なもなき僕らが探し続けた幸せは、、、
あおすい
第1話 ループ
僕(
〜数時間前〜
7月13日早朝、学校の予鈴が鳴った。今は夏の真っ盛りで蝉がジージーと鳴いていた。それはもううるさく耳障りなほどで。
席に着くと隣には僕の幼馴染の
よく笑顔で話しかけてくれるので少し恥ずかしさもありつつ、こんな日常がずっと続いて欲しいと思って、願っていた。でもそんな美しい物語はこの世には存在しないことも知っている。だからその日が来るまでは一緒にいたい。
「そういえばさ、今日話があるから一緒に帰ろうよ。みんなにバレるとまずいから屋上で待ってるね。」
「いいけど、、、」
嬉しさのあまり雄叫びがつい上がりそうだ。その日の授業はまったくもって集中できなかったな、、、
そして待ちに待った放課後がやってきた。職員室に用事があったので僕は時差集合を提案した。元々そのつもりらしかったので簡単に話は済んだ。職員室によって課題を提出できたので僕は浮かれながら屋上に向かった。するとすぐ目の前に彼女が見えた。
「お待たせ。ちょっと遅くなっちゃった。」
「もう、遅いよ。話があるから実はここに呼んだんだ。」
「は、話って?」
もしかして告白とかって思ってた自分が馬鹿みたいに思えた。実際馬鹿だった。何も気づいていなかった。
「ねえ、法律ってなんのためにあると思う?何で人って殺しちゃいけないかわかる?」
「え、、、それは悲しむ人がいるからじゃ。」
「じゃあ逆に何で死んではいけないの?やっぱり悲しむから?自分は生きていたくなくても誰かのために生きなきゃいけないの?」
何かおかしい。そう思ったけれど何も僕はその質問に対していえなかった。でも何か言わなくてはならない気がした。本当に嫌な予感がした。
「死した世界には何も無いからとか?生きていれば必ず幸せになれるっていうじゃん」
「そうかな、そうだと本当に幸せだよね。」
「、、、さっきから何が言いたいの?」
「わからないんだな。まあいいよ」
彼女はその顔に笑みを浮かべた。冷たく優しい美しい。そして
「バイバイ」
フェンスの外に出た。僕は走った。しかし間に合わない。彼女はこの言葉だけを言い残して飛び降りた。鈍い音がして悲鳴が上がる。何が何かわからなくなってくる。僕はただひたすらに泣いていた。
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