第2話 因果応報
超人気歌手HINATA(本名、陽奈太)は世界で活躍するヴォーカリストとして人気を集め、音楽に興味がない人ですら、名前と代表曲を知らない者はいないほどのスター。
が、その実態は悪逆非道なものだった。
普段はどこでも笑顔、性格もとってもいい仮面を被った八方美人をして、評判、好感度を上げ、裏ではSNSの裏垢で他人な悪口、暴露の応酬。
女性関係も最悪で、一度に複数の女性と付き合い、虚偽の結婚の意思、行為を何度も行い、飽きればハメ撮りなどを脅しに金を握らせ捨てる。未成年もお構い無しだった。
もちろんそんな表はスター、裏は悪人。そんな状態が続けられるほど、世間は甘くない。
デビューから5年あったころに、今までいい思いをした、罰が始まった。
「あれ?ログインできない?」
ある日突然SNSに本垢裏垢共にログイン出来なくなった。乗っ取りだ。
その日は電話やメールの音が鳴り止まなかった。
『HINATAさん!これどういうことですか!?』
『HINATA!なんてことをしてくれたんだ!!』
『HINATAさん!これ本当なんですか?嘘だと言ってください!』
『HINATAさん…あなたには失望しました』
『死んだ方がいいよ?世のために』
電話、メールは、同僚、上司、マネージャー、友達、そのほとんどから真実を求める言葉が飛んできた。直接家を訪ねてきた者もいた。だがその全てに返事返信応答することは陽奈太には出来なかった。
全てバレたのだ。乗っ取られたSNSから裏垢が晒され、鍵は解除されていた。
そして動画配信サービスでHINATA被害者が数人が真実を話す内容の動画が投稿されていた。初めこそ信じるファンはいなかったが、裏垢が晒されたことにより、信憑性が大きく増してしまったのだ。
その後マネージャーに無理やり、家を引っ張り出されて、事務所の社長と共に謝罪会見が行われた。被害を受けた女性たちは事務所の懸命な交渉によって示談金のみ済んだが、
すでにテレビの世界にはHINATAの居場所はない。事務所はもちろん契約解除、活動休止を余儀なくされた。
陽奈太は酒に溺れた。風呂も入らず服も着替えず飯もほとんど食べずに酒だけを飲み続けた。綺麗だった銀髪は汚れ長く染め直してないせいで生え際から黒髪が誰が見ても分かる所まできていた。
勿論そんな酷い状態になっても助けてくれる人はいない。
「あ?もう酒ねぇーじゃん…クソが」
高そうな財布を持ち外に出る。ほんの一月前なら黄色い叫び声で溢れかえったはずの道は顔を見るなり避けられ、子どもには石を投げられる始末。
「おい、面貸せや」
明らかに柄の悪い男集団に暴力をされ、体はボロボロだった。それでもなんとか守り切った、財布で酒を買う、我慢できずに歩きながら飲む。精神も体もボロボロの陽奈太は意識が飛びそうになる。
「だめだこれ」
コンビニのあるビルの横の路地裏に入り、電柱にもたれかかって、酒を一口飲み
「死にたい…」
そう泣きながら意識が飛ぶ。
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