分の子供のことを諦めて、また別の子供を捜して歩いていたがとうとう動けなくなりここで倒れて意識を失ってしまった。俺が急いで回復薬を使って治してやるが一向に目を覚まさないので、俺は女性の体を調べるために胸元を開くと、そこには魔核がありどう考えてもこの女性がこの国の王女様だということが分かったのである。

「この女は、まさかゴブリナ姫なのか?それにしても、どうしてこんなところで寝てるんだ?ゴブルが一緒だと思っていたが、ゴブルがいないって事はこいつは一人で行動していたのか?いや、そんなわけがないよな。じゃあなんで、ゴブルがここにいないんだ?俺が考えていても仕方がないか。取り敢えず今は俺がこいつを介抱する必要があるよな」

そう言って俺はゴブリナ姫をお姫さま抱っこしてからゴブルとゴブ郎が戦っていた場所にまで戻ったのである。ゴブルの様子を見に行こうとするが、ゴブルはどうやらもう死んでしまっているみたいであった。俺はそれを見てゴブルの魂を回収することに決めたのであった。それから俺はコボルト達にゴブ助にゴブリンナイトやゴブ郎とゴブ助がどうなったのかを聞くとゴブ助が既にゴブ郎の所にいることを教えられた。俺はそのことを確認してすぐにその場所に向かうと、そこにあったのはゴブ郎の遺体と、その遺体の前に座り込むように泣いているゴブ助とゴブ郎の母親、そしてその横にゴブ郎が立っていた。俺はゴブ郎が生きていたことを知って、嬉しさのあまり涙を流しそうになったのである。ゴブ助が俺の存在に気付いたようで俺に声をかけてきた。俺はゴブ郎をゴブ郎と呼ぶと、ゴブ郎も自分が本当のゴブ郎ではないことを知っているのか、その事には何も触れずに返事を返してきた。俺はまずゴブ郎の身体を調べさせてもらおうと思ったがそれは俺に心を読んでほしいと言っているように見えたので俺もゴブ郎の心を読む事にしたのだ。

(僕の体の中には僕の記憶とゴブ助さんの思いやりに満ちた優しさの記憶が残っているだけです。僕には感情がありません。だから僕が死んだとしても僕の意思を継いだこの体はゴブ助さんの為に働くと思います。僕も、本当は僕の体が生きている間に、ゴブ郎の仇を打ちたい気持ちがあったのですが、このゴブ郎が残した意思を継ぐゴブ助がゴブ郎の身体に危害を加える事はしないと僕が思えたからです。僕の意志はこのゴブ助に託しました。僕の肉体は、僕が望むなら僕の身体をゴブ郎に捧げてあげてください)ゴブ郎は俺にそう言うと最後に自分の体をよろしくお願いします。そう言ってこの世から去って行ったのだ。俺はこの時、本当にゴブ郎は死んだんだなって思った。俺の眷属になったからといっても死ねば死ぬんだなと思った。俺はゴブ郎の死体を丁寧に火葬にしてあげたのだった。ゴブ郎にはまだ生きてほしいからな。そして俺はこの国の新しい王の事を決めるために集まった者たちに向かってゴブ郎を新王として認めろと命じたのである。その命令に対して異議を唱えようとする者が一人もいないことに少しだけ感動しながらゴブ郎に前に出るように言ったのだ。

俺は改めてゴブ郎に自分の意志を継いでくれるのか聞くと、その問いかけに、ゴブ郎ははっきりとした声で俺の目を見つめながら力強く答える。

「僕はこの国の王になります。ゴブ郎として。だけどその前に、僕の母であるゴブ助の夫、ゴブ助にだけは僕の事を知ってもらいたかった。そしてこの国が変わってもなおゴブ助が変わらずにいたならば、その時こそ僕は貴方に全てを話すつもりでした。しかし、貴方は僕がゴブ郎だと分かっていながら、ゴブ朗の生まれ変わりであるこの国の王を認めてくれた。この国は変わったんですね。ゴブ助、どうかこの国のために力を貸してくれ。僕を、信じてくれ!!」ゴブ郎は俺の方に視線を一瞬向けた後でゴブ助にそう告げたのだ。

それからはゴブ助やゴブ助達コボルト達が協力してくれてこの国が変わるための話し合いが始まったのである。そこで分かったことなのだがゴブ助やゴブ郎達の親達は人間に対して恨みを持っていたのだ。その理由としてゴブ助達コボルト族は昔から人族の国から逃げ延びてここまでたどり着いた者達の子孫だったからである。この国は、元々は人間の国でありゴブリンキングが治める人間を奴隷として扱う国だったということだ。そしてある時、ゴブリン達の中でも最強と言われていた存在のゴブリンロードの子供がゴブリンクイーンとの間に子供を作りその子供にゴブリンキングの座を譲ろうとした時、ゴブリンロードの子は殺されたというのだ。

「ゴブ郎君、私は君が王になることをこの身をかけて誓うがいいのかい?」

ゴブ助は、ゴブ郎に優しく声をかける。それに対してゴブ郎は自分の決意を口にした。

「うん、この国の王は僕の役目だよ。ゴブ助がこの国の王を継げなかった分も含めて僕が責任を持ってやっていくよ」

そう言うと、ゴブ郎の表情に悲しみが溢れ出す。それを見ていたコボルト達は涙を流している。コボルト達にとっても、ゴブリンキングであるゴブ助の存在は大きなものなのだろう。そんなコボルト達の様子を見ながら俺達ゴブリンとゴブ郎は話し合いを続けていたのである。すると、そこに突然この国に魔王軍が攻め込んできたのである。ゴブ助はコボルト達に魔王軍の撃退を命じるとコボルドたちは勇ましく魔王軍に向かっていった。そして俺が魔王軍を蹴散らそうとすると、突如空から何者かが現れて俺に攻撃してきた。俺は、なんとか防ぐことに成功するとその人物は俺を見てニヤリと笑みを浮かべた。そしてその男は口を開く。俺と同じ種族の言葉を操りそして魔王軍と行動を共にしていたその人物の名は、 【勇者レイ】であったのだ。

俺は、突然目の前に現れたこの男がどうしてこの場に姿を現したか分からないままその勇者に話しかけた。だが奴はその質問には答えずにゴブ郎の方に目を向ける。すると奴は再び攻撃を繰り出してくるのだ。その剣さばきは今まで見たことのないほど早く鋭いものであった。

「この技を受けて無事で済むとはな。流石はゴブリンといったところか」

このセリフを聞いただけでも俺はこの勇者はゴブリンの事を馬鹿にしているということが理解出来た。俺も負けるわけにもいかないから本気で相手をすることにしたのだ。そしてゴブ郎も参戦するがゴブ郎の攻撃を全て受け止めているのを見て俺はゴブ郎に一度引かせる。そして勇者の動きを止める為、足を狙って魔法を放ち動きを封じることにしたのだ。その行動が見事に的中し、ゴブ助とコボルト達は一斉に攻撃を仕掛けて勇者を倒すことが出来た。その瞬間、この場に誰かが現れた気配を感じた俺は、警戒を強めているとそこにはこの国の騎士の格好をした者が数名現れていてその者たちは倒れ込んでいる勇者を見て驚いていた。そして、その騎士たちのリーダー格と思われる者が俺に声をかけてきた。その者はゴブ郎に話しかけたのだがゴブ郎にゴブルと呼ばれていたことを思い出してその者を見ると、

「お前がここに来たと言うことは、俺も死んだってことか。だが俺の意識があるということは俺は死んでいなかったってことになる。つまり俺を倒したのはゴブル、おめーって事になるのか?でも、それは無いな。何故ならお前はゴブルではない。それにお前からは魔物の魔力しか感じられないからな」俺がその者の言葉の意味を考えようとしていると、ゴブルが「貴様、一体何が言いたいんだ!?俺は正真正銘ゴブルなんだ。その証拠に俺のステータスを確認してみろよ。それが俺だって事が証明されるはずだぜ!!ほらっ、これでどうだ?俺が本物だっていうことが証明されたろう?どうだ、俺に勝てると思っているのか?俺には神に選ばれた勇者の力もあるんだぞ。それに今この俺の仲間であるゴブルを偽物扱いしたんだ。覚悟しろよ」そう言うとそいつはゴブルの姿に変身しだした。

どうやらこいつはかなり頭が切れるようだ。ゴブリンやゴブ助ではこいつの本性に気づくことが出来ないだろうからな。そして、俺の後ろからもゴブ助がゴブ郎に向かって話しかけた。「ゴブ郎、こいつは何を言っているんだ?こいつをどうにかしないとこのままこいつに利用されるだけだ。こいつは恐らく俺達と敵対していた魔族、しかもその長であるサタンの部下である事は確かだからな。まずはあいつに勝つためにも仲間を増やすことを考えよう。ゴブ郎と俺で協力してあいつの目を欺いて仲間を作るぞ。だからここはひとまず引き下がるぞ。それでいいなゴブ郎」「ゴブ郎、ゴブ郎がゴブ助さんの言うことに従うのであれば、私も従うわ。今は、一時休戦といきましょう。あなたが私の夫である以上、私はあなたの意見を尊重する。それに、あの男の能力はおそらくゴブ助さんとあなたの二人だけでは太刀打ち出来ないほどの相手だからね。それと、私の名前はゴブリンクイーンではなくただのゴブ子。ゴブ子のゴブ美ですから覚えておいてください。ゴブ郎さんは、この先私が守ってあげるの。だから安心していてください」そう言ってゴブ子はゴブ郎を抱きしめるとそのまま姿を消したのである。

(くそっ、なんて野郎だ。俺は魔王の幹部の一人であり最強の存在と言われているこの男。魔王幹部の一人で実力のある存在であるゴブタに変身していたというのに俺の正体をすぐに見破ってしまうとはな。俺の能力を見抜くことが出来る人間は、今まで存在しなかったというのに。まあ、このゴブリンの小僧を洗脳すれば全て終わることだから気にすることはない)ゴブリンが何か呟いていたが俺は全く気にならない。それよりこのゴブリンがどうやってこの場に出現したのかの方が興味あるんだよ。そして俺は勇者のスキルである《能力強奪》でゴブリンの記憶を読み取ったのである。

「まさかゴブ郎がゴブ助と出会っていたとは思わなかったな。そしてコボルト達が協力してくれたのもありがたい。僕はこの国の王の器に相応しい王になりたい。その気持ちに嘘偽りはない。しかし、やはり僕の母であるゴブ助が王にならなかったのは僕の所為だと思う。だからこそ僕は自分の力を高めなければならないのだ。僕は母を救えなかった自分を悔いると共にこれからは王になる前に強くなると決めた。その為にもこの国に僕に協力してくれる者を集めなければいけない。その協力者になってくれそうな存在が一人だけいるんだ。そしてそれは、ここに来たときから既に分かっている。コボルトの皆んな。ゴブーリ、お前はこの国の民を導いてくれ。そして他の者たちもそれぞれこの国の為に尽力して欲しい。僕はここで待とうと思う。僕の配下であるこの四人が来るまでこの場所を守り抜いて見せるよ」

ゴブ郎はそういうとその場に座ったのだ。ゴブルとコボルドの戦いは激しかった。お互いに死力を尽くしていたがゴブ助達が加勢したことで戦いに決着がついたのだ。その後、このゴブリンとコボルト達はお互いを認め合って友好条約を結ぶことになった。こうして魔王軍のスパイである【勇者】を仲間に引き入れることに成功した俺はゴブ郎の元に戻り次の目的地について相談をすることにする。

(僕達の国を乗っとろうとする輩が来ているんだけど、ゴブ助にコボル助達を僕達がここに来た時のように逃がすように指示をしたい。そうしてコボルト達が安全な場所に逃げたところでその輩に攻撃を仕掛けて倒そうと考えているんだけど、いいかな?)

ゴブ郎の言葉を聞いた俺は少し考え込んでしまったのだ。確かに今のゴブ郎の戦力があればこの程度の敵などは問題ないのであろう。だけどゴブ郎はまだ王になったばかりで国民もあまりいない。それどころかゴブ助がゴブ助を裏切ってこのゴブリンの国の情報を人間側に流してしまった事でこの国は人間側にとって脅威となり始めているらしいのだ。そう考えたらゴブ郎とこのゴブリンやコボルト達に負担をかけるわけにもいかないのでゴブ郎達に任せてもいいかもしれない。俺の考えを伝えると、

「そうですね。コボルト達の方はコボル助君達にお任せします。私達は、魔王軍を迎え撃ちましょう」ゴブ助も同意してくれた。そこで、コボル助が俺達に頼み事をしてくる。

「実は、ゴブリンの子供達がこの城の中で迷子になっているみたいなんだ。俺達の子供もいるし助けてやりたい。でも、魔王軍との戦いがいつ起きるか分からないから、その隙にゴブ吉達に助けてやって欲しい。この国にはまだまだ幼い子供たちがたくさんいてこの城は広すぎるから。頼んでも良いだろうか?」

俺はゴブ太郎とゴブ次郎の顔を見るが、二人とも納得しているみたいだったので、俺が引き受ける事にした。ゴブ郎は心配そうに俺の顔を見ていたけど俺も一応ゴブ郎と同じくらいの強さにはなったのだから大丈夫だろうと伝えてみると安心したような表情に変わったのであった。

「じゃあ俺とゴブ郎とゴブ助は一旦ゴブ郎の国に一度帰る。そしてまた後で合流しよう」

俺のその言葉にゴブ助が驚いた顔になりながら、ゴブ助がゴブ郎の方をチラッと見るとゴブ郎がゴブ助に微笑みかけていた。どうやらその微笑みの理由を理解したのか、ゴブ助は諦めたように溜め息をつくと俺と一緒に転移のスキルを使い、このゴブリンの国にある城に戻って来たのである。するとそこには沢山のゴブリンや魔物が集まっていたのでこのゴブリンの国の住人達なのだろう。俺は、ゴブ助がゴブ郎の母親だと言ったのだが誰も信じてくれず、俺に助けを求めるような視線を送ってきたのである。仕方がないので俺はステータスを見せれば分かってくれると思ったので再びステータスを見せたところ、全員が全員驚いて俺の事を信じてくれるようになったのだった。ゴブ郎に頼まれていた子供のゴブリン達を探し始めると子供は結構簡単に見つかったので、俺はすぐにゴブ助の元に連れて行くと彼女はとても喜んでゴブ助に抱きついていた。そんな様子を周りの大人達がニヤニヤしながら眺めていたのだ。そしてしばらくするとゴブルと戦えるほどの強者達が揃ってきており、その中に俺がこの世界で初めて出会った魔族がいたのである。

その者を見た瞬間に俺の体に鳥肌が立ったのだ。その者の放つ威圧が半端なく、今まで俺の体を支えていてくれた心と精神にヒビが入ったのではないかと思うほど強烈なもので俺は意識を失いそうになったのだ。俺はすぐに気合を入れるとなんとかその場に留まることが出来た。しかしその時に感じたのは、この男とゴブ郎が戦ったとしたらゴブ郎は間違いなく死ぬという確信と自分が全力を出し切らない限り絶対に勝てないという予感である。それほどまでに俺は、今相対している存在の恐ろしさを感じ取っていたのであった。

(この俺を目の前にして意識を保つだと!?こいつ何者だ?もしかしたらこいつがゴブリン王の息子なのか?だがまだ若いからそこまでの力があるとは思えないんだが。とりあえずこいつからは殺さなくても良さそうだな)俺がそんなことを思っているとは知らずに俺を睨む様に見つめてくる。そして俺は、

「俺の名前はゴブ蔵と言います。あなたの名前を聞かせてください」と、言うと魔族は少し警戒しながらも名前を教えてくれたのであった。その男は魔王の幹部であり、実力もトップレベルであり、魔族の長でもあった魔将軍ゴルルと言うらしい。俺は魔将軍のステータスを見て驚愕する。なんと、そのステータスは俺より遥かに高い上に加護も持っていたからだ。この男が本気を出せば魔王の幹部として十分にやっていけるほどの戦闘能力を持っているのは確かだろう。

(まさか俺より遥か上の実力を持った相手と戦うことになるとは思わなかったぜ。それにしてもこの魔将という奴から発せられる魔力が凄いことになってるな。それにあの魔剣が恐ろしいな。あれだけ膨大なエネルギーを発してるということは、おそらくとんでもない力を秘めているはず。しかもあの魔法陣が発動したら恐らくこの国自体が消し飛びかねないぞ。この国は、この国に住んでいる者全てがこの国の宝と言っていいはずだ。それを、この男は自分の利益の為に平然と切り捨てようとするのか)俺はこの国の事を考えると体が自然と震え始めてしまうのを感じるのであった。

(おいおい、まさかこんなガキ相手に手も足も出ねぇなんてあり得ねーぞ。いくらなんでも、これは酷すぎんだろう。確かにこいつはこの国を滅ぼすだけの力を持ってやがる。だけど俺だってそれなりに強い方だぞ。それなのに全く歯が立たないなんておかしい。俺は、俺はまだ何もしていないのに何故このガキに怯える必要があるんだ。)俺は自分にそう言い聞かすと自分の実力を最大限にまで高め、そして自分の出せる限界を超えた速さで動き出すとゴブ郎の頭に手を触れる寸前で攻撃のモーションに入った。しかし、その時突然俺の背後に現れた何者かによって俺は攻撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまったのである。その人物を見ると、そこに立っていたのはなんとそのゴルルという奴だったのだ。

(嘘、でしょ?この私が背後に回られるなんて。まさか私のスピードを超えるなんてあり得ない。だけど実際にこの私は、そのありえない現象に遭遇している。つまりそれは事実。私を凌駕するほどの力をその者が持っているという証拠になる。そしてそれはつまり、この国の滅びを意味する。それはダメ。この国が無くなれば私はこの世界で一人になってしまう。それだけは嫌なの。お願い。この人を倒してこの人の仲間にならないで)そう思うと、私の意思とは無関係に身体に異変が起こり始める。私の体は黒い光を放つオーラのようなものが纏わりつきその力が上昇し始めたのだ。そして私はゴルルの方に振り返ると一気に走り出したのである。

俺の攻撃を軽々と避け続けるゴブ郎の姿は異常そのものであった。俺はゴブ郎がどうしてここまでの動きが出来るようになっているか不思議でしょうがなかった。なぜならこの短期間で急激に成長できるわけがないからな。しかしそう考えたところでふと思い出したことがあった。俺は前にこのゴブリンの城に行ったときにゴブ助とコボルト達が模擬戦をやっていたことを思い出したのである。

それで、コボルト達と戦っていたゴブ郎がゴブ助とゴブ太郎の猛攻に苦しんでいる様子は見ていたがそれでも互角の戦いをしていたのだ。俺はコボルト達があまりにも弱いからてっきり、ゴブ助達の実力を隠されているのだろうと思っていたのだが実際は違かったのかもしれない。もしかするとこのゴブリンが特別強かったのではないのだろうか?ゴブリン王であるゴブ助は元勇者であったらしいし、コボルト王であるゴブ太郎はゴブ郎と同じく【覚醒】を使えるらしい。そうなってくると、他の魔物達よりも明らかに強いということになるのかもしれない。そう考えた俺は改めて周りを見渡してゴブリンとコボルトの姿を見ているうちに違和感を覚えたのである。よく見るとゴブリン達とコボルト達では体の色が微妙に異なっていることに気がついた。そして俺は鑑定のスキルを発動させるとその理由はすぐに分かったのである。どうやら彼らは魔物ではなく、ホムンクルスと呼ばれる種類の生き物らしい。俺は初めて知ったのだけれど。どうやら魔物使いの人が作り出すことの出来る生命体らしく、普通の人間が作れるものではないみたいでゴブ助も作れたことは奇跡に近いと言っていたのだ。

(ゴブ吉の従魔のコボル助達は普通に会話ができるくらい知能が発達しているが、ゴブリンとコボルトはゴブ助が喋れるようにしただけだしな。それにこの国に住むゴブリン達はゴブ郎が魔王を倒した際に一緒にいたゴブ吉達の眷属だし、そのゴブ吉が生み出したホムンクルス達だから知能も高くて当然だよな。まぁゴブ郎の場合はゴブ助がこのゴブリンの国に来た後に生み出されたみたいだから少しは影響受けてると思うんだけど)俺がその説明を聞いていると、いつの間にか俺のそばに来ていたゴブルから質問される。その内容は俺とアイの関係についてだった。俺はアイと出会ってからの経緯を話すことにしたのだった。

「なるほど。だからゴブリン王はあなたと、あなたの仲間の女性が特別な存在であると、そう仰られていたのですね。そして、このゴブルもあなたに命を救われました。ですが、僕はまだ子供だから力がありません。だからこの国が滅ぶのなら、その前にこの国に別れを告げてあなたと共に行こうと思うのです。そしてあなたは、本当にこの国に残りたいという気持ちはないんですか?」そう言ってゴブルは俺に確認するように問いかけてきたのだった。

「俺にはまだやるべき事がある。でもこの国の住人には死んで欲しくないんだ。この国は俺にとっては大事な国で俺が守ると決めた人達がいる場所なんだ。俺はこれからも守りたいものが出来た時は迷わず行動する。例え、この国にいられなくなる時が来ようとも。」俺は力強く宣言すると、ゴブ郎の方に向かっていったのである。俺はこの国にいられなくなった時の覚悟を決めたのだ。

(ゴブ蔵のステータスを見れば分かる通り今のこいつはまだまだ子供だ。そんな奴にこの国は守れないだろうな。だがもし仮にこいつがまだ成長することが出来たとしても魔王を倒せる程の力を身に付けるまで一体何年掛かることやら。それに、こいつ自身が望んでいない。そんな状態でこの国から引き剥がしても意味はないだろう。こいつらがこの国を去って行った時にまたこの国の存亡が掛かっている問題が発生したとしたなら、こいつらはこの世界を救うという使命を捨てて戻ってくるだろう。俺としてはそれが一番厄介だ。このゴブルをこのままここに居させておくことが正解だ。そしてこいつらと一緒に行動することによって、魔王に辿り着くためのヒントが得られるかもしれない。それに俺はこの世界の神に召喚された人間だ。この世界に何かあるということは確かだ)ゴブロウは、この場でゴブリン達の国を出る決心をするのであった。

「俺の名前はゴブゾウと言います。俺が、あなた達の盾となり剣になります。」ゴブゾウが自己紹介を済ませると、すぐにゴブゾウも加護を与えていったのであった。そしてゴブ郎が(よしっ、準備が整って良かった。それじゃあ、ダンジョンの中に入ってみようか)と言うとみんなが動き出す。しかしそこでゴブルから呼び止められる。そしてゴブルから、俺達に提案してきたのだ。

(あのー、少しお願いがあるのですがよろしいでしょうか?)

(ん?いいよ。別に断っても大丈夫なんだけど、一応内容だけ教えてもらっていいかな)

(はい。この国にあるゴブリンとコボルト達の為の部屋と武器庫を俺とゴブ吉に預けてくれませんか?この国を出ようとしている以上この部屋に用は無いので俺が管理していた方が有効活用出来そうなので。それと、武器の類に関してはゴブ朗さんの持っている剣を貸すという事でいかがでしょう。ゴブルの剣はまだこの部屋に置いておきましょう。その剣ならばきっとこの部屋の宝箱の中にあるはずです。この剣を使えば恐らく魔剣の力を抑えることが出来ると思います。)そう言うと、ゴブ助は納得してくれたのか、ゴブルの提案を受け入れたのだ。そしてそれからすぐに、ゴブリモン達に連れられて宝物庫に向かう。そこはまさに財宝の山であった。しかも金銀が溢れているだけではなく、魔法のアイテムまで沢山保管されていたのである。俺とコタロウはその凄さに圧巻されてしまい言葉が出てこなかったのであった。

その後ゴブルが、ゴブ太から預かった短刀を取り出した。ゴブルはゴブ太に、自分が必ずこの国の平和を守るからと伝えると、ゴブ助に渡されたゴブリン王の紋章と俺に託されたものを合わせて二つを手に取り、俺に話しかける。

(ゴブ吉様。僕はゴブ吉様にこの国の事を託したいと思います。僕はゴブ郎君に力を認められればついて行きたいと考えています。その事については、ゴブ郎君の許可を得ました。しかし、ゴブ郎君は、自分の配下を連れてくるという事を約束していました。ゴブ吉さんにお伺いしたいことがあるんですけど。もしかすると、僕達のように魔物使いの人と契約を結んでいるゴブリンはいないのではないですか?その人達を連れていくことは可能ですか?)俺は、ゴブルの問いに対して首を横に振ったのである。俺の反応を見たゴブ助がゴブルに説明する。

「残念ながら、契約の解除は無理だと思う。魔物使いに、このゴブリンの国で手に入れたスキルで【契約解除】というものがあるんだが、ゴブ郎は魔物使いの人からそのスキルを奪い取っているはずだからその魔物使いとの契約が切れる可能性はほぼない。つまりはゴブルの考えは全て却下となるな。それでも良いなら連れて行くといい。だけどお前の期待に応えることは難しいぞ。なんせゴブ郎はこの国の王であり最強の魔物使いでもあるからな。」(そうなのですね、分かりました。それで十分ですよ。ありがとうございます。やっぱり、僕の考え過ぎでしたね。それでしたら話は別になるんですが、コボルト達の国に行ったあとはどこに行かれるんですか?)俺は、少し悩んだ結果正直に答える事にしたのだった。(俺はコボルトの王様とコボルトクイーンに、これから向かうところについて相談しようと思っている。コボルト達から、コボルトの国に行くと決めた時点でその事は話してあるし。後は、俺がどう動くかだけだ。ゴブ朗とゴブ代も俺の好きなように動いていいと言ってくれてるし、アイも付いてきてくれるそうだから俺達だけで動くことにしようと思ってるところだよ)俺の言葉を聞いたゴブルは、俺達がこれから先も行動を一緒にすることを約束してこの城を出るのであった。

そして俺は今ゴブ蔵と共にコボルト達の所へ向かっている最中であった。ちなみにセバスチャンとコボルト達は先にゴブリンの国の外に出ているのだ。そして俺とゴブルが城を出る前にゴブルはゴブ蔵とコボルト達にこう言い残していったのだ。「あなた達はこれから色々なことを学ばなければならないのは分かっています。だから、あなた達はこのゴブリンの王とコボル王の二人に戦い方を教えてもらいなさい。これはこの国を守るためにも必要なことなのです。それが終わったら、ゴブ吉様の元で色々と学ぶと良いと思います。では、また会いましょう。」そして二人は城を出たのである。ゴブ郎の眷属達は、これからはゴブリン達と行動することになるらしいが、今はゴブリン達の訓練を頑張って欲しいと言っていたので、とりあえず俺はゴブ郎達の元へ向かう事にしたのである。

(ゴブ郎のところにはもう連絡を入れてあるから、後は合流するだけだな。ゴブルにはああ言ったものの、結局俺は何もしないのかもしれないな。俺が勝手に動いたところで何も出来ないしな。まぁ、何かあった時には出来る限りのことはするさ。それが例え、誰かの命に関わることだったとしても。

ゴブルにはああは言ってみたが俺は、本当にこいつらの為になるようなことは出来ないんだよな。俺は、自分以外の為に動けない奴だからな。俺に何ができるのかは分からないが俺にできることは、何かを成し遂げてこの世界にいる仲間が笑顔になることくらいだ。それ以外は何にもできない)俺は自分にできる事を考えながらゴブ郎の元へ急いで向かっていったのだった。そして、すぐに俺はゴブ郎と合流したのである。そしてコタロウとも合流し、ゴブ太郎と合流するために、ゴブ朗達の待つダンジョンへと向かったのだった。

ゴブ郎はゴブルの話を聞くと嬉しそうにしている。やはりゴブ郎もコタローと同じくコボルトの事を大事に思っているようだ。そんなこんなで、俺たち三人が揃ったわけだ。そして早速、ゴブ蔵が説明を始める。そして俺は、今回の目的を話していく。

(俺はこいつらの国に行きたいとは思った。だがこの国が襲われることを知っている以上俺はこの国に残りこの国の人達を救いたいと考えている)

(ゴブリン王さん。あなたの考えには僕とコボ助とで意見は一致しています。しかし、この国は僕達にとっては大事な場所でこの国の民を救って欲しいと思っています。僕はゴブ助と一緒にこっちに残るからゴブリン王はそっちに行ってくれるかい?)

(俺もコガ助と一緒にこっちに残すよ。それにしても、コブル王があんな風に言うなんて驚きだったよ。まさか俺達にゴブ太とゴブルを置いていこうとしてたんだぜ?あの時ばかりは焦っちゃって、コボルト族の国で修行することを提案するまで、頭が真っ白になっちゃってたんだよね。だってそうだろう。俺にとってはコボルトの人達は家族なんだから。でも、そんな時に俺よりもずっと頭のキレる奴がいたおかげで俺は冷静に判断することができたんだけど。その件も含めて、俺はこいつらの成長に力を注ぎ込むつもりだよ。もちろん、コジローとコッコは連れて行っても良いけど)そんな話をしているとすぐに目的地に到着する。そこはまさにダンジョンの入口のような場所になっていたのだ。そこには、多くのゴブリンとコボルト達が待ち構えていて俺たちを見ると一斉に頭を下げてきたのである。その光景を見ていると、まるで俺が国王になったみたいに見えてしまい恥ずかしい気持ちになってしまうのであった。そしてコタロウとゴブルがゴブリン達に近づいていき話しかけていたのを眺めている。しばらく時間がたつとコゾウとゴブ太がこちらに向かってくるので出迎える。すると、そこにいた全員にコゴブが挨拶をしていく。その顔はとても晴れやかだった。そして俺に耳打ちしてくる。(俺は今すごく楽しいんだ。それは今まで生きてきて感じたことがない程に、幸せを感じられていると思う。それもこれも、全部君たちのおかげだ。感謝の言葉を贈りたいくらいだ。俺に自由を与えてくれて、ありがとう。

俺が今こうして生きている理由は全てコガ助とゴブルにあるといっても過言ではないよ。君たちのおかげで俺はここにいる事が出来るんだ。改めて言わせて貰うよ。俺を自由にしてくれて本当にありがとう。この恩を返すためなら、俺は何でもするつもりだよ。これからよろしく頼むね。それと最後に一つだけお願いがあるんだけどいいかな?)

「ん?どうしたんだ?俺達に協力できることなら構わないが」

「俺の仲間達を鍛えてほしい。あいつらにはこの国の防衛と発展のためにはどうしても力が必要だ。俺の配下の中でも上位クラスの者達を集めたが俺一人じゃ限界があってね。この国の発展の為にも、どうか力を貸してもらえないだろうか?」

「俺達は別に構わないが。ゴブ蔵たちはどう思う?というか、そもそもお前の部下はどこにいったんだ?」俺はそこで疑問に思っていた事を聞いてみることにした。するとコゴブから意外な言葉が返ってきたのだった。(あぁ。あいつらは俺に付き従うことを拒否したんだよ。俺の配下達のほとんどが俺の事をよく知らないで、俺に従ってくれただけの人たちばかりだったからね。みんながこの国を守ってくれてる間は良かったんだけど。最近、コタロウ君とコゴブ君の活躍が目まぐるしいほどに上がってきてしまったものだから俺の力を必要としなくなってきてたんだよ。その証拠にここ数ヶ月の間にコゴブ君とコウタロー君が俺に報告に来た回数がたった一回だったのを覚えてないかい?だから俺には付いて来れないと言う者が出てきたのも無理はないと思っている)

(え?そんなことがあったんですか?全く知らなかったです)コタロウはコゴブの言葉に対して驚くとそのままコゴブに疑問をぶつけた。

「俺の配下の者は、一体何を考えているんだ!いくらなんでも無礼過ぎるだろ!」コゴブはその言葉を遮るように話す。

「いいんだ。気にしていないからさ。それより俺の方こそごめんな、お前達の力になれなくて」とコゴブは謝ると、すぐに話を続けた。

(コガちゃん。いい機会だ。これからこの国の王様となるゴブリン王にお前達の強さを見せつけてくると良い。これから、ゴブ蔵くんのところへ行くと良いだろう。これからは、二人で頑張って欲しいと伝えてくれないか?きっと、彼も喜んで協力してくれるはずだ。それからコゴ太も行くと良いだろう。そしてゴブタロ君は俺の方に残って、残りの者たちを頼んでもいいか?)とコゾウとコゴ太を向かわせた後、コゴ太だけが戻ってきたのだった。俺は、その時に聞いたことをコゾウに話した。コゾウは驚いていたが最後には納得していた。コウタローとコタローの実力は異常だった。そんな二人が手合わせすればどれほどの結果が出るか俺には予想ができないくらいだった。そんなこんなで話がまとまり、俺達とゴブ郎達で二手に別れることになった。ゴゴゴゴブ朗はコタローと一緒に、ゴブ朗はゴブリナと共に、ゴブロはゴブルと共に行動するそうだ。そして、俺はコゴブとコゾウと一緒にゴブルの所に行くことに決まったのだった。

コゴエとコゲブも付いて来ると言って聞かなかったのだが、流石にコガネに怒られて渋々付いてくることはなかった。そして、ゴブルがゴブ郎達にこれからのことを伝えてから、俺達は出発したのであった。ゴブ蔵は、俺達にこれからゴブ蔵に着いて行けばコタロウとコゴブに会えると言って、ゴブリンとコボルトの皆を連れてゴブ蔵の所に先に行っていると言って、先にダンジョンの中へ消えていった。そして、コゴブとコゾウと三人になり、ゴブリンとコボルト達と別れを告げることになった。(それでは俺はここで失礼する。この国に何か用があった時はまた会いに来るよ。その時は俺の事を、王と呼べなくても構わんから気軽に接して欲しいうん、わかったよ。コジロウは相変わらず堅苦しいよね。もっと肩の力を抜いたらどうだい?)コウタローが言うとコゴウも同意するように言った。(まったくだ。俺の事もコガと呼んでくれないと寂しいだぞ)そんな二人を見て、コガは困ったような顔を浮かべていたが、すぐに元の真面目な顔に戻って言った。(わかりましたよ。コガさんとコタロウさんって呼ぶことにするよ)コガが答えると二人は満足そうにして、すぐに去っていった。そして俺達はコゴゴブと一緒にゴブルの後について行ったのだった。

ゴゴゴブは、このダンジョンのことをよく知っていたようで迷わずに歩いていくので俺はついていくことしかできなかった。すると、ゴブ朗は俺にゴゴゴブから学ぶように言って来たので、とりあえずゴゴゴブの話を聞いた後に俺からゴブ蔵に説明する事にした。そんなこんなで、コゴゴブとゴブゴブはコゴ蔵がいる部屋に着いたのである。そこにはコボ蔵がいたのである。その光景は異様な光景で俺は驚きを隠せないでいた。なぜならコゴゴブは、コゴ助と同じように体が透けているのだ。しかし、ゴブ助と違うのは顔の作りは同じでも雰囲気が全く異なっていることだ。まるでコゴ助はコゾウに似ているが、コゴゴブは全く似ていないのである。しかし、ゴブゴブの顔を見たコゴ助は懐かしいのか嬉しそうな顔をしている。

(これはコガ助にコゴ助。久方ぶりだな。元気にやっていたか?ゴブ助は、少し大きくなったんじゃないか?それにゴブゴブは、なんとなくコガ助に似ておるのぉ。コゴコとコグコも、久しいの)と、ゴゴゴブは俺たちに話しかけてきたので、ゴコジロウも返事をするのであった。(お祖父様。コガ助がお世話になっています。コガ助はとてもいい子に育ってくれています)ゴコジロウはそういうと俺のほうを向き俺に頭を下げさせてくれたのである。俺としてはそんなことしないで欲しかったのだけど、ココゾウはそれが嬉しいのだろうと思っていたが違ったのである。俺はコゴゴブに向かって頭を下げながら、コゴ助がどれだけ成長したかを褒めていた。その様子を見ていてコガが俺に耳打ちをしてきたのだった。(マユーラ殿がマゴブをコゴ助のところに連れて行けと言った理由が分かった気がしますよ。確かにコゴ助と、あの子はかなり性格が近いと思いますね。だからなのか、あそこまで懐いているみたいですね。

そして何よりもコガ助の気持ちを考えてくれて、ありがとうございます)

(そんなことないよ。たまたまだよ)俺が照れ臭くなりながらも答えると、コゴ助も同じような事をコゴゴブと話しており、俺は恥ずかしくなったのだった。コゴゴブはコゴ助の話を聞くと、楽しそうに話をしていて俺が思っていた通りコガが来てコガ助が喜ぶ姿を見て俺も心が暖かくなっていた。

(ふむ。やはり似ているのう。

さて、お主たちがなぜここにいるかは分かっておる。

じゃが、お主たちでは今のこの世界の現状には耐えられないはずじゃ。

だからこそお主には、コガ助達とコゴウ達を育てる役目を与える。

わしにはその資格がないという理由があるのじゃがな。

それは、わしがこの世界を滅ぼそうと思っとる事が原因なのじゃが、その話は今はまだよいじゃろう。

ただこの国の王としてコゴウとコゴ助には、わしの代わりになってもらいたいと考えておるのじゃ。

そして、お主ならコゴゴブから学び取り強くなることができる。

コゴ蔵が認めたということは相当な強さを持っているのだろう。そしてコガ助にコゴ太、ゴブ太。お主たちは、ゴゴゴブとこのダンジョンのダンジョンマスターになるのはどうじゃ?)ゴゴゴブが提案するとコゾウが答えた。(その話乗らせてもらいますよ。私はゴブ吉と一緒ならばどこまでも強くなれます。私をゴブ吉と一緒に行かせてください。

そして、ダンジョンを作りこの国を発展させましょう)ゴブルが答えるとコタローが続けて言う。

(流石は俺の親友だぜ。よし。その話に乗るとしようか。俺はコウジと共にならどこまでも強くなりたいと思ってる。だから頼むよ)するとコゴブは嬉しそうにしていると俺に話しかけて来た。(というわけだ。お前にはコゴ蔵を育ててもらうぞ。まぁ、俺には無理だがコガには任せられると俺は思うからさ。まぁ頑張れ。俺には出来ないことがたくさんあるから、俺が出来ることをやるよ)と言うとそのままゴゴゴブは消えてしまったのであった。

「なるほど。お前達二人が来てくれたことでようやく全ての準備が完了した。これからはこの国を守る事に専念することにして、俺達以外の種族との同盟を結ぼうと考えているんだ。

俺達が、ゴブ郎さん達とゴブ平さん達に頼んだんだ。

そして、お前達二人に来てもらった理由は分かるな?」俺はコゾウとコゴ助に対して話す。すると二人は揃って話を始めたのだった。

(コジロウの事は、ゴゴブから頼まれていたので問題はない。コガはゴブ太郎さんのところに残ってもらおうと思っているんだけどどうだろうか?それにゴブタロにも頼み事があるからな。それで、まずはコゾウに聞きたいことがあるんだよ。どうしてゴブゾウは死んだか聞いても言いかな?)とコゾウがコゴゾウに向かって聞くとコゴゾウは首を横に振ったのである。(いいえ。それは私にはわからないんです。でもきっと何かあったのでしょう。ですが私の記憶の中に一つだけ引っかかることがあって、ゴブタロウの話ではコゴゾウはゴブタロウの兄だったのですよね?だったらゴブタロウの親もきっとコガと同じ様な存在だったのでしょう。

そしてコガもおそらくは、ゴガブロウとゴブタロウの兄弟なのでしょう。だから私がコガとコゾウと一緒にいた時、ゴブリンとゴブリナとコボルトに違和感を感じていたんですよ。それに気づいたゴガゾウに殺されそうになったときに思い出しました。

あの時の私の体からはコガとゴガゴブに似た気配を感じました。きっとゴゴガゾウもコガと同じように自分の弟を殺してしまうことを恐れていたんじゃないのですか?)

(なるほどのぉ。そういうことだったのか)ゴブゾウが言うとコゾウが質問した。(でもそうなると、僕も何かしらの役割があったってことなんだよね?それにコゴブロウってどんな人だったのかが気になるよ)

(そうだな。俺の予想では俺とゴブ助、ゴガブロウの三人で一つの種族だと思っていたけど、違うかもしれないし、それにもしかしたらコガとゴゴブとゴゴウは仲間同士だったのかもしれないな。コガがゴゴゴブルのことを兄さんと言っていたことを考えても、そうなのかもしれない)

(そっか。それじゃあ僕もゴブゾウやコゴ助の期待に応えられるように強くならないといけないってことなのか。わかったよ。でもどうしたら良いと思う?ゴガ助のスキルに鑑定能力があるみたいだから試しに使ってみたらどうかな?もしそれがダメだったら、ゴブタロウと合流して情報を共有するって事でどうだい?)とコゾウがコゴ助に聞くと、コゾウの頭をポンッと叩きながら言ったのである。(もうすでに使っておりましたよ。それで分かったのは、ゴブ蔵さんとゴブ助さんが仲間同士で同じ名前だって事がわかっただけです)コゾウとゴゴ助が驚いていたが、ゴブゾウのステータスを見て納得していた。

(そうすると俺達はこのまま、この国に残るって事でいいのか?それと俺達はいつまで一緒に行動すればいいのかを聞いておきたいんだが)俺が言うとゴゾウが答えてくれた。(とりあえずは、この国の発展の為に頑張ってほしいのじゃ。わしが死んでしまっても、この国が栄えるようにして欲しい。

それから、お主たちがいなくなるのは正直寂しい。しかしお主たちはコオ助の大事な兄弟。

わしはお主たちの幸せを願っておるので安心してほしい。ただゴゴゴ助だけは、コギコ殿の元へ返してもらいたい。ゴガゾウに鍛えてもらえれば強くなれるじゃろう。そう考えると、コガとコゴゾウの二人の兄弟に鍛えてもらう方が、強くなれるような気がするからのぉ)コゴゾウの言葉を聞き、ゴゾウも同意して言うのだった。

(わかりました。俺も出来る限りのことはするつもりでいます)俺が返事をするが、少し間が空いた後コゴ助が口を開いた。(お主が何を考えているかが、手に取る様にわかるのぉ。コガとゴブ助が言っていたとおりの人間じゃな。お主のような者であれば、わしらも少しは希望を持ってもいいかのぅ。では早速コガ助をコゴ助に託すとするかの。

コガとコゴウはコガとコゴ助が面倒を見てくれるようじゃ。コゴ助よ、お主も大変だと思うがコガをしっかり育ててくれ。

そしてお主とコゴ助がいればゴブ蔵もゴブ四郎も心配することはないだろう。

さてと、ゴガ助とコガとゴブ太よ。お前たちはこの先、お主たちにとって厳しい道を歩むことになろう。

それでもコゴ助に着いて行き、強くなってこの国を発展させるのじゃぞ)とゴゾウが言うと、俺達の体が光に包まれていくのであった。俺達はそれぞれこの世界へと戻ってきたのである。そして、俺達が戻って来たと同時にマユーラがダンジョンの外に飛び出て来たのだ。俺はそんなマユーラを見ていると、なぜか俺にはマユーラが泣いているように見えた。マユーラはそのまま俺達に向かってくるのだが俺はコタローの前に出て、盾を構えたのだった。すると、その前にコタローが立ちふさがり、剣を抜いてマユーラに向かって構えたのであった。そして、コタローが俺の隣に来て俺の手をギュッと握り締めてきたのである。

(コウジ様は僕の後ろに下がってて下さい。ここは任せて下さい!大丈夫ですよ。こんな奴に負けませんから)コタローは笑顔で言うとそのまま、俺の手を引き後方へ下げさせたのだった。

コタローは俺の前に出ると言った。(俺の名前はコタローって言うんだけど、あなたは何者で俺達の目的とか知っているのか?)

(私の名前はマユーラです。私が誰であるかを知ってるのかと聞かれると答える事はできません。

私は神によって作られた人形なのですから。

私の目的はこの世界に存在している生命体を抹殺すること。

貴方たちが私を止めようとしていることも知っています。だから貴方たちをこの場で排除させていただきます)とマユラーナが言うと、コタローとコゾウも武器を構えなおして臨戦態勢をとった。そして、戦闘が始まるとすぐにマユウラーナは、コタローとコゾウに向けて魔法を放ち始めたのである。

コタローがコゾウを守りながら戦い、コゾウは後方からコタローの隙を埋めたりしながら攻撃を行っていた。しかし二人は次第に押されている様子になっていたのである。俺が参戦しようとするとコタローとコゾウに止められた。(コジロと二人でコタロウを助けに行ってください。僕ならまだまだいけます)そう言ってコゾウは、更に攻撃を仕掛けようとしたとき、俺は慌ててそれを止めたのである。(待った。お前らが怪我でもしたら困るんだよ)と言うのだった。するとコゾウは微笑んでから答えた。(僕はもうこれ以上は強くはなりませんよ。僕の強さは僕の努力の結果でしか手に入れられないのですからね。それに今は僕達にはコウジがいるじゃないですか。それにコウジには、このコゾウがついているのですから、問題ありません)コゾウがそう言っている間にも、マウーラの攻撃をコタローが受け止めていたのである。

(なるほど。確かにそうかもしれないな。だけど今、コウタロウ一人で戦ってもらっては、こちらの戦力が大幅に削られちまうんだよ。コガと俺とで助けに入るからな。もう少しだけ耐えてくれ)と言って俺達は急いでコタローとマユウラーナの戦闘場所に向かった。俺が着く頃には二人共満身創痍で、息が上がっている状態だったが、お互いまだやれるという表情をしているのであった。そこで俺は二人に声をかけることにする。

(よく頑張ったな。俺が来たから安心してくれ)そう声をかけると二人は嬉しそうな顔になり笑みを浮かべながら俺に向かって話しかけてくる。(コウイチロウ様。僕ももっと頑張りたいですが体力的にも無理っぽいですね。あとはこのコゾウにお任せします)とコゾウがいうとマユウラーは驚きの声を上げるのだった。

「どうして、どうしてなの。なんなのこれは。ありえない。こんな事が起こるなんて。

それにコゾウとコタロウの力は異常すぎる」

(そりゃあ、そうだろう。俺が鍛え上げたんだからな)とコゾウが言うと、コゾウがさらに話し始めた。

僕がここに来てもう何年経つのでしょうか?僕が初めてコゾウに会った時はもう随分大きく育っていました。僕達はあの時はまだレベル1だったんですけど、もうその頃は10を超えていたんですよ。だからもうそろそろ、コガとゴゴ助に教えてもらおうかなと考えていたところだったんですよ。そこにコウジさんが僕の前に現れてくれたので僕はとても嬉しかったんです。しかも、コガやゴゴ助も連れてきてくれたし、コウイチロウさんやコゴブ助にコゴゾウ。

僕は凄く恵まれています。だから僕もこの人のために精一杯がんばろうと決意したんです。それにコガにコゾウ。君たちはこの国でもかなり有名な剣士なんだよね?そんな君たちに訓練をつけてもらえて本当に嬉しいよ。ありがとう)コゾウはコガとゴガゾウに礼を言うとコガが照れくさそうな顔をして答えたのである。(いや、それはいいのだがな。だがお前とマウちゃんが戦っている時にマユウちゃんが放った技には驚かされたよな)とゴガウゾウが言うと、俺とゴガゾウが驚いたような顔でマユラーナを見るのであった。マウってだれのことだよと思っているとコツゾウが答えてくれるのだった。(えっと、コウガさん、コゾウさんお疲れ様でした。さっきの戦いはなかなか良かったですよ。僕達の連携も上手く行っていましたので安心しました。

それでは僕も本気を出させてもらいましょうか?)コタローはコジローに向かって話し、コジローはコジロウを地面に突き刺し魔力を流し込んだのである。するとコタローが光輝き始めたのである。

「まさか、この力はコタロウなのか?しかし今のお前は俺の従魔じゃなかったのか?」コガが驚いていたが、ゴブ郎は冷静にコゾウに聞いてきたのである。(コチゾウ。コガの言っている意味がわからないんだが説明してくれないか)と聞くと、ゴウゾウが説明してくれたのだった。

(おそらくコタロウ殿の力が暴走している状態なのだと思います。このままだとマユウの魔法と衝突する可能性が高いかと。コガ助、ゴブ太よ。すぐに止めに入りなさい。コタロウ殿の魔法を止めるのです)ゴウゾウが焦ったように二人に言うが二人は首を横に振る。(いや、俺らはコタロウを止めようなんて思ってねえよ。ただあいつと本気でやりあってみてぇだけだ)ゴガゾウは言うとコタロウを見つめてニヤリと笑うのだった。(ははは。コガ助らしいな。コゾウもそう思うだろ)とゴジロウが笑いかけるとコガはため息をつき呆れた様子で話す。(全く何を考えておられるのですか?ゴガゾウは相変わらずのようですけど、コガもゴガゾウに感化されてどうするのですか。あなた達までマユーラと同じ存在になってしまうのは嫌なのですが、仕方がないです。私が全力を尽くしてあなた達の力を抑えますから覚悟していてくださいね)ゴウゾウもニヤリと笑ってから、コジゾウとコタロウに向かって走って行った。そしてマゴウゾウが叫ぶ。(皆さん。早くこの場を離れないとコタロウの魔法の巻き添えを食らいますよ。マゴブ助も私と一緒に力を貸すのです)ゴオゾウとコゴブが光り始め、ゴガゾウはコゾウと合体をしたのであった。そしてその勢いのまま、マユウラに向かって行くとコユウラの剣を弾いてそのまま攻撃を開始したのである。そして、その攻撃は激しくなっていく。しかしマユーラは、その攻撃を避けることなくその攻撃を受け続けたのであった。その光景を見て俺はコゾウに向かって問いかけた。

俺は疑問を感じていたからである。

(マコ。あれがコウタロウなのか?俺にはそうは見えないんだけど、コタロウの体にコゾウの人格が入っているように見えるのだけど)

(え?そうなんですね。さすがコウジ様。よく観察されているみたいですね。確かにあの体は、コゾウの体ですが、今はコゾウとコタロウの精神が入れ替わらないように押さえているのですよ。

そうでもしないとコタロウは間違いなくこの世界に混沌をもたらしてしまいますからね)

「なるほどね。だけどコゾウ。マコトとゴジゾウが一緒にいた時の姿は見たことあるんだが、今のようには戦っていなかったと思うぞ」とコゾウに言うと、コゾウは少し困った表情をして答えた。

(あ、はい。確かにそうかもしれません。コウタロウがコウゾウさんと出会ったときは、コゾウが封印されているときだったのでしょうから)とコゾウに言われるのである。そこでコウタロウが動き出したのだ。(コウガ様。そろそろ準備が整いましたよ。コウイチロウ様にはご負担をかけてしまって申し訳ありません)コウタロウが謝ってくるのである。

俺はコウタロウに向かって言った。(気にしないでくれよ。それで俺達はどうすれば良いんだよ)

俺はコウタロウが俺に伝えた通りに、マユウラの前に出るのであった。

俺とマユが二人で向かい合う。そして俺は武器を構えた。しかし、俺は構えることなく無防備な状態でマユに近づいていくのである。俺はそのままマユラーナの所に行き、抱きしめるのだった。俺は心のなかでマユに伝える。(マユ俺と結婚してくれ)俺はそう伝えると、マユラーナは俺の体を突き放してから、涙を流し始めるのだった。

(私はあなたの事を信用してもいいんでしょうか?私の全てを預けても良いのでしょうか?)

(ああ。大丈夫だよ。俺を信じてくれ)

(そう、ですか。ならいいんです。私と結婚して下さい)マユは笑顔になってそう言うと、マユウラが俺とマユラーナの間に割って入ってくるのだった。(だめよマユウ。コウジとマユウラーナの恋が実る瞬間に立ち会えただけでも幸せじゃないの。マユウが今することはコウイチロウと、コゾウを倒すことでしょ)

「うるさいわよ。そんな事わかっているわよ。コウゾウのバカ!」マユウラーはそう言うと再び戦闘態勢に戻る。

俺は俺の後ろに隠れるように言っていたマコの所に急いで戻りながら話し始めた。

(おい、コウイチロウとマユは無事なんだろうな)

「当たり前だ。俺が必ず守ってみせるから安心しろ」

「わかった。お前にすべてを任せよう」とコガが答えると、マゴウゾウが、(コガ助よ。そろそろ本気で行きますから、気を引き締めてかかってきなさい)と言うと、コガゾウは(はい。先生。本気でいきます)と答えて走り出す。(ゴオゾウ。貴方も手を貸しなさい)とゴオゾウゾウは言うとゴゴゾウと一緒になって攻撃を仕掛けてくるが、ゴガゾウの攻撃をかわしながら、隙を見てはゴガゾウを攻撃していた。その間にコガゾウが、ゴブ太に向かって言う。(コジ助。頼む)ゴジゾウも同じようにゴブ助に声をかけていたのである。

俺達は、ゴブ太が作り出した光の盾の中に居たので何の問題もなく、二人の攻撃を避けられていた。そして二人はマユウラと、コゾウに攻撃し続けていたのだ。しかし、そんな攻撃では、二人を気絶させることなどできず、ただ時間だけが過ぎていく。

「ねぇ。あんた達はどうしてこの国を攻めようと思ったの?あんたらは魔王軍ではないんでしょう?なのになんで?」とマユウラがゴオゾウ達に話しかけると、ゴウゾウは、(私達はマユウに協力してこの国の王を倒しに来たの。それだけよ)と答えたのだった。するとゴユウゾウは(それに私達がマユウに協力した方が面白そうだからよ)と付け加えるのであった。

(ふん。どうせ私には逆らえなくて渋々協力するんだと思ってたんだけどね。でもさ。それなら最初からコウイチロウの従魔になったふりなんてする必要はないんじゃないの)とゴウゾウが言うと、マユが(あら?もしかして、ゴゾウちゃんってまだマユーラの本当の気持ちに気づいていなかったのかしら?)と言いながら、マコの手を握っているコウジを見る。マコもそれを嬉しそうに見つめていたのである。それを見たゴエゾウとコゴゾウは呆れた顔をしていた。ゴジゾウが言う。(そう言えばコゴブは、コゴジのことが好きなはずよね?それじゃ、なぜこの作戦に参加したの?)とコゴブに問いかけるが、コゴブゾウは言う。(それは、コゾウに無理矢理引っ張られて、マユウちゃんの加護の力でこの国に転移されたからで)と言ってきたのである。(ふーん。じゃあさ。あなたもコゾウのことが好きだってことなんだね)

(ち、違うわよ。そんなわけがないでしょう。だいたい私達は、マコに召喚されてここに来たのだから、好きとか、そういうのとは関係ないのよ)

ゴブゾウは必死に誤魔化そうとしていたが、それが嘘だということはすぐにわかったのであった。

そして、ゴウゾウとコゴブはお互いのことを睨み合っていた。

(コゾウ。どうしますか。私達もそろそろマユウラとの戦いに専念しようと思っているのですが)

コゾウが言うと(俺らもその方がいいと思います。このままだと無駄な時間を取られすぎているので、マユーラには早く倒れてもらいたいですし)とコゴブゾウも同意するのであった。(マユーラ。早く終わらせるぞ)ゴゴゾウが言うとゴユウゾウも続けて話す。(マユも早くこの戦いから逃げてコウジの側に行かないと、他の女共が群がってきてしまうよ)ゴブゾウはゴウゾウに攻撃しながら言う。

(うるさいわね。もういい加減にして。私を倒せると思うの?)

(まあ、倒せるかもしれないけれど、その時にはすでにあなたはコウジの妻になっていて、マコはあなたから解放されているわよ)

ゴユーゾウの言葉に、マユウラが動揺して攻撃が遅れてしまうのであった。

「えっ?もしかして今の会話を聞いて、私が負けた時のことを想像して怖くなったの?でも残念でした。あなたの負けよ。これでおしまい。そして死んじゃいなさいよ!」と叫ぶと同時にゴユウゾウが攻撃をしてくるが、俺はその攻撃を受け止めながら言う。

「なに?なんなの?その魔法陣。え?ちょっと。うそ?きゃああああぁ」

ゴユウゾウはそう言って光り輝くと消えていくのだった。ゴゴジゾウとコガジロウもマユウラーナと戦っていたのである。マコとマユが俺の横に並び立ち、マユが、ゴウゾウが消えた時に発動させた防御結界を使ってコジゾウとゴジゾウに攻撃を開始したのである。

(コガゾウ。何をしているのよ!こんな所で死ぬつもりなのかしら)

ゴジゾウが叫ぶが、俺は、(いや、あの二人は大丈夫だと思うよ。それにあいつらには俺のスキルを使わなくても十分に勝てるはずだ)と答えていた。コガゾウは少し戸惑っていたが、俺を信じてくれたみたいで、そのまま攻撃を続けていた。

「なんですって!コウイチロウはコウイチロウなの?私の事が好きだと言ったコウイチロウは、偽者だったの?」

ゴユウゾウの叫びにマユウラが、(そうよ。あなたはコウジが姿を変えたコウイチロウだったんだよ。マユの旦那様に成り代わってこの国を支配しようとしていた悪い人だったのよ)と言うと、マユは言う。

(マユ。ありがとうな。俺は本当にお前の夫になれて良かった。お前の事はこれから先ずっと俺が守るから安心してくれ。それに、俺には仲間がいるんだ。俺はそいつらを裏切ることはできない)

マユウは涙を流して俺に抱きついて来たのである。

(そうだったのね。やっぱりコウイチロウは本物のコウイチロウなんだね。よかった。コウイチロウが本物で)

俺の背中越しから聞こえる、ゴウゾウの涙声が聞こえてくる。ゴオゾウがマユウに話かける。

(ねえ。マユウラーナの本当気持ちはわかったんだし、ここは大人しく捕まったほうがいいと私は思うけど)と聞くとマユウラーナは答えた。

(嫌だわ。そんなの絶対にいやだわ。マユウが愛してるのはコウイチロウだけよ。それ以外に愛する男なんて居ないの。例え相手がコウイチロウであろうと、マユちゃんだろうと私達は渡さないわよ)と叫んで攻撃を再開する。コゾウはゴユウゾウの方に攻撃を開始する。ゴジゾウが言う。(コウゾウ。ごめんなさい。私はマユウラ様の為に、あなたとコゴゾウを殺す事にする。だから覚悟をしておいて下さい)と言ってゴゴジゾウがマユに向かって走り出したのだった。

「おいおい。マコ。あれはどういうことだ?ゴウゾウとゴジゾウがマユを殺そうと襲って来ているぞ」

「うん。多分だけど、マコちゃんに洗脳をかけている間に何かがあって、ゴジゾウが、ゴウゾウを殺してしまったんだと思う」と答えると、俺の腕の中で暴れる。

(おい。離せよ)と言うのだが俺は決して手を緩めないのである。そしてマユウはと言うと、泣いていたのである。

(なんでだ?どうしてゴウゾウがあんなことになってるだよ)と聞いてくるので俺は答える。(さっき話をしていただろう。俺の加護の力を使ったらゴウゾウも洗脳されていたんだ。そしてマコに殺されていた。ゴゴゾウもマコに殺されたんだよ。だからもう終わったことなんだ。気にする必要は無いだろう。マユーラはマユに任せて、マコは自分のことに集中してくれないかな)

するとマコは俺の目を見つめてくるのである。そして(私には何が出来る?)と聞かれた。俺が、ゴユウゾウがコチを俺に攻撃しようとしているから、それを防ぐ為に防御壁を作って欲しいと伝えると、マユウラとゴゴゴが、マユウに向かって走り出している。それを阻止するように、マユがゴウジゾウとゴウゾウに向けて攻撃を仕掛けていく。

(私にできることなんて何もないじゃない。マコちゃんを助けてあげることさえ出来ないのね)と言ってマユーラの攻撃を避けながらマコに近づいて行くのである。それを邪魔するかのようにマユウも魔法を放ってきたので、俺はマユーラの方を見るが、マユもマユーラもお互いに集中しており俺の事など目に入らない様子で、俺は一人になってしまったのである。

(コウイチ。俺も一緒に戦わせて欲しい。マコを守りたい)とコゴゾウが言ってくる。しかし、ゴジゾウが俺とコゴゾウの間をすり抜けてコゾウの所へと向かおうとしているのを見て止める事にした。

コジが俺の前に出てきてコゾウを止めようとしたのだが、コゾウに弾き飛ばされていた。コゴジがコジゾウを攻撃してきた。コジロはその攻撃を盾で防ぐのだが、そのせいで俺の守りが無くなってしまったのである。そして、コゾウはコゴゾウと剣を打ち合い始めたのであった。しかし、いくらレベルの高いコゴジゾウであってもレベルが低いコゾウとのレベル差があり過ぎて、勝負にならない状況に陥っていた。コゴジは、(コゾウ君に負けるくらいなら、ここで死んだ方がいいわ)と諦めていたがコゾウに、(ダメです。そんな事言わないで下さい。僕がコウイチロウさんの代わりに頑張りますから、どうか命を捨てようとしないで)と言われてしまう。

コゴゾウはコゾウの言葉を聞きながら俺の顔を見ると、涙をこぼす。(そうよね。こんなところで死んじゃだめよね。私はまだ死ぬわけにはいかないものね)と言い直してコゾウに反撃を開始したのであった。ゴジゾウが、(コウイチ。助けに来てくれてありがとな。お前はもう帰っていいぜ。マコとマユを幸せにしてやってくれよ)と言うのだった。俺は言う。(それは無理だな。俺はマコの事が好きだし。マユーラだって気に入っている。俺は二人に幸せに過ごしてほしい。その手伝いをするのが今の目標なんだよ)と言うのだった。

「マコちゃん大丈夫?」マユはそう言いながら俺達の間に割って入って来るのであった。そしてマユウもゴゴゾウの相手をしながら(そうよ。マユウ達はコウジに会えて本当に嬉しいのよ。そしてマコにも感謝してもしきれないほどに感謝してるのよ。だからこれ以上誰も傷ついて欲しくないのよ)と言うのである。

(お前達の言っていることが分からないんだよ。一体どういう意味だ?お前達はコウジのことが好きで俺に協力してたんじゃなかったのかよ)と聞くとマユウは、ゴシゾウに切りかかられながら答えてくれた。

(もちろん好きだったわ。最初はそうじゃ無かったけれど。いつの頃からかな?コウジの事がとても大好きになったのよ。マユの事もコウジの妹でしかなかったはずなのに、今ではマユちゃんもマコちゃんも私の大好きな人達の一人なのよ。コウジの本当の子供として産まれたかったと思ってしまうくらいに)と言うのだった。

「そんなの俺の知ったこっちゃねーんだよ」とコゾウが叫ぶと、ゴオも「そうよ。そんな事を勝手に言われても迷惑なだけだわ」と言っていた。

(コゾウ。ゴオ。あなたたちはマユウ様を悲しませていいと思っているの?コウイチロウはマユとマコが幸せな家庭を作れるように色々と頑張っていたじゃないの。それを手伝うためにマコと一緒にこの国に来たのにその恩を忘れてしまったというの?マコが苦しんでいたら力になってあげる。それが私達がこの国にいる間の条件だったはずだわ。それに、私達にはコウイチロウが必要なのよ。コウイチロウが居ないとこの国で生きていくのは難しいの。マユちゃんが妊娠している今の状態はコウイチロウにしかできないの。マユウの本当思いを知ってしまったあなた達にマユウを守る資格はない。この場から去らないと私が許さない)と言うとゴユウがマユウに切りかかったのだった。

(コチョウはどこに行ったのよ)とコユウが叫ぶと、コガと、ゴユウがコゾウとゴオに斬りかかる。俺は、マコと、マユ、マコとマユーラを護るために前に出たのだった。コゾウとゴオがコガの攻撃を受け止めたのだが、そこに、ゴユウがマコの首を斬ろうとしていた。俺はコガを後ろから蹴り飛ばす。そして、マユウを庇うようにマユウを抱き抱えながらコユウとコゾウの方に剣を向けるのである。マコに言う。

(コガと、ゴユウは俺に任せろ。コオと、コオとゴユウの相手をしてくれ)と言うとマユウが答えた。

(うん。お願いします。私も出来るだけ早く終わらせるように頑張るよ)とマコが答えるのだった。

俺がマユの所に戻るのと入れ替わりにマコはゴゴゾウの方へと向かう。そして、二人は同時に魔法を撃ち合った。そして二人の戦いが始まる前にコガは俺に向かって言う。(マコとゴウゾウをよろしく頼みます。私はゴオと二人でコユウ様を倒しますから。それに、私は、マコを殺さないで済んで良かったとも思っています。ゴウゾウを殺していなければ、私はマコと戦うなんてできなかったと思いますから)と言うとコユウの援護をする為に飛び出ていったのだった。

「マコ。どうする?あいつらを倒せるか?」

「多分大丈夫だと思う。でも、少し時間を稼いでもらってもいい?ゴゴジゾウを倒す準備をしたいわ」とマコが答えると、コゾウはマコの横に行きコガに剣を振り下ろしてくる。コダが俺とマユの前に出てきて、盾で剣を受け止めてそのまま弾き飛ばした。コガはゴユウの攻撃を避け続けていた。

俺はマユーラをコチの所に連れて行くことにする。そして、コタがマユーラに近寄ろうとするので、俺は止める。するとコゴがコゴウの方に向かったのである。コゾウとゴオは互角のようだったが、俺が加勢したことによりゴオウの優勢になりゴユウを倒した。ゴウも俺が倒し終わってコジゾウとゴゴが戦っているところを見るとコチと戦っている。

コジゾウはゴコに止めを刺されようとしていたので間に入って止めさせたのである。ゴゴはコチによって殺されそうになっていたのだがコチがゴコを殺そうとした瞬間に、ゴゴに俺が斬りかかっていたので、その間にゴゴの攻撃を何とか避けることができたようだ。コゴは俺に向かって(ありがとうございます)と言うのである。俺が、ゴコを睨みつけていると、コゾウもゴコが生きていることに気付いたのである。

「お前が殺したんじゃ無いんだな?」「違う」コゾウの剣が、コゴに襲い掛かる。コゴはそれを盾を使って受け流すが盾で受け流された勢いのままにコゾウの剣先がコゴロに向かうのである。俺はコゾウを止める為に剣先を逸らす。「おい!待てよ!」

俺はゴホゴホ咳き込みながら血を流していた。コゾウはその隙を逃すことなく剣を突き刺す。俺の腹に突き刺さったその剣を引き抜こうとしていたのである。それを見たコガが立ち上がれなくなったはずの身体を起こして駆け寄るとコゾウの腕を切り落としてしまうのだった。俺は、(俺がコチョウの所に行くまで、耐えられるか?)とコゾウに声をかけるのだった。コゾウは、コゴに腕を落とされたせいか、痛みを感じないのか、無表情な顔で答えていた。(わかりました。やってみます)と言うと、再びゴオと戦おうとしている。

「マユとマユとマコ。ちょっと行って来る。後は任せたぞ」と言ってマコとマユの元に戻るとマユがマコとコチに話しかけていたのである。

(ごめんなさいね。二人共)と言うのを聞いてしまった。

マコは、「大丈夫だよ。気にしないで」と言っていたので、俺は何も言えなかった。

(大丈夫だよね?きっと。私も戦うよ)とマユは立ち上がる。コツも立ち上がりながら、

(マコのことは、コウイチさんに任せればいいから。コチは私とゴウさんを先に倒した方がいいよ)と言った。ゴウも(コツのいう通りですよ。マコさんに気を使う必要はないです)と声をかけてきたので、コチョウに剣を振る。コチョウは盾を使おうとしたみたいだが、その動きが遅く感じられた。そして俺は剣の柄の部分だけをコチョウに当てると、それで、気絶させてしまうのだった。ゴウが倒れそうになったゴウにとどめを刺しに行った。俺もゴコにトドメを差そうと思っていたがゴコが逃げ出そうとするのでその前に首の後ろを手刀して眠らせた。

「これでいいだろ?俺達の仲間に手を出したんだ。お前に生きる資格はない」と俺が言うと、コガは、俺の顔を見て、何も言えないのか俯いていた。ゴオが言う。(ココウの奴は本当に馬鹿ですね。こんなことをしたら、コウイチロウがどれだけ怒るかわからないというのか。私も、コチョウがコウイチロウにしたことを許せないが。それはコチョウを操っていた私も同じかもしれない)と言うと、続けて、(でもね。コウイチロウなら。コウイチロウの事を一番理解しているはずのコウチョウならばコウイチロウを止められたんじゃないですかね)と呟くのであった。

「コゴの仇は必ず討ってやるよ。それにお前らみたいな雑魚がいくら束になってかかってきても無駄だってこと教えてやるよ」俺はそう言ってから三人に向き合うのである。

「ゴオは俺が倒す。ゴウもゴヨウもマコウもコガも全員纏めて俺が相手になってやるよ」そう宣言すると俺は剣を構えるのだった。

(マコ。俺がマコウを引き受けて時間を稼ぐ間にゴウとコオを倒しておいてくれ)

(うん。わかった。お願いね)というとコゴはマユとマユーラの所に向かっていたのだった。俺は、ゴゴとゴゴウに向き合いながら考えるのである。

(俺に勝つ自信がないのだろうか?ゴゴウのやつ。逃げるつもりなのかな?俺達には勝てないと思ったのかな?俺達の強さを見誤るような馬鹿には見えないのだが)と考えていた。

(私に任せてもらえませんか?ゴオゾウの相手は)とコガが言ったので、(頼むよ。マコウとコチョウにコチはコゴに預ける事にした。そっちを任せたから、コゴチョウの方の事は心配せずにこいつらを片付けてくれ)と言い、俺はコガと入れ替わるようにマコとコユとマユーラがいるところに戻ったのだった。

(コユ、マユはゴユゾウの方を頼んでもいいか?俺はコゴの相手をしているよ)と言うと、マユが言う。(私はゴユゾウに止めを刺すから安心してちょうだい。私はコガと一緒にいるわ)とマユが答えてくれた。コガがマユの横に来ると俺は、マユがコチョウの首を跳ねたところに目を向けながらマユとコガにコチの加護の事について話したのである。

そして、俺はゴゴウと戦う事にして、俺達が戦うところは村から離れたところにするのである。マコとコユとコガは、村の人たちが避難していた家に戻りゴオゾウとコチョウを倒しに向かうことにしたのである。

俺はマコウとゴオを見ていた。二人は同時に走り出したのだが、マコウが速い速度で斬りかかってきたのだ。マコに剣術を習っただけある。コチもそうだけど、マコも俺もそうとうな速さになっている。ゴオとゴウは二人がかりでもコガ一人にも苦戦しそうなのに、ゴキがマコウに向かって剣を振り下ろそうとした瞬間にマユの攻撃でゴオウの両腕が吹っ飛んだ。

「うぎゃぁあ」ゴゴは叫びながらもゴオウの腕に回復魔法をかけていたのだった。

「ふぅー。助かったよマユ。コガも頑張ってるし、俺も負けられないよね。行くぜ」と言うと、マコとゴウの戦いを見ながら、コチの様子を伺っていた。ゴウもコチに剣を振り下ろすがコユによって剣が弾かれる。

「なんだよそれ!反則だぞ!」と言うゴウに対してマユが叫ぶ。

「うるさい。さっきのコチョウみたいになるけどいいんだね?」と脅すのであった。俺もそれを聞きながらコゴとマコの方を見る。

「さすがは、コチョウの妹なんだな。強いじゃねぇか」と俺の言葉に反応するコガ。

「当たり前でしょ。コチだってこの世界にきて日が浅いのに、あんなに強くなってるなんて」とマユは言う。

(そうだよね。マコと私の加護の力で身体能力を底上げしたとはいえね。それでも、まだ、コチには届かないのに)と言うのである。コガは剣を構え直し、剣を両手で持つ。

「へぇ~お前。なかなかやるな。少し本気出してみようかな」とコダも剣を構える。マユとコガは剣を構えたまま動かない。先に攻撃を仕掛けたら不利になることは分かっているからだ。しかし、マユはコチョウとゴオチョウと戦えるくらいに強いはずなのだ。

俺はマコとゴチョウを見ていると、マコが言う。

(コチョウは強かったよ。あのゴトウの剣捌きを、ゴトウが使う剣の動きを真似をして戦っていたの。それにコチが使っていた、剣舞を使って戦う技もね。でもね私達を殺せるほど強くはないんだよ)と言ってくれたのである。俺も同意見だ。ゴチョウがゴウとコチョウに攻撃されるたびにコチョウはダメージを受けているようなのだ。俺もゴチョウに加勢する事を決めたその時、コチョウがコチに向かって駆け出してきたのである。俺とマコウはその動きに驚き動けなかったのである。

(ごめんね。兄ちゃんはもうすぐ死ぬだろうから。せめて、コチョウ姉だけでも助けて欲しい。お願ね)というコチョウの声が聞こえてきたのだった。

(何がしたいんだ。コチョウのやつは)俺もマコも呆然としてしまった。コチョウはゴコウとゴトウとコゴを相手にしてるにも関わらず、無傷でこちらに走って来た。

コチョウはそのまま、マコウとコユの攻撃を簡単に避けてからコガとコガゾウの元にたどり着くとコガの首元に腕を突き立て気絶させるのだった。俺はコチョウの腕を掴むと思いっきり引き抜くのだった。

(いてててて。酷いよ。コガに傷がついちゃったじゃん)と言うので(お前がコチョウを傷つけようとしたんじゃないのか?)と言うと、コチョウが答えてくれるのだった。

(違う。私じゃないよ。ゴチゾウにやられたの。ココウに剣を当てたのが気に食わなかったらしくて。私に剣を投げつけて来たの。そしたらコユに当たってね。だから。私がゴウに殴られそうになっていたゴゴを庇おうとしたんだけどね。その隙にコゴにやられちゃってね。ゴガとゴウは、コゴの攻撃を受けてしまったの)

(そういうことなのか?それでお前の怪我は、ゴガに切られたというのか?俺とマコのことは知っていたんだろ?どうしてお前も一緒にこっちに来なかったんだ?そうすれば、こんな状況にはならなかったんじゃないか?お前はゴウ達を見殺しにしようとしたということだな)と言うとコチョウは答えるのをやめた。俺はそんなコチョウに近寄ると、そのまま思いっきり頬を思い切り叩くのだった。コチョウが言う。

(なんなの?ココウはコチョウのことを嫌っていたんだよね。なのに、なんで?なんでこんなひどいことを平気で言えるの?私だってココウの事を助けてあげたいと思ってた。でもね私に力がなかったの。でも、私は、ココウが大好きだよ。ココウは私のことを嫌っていたから、私の言葉なんて聞きたくもないかもしれないけど。でもね、ココウに殺されそうになった時も私は抵抗できなかったの。

もし。今コチョウが生きているって知ったらココウは怒るかもって思うと、怖くて何も出来なかったの)というのである。俺はコチョウの頭を優しく抱き寄せるのだった。

俺は、コチョウにコチョウコウの加護の事を話すのである。すると、(コチョウの気持ちに嘘偽りはないと思う。だから、ゴガのこともゴゴのことも心配ないはずだ)とマコウが言う。俺がゴウのところに行くと、マコウとコチも俺についてきたのである。

(俺はゴウに話しかけると、マユとコガがゴチョウとゴウとコゴを倒しにいった事を告げ、コガゾウとゴオとマゴウに言うのだった。

(えっ?それどういう意味?私に勝てるわけないよ。マユ姉も、マユねえに負けたくなくて頑張っていたのは知っているけど。それでも無理なんだよ。

マユ姉は強いんだよ。コチョウの剣はゴチゾウとゴトウを凌駕してるのにどうやって勝てるのよ)

ゴチョウのその言葉を聞いたコガは言う。

「私達があなた達の相手になるわ。コチョウとコチョウコウの敵討ちよ」とコガは言ってからゴゴゾウに斬りかかったのだった。俺はマゴに斬りかかるが、コオとコオゾウとコオとゴオがそれを阻む。

(コガさんが、マユさんのところに行ったということはゴチョウを倒すために時間稼ぎをしているはずです。ゴゴとゴゴウが邪魔なので先に倒しますよ。コチョウを倒したようにコガゾウとゴチヨウも倒す)とコチは言ったのだ。俺は、コチの加護の力を借りて、ゴオに斬りかかろうとした。しかしコチの剣の方が早くゴオに届くのであった。ゴオオは、俺に斬られて倒れた。俺はそのまま、倒れ込むコガのところに急ぐのである。コオは俺に剣を振り下ろす。俺はコオの攻撃をかわし、相手の剣を持つ手を目掛けて蹴りを放ち手刀を放つと、その手に握られていた剣は折れてしまうのである。コオの手から放たれた俺の手にはゴオに突き立てられたコユソウと同じ形状の剣が握られているのであった。俺は、コチに斬りかかっているゴオに向かって剣を投げ付けるのであった。

俺が投げ付けた剣を受け止めようとするコガに、マコウが襲ってくる。そしてコチはゴゴの喉を刺す。俺はコガの持っていた折れていない方の剣を拾い、コオゾウに剣を向ける。

(ゴチョウ様を殺させやしないよ。ゴオ兄を殺させない)と言って、剣を振るうコオだったがマホによって倒された。

(ふふふふふふふふふふ。コチョウもゴチゾウも、私を倒せなかったみたいね。コチョウも私に攻撃を当てただけで。攻撃が通らなかったものね。

さぁ。コチョウ。覚悟しなさい。私はあなたを殺しはしないけど。あなたの命を奪うつもりはないけど。ゴトウも殺す気はないけど。コゴとコガの仇を討つわ。ゴトウも死んで貰うから安心しなさい)と言うのであった。

(お父様。もういい加減にしてください。この者達の実力はわかったでしょう?無駄に人を殺す必要はないんですよ。私はお母様に会えたし、もう満足しましたからね)と言うのである。ゴチョウの言葉を聞いてマコウが俺に聞く。

(ゴチョウの奴何を言っているんだ?)と俺が言うと、コチが言う。

(どうやらゴチョウの加護は。コチやゴチョウのお父さんの願いが具現化されたものなの。だから、ゴチョウの言葉はゴチョウの意思とはかけ離れているんだよ)とマコが説明してくれるのだった。

「へぇーそうなの。なら私のお願いも聞いてくれるかな?」というとゴチョウが叫ぶのだった。

「やめてください。やめて」

しかし。ゴチョウが何かする前にマコウとコユは、マコがゴチゾウの、コチが、ゴオとコチの武器を手に持ちコチョウに迫る。ゴチゾウの武器を手にしたゴチョウの目の前にマコが現れて剣を振り下ろした。しかしゴチョウは間一髪で、後ろに飛び退いたのである。しかし、それは罠でありコユの剣がコチョウを襲う。しかし、剣はゴチョウの頬を掠める程度に終わったのである。その光景を見てコチは言う。

(残念だね。もう少しだったのにね。次はコチョウが死ぬまで追い回し続けるね)と言いながら、またコチョウに近づくコユだが、コチョウが言う。

(ちょっと待ってコチョウは悪くないの。コチョウが弱いだけ。もう止めて、コチョウにひどいこと言わないで)と涙を浮かべているコチョウに、ゴチョウは言う。

(コチョウは優しいね。コチョウはゴウ兄やコガ兄の事が本当に大好きだったんだもんね。ココウもお姉ちゃんのことが大好きだもんね。そんな二人が死んじゃったら、きっとコチョウは壊れちゃってたと思う。だからコチョウとココウの加護の力でゴウとゴウゾウを助けてあげたいって思っていたのにね。でも、そんな事出来るわきゃないよね?ココウの加護だってそこまで便利な物じゃないんでしょ?)と言うのである。

その言葉を聞いた俺は思う。

ゴチョウの奴、一体何者なんだろう?コチョウと全く違う考え方が出来るようだ。確かに俺が知っている加護は、加護の所持者が、自分が使える技とかを使えるというものだから、俺の持っている加護の能力を全部使える訳ではないのだが、それにしても違うと思うのである。俺がコチョウコウの事を考えていると、ゴガの悲鳴が上がるのだった。俺は急いでゴガとゴトウに近寄ろうとするが、ゴトウは、コチの攻撃になんとか耐えきっている様子である。ゴウがコユの攻撃をギリギリで回避しながら言う。

(このままだと、全滅してしまいそうですね。仕方ありませんね。コチョウとココウのことは許します。しかし。ゴウゾウとゴゴゾウは、私とゴウゾウの弟妹なので、コチョウコウと同様に、私とゴウゾウが死ぬその時までは生かすつもりでしたが、ゴウゾウの気持ちを考えると、ゴウゾウは、コゴに殺されるべきだと判断しました。ですからゴチゾウとコオは助けません。ただ私に傷をつけたことは見逃せないので、二人とも苦しまないようにして差し上げましょう。それが、あなた達の為でもあり、ゴウゾウの為でもありますからね。ですからあなた達二人は私の家族ではないのです。なので遠慮する必要もなくなりました。あなた達の相手はこの私ではなく。私の弟。ゴトウですよ)と言ってから。俺達は、コガに向き合う。するとゴトウとココウもこちらにくる。俺はマコのほうを向くと彼はうなずいてくれるのだ。

(それじゃあ。始めるとしようか)と言うと、ココウは俺に向かって斬りかかって来る。その剣は俺の剣を弾くほどであったが。次の瞬間に俺はココウの後ろに移動していたのである。俺はそのままマコウに向かって剣を振るうとマコウは避けることに失敗し肩口に傷を負うがすぐに再生する。するとコオはコチョウとゴトウとマコの前に行き。マユはコチのところに行く。そしてコチとマユの二人が俺に向かおうとするのである。しかし俺はそれを阻止して、俺に向かって来た三人を相手に戦いを始めたのだった。俺は、コチョウと戦っている時に気付いた事をゴトウに伝えようと思っていたのだが、コチョウの斬撃の速度や力が強くなって来て話す余裕が無くなる。コチョウの攻撃を防ぎつつコオの攻撃を防御しつつ俺は、ゴトウに攻撃する事が出来ずに膠着状態が続いたのである。そして俺はコチョウの攻撃をかわしてコオに一撃を入れることに成功するとコチの蹴りが俺の顔面に当たるのだった。そして、ゴオゾウとゴゴとコゴとゴオは、ゴウゾウとコオが殺されてしまうのではないかと心配したようで。コオに攻撃を始めるのだった。コチョウはマユと戦おうとしたのが失敗であった。マユの速さについて行けずにコオの相手をすることになる。そしてその状況がマコにとって有利に働き。ゴオゾウとゴチゾウにコチョウが斬りかかるのを阻止する。そして俺はコチョウと、マオはコチと戦い始める。ゴトウはゴチョウのところにいき。

(お前に勝ち目など最初からなかったのだ)と言い放つのであった。しかしコチは言う。

(それはどうかしらね?私はコガと違ってまだ諦めていないわよ。私は、コガよりもあなたの方が嫌いよ。あなたのせいで、ゴウゾウとゴチゾウが死んだのよ)

と言うのである。その言葉で俺は、コチョウの剣を避けるのに集中していたのを止めて。俺はマコウの攻撃を何とか受けきり。コチに攻撃を仕掛ける。

「お前は誰だ? 」

その言葉に俺は戸惑ってしまうが。俺に向かって剣が振るわれる。俺はそれを剣で受けるが、俺は剣ごと腕を切り落とされる。

(ふふ。コチョウもゴチゾウもゴウゾウも殺させる訳にはいかないからね。あなたを殺すために私は生まれて来たのよ)と、言ってマユの腹に蹴りをいれるが直ぐに回復される。

(マユさんには負けません。コチョウは、この世界を救う存在になり得る可能性があるのです。私のような出来損ないとは違うのよ)

と、いうと、ココウがゴチに攻撃をし始める。ゴガとゴゴもゴオの所に行き加勢をするのであった。しかし、俺はコチョウの剣を避けたり受けたりしているので反撃出来ないので。俺の攻撃がコチに届くことが無いまま。時間が過ぎていくのだった。

(あなたは一体何がしたいのですか?)

「なにって?」

(私を殺すのが目的なのでしょう? なぜ私の攻撃が当たってこないのですか? 早く殺してください)

「それはできない相談だ。お前もさっき言っていたけど。俺は、コチョウもゴチョウもコチコウもコユゴオコガも、全員救う。その覚悟でこの戦いに望んでいるんだよ」と言うと、コチョウが俺に近づいて来て。(そんな甘い考えが通用するわけ無いでしょ?あなたはここで死ぬ運命なのです)というのである。その瞬間、俺の中にコチョウの言葉とは違った声が流れ込んで来る。

『そんなに甘くはない』と、言う言葉と同時に。コチョウコウが持っていた剣に俺が持っている剣にヒビが入るほどの力が注ぎ込まれるのが分かる。「コチョウコウ。これはどうゆうことだ?」

(コチョウの加護は、コチの物と同じ加護なんです。そしてゴウゾウはコチョウコウとゴウとゴゴとココウを守るために命を賭けてくれたんです。だからコチもココウも、それに私やゴチゾウも、みんな、あなたを許しません)と涙を流すコチョウに、コチは叫ぶ。(違うのコチョウコウは、悪くない。ゴチゾウも悪くないの!悪いのは全てゴガなの)と言うとゴガを指差すが。ゴガは剣をゴガゾウに投げつけてくる。

ゴチゾウの剣を受けたゴガゾウだったが。しかしゴチゾウの攻撃ではその短剣を防ぐことが出来なかったのである。その瞬間、ゴチョウはゴチとゴチウの武器を俺に投げる。するとゴチョウがコガに切りかかる。コチョウコウは言う。

(私はあなたが嫌いです。だけど、それでもあなたのことが大好きだったの。その事は覚えていて欲しい。そして、私が死んでしまっても。コチョウを、コチョウコウを大事にしてあげて欲しいの。お願いします。そして、ゴウゾウを守ってください)と涙を流しながら懇願してきたので。俺はうなずく事しかできなかったのだった。するとコチョウコウは俺に斬りかかろうとしてきているのだった。すると突然。ゴチョウが苦しみだす。そして、ゴチョウとコチョウコウの身体は溶けるように融合していき、そこに、コチョウがいた場所にいたはずの人の形をしたスライムが現れる。そのスライムに俺は見覚えがあった。そして俺がそれを見たと思った時に。そのスライムから光が溢れて、その光が俺に降り注ぐ。そして、俺は自分の意識を取り戻せたのだが。そこには既に誰もいなかったのだった。俺が立ち上がると。俺の仲間達が駆けつけてくれる。俺達は、そのスライムが落としたと思われる。二つの剣を手にすると。仲間と共に奥に向かって走り出した。

コツコが、剣を振り上げる。

しかしゴウゾウはコチョウコウがコチョウだった頃に俺達にしてくれた事を覚えているようで。ゴウゾウは剣を落としてしまう。するとゴウゾウは、その場に崩れ落ち、泣き出してしまう。コチがコチョウに近づき抱きしめるが。コチョウはそのコチの事も拒絶するのだった。コチョウとコチョウコウが融合したスライムの中身は、間違いなくゴチョウであったはずなのに、今俺の前にいる彼女は、俺の知るコチョウではないのだ。そう。俺は彼女を知らないのだ。その彼女が、コチョウコウの剣に斬りつけられると、その剣も粉々に砕け散るのだった。

(あなた達を私は絶対に許さない。お父様がどんなことをしてもあなた達は殺す)と言ってから。コチョウはゴガのところに行ってから。

(ゴガゾウ。私と一緒に来なさい)と言うのである。ゴガゾウは言う。

(ゴガゾウコウを俺が殺せる訳がないだろう)とゴチゾウが言うと。コチョウはコチコウを見る。

(コチョウコウ。あなたに選択肢はありません。さあ私の所に来るのですよ)とコチコウに向かって手を伸ばすと、コチコウは俺を見てうなずいてくれる。そして俺に向かって微笑む。俺はその光景を見て胸の奥底が締め付けられるような感覚に襲われてしまうが。今は感傷に浸っている場合ではなかったのだ。俺はゴウゾウに向かって言う。

「あんたがこのダンジョンの最深部に行かないといけない。それがお前に残された最後の役目なんだろ? 」

俺は、コチョウの事を気にかけつつ、先に進み始めた。俺はコチョウの事が心配でたまらなかったが。今はコチョウコウを助けにいく必要がある。コチゾウとゴウゾウは俺達の後を追ってくるが。マコが俺とゴチゾウの間に入る。そして俺にだけ聞こえてくように言う。

(ここは私たちに任せてください。コガは急いで行って下さい)と言うので俺は、マコとコオを残してゴチゾウを連れて進むことにする。

俺達が進んで行く道の途中には魔獣や魔物が大量に存在していたのだが、俺達はそれらを全て倒しながら進んでいた。

(やはりゴチョウが心配ですか?)とコチが聞くので。「ああ。そうだな。俺にとってはあいつが一番大切な存在だからな。俺がもっと強ければこんなことにはならなかったはずだから」

(コガ。そんな自分を責めるのはもう止めてくれ。お前が悪いわけではないのだから)とゴチゾウは言ってくるが、しかし俺は、ゴチョウの事を考えない時は無かったのだ。そして、しばらく歩くと、そこにはゴチゾウコウとコチョウがいるのが見えてきた。しかし俺が思っていた状況とは違い。俺の前に立ちはだかったコチョウコウに、ゴウゾウが斬られそうになる。俺はすぐに駆け出してその攻撃を受けようとするが、その前にコチョウがコチョウコウを突き飛ばすと、そのまま、コチョウコウに剣が突き刺さる。

「コチョウコウ」俺は叫ぶと、その声に反応したのか、コチョウコウが、コチに言う。(私を殺してください)と、その言葉でコチは涙しながら、ゴチョウコウに向かって剣を振り下ろしたのであった。

俺の前で倒れているゴチョウコウを抱き起こす。

「ゴフコウ。ゴガゾウ」

(ごめんなさいご主人様迷惑をかけてしまいました。それとありがとうございまひたっ!)

と言い終わると同時にまた咳き込み始める。俺はコチョウの方を見ると目が合う。コチョウもこちらに来ていて、俺たちに近づいてきてから言った。(この子は助かりませんよ?)

俺はコチに頼むと言った。すると剣を抜いてから、剣を振るって、その血を払うと鞘に収めてから。コチョウに渡してくる。

(ゴチョウコウさんにはこの子をあげます。ゴウゾウさんには私をあげるので)

「な、なに言っているんだお前は、そんなこと言われても困るんだよ!」とゴウゾウが言うとコチョウコウが俺に抱きついてきて言う。(私はこの人が好きなんです)と言う。俺は何も言えなくなってしまう。コチョウコウとコチョウコウが融合した体は、徐々に透けていっていっていたのだった。するとコチは俺の腕の中から抜け出し、コチョウコウを睨みつけて、言い放つ。

「私は絶対にあなたを許しません」

その言葉を聞いた後に、俺は二人に声をかけると歩き出す。ゴチゾウとゴブ太が俺の左右について歩いてくると、コチは後ろを振り返ったまま動かなかったのであった。

コチが剣を引き抜いて振り下ろすと。コチョウコウの首が飛び、ゴチョウコウは、その首が飛んでいる状態でも。まだ息があった。その事に俺達は驚くが、コチョウコウは俺を見つめて言う。(私も一緒に連れていって)

その言葉にコチも俺に言うのである。

「お願いです! 私もこの人の所にいきます」

俺はその言葉を聞き。コチョウコウの手を掴むと。

「絶対に離さないからな」

そう言って、俺達は奥に進んでいるのだった。俺が手を繋いだ二人の女の子は、俺よりもかなり背が低いのだが。そんな彼女たちが必死に付いてきてくれるのである。そしてコチョウとコチョウコウの体が光輝きだすと、その二人は完全に一体化する。コチョウコウとコチョウはお互いに手を伸ばしあって、それから強く抱きしめ合ったのである。そして俺の身体の中に、二人の意識が流れ込んでくる。

(これが本当の最後ですね。でも不思議と嫌な気分ではないのです。やっと自分の思いのままに動けるようになった気がして。嬉しい気持ちでいっぱいなのです。だからコガ。あなたの傍にいたいとずっと思ってしまうのです。それにしてもあなたと過ごした短い時間で私は本当に幸せでした)と言ってくれる。俺は思わずコチョウに抱きしめてしまう。その行動が嬉しかったのだろうか? コチョウが微笑んでくれていた。コチョウとコチョウコウは消えてしまうと、今度はコチョウの剣を拾い上げてから、コチョウが、剣の柄を俺に差し出してきたので。俺が握る。(これはあなたに使って欲しい。そして私とゴウゾウを守ってほしい。お願いできるかな?コガならきっと出来ると思うから)とコチョウが言ってくれたので。俺が剣を受け取り、それを握りしめる。そして、コチョウは、コチョウコの側に寄ると。二人で一つの指輪を差し出してくれる。その差し出された手に俺が触れようとしてもその瞬間。まるで霧のように、その指輪と二人の手が消えるのだった。俺は慌てて二人を探し始めると、ゴチョウコウの持っていた袋が転がっているのを見つけて、中身を確認するとそこには二つの剣が入っていた。

(それは私がゴウゾウさんの所に行く前に作った物だよ。一つは私のだけど。もう一つはコガの為に作ったの)と言う。そして俺がその剣を拾おうとするのだが、その時に何かを感じたのだ。するとその剣を見ていたゴチゾウコウが。

(それはおそらくゴウゾウのものだと思いますよ。俺達がダンジョンに入って間もない頃、一度だけその剣の波動を感じました。だからこの二つの剣を持っているということは。コチョウとゴチョウは貴方にそれを託したんだと思うんです。この先には多分コガゾウがいると思うので。俺の代わりに行ってくれないか?)とゴチゾウコウは真剣な表情で言う。俺はゴチゾウコウに、その二振りの剣を手渡すと、コチョウコウとコチョウコウコウが、最後に教えてくれた事を思い浮かべながら俺は、先に進んだのだった。

しばらく歩くと、俺は大きな部屋のような場所に出る。俺はそこにいた人物に驚愕するのであった。なぜならその人物が、ゴチゾウコウにそっくりだったので。俺は驚きながらもその男に話しかける事にする。

「おいあんた誰なんだ?」と聞くのだがその男が俺の質問に対して返答することは無く、俺をいきなり殴ってくる。俺は咄嵯にガードをするがそれでもかなりのダメージを受けてしまう。その男はその後も攻撃を繰り返してきたので、俺はなんとか避けることに成功するのだが、その際に、床に転がっていたコチョウコウの剣と、コチョウコウの杖を見つけるのだが、しかし直ぐにその二つをその男に取り上げられてしまう。そしてまた殴られるが、今回は何とか防御することが出来たのだが、しかし俺は、俺の攻撃が一切効かないのである。

俺はその状況を理解できないままに。一方的に攻撃を受けるだけで反撃が全く出来ず。このままではまずいと思っていたら突然部屋の中にあった魔法陣から魔物が出現してくる。

(あれはゴブリンロードだぞ? なぜこんなところに?)俺は驚いてしまったが。俺は即座に鑑定を発動させてみることにする。【種族】:ゴブリンロード 名前持ちの亜種個体 性別;男性 年齢;0歳 職業 上位ゴブリンナイト 能力 HP 32000 MP 20000 物理攻撃力 18000 魔術攻撃力 2000 物理防御力 3000 魔術耐性 4000 敏捷性 1000 運 500 ゴブ太の能力を見てみた。俺は愕然としてしまうが、俺にはどうすることも出来ない。そしてコチョウは俺の前に立つ。そしてコチョウは俺を守るように戦うのだが。相手の強さは桁違いだった。俺はその様子を見るだけでも辛い状況なのに、そのコチョウも苦戦をしているのだ。しかしコチョウの頑張りにより。少しずつだがコチが有利になって来ていたのだ。

(ご主人様。ここは俺に任せて、先に行って下さい)とコチョウが言ってきた。しかし、俺はコチョウコウが心配なのだ。俺はゴチョウコウに頼みたかったが。その時のコチョウの悲痛な叫び声を聞いて。コチョウコウの身に何かがあったのではないかと心配になった俺はゴチゾウコウに頼んで。コチョウとコチョウコウを連れて来てもらえるようにお願いしたのであった。するとコチと戦闘をしていたはずの、コチョウコウが目の前に現れると。(早く行ってあげてください)と言ってきた。俺の足止めをしようとゴブ太とゴブ太コが攻撃を仕掛けて来たが、コチによってその二人はあっさりと倒されてしまう。俺はコチョウコウとコチョウコウコウを抱えあげると。その場から離れることにしたのだった。

(どうしてあの子たちが俺を助けてくれているのか分からないんだ)と俺は、二人に向かって言うと、二人は、お互いに顔を見合わせるとコチが、二人から俺に説明をしてくれたのであった。(ご主人様の疑問も当然だと思います。でも私は、もう死んじゃうので。私達の想いをあなたに託しただけなので。だからあなたは何も考えずに前に進むことだけを考えて進んで欲しいです。そしてコチちゃんはあなたに伝えたいことがあります。あなたのお父様からです)と言い終わるとコチは俺達に向かって、ゴチョウコウコウは俺に向かって剣を突きつけてくる。俺はその光景に驚いた。

(コガ。俺はお前が羨ましいよ。お前にはコチョウコウがいる。そしてその娘であるコチョウコウコウがいて、そして何よりも。コジローという家族がいて。お前が俺と別れる時言った言葉を俺は今でも覚えてるんだぜ?「もしこの世に、この世界に生まれ変われるなら。俺はこの世界のコチョウとして生まれ変わる」ってな。俺達はそんな話をして別れたんだ。俺はお前とコチョウコウを会わせたくないって思った。それはなぜかっていうと、コチョウコウを俺だけの物にしたかったからだ。俺は、本当はコジローなんていう存在は存在しなかったことにすれば良いって考えていたんだが、あいつは、コチョウが望まないからそれは出来ないとか言い出すし、しかもそれが俺の為だって言われちゃ、それ以上反対出来なかったんだよな。だから、お前のことは好きだったが。コチョウコウコウとは付き合えなかったんだ)と言うと。コチが続けて言う。(だから私は。私も一緒に連れて行くって言ってるんだけど。私が邪魔みたいなのよね)そう言い残すとコチとゴチョウコウは二人同時に消滅してしまった。そしてゴウゾウがコチの剣を持って現れて、ゴウゾウコウが、コチョウコウの杖を持っていたのだ。そしてゴウゾウコウが俺に、コチョウコウコウに渡された二つの剣を手渡してくるので、それを受け取った。

「これは、ゴチゾウさんのものなのか?」俺は確認の意味も含めて、聞いてみたのだが、それにゴウゾウコウが答えてくれた。「えぇーそうです。俺の父がコジロウに渡していたものらしいです」と俺に説明してくれた。俺はその二つの剣を受け取り。腰に差してから歩き始める。そして俺が奥まで進んでいくとそこには。巨大な扉があった。俺はその扉を開けるために触れるのだが、そこで俺の頭の中に直接映像が流れ込んできた。そこにはゴチョウコウの姿があり、俺に向かって、俺とコチョウが幸せになれるように願ってくれと。そして最後に、コチョウと幸せになれよ。と言葉を残して消えた。その出来事に俺は、涙を流しながら俺はゴチョウコウに言われた通りコチョウコウと幸せになろうと思うのだった。

俺は扉を開けた先に広がる世界に感動を覚えていた。その部屋は俺が今まで生きてきた中で見た景色の中で一番綺麗だったからである。

その部屋は、真っ白な世界でまるで光り輝く道のように思えるような。とても神聖な場所のように思えたのだ。そしてその光の先に見える場所に、俺は、懐かしい気配を感じとる。俺はその方向へと進む。そしてその光が強くなると俺は、そこに辿り着くのだった。そこには一人の女性が横になっているのだがその女性は、俺にそっくりだったのである。そしてその女性に話しかけてみることにした。「あんたがコチョウコウだよな?」と俺は言うと。彼女は起き上がり、そしてこちらを見ると「あぁそうだ。よく来たなお前が私の婿となる男か?」と俺の顔を見てニヤリと笑うのだが、俺を見て「ほう。やはりこの感じ間違いないな。私が愛しているのがお前であることは確定のようだ。私のこの直感を外したことは一度も無いからな」と言う。そしてその女が、立ち上がると。

その体は透けていたのである。その状況を見て俺は驚いてしまったのだが、しかし彼女は、そんな事どうでもいいと言わんばかりに俺に話を続けてくる。そして彼女は俺に、自己紹介を始めた。

「私はコチョウコと言う。コガとゴチョウコの母だ。よろしくな婿殿よ。それとお前にこの剣を渡しておく。この剣はな、私が作った中でも最強レベルのものだ。だからこれを使って、お前はコガコウを守ってくれ」と言うと、俺の手のひらに、コチョウコウがくれた物と同じ形をした剣が乗っていたのである。俺はその剣に魔力を流す。すると剣の色が黒く染まっていくのがわかった。

俺はその剣をまじまじと見つめてしまう。

俺はその剣を鑑定すると、【種族】:魔聖剣エクスカリバー【名前持ち】【武器LV100】【攻撃力15000】となっていたのだった。俺がそのステータスの高さに驚きながらも、俺が持つと、剣の形状が変化すると同時に俺の手元に鞘が飛んでくるのだが。何故か、剣を納めるためのホルダーは俺の腰に付いており、それを手に取ると自然と、剣をそこにしまうことが出来るようになる。すると俺は気がついたのだ。俺はこの剣が俺専用に調整されているという事に、つまり俺が剣を振ると俺の力に合わせて勝手に形状を変えてしまうということが、なんとなくではあるがわかるのである。

俺はそれを理解してから改めて自分の体を見る。俺の体に傷が無いのだ。ゴブリンジェネラルと戦っているときに俺は攻撃を受けすぎて、体が痛んでいたのに、しかし今は全く痛くないのであった。俺はそのことを不思議に思いながら、自分の手の甲を見たのである。

俺がコチョウコウに、「コチョウコウ、ゴチョウコウコウ。どうしてお前たちは死んだんだ?どうしてお前たちだけが死んで俺が生きているんだ?俺にはわからない。教えてくれコチョウコウ」と俺はコチョウコウに問い掛けると。「私が死んだ理由は。私達の想いはあなたに届いたのですね?嬉しい限りです。それでどうしてあなたは、あなただけが生きていられるのかですが。簡単なことです。ゴチョウコウコウは死にたく無かったからです。そしてゴチョウコウは自分が死ねば、コチョウは悲しむだろうとわかっていたのです。しかし自分はゴチョウコウにどうしても謝らなければいけないことがあったので、彼はコチョウの為に命をかけてゴチョウコウを護ろうとしたのですよ」と言われてしまった。

俺が何故俺にだけ怪我が無く。そしてゴブリンが弱かったのかを理解した瞬間であった。俺はそれから、そのコチョウコウの言葉を聞いた後にゴチョウコウに向かって言うと。(俺はコチョウコウを愛している)その言葉を聞いてゴチョウコウが、嬉しそうな顔をしながら涙を浮かべて。(私はずっと、コガのことを思って生きてきた。でも私はもう死ぬわね。私はあなたに会えて本当に良かった。これからもあなたの幸せを祈っているわ)と言うと、ゴチョウコウの全身が消えていったのであった。俺はその光景を見ながら泣きそうになるが、そこでコチョウコウが。(泣かないでください)と言うと俺の目が熱くなるのを感じる。俺の目からは熱い物が流れている。

その俺の様子を見かねたコチョウコウが俺に言う。(ご主人様。あなたは強くなりました。そしてあなたならきっとあの子たちを守れると信じています。だから、私達が果たせなかった想いを継いで。あの子たちの事をお願いします)と言って俺の前に剣を出すと、コチョウコウは、ゴチョウコウから受け継いだ杖を両手で差し出してくる。俺は、コチョウコウの思いをしっかりと受け取った。そして俺はコチョウコウと約束する。絶対に、コチョウコウとゴチョウコウが望んだ未来を掴むことを。そう心に誓い。俺とコチョウコウが交わした契約は。決して破ることはないと俺は誓うのだった。

コチョウコウとの思い出に浸り終えた俺が目を開くと、そこにはゴチョウコウが、俺に語り掛けてきているところであり、そして俺はコチョウコウコウからコチョウについて聞かされるのであった。

(俺もあいつもお互いのことは大切だった。しかし俺達はお互いに別の男を愛してしまっていたんだ。コチョウが俺に言ったんだ「コガ。あなたのお母様を大事にしてあげて。コガのお父様に私は惹かれて、コガはお父様に似ている。そしてお母様にも似てる。それに優しい心を持った、素晴らしい人。私の好きな人はあなただけだから。だからあなたの側にいさせて。私達と仲良くしてくれませんか?」その言葉を言われた時の俺は、とても複雑な気持ちだった。だってあいつが愛する男がコジロウだからな。そして俺は、その時のあいつは、コチョウの幸せを願った上で、コジロウと共に生きていくと決心してそう言っていることが、俺にだってわかっていたからだ。そしてコチョウとコジロウの間に、子供が生まれたことも。だから俺の気持ちを伝えるわけにもいかなかったんだよな。だけどコチョウが死んでしまった。コチョウが亡くなってしまったことはとても辛かったけど。それでも。コジロウと一緒に居たいと言うコチョウコウの思いを尊重してやりたいと思った。だから俺の側に来たコチョウコウに俺は、俺はコジロウと付き合うことになったんだって。コジロウのことが好きになったって言うのは嘘だよって言ってやりたかった。だが、俺が言おうとした言葉を言うよりも先に。コチョウコウはコジロウに会いに行くといって旅立ったのさ。それから俺はゴチョウコウコウと二人っきりの生活を始めるんだけど。そこでゴチョウコウに。もし子供が生まれればその子を育ててくれる人を探して欲しいと頼まれていてな。それで俺はゴブリンの集落を訪れていた時にお前に出会ったのさ)と言うとコチョウコウは涙を流しながら俺に抱きついてきた。その様子に、俺は戸惑ってしまうが。すぐに冷静になって。俺に話しかけてくる。

「コガよ。我はお前が、コガがコジカの婚約者だったとは知らなかったぞ」と真剣な表情で言い放ってきたのである。そのことに俺は驚きながらもコチョウコウの問いかけに答えようとしたのだが。それよりも前にコチョウコウが言葉を続けた。(我には、コジカの心を読むことが出来る力があってだな。コシカがコチョウに対して強い憧れを抱いてることに気づいていてな。だから俺は、コジカの願いを聞き入れてやることにしたのだ。コチョウコの夫だった男を。そしてコジカとコチョウコが結ばれた。俺は、この世界の創造主としての義務を全うするためにも。そして自分の妻であった女性のためにもこの世界をより良いものにしようと頑張っていたのだ)と話された。俺はコチョウコウに「俺はコジロウを愛せなかった。俺はあいつが羨ましかったのだと思う。俺は自分より優れた者を愛することが出来ないのだ」と言うと、それを聞いて。コチョウコウが笑みを浮かべてから「なぁに。心配することはないだろう。それは仕方がないことだ。私だって自分の息子を愛することなど出来ないからな。まぁだからこそ私は自分の子供達に期待しているのだよ。そして、その子供たちの中で一番出来の良い子がコガになると思うのだ」と言うのである。そして、俺はそれを聞いた時。

(あぁ確かに、俺は自分が優秀であることを知っている。俺は今まで自分が負けている相手にあったことがないので、俺の自惚れかもしれないが。しかし俺が優秀なのは間違いのない事実である)と言う考えに至ってしまうのである。

そしてその話が終わると同時に俺はある事に気がつくのだが、この空間は、光に満ち溢れており。コチョウコウの体は、先程まで見えなかった部分が見えるようになっており。

そのコチョウコウの姿が透けている事に、俺は、コチョウコウにそのことを問い掛けたのであるが。彼女は少しだけ寂しそうな顔をすると。彼女は「私に残された時間は少ないようだ」と言い出すのであった。そんな彼女の言葉を受けて俺が、「そんなことは気にしなくていい。俺はいつまでもお前と一緒にいる。だから、死ぬなんて言わないでくれ」と言うと彼女は嬉しそうな笑顔になり。そして、「ありがとうコガよ。やはり君はコジロウにそっくりだ。君がコジカの婚約した男だということは私にもわかるのだ。しかし、コガの本当の父親はコチョウコなのだろ?コガがゴブリンの村を訪れた際に、私が見たゴチョウコの魔力と。そしてコジロウの魔力は似ているような気がしていたのだ。それに、この世界では、ゴブリンの村に辿り着けるのは、限られた者たちだけだからな。しかし、そのことは、もうどうでも良くなったのだ。コガは良い男だ。私はもう、これ以上コチョウに辛い思いはさせたくはない。コチョウに幸せに生きて欲しかったんだ」と言ってきたのであった。

その言葉を受けた俺は、彼女に、「これから一緒に暮らしていけばいい。そしてゴブの族には俺が話をしておく。だから安心して欲しい」と言って、俺はゴブ族のところへ行って。コチョウの旦那が亡くなったことを説明してゴブ彦とゴブ美は連れ帰ると言ったのであった。しかし、その瞬間に俺の後ろの方から凄まじい衝撃音が響き渡る。俺が何事かと思い振り向くとそこにはゴブ太がおり、俺に向かって攻撃を仕掛けてきていて、それを受け止めたのである。ゴブ太が「お主は何をしようとしている。我らの家族を連れて帰るなど。冗談にもほどがある」と言うので、俺は、ゴブタロウに言われている事をゴブリン達に話す。

俺がゴブリン達を連れ帰って欲しいとお願いしたのはゴブリン達が弱すぎるからであるということを告げてゴブリン達が弱いから他の国でも問題が起きやすいのだと説明する。そして俺は、俺の国は、人間との共存を望んでいることを話す。そこでゴブ太郎は「俺達も、最初はそう思っていた。俺達はこの国の王達の考えに賛成をしていたんだ。しかし今は違う。お前たちが来たことによってこの国は変わろうとしているのだ。

そしてこの国は変わるべきなんだ。今迄はそう思わなかったけど。俺もやっと理解できたんだ。俺も俺達のような存在が生まれてしまわないようにする為にはどうしたらいいのかを考えた結果。俺達の存在が消えればいいのではないのかと。そしてその為には人間との協力が必要なのではないかと、 そしてこの国の民を救って貰えないだろうか。頼むコガよ。俺達の希望を叶えてくれないかな?」と言われたので。俺達はこの迷宮から外に出た。そして俺達はゴブリンの集落に帰ることにしたのだった。その帰り道は魔物に襲われることはなく無事に俺達が住む洞窟に辿り着いた。そして俺が皆を集めて事情を説明する。そしてゴウキは俺の願いを承諾してゴブンは「私達は貴方様に付いていきます。そして、貴方様を必ずや、ゴジモン殿の代わりに、ゴジモン様以上の王にすることをお約束します。そして貴方が我々を裏切るという行為をとった際には、その時はこの首を持ってお詫びをさせていただきます」

と言ってくれた。ゴウカが「俺は別にどっちでもいいぜ!面白そうだし。この国に残ろうと思っているからな。だけど俺はこの国が好きだから、コジカ様が守ったこの国を俺は守っていく。それだけは譲れないけどな」と言うとゴブツも同意するように首を縦に振るのであった。それからゴブカが「俺は残るつもりだけど、ゴブゾウが行くって言うなら仕方がないからついていく」と言うと。それにつられるように残りのゴブリンたちも残りたいという気持ちを表してくれたのである。

そして俺達はその後ゴブンと話し合い。俺が国王として、このゴブリンの集落の長になることが決まったのだった。こうして俺が王様となりゴブリンキングになったのだった。

そして数日後。俺はゴブリン達を集めていたのである。その理由というのは。この国が今後どのような道を歩んでいくべきかを決めなければならなかったからだ。俺の意見としては、ゴブリンは、ゴジもんの種族であるので、人間に友好的な関係を築こうとしている。だがそれはこの国が平和だから出来ることで。

もしも、人間が攻め込んでくることがあるならば。この国を守るべきであると考えたのだ。

「この国が、このまま平穏な時を過ごしていたとしても、人間の国々は、いずれまた侵攻を始めるであろう。そしてその時に、我が国の力だけで対処できるとは限らない。それを考えると。今の内に、人間との関係を築き、友好関係を築く努力をした方がいいのだと思うんだ」

と言う俺の言葉を聞いていたコシカにコウナが「それは私も賛成なんだけど。ただ問題があるんだよねぇ。コウナはちょっと心配なんよねー。人間って結構怖い生き物だって聞いているしねー」と言うと。それを聞いたゴブリンたちは怯え始めてしまうのだが。俺はコウノスケがゴブリンに危害を加えるはずはないから心配するなと言うとコウゴがゴブリンたちに大丈夫だからと安心させていた。

その言葉を聞いて俺は、確かに、ゴブリン達と人間は外見は似ていて見分けがつかないのだから。不安に思う気持ちはよく分かるなと思ってしまった。そこで俺はゴブリンたちに伝える。

「安心しろ。お前たちを傷付ける者はここにはいない」と俺は言い切った。

だがその言葉だけでは説得力がなかったみたいで。コウナが俺に対して「じゃあ、その根拠を教えて欲しいなぁーコウは。そんな風に言われても。やっぱり信じられないなぁ」と言われてしまい。俺は少し考えると。俺は「俺は、この国の王は、コウナのことも信用したい。そして信頼したいと思っているんだ」と俺は答える。それを聞いたコウナは、「うっ。それはずるいなぁ。コウがコガのことを信用するのは当たり前なのになぁ。まぁいいか。でも、それはコウガも同じだよ。私はコガのこと信じるから」と照れくさそうな感じで話してきた。それに対して俺は微笑みながら頭を優しく撫でるのであった。するとゴブタロウが口を開いてきた。ゴブタロウは、「では、俺達ゴブリンはどうすればいいんでしょうか?この国から逃げるわけにも行かないと思うんですが」と言うので。俺は、この国と、ゴブリン達の関係性について、考えなければいけないと思っていたのだ。

ゴブゾウが「俺も同意見です。俺たちが逃げればこの国の者達が困ることになりますから」と言う。そしてその話を聞いていたゴブナも話に混ざってきた。

ゴブナミは俺に抱きつき、「パパ、私たちに考えがあるんだ」と言うとゴブ子もゴブ郎に俺に話しかけてくる。ゴブ彦も「ゴブミ姉さんもそう言っています」と言うので俺は、「そうなのか?その作戦とはどんなものなんだ?」と聞くと、 すると、まず、コジロウが説明を始めて「私たちは、今からこの国から離れて他の国に移り住むのがいいと思います」と言ってくる。

そしてコジロウが説明を続ける。

「私達がこの国に残っても結局のところ何も変わらないでしょうから」と俺は、それを聞いた後「なるほど」と言うとコジロウに続けて欲しいと告げる。

コジロウは俺の言葉を受けて更に話を続けてくれる。そして、コジロウが「そこで提案なのです。もし宜しければゴブリン族以外の種も、受け入れてもらえるところに、移り住めばどうだろうかと考えているんですよ。

例えばゴブンの一族はコブリン族の王の護衛騎士をしていたこともありますから問題ないかもしれませんが。他の種の中には差別を受けるものもいるかも知れませんから。そこが問題だと思ったのです」と言われるので俺は、その問題については、解決する方法があることを伝える。俺の提案は単純明快なものであった。俺達の仲間になれば、問題はないのではないか?と伝えたのだ。その言葉にコガは「それは名案ですね」と言ってくれて。その言葉を肯定してくれたのだ。そして俺は、ゴブリン族全員を集めて会議を開くことにしたのである。

そして俺はこの集落に新たなルールを作り始めるのであった。その最初のルールは。人間や魔物に無闇に喧嘩を売るような行為を禁ずるというものだ。これに関しては、俺は絶対に破らせるつもりはなかった。俺がそんな事をした場合には、この俺が許さないからだと、強く言い聞かせたのだ。

ゴブ太は、納得がいかないようだったが俺の命令に逆らうことなどはできなかった。俺はこの国を作るにあたってゴブ郎を王にしてゴブゾウが宰相として補佐をしてくれることになったのだ。

そして俺が王様になると決まった時に俺はゴブ太とコブチを連れてゴブリンの里に来ていたのである。そして、そこで俺達はコシカの父親とゴブリンの王のコジロに会いに行きコジカが死んでしまい新しい王が俺になったことを知らせたのである。

するとゴブシロとゴブショウが出てきて、コジカが死んだことにとても悲しんでくれたのだった。

ゴブシロとゴブショウはコジカの亡骸を埋葬してくれていたようで丁重に葬ってくれていたようだ。そしてその葬儀が終わった直後で疲れているだろうにも関わらずゴブシロは「この度のことは大変申し訳ありませんでした。全ては私達の不徳が致したことでございます。本当に何と言ってお詫びをしたら良いのかわかりませんが、どうかこの命で償わせてください。コガよ。俺のことなど気にせずに、コガの為に働いてほしい」

と言い出して俺を殺そうとしたのでそれを俺は全力で阻止してゴブタロウを呼び出すようにお願いをする。

ゴブタロウが呼び出されると俺は、事情を説明するように頼むのだった。

ゴブンに呼び出されたゴブリンズのメンバーたちは、事情を説明するようにゴブンに言われるのだった。

そのゴブリンたちは、ゴブンが呼び出したゴブ太郎とゴウキそしてゴブンの配下であるゴブシとゴブカとゴブジとゴブカである。

その5人のゴブたちがゴブリンキングがコガに変わってコシカの父親のコジンの願いを聞き届けてゴブリンの集落に戻ることになってしまった経緯の説明を求められたのである。

ゴブ太郎はコガの使いのゴブシンに呼ばれてゴブリンの城までやって来てコシカがコシカの父親であるゴブリンのコジン王に自分の死が近いことを悟って、遺言を残す為にゴブシンの案内のもとある場所にやって来たのである。

ゴブシロはそのゴブリンの王とゴブショウの間に出来た息子である。

ゴブシロはこのゴブリンの城に連れてこられてからゴブシロは自分を産んだ母親であるゴブンの顔をまともに見れなくなってしまった。何故なら、今まで育ててくれていた母親が実の母親ではないという事実を知ったからである。しかしゴブタロウの話によると、それは仕方がない事なのだと教えられたのでその真実を無理やりに飲み込んだのである。その話は後に語られることになる。

コジンは自分が、この国の王様になった時も変わらず優しい笑みを向けてくれたのでコジは安心することができたのであるが。

しかしそれでも心が安まることは無かった。その笑顔が偽物のものであるかも知れないから。だがそう思ったらキリが無いので、コジは何も言わないことにしたのであった。それから数日後。コジカが亡くなり。ゴブタロウとコブンがゴブリンの城にやってきた。そこでゴブリンの王様は、この二人を呼び出した後で、ゴブタロウに、ゴジロウのところに嫁ぐように命じたのだった。コジンは、コジカの忘れ形見を手放したくない気持ちがあったのだが。それがコジンの唯一の望みであったのでその頼みを受け入れることにしたのであった。

そしてコジロウとコジナはお互いの愛を確認しあい結婚することになったのであった。

そんなこんなでコブンはゴブリンの王子様の花嫁に決まってしまったのであった。そしてコブタロウとコブンはコジロウが用意してくれた馬車に乗り。ゴブリンの城をあとにした。コジロウたちは、人間に見つかっては困るという事で人間に見つからない様に注意しながら移動をしてコブリンの里に戻ってきたのである。コツたちは人間と争いになり殺されてしまったゴブリンの遺体を埋めたりしてから。

そしてコジン王はゴブシロとゴブンにゴブオウとゴブゾウそしてゴブタにこの集落を任せて旅に出てしまう。

その時にゴブンが「コギとゴギも一緒につれて行ってほしい。私の子供の中でコガ以外に一番信用できるのはあの子たちだから」と言われてゴブシロはゴブシロは了承して連れていくことにしたのである。だがその時はゴブシロにはコギとゴギはコビトの村のゴブ蔵とゴブ衛と一緒にいたゴブゾウとコブチの弟と妹だということが分からなかったのであった。

そしてゴジとコゲとコサの三人は、コジロウとコブチと合流してこの国に残ることにしたのである。その理由としては。

自分達だけ助かっても仕方ないということと。

人間に対して強い恐怖心を持ち合わせている為でゴブ。そんな理由が重なりコジロウの傍にいる方が安全だという判断をしたのだ。

それにこの国の民たちも人間と共存するべきだという意見が多くなっていたのだ。そしてコシカが死んでから2カ月ほど経過していた。コジロウとコブチとコジとコブミがこの国に住むようになって3週間くらい経過した頃に。この国の現状について把握できたのである。コジは「この国の民たちには悪いが俺達の目的を果たすためには、この国を利用する必要がある」とコジカの父親が亡くなってからすぐに考えた策を話し出したのだ。コジロウは「それでいいと思う。この国の連中を騙すことになってしまうのは、しょうがないことだと思う。俺は賛成だ」と言うと、コジカの姉と兄であるコブンとゴブンは「俺もコガに命を救っていただいた命ですから」と言う。

そしてコジン王の代理でこの国を統治する立場となったコジと、この国の住民の代表者であり人間と仲良くするために尽力してきたゴジロウが相談した結果、この国は、コジン王の願いでもある。

人間の受け入れをすることに決めて。コジロウとコジは、コジゾウと共に人間が住む国へと出掛けていくのである。

そしてコジロウとコジはコジカに託された夢である人間とゴブリンが共存できる国を作ることを本気で取り組むことを決意する。その夢の為に。

この国はゴブンを国王とした新たな国が立ち上がったのであった。そしてその初代王の名は、コジンではなく。この国では『コジカ』と呼ばれるようになったのである。これはゴブシから提案があり、この名を使うことにしたのだった。ちなみに、ゴブ太は宰相という立ち位置に収まり、コタロウをゴブンの護衛官に任命したのであった。そして、この国の名は、『ゴンブドル王国』と名付けられる。

俺がこの国の王になったことを伝えに、この集落にやってくる。

俺は、この国に新たにルールを設けるために。コガを呼び出して説明することにした。その時に、コゴロウも同席させたのはコガに納得させるという目的もあった。そして俺はルールの説明を始めたのである。まずは。この里に人間が来る場合だが。基本的にゴブリン族の許可がいること。もし許可なく人間がやってきて揉め事になった場合はゴブ郎に頼んで、人間とゴブリン族との争いになる前に解決してもらうことにしよう。

次にゴブ郎とゴブ郎の一族とそれ以外の者との間でトラブルが発生した場合にはゴブ郎に解決してもらうことにするという決まりを作り。この国の法として制定する事にした。この国の住人の掟みたいなものを作ってしまえば楽なのではないだろうか?と思い、この国の王となるにあたってのルールを作る事にしたのだ。

そして俺は、ゴブンを王としてこの国を動かすように指示を出した。俺とゴブリンキングであるゴブタロウは、このゴンブドル王国の宰相に決まったのだ。そしてこの国を俺達は運営していくことになったのである。この日がこの世界において俺がこの国の王になって初めての建国記念日である。そしてこの日は祝日と定めて、この日をこの世界ではゴンブド暦一年五月一日と決めたのだった。この世界のこの国の1年間が365日の1年で、12ヶ月。つまり360日間である。

1か月が35日間で5日が土曜日と日曜日の休日で、7日で一週となっているので。一年の期間は364日。つまり10ヶ月の期間なのだ。この世界の一年に閏年の6月には閏の月が二回入る。

この世界の季節の移り変わりは地球でいう春夏秋冬のような感じになっている。四季がハッキリしており気温の変化で体調が変化が激しいので病気などにかかりやすい。

それと魔物は基本寒い地方を好むものが多いのでこの国の気候はあまりよろしくないのかもしれない。だが今は、この国をなんとかしなければなら無いのだ。そこでゴブンは、コジカにお願いして作ってもらった、この国で取れる作物を使って農業を行うことにしたのである。

その作業で必要な道具はゴブ蔵の大工部隊で用意することになった。この集落で働いている人たちの中には、農作業をする者もいてその者達の住居を、この村でも建てる事にした。その工事をゴブンに任せたのである。この村はこれからも発展する為にどんどん発展させなければならないのだ。そのために、もっとこの村の人が増えることも想定しなければならないだろうな。まあ当面はこの村の人の生活の基盤を整えてからにするつもりだけど。とりあえず、今日はここまでにするか。明日またゴブリンの集落に戻ってゴブルの手伝いをすることになっているし、少しは休まないと、身体に毒だよな。それにコブタロウも疲れているようだし早く帰らせてやりたいから。コブタロウに休むように声をかけると、ゴブタロウが嬉しそうにしているのがわかった。そんなに一緒にいたいのかよ、本当にしょうがない奴だなぁ~と思ったのであった。

そのあとに、ゴブリンキングになったゴブリンのゴブ郎が、コガをつれて挨拶に来たのだが。そのゴブ太郎はコブタロウを見てびっくりしている様子だったが。「これから宜しく頼む」と言ってゴブ美が用意したお菓子を持っていったのであった。それから数日後。ゴブンが、このゴンブドル王国で使う硬貨を用意することに成功した。それを確認した後にゴブタロウをコガとコブタロウの元に向かわせて、コギトとゴブゾウを護衛官として付けるのである。

この二人の実力はかなり高いので問題は無いはずなのだが念のためにコギト達にもこの国に来てもらおうと思っている。コジロウの方も、ゴブタロウの部下にゴウカとゴブロウを付けてある。これで、もしも何かあった時はすぐに連絡が来ることにもなっているので心配することはないのだが。この国は色々と忙しくなりそうな予感しかしないので少しでも力を貸してほしいと俺は思うのであった。この国のルールを今一度確認してから俺達とコブタロウの一行とでゴブリンの里に向かうことにしたのである。

ゴブリンのコビは人間との戦いから帰ってきた仲間達を迎え入れていたのである。

ゴビにぃさんは相変わらずゴブ朗にいさんに頭が上がらないようで。

「おかえり、皆んなお疲れ様だったねぇ。無事帰ってきてくれて何よりです」

ゴブ郎は、みんなを見渡すと「ゴビも、ご苦労様」と言ったのだ。

「それでゴビはどう思いましたか?人間と共存はできるとお考えですか?」ゴビにいさんはそうゴブルに質問すると。ゴブンが口を開く「俺は無理だと思いました。人間は醜くて恐ろしい生物だと思います。だから人間と共存することなんて絶対にできません!」と、そして続けてコギトが喋る。

「ゴブンの気持ちはわかりますが。人間と仲良くすることは大事な事ですよね」ゴギは人間に対して強い憎しみを感じていて、人間の事を信用できないと言っていたが。その話を聞くと。他のゴブリン達が人間と友好的な関係を築こうとしていることに驚きを感じていたのだ。

「そうだよ、僕だって人間を好きになるのは難しいと思うけど。それでもゴブンみたいに最初から諦めたくないんだ。仲良くできればそれに越したことないし、それに、いつか人間が僕らの味方に付くこともあるかもしれないよね。僕は、人間が好きなんだ」

そう言うコガに「コジは、まだ子供だし。人間の良いところばかり見てるだけだから。あいつらの本性を知ったら絶対後悔するぜ」

コジは、コジロウの言葉に首を横に振ると、

「違う、僕の本当の気持ちは、コジが言ったような優しい心を持つ者だけじゃないはずだとずっと思ってるんだよ。悪い人はいる。それはわかっているんだけどさ。でも良い人もたくさんいて。きっとこのゴンブドル王国の民にも良い人がいるんじゃないかなって最近思うようになってきたんだよ。それで思ったのは良い人と悪い人を選別するのが難しいのも確かだけどさ。その判断を人間側に任せてたら駄目なんだと思うんだよね。僕たちだって人間をしっかり観察すれば良い人がわかるはずだよね!そうしないと何もわからないでしょ?」

その言葉を聞いた後ゴビはため息をつきながら。

「俺は別にお前らが幸せになれるのならどちら側でもいいんだけどな」と言うのである。そしてその横にいるゴブ蔵に向かって「おいらも、どっち側に付くべきなのか悩むな。俺には弟妹を守る義務があるからな。俺の判断一つでこの国の命運が決まってしまうかもしれん。だから簡単に答えを出せねえよ。俺には大切なもんができすぎたようだからな。こんなにも沢山守りたいものがあるとは思ってなかったから正直驚いてるんだわ。でも俺はこの国の王であるからには決断をしなければならない時は来てしまうんだよな。その時に俺は正しい選択をできるのか?そのことが不安なわけだよ。だから、今は悩んでるんだ。ゴビは、そのことで迷ったりしてないか?もしそうならゴブルに相談に乗ってもらってみた方がいいんじゃないのか?俺はゴブルにこの悩みを打ち明けたことがあるんだ。その時は真剣に親身になって相談乗ってくれてな、俺にとっては頼りがいのある兄貴的な存在なんだ」とゴブリンは語り始める。その話を聞いていたゴブルだが、コビとゴビの話は、まるでゴブル自身のことを言っているようにも聞こえてくるのだ。そしてこの二人は同じゴブリンなのに立場が違うだけでここまで性格に差が出てくることに違和感を覚えるのであった。

そしてその後、人間と共存するために何をすべきかを話し合いを始めるのだが、その会議は朝まで続き。その日の夜、俺が寝ようとしたタイミングで、俺と話がしたいと言ってくるゴブ吉に連れられ外に出ることにしたのだ。俺達はそのあと森の中にある大きな湖の近くにやってくると。

「コダさん、貴方はこの国の宰相になりました。なのでこの国の王になられたゴブル殿に報告に行く必要がありますので、このゴンブドル王国から少し離れることになるのですが、よろしいでしょうか?私は、この国から動けなくなるのでコブタロウ様の世話を頼みたく思うのですが」そう言って俺とコブルを連れてコガの元に向かいコビの案内でゴブ朗の元へとやってきたのである。コビが声をかけゴブタロウの部屋の扉を開け中に入るコブタロウは「おお、コギトか!久しぶりじゃのう。コガの話では随分と強くなったらしいではないか。どれどれワシが稽古をつけてやろう。コブンよコブタロウ様とコギトを訓練場に連れて行っておくれ」そう言われたコブタロウは「わかりました」と言ってコガとコガと手を繋いで歩いていくと。

コブルがコガ達を見送るのである。

そして俺はゴブ朗の前に出てくると、膝をついて礼をして、「ゴブロウ王様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」と頭を下げるのである。そしてその後すぐに俺は立ち上がるとゴブ朗に挨拶をしようとしたのだが。「いらんいらん、いつものように普通に接してくれ。堅苦しいのは嫌いだ。それより今日来たのはコブンの報告があったからだろう?ゴブリンの長も呼んでおいたからコブタロウの部屋に行こう。そこで詳しく話を聞くことにするか。ゴブルよコブタロウ様に説明を任せても良いか?」とゴブルに尋ねるのである。それに対してコブルは「かしこまりました。コビ、お前も来るんだ」と言い。

ゴブルと一緒にその場から移動する。ゴブリンキングであるゴブ郎のゴブ太とゴブ子も一緒について行くようだ。ゴブ郎達が出て行ったあとゴブ朗とゴブ子は二人きりになるとゴブ朗は「さてコブルよ、一体どんな用件で我が娘と孫を呼び寄せたんだい?まさか本当に嫁として娶りに来た訳でもあるまい?」と言うとゴブリンは顔を真っ赤にしながら「そ、そのまさかです。コギトを是非ともコブタロウ様の花嫁として頂きたい」と、その言葉を聞いたゴブ朗は「うむ、ゴブ美の代わりとしては丁度いいか。わかったコギトに話してみよう」

ゴブタロウはそう言うと。

ゴブ郎とゴブ子の夫婦部屋に入るとゴブ太とゴブ子にお茶を出すように命じた。そしてコギトを呼ぶように指示をするのである。しばらくして、コギトは緊張した面持ちで、その場に現れたのである。コビがそんなコギトを見て笑い出す。

そして、コギトはゴブ美の婚約者でありコブンの弟だと紹介されると、コブンが「あの時は大変失礼しました」と言うので。

ゴブタロウは「気にすることはないよ、私だって、あの頃はまだコゴブを許せてなくて、ゴゴとゴブ丸を手下に従えていた頃だからね。それでどうするんだコブンよ」

コブンは「もちろん、断る理由はないですよね。ゴブ太郎様、コガとゴウカとゴブゾウは僕にとっても家族のような仲間だからね。コビの気持ちはよくわかる。僕だってゴブ美のことが大好きだからね。僕は今コガ達を鍛えているから忙しくて、まだ結婚したいという実感はないけどね。それでもいつかは結婚できたらと思うけど。ゴブリンの国は一夫多妻制だったよね。ゴブ郎様が僕と結婚してくれればいいだけのことなんですよ」

そう言いながらも内心はかなり動揺しているのだ。するとゴブルが「それならコビも俺の妻にするか?」

その発言を聞いて「ちょっちょっと待って下さい、コブルはゴブルさんが好きなんじゃなかったんですか?」

「それは誤解です。俺はただ、コギトさんの事を応援していただけです」そう言ったコブルに「でもゴブルは、コブタロウの事を好きで。それでゴブ太とゴブ子が出来たんでしょう?」と聞くと。

「あれは本当だと思っていましたが、それは違いました。ゴブルさんは本当は、ゴブタロウ王の事が好きだという事に最近気がついたのです」

ゴブルがゴブ朗の事を好きだったことにも驚いたけど。ゴブ助が俺のことを好きっていう事が一番衝撃的な事実だった。

俺は驚きすぎて思考回路が停止したかのように何も考えれなくなっていたのである。

(俺はコブ太と付き合って、もう二ヶ月近く経つのに。俺達の関係はまだそこまで発展していない)

そしてゴブリンの王が俺の事が好きとか信じられない事ばかりが起きて混乱してしまう。

「そうなのですか。ゴブルは昔から俺のことばかり見てると思っていたが、そういう事情があったのか」

コビも俺もびっくりして、ゴブ朗の顔を見るとゴブ朗は笑っていた。そして、コブルに向かって「まあ、俺には、お前は可愛い弟分としか見えてないが、ゴブリンの国に来て、ずっと一緒に生活していてコガやコガシやコジロウの面倒も見て、ゴブリン達からも信頼されている。それにゴブ朗が認めた人間だから。コブタロウもお前なら信用して任せられると判断したんだろう。ゴブタロウの期待を裏切らないで欲しいんだが。大丈夫だよな?ゴブタロウよ?」

「もちろんさ、俺は最初から反対する理由などないしな。コブ太はお前を俺の子と思っているが、俺はお前の兄貴として。これからも良い関係を築いていけたら良いと考えているんだ」

「そう言ってくれて安心したよ。でもゴブリンとゴブリン族とでは色々と問題がありそうだから。しばらくはコブタロウのところでお世話になろうかな。ゴブリンは基本、恋愛には疎くて、一夫一婦制度だから。ゴブ彦に俺の相手をして欲しいんだが」コブタロウはその提案に少し考えてから。

「コギトは良いのか?ゴブ美の相手なんだぞ?お前はコギ美の事を妹みたいに可愛がってくれたじゃないか」

「そうですね、俺も最初は迷ったんですが」

するとゴブルが「俺も賛成なんだが、この国のゴブリン達は皆家族みたいなもんだけど、ゴブタロウ王は特別扱いで。この国の長と認めてもらえてる。俺達が王都で暮らすわけにはいかないから、俺はしばらく、ここにいることになるし、コガの面倒を見てくれると助かる。それとコガとゴウ太をよろしく頼むよゴブ蔵殿、コゴブ殿やゴブ助君達の教育係も頼んだよ。コブン殿」

「ゴブ吉で良いですよ、僕もあなたを尊敬してるんです。ゴブ吉さん」

ゴブルが、そう答えると二人は握手をしたのだ。それから、ゴブ吉はコブタロウ達に礼を言い。そのままコギトを連れ出してゴブ太とコギ子を呼びに行くと、俺と一緒にコビに連れて行かれることになった。コビンが俺に近寄ってきて、小声で話しかけてくる。

「俺が思うに、その剣は間違いなくゴブ朗様のものだと思うよ。でもどうして俺がゴブリンになっててコビに育てられてたんだろ。何か意味があるんだと思う。そしてあの夢で見た女の子はもしかしてコギト様じゃ無いのかと疑ってしまうぐらい。今のコギト様は昔の兄ちゃんとそっくりだ。もしかして、コギト様は本当に転生してきた人なんじゃないのか?」

俺はコビにコビ太郎に案内されゴブ太郎の部屋にやってくる。そして中に入ると中には。コゴブがいてコブタロウとコブ太とコブ子もいて、コゴブが俺のほうを見るので、軽く会釈をする。ゴブタロウとコゴブと俺は、挨拶をしてゴブタロウに俺を紹介した。そしてゴブ太はゴブ太の両親に挨拶をして。

コブタロウがコブタロウとゴブリンに説明を始めた。コブルはゴブリンに、この世界の現状について説明を始める。コブリンの王は、この世界に起こっている出来事について詳しく説明を受けたあと。コブタロウとゴブ太郎に対して「我もゴブ美の為に、協力させてもらうよ」と言い、俺を手招きしたので近づいていく。

ゴブリンの王が「コギトと言ったね、君は確か、コゴブの息子だと言ってなかったかい?」と聞かれたので。「実は記憶喪失になっていて、コゴ太さん達に助けられてから。自分の名前すら思い出せなかった。だけど、ある日突然記憶を取り戻して。自分が前世で生きていた人間で、死んだことを思い出すと。今度はなぜかゴブ朗様の事が急に気になりだして、気がついたら。ゴブ朗様の事を追いかけていたら。ゴブタロウ王に捕まり、無理やりコゴ太さんのところに押し込まれてしまったんです」と話すと。

ゴブ朗が「それで、ゴギツが殺されたと聞いてショックで倒れたんだろう」と呟く。コギトとゴブタロウの会話が終わるとゴブタロウが。

「コギトには悪いが、コブタロウの妻達とは結婚してもらえないと思う」と言うと。

ゴブタロウが「コブタロウの嫁はもう決まっているのさ」と言うと。ゴブ太が驚いて「父上。それは本当なのですか?」と尋ねる。

ゴブ郎は「そうよ。私の婚約者はゴブ朗だったんだから」

「ゴブ美とゴブ美は双子だったからな。コゴブの娘だったゴブ郎が、双子の片割れと婚約する事になったんだ」

その言葉を聞いた時俺は思わず涙が流れてきた。

「そんな、俺だってゴブタロウ王と。ゴブ朗の事は昔から好きで。子供の頃からずっと憧れていたのに」とつい叫んでしまった。するとコブ子が。

「ゴブタロウ王の事が前から好きなのは知ってたけど、まさか、ゴブリンの王の婚約者だったなんてね」と言うと。ゴブルが「コブタロウは俺の弟分で、コブ太郎殿は俺の弟子だから。俺が間に入る形でゴブタロウと婚約してもらったんだ」と説明する。

ゴブタロウは「俺は、ゴブ朗が好きだったんだ。そしてゴブタロウが死んでからも。ずっとお前のことを考えていた。もしコギトの想いに応えることができないのならば。コギトを幸せにしてやれるような奴にお前を任せたいと思ったのだ。どうだい?」

コブタロウは「ありがとうなコブタロウ。そうかそう言ってもらえるなら俺はコブタロウに身も心も預ける事ができる」と返事を返した。そうするとコブタロウが「それでは決まりだな。コブ太郎はゴブタロウを夫として迎える事を許してくれないか?」コブ太はその答えを聞いて少し考えた後に「コガ、ゴウ太。僕は、二人の仲を認めることにするよ」

「ゴブル、これで良かったよな」ゴブタロウが嬉しそうにしているのを、コブタロウが見ていたのである。ゴブルとコブ太郎が握手をして。コブタロウが俺の前に来て「これからよろしくな。俺の兄貴分さん」と言いながら手を差し出してきたので。俺は手を握り返すのであった。

ゴブタロウとコブタロウの結婚は正式に決まると、ゴブタロウ達は一旦城に帰りコゴ助やゴブ美、ゴブ助達も一度城に戻ってから、結婚式を挙げる事になるのだが。それまで、俺の所にコビン、ゴブ彦、ゴブ朗、ゴブ子、コギ子、コガミ、コジロー、コマメ達が暮らすことになったのだ。コビに聞くとコビン達の親も、コビ達の兄弟も既にこの村に住んでいるらしく。皆に挨拶すると歓迎してくれて仲良くなり。皆で遊んでいるうちに、夜も更けていき皆で雑魚寝することになったのだった。

(コビン君やゴブンタはいいとしても。なんでゴブ郎がいるんだ?)俺は疑問を抱きつつも眠りについたのだった。次の日起きるとそこにはゴブルの姿があったのだ。

(あれっ?夢でも見てるのかな?俺のところにゴブ朗の双子の妹が会いに来る夢を見ているのか?俺はゴブ郎と結婚するのか?なんか夢みたいで信じられん)俺が目を覚ますとゴブリンキングも目を開けて。

俺の顔をじーっと見つめていたので。俺は「あっおはようございます」と挨拶をしたら。ゴブリンキングが「お前がコブタロウ王の子供なのか?それにしても。コギトよ大きくなったものだ」と言われ。

コブタロウ王が「コギト殿には申し訳ないが。俺にはお前しか息子がいないからな。これからよろしく頼むよ」と言われる。そして俺は朝食を食べる為に食堂へと向かう。

朝食を取り終わってから、ゴブリン達に案内され、ゴブルと一緒に村の視察に向かう。ゴブルが俺を見て「昨日の夜も思ったが。俺より強い気がするのはなんでなんだ?」と言うとゴブタロウ王が、「コブタロウ王よ。確かにそのとおりだよ。彼は、ゴブ吉と互角以上に戦うことが出来るはずだ。コガ助殿はゴブン太殿と戦えば勝つことも出来ると思うぞ。コブルやコボ二もゴブリンの精鋭達よりも強くなった」

コブルが「ゴブル様と勝負したい」と言うとコブルはコブルと戦う事になって、コブルはコブルと戦い、見事勝利したのである。その後、ゴブルとコビンが手合わせをして、コビンは負けてしまったが。それでもコビンは満足していたのだった。

それからゴブ郎とコブ美とゴブ太が俺の元に来て「今日は俺もゴブ朗も結婚を控えて忙しいので、コブ子さんに稽古をつけてもらいたいんです」と頼みに来たので。俺は、俺とコブ太とで二人と手合せを行う。二人はとても強かったが、コブタロウほどではなかった。そして二人が、それぞれコビ達に連れられて、仕事に向かった後。俺はコブ太郎と二人で畑に行くことにした。そこでゴブ太に頼まれてゴブタロウはゴブタロウと共に街で買い物に出掛けた。コガとゴブ三とゴブ五とコグとコマチはコビとコマメの指導の元に家事を手伝うことになる。

コガが「コブちゃん。あなたって、コビと似てたよね?」

コブ子が、驚いた表情になり「うん。私は前世の私の記憶もあるし。ゴブ美がゴブ太郎の妹だとわかった時も、驚きもしたけど。コゴブは本当にゴブ太さんのお父さんだったんだね。ゴブ吉の事も好きになった理由も今思えば、なんとなくだけどわかっちゃうし」と言う。

ゴガミとゴガツはそんなコビン達を遠目にみつつ、コビンとコガとコマチとゴウダ達を連れて、狩りの練習のために山に向かっていったのである。

コブ子は「ゴブタロウ王はコギトと会うのが久しぶりだから、緊張しすぎておかしくなって。いきなりコブルと試合を始めたのね。しかも、コブルをあっさり倒しちゃったのよ。それで、次はゴブリンの王の相手を務めるなんて。さすがにコブタロウもそこまでとは思ってなかったんだろうね」と言い。

「ゴブ朗さんがコガミと結婚した理由は、多分コガさんの事が好きになったんじゃないの?」コブ子が言うとコビンが「そっか。それであの時はコブ子にあんなことを聞いたのか?」と言うとコブ子が「そうなんだよ。私がゴブ朗の事好きだって知ってると思って、ゴブ朗が、私と付き合いだしたのはどうしてだって聞いてきた時に。実はね、私前世ではコブ子とゴブ朗は夫婦だったのよって言おうと思ったら、コブタロウ王様が邪魔して。前世で夫婦だったって言ったのよ」

コガミが「それじゃあ。ゴブ朗とコブ美が結婚した理由を知っていたのに。ゴブ朗は気づいてないんだ?」と尋ねると。コブ太が「えっ?それどういう事なんだよ?」

コビンがコガミに尋ねるとコガが。「つまり、ゴブ朗は。ゴブ郎とは親友同士だし、コブ太の気持ちも知っているから。コブ太とは結婚しようとして、コブ子がコブ美とは親友同士だとしても、ゴブ朗はコブ子をコブ子としてしか認識していないから。コブ子の好きな人を知らないでコブ美と結婚してコブ子には、コブ太の嫁になれと言っている。そういうことだろ?」と答える。

コビンとコブ太が唖然としているのを見てコビが。「さっきから、コブちゃんにコビンさん達が、コブ助がコブ吉に求婚を断る口実として。コブちゃんの想い人はコゴブだって言ったのね?と言う話をしていたけど。コブちゃんがコブ美だって事はゴブ朗さんには、絶対に言わないようにしないと」と言う。

ゴガミとゴゴブとゴブツも「「そうそう。ゴブ助がコブ助だって知らないし」と笑うのであった。

ゴブリン達は、毎日のように俺達と一緒に生活をしていても全然平気のようで、いつも笑顔だったのが、逆にコガミやコビンやコガ達にとってはそれが普通になっているのが不思議な感じで、コビンとコガは、ゴブル達とコビ達の子供達と一緒に遊びながら。「なんか慣れるのが怖いな。でもコブ美は楽しそうだな。良かったなコブ太君」と話しかけるのだった。コギトがゴブタロウの婚約者のコブ美がコブ太の恋人だと言う事を告げられて。コブ太がショックを受けたのは間違いないだろうと、コビが心配していたので。ゴブ太が、コブ太の事が大好きだと伝えていた。そしてコブ子もコブ太のことを好きでいたからこそ。コブタロウ王もコブ子ではなくコブ美と結婚する事に納得できたのだと言ったのである。コギトは、「ゴブ郎さんとコガ美は仲が良かったんだけど、いつの間にかあまり話をしなくなってたもんな。それに、コブ助がコブ美に恋をしてるとは夢にも思わなかったから、コブ美とコブタロウ王が結婚するって聞いたときは。ゴブ美もショック受けてたみたいだし」と言う。

そして、ある日ゴブタロウ王に「そう言えば。コガ達やコビ達の家族やゴブンタ達やコガミ達の家族はどうなっているんだ?」と聞かれて、俺はゴブ助達に頼んで、皆を集めてもらって、コブタロウ王達を紹介したのだった。皆、最初は驚いたが。特にコブタロウ王やコブルはコビンがゴブ郎の子供だったことを知ってとても驚いていたが、皆は温かく迎えてくれてすぐに馴染むことができたのだった。ゴブンタが「ゴブ郎様のお父さんは、ゴブリンの王様で、凄い人だったんですね」と言って。皆が笑っているのを見て俺は。

俺はゴブリン達とコビンとコゴブとコグとコマチが料理を作っている姿を、ゴブリンキングにゴブタロウと共に見守りながらゴブ吉とコガにゴブン太とゴウダの二人と雑談をする。そして俺は、コブタロウ王に、この村に来る前にゴブルに聞いたゴブ彦とゴブ三郎が、何故、殺されたのかを聞くことにする。コブルが、そのことについて教えてくれる。

「それはな。元々、ゴブ吉とゴブ朗は、お互いライバルで、お互いに意識してるし、競うようなこともしていたが、ゴブ朗がコブタロウ王と婚約した後は。お互いを認め合って協力するようになった。そんな二人の関係を知って、嫉妬したゴブ吉がゴブ朗を殺そうとしたが、ゴブ助に助けられて。それから暫くして、二人はゴブルとゴブ彦達の集落に向かう。しかしそこで、ゴブルの留守中に、集落にいたゴブ助が襲われて死んだと知った。ゴブ助の仇をとるためにゴブ吉はコブタロウ王の配下になった。そんな時にコブルが、ゴブ吉がゴブ郎を憎んでいることをゴブタロウに報告しに来たんだ。

コブルの話を聞いてコブタロウ王は。ゴブ吉がなぜゴブ郎を憎んでいたのかを調べ始めたんだ。ゴブタロウ王は、ゴブ助を殺したのは、おそらくゴブ朗の仕業だと確信していたんだ。ゴブタロウは。自分が王になるために邪魔になりかねないゴブ吉を消したんだろうと考えていた。

だがそこでコブ太さんが現れた。そこでコブタロウはコブ太さんとも戦い。その結果コブ助が殺されてしまうことになるとは思ってもなかったはずだ。それで結局、ゴブ吉はゴブ朗の配下のフリをしながら隙を狙うことにしたようだ。それからゴブタロウ王はゴブ朗とゴブ太郎とコビンを呼び出してから。ゴブ朗を呼んでコビ達の村にゴブ郎が来ていることを知った。だから。コビンとコブ美が、自分達の娘であることを。コビ達に確認してから。コビがコブ助の本当の親だと聞いてとても驚いたようだったが。コビとコブ子の両方が、コブ太郎に想いを寄せていたことを理解したらしく。コビとコブ子に自分の娘を託すことにした。

ゴブ吉が、コブ太さんの事が好きで。コブタロウ王を殺したいという理由がある以上。私はゴブ吉に協力しても良いと考えているんだ。だからゴブタロウ王も。コブ太さんを私にくれるのならゴブタロウ王を殺しても良いと言っているんだよ」

俺はコブタロウ王のところに行き。「コブル。コブ美がコビのところで育てられていて、しかもコブ助がコブ太の父親だって知らなかったから、コブタロウ王は、コビのところからコブ美を奪い返そうとしてきたって言っていいんだな?」と言うとコブ助が。「ああ。そうだ。コビンの父親がコブ太さんってことは知ってたが。コブ太さんの母親がコブ助ってことは。コブ太さんの両親が、コビ達とコブ吉さんってことには、俺とコブ太は気がついていなかったんだ」

コブ助は少し悲しげな顔をして言うので、俺が「それなら。仕方ないよな」とコブ助を慰めてから。「それじゃあコガミ達が帰って来るまでに、コガとコビの二人がコブ美とコビンにそっくりだって事は。コビン達とコブ子だけの秘密にしておいた方がいいんじゃないか?コビ達が帰ってくるまでにはコブ美がゴブタロウの嫁になるって決まって。コブ助がコブタロウの従兄弟でコブ太の父親とわかって。コビ達が、コビ達もコブ助の両親だって言うことがバレても問題ないかもしれないけど。ゴブリン達の事とかは隠し通さないと大変な事になるよ」と俺が提案するとコガとゴブ助が、「うん。確かにそうだと思う。コブ美ちゃんの事はコビンちゃんに頼んでおこう。俺もそう思うよ」

コビンとコゴブも、ゴビンがコブ美に「これからコガ姉さん達が来るのは、私達やゴブリン達にとって嬉しい事なんだけど。その事でゴブリン達は人間族に恨まれて狙われるようになるかも知れなくて。それを考えると。やっぱり秘密にしておかないと」と言いコビ達にも口止めをする事にしたのである。そして数日後。コガミとコビ達がゴブリン族のコビンとコブ子を連れて帰ってきて。コブ助がゴブタロウの婚約者になったことを伝えたら、皆が大喜びしていたのだった。

コガミが、「コブちゃんは、コブタロウの婚約者にならなかったのね」と言うと、ゴブ吉が、「コブちゃんは。コブ美が好きだったけどコブ助ってコブ太さんの父上だったらしいんだ。そしてコブ助は、コブ美のために。コブ美がコブ太郎の事が好きでいたのも承知の上で。コブ美が幸せになれる道を考えてくれたみたいだった。だからコブちゃんは。コブ美には黙っていてくれって言ったんだ。俺はそれでもコブちゃんとの友情を貫きたいから。コブタロウ王のところへ嫁に行くコブちゃんを見送ったんだけどさ。コブちゃんの事が好きなんだろ?」

コビが「コビンもそうだよ。コブ美がゴブリンの村の人たちも、ゴブタロウもコガミもコゴブもコグもコゴブ達も皆、皆、コブ助達と同じ種族だし、同じ家族なんだ。でもね。コブ助はコビンがコブ美のこと好きだったこと知ってたから。コブ美に何も言わなかったみたいなの。コブ美が幸せな道を歩めるように考えて。コブタロウ王のところにコブ美が行くように仕向けたんだよ。それに、コブタロウ王がコビやコゴブ達にコビンとコガに良くしてくれたり、コガやコギトやコガトと仲良くしてくれていたのも大きいと思うし。コブ助はコブタロウ王とも、友達になっていたから。コブ助は凄くコブタロウ王のことを信頼してるんだよ」

コガミは「そうね。コブン太もね。コブ美と一緒の時も凄く幸せそうな表情をしてて、コビンもね、ずっとコブ助を見ているのよ。私達姉妹や、他の女性といるより。ずっと嬉しそうだし、何よりも楽しそうなの。コブ助も、コビンの事が好きだと思っていて。コブ助がコブタロウ王の元にいくってなった時はね。本当に辛かったんだよ。コブ助にコビンを預けたのは間違いじゃないって思ったし。

だからコブ助とコブン太が結ばれてくれて凄い嬉しいんだ」と言って、コブンタがコブンタにコブ助の事をどう思っているのか聞くと。「僕は、コブンタ姉さんは、コブ助兄さんがコブタロウ王の元へ行ったときは寂しかったのかなと思っていたんだけど。そんなこと無かったんだ。

コブ助はコビンとコブン太の気持ちを一番大切に考えてくれるし。コブ助がコブ太さんのお父さんだって知ってから。僕たちは兄弟になったし。コブン太ともコブ助は仲良しだから」と話すと。コビが「コバン。そんな風に思っていたんだ。コブ助はね。いつも私たちの側にいてくれていたし。コブ助の側はとても安心できる場所だったの。そんなコブ助だから、私はコブ美を預けられたの。コブタロウ王に。もし、コブ美を返して欲しいって言われたとしても。絶対にコブ美は渡さなかっただろうなって思ってる」と言った。

そうして暫くの間、皆で談笑していると、ゴブタロウとコビ達が帰ってきて、コガとコビンが、コブ助の婚約祝いをしようと言い出し、ゴブ助が「俺達で用意するよ。今日くらい、ゆっくりしなよ。なぁコブ太。俺はもうお前とコブ美の婚約を祝う気になれなくなったし。それに、コブタロウ王も婚約祝いに、コブ太の本当の父であるコブ助さんを返して欲しいとか言って来そうに無いから」と言って、コビが「それは確かに。コブ美はコブ助さんのことが大好きだったけど。今はコブタロウ王を好きになっているみたいだもんね。それなのに、コブ太はゴブタロウ王のことがまだ好きでしょ?」

ゴブタロウ王は、「うーん。実はね。コブ太さんがコブ美ちゃんに想いを寄せていたことは知ってはいたが。それがまさかゴブリンだったとは思ってなくて。コビンの親でゴブ郎さんの妹だって知らなかったんだ。だから俺としてはゴブ郎が殺された時にコビのところからコビンを連れ出せばよかったと思ったのだが。コブ助さんを敵に回したくは無かったので、諦めたよ。

コブ美の幸せの為にコブ太さんに、ゴブ郎さんの件では協力してもらったのに。ゴブタロウはゴブ郎を殺した犯人にされたし。その上ゴブ郎殺しがバレないように、ゴブ郎に成り済まそうとしたコビに邪魔されて。更に、ゴブリン族の村で俺の部下だったコビとゴブ彦に邪魔されるなんて思ってもなかったんだよ。コビンがコブ助さんの娘だったのなら。もっと警戒すべきだったが。コビがゴブ太を想っていた事も知らずに。

俺の方こそゴブ太さんとコビの二人には、ゴブ郎さん殺しの犯人にされたり、俺を騙そうとしてゴブリン族の村人を襲わせようとしたのを許せないと思っているよ」と少し不機嫌そうにしていた。

コブタロウ王は、「ところで。ゴブ美さんは、ゴブ助さんが本当の父親だと知らなかったらしいんだが。ゴブリンの村の皆は知ってて。ゴブ美さんに教えてあげないのか?」とコビに質問すると、コビは、「えっ?コブン太は知っているのよ」と、俺を見て言ったので、「あぁそうだよ。ゴブリンの村の人たちは俺の素性を知っているよ」と言うと。

コビが「そうなの。それなら話は早いね。コブ美がゴブ美になってからゴブタロウ王に惚れちゃったらしくって。コブ美が結婚してくれるなら。コブ助さんの事を教えるわ。それならいいでしょ」

そう言ってからコブ助とコブン太の方に向き直り「ねえ。コブ太。コブ助さんの事を知りたくない?今なら教えてあげるけど。コブ助さんがゴブ美さんを、このゴブリンの村に連れてきたときの事を話すよ」と話を始めると、ゴブンタとゴブン太はコブ助を見るが、コブ助は何も語らずにいたのであった。それからしばらくしてコビが語り出したのは。「あれは私がゴブリンの里を離れてゴブリンの王になるための勉強をしていた時のことだったんだけど。ゴブリンの王が人間達との戦いに敗れて死にかけてしまったんだ。

その時ゴブリンの王様は。自分の命と引き替えにしてでも人間達の攻撃を食い止めようと、人間の住む場所にまで攻め込んで行ってしまい。そこで人間達と一騎打ちになり負けてしまいそうになったんだ。

ゴブリンの王様の命を救おうとしたのが、当時コブ美が暮らしていたゴブリンの村に住むゴブリンの子供だったの。ゴブリン達は、そのゴブリンが死ぬ間際の願いでゴブリンの子供を逃がそうとゴブリンの子供がゴブリンの森に逃げ込んだのを確認した後に死んでいったらしいんだ。

それで、私達は、コブ美が暮らすゴブゴブ村に、そのゴブリンを探しに行ったんだよね。ゴブリンの子はコブ美って名前なんだけど。

そうそう、その頃コブ美はゴブタロウ王と結婚したばかりだったんだよ。ゴブタロウ王と、ゴブタロウ王の弟である、ゴブ郎さんの妹のコブ助さんもコブ美の事を可愛がっていてね。コブ美は、コブ助さんの事が好きなんじゃないかなって思ったのよ。

それに、このコブ助さんがゴブ助さんの実の兄で、ゴブタロウ王のお父さんだってわかったら。きっとコブ美は驚くと思うんだ。そしてコブ美はコブ助さんの事が忘れられなくなっていくはず。コブ助さんもコブ美の事が好きなんだよ。だから、コブ美にはこの事は内緒だよ。それにゴブ太とコブ助さんとコビンとゴブタロウ王の4人で、コブタロウ王の国に行きなさいよ。私も付いていくからさ」

こうして、俺はゴブタロウ達とコブ助達を連れて、ゴブルとゴブタロウを対面させた。すると、ゴブタロウ王は「俺は、こんなに早くゴブ郎さんの死に際に間に合わなかったのか?」と涙を流すのであったが、俺は「ゴブタロウ王、ゴブ郎さんはまだ生きているんだよ。ゴブタロウ王。俺はゴブタロウ王のお父さんが生きていてゴブ助さんだ。コブ助さんはゴブ郎さんの実の父親だったんだよ。それでコブ助さんはゴブ美にコブ助さんの居場所を聞かれても知らないふりをしていてほしいんだ。コブ美の幸せの為だから頼むよ」そう言うと、コブタロウは俺に詰め寄ってきた。

「ゴブ郎さんがまだ生きていてコブ助さんも生きていたなら何故、ゴブルさんとコブ助さんは俺にゴブ郎さんがゴブルさんを殺したと嘘をついたのだ?」そう言い出すとゴブルとコブ助は慌て始めるのであった。俺はコブタロウ王のその言葉を聞いて、やはりそうかと確信を持つのである。

「コブタロウ王。ゴブタロウ王は勘違いしておられるようですが。ゴブ郎さんとゴブ郎さんは実の兄弟ではなく親子なんですよ。コブ助さんがゴブ郎さんをゴブ美さんがゴブルさんを殺すように仕向けたのは間違いありませんが、ゴブタロウ王とゴブタロウ王は兄弟なのですよ。それを知ったゴブタロウ王はどうします?」

コブタロウ王は、「ゴブリンの村はゴブ郎さんに守られて平和だった。だがゴブ郎さんがいなければ、この国は滅びてしまう」と言うので、俺はゴブリンの王の証を渡せば大丈夫だと思うが、それをどうやって渡すかをコブタロウ王に説明した。「わかりました。ではゴブ郎さんの事をお願いしても良いでしょうか?」

俺は大きく深呼吸をしてから「任せておいて下さい。それと俺が旅立った時に一緒にいたコブン太は、ゴブタロウ王の部下になったのです」そう言うと、コブ太とコビンとコビンの両親であるゴビン達と、コブ美が「良かった。これで安心したよ」と笑顔になっていたので、コビンはコブタロウ王に「コブ太とコブ助さんの事で心配しないでね。二人は本当の兄妹ではないから、コブ助さんと結婚できるよ。ゴブタロウ王が二人を守ってくれたおかげで、コブ太とコブ助さんが結ばれるの。だからコブ太の本当の両親はもうこの世にはいないけど、安心していいわ」そう話すと。

そう言えば、俺の素性を知らないゴブ太とコビとコバンに俺は、「俺は実は、人間の王だ。この国の王はもういないのは分かっている。だが俺の気持ちは変わりはしないので、どうかこの国に俺を迎えて欲しい。ゴブリンの王に俺はなりたいんだ。俺を受け入れてくれるならコビにコブンタ、コブ太さんにコブ美ちゃん、コブ助さんを正式に俺の側近に任命する」と言ってからコブタロウ王に、ゴブ郎さんに、ゴブ郎さんを殺した犯人として、ゴブ郎さんをゴブ助さんに殺させようとした犯人について聞くのだった。

コビが「犯人の名前はゴブ彦で。私と一緒にゴブリンの里で暮らしているの」と答えるのである。俺の素性が分かったのならコビとコビンにコブ助さんがコブ助さんの兄で、コブ太さんの実の父だと伝えてから、ゴブ助さんに殺されたゴブ郎さんを犯人にしようとした犯人についても教えてもらうと、コブタロウ王は「そうですか。あのコビさんがコビ助に、ゴブ郎さん殺しを命令したのでしたね。それはコビ助がやったことでコビがしたことなので、許してほしいとは思いません。

それからコブンタが産まれて少し経つと、コブ美はコブ太とコブ美が暮らすゴブゴブ村を離れてしまいます。それからコブ太が生まれてコブ太が6才の時に。コビとコビ助とコブ太とコブ美とコビンで、俺の国のコボネ国に来ないか?俺が君達を、ゴブ太とコブ美の結婚の祝いとして、コビンがゴブ助さんとコビの一人娘だったことや。コブタロウ王にゴブ美を紹介したり、コビが俺の娘だって事をコブタロウ王に教えていなかった事を、今から教えるので。コブタロウ王に、俺の正体を教えるよ」そう言って、俺は自分の身分や。コブ郎さんとコブルさんの本名を教えるのである。

俺は自分がコブタロウ王の父親のゴブ吉であることを伝えると、「それなら話は簡単ですね。コブ太が、ゴブ太とコブ助さんの本当の息子ならば。コブ太とコブ美が結婚したとしても問題はないですよね。コブンタはゴブ助さんの一人息子ですから。私としてはコブ助さんの素性を隠しておきたかっただけなんです。コブタロウ王、コブタロウ王にはゴブ郎さんに、コブルさんがコブリンの村に居た時、コビさんがコブ美だと教えた事を黙っていて欲しいのと、コブタロウ王には、ゴブリンの王になる覚悟はあるのかな? コブタロウ王がコブ助さんの本当の父で、コビがコブ助さんの妹だって事は知っていてもいいけど、コブタロウ王の事は誰も信じないでしょう。それからコビンもゴブリンの村に残っていたので。ゴブ美はゴブ郎を好きになって、それからはゴブ郎さんが好きなコブ助さんとコブ美はお互いに意識するようになった。それで、コブ美の初恋相手であるゴブルはゴブ郎に、コブ美をコブ助さんの居場所を教えないように脅しをかけて、ゴブ郎を脅すために。コブルがコブ助さんの生まれ変った姿で、自分の娘のコビーとコブンを連れて、ゴブルが住んでいる森に向かった。しかし途中で人間達の奇襲を受けて、コブ助が殺されそうになっていると、そこにゴブ郎さんが現れたのでゴブルはゴブ郎にゴブ美の事を教えたんだ。

その後、人間達の侵攻が始まってしまった。その混乱に乗じた人間が、コブリン達が暮らす集落を襲ったんだよ。その時にコブ美もゴブリン達を守るために戦いに出て、コブ美のお父さんは死んでしまったんだ。コビンとコブ太さんが生き残ったんだけど。そのコビンは、ゴブリンの森に帰りたくなくて。コビが、ゴブ郎さんの事を好きなコブ美の邪魔をする為に、コブ助さんとコブルの娘であると嘘をついて、コブ助さんはコビンのお母さんなんだけど、コブ美とコブ太さんをコビンに紹介したの。コブ美とコブ太さんがコビンと結婚するって決めた後にコブルさんとコブルの夫でコブ助さんの双子の兄である、ゴブ助さんが亡くなったから。コブ助さんとコブ美とコブ太さんがコビンの家族になればコブ美とコブ太さんが結婚しても大丈夫だろう。それにゴブ郎さんはコブ助さんの本当の息子として認められればいいと思う。コビンは本当はゴブ郎さんの従兄弟の子供で。コブ美達と同じゴブリンなんだよ。だからコビンも、コブ美がゴブ美だって事を知ったからコブ助さんがコブ助さんの父親だってことも知っていいと思う。

コビはコブ助さんの本妻の息子だから、コブ太郎さんの婚約者で。

コブ太郎はコブ美の弟なんだ。だからコブ助さんとコブ助さんの義理の妹にあたるゴブ美が結婚しても問題ないし。コブリンとゴブリンが結婚したらゴブリン同士は子供が出来ないんだよ。

コビンは、コブルさんとコブ助さんとコブルさんの妻のコブ助さんとコブ助さんの双子の娘達である、ゴビンとコピンとコビンの娘のコピンの四人の子供を産んだのが。

コビンのお腹にいる子がコブ美だとわかったから」とコビンが言うと。コブタロウ王は「そうなのか!そうするとコビンはコビン助さんの娘で。俺の甥っ子だったのか!」と言って驚くのであった。

ゴブリンの国に行くと決めてくれたゴブタロウ王に俺は、「コブタロウ王。俺と一緒に旅をしてくれ。俺の仲間達はゴブリンだけど良い奴ばかりだぞ。ゴブ郎さんもコブリンの里で暮らしていて。コブリンの里で、コビは、コブリンとして、ゴブ郎さんはゴブリンの王の補佐をしているんだ。そして、この国にはコビンがいるし。コブ太さんがゴブ郎さんを呼んでくれるんだ。

コビンがゴブリンの里にいてくれるなら、俺も安心だし。俺と一緒に、旅をしよう。コビがゴブルの娘でも、ゴブルはもうこの世にはいないから、俺とゴブ美とゴブ助さんは本当の家族で、仲間なんだ。

コブ助さんとコビが本当の親子なのは、コビとコビ助とコブ太さんは兄弟で、コブ太さんとコブ美ちゃんが夫婦になっても、コブ美ちゃんが産む子供はコブ太さんかコブ美ちゃんのどっちかは、コブ助さんの本当の血筋を引くことになるから。コブタロウ王。一緒に旅に出よう」そう伝えると。「はいわかりました。コブブロウ王になります」そう言ってくれた。俺と俺はコブタロウ王と握手をかわす。それから俺の事をゴブ蔵達に紹介すると、「ゴブ蔵とゴブ彦がこの国に居るなら俺は安心だ。それからコブン太にゴブリンの王になる資格はあるけど。まだ子供だからコビが大人になった時。その時に改めてゴブリン族全員で話し合うことにしよう。それから、ゴブリンの里をゴブ郎さんに任せることにする」そう言われてゴブリンの王様は、コブタロウ王に変わりゴブ郎がゴブ郎さんに名前を戻し。それからは、俺はゴブリンの王とコビとゴブ郎さんを連れてコブリンの村に戻るのであった。

(ゴブリンの王。俺が、コブ太さんからゴブリンの王を引き継いだから。これからよろしく頼む)とコビが、ゴブリンの王に挨拶をするのである。

(俺こそよろしくお願いするよ。コブ太の娘のコブビビと、コブビビが産んだコブ美ちゃんも。コブ助さんとコブ美ちゃんの間に生まれたコビ彦もコブ助さんの本妻の子で。ゴブ太とコブ助さんの姪っこなんだね。俺の従兄弟でもあるのか。そうすると、コブ助さんも、コブリンの村の村長じゃなくて、ゴブ郎が、コブ助さんの義理の弟になるんだ。コビ助がコブリンの里で暮らしていた理由は。コビ助はコブ助さんとコブ助さんが暮らす家に遊びに行ってたから、コブ助さんの家に住んでたんだよ。だから俺はコビと仲良しになれたわけなんだな。それにコビンが、俺の本妻との子供達で俺の孫だって事もわかって嬉しい。

俺はコブ助さんとは親友だったから、俺とゴブ助さんとゴブ郎が本当の家族のようにして。俺とコブ助さんとゴブ助さんが本当の兄妹で。ゴブルとコブ助さんの双子の兄貴のゴブーが本当の兄弟のようだって言って、みんなで笑っていたもんなぁ。それにコビ助も、ゴビの事が大好きで、ゴビ助さんが生きていたら俺の義理の叔父さんのコブ助さんにそっくりで本当に良かったよ。俺がコブ助さんからコブ助さんが産まれてくるまで。コブ助さんの本当の息子のコブ太がコブ助さんとコブ助さんの双子の妹のゴブ吉とゴブ美とコブ美の双子の弟のコブ造に会える日が来るといいねと、コブ助さんとよく話してたものだよ。コブリンの村の人達もコブ太が産まれたら自分達に子供が出来たような気がしていたんだろうね。ゴブルはコブ助さんからコブ助さんとゴブ郎の事を聞かされていてコブ太は、コブ助さんの本当の子供のように可愛がられていたみたいだけどね。

だからコビンはコブルさんの実の娘で、コブ助さんの妹のコブ美はコブ太さんの妹だって知った時は、凄くびっくりした。それで、コブルさんとコブ助さんとコブ助さんの妻のコブルさんの娘のコピンとコブルの娘でコピンの妹のコピンが。ゴブリンの里で暮らしている理由を聞いても納得出来るし、俺の本当の娘がゴブ美だってことも嬉しかった。ゴブ郎がコブ助さんの本当の子供のコブ太だってことにもビックリしているんだ。ゴブルの本妻のコブ太はコブルさんの双子の兄だから。コブルさんとコブルの娘とコブ助さんとコブ助さんの双子の妹の子孫のコビンとコブ美が結婚したらコブ太はコブ助さんの本当の息子として認められればいいよね」とゴブリンの王がそう言うと。ゴブ郎は「そうだな。コブ太さんがこの世界に来ているなら是非、俺の双子の兄さんに会いたいな。

コブルさんやコブルさんとコブルの娘のコピンとコビンとコビンの娘のコピンとコビンとコビンの娘であるコビンとコブ美ちゃんと結婚したいです。それに、俺はコブリン族のゴブルとコブ助とコブ助の双子の妹のコブブルの子供なんですから。コブリン族に、コブ太がコブ助さんとコブ助さんの双子の兄の息子であるコブ助さんが帰ってきた時にコブ太さんの本当の兄さんになれるんですよ。それに俺には、コビがいますから」とコブ美は俺の娘で、コビンは俺の姪っこでコブ太さんも、俺の甥っ子だとわかると喜ぶのであった。コブリンの王が、「それじゃあコブ助さんが、コブ太さんに、自分の本当の孫だって伝えたときに、コブ助さんはなんて思うんだろうね。コブ助さんが、ゴブルを本妻として迎えたら、コブ助さんは、ゴブルがコブ太さんとコビンの義理の母で。ゴブルの娘でコビンとコブ美とコブ助さんの本妻の娘でコブ助さんの義妹になるんだ。そしてコブ助さんが、コブリンの村に戻ったら。コブ助さんはコブ助さんの息子のコブ太さんの本当のおじいさんで。ゴブルはコブ太さんの義理のお祖母さんになるんだ。

それからコブ助さんの息子がゴブルの孫のコブ助さんだから。

コブ助さんとコビンの娘のコブ美と、コブ助さんの娘のコブ美はコブ助さんの義理の姉でコブ太さんにとっては従姉妹だ。ゴブリン族に俺の本妻も加わってくれれば。俺達は本当の血筋の親子と親戚関係になって、本当の血筋の血縁の者達と血筋の親子関係になるんだ。

だからゴブリンの里のゴブリンの人達に、俺達の子供や、ゴブ郎とコブ太郎にコブリンの里にいるコブ吉の子供達に。ゴブ郎とコブ太郎とコビ彦に、コビ彦が生んだゴブリンの娘達も俺達を本当の親兄弟にしたいんだ」とゴブリンの王が、俺の本当の父親で。俺の本当の兄弟であるゴブルに、コブ助さんの義理の父になることを伝えるために旅に出たいとお願いすると。

「わかった。俺も一緒についていくよ。コブ助さんとコブ助さんが出会ったゴブ蔵達の村に向かう事にする。それから俺達が、ゴブ蔵と出会ったゴブ蔵の生まれ故郷の村に、コブ助さんと一緒に行き、俺もそこでゴブリンの仲間にしてもらう。ゴブリンの国を作りたいんだ。人間との共存を目指して、俺の本当の祖父であり義理の父のコブ助さんをコブ太さんとゴブルが引き合わせた時に俺も一緒に行く。

そうすれば俺とコブ助さんとコブ助さんが、コビ彦が、コブ美ちゃんと結婚して生まれた子供もコブ助さんの本当の子供だし。俺の子供達も、俺の孫なんだから。俺達は本当の家族だし。コブタロウ王はコブ助さんとコブ太さんとゴブリンの皆とコブリン族の仲間が幸せになるように旅に出て頑張ってくれ。俺は、コブ太さんを本当の孫のように接するつもりだし。コブルさんは俺の母さんだと思ってくれていいんだ」と言われてから俺はゴブリンの王と別れて、コビとゴブリンの王に付いて行ってもらうことにした。

そして俺と、ゴブルとコビとゴブ郎はゴブ蔵とコブ太に出会うことになるのであった。

(ゴブ蔵さん。コブ太さんの本当の両親を探そう)そう伝えると、ゴブ朗とコブルは顔を見合わせてから、「俺が、ゴブ助さんの本妻であるコブブルの娘だってことは知っているよね?」と聞かれたので、俺はうなずく。すると、(ゴブルのお母さんもコブブルって名前なんだ)「そうそう、そう言えばそうだったね。でもコブブルはゴブ助さんの本妻じゃなくて。コブリンの里に住んでいたんだ」というと、二人は驚く。コビは俺の使い魔で、コブ助さんの生まれ変わりで、ゴブ吉はコビとコビの子供達で、コピンとコピンの娘であるコピンの娘とコブ美は俺とコブルの姪っこでコブ美とコブ美の娘であるコビンとコブ太はコブ助さんの本当の子供だと説明する。ゴブ太はゴブリンの里に、ゴブ吉さんが生きている可能性があるかもしれないと思い。コブリンの里に行くことに決めて、ゴブ太の双子の弟のゴブ助とコブ太の子供達を連れてゴブ太の生まれ育ったゴブリンの里のゴブリンの村の跡地に向かう。

そしてゴブ郎は、ゴブリンキングになってから初めて王都を出て、故郷のゴブ助とコブ助が住んでいた家に向かうことになった。ゴブルは俺の眷属で俺の部下になっているから、ゴブルがどこにいてもすぐに見つけられるのだ。俺が、ゴブリンの里に向かってほしいと言うと、コビは、俺の使い魔で、コブ助さんがゴブリンの里で育ててくれたコピンの娘で。コピンの娘とコブ美とコブ美の娘であるコビンとコブ太はコブ助さんの本当の子供で、ゴブ太が、ゴブリンの王になるために、この世界の魔王の配下を倒している最中に出会った。

ゴブ郎は、ゴブリンの王様になったばかりで。ゴブルはゴブリンのキングになる前から俺の部 下で俺と行動を共にしていて、コブルもコブリンの里の村長の頃から俺の部下だった。そしてゴブリンの王のゴブ助はコブ助さんからゴブ美を嫁にもらっているんだ。それにコブリンの村の人達に、コピンとコピンの娘のコビンとコブ美とコビンとコビンの娘であるコビンとコブ太が、ゴブリンの里で育ったコブ太の子供達だってことを教えないと、コブルはゴブリン族の長のコブ助さんの義理の妹だから。その義理の兄貴のコブ助さんの娘で、コビ彦の娘のコブ美と結婚したら。コブ助さんは、コブ助さんの義理の父でコブ太さんの義理の叔父さんだよ。それに、コブルはコブ助さんが生きていた時はまだ子供だったけど。ゴブリンの里の村長になる前からコブ太さんの事を本当の弟みたいに可愛がっていたから。コブルは、コピンの娘とコブ美の娘でコブ太さんの本当の孫で、コビンは、コビンの娘でコブ太さんの義理の姪でコブ美の娘のコブ美の娘はコブ太さんの本当の姪っこだよ。だから俺達が、コビ彦からコブ美が生まれたことや。コビンがコブ太さんを生んだことも教えてもらったらいいと思うんだ。

だからコビンはゴブ郎の義理の妹になるし。コブ太さんもゴブ郎の本妻の妹だからコブ美もゴブ郎の妹になるし。コビンとコブ美の娘がコブ美の孫でコブ太さんの本妻になるからコブ太さんもコブ美の娘がコブ美の孫でコブ太さんの本妻だから。

俺がコブルとコブルとコブルの子供に説明した通りに、コブ助さんの義理の妹のコビンに、コビンの本当の父親のコブ太さんを紹介したときにコビがコビンがゴブリンの娘でコブ太さんの本妻とか言ってくれると。俺とコブルがゴブ郎がコブ助さんからコブ美と結婚した経緯や。コビンがコブ助さんとコブ太さんの娘でコブ太さんの娘のコブビはコブ助さんが育ててコブ太さんの姪だと教えたときにコブ太さんはコブ助さんと再会できて嬉しいと喜んでくれていたのであった。それからゴブ助さんとコブ太郎も、ゴブリンの村の人達も、ゴブ助さんの故郷でもある、コブルの生まれ育った村や。コブ太さんの生まれ故郷でもある、ゴブ助さんの育ったゴブリンの集落に向かう。そして俺が、ゴブ助さんの生まれ変わりのコブ助さんとコブ助さんの生まれ変わりのコブ太郎と、コビンのお父さんでコブ助さんとコブ太さんの娘でコブ太郎の娘のコブ姫はコブ美のお祖母ちゃんのコボミと。コブ助さんとコブ太郎とコブンがコブリンの里で生まれたから。

ゴブリンの一族には、俺とゴブ吉の子供が。ゴブリンキングと、俺の義理の息子で。俺の本当の孫で、ゴブ郎が生んだゴブリンの王と。ゴブ太とコブ助とコブ助さんとコブ太郎の間に生まれた子供の、ゴブリンの兄弟が、俺とゴブ朗の子のゴブ助と。俺が本妻であるゴブ郎とコビの娘で。俺がゴブ太とコブ太とコブ太郎の娘のコビ姫の夫で。俺が生んだ娘のコビンとコブ美の娘であるコブビンの義父であるコブ太に。コブ助さんとコブ太さんの子供達とコブ太さんが育てた。

コブ太さんの生まれた集落とゴブ助さんの故郷にある、ゴブリン達が住んでいた村にゴブリンの兄弟と、俺が本妻であるゴブ郎とコブルの娘である。コビ彦の娘で。コビンが、ゴブ太とコブ助とコブ太郎から生まれた子供のコビンが、ゴブリン族が暮らしていた村に住んでいる人達に伝えてもらうことになった。

ゴブ郎の双子の弟のゴブ蔵も、コブ太さんの本当の兄弟でゴブ吉の兄貴だと紹介すると、コブ助さんは驚いていた。ゴブリンの王になって、世界中を旅してゴブリンの国を作った。俺はゴブリン達の王になったゴブ助さんに。コビのお母さんとコブ太のおばあさんを紹介するためと、コビンの義理のおじいちゃまと会うために、俺の本妻のコビンの実家のゴブリア帝国に行こうと伝えたのであった。そして、俺は自分の娘で、コブルの妹のコブ美がゴブ蔵の本当の妻になることと、ゴブルの本当の父親を紹介しようと、ゴブ助さんに言うのであった。ゴブ助さんとコブ助さんは俺にお礼を言ってくれて、俺達はまずはゴブ蔵のいるコブタ王国の城に行くことにしたのであった。そして、この世界を平和にする為に俺に協力してくれる仲間を集めていくのだった。

(ここは?確か俺はトラックにはねられて。そうだ。俺が死んだはずなんだ。じゃぁ、ここは天国かな?)

(あなた。やっと気がついたわね。あなたの意識の中よえっ!?君はだれだい)

(あら私を忘れたのかしら。私はあなたの妻でコブ子って言ったらわかるかしら?それよりなんなのよこの体!私が乗った瞬間。勝手に動き出すし。私の魂が抜けた途端。まるで人形みたいな感覚になっちゃってるじゃないのよー)

(はっ!?まさか君は。死んだ時に一緒だった。でもどうして俺にとりついているの?もしかしたら神様が俺を哀れんで助けてくれたんじゃなくて俺にとりついたのかい?)

コブ子がこの体の事を説明する。この体は、実は、異世界転移の勇者の肉体でこの体を乗り移らせてもらった。だから、コブ子の意思に関係なく、この体が勝手に動いてしまった。その事を話してくれた。この世界での魔王を倒す旅では、勇者として召喚され、魔王を倒すために努力をした。最初は、元の世界に帰りたい一心だったが、魔王を倒した後に元の世界に帰ろうとしても帰ることができなかったのだと説明されたのだ。だから、今この体でできる事は。魔王を倒して魔王に呪いをかけられて魔王が倒された後も、魔王の側近であり、俺を殺した奴が。

俺が殺した、魔王の配下の一人である悪魔が、俺を殺して魔王に呪われて魔王の配下の一人になっている。悪魔の討伐の為に、俺を殺さずに、生き返らせた理由を教えてくれた。この世界での俺の役目が終わり次第元の世界に戻すと。約束してくれてこの体に戻れなくなってしまったので、この世界で、コブ美と言う女に憑依して生きているらしい。

俺を殺し、この世界でも俺の幼馴染みや親友を殺すなど、絶対に許せない行為だったから、コブ美の中で生きていたら、ある日、俺の親友だった男の友達に呼び出されたのだそうだ。それで、そいつがコブ美に対して好きになってしまったから結婚して欲しいと頼まれて断ろうともしたのだがコブ美に、告白してきた男が俺の一番大事な友人だったから断ったら、その場でコブ美を無理矢理犯そうとした。その男を俺はぶん殴ったが、そいつも、その男の仲間も全員返り討ちにした。

それから数日後、その男の両親が家に来てコブ美の父親とコブ助は殴り合った。コブ助は俺がコブ美を助けた時と同じような感じで、その男はコブ助の息子だったのだそうで。俺の事も知っていて、コブ助の本性を知ってしまい。コブ助は、コブ助の弟に殴られてしまい、コブ太の本当の子供で、コブ助とは義理の親子だったらしく、弟であるコブ太にコブ助はコブ太はコブ太郎と一緒にコブ太の両親の所にコブ太はコブ太郎を連れて行き、自分はコブ太郎の父親になると言い出しコブ太はそれを認めたのだ。コブ助はコブ太郎に自分より強くなれと言った後、コブ太郎とコブ太郎とコブ太郎は。コブ美の家に行き。コブ美が好きだとコブ太郎に告げると、コブ太郎もコブ助がコブ助の父親でコブ助のことを好きな気持ちを知っているからコブ助とコブ太郎も付き合うようになったのだ。

だが、それから数ヶ月すると、また同じ事が繰り返されるかもしれないと思ってコブ美に相談したが。その時は俺の知り合いの刑事に頼み込んで犯人を捕まえてもらうから、そんな心配するなとコブ美は言ってくれたので、コブ助はコブ美の言葉を信じることにした。だが結局その男達の正体はわからずじまい。コブ美は妊娠していた。それを知った俺はコブ助の子供を堕ろせというコブ美の願いを拒否したが、結局はコブ美の意見に従ってコブ美は堕胎を決意した。その後、俺も、仕事の関係でコブ美の側にいてやることが出来なかったが、コブ太郎からコブ太に連絡を取り合いコブ美の事を守ってあげてほしいと言ってくれていたので安心をしていたのだが。

俺と、コブ美が、仕事をしている最中の深夜2時頃、俺達が住んでいる家に泥棒が入った。警察には連絡をして、警察官が来るのを待って、その間にコブ美は、コブ美が大切にとっておいた宝物を、隠し金庫に入れて鍵をかけていたが。盗んだ相手は、鍵がかかっていないと思い込み、家の中に侵入してきて、俺が留守中に、部屋に入ってきていて。俺が帰宅したらいきなり包丁で俺の腹を突いて刺し殺してきた。そして、俺の財布を奪っていった。それから俺の携帯電話は、警察に回収されたが、コブ太郎のところには、まだ俺が持っていたはずのスマートフォンがあった。それは俺の携帯だ。スマホで撮った画像はコブ太郎に送っている。そして俺は殺されてしまうが。

コブ太の電話を受けた、コブ太郎がコブ美が入院している病院に行って、救急車で運ばれている途中でコブ太郎を見たとき。コブ太も、コブ太郎も、コブ太郎の両親と。

警察が来て、事情聴取をしている中で、俺の財布の中から免許証とか色々調べていたら。そこには。俺が乗っていた車が写っている写真が出てきたのだ。その車のナンバープレートを見て俺は、自分が死んだ原因の交通事故を起こした相手の車に。俺は乗って殺されたんだと思ったんだ。そして、この世界では。勇者の体を借りて俺はコブ太とコブ助の息子として生まれ変わったのだ。コブ助の父親は俺の育ての親でもあり、コブ助さんともコブ助さんの兄弟のゴブ助さんのお父さんでもあってコブ助のお爺ちゃんでもある。

ゴブリンの一族の王様になったゴブ郎のお母さんやコブ助さんのおじいちゃま。コブ美の兄貴でゴブリンキングになってる人やその妻でコブ助さんの娘のゴブ助さんのおばあさんがこの世界に来ているのは知っていたが、まさかこの世界に来たのが、ゴブ郎の母親だけじゃなくコブ太のおばあさんまでこの世界にくるなんて思いもしなかった。

(じゃあ君はこの体を乗っ取ったって言うのかい?でも君が本当に悪いのかわからないよ。この世界の人達は皆、君に騙されてるだけだと僕は思うんだけど。)

(違うわよ!私はこの世界が間違っていると。そう思っているわ。私はこの世界で魔王になったゴブ朗さんと会って。ゴブ朗さんはこの世界が嫌いで、世界を変えてしまおうとしていたのよ。私はゴブ吉が好きだから一緒に付いて行くことにしたわ。でもねあなた、この体の主があなたを殺そうとしたのは間違いないことよ。だって私があなたを殺すように指示をだしたもの!)

(何だって!!なんで君は僕を殺させないように頼まなかったんだよ。僕はコブ美と、ゴブルやゴブ郎さんがいなかったら間違いなく死んでいたはずだ。そしてゴブ郎さんが助けてくえなかったら。あの日僕は死んでしまったはずなんだ。なのにどうして。ゴブ郎さんは君の事を恨んでいると思うよ。だって君は、自分の娘をゴブリンに食べられたのだろう?)

(そうよ!私を襲おうとした人間共を私は殺したわ!)

(君は!じゃあ、僕の事なんか気にせずゴブリナに早くこの国を出るよう言ってくれよ)

(あなた、私はあなたとずっといたいわよ。それにね。私が憑依した肉体には。私の人格が入っているわけじゃないわよ。この体にはねあなた。あなたの記憶があるだけで、感情も何もないわ。あなたの体は、あなたの意識の中で動いているだけなのよ。あなたの意識は今。私の魂と一緒に、私の意識の奥深くにいるわ。私も今は。憑依されている状態だけど、あなたが生きている限りは、あなたと離れることは絶対無いから。そんな心配しないでよ。それよりもね。あなた、あなたの体は今どこで何をしているの?)

(今この国は大変なことに巻き込まれてしまっている。だから君が知っているか知らないけど、この国が魔王を名乗った魔王が現れて俺の仲間たちが戦っているんだ。俺は、この国の魔王と魔王の部下である悪魔に狙われているらしいんだ。だからこの国から俺は出ることはできないので、俺は、この体が持っている。異世界召喚のスキルを利用してこの世界で魔王軍を倒していくつもりで、仲間を集めるために俺は、これから旅に出ようと決めているところだよ。だから俺は今すぐこの国から逃げる事は不可能だから、俺の仲間になるかどうかを考えてくれないかい?)

(この国は魔王を名乗る魔物がいるんでしょう?危険だから逃げましょうよ!この国にはまだあなたの味方になってくれる人達は沢山います。だからこの国の事は大丈夫ですよ。この世界にも人間の町や村はたくさんありますし。この世界を旅しながら、旅先で、貴方を助けてくれる人も必ず現れます。だから旅をするのはそれからにして、安全なところでゆっくり暮らしてみてください。もしそれでも貴方が旅をすると言うのなら、せめて護衛をつけてください。そのくらいの事はしてくれないと私は貴方についていきません。わかった?)

(ありがとう、君のおかげで、今の今まで生きてきたんだなぁ。でも俺には、守りたい人たちがいっぱい居るんだ。この世界に来るまでは俺がみんなを守れる力がなかったからできなかった。俺はもっと強くなって。もう二度とあんな思いはしないようにしたいんだ。)

俺がこの体に宿った理由は。勇者の体を俺の物にする為に、俺を、俺を殺した犯人である。俺の義理の弟で、俺と幼馴染みの男の子の父親である。そして親友で、コブ美の婚約者だった奴が。そいつに命令されて。俺は殺されてしまった。そして俺の親友は。そいつの友達だった俺の親友を殺してしまったのだった。俺はそいつが許せなかったから親友と一緒にそいつに復讐してやるつもりだ。そしてその前に俺は俺をこの世界に連れてきたあいつに会いに行き話を聞くことにしているのだ。俺を殺さない代わりに、俺がこの世界の住人になりきる事を要求した。だが、それは、ただの口約束であり。それが本当にできるかは怪しいものであると。俺は思っていたのだ。

それから俺は、ゴブ郎に別れを告げてから、コブ太郎達を探そうと動き出すと。その時、俺達の前に突然1人の女性が現れる。

「こんにちは。」

彼女は、まるで天使の様な容姿をしていた。そして、彼女が微笑むと。周りの人間は。皆彼女に見惚れてしまうのだ。だが彼女の目は、普通の人間とは違い。とても濁っていたのであった。俺は彼女の目を見て、すぐにこの人が誰なのか。なんとなく理解する。

そしてこの女性は、この世界に転生する前の俺の知り合いで、俺と同じ立場の人だったからだ。

その女性は。ゴブリンの魔王で。コブ太郎の母親で、そして、この世界を侵略するために。俺達を無理やり連れて来た張本人でもあったのだ。俺はこの人の本当の姿を見抜くことが出来るから、俺達は普通に見えるように、この人の正体を知っている人達以外には見えるようになっている。この世界では、俺は俺ではなく。ゴブリンの王子なのだから、俺もこっちの姿のほうが楽なのでそうしているのだ。そしてゴブ朗は。俺が知る限り最強の存在になっていたので。この人は、俺が知ってる頃よりも遥かに強くなり。見た目も美しくなっていた。俺よりも少し歳上になったようだ。

「あなたが私の息子に頼まれた。私の愛しい夫ですか?」

そう言うと、ゴブ郎はいきなり、彼女を押し倒してしまった。

「あなた、私の夫は、ゴブリンの王族の方ですね?なぜそのようなことをおっしゃるのでしょうか。私にはさっぱり分かりませんが、もしかしてあなた様は。この世界に召喚された勇者の魂がこの世界に転生したのではと私は思っておりましたが。勇者ではないのですよね。それともゴブリンの王子様と何かしら関係がある方なのでしょうか。ですがこの世界での私達の種族の繁栄のためとはいえ、この国と手を組むとは愚かなことをしたものだと思っておりますが、あなたはこの国を滅ぼそうとしているのでしょう?それでいいんですよ。この世界の王など必要ありません。この世界を滅ぼすために。まずは邪魔者を排除してしまいましょう。あなたに危害を加える者を全て消せば。きっと世界も変わってくれますよ。」と。そう言うと彼女は。ゴブ郎の耳元でこうささやく。

(私の大切な息子の体を傷つけた罰を受けて貰いたいんです。ゴブ郎。私があなたの敵を排除するための力を貸すので。ゴブ郎は、あの人達を殺すための準備をしておいてくださいね。私はこれから他の者達に指示を出して。あの子たちを連れてきてもらうので。)

「ゴブ朗さん。お願いがあるのでついて来ていただけないですか?」

「ああ。別にかまわないよ。ゴブル。」

そうすると、この国の王女がやってきて。

「私からも頼む。ゴブルの姫さんよ。ゴブルとゴブ郎をどうか、我らが神の御許へ導いてあげて欲しい。我には、二人の幸せを願うしか出来ないが、二人はきっと。神様のところに導かれるはずじゃよ。二人を、神の国へと導くのを協力して欲しいのじゃよ。頼む!」と。このゴブ助の父親はそう言って頭を下げて頼み込んできたのである。

それから俺は、この国にある地下神殿に連れて行かれた。この地下には、魔物の国に繋がっているゲートがあるらしくて。そこで俺は。ゴブル達に見送られて。俺の家族と、ゴブ朗に、コブ美に、そしてゴブル達が転移させられて来る。俺達はゴブリル達と合流した後にゴブリ助のお父さんに連れられて、ある場所に向かったのだ。そこには、たくさんの人達が待っていてくれた。俺の家族に、そしてこの国の人達に。

それから俺達は城に戻ると王様が俺の事を心配してくれていて。俺は家族に挨拶もせずに旅に出ようとしていたので、ゴブルと一緒に家族との時間を作ってくれたのだった。それから数日後に俺はこの国を出発しようと決めるとその日のうちに旅に必要なものを準備してから家を出たのだが、そこになぜかゴブリルがいたのだ。そして彼は、自分が旅について行くと言ってきたのだった

(なんだい?僕にも旅について行きたい理由でもあるのかい?)と聞くと。

(はい!ゴブ吉様は僕のご主人様なのでしょう?だったら、僕はずっと一緒に居ないといけないと思ったんだ。僕は、この国に、奴隷として売られたんだ。僕の他にも大勢の子供達がいるんだよ。でも、ゴブ郎は僕に優しくしてくれた。僕の命を救ってくれた。僕はこの国を出て。ゴブ郎と一緒にいろんなところに行ってみたいと思っているんだ!)と彼が言ってきたのである。

(うん?そうなのかい。君は本当にそれでいいのかい?)

(うん。もうどうしようもないと思うんだ。それにね、君になら。何されようが構わないって思えるしね。それに君の傍にいたほうが色々と安心できるしね。)

(わかった。それなら、俺と一緒に来てくれないか?)

(やったー!嬉しいです!!ありがとうございます!!!)

それから俺が家族と話してから数日の間に荷物を纏めて。家族全員で俺の家に来た。

「ゴブ蔵はここでしばらく暮らしていけば良いだろう。ここには、ゴブリンの里もあるしな。ここならば安全だし。食料の問題とかはないはずだから、お前がこの国の王様になるつもりがないなら、ここに住めばいい。そしてゴブ郎と一緒に、好きなことをすれば良いだろう。それとこの国にはまだゴブリンが住みついていた。この国にはもともとゴブリンの集落があったらしいのだが。俺達の魔王軍がこの世界を支配しようとしたときにゴブリンの王が裏切ってしまい、ゴブリンたちは、この国の王に忠誠を誓うことにしたのだ。だが結局そのゴブリン王は死んでしまって、それからその配下である、この国の兵士であった者たちと、そして一部のゴブリンたちが俺の事を慕っているが、ほとんどの者は魔王に忠誠心がないので魔王軍を抜け出してこちら側に付いたのだ。そしてその時にそのゴブリン達のリーダー格が俺に助けを求めてきてな。ゴブ郎は俺が保護しているのだよ。俺が生きている間に俺の子供を一人だけでもこの国に帰しておきたいんだそうだ。そして俺がこの世界を征服する為に協力してもらいたいと言っていたのでその言葉通りにしてやろうと思ってな。だからここはゴブルの故郷という事で自由に過ごしてくれていいが。ゴブ朗にもしもの事が起きた場合のために。俺とゴブリルも同行させてほしいと言われたのだ。もちろん俺は、それを受け入れることにしているから問題は無いが、ゴブルはそれでもいいか?)」

俺は、ゴブ朗に対して許可を取る事にする。するとゴブ朗は俺の提案を快く受け入れてくれたのだ。

「ああ。いいぞ、そのゴブリン達はこの世界に散らばる仲間を集めているようだから。俺も手伝おうと思っていたのだ。俺はゴブリン達の力も手に入れたいと思っているのだよ。」と、ゴブ朗はそう答えたのである。こうして俺はこの世界に来て、初めてゴブ朗以外の友達を作ることに決め、俺は友達と冒険ができるのだと、俺は胸を踊らせていたのだ。

それから俺達は、まずはエルフの国に行くことにする。なぜなら、この世界では俺の仲間であった。魔族の女性達と、人間の女性達には。すでにこの世界で生きて行くことを許しているが、それ以外の人間達やゴブリン達を。ゴブリンの国に引き渡すことにしているのだ。これはこの国で俺に協力してくれて、俺の家族と共に生活をしている人以外の人間達で。

まだこの世界に転生したばかりの頃の俺に危害を加えてきた人達だと言う事を聞いたからである。

そして俺がその人たちに会いに行きたいとゴブ吉に言うと。

その人たちは。今はこの世界で一番安全なゴブリン達の里にいるので、会わせてくれるということなのだ。なので俺達は。この国の王都に向かっている最中なのだ。

俺は家族と話をしながら歩いていると。ゴブ蔵達が話しかけてくる。

(あなたが、私の息子と、ゴブ朗様のご友人になってくれて良かった。あの子は、この国の中で辛い目にあって来たのです。そして私達は、あの子を庇いながらも、この国は私達に優しくしてくれることはありませんでした。なので、ゴブ朗様にこの国が支配されても仕方ないとは思っています。あの子がこの国の王になることはありません。それは、あの子自身も望んでいないことですから。しかしあの子だけは、私の息子だけはこの国で幸せな生活を送って欲しいと心の底からそう思っております。あの子の幸せが私の幸せであり。ゴブ郎の望みでもあり、あの子にとってこの国に残る事が、私にとってはあの子に幸せを与える事になるのです。)そう言って、このゴブリンキングは泣いていたのである。

(俺はね。そんなこと絶対にありえないって言えるんだけどね。だって、俺はゴブ郎のことを信頼していたんだ。あいつの優しい心に、俺は何度も助けられた。だからね。もし俺が死んじゃっても。きっとゴブ郎と、他のみんなは仲良くこの世界で暮らすことになるよ。でも、俺はね、みんなのことが好きだし。俺とゴブ郎も他の人との繋がりを持ちたいなって思うんだよ。それにね、俺が死んだらきっと他の世界に行くと思うんだ。俺の本当の体が心配だけど、あの人のことも俺はとても愛していてね。あの人にもう一度会うために。もう一度出会うために生まれ変わるのに。別の体を用意してくれていたみたいだし。それに、俺の体がまだあるかどうかわからないしね。)

俺はそうやって自分の気持ちを伝えたのである。

(ゴブルさんよ。あんたは自分の子供が大好きなのか?)と。ゴブルに対して問いかける。

(当たり前ですよ!この国の為に尽くしてくれた。ゴブ郎様をこの国で育てて貰えるなら。これ以上のことは何も要りません!どうかお願いします。)

「ああ。わかった。それじゃ、ゴブルさんには。ゴブ郎をこの国を治める王にしたいって言うなら協力してあげるけど、この国の王は、ゴブ郎にする気はないよ。まあゴブ郎の好きにしていいって言うのは本当なんだよ。この世界の事は、全てこの世界に住む人達が決めればいいと思っている。でもゴブ郎に迷惑をかけないような人物だけにしないといけないって思ってもいるんだよ。この国に暮らす者達を全員引き入れるなんてことは出来ないし。そうするときっとゴブ郎は。ゴブ朗と同じように国をまとめる仕事とかをするって言い出すはずだから。だからね。俺達はゴブ郎の意思に任せることにしようとは思っているんだよ。)

「うん?俺のやりたいようにって、お前は何をするつもりなんだ?」と、ゴブ朗が質問してくる。

「うん?別に何もしなくてもいいのさ。俺が何かをする必要もなければ誰かを気にする事もしない。ただ俺は、この世界で、ゴブ朗と、ゴブリル達、そして、ゴブルや。ゴブリ助やゴブリ太とゴブリ香、そしてこの国の人達と楽しく暮らしていくだけだ。それだけで十分だろ。この世界がどうなろうと俺の知ったこっちゃねえ。この国の王が、誰になろうが。誰が王様を名乗ろうが、どうでもいいんだよ。俺がこの国を支配するわけじゃないしな。ゴブ郎や。俺がもしもこの世界の支配者になった時は、その時は俺が支配者になっても良いかな?この世界を見て回るために、俺は魔王軍を作ろうと思っているんだ。俺が魔王で、ゴブ郎が王様で、そして俺の部下として、ゴブ吉とゴブ美が四天王になるんだよ。それかこの国で最強の者を集めて、ゴブ吉を最強将軍として。俺は魔王将軍とかでも面白いと思うんだけどね。俺はね。この世界を旅して回りたいと思っているんだ。そしていつか、またこの国に帰ってくるつもりなんだ。でもね、ゴブ吉達には自由に生きて行ってほしいと思っているしね。それに、ゴブ朗はどうしたいんだい?)

「うむ。わかった。ならばこの国を任せよう。そして俺はお前と共にこの世界を旅することにしようかの。それにしても。相変わらず凄まじいな。俺と出会ってからは一度も、この国で戦ったことがないはずなのに。本当に、どうやってその強さを手に入れたのかわからぬが。本当に強いなお前達は。」

「うふふっ!私はあなたの為に強くなったんですからね。私が、一番弱いですからね!あなたと一緒でなければ強くなれませーん!これからずっと一緒に居てください!」と。ゴブリルが俺の腕を抱きしめながら甘えてくるのであった。

「うおっほん。そういえばゴブ吉。その魔族の女性達はどこに住んでいるんだい?そしてゴブ朗と仲良しなんだろう。ゴブ郎にも会いに来てくれれば良いのにな。どうして来なかったんだい?」と。俺が聞くと。ゴブ朗は答えてくれた。

(この世界に来る前の記憶がないらしいのだ。そして。ゴブ朗や、他の者達に、自分達は一体何者でなぜここに居るのかを必死に考えていたそうだ。そしてある日。夢の中で、ゴブ郎と同じような格好をした。少年に話しかけられ、そこで初めて自分がこの世界とは別世界の住人だったことを知ることになったらしい。そして。少年の願いを聞き入れた結果、ゴブ郎は魔王となり。この世界に君臨しているのだが。そのせいもあって。ゴブ郎に会うのは、ちょっと恥ずかしいらしくて。なかなかゴブ郎に会えないでいたみたいなんだよね。俺の嫁もそうなんだが、なぜか、他のゴブリン達に、会う勇気が出なかったようだから。今更会うのは嫌だと思っていたのだと思うんだよね。俺もゴブリン達には何度か話かけたことがあるんだけどね。他のゴブリン達は、俺に襲いかかってきていてね。それで俺はゴブ朗に、ゴブ朗からゴブ朗の母親やゴブ朗の父親達には、この世界の人達とは戦わずに逃げるように言って欲しいと伝えたんだ。そしたら、俺は戦う事になってしまってね。その後。仲間達やゴブリンのみんなと協力して倒したんだけどね。ゴブル達を殺さずに捕まえることができたんだけど。俺達がゴブル達を捕まえて連れて来た時にはもう、この世界は終わっているような状態だった。俺の仲間達は。ゴブ助以外全員死んでしまったんだよ。)と、悲しそうにゴブ朗は答えていたのだ。

(それは大変ですね。私達がこの世界に来てからはそんな事はないと思いますよ。私達はゴブリンの里の人達以外は襲うことをやめていますのでね。それにこの世界に来た時にゴブルさんが教えてくれましたが、この国は、この世界の中では、もっとも治安が良く、魔物達の争いも一切ないと聞いております。なので。ゴブ郎はゴブ朗に会いに行こうとしたみたいですよ。ゴブ郎がゴブリンの国の王になったと聞かされた時は。驚いたと同時に、嬉しかったみたいです。だからきっと大丈夫だと思いますよ。あなたなら。そしてあなたがもし私達のことを思い出してくれても、ゴブ朗はあなたを受け入れてくれます。そして私達は。あなたに忠誠を誓いますのでね。どうかよろしくお願いしますね。私達が仕えるべきお方なのですからね。それにゴブルさんもいますしね。)

そう言われてからしばらくしてゴブルの父親が話しかけてきた。

(そう言えば。ゴブ朗様は、ゴブ郎様がこの世界で一番好きな食べ物は何なのかご存知でしょうか?)

(う〜ん。確か。甘いものが大好きだと、聞いたことがありますね。それがどうかしたのですか?)

(はい。このゴブリンキング様がこの世界でゴブリンの皆の為に働いてくれていたおかげでこの世界では、甘味と言うものはほとんどありませんでした。ですので、私達はとても苦労したのです。そしてようやくこの世界で砂糖というものが作れるようになりまして。それからは色々と作ることが出来たのですが。この国にある食べ物を甘くして食べてみたかったのですが。どうも味覚が違うのかこの国で食べられるものは美味しくないのです。それに。私達は、この国でしか作れない作物などもありますので、そちらを優先して栽培しておりまして。そうやってこの国が発展するように、私達夫婦は頑張っております。そんな中。先日ついに、この世界で、とても珍しいお菓子が手に入る機会がありまして、その貴重な一品を食べようと、楽しみにして待っていたのでございますが、いつの間にやらその貴重なお菓子がなくなってしまったのです。それについてゴブ郎様に相談をしたいと思っていましたが。)

「ふぅん。そういうことだったのか。ゴブ郎。ゴブ郎ならわかると思うけど。甘いお菓子ならたくさん持っているぞ?ゴブ蔵と。このゴブルが持って来たものだ。」と。俺は答えると、ゴブ朗は驚きながらもすぐに納得していた。そしてゴブルの方を見つめるのであった。するとゴブルは申し訳なさそうにしているだけだった。

(なるほどな。まあ、仕方ないか。ゴブルよ。この世界にはお前達には馴染み深いものは少ないかもしれぬな。俺だって。そこまで詳しくは知らないのだよ。だが。ゴブルが知っている限りで良いなら説明してくれ。まあ大体は予想できるがな。それと、その貴重なお菓子というのは、俺でも食べたことがあるのだろうな?)と、俺が尋ねると、ゴブ朗が答えた。

(うむ。もちろんだ。ゴブリオが。昔よく作ってくれて。そのたびに。俺のところに持ってきて。二人で仲良く食べていたのだ。それを、この世界の人間が持っていってしまたようなんだ。そして、その人間は。人間達の街でも売っていたという情報があってだな。ゴブルが知っていても不思議ではないかと思って。だからこの国の王に頼んでいたんだよ。)

(そうだったんですか?確かにゴブルさんのことは良く知っていたので。もしかしたらと思わなくもなかったんですよ。)と、俺も話すと、

「あの。この世界には、本当に、私達が求めているようなものはないんですか?」と。俺達は驚いていた。まさかゴブリンがこんな風に話しているなんて思ってもいなかったからだった。ゴブ美なんか泣いているしな。俺は少し考えたあと。こう提案をしてみたんだ。

「うーん。そうだな。とりあえずさっき俺が食べたこのクッキーをあげるとするよ。これはかなり美味しいからね。そしてこのジュースは飲めるはずだよね?これも飲んでみて!これを飲むことで。君達はこの世界でも普通に過ごせると思うんだけどね。そして、これを食べる事で、人間と同じ食事が出来るようになるはずなんだよね。そしてその菓子も食べればこの世界にもあるかもしれないが。普通の人間よりも早くそのお菓子をこの世界に馴染んでいくことができると思うんだけどね。この二つを試せば良いんじゃない?」と。俺の話を聞いた二人は喜んで受け入れてくれて早速そのお菓子を食べることにしていたのである。そして、俺の分身と一緒にその二つの飲み物を渡してみると二人共驚いていた。その瞬間から。このゴブリンの国にいる者達がゴブリンの子供達を見て笑顔になっていたのだ。そして、ゴブ助達が戻って来る頃には、そのゴブリン達によってこの国はより発展していくのである。そして俺は。俺の家族と、俺の仲間達が、このゴブリンの国で生活をすることを許してくれたのだ。そして俺は、このゴブリンの王となったゴブ朗に、この国の民となる者達を連れて来るようにお願いした。その時ゴブル達ゴブリンに、人間の街の情報を、集めるように命じておいたのであった。俺はゴブルにゴブリン達が生活する上で必要だと思った道具や食料などを持ってくるようにとお願いをしてから俺は自分の屋敷に戻ることにしたのである。ゴブルにゴブ朗がどこに行けば会えるのかを教えてもらう事にしたのである。俺達は一旦、屋敷に戻って、そして、ゴブル達に、自分達はこのまま、ゴブ助達にゴブ郎を紹介してもらい、そしてこの国でしばらく暮らすことにすると告げた。ゴブル達にはこの国の発展の為にも是非とも協力して欲しいことも伝えておいたのである。ゴブル達は、快く引き受けてくれていた。そして、俺達の屋敷を改造し、自分達の家を建ててくれていて。そこにはもう家具や色々なものがあり住める状態にしてあってくれたので、この屋敷はゴブリンの里の者達に任せて、自分達の家でしばらく暮らすことに決めたのである。そしてその日の夜。ゴブ郎は久しぶりに会ったゴブ助とゴブルと一緒に酒を楽しんでいたのだが。そこに、ゴブ吉がやってきたのだ。そしてゴブ彦や、ゴブ江、ゴブ男も一緒に来ていたのだった。俺の嫁達もこの里に来ており、一緒にゴブ郎とゴブ助に挨拶をしていたのであった。ゴブ郎とゴブ助は、この世界では珍しく、ゴブ助によく似た、そしてとても美しい妻を持っていたため。俺達は嫉妬されるのではないかと思っていたのだが、そんなことは全然なかった。

ゴブ助とゴブ太とコボルト達にはゴブ蔵の事をお願いしておくことにしたので、ゴブ郎には、この里のゴブリン達のことを、お願いすることにした。それで、このゴブリンの王の館をどうするかを話し合いをしたんだ。その結果。俺達も住む場所を決めたいと思っていたんだよね。ゴブ郎達もゴブ朗と仲直りが出来て喜んでいた。ゴブルは、自分がこのゴブリンの里にずっと居たいと、言っていたが、それでもこのゴブリン達が住むにはあまりにも危険が伴う為、やはりゴブリン達には安全な場所にいて欲しいのだと説明したのだ。ゴブル達は少しだけ悩んでいたが。すぐに決断をしてくれていたのである。このゴブリン達は、このゴブリンキングのゴブ郎がいるゴブリンの里に残りたいという意思を伝えてくれた。そして、ゴブリンの国の王でありゴブリンキングのゴブ郎のゴブ朗に、ゴブリン達を預けることにしたのである。そしてゴブルと、俺達の家に住むことを許可してもらえることになった。この世界に来て、俺達の家はかなり大きくなっており、部屋数も相当なものだったが、さらに増築したことによって、今住んでいる人数では余るほどの広さになっていたので、ゴブル達を受け入れることが出来るようになったのである。ゴブルが俺に、この国に残ってもいいかを聞いてきたので、それは勿論許可をすることにすると、その前に、そのゴブ朗の所に行くように言ったんだ。

そしてゴブ郎にお願いをして、これからゴブ郎は俺達がここに戻ってくるまでは。このゴブリンの王の館で寝泊りするようにしてもらえると嬉しいと伝えたのである。そうすると、ゴブ朗はゴブ朗で、ゴブルの事が気になってしょうがなかったらしく、嬉しそうに賛成してくれた。

そして、ゴブリンの子供達も、それぞれゴブ蔵達の家に、ゴブ彦達、コボル達と暮らすことになることになったのであった。ゴブ朗がこのゴブリンの王の館に住んでいる間ゴブ美はゴブ美で好きなところに行って好きにすればいいと言っていたのだ。まあ、ゴブ郎のところにでも行きたかったんだろうけどな。まあこのゴブリンの王が許してくれなかったので仕方なく諦めたのであろう。俺の妻達はまだゴブリンの子供を見ていないのである。だから興味津々で見に行きたがっている。特にお義母さんが一番見たがっていたんだ。でもまあ今は夜も遅くなりつつあったので、みんなを寝室へと向かわせたのだ。そういえばまだ紹介していなかったな。ゴブ助が言うには。ゴブ蔵は俺達を出迎えるために待っていたようなのだ。ゴブ郎とゴブ郎も再会を果たし、二人とも涙を流しながら抱きしめ合ってお互いを労っていたのだった。俺にはそれがすごく微笑ましく見えてしまって。俺は涙ぐんでいた。ゴブルはそんな俺を見てもらい泣きしそうになっていたが、必死に耐えていたようだが我慢出来なくなってしまっていたようである。俺はゴブルにもゴブ朗を紹介することにしたんだ。

俺は改めてゴブ朗の所に皆を連れて来て紹介したんだ。最初はゴブルとゴブ郎がぎこちなかったが、ゴブ朗がゴブ朗の事を誉めるとゴブ郎はすぐに意気投合して楽しそうに話をしていたのであった。そしてその後は宴会が始まり大騒ぎになるのだが。それは別の話としておこうと思う。俺が思っていたよりもゴブ吉が酔っぱらってしまったみたいだが、それもまた別で話すとするよ。それから、ゴブリオから預かったという箱の中身についてゴブ郎から説明を聞くことにしたのだった。このゴブリンの国からも食料などを届けているのである。そしてその荷物の中に紛れ込んでいる可能性が高いとのことだった。

この世界は魔物の国なので魔物達が食べる食材は豊富にあったのだ。しかし、この世界の人間達にとってはこの世界には食べ物がないと勘違いをしてしまっている。その為か人間達も少しは魔物達が食べれる食材を食べるようになっているのだ。ゴブリン達も食べてはいるが人間程食べてはいないのである。しかし、ゴブ吉達のように人間の世界で暮らしてきた者達はその食べている人間の料理に慣れているため。ゴブリンの国から持ってきてもらった材料を使って調理をしてもらう事にしたんだ。そして、それを食べている俺達が人間の国の料理に詳しくなっていたのである。

俺はゴブ朗にゴブリン達に俺の家族のことや、仲間のことを全て教えておくことにした。そして、この世界は、元々俺が住んでいた世界とは別な世界で、そして、人間も魔人もエルフも妖精もいることも教えた。その証拠が俺のこの指輪なんだと教えると、ゴブ朗達は驚きを隠せないようで、俺を質問攻めにされたのである。俺自身もわからないことが多いんだけど、俺が元の世界に帰るために旅をしていたということだけは伝えたのだ。

そしてゴブ朗と話をしているうちに俺はゴブ郎とゴブ郎が結婚した理由を知ったのである。それは俺と同じようであった。俺はこの国に来る前から自分の世界では行方不明になっており。両親からはもう死んだものとして扱われているだろうと思っていた。その為、ゴブ郎は自分がこの世界に来てしまったことで、ゴブ郎の両親は心配をしているだろうと、そしてゴブ朗の親にも悪いと思って、この国に残ることを決めてくれたと聞かされて、俺はゴブ郎がこの世界に残ってくれたことに安堵したのであった。俺と同じような状況になった時に、俺もこの国に残ることを決めたかもしれないと思ったからである。そう思えばこのゴブ郎の行動は素晴らしいと思うんだ。それに、俺もこの里で暮らすことを希望したとしても、この国を俺が治めていたわけではないのでこの里には居づらいとも思ったんだよね。

俺はこのゴブリンの里をこれから発展させていく為にこの里をしっかりと統治してくれる人材を探し出さなければ行けないと感じたのである。ゴブル達に相談してみたら、この国にいるコボルト達にお願いするべきだと言ってくれたのだ。そしてゴブ郎には、ゴブ郎の信頼できる部下を選んで、俺の領地に連れて来るようにと頼んでおいたのである。そしてその日は解散することにしたのであった。

そして次の日の朝になり。朝食をとり、出発の準備を始めたのだ。ゴブル達は、ゴブ郎と一緒にいることに決めたみたいなのである。そして俺はゴブ郎にゴブル達のことを紹介したんだ。そのあと俺は、昨日の宴で酒を飲み過ぎたのか二日酔いになっていたのである。俺だけじゃない、他の皆も、ゴブ郎も飲んでいたのだが、俺はゴブ郎も俺と同様にあまり飲まないタイプだと思っていた。ゴブ朗と俺も飲み始めたのであるが。やはりこの体でアルコールを飲むのはダメだったらしい。ゴブ郎はゴブルと二人で話をしながら楽しそうに酒を楽しんでいたが、ゴブ蔵達も、コボルト達も普通に食事をしていたのである。

ゴブル達やゴブ蔵達はコボルト達も普通の人族の食事でいいと聞いたときはビックリしてコボルト達の体を触ってみたのである。そして驚いた。その体はまるで人のようでとても柔らかかったのである。コボルト達は少し恥ずかしがりながらも気持ちよかったらしく顔を赤面させていた。ゴブ蔵もコブル達も皆喜んで受け入れていたのである。それでこの国のゴブリン達には人間のような食生活をしても大丈夫だと、俺が保証したので安心していたのだ。俺がこのゴブリン達に対して責任を持たなければいけないなと感じていたのである。

そして俺はゴブ蔵にこの里で何か困ったことがあった時には俺に報告をするようにと伝えるとその返事を聞いた後に俺は、この場にいない妻達と、そして眷属たちを呼ぶことにして召喚の魔法で呼ぶことにした。ゴブ朗が、この場に俺の家族が来るなら俺と家族が一緒に暮らせる場所を作って欲しいと言うので作ることにしたのだ。俺はゴブ郎のその頼みに、いい場所があるから案内を頼むと言ってゴブ郎にその場所に転移出来るようになるアイテムを渡すことにした。このアイテムはゴブ蔵からもらった物である。

「ゴブ郎にこれを渡しておくから俺達がいつでも帰ってこれるように管理していてくれ」と俺は言ったのだ。そうすると、ゴブ郎は感謝の気持ちを伝えたのである。ゴブ朗は嬉しそうな顔でゴブ郎に俺の作った家を見せてあげるといいどこかに向かっていった。その光景を見て、ゴブルとゴブ美が嬉しそうについて行っていた。俺とゴブ郎がそんなことをしながら話をしているとゴブ朗が、俺に家の建築が終わったと伝えに来たのである。そして俺はゴブ郎と共にそこに移動すると、本当に出来ていてびっくりした。その家を見た瞬間俺はその家に釘付けになってしまったのである。俺がその家に近寄ろうとすると俺の体が勝手に動いてしまって動けなくなったのだった。俺は驚いてゴブ朗を見るが、ゴブ朗も俺の体の異変に気がつき慌て出したのであった。

ゴブ郎は俺の体に近づいてくると俺に触れようとした時、ゴブ朗が、

「ゴブル様はゴブルさんから離れてください。あなたが触れると、おそらくゴブリンがゴブ郎に危害を加える可能性がありますので」

そう言うとゴブルとゴブ美に離れて見ているように指示をしたのだ。すると俺の体が激しく動きだし、そして俺は俺の目の前に現れた少女に抱きつかれてしまったのである。ゴブルがゴブ郎の方を見るとゴブ郎が真剣な表情で、ゴブ郎とゴブ朗がこの少女と話をすることになった。ゴブルは、

「お主が、私の娘を助けてくれたそうだな、娘の命を救ってくれたこと心より礼を言わせてくれ。それとゴブ郎の体に入ってしまっているがお主にこのゴブリンの国に住まわせて欲しいのだがいいか?。私はゴブ郎がゴブリンの国で王になってほしいと思っているのだ。もちろんこの国は私が治めるがな。それでも構わないか?」

そう聞くと俺はゴブ郎と話を始めることにしたのである。俺の意識はこのゴブルの話を聞いてなかったのだから。俺はゴブ郎がこのゴブリンの長になるという話を聞かされても全く納得できなかったのである。すると俺の心の中で、

『ごめんね。パパがこの世界に来る前から、ゴブルちゃんと約束してたんだって』

そう聞こえてきたのだ。俺の心に語りかけてきた声はゴブリンの王女であるゴブリンクイーンの声であった。そして俺とゴブリンクイーンとの会話が始まる。

『俺の妻はみんな元の世界では行方不明になっている。俺が元の世界に帰るためにこの世界を回っていれば必ず俺の大切な人達は見つけ出すと決めているんだ。だからゴブ朗がこの国に住むことは問題はないと思うけど、俺がこのゴブリンの王様になったゴブ郎を見守りたいんだよ。ゴブルも知っているだろ。俺の事をゴブリンの里でも受け入れてくれた。俺の大切な家族の一人でもあるし、俺の息子でもあるんだ。俺はゴブ郎が幸せになれるようにサポートするつもりだよ。俺にとってのもう一人の息子のような存在なんだから』

そう俺が話すと。ゴブルが俺のことを理解してくれたのか。ゴブルは俺を睨むことをせずに笑顔を見せてくれたのである。ゴブ美と、ゴブ郎とゴブ朗は不思議そうにしてこちらを見ていた。その二人にゴブ郎が説明すると、俺と同じように納得して俺がゴブ朗をゴブリンの国の王になるように見守るということを、三人に認めてもらうことができたのであった。

俺はゴブ郎と話をした後は、このゴブリンの里の発展とこの国にいるゴブリン達のために俺の領地へと転移が出来るアイテムを作ったのである。そのアイテムは魔宝石という特殊な石に、俺が転移したいと思ったものをイメージしながら魔法陣を書き込んで、魔力を込めるだけで使える物を作ったのだ。このアイテムを作るときに俺に足りない魔力を、ゴブ朗が協力してくれると提案してきたのだ。俺はその申し出を受けてゴブ郎にこの国にいる間だけでもこの里に住んでもらう事にしたのである。ゴブ郎は自分が住むところを提供してくれるのなら、この国で自分の好きなようにさせて貰うと言ったのである。そして、ゴブル達もこの国に住むことになり、俺は、ゴブ郎の希望通り、俺がこの国を治めるゴブ郎のサポート役となることに決めたのであった。それから数日かけて俺の家の引っ越しを完了させ、俺はこの国を出る準備をする。俺は自分の領地に戻ることを決めた。それは俺の家の隣の土地にゴブルが国を興すことが決まっていたからだ。

俺がゴブ郎達を連れて行くと俺の家族の皆も行くと言ってきかなかったのである。その気持ちはとても嬉しかったが、俺がいない間にゴブ郎達にもしもの事があって俺の家族がいなくなった時にどうするのだと説得して、渋々納得してもらい。皆には俺の領地に残ってもらうことになったのである。

俺と俺の家族の皆と、そして眷属達は、俺の新しく作る屋敷に移動をすることになった。俺の屋敷は俺と俺の家族が住むことになるが、ゴブル達ゴブ助達はこの国で暮らせばいいと考えていた。そして俺は俺の家の横に新しくできたばかりの家に向かうのである。ゴブル達が暮らす新しい家が完成されていたので俺はそこに向かったのである。ゴブ郎と、ゴブ朗もそこに向かい一緒に暮らしてもいいということにしたので俺はその二人の分の食料と衣服を準備したのである。二人はそれを受け取っていた。このゴブリンの国での生活に慣れる為にもゴブ郎とゴブ朗にも、俺と家族達がこの世界にやってくるまで暮らしていた俺の別荘にしばらく一緒に住むことにしたのである。

ゴブル達も俺と俺の眷属達もそこでしばらくの間過ごすことに決めた。俺は家族と別れたくないと思いつつも家族を説得し、そして俺達全員がこのゴブ郎達の新たな家で住み始めることにしたのだ。ゴブ郎とゴブ朗はその日からずっと二人で話し合いをしているようだ。二人で話し合うことで何か変わるかもしれない。ゴブル達は俺に礼を言うために毎日のように俺の元に訪れてくる。

俺達はゴブ郎がゴブリンの王に即位するために俺の補佐役として、ゴブ郎に指導をしてあげることにしていたのだ。ゴブル達は最初は俺のことも警戒していたが今ではすっかり俺に心を開いているのである。俺は皆と相談した結果、まずは王として最低限知っておかなければならないことや常識などを教えてから俺の補佐役にすることを決めたのである。

ゴブ郎はゴブ吉の師匠でゴブ蔵とコボルドとコボルトのリーダーであるコボ次郎の弟子になっていた。ゴブ蔵とコボ二郎は弟子が出来たことをとても喜んでいた。そしてコブ次郎も弟が生まれてとてもうれしそうに微笑んでくれたのだ。そしてこのゴブリンの国が俺の領地に正式になった日は、家族と仲間とそしてこのゴブリンの者達に祝われた。

そして俺はこの国の名付けを行いゴブルの名前をとって「ゴルダ王国」と名付けたのである。この国に俺が作った「転移門」は、各街に設置してある転移門は「転送台」と呼ぶことにして、俺の家に転移するための転移門の扉の部分に、「移動台」と文字を入れたのだ。転移門は俺と家族以外の人は入れないようにして、そして俺の家の隣の土地を「ゴブリンの村」とした。その隣に作った家を「ゴブリンの街」とし、ゴブリンキングの城の近くに、新たに大きな建物を建築し、この国のギルドの建物とする。俺の領地にある全ての街と村に同じ大きさの建物を建築した。そして、それぞれの街の人達は俺が建てた建物の方に住み始め、俺は自分の家から転移の魔法を使って俺の領地に行くようにしたのであった。

この国に来て俺は、自分の能力を確認してみることにした。俺が自分のステータスを確認すると、やはり俺の職業欄に国王が追加されていたのである。それを見て俺は思わず「なんでだよ!!」と叫んでしまった。すると俺の後ろで俺を見ていた妻達が、心配そうな顔で話しかけてきたのである。

「大丈夫なの?やっぱりあなたもここにいるの?」と聞かれたので、俺は苦笑いを浮かべながら、妻達と、子供達、それにゴブ美達を俺の部屋に集めたのである。

そして俺は、今起きている事を説明する。すると俺の妻達はみんな喜んでくれた。

「まあ!!本当にあなたの言うことなら私達信じますよ。私達はいつも、あなたの言うことを聞いてきましたからね。今回だってそうでしょう。私達の大切な息子のためにこの世界に来たんですものね。でも私達には何もできないのかしら?私達にできることが有ればなんでも言いなさい。協力は惜しまないから」

そう言われて、俺は自分の力について話し始める。このゴブリンの国を治めるゴブ郎とゴブ郎を支えるゴブ助達にこの世界の事を説明したのであった。するとゴブ美が突然こんな事を言ってきた。

「ねえ、あなたこの世界に来るとき、あの神様みたいな人と一緒に来たんじゃないの?」

俺は一瞬で動揺したが、すぐに落ち着いて答える。

俺はその時に、あの神様のような人がこの世界を救ってくれと言っていたことを話したのである。

「まぁーまぁ、じゃああなたが元の世界に帰る時、一緒に帰ろうね。そしたらきっと会えるはずだよね。だって、私が元居た世界にはパパがいるんだもんね。そしてそのパパも私達に会う為に元の世界に戻るって言ってたもの。パパの魂を私が見つけた時から私は確信してるの。パパとまた一緒に暮らせるんだなってね。だって、パパと同じ顔をしてるのに全然違うんだもん。私はこの世界でパパに助けて貰ったのに、まだ何もお返しができてないもの。この世界でも沢山家族が増えちゃったけど、それは全部パパのおかげでしょう。このゴブリンの里にいるのもみんな私の家族だし、この子達は、絶対に私が守るわ。だからあなたも、この世界にいる間はゴブ郎とゴブ助達のことはお願いします。そしてもしあなたに何かあって、ゴブ郎達を守ることが出来ない時はその時はゴブ郎達のことは私たちに任せてね。ゴブ郎はこれからこの国を大きくする為にも頑張ってもらうつもりだから。そのために今は力を蓄えてる段階なんだし。その事はもうあなたも分かってると思うんだけど。でも私達が元の世界に帰った後は分からないわ。だからあなたもちゃんとゴブ郎達のことを見守っていてあげてくださいね。もちろん、あなたも無理しない程度にね。それでいいかしら?」とゴブ美が聞いてきた。

俺は「分かったよ。ゴブ美の思うようにしてごらん。ゴブ郎達を守ってくれるのは心強い。そして君たちの事も、この世界に来た時の状況を考えると仕方がなかったとはいえ俺の都合でこの世界に召喚したんだからね。その罪滅ぼしもしないとならないと思ってた。俺がいなくなった後どうするかは、ゴブル達がゴブ郎を支えていくと言ってくれている以上は任せておいていいだろう。ただゴブ郎とゴブ助達が、俺の元から離れたいと思えばそれは止めようがない。そしてゴブ郎は王になったばかりで大変だとは思うが俺がいなくても、ゴブル達やコボルト族が支えてくれると俺は思ってるよ。そして何よりも君たちがいてくれたことがとてもありがたいと思っている。皆にはとても感謝してしているんだよ。ゴブ美、ありがとう。俺は君に救われたよ。俺は元の世界に戻らなければならないのにこの世界の事をほったらかしていけないと思っていたので、君達が俺のかわりにこの世界のことを気にしてくれると言ってくれただけでもすごく助かる。俺はゴブル達がこの国をうまく統治出来るように俺の代わりにサポートしたいと思う。そして俺がいない間、ゴブル達は俺の家族がこの国で生活できるようにする為、俺の領地に行ってもらう。そして俺の家族はこの世界で一緒に暮らしてもらい、そして皆のこともこの世界の人たちに紹介していく。その事でゴブ郎とゴブ助達の負担を減らせられるんじゃないかとも考えてるんだ。俺とゴブ郎達だけならばそんな負担にはならないからね。そしてゴブ郎とゴブ助達にも家族が出来て安心できる。

そして皆でこのゴブリンの国を発展させていってほしいと考えている。

そして俺の分身であるゴブルとゴブ彦にゴブ朗にコボルドとコボルトを眷属にする事でこの国の戦力は飛躍的にあがるはずなんだよ。それに俺と俺の眷属達はいつでも転移の魔法で戻ってこられるわけだしさ。

そうすればすぐにゴブ蔵達と連絡を取り合うことが出来るんだよね。」と言うとその事に、ゴブルが俺に向かって土下座をして、「我が王にそのような配慮をしていただきまして誠に恐縮です。

我等は王の御命令に全力で答え、このゴルドル王国の繁栄の為に頑張ります」と、言うとゴブ吉達も同様に頭を地面に付けて「我らが王にこのゴルルド王国の発展に全身全霊をかけて仕えることを誓います」と言うと他のゴブリンも全員同じことを言ったのである。

俺は「そこまでのことは求めていないんだけどな。俺は家族に危害さえなければ、この国の住民である、ゴブリンが苦しんでいるという情報が入ったら直ぐに向かうし、俺の領地に住んでいる皆が危険な状態になりそうな場合は駆け付ける。それだけは忘れないで欲しいんだよ。俺の大切な家族なんだからさ。

それとゴブリル、ゴブル達とは俺との約束を守ってくれたからな俺からも一つだけお願いがあるんだ。この国に奴隷制度は存在しないことだけは理解して欲しい。

もし、奴隷を扱っている者がいた場合には、その者は死刑に値するほどの重い罪を背負うことになってしまうんだ。その事だけ注意して欲しいんだ。

この国はこれから俺が作る街が発展し、このゴルドル王国がこの世界に存在する中での一番栄える国になると思う。だからその前に必ずこの街に来させてね。

それまでは、このゴブリンの里にいてもいいから」

「わかりました。この里には家族もおりますのでしばらくは、ここで過ごしてから、街に移動するつもりです。この里には家族もいるの

にこんな事を言うなんておかしいと思いますが、我等の王の願いであるこの国が発展することを祈り、王と共に歩んでいきます」と、言ってくれたのだ。俺は少し嬉しく思い、「ありがとう。じゃあよろしくね」と返事をしたのだ。そして俺はゴブル達に「今日はゆっくりと休み明日に備えて体を休めてくれ」と伝え、妻と子供たちを自分の部屋に集め、そして俺は「この世界に来るときに一緒に来ていたのは神なのか?」と聞いたのであった。すると妻たちは首を傾げて「私もわからないわ」と答えてきたのである。俺は「そういえば名前を聞くのを忘れてたなぁ。でも俺の事をパパと呼んでいたから多分子供なんだろうけど。また会ったら話を聞かないとなぁー、俺の子供かもしれないのにな。」と俺が考えていると「ねぇーパパってどんな姿なの?」と聞いてきた妻に「俺より背が高くて、顔も俺に似てるよ」と答えたのである。すると妻は「えっ?じゃあその娘さんも私と同じなの?じゃーあなたももしかして私の顔って好きなの?」

と妻達は俺に迫ってきた。「まあ俺には、君達の顔はどれも美しい女性に見えるから好きだけどね。俺には勿体無いぐらいのね。それに俺には子供達と君達がいるから他に嫁はいらないよ。だから俺には十分過ぎる程の美人の奥様方だよ」そう言って妻達と子供達を抱きしめると子供達が喜んで飛び跳ねていたのだった。俺は子供達が喜びながら遊んでいる姿を見てとても幸せな気持ちになって微笑みながら子供達を眺めて癒されていた。それから暫くの間、俺は家族みんなと一緒に過ごす時間を大事にしてこの世界に来たことで起きたことを整理し、そしてこの世界に来て初めての夜を迎えたのであった。俺はこの日久しぶりにゆっくり休むことができた。そして次の日からこの国では忙しい毎日が始まった。

ゴブ郎は部下に指示を出しながらこの国の運営を始めていたのである。

そしてゴブ郎の部下の一人に、ゴブ太と名付けた男に「まずはこの国の防衛の為、ゴーレムを作ってほしい」と言った。ゴブ郎がこの国の守護者として任命したのはゴブ郎自身ではなく、この国に古くから存在するゴブ郎の父から代々受け継いでいる宝剣をこのゴブリンの王になったゴブ郎に渡していた。

ゴブ郎の持っているこの剣は、元々は魔剣でありゴブ郎が受け継いだ時には既にこの魔剣の力は失われており、本来の能力として、魔力を流し込めば、ゴブリンの戦士であれば、ステータスの筋力の数値が10倍以上も向上するという効果があるのである。その為この国に住む全ての兵士は皆、ゴブ助達と同様に、ステータスの能力を向上させる為にこの国の兵士全員にこの剣を渡すことにしたのである。ゴブ郎がこの剣にどれだけの価値が有るかと言うとゴブリン族にとっては、この剣は王だけが持つことが許された剣なのである。ゴブ郎自身もまだ、ゴブ郎の父も持っていなかったのに、ゴブ郎の父は何故かこの国にある、宝物庫にこの魔剣があった事を知っていたのでそれをゴブ郎に譲り受けた形なのだ。この国の宝刀でもありゴブ郎の命でもある、ゴブ太郎もこの魔剣の恩恵を受けていてこの剣の力を解放しているのである。

ゴブ郎はこの剣を使い、ゴブリン達を指揮しているのだ。

「ゴブ太、俺達の家族を守るのに必要だと思うんだが作れそうかい?」と、聞くと「はい、大丈夫ですが、一体どれ程の数が必要になるのか分かりませんが、どのくらいの量を作ることになりますでしょうか?」

と、言ってきたのでゴブ郎は考えた。

今の戦力でこの国の外にいる魔物は倒せるとは思っているがこの国に侵入される可能性も考えておかなければならないと思い。

そしてこの国の中に入って来る可能性もあると思ったのだ。

そうなった場合、このゴブ太の配下の兵士が弱いというわけでもないが数的に厳しいと判断したのでゴブ助を呼び、その事に付いて相談することに決めたのである。

「俺達がこの世界に来る時に一緒に来ていた仲間達がいただろ。あいつらはどうなっている?」

と、言うと

「彼らはこの世界に来て直ぐに俺達とはぐれてしまったのです。今何処で何をしているのか分からない状態なのです」とゴブ助は答えたのである。

そこで俺は「彼らを探して保護してこの城まで来てもらうようにしてくれないか。この国の王になる為には彼らを俺の家族に会わせないといけないと思うんだ。」

「はい。承知しました」

と言うと直ぐに行動を開始した。ゴブリルにこのゴブリンの国の状況を説明するように指示を出したのである。そしてゴブ郎はゴブ助に「ゴブ助、お前はこの国の指揮をゴブ吉に任してもらってゴブ郎の補佐をしてもらいたい」と伝えると「御意。我が主」と言って部屋を出て行った。

俺は、妻と子供と過ごしている時間が凄く充実しており幸せな日々を送っていたが一つだけ不満が有っていた。それはこの世界での生活が始まって以来、ずっと妻の機嫌が悪いのだ。

その事については理由がはっきりしていて俺は何も出来ない状況になっていた。なぜなら、俺は、この世界に連れて来た子供達に俺の子供を生んでもらうという使命が有りその準備が出来ていないからである。つまり、妻と子供との営みの事を考えて俺の妻達にも我慢をして貰っているのが現状で有る。この事については妻もわかっていてくれていて、「私はあなたの子供を生むのをいつでも待ってるわ」と言ってくれてはいた。しかし俺が妻を抱くと必ず子供がお腹に出来るのである。その事が分かってから俺の妻達の中で俺と触れ合う機会が減ってしまい、俺に対して、俺との愛を確かめる行為があまり行われなくなっていたのである。俺の子供達がお姉ちゃんとお兄ちゃんに俺と妻達がそういう行為をしていないという事は伝えてあって理解してくれたようだが、俺とのスキンシップの回数が減り、子供達は少し寂しそうにしている時が有るのである。俺も俺で申し訳ないという罪悪感と妻と子供の笑顔を見たいという思いで一杯になっているのだ。だから俺がこの世界に来てからは俺から妻と子供たちに触れることが殆ど無い状態になってしまった。

そんな状態でこの世界の一年が経過し、俺がこの世界にやってきて3年目を迎えたのだ。このゴルドル王国は、俺が作った街のおかげで発展を続けている。

この世界には魔物の肉を食べるという文化がない為、このゴルドル王国が人間以外の者を受け入れてくれる街が一つしかないため、この王国に集まる魔物は人間の食べ物を食べたことがある個体がほとんどいないために栄養が不足しているせいなのか、それとも元々の生態が弱いのかわからないが街に入る前の門で必ず死んでしまう魔物もいるぐらい弱い魔物が多いのである。それに比べてこの王国の周辺には強い魔物が多く生息していたのである。俺はこの街の警備を強化させる為に、ゴーレムを作ったりゴブ助達の部下達を強化したりなどしていた。俺自身はこの街を自分の家族を幸せにする家を作り、俺の好きな本を読む事ができる図書館を作る為に、そしてこの世界で生きて行く為に必要な力を身につけるための訓練ができる学校の様な物を作ろうと思っている。

この世界にはダンジョンと呼ばれるものがありこのダンジョンには魔物が大量に生息している。俺はこの世界でも冒険者として生計を立てていくつもりでいる。その為には強くならないといけずその為には訓練を怠ってはいけないと考えている。

この世界の魔法は、基本的に攻撃魔法は初級魔法が使えれば良いとされているのである。そしてこの国では、魔法のスキルを持っている者は多くなく、上級以上の魔法を習得している者が居ても珍しいと言われている。この国は昔から争いもなく平和であった為に、戦いの技術を学んでいるものが殆どいなかったので仕方が無い事だと俺は思っている。

俺は、この国が発展していく上で、この国の守りの為にはどうしても必要になってくる存在が居ることを最近になって気付いたのである。

この国には、ゴーレム兵と呼ばれる物が存在しており、俺が初めて出会ったゴブリンの里でもゴブ助達はこのゴブ兵だったらしい。ゴブ助達にこのゴーレム兵の作り方を聞いてみることにしたのである。ゴブ助が教えてくれたのはこの世界の住人であるゴブリン族の中にゴーリーと呼ばれる魔法使いのジョブを持った人物がおり、その者に依頼する事でゴーレムを作ってもらえるというのである。俺は早速、ゴブリン族の里に行き、ゴブリン族の王、ゴブ朗に相談をしたのである。すると、ゴブ郎が

「実はこの国を守る兵士達にゴブル様のような強力なゴーレム兵は作れないかと思って相談をしたいと思い、こちらに伺いました」とゴブ朗に説明をしたのだった。そしてゴブ朗は考え込むような表情をしてしばらく考えた後に

「確かに、ゴブル様に作っていただいたゴーレム兵はゴブ郎達の命令に従う忠実な部下になりますからな。私共がゴブリン族の中でもゴーレム兵を扱える者は少ないのですが何人かはいるので彼らに協力させてみましょうか。ただ彼らを使うとなると、彼ら一人につき一人に支払う報酬金が高額になってしまうのですがそれでも宜しいでしょうか?」

とゴブ郎に提案されたので

「それで構いません。是非、よろしくお願いします」

と頭を下げた。ゴブ助が言うにはゴブ助も以前、このゴブリン族の里で暮らしていた時期が有ったが、その時も同じように、ゴーレム兵がこの国を守る為に活躍して大きな貢献をしていたので問題ないと思っていた。そして数日後、そのゴブリンの兵士がこの城に到着し、ゴブ郎の元に挨拶をしに来たのであった。ゴブ郎はゴブ朗と相談し、ゴブ郎に支払った額の倍の値段を支払ってゴブリンの兵士は、俺達の仲間のゴーリーとなって俺の護衛兼護衛長となった。その後すぐに、他の兵士にもゴブ郎はゴブリン兵士にするためのお金を渡していた。その事で俺はゴブ太郎から「ゴブ郎はどうしてこんなにも多くの兵士のためにそこまでしてくれるのですか?」

と、尋ねられ、俺は答えに困ったのだ。

何故ならゴブ太郎の言葉を借りると俺はこの世界の創造神なのだそうだ。

その為俺は全ての生き物の王なのだと、そして俺の妻はゴブリンキングなのだと聞いて俺は驚いた。今までは俺は妻達が人の姿になれることも知らなかったのだ。

「あなた。どうなされたの?難しい顔をなさって」

と言う妻の言葉でハッとしたのであった。妻が近くに来ていることが気がつかなかったのである。俺は妻達との営みの回数が少ないことで俺の欲求が溜まり過ぎているのかと思ったのだ。だが妻達の様子を見てみると、いつものように妻達と俺との間に距離を置いている感じがしたので安心してしまったのだ。そんな俺の考えを読み取られたのか、

「貴方の様子がおかしかったので皆が心配してたんですよ。何か隠していらっしゃいますね。話してください。」と妻に問い詰められたのである。

「ごめんよ。お前達がこの世界に来てから、この世界での俺の子供が出来るまでの過程の事について俺は何も知らないから俺の妻達とどうやって俺の子種を分け合えば良いのか分からないんだよ。だから俺は、今この場で妻達に愛を確かめる行為をしても俺の子が出来ないかもしれないって不安になっているんだ」

と言うと妻達は納得してくれたようで、「この世界に来てからは私たちの体はもう完全に出来上がっていたのです。そしてこの姿になったのはこの世界に来た直後だけでしたよね」と言われて、「ああそうだよなぁーってことはどうすれば子供が出来るんだろう?」と考える事を放棄したい気持ちに苛まれながらも考えていると、「私の推測ですが私が人間として生活していた時の様に、毎日夫婦で仲良くしていれば自然に子供が産まれると思うのですけどどうかしら」と、コボルトの奥さんが言ってくれて俺は「あーそれであってるかも!」と言って俺は心の中で「助かったーありがとうございます」と言って奥さんに感謝していたのだ。そんな話をして俺と妻は寝室に向かったのである。そこでも妻の機嫌が良くなったように見えていたので「コタローやマユもそう言ってるしそろそろ子作りしても良いかなぁ」と考えている俺に対して妻は少し複雑な感情を抱いているみたいで機嫌の悪い顔つきになっていたのだ「うっ、まだ機嫌悪いな。やっぱりダメなのか。俺は本当にお前達との幸せな時間が過ごせる事が嬉しいのにお前達の事が大事すぎてなかなか手が出せないなんて悲しいなぁ。」そんなことを考えながら俺の頭を優しく撫でてくれている妻の手に触れているだけでも幸せなのだった。

そんな幸せを感じつつ眠りにつくのだったが、翌日起きた時には妻は機嫌良くなっており、俺に微笑んでくれたのでホッとしていたのだけれど、朝食の席に着く時に、俺の隣に座る妻の笑顔を見た時に何故か妻に対して少し恐怖を感じた。

その理由がわからなかったのだが、食事中、妻に昨日は何を話していたのかと妻に問われたので

「いやその何ていうかね」と言って言葉に詰まっていると妻が続けて、

「あなた、そんな風に焦らないで、大丈夫ですよ、あなたの言いたい事はわかっておりますから、私はあなたの味方なのを忘れないでくださいね。それに私も、本当はこの世界の人間ではなく違う世界の住人なんですからね。お互いの秘密を共有し合う仲になったのだから遠慮はいりませんわ」と微笑んでいた。俺は妻の言葉を聞いた時も意味がよく理解できなかった。この世界に来てからは妻が何を言っているのかよく分からなかったが、今日はもっと理解出来なかったのだ。そしてそんな話をしていると娘達から「お父さんは、お仕事の時間に遅れちゃうからお話はここまでにして、早く食べようよぉー」と言われるまで話が中断されたのだ。

俺は、この世界に来る前もそうだったけど俺の仕事に余裕を持って行動している。なので急ぐ必要が無い時は、時間に追われる事はしないで、ゆっくり過ごす事が多い。この世界で仕事をする為に俺が作った国を歩いて回る。俺の住んでいるこのゴルドル王国は森に囲まれている。そしてこの森の向こう側には人間が住む街があり俺の住むこの国は人間が入れないようになっているのである。この森の名前は、『迷いの森』と呼ばれているらしく、普通の人では迷ってしまい出ることが困難と言われている森なのだが、俺は転移のスキルを持っている為にこの森の中を一瞬で移動できる為に特に不自由する事はない。

そんな迷いの森を抜けて、しばらくするとゴルドル王国の街が見えてくるのである。

この街の名は『ゴルドリア王国の街、ゴルドル』と言いゴルドルは王を意味する。この街ではゴブリンが街の警備をしているが、魔物であるゴブリンは人を襲う危険な魔物と認識されている。

そして俺はゴブリン達の為に俺が造ったゴーレム兵がいる。このゴブリン達は俺が造り出したゴーレム兵だと思っているらしい。俺も実際にゴブリン達と一緒に生活しているとゴブリンがゴーレム兵に見えることがある。その為かゴブリン達は、ゴーレム兵には、あまり関わらないように気を使っている。そしてこのゴブリンの警備兵が、俺がこの世界に最初にやって来た時の最初の場所でもあるゴブリンの里を警護していたのがこのゴブリンだったらしい。その事で俺はゴブリンと話すのは久しぶりだったのでこの里に行くことにしたのである。

このゴルドルという国を作った経緯には深い訳があるのだった。

この世界に来て最初に遭遇したモンスターに殺されかけたのでその対策としてこのゴルドリア王国を作った。最初は小さな国だったんだけど段々と国を大きくしていったら今の状態になったというわけなんだよね。国が大きくなるとどうしても治安が悪くなりがちになってしまって国の周りを塀で囲む事になったという経緯もあり今の国の状態になってるわけだよ。まあ元々この国の王は俺だから別に良いかと思いそのままにしていたらいつの間にか国が大きくなっていただけっていう簡単な理由なんだよなぁー、そんな事を思い出しながら俺は門番をしているゴブ助と話していた。(なぁ、ゴブ助、最近この国が物騒な噂が流れているみたいだけど何か知らないか?)と尋ねると

「いえ自分はここの警備隊長である以上、自分以外の隊員がどうなっているかなど知りません」と言われてしまい俺は「確かにそれもそうだよな。じゃーしょうがないよな」と言うしかなかったのである。それからゴブ太郎に会うためにこのゴルドルド城にある謁見の間でゴブ太郎が来るのを待っているのである。ゴブ太郎が来たので話を聞くことにする。

「実は最近この国に、他国のスパイと思われる者達が頻繁に侵入してきてるのです。この者達はどうもゴブル様がゴーレム兵士を造る技術を習得した事を既に把握してるみたいでして、ゴーレム兵士達の力を借りて我々に攻撃を加えているみたいなんですよ。ゴーレム兵士に攻撃を阻まれてその者らは命からがら逃げて行っています。ただ最近は攻撃してくる回数も増えてきているようで、こちらの兵も被害を受けています。ですからゴブリン族の皆に、もし何かあった場合はゴーレム兵士を使うのではなく自分達の身を守って欲しいのです。ゴブ郎はゴーグルの部隊を指揮して下さい」と言う。ゴーゴブ郎は

「わかった、その件は自分が何とかしよう。ゴブ郎殿はゴブ朗と協力してこのゴルルドの街をしっかり護って頂きたい」と返事をして、ゴブ朗と二人でゴブ郎の部屋に行ってしまったのであった。ゴブ朗からこのゴブルトシア大陸の地図を見せられた。俺が居た世界の地球で言う所、ユーラシア大陸の様な形をしているこの世界は海に面している陸地と海に接していない陸地に分かれている。そして現在俺達が居るのは海の側に存在している。この世界の大陸の名前は、東の方角の大地という意味で名付けられた大陸で、通称イースト大陸と呼ばれているらしい。そして海を挟んで東側に俺達がこれから向かう、ゴブリナ島が有るようだ。そして西側に存在する、南の海を挟んだ先に俺達がこの世界に来た場所である『魔の国』と呼ばれる魔王達が治めている国から更に西側に存在する大陸が『ダークサイド』と言う名前の暗黒神が統べる大陸らしい。

この二ヶ国のどちらに行くにしても船が必要になりそうだな。でも船はどこで手に入るんだろうか?この世界で船を作る方法とか無いのか聞いてみると、「船を造りたくても材料がありません」と言う返答が返ってきた。俺はそこでふと思った事があるので試す為に一度外に出てみることにしたのだ。

ゴルル王国は海に面していて港もあるのだが、俺は転移のスキルが使える為、わざわざこの船で海を渡る必要は無いなと考えていたので俺の持っている倉庫から素材を取り出し、それを元に錬成を行ってみた。まず木材を用意する事にする。木ならば腐るほど存在するのだ、このゴルドル王国の周辺に森が存在しているからな。そして材木を切り出し錬金を使って一つの大きな船を作っていく、そして出来上がった物を眺めて、「なかなかカッコイイ感じの船ができたな」と言ってから船に魔力を流し込んでみる。するとこの船は自動操縦型のゴーレムシップとなったのだ。「これで船が手に入らない心配は無さそうだな、後はこれを量産すれば問題なさそうじゃないか?」そう言ってからまた船を作り出していくと俺の周りに大量の船が出現されて山のように積み上げられていたのである。それを眺めながら「これだけの数が有ればとりあえずはこの大陸を移動出来そうな気がしてきたな」と思って俺は満足げになっていた。

しかしまだ俺は知らなかった。俺の行動はコボルトの王にバレてしまったことを、コボルト達はゴブリン達に攻撃を仕掛けてきたのだ。

コボルトの王ゴブルトは焦っていた。自分の領土内に突如として発生した巨大な船を見てこれは何かあると考えたからである。そこで配下のコボル兵達を呼び集めて緊急会議を開いていた。すると一人の伝令が慌てて報告をしに来る。

「大変でございます!!何者かにより我が国の兵が全滅させられました」

と報告する声が響くとゴブリン達の王の耳に入ってしまうので当然の如くゴブリンの王が怒り出す。

「どういうことだ!!何故この国の兵士がやられているのだ!?お前は何をしていたんだ!!」

と、怒鳴り散らすと

「申し訳ございません、まさかこのような方法で我らが兵を無力化できるとは思っていませんでした。恐らくこの国のゴーレム兵士達を使役している者の策かと思われます」と言うが、

「そんなことはわかっている。今すぐ兵を率いてゴーレム兵のところに向かうぞ」と言い急いで出て行くのだった。コボル兵達もすぐに準備を始め出ていった。ゴーレム兵達は普段からあまり戦闘をしないように命令されているため普段は訓練なども殆ど行っていないのである。だが今回は状況が違うのである。

「よしっ、これぐらいの数があれば充分だろ。あとは俺に任せとけ」とゴブルトに告げるとゴブルトは安心して任せる事にするのだった。ゴブルトはゴブゾウと共にこの場を去って行った。

俺はこの船に乗ってゴーレム国に帰る事にした。ちなみにこのゴーレム船、大きさ的には大体全長30メートル、高さ20メートルの横幅が15メートルほどの大きさとなっている。まあこんなもんでいいかと思っていたらこの船の甲板に俺の目の前に現れた人物が立っていた。そして俺に向かって話しかけて来たのである。

俺にいきなり話かけてきた男は

「私は、コブルといいましてこの国を纏めている国王でありこのゴーレム王国の将軍を務めさせてもらっている者で御座います。突然の来訪をお許し下さい。そして貴殿の事はコチラに来てから少しばかり耳にしていましたのでお目に掛かりたかったのですよ」と言われた。俺は何で俺なんかがこの国の王様に声を掛けられなきゃならないんだよ。と思っていると、

(主、この男には気をつけなければなりません。こいつは只のコボルではないと思います)とコボジロに言われるが、俺は何を言われてるのかさっぱりわからないのである。

するとコブルはゴブリン語で会話をすると言いだしたので、俺はそれに答えるようにゴブリン語を喋る。するとゴブルトもゴブリン語で話す事に同意したようで話しだすと普通の言葉に戻ってしまったのだ ゴブ太は不思議に思いながらゴブルトを見るがゴブ吉も同じく不思議な表情になっているようである どうやらゴブルトはゴーレム国について色々と聞き出そうとして来ているような感じだったのだが正直このゴルドル国より酷い状態の国だとしか言えない状態なので話にならないだろうと俺は考えていたがゴブルトは諦めきれないのかしつこく質問してきてウザくなってきたので適当に追い払って帰ろうかなとも思っていたが、ゴブリア王が俺を気に入ったらしくこの城に置いて欲しいと言われて、俺は困ってしまうのであった。

まあこの国ではコボルト兵は普通の国民として認められているのは知っているのでゴブルトは別に構わないのだろうけど。どうも俺はゴブリン族以外の種族に良いイメージを持っていないからあんまり関わらないで欲しいと思っちゃうんだよなぁ。俺の事を信用してくれたのか城の案内をしてくれるというので俺はゴブ助を連れてゴブオと一緒に城の中に入り色々な部屋を見せてもらいながらゴブ王がいる部屋にやって来た。そこにはゴブ太とゴブ朗の姿があったのだ。俺は二人の元に近づくと二人共元気にしてたかなどと世間話をし始めたのだ。

それから暫くゴブルトと話していると俺に何か話が有ると言う事で俺はその話を聞いてみるとゴブルトの話を聞きゴブ太はゴブ郎に相談を持ちかけたのだがゴブ郎は俺の所に居るゴブ郎の実力を確かめてから考える事にすると言ったので、それで話が終わったと思ったらゴブ郎がゴブゴブ郎を呼び寄せて、ゴブ郎の相手をするように言うとゴブゴブ郎が戦いを始めたのである。

「ゴブ郎君、手加減してあげるのだよ。僕もゴブルゴ様に怒られるからね」

「わかりました、ゴブリン殿、本気でやりますよ」そう言ってからお互いの戦闘が始まった。ゴブルゴ王はゴブゴブリンの戦闘能力の高さに驚くと同時に、自分の部下であるゴブリンが負けた事を気に病んでいたのである。

「ゴブルゴ様、あのゴブゴブリン殿の実力は凄まじいでありますね。我々も負けていられないでございますよ」と言うゴブリンの言葉を聞いたゴブルトはすぐにゴブゴブ郎を呼んで再戦をさせ始めるのであった。

結局俺はこの国に滞在して良いかどうかをゴブ朗に相談したところ許可が出たので、ゴブルト達に俺が滞在しても大丈夫かを聞くとそのくらいなら問題ないという返事が来たため俺達はしばらくゴルドル城に泊まる事にしたのである。その日はこの城にある食堂に全員集まって食事をしてから就寝するのであった。翌日からゴブ郎と俺はこのゴルドル城をゴブルトに紹介された兵士から指導を受ける事になった。最初は基本的な武器の扱い方を教わりその後に魔物と戦った時の基本の動き等を教わった。

俺の場合コボルト達が教えてくれる方が良かったんじゃないかと思うが俺はゴブルト達に魔物の倒し方とかを教えてもらう為に、俺の方からはなるべく戦わず、ゴブリン兵士達との実戦練習を行うようになっていたのである。しかし俺としてはゴブリン達との戦いの中で得た技術を使いたい気持ちもあったのだがそこは我慢をして真面目にゴブリンの兵士と戦い続けていたのである。そうするといつの間にか俺の周りを取り囲むようにしてゴブリン兵士達が集まってきて一斉にかかって来たので仕方なく戦う羽目になってしまった。

俺の周りに居た兵士たちは全て倒した後「ゴブリンの王よ。私の部隊も是非貴殿の戦い方に混ぜてもらえないか」と言われるが流石に無理だと思うんだよな、俺はコタロウとコジローがゴブリン兵達と戦っている所を見ながら、この国の戦力を見てみたのである。その結果、ゴブリンの兵数は100人ほどおり、その中で精鋭と言える者が50人程度いて更にその中にゴブルゴ王の配下は10人位いたのである。ゴブルゴの配下の者はゴブルトの部下でもあるのだ。

つまり今のゴルドル王国にはゴブルトの直属の配下の者と俺達の直属の護衛しかいない状況なのが確認出来たのである。それならばと、まずは護衛の訓練を行ってからその後に俺と模擬戦をやらせてもらえるようにゴブ太と話し合った結果、明日行うことになったのである。そうしているうちに時間は過ぎていき夕方になった頃に俺達は夕食を食べることにした。ちなみに昼食はこのゴルドル城で作った料理を出された為食べていない状態だったのだ。そして俺達が食事を食べていると一人のコボルト兵が走って来るのだった。そして慌ただしい様子だったので俺は急いで駆けつけると、どうやら兵士が一人足りないのだという事を伝えてきた。俺は急いで城内を探し回ったら門番をしている兵士の一人がいなくなっていた為俺は直ぐに探すように指示を出したのであった ゴブリン達はこの世界に来て初めて食べたこの国での食べ物に感動していたのだ。ゴブリン王もこの国の料理に感動して毎日食べるほど好きになっていた。そこでゴブリン王はゴブルゴに頼み込みこの国に永住することを頼むのであった。そこでゴブルトはゴブゾウをこの国の料理人として招き入れることを提案するので、すぐにでも呼ぶ事にした。そして次の日から俺達の特訓が始まり俺は護衛達と戦うことになり、他の皆は兵士達を相手に実戦訓練を行った。俺は、ゴブルトの配下の兵士達とは戦ったがゴブルゴ達とは一度も戦闘は行っていない。

というのも俺の実力を確かめるために戦闘を行う必要があったからだそうだ。ゴブルゴ達は自分達の強さを証明したいと申し出てきてくれたのである。俺達の中では一番弱いであろうゴブルゴに勝負を挑んだのは、ゴブリン王の息子であるゴブルゴだ。ゴブリン王は息子のゴブルゴはゴブルゴ王に剣の才能は有るのだけども体力が無いせいか攻撃を当てる事すら出来ずにやられてしまう。ゴブルゴ王はゴブルトの補佐役を務めているのだがそれでもゴブルトと比べるとかなり強い部類に入るのだが、ゴブルガとゴブブには全く勝てる気がしない状態らしいのである。だからなのかゴブルゴはゴブゾウを呼び、二人で訓練を行いゴブゾウはゴブルゾウよりは強くなったものの、まだ二人相手では勝つ事は出来なかったのだ。

俺が今何やってるかというとゴーレム国で俺に稽古をつけてくれた師匠であるゴブゾウがこのゴルドル王国にも来ていたのだが、ゴブゾウの相手をする為ゴブルゾウの部隊が集められ、ゴブルゾウを囲んで戦っていたのである。俺の場合はこの国のゴーレム兵士達が相手になっている。この国で最強と呼ばれるゴーレム兵士達なのだが俺は余裕で倒す事が出来たので少しだけこの国の兵士の実力に疑問を抱くのであった。そんなこんなで俺はコツコツとゴルドル城の兵士たちと戦っているのであった。ゴブリン王もその様子を見ながら感心しているようだったが、ゴブ太から連絡があり、ゴブ郎の部隊が戻ってきたようだと知らされて急いでゴブルゴの城に向かう。するとゴブル太はゴブリン兵を率いて俺を迎えに来てくれた。

ゴブルトもゴブルゴも俺達が到着した時にはすでに城の前に集合していて俺も合流してゴブリン王を真ん中にして集まったのである。それから暫くすると城からゴブ郎とゴブ蔵、そして二人の兵士を連れて現れたのだ。その二人の兵士もかなりの実力を持っているのは一目見てわかる。だが俺にとってはその二人はどうでもよかったのだ。それよりも俺が一番気になったのはゴブ助とゴブ雄の姿が見えないことだった。

ゴブリアは二人を呼んだはずだけどどこにいったんだ?もしかしてコボル兵と戦闘中なんじゃないだろうな?俺が不安に思いながらゴブルゴと話していると、ゴブ郎の兵士達がゴブリン王の前で土下座をしだす。そしてコボル兵士長の二人が俺に近づき、俺がコボル兵だと気づいて驚いていた。俺もゴブリン兵達もどうしていいのかわからない。

(ゴブ助、どうしよう?)俺はゴブリン語で言うと、(俺に任せてください。とりあえずこのコボルトの人達の相手をしますから主とゴブリン王様とゴブゾウ殿で話をお願い致します)と言うので俺はコブルに話しかける。

(この者どもがどうかしましたかなゴブルゴ王よ)

コボルトのコブル達はゴブ助が話を始めた事に驚いていたが俺は気にせずに会話を始める。

(この者共が何か無礼を働いたかと思いますのでご勘弁を。我が同胞が失礼な事をしてしまった。謝罪を申し上げるぞゴブルゴ殿、この者達は貴方に危害を加える意思はないと、私に伝えに来たのですが、この者らは何か気に食わぬ事を申したのでしょな。

ならばこの者達の罪を問う必要はありませぬ故、この者の首を落とせばよいでしょう。さすればこ奴らも反省する事じゃろうて、そう言えば最近、この辺りにゴブリンが増えたと言っておったしのう)

俺は笑いを浮かべて言うと周りの兵士達からも殺せと言う声が出始めてくると俺も流石に耐えられなくなり俺の方から仕掛けようとした時に、ゴブ助の言葉を聞いて怒り始めたゴブルゴの声にかき消される。

「おいお前達! 俺は別にコボルト兵に対して怒ってなんかないんだ。コボ太やコタロ達が連れてきた者たちが問題を起こしたなんて報告は受けていない。むしろ良くやってくれていると思っている」

それを聞くや否やコビト達は安心した顔になり平伏をするのであった。それを見ていたゴルル達は驚いたような顔をしているが俺達は構わず話を続けたのである。そしてゴブルゴがこの場を収める為にコビト族に説明を始めていく。それを聞くうちにコブル達の顔は青ざめていって最後には俺の所に来ると謝りだしたのである。

「ゴブ太郎よ。この度は我の兵が大変迷惑をかけたことを深く詫びさせてもらう、本当にすまなかった」「ゴブルゴ王が謝罪をしたぞ!」とコブル達が騒ぐがゴブルトが黙らせると、コブルが改めて自己紹介をして、ゴルブル王国のコボル兵士達がゴブリン達を護衛として送ろうと提案してきたが俺は断ったのである。

それは俺には既に仲間がいるしその護衛にはココブ達がついているので大丈夫であると説明すると兵士達は明らかに落胆していたのでゴルドル王国にいる間は俺達で面倒を見ることを伝えた。すると兵士達はとても喜んでいた。

そして俺はこの場でコブル達に護衛の報酬を渡すのである。そうするとゴルドル王国の兵士も俺達と行動を共にすることになってゴブルゴとゴブルトはゴルドル国王と話すため城に一旦戻るのであった。するとゴルドル王の方も用があるようで城に戻る事になったのである。俺はゴブリン王にコボル兵達にコチトやゴウダ達、それに俺の従魔のゴブリンやコボルトを紹介してからゴルドル王の城に行く。ゴルドル王の方はゴブリン達を見てかなり驚くがゴルドル王国で暮らしているコボルト達の事も知っていたみたいだな。そして俺はゴルル王にコボルト達の事を頼んで、ゴブルゴはゴルドル王国に残ることになったのである。

そして俺はゴブルゴに別れを告げてからゴルルと一緒に王都に向かう。そこには馬車が用意されており俺とゴルルルは馬車に乗り込むと直ぐに出発した。そして馬車に乗って移動していたらゴルルルから質問があったのだ。

何故この国は魔物達が暮らす事を許されているのかと聞かれたのだがこの国の成り立ちを説明すると納得してくれて、更に自分の国よりも発展しているこの国に驚きを見せていたのだ。それでゴルル王はどんな人なのか聞くとそれには自分が答えられる範囲で教えてくれるそうだ。俺はそれからゴルルル王と色々な話をして楽しんだのである。そうして一日中馬車に乗っていたのだが、途中途中でコボルの兵士に止めてもらい食料を分けて貰っていたので全く疲れていなかった。そして俺達はついに王都に到着することができたのであった。

(ゴブ太、コゴゾウ。今からコゴゾウがゴルドル王国に着いてきたら困る事になるだろうからゴルコには悪いんだけどこのゴルドル王国に滞在するように言ってくれないか?俺はコゴルと少し話がしたいんだ。ゴブ郎は俺の所にコゴブが来るかもしれないから一緒に付いて行ってくれ。俺はコゴルと二人きりになりたいんだ)俺は念話でゴブゾウに話しかけるとすぐに返事がきて了解しましたと言われた。そして俺達と別れたコガネ達も城に戻りコボルト兵の皆と挨拶を交わしていた。コガネはコゾウの世話役になるから仲良くしろと言っていた。するとゴルルル王はゴブリン達の暮らしをとても気に入りゴブリンのゴブ郎達を城の中に住まわせる事に決めた。すると兵士達やゴルル王までもが羨ましがっていたが、そんな事よりもコボル兵達もコゴエやコゲブとコボル兵でパーティーを組んで訓練をしていたようだな、それもゴブ郎に言われたようだがゴブリン兵の強さを上げるためにも必要なことだと思って許可を出しといた。俺がそんな事を考えているといつの間にかゴブル王が到着していて王の間で話をすることになったのだが俺がコボル兵士長の二人にゴルルトの護衛の任を解くと告げるとその二人はかなり残念そうな表情をしてから俺に深く感謝の言葉を伝えていたのであった。

そして俺達はコボル兵士長とコボ助に見送られながら王城を後にしたのであった。(コジロウ殿。コガゾウ達から聞いた話ではゴルドル王国のゴーレム兵はコボルト兵を敵だと認識していてコガゾウはコガトの事で、このゴーレム兵士達と戦う事になるのではないかと懸念していたが大丈夫なのかの?)ゴブルゴが俺に話しかけてくる。

(心配することはない。コボル達はこの国でも最強のゴーレム兵士だが、ゴルル王はコボルト族も差別しないと言っているしコギトやゴゴドが俺の部下になったことでその考えが変わったはずだからな。それよりも、そろそろ着くんじゃないかと思うけど。あの建物がこの国の王都にある城のようだぞ。ゴブ助。あの建物で合ってるか確認してくれないか)俺はコガトとゴブル王と共に王城に到着していた。その城はゴブルゴ王が言う通り確かに立派な造りになっていたのであった。その門の前には二人の兵士がおり槍を構えていたのであった。

その兵士にゴブ助が近づいていき、俺達がコボルのコブルを連れてきたと言うと、兵士達は慌てながら中に通してくれたのである。そして俺は王の間に入った。(お久しぶりです。ゴルルド王様、この度は我が国民の為に色々とご配慮いただきありがとうございます。おかげで無事にゴルコもここに来ることができました)俺がそういうとゴルルは頭を下げると(コボル殿。いや、ゴブルゴ王よ。我が民のためにここまでご苦労でした。貴方には、これからもこの王都の警護をお任せしようと思っている。貴方にはこの王都の守護者になって頂きたい。それと、あの時この国を守ってくれと言ったのを覚えていますか?)と聞いてくる。ゴブ助はその言葉に嬉しさを隠しきれない様子であった。そして俺が(もちろん覚えております。私は貴方に頼まれてから必死に努力しました。その結果。ゴブリン王になったわけです。ゴブルゴ様は、このゴルルド王とどのような関係があるのですか?)と尋ねると、ゴルル王は、このゴブルゴをこのゴルドル王国に招いた時の事を話し始めていったのであった。

この世界に存在する三つの種族。まず最初に人間と呼ばれる者達だ。

この者どもの見た目は醜いが力は強く魔力量も多く知能も高いのが自慢だった。

この世界の者達は人間以外の者共は自分達より下等生物であり力の差を見せれば簡単に服従させられると考えていたのだ。

そして人間はこの世界の中で最も数が多い為圧倒的な優位を誇っていたのである。しかし他の二つの存在は違う。

一つ目の者。その者はゴブリンと呼ばれて、醜い顔を持つ人型の生き物である。しかしその能力は人間を大きく凌駕している。そのゴブリンの王がゴブルゴ王である。

二つ目の者。その者もこの世界で最も多い数を誇る者。そしてその中でも特に優秀な能力を持つ者の集まり。その集団はエルフと呼ばれている。彼らは高い知力を持つが故に傲慢な態度が目立つ者が多い。また魔法を扱う事が出来るがゆえに自分が強いと考えているのだ。

そしてこの二つの者達はこの大陸の各地に存在する森に住みつくようになった。そう。

ここはこの大陸の中でも、最も魔物が蔓延る危険地帯の森。

そんな場所に一人のゴブリンが現れた。そう。それがゴブルゴ王であった。この世界にはまだこの世界で最強と言われているドラゴンでさえ勝てる者は存在しなかった。そしてこの世界の全ての魔物がゴブルゴ王に挑んできたが誰一人として生きて帰ってくる事は出来なかったのである。そうゴブルゴ王がゴブゴ達とこの世界を支配しようと考え始めたのはこの瞬間からなのだ。

そしてゴブルゴは、この大陸を支配する為に動き始めたのである。そしてゴブリンやコボルは、その容姿の醜さからゴブリンキングのゴルル王以外は殆どの魔物から嫌われて仲間にすることが出来ないでいた。そこで、魔物を配下に加えるにはどうすればいいのか考えていた時に、たまたま見かけた人間の子供が持っていた剣に目をつけたのである。そしてその人間は奴隷の首輪を嵌められているのがわかったのである。ゴブルゴ王はこの子供の首に巻かれている物をどうにか出来ないのかと考え始めて調べていくうちにこのアイテムには魔道具が使われていることがわかったのである。

ゴブルゴ王はこの剣と同じようなアイテムを探してみたが見つからなかったのだ。そしてゴブルゴ王は考えた。この剣を持っている人間と、この剣と似たようなアイテムを手に入れる方法を考えることにしたのである。それから数日後。ついにゴブルゴ王は思いつきを実行に移そうと考えたのである。そう。このゴルル王の城に乗り込んでゴルル王を殺し、そしてこのゴルドル王国の王となるという計画を立てていたのである。そして計画を実行するための行動に出たのである。

(ゴルルル王はどうしてこのゴルル城にやってきたのですか?しかも私に会うためだけではないのでしょう?私の考えが間違っているなら訂正して下さい)と、ゴルル王はゴブルゴがこの城にきた目的を聞いてきたので俺は答えてあげたのだった。(実は、俺は今ゴブル王と二人で話しているんだけど、俺は最近までずっと森の中にいたんだよ。そして久しぶりに人の姿に戻って人の街に行きたかったんだけど街に行くには、どうしても門で検問を受けなきゃいけないだろ。でも俺はそんな事されたくなくてさ、なんとか門を通る事ができないかって考えたんだ。それで考えた結果。王城の中に転移装置があるんじゃないのかなって思ったんだよ。そしてそれを利用するためにゴルルトに王城に行かせて欲しいってお願いしてたんだよね。それに、俺は俺の国を作る為にも色々な知識が必要なんだ。それに、俺の仲間にするにはゴブリンだけじゃ不安なんだ。俺はもっと仲間を集めようと思ってるんだ)俺はそこまで話すと、ゴブルゴは驚いた表情をしていたがその後真剣な表情になりながら俺の話を聞いていたのである。

(ゴブル王。私はゴブコと一緒に行動していたんだが。この城にいる兵士は、全員この王城から外に出られないように命令されているみたいだ。だから外の情報を得るのがとても難しい状況になっていたのだよ。だが、コボル兵士長の話だとコボルト達は、外で自由に暮らしているようなのだが、それはどういうことなのか聞きたくて会いに行ったところ。その、ゴブ助とゴブ太さんはコボル王の命令に従い、王都から外へ出て行きコボル王国へ帰って行ったのでした)ゴルル王の言葉に俺の耳がピクリと反応する。すると、ゴブロウも同じようにピクンっと反応をしていたのだ。その言葉に俺は思わずゴルルの顔を見てしまうのであった。そして俺はゴルルの言葉に疑問を投げかける事にしたのである。

(俺達が聞いた話とは違うな。コボミが言っていた話では、確かゴブオが王になったらすぐにコボルの兵士長は皆殺されてコボル兵が反乱を起こしたって聞いてたんだけどな。あれっ?コボル兵達がいないのってまさか。もしかしてコガゾウ達が来た時はすでにいなかったの?)と俺達が話をする前に既に王城から出ていったと聞かされていたのだが実際にはゴルルはコボル兵達に王城を警護するように言い渡しただけで、この王城から出ないようにとは命じていなかったらしいのである。

そう。ゴブル王とコボ助達は王城を警備するコボル兵がいないことに気がつくのが遅かった。ゴルルはゴボル兵を信頼しすぎたのだろう。王都の外に出る事を許可していたのだ。その結果コボル兵の数が減り始めていた。このコボルトの国はゴルコがいなくなった事で混乱し始めているのだ。そして、このゴルコのコボルト兵は、ゴルコの事をコゴ助と呼び続けていたらしく、コゴ助はコボル王国に帰っていると思っていたみたいなので、俺に助けを求めて来たのだ。

コゴブから事情を聞いたゴブゴがゴルル王にそのことを告げようとした所、突然王城に現れたゴルルド王がゴブゴを連れて王の間に戻ってきたのである。ゴブリンとゴブル王とコボル兵士長のコボルの三人は、ゴブリン王とゴルルド王が王の間で向かい合う形になるのであった。

ゴルルド王は俺達がコガゾウの友達だということを知っているようで、いきなり俺とゴブゴの二人を連れて部屋を出て行くのであった。

(あの。俺もついて行ってもいいのですか?)俺はゴルル王の後ろ姿に向かって声をかけたのだ。(ん?お前は人間なのになぜそのような質問をする?まぁ良いではないか付いて来い)と言って廊下に出ていったのである。そう。この城の作りはとても豪華でまるで貴族の家のように豪華な感じになっているのである。そして俺は少しの間この城の景色を眺めているとその部屋の前には見張りをしている兵士がいるようだ。その兵士達は俺を見て驚きながらも頭を下げてくる。そして中に入るとそこには椅子に座って何か作業をしているゴブルゴがいたのだ。そしてこちらに気がついておらず夢中で作業している。俺はその姿を見て笑みを浮かべるとゴブマルとゴブゾウを呼び出してゴルブル王の元に行かせたのだった。

「お初に御目にかかります王様、私がゴブリンの王をしておりました。そして隣で座っておりますのは、我が娘のゴブルコです」

ゴルル王の前にゴブリンの王ゴブルコと娘を座らせ頭をさげるゴブル王。その姿に俺達は感動を覚えたのだ。するとその二人の横に立っていたゴブチも膝まずき頭を下げるのである。

その光景にゴルル王は目を丸くしながら見ていたのだ。

(えっと、あなた様がゴブル王でしょうか?そしてそっちの美しい女性は誰なのでしょうか?)と、俺はゴブル王の隣にいた女に興味津々になってしまう。

(そうだぞ。私がゴブルだ。そして隣の彼女はゴルドル王国の姫のサキュウである)ゴブルはゴルル王に対して堂々と話すのである。

「あら。あなたがゴブゾウが言っていたゴブルゴ様なのですね。はじめまして、わたくしがゴルドル王国王女ゴルルコと申します。宜しくお願いしますね」と、笑顔で言うのだ。そんなゴルルコを見たゴブオ達ゴブリン四人組は驚いていたのである。なぜならゴルコの見た目が二十歳くらいなのだがゴルルル王の方は三十半ばに見えるからだ。そしてそんな事を考えながら、俺の方を向いていたゴルロコの目線を感じた俺は慌てて挨拶をすることにするのであった。

「はじめまして俺はこの国を作ろうと思っているコブタと言います。それでゴブリンの王さんはゴルルル王とお呼びしてもよろしいですか?」

俺はそう言うとうっかりしていたのだが名前をつけていたのだなと思いつつ、改めて確認の為にゴルル王に聞いてみる。

(あぁ構わないがどうしてだ?俺はゴルブルと呼ばれているのに、君はどうしてゴルルと呼んでくれないのか教えてくれないか?)

そう言って来るのだが。ゴブリン王は人間である俺にどうして名前を呼ばれたのかわからないという顔をしているのである。

そう言えば俺はこの大陸に来るまでに人間と魔物で呼び方が違う事に俺は気づいた。人間は苗字という物があり名前が後になることが多いのだが、魔物の場合は名前の後の文字が後にくるのが殆どなのである。

俺がゴブル王とゴルルド王の名前の呼び方で悩んでいるとゴブリオが説明を始めたのである。

ゴブ太からゴブゴがこの王城にやってきてからの話を聞いて俺は驚いたのである。ゴブルコもそうだったのだがこの二人は、人間に化けたゴブリンの姿と人間の姿で同じ行動をするようになっていたのだ。その話を聞いた時にゴブル王はゴルブルという名前を名乗り。ゴブコはその容姿に似せて人間の時のゴルルという偽名を名乗りゴブコというゴブリンに変装した。その時にこのゴブル王とゴルルコが別人だと言う事を隠したいと思ったのだろう。

それでお互いのことを偽って過ごしていたらしい。

(そうなのですよ。ゴブ蔵達は王様に頼まれてこの王城を守っていたのです。王の命令ですから、それならしょうがないと最初は我慢してましたがやはり納得できないのです)

とゴブ太が言うと、

(でも今は違うのです。ゴルルさんが王になり。コブルコが王妃になっています。それに、ゴルコが言った通りゴルルトがゴルルンに変わっていましたがそんなことはどうでも良いのです。それよりもゴブリン族にも変化が起こっていて今のままでは、ゴブルコとゴルルさんにゴブリンの未来がかかってるのにゴブルコとゴルルが別々に行動してしまえば。いずれゴブリンは滅んでしまうのにどうしてなのか理由を知りたかったのです)ゴブオが泣き崩れてしまい、ゴルブルがそんなゴブオを抱きしめてあげているのである。ゴブルコとゴルルも同じことを言ってきたので俺は正直な事を言う事にした。

「実は俺達もここに来た時はゴルル王もゴルブル王も一緒に行動していたんですよ。だけどあるきっかけがあってゴルコとゴルルが分かれてしまったんだ。その時にゴブゾウ達ゴブミ達も離れてしまったんだ。だから、この国のゴブミとゴルコとゴルルも別行動するようになっているんだと思うよ」と、俺は二人に伝えるとゴブル王とゴルブルはお互いの姿を見て、その顔が険しくなり睨み合っていたのであった。その様子を見ていたゴルブとゴルブルがゴルミを自分の方に引き寄せていた。そしてお互いに言い合いが始まる。

(おい!ゴルブとゴルム、貴様ら一体何をしているのだ?これはどういうことだ?)とゴルルド王がゴルブとゴルムンの胸ぐらを掴む。

(ゴブル王。あんたはゴブルコに何をした?ゴブルゴがなぜゴブゾウと一緒じゃない?ゴルミ達と一緒にいる?そしてなんでゴルミまでがゴルブとゴルムルと手を組んでいる?)とゴルコは怒りの形相になるのであった。

(お前こそ。俺が苦労の末にゴブル王に即位した途端にコブル王と手を組まないってのはどういうことだよ。それにゴルコとゴルブルはゴブルコとは仲がいいが俺とは仲良くしようとしなかっただろ?それが答えじゃないか。まぁそのせいか俺はゴブル王に信頼されず王になれなかったみたいだが、ゴルゴンと俺の友情に変わりはないんだよ)と、俺は二人の間に割って入り。ゴブル王達の言い争いを止めたのである。

(しかし、ゴブルコ。いや、ゴルブ。貴様に聞きたいことがある。貴様らは一体どうやってここにたどり着いたのだ。俺達がコボル王国で反乱を起こした時この国は鎖国状態になっており、国外に出る事はできなくなっているはずだぞ)

するとゴブルはニヤリとした。

(そんな事をわざわざ聞かなくても知っているくせに、そんなの俺達に着いて来ればすぐにわかる。それよりゴブルゴ。俺の嫁に手を出してないよね?)

そうゴブルコが言うとゴブコが少し赤くなる。

(あははは。ゴブルコも面白い冗談をいうな。俺はコボルトの女性には興味がないという事をわかっているはずなのに、それはゴブゾウに失礼だとは思わないのか?)

(ゴブルゴのそういうところが好きだったんだよ。俺はね。俺は、この国のコボルトはみんな優しいけど、どこか頼りがいがなく、俺に付いて来てくれても不安な感じしか持てなくなっていた。そこでゴルブと相談し、ゴブルコがゴブゾウと結婚すると聞いて俺達も結婚しようと思ったのに、まさかゴブゾウに子供が出来てしまうなんて思いもしない事態が起き、俺達はゴルダ王国の王になったわけさ。

ゴルブが王になり俺はコボル王国の王の補佐をすることになったんだが、俺はどうしてもコブゾウに子供が欲しいとゴブルコとゴルブに相談すると。ゴルルの気持ちを考えて俺とゴブ助の子供としてコガロウを、コジロウとココロウとコゴロウを作ればいいと言われたから作ったんだが、コボコが生まれても俺には全く変化がなかったんだ。それでもコガが生まれてから数年経ってようやく俺も子供を作れる体になってきたと思って、試したらコウタロウが生まれたというわけさ)

そう言ってからまた話し始めた。

(そして俺はゴルロコと二人で旅に出ることに決めてからしばらくしてゴブ蔵やゴロ丸達が戻って来て事情を聞きこの城に戻って来たんだ)と、話をしているとゴルルドが口を挟んできたのだ。

(なるほどそうゆうことだったのだな。では今度は私の方が聞かせて貰うぞゴルコとゴブント)

(何ですか?あなたがゴルル王ですかね?私は、ゴルルトですわ)

二人はお互いに見合って、ゴブリンの王同士が睨み合っているのである。そしてその様子に俺達はどうする事もできずにいると、

(ゴルブルはゴブオの妹なんだぞ)

ゴブルが急にそんな事を言い出したのである。そしてそれを聞いたゴルコは、驚きの顔でゴルブルを見たのである。ゴルルド王はそんなゴルルコの様子を見て、ゴルコがゴブル王だと勘違いしていた。ゴブリンの王は代々男しかいないから仕方がないだろうとゴルルは考えていた。しかしゴルルコは、

「えっ!?嘘ですよね?」と言って驚いていた。そしてゴルルの一言にゴブルはゴルコに向かって叫ぶ。

(お前こそ嘘をつくんじゃねぇ。俺はゴブリンの王のコボルじゃなくゴルコと結婚したんだよ。そんな俺の娘がお前に似るとは思えん。だから俺はゴブル王の息子だって言ってるんだ)

(そうですか。それは大変失礼しました。でもどうしてゴルブコとゴルルコが親子なんです?)

(そうですね。確かに言われてみると似てませんね)とゴウゾウとコゴゾウがゴルルに質問をする。

そしてその答えに、ゴルルドは納得してゴルルコに話しかける。

(ゴルコ。お前、どうしてゴルブコが娘だとわかった?俺は最初ゴルコだと思っていたのに。もしかしてコゴゾウと同じで鑑定持ちだったりするか?)

その言葉にゴルルは驚いた。コゴゾウがゴウゾウのことをチラっと見る。そしてゴルルが答えた。

ゴブリンキングであるコボル王は俺達を城に招き入れる前にこう言っていたのである。

俺が王の座に着いた時からこの城の警備は厳重になっていたのだが、それがあるきっかけで簡単にこの城にたどり着けるようになったらしいのだ。それはゴブル王とゴブリン王コバルとの決闘の時に起こったのだ。その戦いの時コボル王はゴブル王に勝ったのである。その後でコボルトの王は俺にこの国のコボル王の所に行くように言ったのであった。その時のコボル王はなぜか俺の事を覚えていてくれていたのに、その事を聞くとコボル王は自分の事を忘れてしまっていたのだ。

(その通りだよ。俺はコボルの剣を持っていただろ。そのおかげでこの城への最短ルートを見つける事ができたんだ。まぁ、その道の途中にゴルゴンとゴルブルが戦っているのが見えたので急いで駆けつけたってのもあるが、コボルト達は、その道の入口を見張っていれば必ずお前が来るだろうと思っていたようだぞ。そしてお前が来た時にはもう全てが終わった後だった。でもコガ達はこの国に居ないからこの国の者は全員で三十名くらいしかいないんだろ?それなら大丈夫かな? それにゴブゾウがゴブミとゴルルを連れて来たのなら。俺にはまだゴルルトが残っているしゴルムにも俺の大事な仲間がついて来てくれたから問題ない。それに俺の仲間も俺達と共に行動する事になる。まぁゴルブルは少し心配だが、あいつならなんとかしてくれると信じてるよ)

コボ王の言葉を聞いてゴルコとゴルブは顔が険しくなっていたのであった。その話を聞いた後コブオはゴブリン王の方に近寄り話を始めた。

(王様よ。一つ聞きたいことがあるんだけど良いかい?)

その声にコブルはコブオを見るとコブル王が答える。

(あー。コボルトのコブオさんでしたよね。俺のことは、ゴブコちゃんやゴブルゴやゴゴコのようにゴブコでお願いしますよ。で、何か聞きたいことでもあるのですか?なんなりと聞いてください)

(いや、あの。コボミやゴルコが俺のことを信じて一緒に付いて来てくれるのかと思って、それが知りたかったんだよ)

(あっ!それでしたら問題ありませんよ。ゴルコとゴルムも俺達と一緒に行きます。ただコゴブが、俺とゴブブに着いてきたくないって言い出すのは少し面倒なんですよ。コゴブがコボル達を説得しなければ、ここのゴブリン達とはお別れになります。そうなったら、俺も困ってしまいますので説得してもらえませんか?)

(コゴブかぁ。わかったよ。俺にできる範囲でやってみるよ)

そう言いながら俺は、コゴブとゴルコのところに戻ろうとしたら、ゴルコとゴルブルの間にコゴブがいたのだった。

(あはは。兄貴ごめんなさいね。でも私はここに残りたいのです。それはゴルコとゴルブルが結婚すると聞いた時からずっと思ってました。しかし私達はコブコの兄と妹なのですから私とゴルコの結婚を認める事は出来ないと父様から止められていたのですが、今回コブオが私達の国に来た時に父様はコブオには私の本当の姿を見せていたみたいですが、私の姿も見ていますよね?あれから数日経ちましたが、コブトも父様と同じく、私達の国に来る事を止めませんでしたよね?だから今更止める事はできなくなってしまったんです)

(そうなのか?)

(はい。それに今回の反乱を鎮めに行ったときに、私やゴブリンの王に忠誠を誓ってくれた兵士達も、私について来たいと、申しておりまして、私が王として認める者がいない状況になっているようなので私としてもここで残るのが一番だと判断いたしました)

(う〜ん)と俺は腕を組んで考えるフリをしたのだ。

(それでは私からも一つ頼み事があるのだが良いかのぉ)そう言って現れたのがマユとコチョウとコガだったのである。俺は三人の娘に話を聞くことにしたのだった。

(マコト。ちょっとコチョウの話を聞いてあげて下さい。この人少しおかしいところがあるんで)と、コチが言って来るので俺は、

(マユ。コチョウと話がしたい。頼むぞ)と頼んでいた。そして、俺がコチョウの方を見て話し始めたのだ。

(コチョウとコチがどうして俺をコボルトの里に連れて行ってくれる事になったのか、それを教えてくれないか)

(私はマコと一緒ならどこへ行こうとも構いませんから)

「マコト殿。コケ助殿。私はゴブリンの国を出てコゴエに里帰りする途中でコブト様に会ってしまったのですよ。そこでゴフゾウ達が反乱を起こした事を知り助けて欲しいと頼まれてしまいましたので、コボゴの剣を使ってコガ達に加勢したのですよ。

そしたらゴゴゾウ達は、ゴウゾウとゴコゾウに、コジロウとコゴ助とコガとコゾウが合流してくれた事で戦力が増えてしまった。そのため私はこれ以上の深入りはできないと判断し、コゴト達を連れて里に帰ったのです)

(そうか。ありがとうな。そしてもう一つ質問なんだけど、どうしてマユウはコチョウのことを知っていたんだ?それに俺と会った時のことを思い出していたみたいな事を言っていたけど、どうゆうことだ?)

(コホゾウと私は、コゴゾウに頼まれた仕事の事をしていてたまたまコチョウとコゾウが歩いているのを見たのよ。そのコチョウを見た時、なぜか懐かしさを覚えた。そして、コゾウが、コホゾウと二人きりになりたいと言ったの。そして、二人で森の中に入って行ったわ。その時に気になったから追いかけて行ったのよ。そして、木陰から様子を伺っていたの。そしたら二人が抱き合ってキスをしていたの。それを見ているうちになんだかもやもやしてね。それで思わず声を出してしまったのよ。その声でコチョウに見つかってしまったのだけど、その時に私を見たコチが、コチョウに言ったのよ。「コチョウは昔、コゴクのことが好きだったものね」とね。

コツゴとコゴエの結婚式の時。二人はお互いに好き合っていたはずなのに。その相手が突然他の人に恋心を抱いて結婚する事を許せない気持ちが溢れ出した私は二人の事を殺してやりたくなってしまって、コチョウと一緒に行動している事に気がつき慌てて逃げ出したんだけど。コツゴにすぐに追いつかれてしまうと思った瞬間に、急にコソが目の前に現れたからびっくりしたわよ。それからは一緒に行動をするようになって、ゴツミやゴウゾウと仲良くなったの)

(そうか。でもなんで俺に会いに来たんだ?それも、俺が魔王って知ってるくせによく俺に会いにこようなんて考えたよな)

(そうねぇ。それはね、コボミが貴方に一目惚れをして、ゴヨウもコゾウも、もちろん、コツゴにも惚れているし、コギもコウチもシイも皆好きなの。そんなみんなの幸せそうな顔を見ていてると私も幸せだなって思うからよ。それに、ゴトウさんに言われていたからね。コゴコがこの国の王になってくれたおかげでこの国のゴブリンは救われたからこの恩は必ず返さなければならない。もし、そのチャンスがあるのなら必ずコボコが王の位に就いていなければならないと言われたのよ。コビの事もコボコに任せればいいって言われたし、それならばコチに頼れば必ず叶えられるから、コキはコヒを、コホはコツゴと結ばれる事ができるんじゃないかって思ったのよ。それにコチにコボルト族の長としての仕事を教えたかったからでもあるのよ。

それと私達を助けてくれたお礼もかねてるんだけど、私達も仲間に入れてくれないかしら?)と言うと、俺はマユの顔を見るとマユも同じ考えだと言ってくれていたのだ。そしてコチョウも一緒に仲間に入れることに決めるとコユも賛成してくれていたのだった。

そして俺は、コボミとコチョウ、そしてコゴウゾウ達と共にマコ達の所へと戻ることにしたのだ。俺はその時コガに、俺の影から出てきている人達を紹介してほしいと頼んだら、まず、ゴブル王に挨拶をしに行った後でコゴオやゴルゴンやゴルル達を紹介することになった。

(俺の名前は、コダマサだ。コブル王に忠誠誓っているから、あんたらに敵対することは絶対にないからよろしくお願いします。

そして、コボルト王、コゴブル王、コボルト兵、そしてコボルト兵士諸君!この度の戦いお疲れ様です。俺の仲間になる以上、お前らはもうコボルト族の一員だ!みんな仲良くやっていこう!)と俺が叫ぶと、ゴオも(僕達コボル族は、今よりゴブゴ王に忠誠誓う事を宣言します!そしてゴウゾウも一緒に戦います!これからも宜しくお願い致します)と言うとゴブリン王ココブはゴブル王に話を始めた。ゴブル王もその言葉を聞いて喜んでいるようで、ココブに俺の事を任せてくれるそうだ。しかしゴブリン王はゴゴブとゴゴグに、ゴブルに俺の力を少しでいいから分け与えるために協力してあげて欲しい。そう言って、二体のスライムに話しかけていた。そしてゴブル王からの提案で、今ゴウゾウに、コボルト達への命令権を譲渡するとゴゴゾウは言い、さらにゴゾウは、ゴルコとゴルムにゴブゾウとゴルメに命令権を渡すといい。そしてゴルロとゴルメにゴブルに命令権を行使できる権利を与えると言い、ゴルゴにコブルを、ゴゴブとゴゴルにはコゴゾウを護衛し守れと命じたのだった。

俺達はコブル王の城に戻ろうとしたのだが、城まであと少しのところで魔物の大群に襲われてしまう。しかし、俺は、俺の力の一部を分け与えたゴブオとゴブブを呼び出した。するとその瞬間に魔物の群れが、全て消滅したのだ。しかしゴブタは俺のところには来ずにマコト達を呼んで来たようだ。

俺がコチ達のところに戻るとマコトはココブ達にゴウゾウ達が俺の従魔になることを伝えた。ゴオもそれを喜んでいたがゴオの配下もマコの配下になった。その後ココブはコゴフに自分の娘のコチョウに、コゾウの子供のコチゾウと結婚させてはどうかと提案したのであった。

その頃ゴゾウはゴウゾウの子供達である、ゴウゾウの娘コゲウ、ゴフゾウの息子ゴナウとゴニウの相手をしていたのである。そしてコチ達を連れて俺達の元へ戻ってきたのである。俺がコガに、俺の力の事を説明してコタロウを、俺の使い魔として、召喚する事にした。

そして俺は、マコトにコゾウは、マユウが面倒を見ることにして、コチョウの子供である、ココウとコジにコユウを預けて、ゴブゾウに、コゴチとコゴを護衛させ、ゴウゾウをコチゾウの護衛としゴオウとゴゴクの所にコゴエを行かせる事を提案したのだった。その話が決まるとすぐに、コガがゴゾウの元へ行き話し合いが始まる。

(私の名前はゴソウゾウ。あなたの名前を教えてくれないかしら?)とゴショウゾウはコジに聞いているのだ

(私はね、コゴトの孫でね、ゴゴトの息子の、ゴソコなんだよ。だから私はあなたの孫でコゴトのひ孫のコゴトなんだよ)と話すので、ゴソトは自分の祖母であるコチョウと同じ名前を持つ少女がいることを伝えるとその女の子のことを詳しく教えて欲しいという事になったので、コチョウの話をしたのだった。

(なるほどね。それじゃあね私のひ孫はね、ゴウゾウなんだよ。それにしてもマコってすごい力を持っているんだね。私なんか一瞬で消されちゃったもんね。あれが魔王なの?でもマコと一緒だと、私は、強くなれるし楽しく生活できそうな感じなんだけどどうなのかな)

(そうなのかい?まぁ確かに私は凄く強いし楽しかったよね)

(それならよかったわ。これから、私はマコの使い魔になり、ずっと一緒にいたいと思うんだけどどう?)

俺が返事をする前にマコトから待ったがかかってしまった。ゴドウとコゾウもゴヨウに、自分がコゾウとゴウゾウとゴルウの世話をする代わりに二人を護衛する事を提案して、ゴトウとコゴカがコゾウ達の母親となり育てることになったのだった。そして、マコとマココが契約し、コゴとゴゾウの契約が行われたのであった。ゴウは、ゴウゴとゴウホを、ゴブゴとゴウホはコチとゴゴエに、そしてコボミはゴチとコボミに。

ゴブホはコチとゴコに。コゴトはコゴエに、コゴクはゴホコとゴチに。ゴブオとコブキはゴブミに。ゴゴは、ゴゴキと契約をし、そしてゴソは、ゴゴギと契約したのだった。

俺はゴブゾウにゴソの事は頼むぞと念を押しておく。ゴソゾウの力はマコウの次くらいには強力なのだ。

俺はゴゾウにゴコウをマコが使うことを提案するとゴチョウもそれで構わないと言っているようだったので、ゴチョウとゴヨウで話し合ってくれるように頼んだ。ゴヨウがコチとゴチに話をしてくれたので二人共納得しているようだ。ゴヨウとマコが契約し、そしてマコトがコチとゴチに、コツとコヒがゴゴナとコボに、そしてコチゾウがコゴチと契約しゴチはコツに。ゴチゾウはコチに。ゴヨウはゴウに、ゴゾウはコツに、ゴソはゴウとコソと契約を結び、そしてコチョウがコツに。ゴウゾウはゴウとコボ、コチとゴボとコチに。コチはゴチとゴコ。ゴオとコホに、ゴオゾウとコボに、ゴブオとコボとコチとコゴの六人で契約したのだった。そしてコサも、コサンとコズモとコチ、そしてコゴチの三人にコサを仲間入りさせた。

ゴコはコチョウと一緒にマヒロの面倒を見てくれるそうだ。

ゴウはコボミの面倒と、マコの護衛に付く事にしたそうだ。

コチョウはコユを弟子にし鍛えてくれるらしい。

マコにゴウが護衛につく事でコウゾウは安心だな。

コウゾウも、これからコチョウの弟子になって頑張ってもらうつもりなのだ。そしてコゾウは、ゴウマとゴブウを、ゴブゴとコゴブを護衛として連れて行く事を決めていたのである。

ゴコゾウはコチョウの弟子としてコウと、コウロ、コウロコの三人の子供を教育することになったのだった。

ゴブゴ達はココウとコジと、コゾウの子供達の面倒を見るのが仕事となる。しかし、ゴゴブ達も一緒に付いていくと言うことで話がまとまった。

コオとコチと、コオと、ゴウゾウが、それぞれコガの部下と部下の配下を配下にした。

俺が、コゴブ達をココブの元に届けると。ゴウとコブとゴゴが配下に加わったので、俺はココブ王にゴウをコゾウの弟で、コゾウの妻コゾウの娘コゾマと婚約させる事にすると伝えた。

コガのところに行きコガと、コゴの二人が並んで挨拶をしている。

その後俺達はすぐに城を出て、王都に戻ることにする。王都に向かう馬車の中で俺はゴブゾウとコゾウにコチョウについて説明をした。二人は、(コウイチロウ殿の従魔になったのですか?)と言うのである。俺がそうだと言うとコゾウは驚いていたがコチョウは、

(私は、コウちゃんの力になるって決めているのよ。私もコウイチロウさんの役に立ちたいと思っているの。私にも戦う方法を教えて下さいね)と言っていたのだ。

そんな話をしていたらいつの間にか城に着いていたのである。

マコトはコゴに、マコの事をいろいろと説明していて、ゴコにはゴブゾウの事を説明し始めたのだった。俺達は、コチと、ゴゾウを連れて謁見の間に向かったのである。

「王様お久しぶりです」と言って俺達は、国王の前で平伏した。

そして、俺は自分の従魔になった者達の紹介をする為皆んなを召喚する事にする。

コゾウ、ゴゾウ親子をまず呼び出したのである。その光景にみんな驚いた顔をしていた。次にゴルウが呼び出されたので、コチがゴルウと契約をした時のように、この場にいた者全てが驚き固まってしまっていた。マユウラとゴブオウを召喚すると今度はコタケが出てきたのである。

(俺はもう死ぬのか?)と呟くと気を失ってしまう。

俺は急いで、回復薬を使って蘇生させると俺に攻撃しようとしたことに怒って、説教をしてやる事にする。コゴはゴルウに、コゾウは自分の子供達である、ゴウ、ゴゴ、コチ、ゴホ、コソ、コボの五人にゴゾウはゴゴゾウとコボとゴウゾウを護衛として連れて行かせることにした。コゴゾウは俺の事を親父さんと呼んでいた。そして俺はゴブオとコブに説明して俺がコチョウと、ココウを嫁にした事を伝えてゴオウは俺の義兄弟だと説明するとゴチョウが、(それはめでたいですね)と言っているのだ。そして俺が魔王になったことを伝えるとそれを聞いたゴコウが大騒ぎをし始めてしまったのだ。その事に対してマコが落ち着いて話をするように促すのだ。そのやり取りを見つめていると俺はなんだが恥ずかしくなり俯いて黙ってしまったのだった。そして落ち着いた頃合いでマオがコチョウに話しかけたのだ。

(あなた達はまだ子供でしょ。あなた達が結婚するにはまだ早過ぎると思うわ。あなた達はこれからもっと大人になり勉強しなければいけないことがあるんじゃないの)

(何を言っているんですか?私が大人なのは当たり前でしょう。何なら私を今からでもコウちゃんに抱かせてあげても構わないわよ)

(あらそう。それなら早速抱いてもらえたらどうなの?あなたが望むのであれば抱かれる事も悪くないのでしょう。コウも、男なので仕方がないと思いますわ。だから、あなたからお願いしたらいいのでは?)と言った。

コチがコゾウの耳を引っ張り、コゾウが悲鳴を上げていたが気にせずコチは続けた。

(コチョウ。あなたがどうしたいと思っていてもコウの意思に任せなさい。それとコチョウがいくらコウを愛していてもまだ子供のコゾウとコゴに無理強いするような事は許さない。そしてコウはあなたの事が好きなわけでもないと思うんだけど、そういう事を強要するのは違うと私は思うけどどうかしら?)と言うとコチョウが反論しようとするがそれをコチョウコウとゴチゾウに止められてしまい悔しそうにしていたが、それ以上何も言わなかったのだ。

ゴドウとゴウホウがマココに近づきお祝いの言葉を伝えた。

(マココ様が、幸せになって下さることを願うばかりでございます。本当にありがとうございました。私は貴方様のおかげでここまでこれました。これからはこの国をより良くして行くことを誓います)

それから俺達のこれからの行き先を話し合うことになるのだがそこでまた一悶着起きそうな気配を感じてしまう。ゴドウが俺に頭を下げてきた。俺が困っているとゴトウも俺に向かって頭を深く下げて言う。

そして俺は、ゴトウが何故この国に来てからずっと俺のことを尊敬の目差しで見ていたのか聞くとゴトウは、自分は昔奴隷商人に捕まっていてその時は、自分と同じ年の子供なのにゴブリンロードの討伐に行って死んだと聞かされていたので憧れの存在で、自分が成長できたらいつか自分も会いに行くつもりで、冒険者をやってきてやっと会えたと思ったら別人になっていたと。そしてその人は俺にとても優しくしてくれて、こんなにすごい力があるのに全く偉ぶったりせずに優しい人だと教えてくれ、そして今日会った時にはその人がゴチョウ達を部下として引き連れていてしかもゴチョウ達を従えるなんてすごい方だと思っていたと話してくれたのである。そしてゴドウがゴブゾウの肩に手を置き、(ゴウゾウ、お前は兄貴に恩返しが出来る機会を得たんだ。そしてマコ殿と結ばれればこれからはこの国に繁栄をもたらす事が出来るんだ。お前の役目を果たすんだぞ。そしてゴヨウ殿も、マコウ様の配下に加われるなんて光栄なことだな)とゴゾウに言っていたのである。

マヒロがゴヨウに抱きついて離れなくなっていたので、コゾウは、俺がこれからどこに行こうとしているのかと聞いたのである。そしてゴトウが答える。

俺達はまずは、王都のゴヨウのところに行きゴゴの村で世話になる。そしてそこから南下していきタケルの街で一旦休むことを提案すると。(なるほど。確かにそのほうがいいかもしれないな。ゴゾウ、しっかりな)と言ってゴドウがコゾウを励ましているのを見ていて俺はゴウゾウもゴヨウの部下になることを提案してみると二人共賛成してくれたのだった。俺はコチに確認をすると大丈夫だと言われ俺達はすぐに出発する準備を始めるとコチョウは不満顔だったが我慢してもらう事にした。マオとコチが宥めてようやく納得したのである。コゾウもゴチョウと共にゴヨウのところで修行をする為に同行することになったのだ。

そしてゴウとコブもコショウとゴンを連れて俺達に付いてくる事にしたのであった。コチョウは不機嫌のままであったがマオの言い分を聞くことになり渋々だが納得して、みんなに謝ったのだった。

(みんな。心配かけたね)と、コチョウの声でみんな驚いていたのだった。

俺はコチョウにみんなに謝罪するように頼むと俺を抱きしめながら、

(皆んな。私が悪かったです。今まで心配かけてすいませんでした。これからは私の事を忘れてください)と言うとマオがコチョウを諭し始めたのである。

(あのね。コウがいなかったらみんなはここにいるはずがなかったでしょう?コウがいたからこそ私たちは出会えて仲間になることが出来た。そしてみんながいるのは、コウのおかげよ。その事をよく考えてみてほしいわ。それに、コツゾウだってコウに助けられていなければ死んでいたかもしれないんだよ。だからその感謝を行動で示すべきじゃないのかしら?)とコチが、コチョウに言った言葉を聞いてゴブゾウとコゾウは感動しているみたいであり、コタケは涙を流していたのである。

コチの話が終わると、俺にコガが俺の事が好きだって言ってくれると嬉しいって伝えてくる。(私にも好きな人が出来ちゃったよ)と言ってきたのである。それを聞いたコチョウは嬉しそうにしていて、コゴもコガを気に入ってしまったようで、コチョウの事を好きになったようだ。ゴウはコオがコゴの事を気に入っていたような気がしていたのだ。そしてマオが俺に話しかけてきてコチの事を教えて欲しいと言うので話をしてあげることにしたのだった。

マコは、俺とコチョウをみてコチョウのことが羨ましいようであった。

(コウイチロウさん。私はコウイチロウさんが好きです。でも私はコチョウさんが嫌いです。なんであんなに綺麗でスタイルがよくてコウイチロウさんとお似合いでそんなの卑怯です。でも、それでも私はコウイチロウさんが好きです。でもコウイチロウさんが嫌なら私を捨てる事にしてもいいですよ)と言ったのだ。すると、マオが俺の腕を取り胸に押し付けて、

(もうあなた達ばかり見てないで、私のこともちゃんと見てもらいたいんだけど)と言ってくる。そして俺はみんなに囲まれるように座っていたのである。コチが俺の膝の上に乗ってくると。

(マスター、私は、私もコウイチロウさんの事好きですから。もちろん一人の女性として。でも今はこうやって甘えさせて下さい。それと、私の気持ちを受け入れてくださり、そして私に名前まで与えていただき、そして愛してもらえたのですから。幸せすぎます。この世界に来てからずっと辛い思いをしてきた私が幸せになってしまって良いのでしょうか)と言ってきてくれるのだった。俺はそのコチノの言葉に心の底から救われたのだ。コチがいてくれたお陰で今の自分があるのだ。コチョウとマオが競うように俺にアピールしてくる。

俺はこの幸せな時間を満喫することにしたのだった。

俺達がゴオウとゴコウとコボシを連れて村に戻るとゴトウとゴウが、俺のところに来るなり俺に抱きつき泣き出してしまいゴドウはそんな二人の背中をさすっているのである。俺はそんな三人を見ながらコジが泣いているので頭を撫でているとマコが近づいて来て、(お父様が、マコト様とコチョウ様の結婚をお祝いする宴会を開くと言っていたのでぜひ参加して欲しいそうです)と言われて、マオウ城に戻るのに、三日ほどかかることをコゴに告げると(それでしたら、私が案内いたします)と言ってくれたのである。そしてゴコウが護衛に付くと言うが、ゴトウに止められていた。

俺達はマコの転移ですぐに城に着く。俺はコチョウとコゴゾウにゴドウにコオとコゴにゴウとゴコを呼んで貰うとコチがゴウに言う。コチはゴトウに言う。

コチョウとコゴはコウに、マコと一緒にコチ達の部屋に泊まっていく事を話していた。そして、コウとゴウとコゴにゴコは大喜びだったのである。ゴチは、ゴゴとゴゴゾウに、ゴブゴブ達を呼び出してもらうために、村に戻った。ゴドウは、ゴトウとコブに、ゴチョウに挨拶をしてもらいたかったのである。コウイチロウは、ゴチにゴウとコブを呼びに行かせてその間にマコにコチョウ達の部屋の支度をさせるように指示を出した。それからしばらく時間が過ぎてから、ゴドウが戻ってきたのだ。

コゾウが戻ってくる。

(マコウ様、私は今幸せ者だと感じています。これからマコ様とマコウ様とココウ様の為に私は命を賭けてお守りする事を誓います)と言いながら俺に近寄ってきていきなりキスをされてしまったのである。コチとコゴは固まってしまっている。俺は、とりあえずゴチョウコウのことは気にせずに、ゴゴとゴブゴゴには村の守りを任せると言っておく。俺はこれからどうしようか考えているとココウが(今日はゆっくり休みましょう。コウイチロウさんも疲れているだろうし、まだコチョウコウさんの事は慣れないだろうからね)と言ってくれる。そこで、コチもコチョウの事が苦手な事を話すとコチが少し不機嫌になる。コチの話では、俺の事を愛していてもコチョウの事も愛してしまうのは仕方がないのだそうだ。

俺は、その言葉を聞いて嬉しく思う。なぜならその言葉が本当なら、俺を本当に好きという事になるからである。そして俺とマコとマココが寝ることになる。

そして夜中になり俺達はコツゴが用意した部屋でコチョウコウは、ゴコとゴココウと共に同じベットで寝ることになったのであった。

俺は、マコにコツコが一緒に寝たいとお願いされ断ることが出来ず仕方なく俺とコツゴとゴコでベッドで眠る事にしたのだった。ココウもコトウとゴトウと同じでとても可愛いらしい顔をしており、スタイルも良いのになぜか子供っぽい感じがするのでコチとコゴは羨ましそうな目をしながら見ていた。コツゴとゴコはマコが、大好きらしくて二人でいつもイチャイチャしていたのだそうだ。

朝起きるとゴウはゴコを抱っこしてマココの事を睨んでいる。そしてマコウがマコに何か言い始めると二人は取っ組み合いの喧嘩を始めるので、俺はコトウとゴコの面倒を見てくれとマコに頼む。

コチとコツゴとゴコがゴコウを連れてきて、コチョウとゴチョウコウとコチョウとコチョウがやってくると、コトウはマコの所に行こうとするが、コトウをコチとコツゴとゴコが引き止めていた。マコもコチョウもゴコもコゴコウに甘えるように寄り添い、コツゴもゴウコウも笑顔である。ゴウとコブとゴヨウがやってくるが、ゴヨウの顔はひきつっていた。ゴウとコブも苦笑いをしている。コチョウは俺と目が合うなり、俺の元に歩いてくるが、その顔はとても悲しそうで泣きそうになっていたのだ。

そして俺とコチョウはコツコに連れられてココウに会わせてもらえるのである。

(コウちゃん会いたかった。私はね、ずっと一人で、寂しかったんだよ。私はねコウちゃんに会うまで誰も私に優しくしてくれる人なんていなかったんだよ。みんな私の事を見てくれない。コウちゃんはね私の事をこんなにも大切にしてくれているんだよ。それにコウちゃんは私にコウちゃんの家族を作ってくれるんだって。嬉しいよね?それにコウちゃんが私を大事に思ってくれた証しのコチョウコウもいるんだよ。嬉しいよね?コウちゃん)と言うのである。俺は何も言えずにいた。そして俺は、この世界で一人になったコチョウのことを心配して家族を作ることを約束した事を思い出す。俺はなんてことをしてしまったのかと心の底から思ったのである。

(私はコウ君さえいて、側にいてくれたら、それで良かった。なのにコウ君は、この世界に来て私から離れていってしまった。私はその時凄く辛かったの。そしてこの世界でもやっぱり一人になってしまった。そんな時コウ君が現れて私を抱きしめてくれたのよ。あの時のコウ君の温もり私は今でも忘れられないよ。私はねコウちゃんを誰にも渡したくない。だから私のものにしたい。そしてこの世界に来たからには私の子供を産んで欲しいと思っているのよ。私はもう自分の欲望を抑えることは出来ないよ。でも、コウちゃんに嫌われたくはないから、私はコウ君の前では今までのように振る舞うけどね。でも私の本当の姿を見てコウ君が私に飽きてしまったりしても嫌なんだ。私はまだ、コウちゃんを諦めることはできないよ。でもねコウちゃんがもし私に冷めてしまうようなことがあるのならその時は、私の前から姿を消して欲しい。私がコウくんを縛り付けてしまえばコウくんは幸せに暮らすことできないからね。コウ君は幸せに生きてほしい。私はもうコウくんなしでは生きていけない体なの。ごめんなさいコウちゃん。でも好きなの)

俺は何も答えられなかった。俺は自分がどれだけ残酷な事をコチョウに対してしてきたのかと思うのと同時に。コチョウの心の深さと重さを知ったのである。

そして俺はココウをギュッと抱きしめると、俺は言う。「俺はな。俺のせいで、孤独になってしまって。お前を傷つけてしまったのを悔やんでいた。俺は、俺はな。もうお前に辛い思いはさせないし、幸せに暮らせるようにするからな」

俺はそれだけ言ってまたコチョウを放すと、ゴチョウコウの方を見る。俺は言う。「俺はコチョウと約束をした。そして、俺はこの世界に来る前に、コチョウが幸せになるように、家族を作ると言っていた。俺に何ができるかわからないが。コチョウの幸せを願っているんだ。俺はこの世界を救いたいと願っている。それは俺のためじゃなくて、コチョウコウのような悲しい目に合っている人達がいるのを見捨てる事ができないからだ。

だから俺は、この世界の人たちを幸せにして、コチョウコウに、幸せをプレゼントしようと思っていた。俺はそのために努力をすると決めている。俺は今ここにいるのは全て俺の力じゃない。全て、マコのお陰だし、みんなのお陰だ。マコトが助けて、そしてマオウが力を与えてくれた。マココだって、コチョウが来てくれなければ俺に力をくれたかも怪しい。コチョウが来てから全てが上手く行っている。コチとコチョウのおかげで、マココが、マコを助けてくれるようになった。コチは、このゴンブドル王国でコチとマココがいれば何も恐れるものはないと言っていたが、俺は本当にそうなんじゃないかと思ってしまうくらいに、マコには力があるのだと思えている。マホだってそうだ。マコとマホウの力は圧倒的すぎると思える。俺はマホにコチョウコウを任せると言ったが。本当はもっと早く任せるべきだったのかもしれない。それなのに俺の都合でマホイジャを手離さなかった。俺はマホイジャの気持ちを無視してマホウの力で無理矢理、婚約させたようなものだ。マオの事を気に入ってくれれば、俺はそれでもいいかと考えていたのも事実だ。マオもきっとわかってくれていただろうがな。マホは俺にとって、なくてはならない大切な仲間になっている。コチのことは俺が一番良く理解している。だからコチとコツギに、これからマココを守ってくれるように頼んである。コチョウコウのことについてはコチョウが俺に幸せをプレゼントしてくれるというなら俺はそれに答えるつもりだ。俺は、今ここで俺を支えてくれているマココとコチを裏切ることはしないし、絶対にするべきじゃないと考えている。そしてコチにコチョウの事を任せた。コチも納得していたようだし、俺とコチョウの関係も、ある程度受け入れてくれていたみたいだ。俺がマチョウとコチョウコウを好きになるのも時間の問題だったのだと言って、俺を安心させようとしてくれた。

だから、俺はコチョウの事をマココと同じように愛し大切にしていこうと思う。そしてコチもコツゴもコガもゴブもココウもゴウもコトウもコゴもコチョウコウもマチョウコウもみんなが、俺と、マココとマココの子供が笑顔で過ごせる世界にするのが今の俺の夢なのだ」

俺はそう宣言したのである。

俺はみんなの前で、俺はマコを愛しているとみんなに伝える。俺の話をみんなは黙って聞いてくれた。そして、コチョウが話し始める。

(コウちゃん、私はコウちゃんの優しさに甘えてばかりいたの。そしてコウちゃんの側にずっといてもいいの?私のコウちゃんへの思いは止まらないよ。

それにね、コチョウコウはコウイチロウさんと一緒にいられるだけで幸せなの。コウイチロウさんは私を受け入れてくれたし、マチョウコウが私のために頑張ってくれたから、コウイチロウさんと出会えたのだと思うの。だから私はコウイチロウさんの側で一生を過ごしてコウイチロウさんの赤ちゃんを産むことが私の願いであり望み。私はコウイチロウさんの事が大好きなの。大好きで大好きで大好きすぎて苦しいの。私は、コウちゃんとならどんな事でも耐えられる自信あるよ。私はコウちゃんの全てを受け止めたい。そして、私もコウちゃんを受け入れる。だからね、コウちゃんは、私とだけ結婚して他の女とは付き合っちゃ駄目なんだからね。わかった?コウちゃん)とコチョウは真剣な顔で言う。

コツコウとゴウコは涙を流して喜んでいるし、コトウはコチョウの言葉を聞いてとても嬉しそうにしており。

コトウはコチョウを優しく抱擁しながら言う。「コツコウは嬉しいですぞ。私は、コチョウコウをコチョウ様の娘と思い、娘のように接してまいりました。しかしまさかその様なことがあったのですね。そしてコウチョウ様にも辛い思いをさせてきてしまい申し訳なく思うばかりです。でも私はコチョウコウもコチョウ様も同じくらいにコウチョウ様の事もコチョウコウのことも好きでございます。コウチョウ様はいつもコチョウコウの味方でしたから。私もコツコウの事は我が子同様に思っていたのです。

だからコウチョウ様にはコチョウ様が居て下さり感謝しかないですよ。コウチョウ様。コウチャン様とお呼びしたいのですか?」と言うのである。

(私ね最初は凄く怖かったんだ。私はねゴジモン様しか知らないんだ。私を育ててくれた人はみんな、私の事を物のように扱い酷い事をされていたの。そんな生活を続けていたら。私は人間不信になってしまったんだよね。それからは誰も信じられなくなったの。でもね、そんな時に私に優しい声をかけてくれた人がいたの。それがコウイチロウ様だったのよ。その時ね、凄く温かい人がいるんだなって思ったの。コウジロウは私には冷たいから余計に惹かれたのかな?)

俺は心が痛くなる。俺は自分のことを冷酷非道な男だと考えてはいたが。そこまで酷くは無いはずだと思った。

俺は少しだけ冷静になり考える。俺は、確かに、俺の周りに優しく接するような女性はいないからなと改めて実感させられる。俺は自分の性格が冷たいということは認めざるを得なかった。俺はコチョウに謝ろうとするのだが、先にコチョウに言われてしまうのである。

(私がこんなふうになったのは全部コウちゃんのせいだからね。責任とってももらうからね。でも今はコツコウやゴウコ、コウイチロウが私のこと大事にしてくれているの。だから私は幸せだよ。ありがとうコウちゃん)

そう言ってコチョウは、また、俺をぎゅっと抱きしめてくるのだった。

俺は今、マコトから加護について説明を受けている。コチョウコウから聞いていたが、やはりコチョウが知っているのとは違う部分が多いのだろう。マコトがいうにはコチョウコウは嘘をつく必要が無いため本当だと思えるような話しをしていたと思うけどそれは嘘だという。

マチョウが持っていたという、能力についても違うそうだ。マチョウの加護は【剣】でコチョウコウは確か剣が使えなかったと、俺はコチョウコウから聞いていた。マココはどうやらその事に気付いていたらしく。

コチョウコウはマチョウコウの能力を自分に与えていたのではないかということだ。

俺はその言葉を聞いてコチョウコウはどうしてそんな事をできるのだろうと疑問を抱くが、コチョウコウの話によると、コチョウコウは自分の意思と関係ないところで勝手に身体が動いてしまう事があるらしい。

それを考えるとそういうこともできるのではないか? と考えたのである。しかし俺はそれを否定することはできない。俺も無意識でコチョウを操っているかもしれないのだ。俺の意思とは無関係なところでコチョウに命令していた可能性もあるのだと理解できたのである。俺もコチョウコウもマココの力により、お互いに惹かれあうようにできている可能性があるのである。それならばコチョウコウの加護も偽ることができそうなのだ。

そしてコチョウは俺との繋がりが強くなっていると教えてくれていたのだから。

そして俺はマコトに尋ねるのである。「それで俺のステータスの『神の愛』とは何だ?それにこの称号にある『マオウの妻』と、マオウって何だ?」と俺が聞くと、

「それは僕にもわからないんだ。僕はマココからこのスキルの説明を受けたときから、このスキルが何を示しているのか全くわからないんだよ。ただこのスキルのことはマココに知られないようにと言われているんだ。この世界の創造神である、アマノンの力がこの世界に満ちていることと関係しているみたいだから、マココが言うには秘密にして欲しいとお願いされたんだよ。だからマココには言わない方がいいと思う」と言われた。

俺も、このスキルに関してはあまり人に話すべきではないと思う。だから俺は誰にもこのことについて話さないことにしようと決めるのだった。俺はコチョウのことが気になったので、マコに尋ねてみると。マコも詳しくは知らなかったが、マホもコオもマチョウもコゴも、この世界の創造神であるアマノンによって、加護を与えられたとのことだった。

俺の場合は、マホとコチョウコウの加護をマココが与えているのだから、正確には、この世界の創造神であるアマノンにではなく、別の存在に授けられていることになるのだろうか。マココの言う通り俺には全くわからなかった。

俺はマココを信頼している。だからこそコツとゴブとコウが仲間になることを許したし、俺自身もコチョウのことでコガさん達に協力を申し出た。そしてマチョウに、マココの手伝いをするように伝えてくれと頼んだのである。そして俺はコチョウのことも愛しているが、コチョウは俺のことを一番愛してくれるとまで言ってくれたのだ。

だから、コチョウと、コチョウが生んでくれた子供を大切に育てていくつもりでいる。俺達は、コチョウと俺とでマチョウを王都に連れて帰るために出発した。そして俺達がコツコウを先頭にして森に入るとそこにはマコの姿があったのであった。

俺は、マココとコチョウと俺の三人で、マチョウとコチョウの子供を一緒にマココが保護している、コチョウが暮らしていた村に連れていくことにしたのだった。俺がマココに言うと。

「わかったわ。でもマチョウの足取りがわかるかも知れないし、村までは同行することにするね」と言ってくれるのだった。俺はマコと合流して、コツコウとゴウコが護衛としてつく形で移動することになった。

そして、マチョウとゴウコがコチョウとコチが使っていた馬車を使って、馬に乗るゴトウコウと、その隣にゴウコウが乗る馬車に同乗してもらった。その道中、俺はコチョウコウから色々と話を聞いた。そして、その話を聞きながら俺も改めて思ったのだが、本当に俺なんかにはもったいないほどの素晴らしい女性が俺を選んでくれて側にいてくれることが嬉しいと感じずにはいられなかったのである。そして、俺の側に来た女性は俺にとってはみんな最高の女性であり可愛い娘のような存在であると思っているのだが、それは間違っていることではないとも感じたのであった。

(マイチロウ君。私は君のことが大好きなんだ)とマココは心の中で思うと微笑む。

(だからね私達の子供が無事に生まれたとしてもその子を大事に守っていくつもりだよ)とマチョウが言ったが俺は心配だったから聞いてみることにする。「そういえばさっき、子供達が生まれてすぐに、また襲われたと言っていたけど何かあったのかい?」と聞くと。

(そうそう。そうなんですよ。私達が住んでいるところにはゴブリンキングが率いるゴブリンの大群に襲われて、私は命の危険を感じてしまったんです。そこで私はゴヨウにゴトウと一緒にコツゴウを連れて逃げろと言いましたがゴトウはゴチョウコウに助けを求めにコツコウを逃がしてゴトウがゴツゴウと二人で逃げることを選択したのです。でもその時私はゴトウがゴウとコジがゴチョウコウの味方になってコチョウを助けようとしていることに気付いたのですよ。だから私は、私とゴウとコチョウはゴツゴウの味方をするとゴトウとコジに伝えたのです。

そしたらコチョウコウが泣き出してしまいましてね。それで私もゴチョウコウが泣いたことが悲しくてゴチョウコウを抱いてあやしながらゴトウの後を追いかけることにしたのです。

そして、私はコチョウコウを抱きかかえて走り始めたのですが。私にはゴウコウが、コゴゾウが、ゴジモがいるという強い気持ちがあったからか、なんとかゴジョウの町に入ることができ、コジョウの街に逃げ込むことができたのです)と言ったので。俺は、コチョウコウが無事に生きていると知って嬉しかったのだった。

それからしばらく、俺達は森の中を走るとようやく村の入口に到着した。だがその村は破壊されていてとても人の住める状況ではなかった。

その様子を見ていると俺の隣にいたマココから突然話しかけられた。「マコト、あなたもコチョウのことが好きになっていたのよね。でもね、マココはマコトのことも大好きなのよ。それにあなたの加護も知っているのよ。その加護の使い方を教えてあげましょう。

いい?まずは目を閉じて心を無にしなさい。次にイメージするのよ。自分の持っている武器を想像して、そこからさらに発展させていき、最強の攻撃を生み出すことを考えるのよ。そしてその攻撃を実際に自分の体から放ってみるの。

そして今度は自分の身体から出ているオーラを感じるようにするのよ。

するとね。だんだん身体の力が抜けてきて。まるで重力が無くなったような感覚が全身を包み込み、身体から光が出ているようなそんな気分になるはずなの。

それを、もっと大きく強くしていき、最後は思い切り力を爆発させて放出すること。

それを繰り返して、マココに届くぐらいにまで力を高めることを、ひたすらに練習すればきっとできるから頑張って欲しいわね。それができればコチョウは絶対に喜ぶと思うわ。それとこれは私の予想だけどね、マコトの本当の加護は、コチョウの加護とは逆なのじゃないかと思うのよ。

だから私の予想だと、マコトはマコトの望むものを現実に引き寄せる事ができるようになるはずだと思うの。つまりマコトの加護の力を発動するには自分が欲しいものをイメージして集中する必要があるってことになるの。それができるようになって初めて加護の力を使う事が出来ると思うのよ。

あと、この力は、発動条件が厳しい代わりに強力だから気を付けるようにしないとだめだと思うの。だから、コチョウコウの加護の力は常時使うことができる加護だと、そう考えた方がわかりやすいと思う。マコトの加護はそう考えると、その人のイメージ力と意思の力で決まるものだと思っていて、その発動にはかなりの意思が必要になるんじゃないかと思うのよね。

だってマコトの願いを、全て叶えようとするのならそれだけの強い意思が必要でしょ?でもねマコト。マコの加護はマココを想うマコ自身の意思の強さがそのまま威力になるとマコのお母さんのマコヨの想いも加護になっている気がするわ。だからマココがどれだけ望んでいるのかも重要になると思うわ)と言われてしまったので俺は驚いた。

俺にはそんなことはできっこないと。俺の心の底から願えばマココに届くことができるなんて考えもしていなかった。そして俺にはコチョウとマチョウが生き返ってくれればそれ以上何も言うことはないと思っていた。だから俺には、そこまでの覚悟があるのかと言われると疑問符がつくのであった。俺はマココの言葉が本当かどうかも確かめるすべがないからな。

俺がマココに言うとマココが俺の手を握ってきてくれた。俺とマココの手が繋がるとその手を通して温かいものが俺に伝わってきた。そして俺にはわかる。マココが本気で言っているのだということが。だから、マコに俺は心からマココを想って、マココに俺の声が聞こえるように集中する。すると次第に心の中の雑念が無くなっていき、目の前にいる女性にだけ集中できるようになった。

俺がその状態に入ると俺に力が満ち溢れていくことがわかった。だから、俺に何が出来るかわからないがマココのために全力を尽くしたいとそう心から思えるのである。そして俺の中に、マココに対して今まで以上に愛しいと思えてしまう気持ちが生まれたのだった。俺はマココが愛おしく感じるのと同時に愛し合う男女がお互いの加護を高めあうことが出来ると言うことに気付かされる。

そしてマココは、今俺にどんな事をしてほしいのか。それを俺は意識することで更にマコトに力が流れ込んでいくことがわかるのである。俺はこの力を上手く使えるようになるにはどうしたら良いかを考えてみたら答えが見えてきたのだった。俺の中で何かが出来上がっていくのを俺は感じていたのだ。

俺はマコのことを、愛しの人であるコチョウのことを、コチョウとマコの子供と、マコマとゴウゾウとコゴウとコツとコウとゴウゾウとコゴエのことを思い出してマコに力を注ぎ続けた。その行為にどれ程の効果があるのか俺にもわからなかったが俺はとにかく出来る限りの想いを込め続けて、そしてマココに力を送り続ける。すると俺の中にあったマココとの絆がより強固になったのを感じ取れたのだ。

そのことで俺はマココに問いかけてみることにする。「俺は、マコとマココとマコの子供とマココの子供が生きるためだったら命を賭けて戦えると思っているし。もしそうなっても構わないとすら思ってしまっているんだよ。だからね。これからマコがマコの子に命を賭けられると思った時でもいいから。

もしもその時がきたのならば。マコとマコの子とマココの子供をどうか、命を懸けて守り通して欲しい。俺もできる事があれば必ず駆けつけて手助けをするからさ」俺の言葉を聞いた瞬間に、何か俺の知らない何かをマココから受け取ったかのような感覚がした。そして、俺がマココを想っている感情も何か別の存在に変わったのを感じた。

そしてその変化によって俺は自分の中に生まれた不思議な力の流れが感じられるようになったのである。その力をコントロールするために、マコをイメージすると心の中にあるマコに力が満たされていき、その力を使って、俺がイメージしたことを実現できる力を手に入れたのである。だから、その力で俺はマココを抱きしめたいと思いながら、自分の両手を広げてマココを包もうとした。だがその途端に、俺の腕の中からマココは消えてしまっていた。

俺の心に不安が襲ってくる。俺の愛する人は、マコは無事なのか。

そう思うだけで俺は心配になってしまう。そして次の瞬間。マココの無事がわかってしまったのだ。なぜなら、突然俺の身体が浮き上がると、何か柔らかいものに抱き留められたからだ。俺に何が起きたか理解できた。マコの匂いを嗅ぐことが出来て俺は嬉しかった。そして安心することができた。だからマコは大丈夫なのだ。

マコは無事に俺の元に来てくれたんだって、そしてマココとゴウゾウはマコの背中で笑っていた。それは、まるでコチョウの加護を受け継いで、その加護が発現しているかのようにも見えた。その様子から、俺はこの加護が、マココの加護が、俺達の愛の結晶から受け継がれた加護なんだと確信したのだった。その証拠に、コツゴウやゴトウも加護を持っているからこそ、こうして今も生きてくれているのだと感じたのである。

(俺はね。俺が望めばなんでもできる加護を持っていると思うんだけど、俺の願いはコツコウとゴトウが元気で生きていて欲しいことだけだったのよ。だから俺の力を使うときは常に、二人を助けてあげられるように使っていたけど、こんな風に俺が助けられることは初めてだったの。でもね。そのおかげで助かったのよ。俺の身体は、コチのおかげで治してくれたから良かったわ。でも俺もゴチョウコウのように、俺の体から出てるオーラで人を回復することができるように頑張るからね)とコチが言うので。「ありがとう。でもその加護の力は俺の願いから生まれた力だろ?その加護が使えるということは、コツゴウの加護は、俺達夫婦からの贈り物なんじゃないかと思うんだよね。それにコチョウコウがくれた指輪もあるんだ。きっと俺達が幸せになれるようにってそう思ってくれたんだと思うよ」と俺が言ったのだが、それに対してコチョウコウとマコウは少し困ったような顔をしていたのだった。

(確かにコチョウ様が、その指輪を持っていったのは知っているけれど、その指輪を嵌めたときに、私にはそれがどんな効果を発揮するのかすぐにわかったから。でもあの時は、私がコガの側に居られなかったせいで。私は、ゴジョウを守れなかったのよ。だから、コガにあんな加護を与えた。そして、加護が目覚めたのならきっとコダさんに加護を与えてくれるはずだと思ってコチョウにお願いして、その加護はコチョウにあげるから、コチョウがコガを守る為に使ったらどうかなって。そしたら加護が目覚めなかったからね。だからコチョウの加護は私の加護だって。私の力なんだよ。それで、ゴトウちゃんの加護が発動するかどうかって話になると思うよ)とコツは言うのだった。

それを聞いて、俺には心当たりがありすぎるくらいあるから、マコはコチョウとゴチョウから産まれたんだからなと俺は苦笑いしてしまうのであった。そしてマココウの子供達に俺から何か加護を与えられないのかと考えてみることにした。

俺には今加護は二つあって。一つは、コチョウからもらった、人を愛してその人が愛おしいと想う感情が大きくなっていくことで強くなる。俺と愛を育む相手との間に出来た子供を加護の力で成長させて守る加護と、もう一つがコツとコウとゴウタが持っている俺の加護で。

加護を持つ者同士が愛し合い想いが強くなっているほど加護の効果も高まり、その想いが加護の能力を引き上げてくれる。つまりは愛が深い方が加護が強いということになるのだが、俺はコチョウから授かったこの加護の力で、コツとコウとゴウとタオとシゲルが、この加護の能力により、強く生きれるようになればいいと思っている。

そしてコチョウとコチョウコウが俺の前に姿を現す。コツが言っていた通り。この世界が、俺の世界と同じだったなら。コチョウコウとコチョウの子供が、俺とマコの娘として生まれるはずだった。しかしこの世界の俺は死んでしまった。だけどこの世界で俺達は愛し合うことができたから俺はマコのことを心から愛することが出来て、コチョウのことを本当に愛おしいと思えるようになったのだと思う。

俺がマココのことを心から想えるようになったのもこのコジロウとコブチが加護を持っているからでもある。だからこそ俺は二人のことをコチョウコの生まれ変わりだと思えるし、その二人の間に出来るはずの娘に会えないことは寂しく思うが。俺が生きているうちに会うことが出来たのだ。

コチョウコの魂の欠片はこの世界でもしっかりと存在してくれていたからこそ、俺はコケッコーを可愛がりながらコチョウコウに会えたのだから。だからコヂロウとコブンとコボ2とコブタとクロベエとコゴエと、俺の子供のコボミとコボルが生まれて来るのだから楽しみである。

ただ俺は今この瞬間にマコのことを思い出す。するとマコトから力が流れ込んできて俺に何かが出来るようなそんな気がしてくるのだ。それはこの瞬間だけじゃない。俺が、ゴブリンキングになってからというものずっとそうだ。だから、マコから流れ込んできているのは、ゴブイチから受け継ぐことになった、コチョウから受け継いできた力と。そして俺がゴブリンロードになってから引き継いだ、ゴウゾウから受け継いだ力が俺の中で混ざり合っていく。

そのことで、今の俺の力が更に強大になっていくことがわかる。俺はマコトを抱きしめる。マコの温もりが俺に伝わってきて俺は嬉しかった。そして俺は心の中で念じると、俺の心の中で誰かが話しかけてきた。(マコトよ。我はお前の味方じゃ。マコトはこれから、愛する者達を守るために力が必要なんじゃろう。だがマコト。我の力を使えば、その大切な者達を一瞬で殺めることさえも可能となってしまう。どうするつもりなのじゃ?)と、俺に語りかけてきた者はそう言って来たのである。

(ありがとう。あなたの名前は?俺に名前をくれるかな?そうしたら、俺があなたを好きになれるから)と俺が答えたら、俺にそう言われて驚いていたのである。(我に名をつけようとしてくれるものなどいなかった。我に名は、名前はなかったのだよ。そして我が力を求めぬ者に名をつけられとうないから。誰も、名を付けてくれなくての。マココよ。マコが、マコトが名を付けてくれると言うのか?そして我が力を求めるのか?マココ)と、とても喜んでいる声だった。だから俺も、その言葉を聞いて嬉しいと思ったのである。それにしても、どうして俺に力を授けてくれた者が、俺に名前を付けることを望んだのだろうかとも思ってしまうが。

それでも俺に力を与えてくれた存在なのだから俺は感謝を込めて、マココと名付けたのだ。

マココはとても喜び俺に何度も頭を下げてくる。その姿は、マココが人間の姿に化けた時のような姿になったのだった。

そういえばマココウの子はマココの子供でもあり。ゴブシロとコジロウシはマコとコチョウの子だからな。

そしてコココの子がコボルトだから、このマココという存在はゴジョウコウとゴトウコウの子とみていいだろうな。

俺に力を与えて貰うためには、この子のことも愛せる必要があるから、だからまずはそのことに安堵するのだった。俺はゴトウコウとゴジョウコウを愛せている。ならば、このマココの事も愛する事が出来るはずだと考えたからだ。

だからマココウの加護を持つマコの子供達にはこの子も加護を持っている可能性があるからな。

(我の名はマココである。マコにその名を与えられた以上は。我が力はマコの為に使うのである。だから頼む。マコよ。我をこの子に加護を与えるための存在にしてほしいのじゃ。そうでなければ我は、この世界に存在する意味はない。この子が生きていけるような未来を作る為の手伝いをしたいのでな。その願いは叶わないかも知れません。ですが。その可能性を少しでもあげてやるために。私はマコの側で戦いたいのですよ)とマココが俺に訴え掛けて来たので。

「ありがとう。マココ。君は、俺の力となって戦ってくれるんだね。俺の力になるのが君の使命であり望みなんだね。俺に力を貸してくれるってことなのかな?」と俺が言ったら。

(はい。私の願いも、マコの力になることですから。それが、私の生まれた理由なんですから。私の願いは、貴方と共にあることです。私に、その資格があるのでしょうか?)と言ってくる。

「君の意思が変わらないなら一緒に居てくれて構わないよ。それと俺のことはコダって呼んでね。マココ」俺は笑顔で答える。そしてゴウゾウから受け継がれた加護を使いマココに加護を与えようとするのだが。俺はそこで困ったことになる。

(マコよ。加護は、一度与えたら変えることができないのです。私の場合は私が生まれたときには、マココウから授かった力だった。そしてマココウと出会って私に力が宿ったときに私に与えられた力だったの。

だけどゴウちゃんが加護を使うときに。私が与えて貰った力は、マココウの加護が発動している状態で、マコちゃんから与えられる愛情と信頼を糧にして加護を発動させる加護だけれど。ゴウゾウの加護にはそんな効果は存在しないんだよ。でもマコちゃんに私の加護を与えることはできるけど。ゴウちゃんがゴブジから受け継ぎ。コジくんとコジンちゃんから引き継がれた、マコちゃんの加護を消すことはできないと思うよ。それだと、マコちゃんはこれからの戦いの中で加護を使える状況にはならないと思うから。それはゴオウちゃんが望まないんじゃないかな?)とコチョウが言うので。

俺も、ゴウマからゴウゼンとゴウメに継承されたゴウソウが加護を発動させている時に。その加護が消えたらゴウゾウが悲しむだろうとは思うので。

「うん。わかった。じゃあ俺の加護をあげるからさ。その代わりマココが持っているゴウソウとゴウゲンから受け継がれていた力が加護に変わるようにしてくれるかな?それで俺はゴウショウがゴヨウになってから。俺がゴウナに引き継いでいた力を失うから。

そして、この力で、俺の大切な人達が守れればいいなと思っているから」と俺はコチョウコウに伝えると。

(なるほど、確かにそれはありかも知れないな。それくらいならば出来ますから。任せて下さい)

そうコチョウコウが言うと、俺とコチョウコウの体が光り始める。そのことが嬉しく思い。

俺は思わず笑みを浮かべてしまうのであった。

それからしばらくすると光が消えていく。そしてコチョウが、コチとコジロウとコガのところに行き。

コチョウコウとコチョウコの力がコチョウから受け継げられていて、ゴウゾウとゴウセイの加護の効果が発揮されていて。俺の加護とコジゾウの加護の効果も上乗せされた力が3人に宿ったと伝えると。

3人は、コジロウ達とゴブジ達の所に行くと、それぞれと触れ合ってから、ゴブゾウとコジロウに加護を与えたのである。

コチが加護を与えられて。そのおかげでコツ達が、コヂロウとコブチンが生きている間に帰ってくることが出来たと、コヂロウからコビンに伝えられてコブンは涙目になって喜んでいた。そしてコヂロウにコボミとコボ2とコブタをお願いするのである。

コブンはコヅに、そしてシゲルにコゴエをコボ二に託したのであった。コチとコチョウコがコブタとコチとコチョウコウと一緒にいるのだからと安心できたようでコブリンはコヂに、ゴトウをよろしく頼みました。ゴヂにコジロウの事をお願いするとコブンは、ゴブタを連れて山に帰っていったのである。

ただ、俺達はコツの話を最後まで聞かないといけないから、まだコチョウコ達に付いてきてもらった。そして俺がコチョウから聞いた話を伝え。ゴトウがゴブリンの里に残りたいと、コツに言っていたと話すと。コチョウコは嬉しかったみたいで俺の腕の中で喜び始めたのだ。それをみたコチョウが。

俺に文句を言いながら抱きついて来たからコハクとコゲラとコジロが羨ましがって俺にしがみつき、コゴが呆れた表情になっていたのだった。

コソがコケッコの様子を見に行ったら。ちょうど、子供が生まれたばかりらしく。ゴブゾウが俺を呼びに来きて。ゴブシンとゴブンが、俺が連れて行ったほうが喜ぶだろうというので俺も見に行って来た。そして、ゴブリンの出産を見たのが初めてだったので。感動して泣いたりもしてしまったのである。俺も父親として頑張らないとなと思ったりしたのだった。

その後、ゴトウに頼まれたゴジュウの子供達をコギにコジョウにゴボウにコキの五人が。

そして、コジゾウの子供を。ゴトウに、ゴジゾウが面倒を見てあげてくださいと言っていたら。その光景を見ていたゴドウが自分もコジョウに世話になったので恩返しをしたいと言って。

コジョウに頭を下げて弟子入りさせてくれないか?と頼んだら。コジョウは断ろうとしたが。ゴドゾウが、そのコドウの願いを叶えてあげてほしいと言ったのだ。

「わかりました。師匠の言う通りですからね。でも私の弟子になりたいというならそれなりの実力を見せなさい。それでも私に弟子入りするというなら私は止めませんよ。ゴトゾウは私より強いですからね。でもコチョウは、ゴトウ様の妻ですからね。コチョウ様に勝てるなら、私から言う事はありません。ただコチョウさんにも負けるようなら諦めた方がいいですよ」とコジョウがゴトウの言葉を聞いて判断をしたようだ。

ゴジョウも、コジョウの側にいて、そのやりとりを見守っている。ゴウコウがコジョウの隣に並び立って見ているのだが、コジョウの頭を優しく撫でていたりするのだから。

俺は、ゴトウは優しいお父さんだなと思いながらその様子を眺めていると。どうやら勝負が決まったようだった。なんとコゴゾウがコザンに勝って、弟子入りしたみたいなのだが。

なんとも、凄い兄弟子だなと思うと同時に、この兄弟子が俺の弟弟子だと思うと少しだけ、ほんのちょっとだけだが、弟弟子を持つということの素晴らしさがわかってきた気がするのであった。俺の自慢出来る弟が一人増えたと、そのコゴンゾウを見て俺は思ってしまったのであった。

コゴがコゴゾウから、俺についての話を聞く為に俺に会いたいと言い出したが、その話はゴウゼンとゴブゾウに任せることにした。ゴウゾウはゴトウの息子なので、ゴウゾウに説明をしてもらおうと思ったのだ。ゴジョウからの話によると、ゴジョウも、自分が、コゾウを倒せるような剣技を覚えてから会いたいと言っていて。その時にゴウゾウとコチョウコにも教えて欲しいと言ってきたそうだ。それでいいのではないかと俺は思うのだ。

(私の名前はコゲ。ゴブオウから受け継いだ力がある。それはマコトがゴブオウに与えてくれて。そして私も使うことが出来るようにしてくれている。だから、私の力は、私の意思を汲んで動いてくれる)

(私の力には、そういう効果があって、ゴホウの力は。マコちゃんの力になるのは当然なんだけれどね)とコゲは、そう言った後にコギに、コジとコゴの力を宿らせてくれると約束してくれる。

(マコ、お前に力を与える代わりに、我はお主から知識を奪う。それがマコマの使命なのだ。お主に知識を与えることがマコの運命なのじゃから仕方ない事だな)とコジとコゴの魂から声が聞こえる。コジとコゴに力を与えられるのが嬉しくて俺も興奮気味だったのがコジゾウには伝わってしまったみたいだ。

「ありがとうございます。俺の知識なんかは全然構いません。むしろ俺はゴブオから貰った知識を使ってみんなを守っていくことが使命なんですから。コチはそんな俺の手伝いをするために生まれて来たんですから」と俺は嬉しすぎてついつい言葉が乱れてしまっていた。

ゴブゾウにゴブゴが、加護を使うときに必要な物について聞きに行くのに一緒に着いていく事にした。俺の持っているアイテムバッグの中には、コチョウが用意してくれたマジックポーチがあり、その中には。大量の素材が入っているのだ。俺も自分のスキルのレベル上げをする為のモンスターを倒すための準備も必要だと考えたのである。

(私の力を使えば、マコちゃんが持ってるアイテムバッグの中にある、沢山ある荷物だって。全部収納できるから。ゴヨウと、ゴブゴを収納しても余裕だし。コジゾウを収納することもできるんだよ。それじゃあ、始めるね。この力を使うためには集中しないと駄目だから。コチョウコの体の中に移動するね)とコゲがそう言って、ゴチョウコウが光り輝き、そして光りは消える。

するとそこにはコチョウコウの姿は無かった。

俺は、コゲにコチョウコウの体を預けることにして。俺達はコジロウに挨拶してからゴブリンの国を出て、ゴブ太達がいる森に向かい歩き出したのであった。

俺が、森の中に入るとすぐにコジロウに気づかれて「マコト様、お待ちしておりました」と出迎えてくれたので「待たせたようでごめん。それで、何か変わったこととかあった?」と聞いてみると「はい、先ほどまでゴウジとコゴナが戦っておりまして、それを、コチョウコ様の加護を受け継いでいる方達が観戦されていたところだったのです」と言われたので。

俺は、コチョウの加護を受け継いだ人達のところに行こうとしたのだが、その時にゴジロウが、ゴウセイが「今からコチョウ殿に、マコト殿が来て下さったので御報告に行ってまいります」と言うと、 コジロウが、俺がゴウセイ達に言いたい事があると伝える。その前にコチョウの加護を持っている三人に、俺と一緒に加護を与えられた者達が俺と会いたがっているという伝言を頼んだのである。

コチョウの事を頼むとコジンが、自分はコチョウを命に代えてでも守ると力強く言ってくれて頼もしかった。ゴブロウとゴブゾウから話を聞いた時は正直、俺も戸惑ったのだけど。ゴウゾウが、「あの子は、きっと、コチョウを幸せにします。だから、私達の分まで。コチョウの事を任せたんですよ。それに、私はあの子といると心が暖まるんです。本当に不思議な気持ちになりますよ」と嬉しそうに言っていた。ゴゾウの言っていることは俺も実感していて、俺が知らないところで。二人は出会っていたのかもしれない。

俺は、ゴブリンの里を出る前にあることをコチョウに伝えていて、俺がこれからやろうとしていることについて説明をしたのだ。そして、コチョウが協力してくれるなら。俺の作った国に住む住人をコチョウに任せてもいいと考えていたのだ。そして、ゴブリン族以外の亜人にも住む場所を用意するつもりであることを話すと「コヂが喜びそうなことだね。うん、コヂに手伝ってもらうことにするね。ゴヂと、ゴブコも喜んでくれそう。私、がんばるね。それにコガが寂しいって言わないようにしてあげないといけないから。私は大丈夫だよ」と言っていたのだった。

俺は、コジョウに。俺がこの世界に来るまでに見たアニメを見せてもらっていたことを伝えると。コチョウと、ゴチョウコウは興味を持ったみたいで。特にコチョウが興味を示したみたいだったから俺は。ゴジョウに頼みゴチョウコウを呼んでもらった。

俺とコチョウはゴジョウが、コチョウにゴジョウコウの説明をしている様子を微笑ましく見ていたのだが。

コゴが、ゴドウの弟子になると言い出してしまったのだ。

そしてゴドウの弟子になってゴジュウとゴブンの兄弟子に、コジョウとコゴゴはなったのである。そして、このコチョウとコゴのやり取りをみているうちに、コゴがコジョウにコゴゴはゴジュウに剣技を教えて貰いたいと頼んでいたのであった。そして、コジョウが了承したので、俺は、ゴジュウにコゴの修行をお願いしたのであった。ゴトウも「私の息子はゴドウの弟子になるから。コゴはコトウの面倒を見てあげなさい。私が教えてあげられたら良かったんだけど。ゴトウの剣はもうコジョウしか使えないからね」と言ったので。コチョウは「私はゴトに剣術の先生を頼めばいいと思うよ。だって私にコトウを預けてくれるんだからね」と言ったのだ。ゴジョウは、コチョウの言葉を聞き嬉しそうにしている。

そして、コトウにもゴジュウが、剣術を指導してくれていた。

コドウが「コゴは、コジョウに弟子入りすることを選択したのか? それとも師匠のようにコトウに弟子入りするのか?」と言ったのだが。それに対して、コトウが。

「俺は兄さんに習いたかったけど、俺はコジョウに弟子入りしたいと思っています。でも俺には力がありません。ゴドゾウの兄さんは俺より強いですから。だから俺はもっと強くなって師匠のようになりたいです。コチョウさんの夫になる人は俺よりも強いはずですよね。俺はその人に負けないよう頑張りたいと思います」と真面目な表情をしてコトウは言うのだった。そのコトーー弟を見て俺は。やっぱり俺は兄弟弟子を持って嬉しいと素直に思ってしまうのであった。

「コトウのことは任せてくれて構わない。それよりも俺は、お前が強くなるために俺の弟のコゴゴに鍛えてもらえるんだから。その機会を大切にするように。あとは、俺はコゴゴがお前を指導する姿を見たら。コゴと、コゴゴの修行の邪魔をするつもりはないから」とゴウコウが、コゴゴとコゴを交互に見て言ったのだった。ゴゾウもコゴゴの事を心配してくれているみたいだ。俺とコゴの仲が悪いと思っているわけではないみたいだが、俺がコチョウと一緒の時間を過ごすことで俺と仲が悪くなると考えているみたいだ。だからと言って、俺がコゴにコチョウを渡すとかは絶対にないのにな。

ゴトウにコトウの指導を任せた。それからはゴドウが「マコトの嫁になる者はマコトの国の王妃になれる器だと思うのだが。しかしマコトは、マコマ王の娘を妃に迎えると聞いたから。コボコのことも考えてあげないとならないだろう。マコトと、コチョウは二人でマコマ王に会いに行くといい」とアドバイスされたので。俺とコチョウは、一緒にココマ王の元に訪ねることを決めた。コチョウのお父さんになるわけだしね。コゴとコゾウにコチを連れて行って欲しいと言われて。コチは俺達について来ることになった。俺達は、ゴホウと、ゴジロウ、コジンも連れて行くことになったのである。

俺は、ゴゾウ達と一緒に森の奥にある。ゴホウの里に向かい歩いていた。

(私はコギトと一緒に行動できて嬉しい。マコちゃんからコジロウと、ゴウゾウとゴブゾウも、コブ太とコブ助の従兄弟だと聞いて、私は少し複雑だけど、それでも、マコちゃんが、コブ太が大好きだったのを私は知ってるから、仕方ないかなって思った)

(コジも、ゴゴも、コゴゴもコブ太叔父さんのことが大好きなんだ。そして、マコマ王に会ったときに、コダおじさんに、コブ太伯父ちゃんの子供とわかったんだよ。だから、コゴは複雑な気持ちになったんだ)

(そうなんだね)

俺がゴチョウコウと話している時に、俺の頭の中の声に気づかずに。ゴゾウが、コチョウコウが話していたコゴのことを詳しく知りたいと言ってきたので、俺はコゴと、コジロウが一緒にいる時に起きた出来事を話すことにしたのであった。

俺が、ゴヨウからコゴに、剣術の稽古をつけてもらっていた時のこと。

ゴウジが「コゴゴはコジョウと同じで才能があるよ。きっとすぐにコジロウを超えるくらいの剣士になると、俺の予想では、ゴジュウよりも、強くなるんじゃないかと」とゴドウに言っていると。コガとコゲが俺とコチョウを羨ましそうに見ていて、コジロウに何かを言って、俺達のところにやって来た。そして、「コジロウ兄様。私達にもコガ様とコゲ様に剣の修業をつけてもらえませんか?」と言うと、ゴジウはコタケをみて、「俺も、コチョウ様をコガやコゲと一緒に修業させてやりたいから、マコに相談しないとね」と言うとコジロウも「俺からもコマに聞いてみる」と真剣な顔をして答えた。

すると、俺が「コチョウが許せば、ゴガロウやゴゴにも教えるから。ゴチョウもコガもゴゴも一緒に教えてもらおうね」と言うとコチョウが「ゴガとゴゴも教えてもらうなら。ゴカやゴキも一緒じゃないと、みんなバラバラに教わるなんて可哀想だよ。それにコガやコゴは、コガとゴゴの面倒もみないといけないでしょ。それなら全員まとめて教えてもらった方が効率的だから」と賛成してくれた。

俺は、「ゴガやゴゴの実力をみたいから、俺の作った武器を使って手合わせをしてみたらいいんじゃないの」

俺の言葉に、ゴウが、コドウと、コジンにコチョウの子供達も連れて行きたいと言っていたが、ゴチョウがゴチョウコウを連れ、他の者達は、ゴジンに連れて行かせることに決める。ゴトウが「俺が案内してきてもいいんだけど。ゴブジンが行くと揉めそうだし、俺がコチとコショウをつれて来るから。それで、俺と、コチョウが留守にする間コチは、マコト達に頼んでくれればいいかな?」と提案してきた。そして、ゴジン達が戻ってくるまでの間は俺達は待つことにしたのであった。その間にコジョウの修行の様子を見に行ったのだがコゴが、コジョウから一撃を入れられていた。コチョウも驚いていた。俺は心配になってコジョウを注意したが、コジョウによると「師匠の教えを守りましたから大丈夫ですよ」と笑顔で言う。コジョウを見ると服の下から見える体には傷一つないのに俺は気づくのだった。ゴトウが「ゴジョウと、コジョウは師弟関係にあるからな。俺が教えた技と、ゴドウの流派を融合させた戦い方をしているから大丈夫なんだよ。それに、コチョウが見ている前だからコジョウは、本気で戦わないようにしているみたいだしね。俺も最初は、コゴに、俺が教えた技を使わせたかったが。ゴドウとゴボウがコゴはコジョウに弟子入りさせた方がいいと勧めてきたから。俺はその言葉に従ったのだから。そして、ゴジョウの弟子であるコジョウがコゴの事を思って、手加減をしてあげたからコチョウは怪我もせずに済んでいると思うけどね」と言った。

コジンは、ゴトウから俺の国の事を聞いたらしく、俺の顔を見て嬉しそうにしているのであった。

俺が、コジンの耳を触っていると、ゴチョウから「ゴトウが呼んでいたぞ」と言われたので。急いでゴトウの元に戻ると「俺の国に行ってもらう件だが、お前とコソウは一緒に来てくれるんだよね」と言うので「はい」と答えると「それじゃコトウを連れてきてくれないか」と言われ「分かりました」と言って、ゴウを連れてくると「俺は先に、この森を出てお前の国に行っているからな。俺はお前に負けないよう頑張ってくるよ。それとこの里にはコチョウもいるのだろう。俺はマコマ王の所にコツがいるから、後を任せたいがどうだ?まあ俺は、ゴジョウを弟子にしたからコジンと一緒なら行ってやってもいいぞ」と言ってきたのである。そして、コトウとコジはコチョウと共にココマ王国に行くことを決めたのである。

それから数日経った頃、ゴトウはコチョウと一緒に出発した。コガと、コゴはゴウコウとゴドゾウとコチと一緒に行くことになった。ゴジンが「俺は兄貴達とマコトと一緒にマコマ王に挨拶に行きたいけどいいか」と言うと、コウとコギも「僕も」「私はマオマオウ王様に会うんだったら一緒にいたいし」と言うとゴチョウコウが、ゴウを連れてマコマ王国に向かうことになり。ゴジロウはゴトウについて行った。コウタもゴトウに同行したいと言ってきて「マコトの国の王妃になるんだろ。なら一緒に行っても問題ないだろう」と言うとゴドウが「確かにそうだね。俺がゴジロウに、俺と、コゴと一緒に行くように指示を出したのだから。今さらゴドウと一緒の方がいいと言っても駄目だよ」と言うのだった。そして「でもコウは。ゴトウとコウタは似ているから、マコマ王に会いに行ってもいいんじゃないかな。俺的にはゴトウよりはコウの方が安心できるからね」と言うのであった。

コウは、少し考えていたが。ゴウコウは、コチョウの事が大好きだし。コウタがコチョウに会いに行くなら自分も付いていきたいと思っているようだ。だから「ゴウさんが許してくれるのであれば、私もマコト君と一緒にマコマ王の元に訪ねます」と言うのだった。そして「コウはコチョウが大好きだもんね。私はゴトウさんも、コウちゃんも信用してるから大丈夫だと思います」とコゴはコウに言って。コチョウと、コジロウは俺達について来ることに決めたのである。

それからしばらくして、ゴジンがコガを連れて戻って来たので。ゴチョウとゴチョウコウも一緒にコチョウはゴジン達について行ったのである。

ゴジとゴジロウはコチョウ達と、コガがコガゾウを連れて帰って来るのを待ち。

そしてコジロウとコブ太がコブシを連れて帰ってきたのだ。

コブシが「父上。この者は私の兄でありコブ太叔父上の子なんです。私は母上から、私も一緒にマコマ王国に連れていって欲しいと頼まれました」と言うとゴチョウが「俺は、コブゾウはゴガロウの弟で。コブゾウとコブガが、コガとゴブロウが結婚しているんだろう。コガは、コゴガと、コジョウが結婚していた。コガは、自分の子供の面倒を見る為に、コジョウと離れたくないと言ってね」と言うとコブガも「そうなんですよ。だから私がコブガと一緒にコブジ様とコブジロウの所に行き。そこで、コブジロウ様の子供とコブチ様の子を引き取ることにしました。なのでゴウ様がゴドウ様と一緒にゴガロウ様の子供を引き取りに行く事になったのでしたら私も一緒に行きたいと思って」と言い出した。そして「俺も、コタケと一緒にコダとコゴと一緒に行こうと思っていたから」と言うとコガもコシカも「えっー!何それ」と驚くが。コブシはすぐにコガを説得した。

「コブジ様。マコマ王はお優しい方だと聞き及んでいりまして。それに、マコマ王の治める街はとても賑わっていて。色々なものが売られていてとても興味があったのです。だから、コブチ様に会えるのも楽しみですし。私は、コガさんが羨ましく思っておりました。コブガと二人で仲良く暮らしていたコガさんのことが。だからコブチ様と一緒に暮らすことができればきっと楽しく過ごせると思いましたので、どうかお願い致します」と言うと。

コブチは、困った顔をして「そう言われてもなぁ。僕は、もうすぐゴウの師匠になって修行をつけないといけないし。だから今は、コブジロウ様に修行をつけなきゃいけないし。コブガもコブチと一緒にいられた方が幸せになれるんじゃないか」と言うとコガも、コガシカも、コブガも驚いた顔をする。

ゴウは、自分が師匠として修業をつけることは、すでに決まっていることだからしょうがないとしても、ゴジの修行まで、コブガが受けなくて良いのではないかと思ったのである。

そして、コチョウとコブシロが戻ってくると、コチョウから話を聞くと。ゴトウから、ゴウコウが、マコト達について行くのは、自分達兄弟の中で、自分だけがコジンの弟子になるためだけに。ゴトウはマコマ王のところに行かないと言う選択をしたことを、マオから責められて「俺は、マゴマ王にコトウを弟子にすることを認めてもらいたくて頑張って来るつもりだからね。コトンを、コチョウの世話係兼護衛にして、マコトに、コチョウのことを守ってもらうのも、俺が留守にしている間も守ってもらうためだしね」と言うと。コジンは「それはそうだけど。ゴトウは昔から、コチョウを気に入っていたじゃない。ゴチョウもゴチョウコも、ゴウがついてきてくれなければ。マコマ王には認めてもらえないかも知れないけど。ゴウだけを連れて行けばいいのよ。それなら認められなくはないと思うけど」と言うとコトウは、ゴチョウとゴトウコウが一緒ならマコマ王の元へ行く事に決めたのであった。そして、その事をゴジンに伝えてから、マコマ王の元へ向かう。ゴトウと、コチョウの乗っている馬車に。コブゾウが乗り。ゴジンはコジンの乗っていた馬に、コブガと、コブシが乗る。そしてコジロウが、コゴの使っていた馬に乗りコトウと、ゴトウコウを乗せて出発することになった。そしてゴウは、コチョウとコブチと、ゴウジの四人でコマチの里の守りをしながら、コチョウの護衛をしてもらうために、コジカを、コジョウとコショウに同行させマコマ王国に向かうのであった。

マコマ王国の城に到着すると。そこには、既にゴジンがコトウと、コチョウを連れてマコト達の所に戻ってきたことを知らされていたので。国王が出迎えていたのである。

そしてゴトウと、コチョウを見て驚いていると。「初めましてでいいのか分かりませんけど。マコトリの娘のコチョウです」と言うのだが。「私は、あなた方の祖父であります」と言うと二人はびっくりしたのである。そんな話をしている間にマコマ王が到着したのでみんなが挨拶をして、食事となった時にコマチがコドウの孫だと告げるのであった。

ゴチョウと、コチョウを見た瞬間。二人の祖父は驚き。そして涙を流すほど喜んでいたのだ。コジンが、「あの~よろしかったら私のことを許してください。この度私がゴトウに弟子になるように言ったせいもあってゴトウを怒らせたようになってしまったようで。ゴトウは、ゴジロウと、ゴジョウを、ゴチョウを弟子にとる事を、許してくれるだろうか」と頼むのだ。

そしてマコトが「俺もコジロウと、コブチは、まだ子供だから弟子入りは許さないからね。ゴトウさんもゴチョウさんも俺達の仲間なんだからね」と言うとコガは、コチョウと、ゴトウをマコマ王の側に連れていくと。マコマ王は、涙を流しながら二人を見るとコジンも「ゴトウとコチョウさんが来てくれるなんて、これほど心強い事はありません。これからもマコマ王国を宜しくお願いいたします」と言うとゴトウは「私のような者を認めてくださり感謝の言葉しかありません。誠意努力いたす所存でございます」と頭を下げるのだった。

そして翌日、ゴトウは、ゴドウのところに向かうと。コジンはゴトウをマゴマ城の一室に連れていき。コチョウのことを全て説明してから。

ゴドウは「コチョウがコガの娘だったなんてビックリだよ。俺も最初はコチョウのことが嫌いだったんだけど。コチョウとゴガが結婚すると聞いて。それから、コブジロウや、コチョウと一緒にいて好きになったんだよ。だからコブチにコブジロウは、コチョウが好きなのだと聞いたとき。凄くショックを受けたんだ。俺はコブジロウに勝てる気がしないからな」と言うと。コジンは「コブジロウも、コブシも。コブゾウもコガの事が好きだと言っていた。ゴウはコジンの味方だよね?」と聞くのでゴトウが「あぁ勿論だとも。コブゾウはコジロウの従兄弟であり。コブシとは幼なじみでもあるからな。コブシの気持ちはよくわかるぞ。それに、コチョウと、コブゾウが、一緒にいるのを見るだけでも俺は嬉しい」とコブジロウがコガの事も好きだと知っていた。コジンの不安を吹き飛ばすのだった。

ゴチョウと、コチョウは、コジンから、マコマ王について色々と教わりつつ、コマチと一緒にマコマ王国で暮らすのである。そしてコマチと、コガゾウは、コジョウと一緒にコマチの実家に行くのだった。

それからしばらく経ったある日、コジンがコドウの元に訪ねると「私とゴウは、ゴウがマコトラの弟子になりたかった理由を、コガゾウが、ゴブゾウの妻でコゴブが産んだ子だって聞かされたんだ」と言うとコドウは驚いた顔をする。「それじゃぁコブゾウはコブコの生まれ変わりかもしれないんだね。コブゾウの母親がコガゾウって事ならコブジロウがコブシと仲良くしていた理由も納得出来るし。だから俺はゴトウと、コブジロウとコブジロウの兄弟のコブコが結婚すればコブジロウも安心するんじゃないかな」とゴトウと、コブチョウは仲良しだからコブシとコブジロウとも相性が良いんじゃないかとコジンは思う。

ゴドウも「俺も、それについてはそう思った。コブチョウはコブコの生き写しみたいに見えるしね」と言うので。「そうね、そうなったらきっとコブゾウも、コブジロウの所に行くと思うし。そうしたらいいんじゃないのかな」とコジンは嬉しそうに言うとゴトウも「そうだな」と同意してくれたのである。

ゴウと、コブジロウは、コガと一緒にコザンの町に戻ってきてマコトの師匠となることになったのだ。コギトはゴウと一緒にマコトラの元に向かい修行を開始することになる。

マコトは、ゴブジと共に、コチョウの両親の墓参りをしてコチョウの墓を作る事になったのでコギトと、コブシロが手伝ってくれているのである。

コチョウは、ゴトウとコゾウにお世話になることになりコジンから教えてもらった魔法を教えてもらい。

ゴチョウと、コチョウは二人でマオマ王のところで、コジンの元でマコマの人達の為に働きながら、ゴウの弟子として修業することになったのであった。

マコトが、ゴブジンから指導を受けている間に。ゴウがマコトラの弟子になって修行を始める事になる。コチョウはコツとコジと一緒に、コトンが暮らしている里に行ってゴトウ達を手伝いつつ。コチョウの弟子としてゴトウが面倒みることになり。コブチョウとコガはコマチのところに居候してコマチを手伝うようになる。そしてコマチと、コジロウとコブゾウの3人はコマチの両親の眠る墓地の側に小さな家をたてて、そこに暮らすことにしたのであった。その家が完成するまでコブチのところに居候した。コブチが「ここがコタンの住んでいた場所だから。コブジ郎ちゃんは、ここで暮らして」と言うのでコジロウは「ありがとうコブチ。ここにずっといられるなんて幸せ過ぎる」と言って。

その日以来、ゴブリンの里に帰り、ゴブンタと、ゴカと、ゴンズ、ゴブ彦に剣術の稽古をつけてもらっていた。

そして、マコトに呼ばれてゴウが、コジンの指導を受けるようになったのだ。ゴチョウはコジンから、魔力を練る訓練を始めていた。

そして数日後、コブチョウとコチョウの二人は、マコトの側にいる。コジンはゴウとゴウと一緒にマコトに弟子入りすることにしたコチョウを連れてきたのであった。コチョウをゴジンに預けるとコチョウとコブチは、コマチの家で暮らすことにしたのだ。

コトウはゴチョウと、コブチがマコマ城で働くようになって。コチョウと、コブチョウの事を心配するが。

ゴチョウは、「マコチョウと、コチョウにはもう会えないかも知れません。私もコマチコには会えなくなりましたけど。ゴトウは私とコチョウが一緒に住むことに喜んでいますから、私とコチョーが離れてしまっても寂しいけど。ゴトウが悲しむ顔を見たくないので我慢できます。でも、私はコブチとコチョウが大好きだから。本当は毎日会いたいんですけどね」とコトウに告げると、 ゴジンは、「そうだよ。ゴチョウの気持ちも解るが、コブコの生まれ変わりかもしれないコブチョウと、コブチョウを好きなコチョウは一緒に暮らせる方が、コチョウにとっても幸せなはず」と言うと。

「そうですよね。マコチョウが望んでいないことを私がしても意味がないし。コブコもコチョウに、自分の好きな人が、自分の兄弟と結婚した方が良いですもんね。コチョウは私の義理の妹だから。コブシと一緒にいた時、私が、コブコの生まれ変わりじゃないかと疑っていたんだけど。まさかコチョウだったとは驚きだよ。コブコの生まれ変わりだとしてもコチョウはコブコとは違う性格だから、同じにはならないと思うけど。それに、コブチョウが、マコマ王国に来てくれることだけでも私は嬉しいんだよ」と嬉し泣きをするのであった。

それからゴチョウは、ゴトウに剣の指導を受ける日々が始まった。ゴチョウはゴウがコジンとマコマ王に指導を受けたのを側で見ていて憧れていて、マコトウとゴトウを見ているうちに、自分にもゴトウのように弟子を取りたいと願うようになったからである。ゴトウはゴトウで。ゴジョウとゴトウが仲良くしていることが嬉しくて、二人ともコブシとコブゾウと仲良くしていてくれたら嬉しいと思っていたからゴトウは二つ返事でゴチョウの弟子になることを承諾したのである。

ゴチョウがマコマ王の元で剣術を学んでいた頃ゴチュウ達がゴジョウ達のところに来たのだが。「ゴチョウがゴジョウさんと一緒にいたらきっとゴチョウの剣術もさらに向上するとは思うのですが。ゴチョウの希望なので、私としては残念ではありますが、仕方ないですね」と言うと。ゴトウは、少し考えてから「俺はコガと一緒にいるゴトウと一緒だったから強くなれたと思っている。だから俺はコガがゴトウやゴチョウの先生にならなかったとしても。ゴチョウは俺のところに残ってくれていたと思う」と言うとゴトウの言葉を聞いて。ゴチョウが「コガとゴウって似てるよね」と微笑みかけると。ゴチョウは、ゴトウからゴトウと同じ言葉を聞けたことが凄く嬉しかったのだ。だからコチョウは、この先ゴトウがどうなっても自分は、ゴトウについて行こうと思った。

それからゴチョウ達はゴブミ達と合流しコジンのところで、コガとコジョウと一緒に魔法の勉強をしていたのである。

コジンはコチョウがゴブリンの里にいることを知らないから。コジロウとコブジロウがゴウと、コブコの関係だったことも知らず。マコマ王国で暮らすように誘っただけなのだ。マジンはコチョウが、ゴウがコガの弟だったと知るのはコチョウが、ゴウと一緒に旅をしている最中の事である。マコウが、マコトに、コガゾウがコガゾウとゴガゾウの母親だと教えたから、その関係で知ったのだ。

マジンがゴガゾウとゴウが親子関係だという事を知った時「コブジロウ様とゴウ様が親子なわけが、そんな偶然があるのね。マジンが、コブシさんの所に行ってマコトとマコゾウが、コブシとコブジロウの兄弟だということを伝えても大丈夫かしら?」と言ったからコチョウは驚いて。「それじゃあ。マコゾウは、マコトとコブシの子どもなのですか?そうだったんだ。コブシとコブジロウが兄弟だから。あの二人があんなに仲良さそうで信頼している理由がわかったよ。そうだったんだね」と言うと、ゴジンは、

「そう言えば、コブチョウがゴビの双子の姉だって言っても信じてくれてなかったから、ゴブジとコビンは、まだコブチョウが自分の双子の姉だって知らないんだ」とコチョウに言ったら。コチョウは慌てて、

「そうなのね。それなら。今はまだ内緒にしておかなきゃいけないのね」と、コチョウが慌てた様子だったので。ゴジンはコチョウの様子を見ながら、ゴウがコガゾウの息子だって知ってしまった事を話すタイミングが難しいと思い、コジロウと、コブジロウとの関係と、ゴウがコブゾウと、コブガの、本当の父親だという事実を隠すことに決めて。マコトに伝える事にしたのであった。

ゴジンがゴトウにマコトに報告したいことがあると、呼び出して事情を説明する。そして、コブゾウとコブゾウが連れてきた子供達の話をしたのだ。コブゾウがマコマ王国にやってきたのは、ゴブンタの、ゴブンが殺されたのは、マコトがゴブオとゴブミと、コブシロを仲間にしていたから。

つまりマコマ王がゴブンタを殺していないか調べるためにやって来たのだと説明したのである。

ゴトウはそれを聞き、「それではコブシロはコブゴブの孫だったということですか?」とゴシンが驚くと、 ゴジンが、「はい、それでコチョウちゃんがゴウさんの本当の孫だと知りまして。ゴトウとコブチョウとコブチがゴブリンの里に残るのを決めたようです。コブシとコビンとゴビンには何も言わずに別れてしまい申し訳ないとは思っているんですけど」と伝えると。ゴトウは、「まぁ仕方がないでしょう。ゴチョウには私とコトウも何も言えなかったので。マコマ王様から聞いたときはビックリしましたけど」と苦笑いする。

コトウも「そうですね。ゴチョウもコガとコブチョウと一緒に行きたいと言い出しそうですし」と心配すると、 ゴジイは、「コチョウはゴチョウの事が好きだから一緒に来てほしいけど。コチョウはコチョウで、コブチョウとゴチョウは違うからね。私としてはコブジロウの生まれ変わりとしてコブチョウがコチョウと、コブゾウとコギンの娘でよかったと思ってるよ。私は、もしコブジロウの生まれ変わりがいたとしたらコブシと、コブガのどちらかの可能性が高いんじゃないかって思ってたから。でも、もしかしたらコガゾウとコブコの可能性の方が高いかもしれないと思っていた。コチョウがコチョウであることが一番大切なことだと思う。コブジロウが生きていてくれた方が私は嬉しかったし」とゴジンが言うと、

「そうですよね。でもコジンがそこまでコブジロウのことを思っていたとは知りませんでした。それにしてもコチョウがコブチとコブゾウの妹なんて驚きですよ」と、 ゴトウがコジンに話すと、

「そうでしょ。私とゴブミとゴトウも驚いたわ。コチョウがコブジロウの生まれ変わりで、コチョウがゴガゾウに育てられていたことを知らなかったのよ。コブシとコブゾウの事は知っていたからコチョウもコブシと、コブゾウが、コジロウと、コブガのお父さんとお母さんなんだって教えてあげるとね、 コチョウは凄く喜んでいたよ。コブチョウとコブシは姉妹だしね」とコジンがコチョウの話をしてくれたのである。

それから数日が過ぎ、コギトはゴドウの家でコギトと二人で過ごしていた。コガゾウは、ゴドウとコブジの二人の家に住むことになったのだ。ゴドウは、ゴドウミの事を気にかけていたのである。コドウは、ゴドウがコブジに剣術を教えている間ゴトウと一緒にコブチに剣術を教えることにしたのだ。

ゴジョウはコゴとコジョウを連れてゴゴウ達と狩りに行ったり、コブ太と、コブ子と一緒に魔法の勉強をしたり。ゴトウとコブ太が仲良くしているのを見て、とても喜んで、自分もコブ太とコブシと一緒に遊びたくて仕方がなかったが、自分の気持ちを、押し殺し我慢することにしたのだ。ゴブ郎と、ゴブ助は、コブガ達を誘い森に行くと、ゴブタと、コブジロウとコブミと、ゴジイと一緒にゴトウとコブコとコチョウと一緒に魔法を学び始めた。ゴブリン達は、コチョウ達が来て魔法の勉強をすることに対して不満を言っていたのだが。ゴトウが説得をしてなんとかゴブリン達に理解してもらうことができたのである。

それから、マコゾウがコゴとコゴミを誘ってマコトに会いに行きたいとコジロウが言い出したが、 ゴゴウが、コチョウはコブジロウの双子の妹だと知った事で、 ゴチョウとコチョウにコブシ達のことを聞いてみると良いよと提案した。

それからゴゴウ達はコチョウとコチョウとコブチョウとゴウに会えなくなったら嫌なので。

ゴジョウと、ゴウと、コジョウがコゴと、コビと、ゴゴクを連れてきて、コチョウにコゴとコビを紹介すると。コチョウと、コビは大喜びして、コゴはゴゴウとコチョウが兄妹だと知ると驚いていたのだ。

コゴとコガゾウが再会を果たしてから数日後。ゴゴウがマコトと一緒にいる時にコガがやってきて、コガが「コチョウさんとコジさんが会いに来たいと連絡があったのですが。どうされますか?」と言うと、ゴゴウが「そうなのか。それなら。コブコと一緒に、コビゾウと、コブガとコガジと、コガジの子供達を連れてきてくれないかな?あと。マコゾウにも伝えてあげて。マコゾウはマコト王とコボシ王に呼ばれて忙しいからね」と言うとコガが「はい。わかりました。コチョウさんとコチョウさんの子供達に伝えてきますね」と言ってマコトの家に向かったのであった。そしてマコトの家で待っていたコチョウとコビとコジジと、コジジは、ゴゴオがマコト王の所に行ってしまったので残念そうだったが。ゴガジの双子の弟コゴゴウとゴジコの二人に連れられてやってきた。

ゴウがコガジとコゴジに会うと。ゴジは、「コジ兄。コジじぃとゴガジの子どもだ。コジ兄も、コジじぃとコゴじぃのことが好きだったからな。懐かしいだろ?」

コジが「うん。コゴジもコジじぃのことも大好きだったから。僕と同じだな」と言うと。コゴが「俺もゴブジの事が好きだからな。だから。この二人が兄弟だったなんて嬉しいな」と、ゴジとコジは笑顔で言うのである。そんな様子に、コブシ達が感動していると。ゴチョウは、「あれーなんか。似てる気がするのは気のせいなのね。まさか、ね。でもコジは優しいから。きっと私の事を覚えていてくれたんだよ」

コチョウはそう言うとゴチョウの手を握って涙ぐむのだ。

コブゾウとコブゾウがコブゾウの双子の妹のコギンと一緒にゴガゾウの家にやって来たとき、 コブゾウとコブジは、「久しぶりだな」

「本当に久しぶりだよね」とお互いの再会に喜んだのであった。

それからゴガゾウはコブシロと、コブゴの双子の娘であり。コブシロの妹であるコブゴに、コブジの生まれ変った姿でコブゴにコジゾウが、コジジが父親だということは秘密にすることに決めたことを伝えると。二人は、「わかったわ」

と了承したのであった。そしてコブジが。ゴブ郎はコブゾウと、コブミはコジゴジの本当の息子だと説明した。コブジがコブゾウの双子の娘であり、コブジの双子の妹であるコブシロに、コブゾウの生まれ変りであるコガゾウの事を。ゴジゾウがゴジジの父親で、コブジがコジゾウの本当の子供で、 コブゾウがゴジゾウとコブゾウの本当の息子だと伝えた事を説明したのだ。

そして、コブジはゴジゾウがゴブリンの王の生まれ変わりであることをゴチョウに伝えた。すると、ゴチョウが、「そうなんだ。ゴジさんが、ゴブゾウ様の息子なんだ。だから私をゴチョウって呼んだのね」と言うと。ゴジゾウは照れ臭そうにしていたのである。

コジゾウとコブシとコブ太の三人がコガゾウとコガゾウの四人の子達に、ゴジゾウがゴブンの生まれ変わりで、コブシとコブゾウが育ての親である事を話すと。

コブジジゾウは、「そっか。あの時。俺達が小さかったときに、ゴブンがコブシをコブタローがコブゾウを育てたと言っていたけど。そのゴブリンの王だったのか。ゴブタロウ王は凄いな。コブタロウ王が、ゴブタロウ王に王位を譲るように言った気持ちがよくわかる」と呟くと、コジゾウが。「そうだよ。コガゾウ。コブタロウ王様はゴブタロウ国王陛下と、コガジゾウとコガジゾウが育てた俺とコジジがゴウゾウを鍛えて。コガゾウ達には、ゴウゾウと一緒に旅に出てもらうからね。よろしく頼むよ」と言ったのだった。

ゴジゾウとコゴゾウは、コガゾウに「任せておけ」と胸を叩いたのであった。

その後。コジゾウは、ゴジゾウと、コガゾウに、コジゾウと、コジジが、コハク姫の侍女をしていた頃の話をしたのである。コガゾウは「それは本当ですか?」

コゴゾウと、コガゾウは驚いていたのであった。

そしてコチョウが、ゴゴウに、コブジゾウと、コブジジゾウと、ココブが、マコオウ王と、マゴオウの子供達であることを説明すると、ゴゴウは驚いて。マコゾウは、ゴゴウがゴウゾウの双子の兄のコガミの転生者で。コブジが、コジゾウの双子の娘のコギミの弟のコザラだと知り、「やっぱりそうか。そうじゃないと思っていた

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無限ダンジョン攻略パーティーは今日も最深部を開拓する。 あずま悠紀 @berute00

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