笑いの一切ない世界で、魔王をふざけ倒します。

星色輝吏っ💤

第1話「轢かれた?」

 俺は異世界に転生したらしい。


 俺はトラックに轢かれたようだ。


 もう一度言う。


 俺はトラックに轢かれた


 轢かれた覚えなんて全くない。


 異世界に転生したというのも、聞いた話なのだ。


 記憶をなくしたわけではない。


 たぶん。


 俺の記憶では、俺は新人の漫才師で、コンビ結成2年でついにテレビに出れる!


 ――という時に相方に包丁で殺されたはずなのだ。 


 なんだか実感が湧かない。


 大事な相方に殺されたのに、特に何も思わなかった。よくわからん。


 そして異世界に転生したらしい俺は、誰もいない静かな路地を歩いていた。


 俺が異世界に転生したと教えられたのは、俺が持っていたスマホに謎のアドレスからメールが来ていたからだ。


 スマホ……そう、俺のスマホがポケットに入っているのだ。


 転生しても同じ容姿で、持っていた者も引き継がれるなんてことあるのだろうか。


 そしてそのメールと言うのも、


『お、元気? 神様だけど。君、トラックに轢かれて異世界に転生したよ。頑張って。それじゃ』


 という雑なものだった。


 神様、異世界転生した人全員にこのメール自動送信してるんじゃなかろうか。


 意味が分からん。


 とにかく、自称神様の言うことを素直に信じれば、ここは異世界と言うわけだが、真っ暗な路地裏である。


 ……どうやって出ればいい?

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